2024年2月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項については、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社の経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。

 

(1) リスク管理体制

当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(2) 主要な事業等のリスク
① 事業環境に関するリスク
a.自然災害発生等について

当社グループの事業拠点は、本社所在地である東京都港区にあり、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大災害が発生した場合、被災地域における本社損壊、停電、及び交通、通信、物流といった社会インフラの混乱及び途絶、クライアントの被災等により、業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限等の影響を受ける可能性があります。

当社グループとしては、自然災害、大火災等の緊急事態に遭遇した場合において、損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための体制構築に努めておりますが、不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

b.景気変動リスクについて

当社グループの事業はコンサルティングサービスが中心であり、多くのクライアントと取引を行っております。当社の主要クライアントは、グローバルに展開する各業界のリーディングカンパニーであるため、国内のみならず、世界の先進国、新興国の景気変動がクライアントの経営状態に与える影響を通じて、当社が支援するプロジェクトの内容や受注内容に影響を与えます。

当社はクライアントとの関係を深化、新規クライアントの開拓、提供できる案件を拡充し、リスク低減に努めております。

しかしながら、国内外の景気動向により、主要クライアントの投資抑制に伴う発注金額の減少や大型案件の中止等の不測の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.競合状況について

当社グループが手掛けるコンサルティングサービス事業は、大手コンサルティング会社と競合する可能性は高いと考えており、競合事業者に対する当社グループの優位性をクライアントに対して十分に訴求できなくなった場合は、売上の減少等、経営成績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

このリスクへの対応として、厳選採用による優秀な人材の確保を行い、プラクティス活動(注)により専門性を高める等、コンサルティングサービス品質の継続的な向上を図ることで優位性を確保してまいります。また、営業部門の拡大を行い、積極的な営業活動を行うことで新規顧客の獲得にも注力してまいります。

(注)プラクティス活動とは、One Poolの組織を維持しながらも、DXやSystem Transformation、Green Transformation、 Health Careなど、クライアントからのニーズが高いテーマの研究開発、営業活動を行う活動です。

 

② 事業内容に関するリスク
a.新規事業について

当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この影響への対応としては、子会社である株式会社ライズ・クロスとともに事業開発を行っていき、新規事業が目論見通りに推移しないと考えられた場合は、事業方針の転換や撤退を行うことも視野に入れ、取締役会を中心に判断を行うことで影響の低減を図ってまいります。

 

③ 事業運営に関するリスク
a.特定のクライアントへの依存について

当社グループの売上について、取引額上位10社の合計販売比率(最近連結会計年度における連結売上高に占める割合)は売上高全体の68.7%となっております。また、最近連結会計年度においては、株式会社NTTデータとの取引金額が売上高全体の28.8%を占めており、特定のクライアントへの依存度が高い状態にあります。当社グループでは、特定のクライアントへの依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めて参ります

しかしながら、当該特定のクライアントにおける経営方針や業績の変化などによって、契約が想定外に短期間で終了した場合や、クライアントの意向により規模縮小などの契約変更を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.人材の確保、育成について

当社グループにおいては、人材が最重要経営資源であり、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、育成していくことが重要であると考えております。

しかしながら、コンサルティング業界における人材の争奪により、優秀な人材の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、クライアントに提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このリスクへの対応としては、1Day選考会、リファーラル採用強化等の母集団形成施策に加え、採用オペレーションの迅速化・高度化に取り組み、包括的な採用力強化を行うこと及び従来からの新卒入社研修に加え、コンサルティング業務未経験の中途入社者向けの研修を拡充し、早期の戦力化を図ってまいります。

 

c.コンピューターウィルス感染のリスクについて

当社グループでは事業運営に際してパソコン及び携帯端末の利用が必要不可欠であり、従業員に貸与しているパソコン端末及び携帯端末など、事業に関連するすべての端末についてウィルス感染のリスクに常にさらされております。

当社グループでは、セキュリティソフトの全端末パソコンへの導入及び中央集権型管理を実施しているほか、私用デバイスのアクセスを制限するシステムツールの導入をすすめており、これらのリスクの低減に努めておりますが、不測の事態により当該パソコン及び携帯端末が利用できなくなった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ コンプライアンスに関するリスク
a.情報管理について
・機密情報の管理について

当社グループのコンサルティングサービスは、クライアント先において、クライアントが抱えている経営課題を解決するための支援に従事しており、機密性の高い情報を取り扱っております。当社グループとしては、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に機密情報の取扱について指導・教育を行っております。

しかしながら、不測の事態により、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、対応費用を含め当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・個人情報の管理について

当社グループのコンサルティングサービスの提供において個人情報を取り扱うことがあります。このため当社グループでは、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に個人情報の管理について指導・教育を行っております。しかしながら、不測の事態により、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、対応費用を含め当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.訴訟について

当社グループは、クライアントと契約を締結する際に、事前にトラブル時の責任分担を取り決める等、過大な損害賠償の請求をされないようリスク管理を行っております。しかしながら、契約時に想定していないトラブルの発生等が生じた場合、クライアント等との何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。係る損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 財務状況に関するリスク
a.多額の借入金と金利変動リスク及び財務制限条項について

当社は、金融機関等を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、最近連結会計年度末の総資産額に占める有利子負債残高の割合は29.00%となっております。当該借入は変動金利により行われているため、金融機関の融資情勢や市場金利の上昇による調達金利が変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績及び資金繰りなどに影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の借入金のうち、金銭消費貸借契約に基づく借入金には、財務制限条項が付されております。財務制限条項に抵触する場合、貸付人の請求があれば当該契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となります。

なお、借入金の金額や金利リスクの状況及び財務制限条項の内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19.借入金及びリース負債」に記載しております。

 

当社グループでは、上記の金融機関からの多額の借入に関係した、金利上昇に係るリスクと財務制限条項への抵触による債務の弁済リスクに対応するため、主に以下の取り組みを実施しておりますが、万が一何らかの事象によってこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入についても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

・収益性を重視した戦略立案と経営管理

当社グループでは、資産維持及び利益維持に関する数値基準が設けられている財務制限条項の抵触を回避するため、収益性を重視した戦略立案と経営管理を行っております。

 

・財務バランスを意識した資金計画の立案と実行

当社グループにおける主な資金需要は、コンサルタントへの給与支払い等の運転資金であります。財務バランスを悪化させるような不必要な追加借入を発生させないため、営業活動によるキャッシュ・フローの実績等を参考にした資金計画を立案し実行しております。

 

・金利条件及び財務制限条項に係る金融機関との交渉の継続

多額の借入金が計上されていることを踏まえ、当社グループでは、金融機関との金利条件及び財務制限条項に係る交渉を継続的に実施してきております。具体的には、LBOスキームの執行時に付された財務制限条項の見直し交渉により、金利条件及び財務制限条項の条件の良化を実現しました。今後も当該リスクのさらなる低減に向けて、引き続き、金融機関との交渉に努めてまいります。

 

b.のれんの減損について

当社は、2020年12月25日に旧株式会社ライズ・コンサルティング・グループの株式の過半数を取得しており、のれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、当社の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上することとなります。なお、日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しております。

当該リスクの対策として、経営成績の定期的なモニタリング、優秀な人材の採用・育成、新たな領域への展開を進め、将来の収益性を向上させて参りますが、これらの対策が計画通りに進まず当該のれんに係る減損損失を計上する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、のれん減損テストについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.非金融資産の減損」に記載しております。

 

⑥ その他のリスク
a.大株主がファンドであること等について

当連結会計年度末において、Sunrise Capitalが当社発行済株式の34.9%を所有し、当該ファンドのサブアドバイザーを務めるサンライズキャピタル株式会社(2024年4月22日に「CLSAキャピタルパートナーズジャパン株式会社」から社名変更しました。)から、小中村政宗及び尾形健太郎(サンライズキャピタル株式会社から派遣されていた中村憲太が2024年5月31日に退任し、同日開催された第4回定時株主総会で、中村憲太の補欠監査役として尾形健太郎が当社社外監査役に選任されております。)が、社外役員として派遣されています。小中村政宗及び尾形健太郎は、社外役員として、ガバナンス強化、客観的な経営への助言、経営陣と株主との橋渡し等の役割を担う方針でありますが、株式の売却等による持分比率の低下等を勘案しながら、将来的には退任を想定しております。当該ファンドにおける当社株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、上記の株主の当連結会計年度末の当社株式所有割合等については、「第4 提出会社の状況 1 株主等の状況 (6)大株主の状況」に記載しております。

 

b.感染症パンデミック発生等によるリスクについて

新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、経済活動への影響は低減したものの、今後感染による重症化及び感染長期化をもたらす変異種が発生した場合や、新たな感染症等が世界的に拡大した場合においては、当社の企業活動にも一定の影響が生じることになります。

当社グループでは全社員を対象にテレワークやシフトワークを推進し、経営成績や財政状態への影響を最小限に留めるよう努めてまいります。

 

c.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在(2024年4月30日)、新株予約権による潜在株式数は1,098,040株であり、発行済株式総数24,439,040株の4.5%に相当しております。

 

d.配当政策に関するリスクについて

当社グループは、収益力の強化や事業基盤の整備をさらに進め、内部留保の状況や当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、資本政策を決めていく方針であります。中でも、利益配分につきましては、経営成績及び財務状態を勘案の上、配当及び自己株式の取得等、最適な時期に最適な手法で行う方針です。

当該方針に基づき、現時点においては、将来の事業拡大に備えた内部留保の充実と有利子負債削減などの財務体質の強化のため、配当を行っておりません。将来的には、内部留保の状況等を勘案したうえで株主に対して安定的かつ継続的な配当を実施する方針でありますが、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、将来の事業拡大と財務体質の強化のため、現時点は配当を行っておりませんが、株主に対する利益還元の重要性について認識しております。今後、収益力の強化や事業基盤の整備をさらに進め、内部留保の状況や当社を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な配当を実施する方針ですが、現時点においては配当実施の可能性およびその実施時期については未定です。

内部留保資金につきましては、有利子負債削減などの財務体質の強化を図りながら、事業の継続的な拡大・発展と今後予想される経営環境の変化への対応と成長投資に備え、内部留保の充実を図りたいと考えております。

なお、当社が剰余金の配当を実施する場合には、期末配当の年1回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、期末配当については取締役会であり、中間配当については、取締役会の決議によって会社法第454条第5項に定める中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。