2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

福祉用具事業 介護事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
福祉用具事業 4,372 42.2 333 63.2 7.6
介護事業 5,990 57.8 194 36.8 3.2

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社であるルルパ株式会社、株式会社シルバーアシスト、スマートケアタウン株式会社で構成されております。

社名の「エフビー介護サービス株式会社」は当社の介護サービスを通じた社会的貢献への取り組みを表すものと捉えており、FBの「F」はFine(素晴らしい)、「B」はBusiness(仕事)を意味します。

当社グループは、今後の超高齢化社会を迎えるにあたり、より長く住み慣れた自宅で在宅生活が継続できるよう、また、在宅生活に限界が見えたとしても有料老人ホームやグループホームなど住み慣れた地域で生活が送れるよう地域密着での介護事業を行っております。

なお、当社グループの事業セグメントは、福祉用具事業と介護事業で形成され、福祉用具事業は、介護保険法に基づく福祉用具貸与・販売、居宅介護支援、介護事業は、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護、訪問看護、介護保険外サービスで構成されており、地域における介護サービスをワンストップで提供しております。

 

当社の事業に対する指定・監督の状況

都道府県・

政令指定都市・中核市が指定・監督をおこなうもの

◇居宅サービス(介護給付 要介護1~5)

・福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修

・訪問介護

・訪問看護

・居宅療養管理指導

・特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)

◇介護予防サービス(予防給付 要支援1・2)

・介護予防福祉用具貸与・特定介護予防福祉用具販売・介護予防住宅改修

・介護予防訪問看護

・介護予防居宅療養管理指導

・介護予防特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)

市区町村が 指定・監督を おこなうもの

◇居宅介護支援

◇地域密着型サービス(介護給付 要介護1~5)

・小規模多機能型居宅介護

・看護小規模多機能型居宅介護

・地域密着型通所介護(デイサービス)

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

・地域密着型特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)

◇地域密着型介護予防サービス(予防給付 要支援1・2)

・介護予防小規模多機能型居宅介護

・介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)要支援2のみ

介護保険以外

・住宅型有料老人ホーム

老人福祉法第29条第1項の規定に基づき、設置にあたっては都道府県知事等への届け出が必要

 

 

(1)当社グループの各事業の内容

(福祉用具事業)

①福祉用具貸与・販売・住宅改修

福祉用具貸与とは、要介護認定を受けた利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、福祉用具の利用を介護保険で支援するサービスです。福祉用具貸与事業所として都道府県知事より指定を受けた事業者から、利用者の心身の状況、生活環境、利用者の要望等をふまえ、適切な福祉用具をレンタルできます。これにより、日常生活上の便宜を図り、ご家族の介護の負担軽減などを図ります。

レンタル可能な商品は、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換機、移動用リフト(つり具の部分を除く)、認知症老人徘徊探知機、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助杖、自動排泄処理装置の13品目になります。

福祉用具に関して、清潔で安全なレンタル品を提供し、安心してご利用いただけるよう、自社で所有するレンタル品は、標準作業書に基づき消毒、洗浄、修理を行い、機能性及び衛生状態を検査した後、梱包して再レンタルまでの保管を商品管理センターで行っております。商品管理センターの稼働により、福祉用具の流通及び品質管理が向上し、スピーディーな供給を実現しております。

自社で所有していない福祉用具は、レンタル卸の事業者から当社が借り入れて利用者に提供を行っております。レンタル卸を利用することにより、利用者の状況に応じて多様な福祉用具の中からより最適な福祉用具の選定ができるようにしております。

また、利用者が自宅で安心安全に暮らしやすい生活を続けられるように、介護保険制度を利用した住環境の整備の一環として、手すりの設置や段差解消等を行う住宅改修サービスを提供しております。

住み慣れたご自宅がもっと好きになる、そんな住環境を生み出すために、専任の担当者が利用者一人一人に最適な住環境を提案しております。当社グループはワンストップで介護サービスを提供する中で、蓄積した介護に関する豊富なノウハウを生かし、利用者の状態や住まいの状況に合った細かな住宅改修の提案を行っております。

 

(介護事業)

①介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、一定の基準を満たし、地方自治体の公募による事業指定(認可)を受けた有料老人ホームで、介護保険制度上では厚生労働省が定めた基準を満たした「特定施設入居者生活介護」というサービスに分類されます。

介護、看護スタッフが常駐しており、専属のケアマネジャーが一人一人にあったプランを作成し、掃除や洗濯などの生活支援や、食事や入浴、排せつ、着替えなどの日常生活における介護サービス全般が24時間受けられます。またその他にも機能訓練指導員によるリハビリテーションや入退院時の同行などの療養上のお世話、服薬管理や健康相談等も行っております。

当社グループでは利用者が歩んでこられた人生への理解と共感に基づき、笑顔と生きがいと役割を持ち続けられるように、自立支援を基盤としたケアを行っております。

 

②住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームとは、要介護者や、自立(介護認定なし)・要支援状態の高齢者を受け入れている施設です。食事の提供、見守り、掃除、洗濯といった生活援助や緊急時の対応のほか、介護相談や、レクリエーションが受けられ、介護が必要な場合は、外部からの訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを利用しながら生活できます。

当社グループでは小規模多機能型居宅介護やデイサービスなどの事業所と住宅型有料老人ホームを併設する事により、利用者が在宅介護に限界を感じる際においても住み替えが可能なため、利用者が安心出来るように馴染みのスタッフによる介護サービスを提供しております。

 

 

③グループホーム

認知症グループホームは、「認知症対応型共同生活介護」として介護保険制度の地域密着型サービスに位置付けられ、要支援2以上の認知症の人(注)へ少人数(5人から9人)を1ユニットとした共同生活の形態で介護サービスを提供しています。家庭的で落ち着いた雰囲気の中で、食事の支度や掃除、洗濯などの日常生活行為を利用者やスタッフが共同で行うことにより、 認知症状が穏やかになり安定した生活と本人の望む生活を実現することができます。当社グループのグループホームは一部を除き2ユニット(18名)での運営をしております。

認知症の正しい理解に基づき、一人の「人」としての尊厳を大切にして、その人らしく安心して過ごせる居場所と関わりを提供しています。

(注)要支援2以上の認知症の人について

1.65歳以上の高齢者で、要支援2または要介護1以上の介護認定を受けている方

2.65歳未満の若年性認知症、初老期認知症と診断された、要支援2または要介護1以上の認定を 

  受けている方

3.医師により認知症の診断を受けた方

4.施設と同じ市区町村に住民票がある方

5.その他、集団生活に支障のない方(身の回りの世話ができる、感染症にかかっていない、共同 

  生活に適応できるなど、施設にて設定)

 

④小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、2006年4月の介護保険制度の改正により新たに創設された「地域密着型サービス」です。

介護が必要になっても、住み慣れた地域で家族や知人に囲まれながら暮らしたいといった利用者の思いを重視したサービス内容となっています。デイサービスのように事業所への『通い』を中心に、必要であれば事業所スタッフによる自宅への『訪問』や家族が留守の場合等は『泊まり』の3つのサービスが組み合わされ、登録された利用者に提供されるのが特徴です。

当社グループでは「通い」「訪問」「泊り」のサービス提供は、利用者が安心出来るように馴染みのスタッフが担当しており、利用者の自宅を生活の中心とした自立支援を基盤としたケアを行っております。なお、小規模多機能型居宅介護サービスを提供する1事業所あたりの登録定員は、介護保険法で定められており29名以下となっています。

 

⑤看護小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護とは、退院直後や終末期などの医療的ケアが必要な人への在宅生活を支えられるよう、小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」の機能を加えた介護と看護を一体的に提供する地域密着型サービスのひとつとして介護保険制度のもと2012年4月に創設されました。要介護状態となった場合においても、利用者が可能な限り在宅において、利用者自身が持っている能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、その療養生活を支援し心身の機能の維持回復及び生活機能の維持又は向上を目指すサービスであり、主治医との連携・指示のもと、看護職員による医療処置を行うことができます。なお、小規模多機能型居宅介護と同様に登録定員が29名以下と少人数のため、利用者一人一人と向き合った看護・介護を行うことができます。

当社グループの運営する小規模多機能型居宅介護、及び看護小規模多機能型居宅介護の殆どが住宅型有料老人ホームを併設しているため、在宅生活に限界を感じたとしても、馴染みのスタッフの介護を受けながら「終の棲家」として利用することができます。

 

 

⑥デイサービス

デイサービスとは、介護保険サービスの「通所介護」の通称です。デイサービス施設に利用登録された利用者は自宅で生活をしながらスタッフによる車での送迎により施設に通い、健康チェック、体操や食事、馴染みの方とレクリエーションをおこない入浴などのサービスも受けられます。可能な限り自宅で生活を送れるようにすることを目的としているので、通いながら機能訓練の向上を目指す施設です。デイサービスには介護スタッフはもとより、看護師、生活相談員、機能訓練指導員などのスタッフが配置されています。

また、自宅から施設まで車での送迎がついているので、自力で施設まで通えない方も利用可能です。なお、デイサービスも定員の規定で大規模から少人数の地域密着型(定員18名以下)まで幾つかの種類が有りますが、当社グループで運営をするデイサービスはすべてが地域密着型であり少人数ならではの手厚い介護を行っております。

 

⑦訪問介護

訪問介護とは、訪問介護員「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格取得者」が利用者の自宅や住宅型有料老人ホーム等の高齢者向け住宅などを直接訪問して、入浴、排せつ、食事等の介助などの「身体介護」や調理、洗濯、掃除等の家事といった「生活援助」を提供しております。

要介護認定をうけた高齢者が住み慣れた在宅生活を送るためのサポートを行いますが、ご本人が自宅における生活を希望する場合、その介護の負担が家族にかかる可能性があります。

当社グループでは訪問介護サービスを利用することで、効率的にその負担を軽減させることが可能であり、増加傾向にある一人暮らしの高齢者にとって訪問介護は、身体介助や生活援助を提供するだけでなく、数少ない話し相手と接する機会を提供しております。

 

⑧訪問看護

訪問看護は、住み慣れた地域で病気や障がいがあっても暮らし続けたい思いを叶えるため、自宅での療養生活や介護生活を支えるサービスの1つです。看護師などの医療従事者が定期的に自宅を訪問し、点滴やリハビリといった医療処置を含めたケアや生活援助を行います。また、主治医の指示を受け、病院と同じような医療処置や、自宅で最期を迎えたいという希望に沿った看護も行う事が可能です。

当社グループでは利用者が在宅介護を受けるうえで必要な、胃ろうカテーテルの管理や、入院期間の短縮による自宅での療養、また自宅でリハビリ指導等、個々のニーズに合わせた幅広いスタイルの医療や介護を訪問看護によって提供しております。また、自宅での利用と同様に、住宅型有料老人ホーム等の高齢者向け住宅などでも必要時は外部サービスとして訪問看護を提供しております。

 

⑨居宅介護支援

介護を必要とされる方が、在宅生活を送るうえで一人一人にあった介護サービスが適切に利用できるように、当社のケアマネジャー(介護支援専門員)が心身の状況や生活環境、本人・家族の希望等に沿って、ケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、ケアプランに基づいた介護サービスを提供する事業所等との連絡・調整などを行います。

 

⑩介護保険外サービス

食事提供サービス

ルルパ株式会社では、長野県内における当社グループの有料老人ホーム、デイサービス、また当社グループ外の介護老人保健施設、特別養護老人ホームをはじめとした介護施設や障がい者支援施設等への食事提供業務を受託しております。季節折々の献立に、利用者及び施設からの意見要望等を反映させる工夫を行い、施設利用者へ食を通じて「安心、満足、笑顔」を提供しております。

 

(2)当社の事業拠点所在地と事業拠点数

当社では、信越及び北関東エリアにおいて福祉用具、居宅介護支援、介護サービスのドミナントを展開しており、2022年11月4日に株式会社シルバーアシストの全株式取得により連結子会社化し、南関東エリアへの進出を果たしました。介護保険分野のサービス別の事業拠点数は、福祉用具事業は18ヵ所、介護事業は103ヵ所となりました。

なお、当連結会計年度より、経営上の管理区分の見直しを行ったことに伴い、事業セグメントの区分方法を見直し、居宅介護支援の報告セグメントを「福祉用具事業」から「介護事業」へ移管しております。

                                                   2024年3月末時点

介護保険サービス分野

事業拠点数

福祉用具事業

福祉用具事業所

16

商品管理センター

介護事業

介護付き有料老人ホーム

住宅型有料老人ホーム

15

グループホーム

17

小規模多機能型居宅介護

14

看護小規模多機能

通所介護

17

訪問介護

訪問看護

居宅介護支援事業所

20

相談支援事業所

事業所合計

121

 

 

(3)事業の特徴

 ①介護報酬について

当社グループにおける国内介護関連事業の収益の源泉は、主に各種介護保険サービス提供による介護報酬であります。介護報酬とは、事業者が利用者(要介護者又は要支援者)に介護保険法に基づく介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われる報酬であり、介護報酬は各サービス毎に設定され、基本的なサービス提供に係る費用に加えて、各事業所の体制や利用者の状況等に応じて加算・減算される仕組みとなっております。介護報酬は、原則として利用者が1割~3割負担となっており、残りの7割~9割は利用者へのサービス提供後に事業者は国民健康保険団体連合会へ介護サービス費用を請求し、最終的に保険者である市町村より支払いを受けております。

 

 ②事業展開の特徴

 a.福祉用具事業における一貫専任制

当社の福祉用具専門相談員(注)の業務の流れは一貫専任制を取り入れております。営業、相談、納品、契約を同一の担当者が行うことで、利用者の信頼獲得に努めております。状態変化に応じた福祉用具の選定をこまめに行うことが可能であり、担当ケアマネジャーとの情報提供もスムーズになります。また24時間365日対応することにより退院時などにおけるスピーディーな納品が可能です。

また、新人の福祉用具専門相談員については新人研修としてコンプライアンス、対人コミュニケーション、介護関連、同行研修等など6ヶ月間の研修を終了後、個々の意識を高め当社の理念を理解したうえでエリアに出ることが出来ます。

 

 (注)福祉用具専門相談員は、利用者の心身の状況や生活環境に適した福祉用具について提案を行う事により、利用者が適切な福祉用具を選定する事を支援する役割を担うため、都道府県知事の指定を受けた研修機関が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、50時間のカリキュラムを修了した者。

 

 

  b.商品管理センターの設置(2拠点 信越エリア、関東エリア)

当社の福祉用具を「安心・安全」に運用するため、長野県佐久市、群馬県伊勢崎市に商品管理センターを設置しております。自社仕入れした商品は、商品管理センターにおいて標準作業書に基づき、回収、清掃、消毒(専用器具使用)、メンテナンス、検品の一連の流れを実施し、バーコード管理による商品在庫の確認を常に行っております。各商品センターの立地は高速道路ICの近くに位置し、各地域の事業所に毎日配送を行っております。

 

 c.ドミナント戦略(注)

当社は、新たな地域で事業を開始する場合には、その周辺に複数の拠点を開設しております。ドミナント展開によるメリットとして、主に入居者の確保及び人材の確保が挙げられます。施設入居希望の場合、当社の複数の施設での調整が可能であり、例えば入居希望施設が満室であった場合でも、他の施設に空きがあった場合、紹介が可能であるメリットが有ります。入居者募集営業であっても1名の営業担当者が複数施設を一度にカバーできるので効率よく入居者を確保する事が可能になります。

また、昨今の深刻な問題として介護業界における人材の確保が掲げられますが、ドミナント展開による同一エリア内の人員異動を実施することで柔軟な対応が可能になります。新規開設時には近隣事業所より当社の経営理念を心得た人材をマネージャーとすることにより、研修期間の短縮も含め、経営理念に掲げる「すべては利用者様のために」を事業所運営の基本にすることにより、早期に入居者募集に繋げております。

ケアスタッフについても同様であり、スタッフの退職があった場合でもエリア内の近隣事業所間において補充が可能ですので介護保険法上の人員配置基準を満たすことができます。

(注)ドミナント戦略とは、特定の地域において集中的に事業所を展開する経営戦略を意味します。

 

   (事業拠点の所在地)

                               2024年3月末時点


(注)事業拠点の所在市町村を色分けしています。

 

 

 

以上をまとめた当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

[事業系統図]


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

   a.経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類感染症への移行後、経済社会活動の正常化が進み、記録的な円安からインバウンド需要の増加や、円安による利益拡大と物価高の状況に価格転嫁ができる企業の収益力が高まり、日経平均株価がバブル後の最高値を更新いたしました。一方、ロシアウクライナ戦争の長期化や中東情勢の緊迫化、円安や物価の上昇が常態化し、実質賃金の減少等、個人消費も弱含みで景気の回復に不透明感が広がりました。

国内の介護業界におきましては、社会の高齢化が進み介護サービスの需要が益々高まっておりますが、人手不足は深刻であり、介護サービスの職業有効求人倍率は厚生労働省資料の一般職業紹介状況(2024年2月分)によると3.85倍と高い数値で推移しており、サービスを担う人材確保に取り組むことは介護事業者の大きな課題となっております。加えて近年の人件費の上昇と物価高は介護事業者の経営に悪影響を与えており、事業の立て直しを迫られています。

このような状況のもと当社グループは、従業員のやる気を確保し、ワークライフバランスの充実を図るため、当連結会計年度より年間休日を108日から120日に増やして従業員の処遇改善を行い、労働力の確保とともに従業員の生産性の向上に努めました。また人材不足を補うべく、海外から技能実習生や特定技能外国人の採用を進め、政府による介護職員処遇改善支援補助金の活用等、介護職員の処遇改善を行いました。

そして、当社グループを拡大すべく、2024年3月に新潟県糸魚川市にグループホームを新規に開設した他、2023年7月に長野県岡谷市に所在し介護事業を営むスマートケアタウン株式会社の全株式を取得し、子会社化いたしました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は10,361百万円(前連結会計年度比7.7%増)、営業利益は新設した介護事業所の初期投資費用等により527百万円(前連結会計年度比3.1%減)、経常利益は新設した介護事業所に関する地方自治体からの補助金の支給等により802百万円(前連結会計年度比8.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は523百万円(前連結会計年度比17.6%増となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当社は経営上の管理区分の見直しを行ったことに伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、居宅介護支援を「福祉用具事業」から「介護事業」へ移管しております。前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしております。

 

(福祉用具事業)

福祉用具事業においては、キャンペーン等の実施によりケアマネジャーや介護施設、病院への訪問活動や地域に根ざしたきめ細やかなお客様への訪問を進め、前期に開設した小山営業所(栃木県小山市)においても営業の強化に努め増収となりました。

また、利益については売上高が順調に推移していることから今後の販売の増加に備え、介護用電動ベッド等のレンタル商品の仕入を増加させたため、減益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の福祉用具事業の売上高は4,371百万円(前連結会計年度比7.0%増)、セグメント利益は333百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。

 

(介護事業)

介護事業においては、2023年3月に開設した4事業所及び2022年11月に子会社化した株式会社シルバーアシストの通年稼働と2023年7月に子会社化したスマートケアタウン株式会社が売上高の増加に貢献し増収となりました。

利益面では全体的に食材費等のコストの高止まり状態が続き、2024年3月から4月にかけて新設した3事業所の初期投資等もありましたが、子会社の利益貢献、全社的に経費の削減やDX推進を含めた業務の効率化に努めたことから増益となりました。なお、スマートケアタウン株式会社は当社グループの既存事業所との相乗効果等により連結決算ベースで初年度より当期純利益の黒字化を達成いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の介護事業の売上高は5,989百万円(前連結会計年度比8.3%増)、セグメント利益は193百万円(前連結会計年度比15.4%増)となりました。

 

b.財政状態

      (資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ480百万円増加し、9,499百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ165百万円増加し、4,284百万円となりました。これは主として、売掛金の増加90百万円によるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ318百万円増加し、5,212百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物(純額)の増加259百万円、リース資産(無形固定資産)の増加39百万円によるものであります。

 

        (負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ39百万円増加し、6,021百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ263百万円増加し、2,953百万円となりました。主な要因は、未払法人税等の減少64百万円に対して、短期借入金の増加206百万円、未払金の増加140百万円があったことによるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ223百万円減少し、3,068百万円となりました。主な要因は、長期未払金の増加88百万円に対して、長期借入金の減少401百万円があったことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ440百万円増加し、3,478百万円となりました。主な要因として、親会社株主に帰属する当期純利益523百万円の計上等による利益剰余金435百万円の増加となります。自己資本比率は前連結会計年度末の33.7%から2.9ポイント増加し36.6%になりました。

 

②キャッシュ・フローの状況 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4百万円増加し、2,183百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,063百万円(前年同期は969百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益754百万円、減価償却費352百万円による結果であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、586百万円(前年同期は使用した資金849百万円)となりました。これは、主に介護施設の新設等に伴う有形固定資産の取得による支出597百万円による減少の結果であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は472百万円(前年同期は資金463百万円の獲得)となりました。これは、主に短期借入れによる収入2,606百万円による増加に対して、短期借入金の返済による支出2,400百万円、長期借入金の返済による支出452百万円による減少の結果であります。

 

③仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

福祉用具事業  (千円)

1,894,853

116.0

介護事業 (千円)

352,336

105.0

合計

2,247,189

114.2

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

④販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

福祉用具事業 (千円)

4,371,653

107.0

介護事業 (千円)

5,989,888

108.3

合計

10,361,542

107.7

 

(注) 主な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。

当社グループでは、介護施設の利用者数の状況や福祉用具の利用者数の推移の見積りを前提として、投資回収率や収益性に関する見積り及び判断について継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づいて見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎となります。これらの実際の結果は、見積りが有する不確実性のため、見積りと異なる場合があります。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は10,361百万円(前連結会計年度比7.7%増となりました。売上高は福祉用具事業が堅調に推移し、介護事業も前連結会計年度に子会社化した株式会社シルバーアシストと新設介護事業所4ヵ所の通年稼働により増加したことが主な要因です。

利益面においては、介護事業は物価高騰によるコスト増、2024年3月から4月にかけて新設した介護事業所3ヵ所の初期投資費用が発生する中、経費削減に努め増益となったものの、福祉用具事業において今後、自社レンタル品の営業に注力すべく、レンタル品仕入を増加させたため、営業利益は527百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。また、経常利益は新規事業所の開設等による補助金収入の増加により802百万円(前連結会計年度比8.8%増)となり、減損損失及び関係会社出資金評価損を特別損失に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は523百万円(前連結会計年度比17.6%増)となりました。

セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況」に記載しております。

 

b. 財政状態の分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社における資金需要の主なものは、介護施設等の新規開設に伴う設備投資資金及び運転資金であります。運転資金としては、福祉用具事業におけるレンタル用商品の取得や、労務費、販売費及び一般管理費等であります。資金需要につきましては、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フロー、また金融機関からの借入金も併せて対応してまいります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移について

当社グループは、介護を必要とする多くの方々に介護サービスをご利用いただくうえで、継続的、長期的な企業価値の向上が重要であると認識しており、売上高と営業利益を重要な経営指標と位置づけております。サービス提供の拡大による売上高の増加と、サービス提供を維持するための適正な利益を獲得していくため営業利益の増加を目指します。

また、第38期連結会計年度(2025年3月期)を1年目とする中期経営計画の利益目標として営業利益に新設事業所整備補助金を加算した金額を設定しております。

さらに経営基盤の状況を見る上では、財務的視点から自己資本比率についても重要な指標ととらえております。

 

 

第36期連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

第37期連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比

売上高

9,619,401

10,361,542

107.7%

 営業利益

544,265

527,403

96.9%

 自己資本比率

33.7%

36.6%

 

 

セグメント情報

(セグメント情報等)
【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

(1) 報告セグメントの決定方法

当社の報告セグメントは当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の分配の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 

(2) 各報告セグメントに属する製品およびサービスの種類

「福祉用具事業」は、主に福祉用具の貸与及び販売をしております。

「介護事業」は、主に介護施設等の運営をしております。

 

(3)報告セグメントの変更等に関する事項

当連結会計年度より、経営上の管理区分の見直しを行ったことに伴い、事業セグメントの区分方法を見直し、居宅介護支援の報告セグメントを「福祉用具事業」から「介護事業」へ移管しております。

なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分に基づいて作成したものを記載しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と
同一であります。
 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額
(注)1

連結財務諸表
計上額(注)2

福祉用具事業
セグメント

介護事業
セグメント

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

4,086,304

5,533,097

9,619,401

9,619,401

セグメント間の内部
売上高又は振替高

4,086,304

5,533,097

9,619,401

9,619,401

セグメント利益

376,166

168,098

544,265

544,265

セグメント資産

1,141,694

5,009,806

6,151,500

2,867,555

9,019,056

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

23,576

283,475

307,052

307,052

のれんの償却額

8,918

8,918

8,918

有形固定資産及び
無形固定資産の増加額

13,894

761,182

775,077

3,400

778,477

 

(注) 1.調整額は、以下のとおりであります。

(1) セグメント資産の調整額2,867,555千円には、各報告セグメントに配分していない全社資産2,961,498千円及び連結調整額△93,943千円が含まれております。全社資産は、主に報告セグメントに帰属しない本社現預金、機械及び装置、保険積立金等であります。

(2) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額3,400千円は、全社資産等に係る設備投資額であります。

2.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と一致しております。

 

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額
(注)1

連結財務諸表
計上額(注)2

福祉用具事業
セグメント

介護事業
セグメント

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

4,371,653

5,989,888

10,361,542

10,361,542

セグメント間の内部
売上高又は振替高

4,371,653

5,989,888

10,361,542

10,361,542

セグメント利益

333,479

193,924

527,403

527,403

セグメント資産

1,288,787

5,267,835

6,556,622

2,943,358

9,499,981

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

25,601

326,529

352,131

352,131

のれんの償却額

17,527

17,527

17,527

有形固定資産及び
無形固定資産の増加額

47,717

637,418

685,136

11,387

696,524

 

(注) 1.調整額は、以下のとおりであります。

(1) セグメント資産の調整額2,943,358千円には、各報告セグメントに配分していない全社資産3,046,711千円及び連結調整額△103,353千円が含まれております。全社資産は、主に報告セグメントに帰属しない本社現預金、機械及び装置、保険積立金等であります。

(2) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額11,387千円は、全社資産等に係る設備投資額であります。

2.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と一致しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

    外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

    外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

合計

福祉用具事業

介護事業

減損損失

16,992

16,992

16,992

 

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

合計

福祉用具事業

介護事業

減損損失

7,223

38,192

45,415

45,415

 

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

合計

福祉用具事業

介護事業

当期償却額

8,918

8,918

8,918

当期末残高

74,511

74,511

74,511

 

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

合計

福祉用具事業

介護事業

当期償却額

17,527

17,527

17,527

当期末残高

75,387

75,387

75,387

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

該当事項はありません。