2025年2月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項については、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。

 

(1) リスク管理体制

当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと、代表取締役CEOを委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

 

(2) 主要な事業等のリスク
① 事業環境に関するリスク
a.大規模な地震、津波、台風、火災等の発生について

当社グループの事業拠点は、本社所在地である東京港区に位置しております。そのため、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模災害が発生した場合、本社の損壊や停電、交通・通信・物流といった社会インフラの混乱及び途絶、さらにクライアントの被災等により、業務の停止等の影響を受ける可能性があります。

当社グループとしては、自然災害や大規模火災等の緊急事態に備え、損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のためのガイドライン策定及び当該ガイドラインに基づく体制構築に努めております。しかしながら、不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

b.特定のクライアントへの依存について

当社グループの売上について、取引額上位10社の合計販売比率(最近連結会計年度における連結売上高に占める割合)は、売上高全体の68.0%を占めています。特に、最近連結会計年度においては、株式会社NTTデータとの取引金額が売上高全体の33.8%を占めており、特定のクライアントへの依存度が高い状況です。

当社グループでは、特定のクライアントへの依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めてまいります。しかしながら、特定のクライアントにおける経営方針や業績の変化、景気の影響により、契約が予期せず短期間で終了した場合や、取引規模の縮小を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.他社による業界参入、価格競争の激化について

当社グループのコンサルティングサービス事業は、大手コンサルティング会社と競合する可能性が高く、当社グループの優位性をクライアントに対して十分に訴求できない場合、売上の減少等、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

このリスクへの対応として、厳選採用による優秀な人材の確保と、プラクティス活動(注)を通じた専門性強化を組織的に仕組化して実施することにより、コンサルティングサービスの品質向上を継続的に推進し、競争力の確保に努めています。また、営業部門の拡充により積極的な営業活動を展開し、新規顧客の獲得に注力するのみならず、既存顧客との関係の深化にも努めてまいります。

(注)プラクティス活動とは、OnePoolの組織を維持しつつ、System Transformation(DX)、Green Transformation、Health Careなど、クライアントのニーズが高いテーマの研究開発や営業活動を行う取り組みです。

 

② 事業運営に関するリスク
a.人材の採用・育成・流失について

当社グループは、人材を最重要経営資源と位置付けており、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持つ優秀な人材の継続的採用及び育成が重要であると考えております。しかしながら、コンサルティング業界における人材獲得競争により、優秀な人材の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人材が社外へ流出した場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、さらにはクライアントに提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このリスクへの対応として、1Day選考会、リファーラル採用強化等の母集団形成施策に加え、採用オペレーションの迅速化・高度化に取り組むことで、包括的な採用力の向上を図っております。さらに、従来の新卒入社研修に加え、コンサルティング業務未経験の中途入社者向けの研修を拡充し、早期の戦力化を促進しております。

また、人材流出の抑制策として、高い労働対価の提供と、それを維持するためのビジネスモデルや利益率のモニタリングを継続的に行っております。加えて、社員のエンゲージメント向上と定着率強化に取り組むことで、優秀な人材の流出防止に努めてまいります。

 

b.サイバー攻撃について

当社グループでは、事業運営に際してパソコン及び携帯端末の利用が不可欠でありますが、従業員に貸与しているすべての端末についてウィルス感染や不正アクセスのリスクに常にさらされております。万が一、不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入により多くの端末が使用不能となった場合、あるいは情報漏洩や作業環境の崩壊が発生した場合には、事業運営に重大な支障をきたす可能性があります。さらに、これらの事象により信用力の毀損が生じた場合、経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。

このリスクへの対応として、当社グループでは、すべての端末にセキュリティソフトを導入し、中央集権型管理を実施しているほか、私用デバイスのアクセスを制限するシステムツールの導入を進めることで、これらのリスクの低減に努めております。また、ISO27001規格に準拠し、情報セキュリティに関する規程を整備するとともに、各種セキュリティ管理策の実施や従業員への研修・モラル教育等を通じて、情報セキュリティインシデントの未然防止に取り組んでおります。さらに、インシデント検知及び発生時の対応力強化に努めております。

 

③ コンプライアンスに関するリスク
a.個人情報・機密情報の漏洩について
・個人情報の管理について

 当社グループのコンサルティングサービスの提供において、個人情報を取り扱うことがあります。これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の毀損や対応費用の発生など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に個人情報の管理について指導・教育を行っております。

 

・機密情報の管理について

 当社グループのコンサルティングサービスでは、クライアント先においてクライアントの経営課題を解決するための支援に従事しており、機密性の高い情報を取り扱っております。これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の毀損や対応費用の発生など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に機密情報の取扱について指導・教育を行っております。

 

b.訴訟および紛争について

当社グループは、クライアントと契約を締結する際に、事前にトラブル時の責任分担を取り決める等、過大な損害賠償の請求をされないようリスク管理を行っております。また、専門職業人賠償保険等に加入し、高額な損害賠償リスクの低減に努めております。

しかしながら、契約時に想定していないトラブルの発生等が生じた場合、クライアント等との何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。係る損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 財務状況に関するリスク
  のれんの減損について

当社は、2020年12月25日に旧株式会社ライズ・コンサルティング・グループの株式の過半数を取得しており、のれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映していると判断しておりますが、収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上することとなります。なお、日本基準では、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しております。

当該リスクの対策として、経営成績の定期的なモニタリング、優秀な人材の採用・育成、新たな領域への展開を進めることで、収益性の向上に努めてまいります。しかしながら、これらの対策が計画通りに進まず当該のれんに係る減損損失を計上する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、のれんの減損テストについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.非金融資産の減損」に記載しております。

 

⑤ その他のリスク
  新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末(2025年4月30日)現在、新株予約権による潜在株式数は386,950株であり、発行済株式総数24,682,040株の1.57%に相当しております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、継続的な成長を実現する一方で、株主の皆様への利益還元も重要な経営課題の一つとして認識しております。

利益配分につきましては、これまでは内部留保資金の充実を図り、財務体質強化・優秀な人材の採用及び育成・内部管理体制強化等の原資として有効活用し、企業価値をさらに高めることで株主の皆様の期待に応えていきたいという考えから、配当の実施やその時期については未定としておりました。

しかしながら、今後5年間において事業の順調な成長が見込まれることを背景に、中期的な事業計画を見据えた内部留保資金を確保しつつも、株主の皆様へ安定的かつ継続的な利益還元が可能と判断したため、2025年2月期期末より1株当たり9円00銭の配当(初配)を実施することを2025年4月14日開催の取締役会において決議しております。

また、配当性向につきましては、15~30%を目安とし、配当水準の安定的向上を図ることを基本方針としております。今後につきましては、事業拡大のための投資を見据えるとともに、各期の経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら株主還元の充実を目指していく方針であります。

なお、当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としております。また、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる旨を定款に定めております。

内部留保資金につきましては、財務体質強化・優秀な人材の採用及び育成・内部管理体制強化等、さらなる事業拡大への原資として有効活用してまいります。

 

 (注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
 (千円)

1株あたり配当額

(円)

2025年4月14日

取締役会決議

218,786

9.00