リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの経営成績、財務状況及び投資者の判断等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業に係る法的規制に関するリスク
介護保険制度について
介護保険サービスは、人生における最大の不安である「介護」を個人や家族だけではなく社会全体で支援するために創設され、「介護保険法」として基本的な枠組みが定められています。当社グループの主要な事業であります介護事業のうち、介護保険法上の福祉用具貸与・販売、居宅介護支援、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、通所介護(デイサービス)、訪問介護、訪問看護等のサービスが、当社グループの連結売上高の大部分を占めるため、当社グループの事業は介護保険法の影響を強く受けることとなり、次のようなリスクがあります。
a.法的規制について
介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所としての指定を都道府県知事や市区町村長から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員配置基準、設備及び運営に関する基準、並びに労働法規(労働基準法及び最低賃金法等)を遵守する必要があります。
介護保険法には、第77条、第78条の十、第84条において、指定基準等未充足や介護報酬の不正請求等指定の取消事由に該当する場合に指定を取り消すことができる旨が規定されております。この基準並びに労働法規を遵守することができなかった場合やサービス費を不正に請求した場合、指定の取消又は停止処分を受ける可能性があります。また、事業所の指定取消処分がなされ、その理由となった不正行為に対して事業者(法人)の組織的関与が認められた場合、連座制として指定取消処分の効果はその法人全体に及ぶため、当該事業者は同一のサービス類型の他事業所について新規指定や更新を受けることができないものとされております。
当社では、介護保険サービスを提供するうえで、選任された法令遵守責任者を中心とした業務管理体制の中で事業所の運営体制を常時指導・監督するとともに、当社の各事業部の管理部門を中心として、各種マニュアルの整備及び研修を充実させることで管理体制の強化や教育の徹底を行い、適切な事業経営に努めております。また、当社人事部を中心として各事業所における労働法規の遵守に努めております。当社では今現在、これらの基準をすべて満たしており、各事業で許認可等取消や営業停止など、事業の継続に支障を来す要因は発生しておりません。
しかしながら、一部の事業所において指定の取消又は停止処分を受けた場合、事業活動に重大な影響を及ぼし当該事業所の収益を失う可能性があります。さらに連座制が適用された場合には、当該サービス類型の事業所の新規指定及び更新を受けられず、計画している収益を達成できない可能性があります。
当社の各事業所が受けている指定は下記の通りです。
(注) 指定は事業所単位で取得しており、事業所毎に指定の有効期日は異なりますが、有効期限を一括して記載しております。
b.介護保険制度の改正について
介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われるとともに、3年に1度介護報酬の改定が行われることとされております。直近においては2024年4月に介護報酬が改定されました。今回の内容は「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止に向けた対応」「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」「制度の安定性・持続可能性の確保」等があり、改定に伴った事業内容の整備を進めておりますので大きな影響は受けておりません。次回改定は2027年4月に予定されており、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
介護サービスに係る単位数、地域区分による一単位の単価及び一人当たりの支給限度額等については、介護保険法及びその他の省令により定められているため、その変更等は当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。さらに、高齢化に伴い年金・医療・介護等の社会保障財政に問題が生じ、利用者や介護サービス事業者に不利な制度改正が行われた場合には、利用者数や売上単価の減少によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)業界環境に関するリスク
①他社との競合について
今後、更なる高齢化に伴い介護サービスの需要が高まると同時に、同業他社の事業拡大が加速し、又異業種からの介護事業参入が増加することが懸念される中で、地域でのドミナント展開により居宅サービスと施設サービスをワンストップで提供しておりますが、当社が事業展開している地域において、当社介護施設の近隣に類似するサービス施設の新設及び福祉用具のレンタル事業者が参入してきた場合、利用者の減少や価格競争の激化により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②新規ホーム等の新設について
当社グループは、介護サービスでは介護保険制度の地域密着型サービスを中心に事業を展開しております。地域密着型サービスは所轄する各地方自治体の事業計画による公募事業として実施されますので、公募を活用した出店戦略を主軸にしております。今後の事業拡大にあたり計画的に施設整備を進める予定ですが、地域密着型サービスや特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)の新規開設に関しては、所轄する自治体の事業計画に沿って応募し、選定を受けなければなりません。
また、2006年4月1日に施行された改正介護保険法では施設開設における総量規制(各自治体において介護保険事業計画に定めた定員数に既に達しているか、又は当該申請に係る指定によってこれを超える場合、その他計画の達成に支障が生じるおそれがあると認める場合には、都道府県知事・市町村長は事業者の指定等を拒否できること)が取り入れられました。
当社グループは各行政のニーズや動向を、担当者が常日頃から各自治体との交流をはかりながら把握するように努めておりますが、総量規制のため施設整備計画の公募がなかった場合、また公募に参加しても選定が受けられなかった場合、当社グループの事業計画遂行に影響を及ぼす可能性が有ります。
なお 、2023年3月末時点の施設サービス利用者数は672人で入居率は96.3%、2024年3月末時点の利用者数は728人で入居率は95.7%の実績で推移しています。今後は選定を受け新規施設が開設できたとしても、既存の他社施設のサービス内容や価格設定、また医療ニーズなどの状況により利用者の入居が当社の従来の利用率に到達しないなど、計画通りに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③海外事業展開について
当社グループは、海外での高齢者に対する介護サービスに対する需要の高まりに対応するため、中国北京に北京江山福佰健康養老服務有限公司を現地法人との合弁で2020年5月に設立しております。
海外での事業展開では、現地法律への対応、予期しない規制の変更、不測な政治又は治安混乱、労働環境の変化、テロ・戦争等といったリスクが内在されている可能性があります。当該リスクに対しては、合弁企業との情報交換や現地での事前調査を行い、リスクが顕在化した場合の対処方針を事前に定める方針です。リスクが顕在化した場合の当社グループへの影響度を考慮して事業展開を行いますが、想定を超えた状態となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④今後の事業展開エリアについて
当社グループの拠点は、信越及び北関東に集中して介護サービス拠点のドミナント展開をしておりましたが、今後は遠隔地の拠点管理の体制を整えることで高齢化の進捗に伴い拡大する介護サービスのニーズに対応できるよう、展開エリアの拡大にも取り組む方針です。しかしながら、当該地域の経済状況及び財政の悪化、人口の減少、人口動態の変化(少子高齢化)による労働力不足等が起こった場合には、利用者数の減少による収益の減少及び介護サービスの継続的提供が困難となり、また新規開設エリアのマーケティングにおいて、当社グループの開設基準に達しない物件や事業展開の対象外のエリアであると判断した場合は開設計画を中止することになり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤事業ポートフォリオの変更について
当社グループの事業分野は、利用者のニーズに合わせて、有料老人ホームやグループホームなどの施設サービス、訪問介護や小規模多機能型居宅介護、福祉用具貸与等の在宅サービスを運営しております。介護保険制度においては、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを継続できるよう、地域の包括的な医療、介護等のサービスを有機的かつ一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が推進されています。
当社グループは有料老人ホーム等の施設サービス分野では、施設開設に伴う設備投資等を行っておりますが、地域包括ケアシステム体制により、利用者の介護ニーズが施設ケアから在宅ケア中心に移行した場合、事業分野も施設サービスから在宅サービスを中心とした事業転換が必要となります。事業構造の変化に伴い、介護施設などの資産の再活用が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥福祉用具レンタルにおける介護度による利用範囲について
当社グループの福祉用具レンタルの多くは介護保険法のもとで提供されておりますが、利用者の介護度に応じて利用できる福祉用具が規定されております。厚生労働省による指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第十九号)において、要介護1以下(要支援1及び要支援2を含む)の方は、下記の福祉用具の使用は介護保険給付対象とはなっておりません。ただし、厚生労働大臣が別に定める者については、この限りではありません。
(要介護1以下の方が介護保険適用外となる福祉用具)
・車いす(電動車いすを含む)及び車いす付属品(車いすクッションなど)
・特殊寝台(電動介護ベッド)及び特殊寝台付属品(マットレスやベッド柵など)
・床ずれ防止用具及び体位変換器
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト(つり具の部分を除く)
・交換可能部品を除く自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸収する機能のものを除く)
上記の福祉用具レンタルの内、当社グループの主力製品である特殊寝台(電動介護ベッド)は、介護保険制度に基づき運営されている高齢者施設あるいは介護が必要な方のご家庭(在宅)で使用されています。また、要介護1以下の方は、利用者の自費でレンタルを利用される場合もあります。
今後、介護保険給付対象となる利用者の介護度が見直されることで、保険適用者が減少した場合には、介護保険が適用されないことによる利用控えが進み、福祉用具レンタルの解約や新規利用者の減少などにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業内容に関するリスク
①有資格者の確保について
当社グループが利用者に提供する介護サービスの内容に応じて、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級)、福祉用具専門相談員等の有資格者によるサービスが義務付けられております。当社グループでは、有資格者の確保のため、給与や待遇の改善による労働環境の改善を図り、採用後においては、介護現場における実務経験に応じた段階的な技術の向上や上位資格の取得の推奨などに取り組んでおります。
しかし、いずれの職種においても、同業他社及び医療機関等と雇用関係で競合しているため、有資格者の確保が計画通りに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②安全管理及び健康管理について
当社グループの提供する介護サービスの利用者は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としており、利用者の転倒事故の発生や状態急変といった体調悪化の危険が高いものと考えられます。また、感染症等が流行した場合には、利用者の体調悪化等によりサービスの提供を中止しなければならない状況が生じるおそれがあるほか、スタッフが感染した場合には稼働が不可能となる状況が生じるおそれがあります。当社グループでは、介護サービス手順のマニュアルによる標準化や社内研修の充実により、事故の発生防止や感染症の感染・拡大の防止、利用者の状態急変等の緊急時対策について積極的に取り組んでおりますが、万一サービス提供時に事故等が発生し、又は感染症が拡大し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③自然災害と災害発生時の対応について
当社グループで運営する施設や事業所においては、地震や水害等の大規模な自然災害及び火災等不測の災害が発生した場合に備え、各施設においてBCP(事業継続計画)を策定しております。しかし、万一災害等が発生した場合、業務を停止しなければならない状況が想定されます。また、入居されている利用者は主に要介護認定を受けた高齢者であるため、災害発生時に避難させることが困難となる危険性を有しております。当社グループでは、利用者が宿泊される全ての施設においてスプリンクラーを設置しております。また、災害時マニュアルを作成し周知徹底するほか、防火管理者等を選任し避難訓練や防火訓練を実施する等火災の予防や被害発生の最小化に努めております。しかし、万一災害等が発生し、建物・設備が損傷しその修復に多大な費用が必要となった場合、あるいは、救助中による怪我等、利用者に被害が及ぶことで当社グループの責任が問われて信用が低下した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④個人情報管理及び情報セキュリティーについて
当社グループが提供しているサービスは主に利用者個人を対象としているため、当社グループのスタッフは、利用者本人の既往症や病歴などを含む個人情報はもちろん、そのご家族等を含めた様々な個人情報に接することになります。これらの情報は、その機密保持について十分な配慮をしなければならないと認識しております。
また、事業遂行にあたり、ステークホルダーに関する様々な情報も有しております。経営上の内部情報の管理方法についての教育研修を定期的に実施するほか、個人情報取扱規定、情報セキュリティー及び管理規定マニュアルを整備、また書類管理状況の確認、サイバー攻撃対策、SNSモニタリング等を実施し様々な機会でその重要性を周知徹底しておりますが、万一情報漏えいが発生した際には、情報管理に関する法的責任を問われる可能性や当社グループへの信頼性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤食品の衛生管理について
当社グループでは、施設利用者への食事の提供及び厨房での調理受託業務を行っております。食事の提供においては、食中毒や感染症の発生の恐れ、高齢者特有の食物誤嚥事故等の発生や体調悪化等が生じる可能性があります。福祉施設では利用者の体調や体質に応じて、適切な調理方法や食材の選定が必要であり、流動食や食材に対するアレルギーなど個人別に指定された食事を正確に提供する必要があります。また、子会社のルルパ株式会社での調理受託業務においては、食品衛生法に基づき、厳正な食材管理及び衛生管理を実施し、食中毒や異物混入等を起こさないようにしております。
しかしながら、何らかの原因により食中毒や労働災害事故など重大な問題が発生した場合は、食品等の廃棄処分、一定期間の営業停止等を命じられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥新型コロナウイルス感染症について
当社グループは新型コロナウイルス感染対策本部を設置し、サービス利用者及び従業員の安全と健康の確保、事業遂行の継続、事業継続リスクへの備え等を、感染拡大の状況や政府、地方自治体の要請等に応じて対応しています。現在において当社グループでは新型コロナウイルス感染症の蔓延はありませんが、施設内で集団感染が発生した場合には、当社グループの信用が低下し、施設の稼働率が低下することが考えられます。また、感染症に対する予防の観点からデイサービスなどの通いサービスを中心に、利用者が利用を控える可能性があります。今後も感染拡大の状況や期間により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦介護施設の長期賃貸借契約について
当社グループは、介護施設及び事業所の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資が必要であることから、各施設の展開は土地の賃借を基本とした設備投資方針を採用しています。今後、事業環境の変化等により、当社の施設利用者が減少し、運営事業所の採算が計画を下回る等の状況により事業所の閉鎖を判断した場合、長期賃貸借契約の内容によっては、一定期間は撤退の制約が課せられ、これに反した場合は中途解約による違約金等の支払が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧人材の確保について
当社グループでは、福祉用具貸与及び介護サービス事業を安定的に拡大するため、有資格者を含めた適切な人材の確保に取り組んでおります。国内での介護従事者の不足に対応するため、海外の人材が国内で活躍できる体制の整備を行っております。ダイバーシティの推進において、人材の多様性にも取り組んでおりますが、これら人員が効果的かつ効率的に活動できるように、働きやすい環境を整備し管理することも必要となります。
当社グループにおいては、人材獲得に求人サイトや職員紹介制度を活用して積極的に取り組んでおりますが、今後人材の確保が計画どおり進まず人材の補充が必要になっても確保できないこと等により、既存施設ではサービス提供の規模縮小、新規の事業所ではオープン時期の順延などの影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨人材の育成について
当社グループでは、運営施設や営業事業所の増加及び退職者の発生に伴い、従業員を継続的に採用しており、新規採用者に対しては、当社の経営理念に対する理解や業務におけるマナーを身につけるよう研修を行っております。また、新規採用者及び在籍従業員においても業務経験やスキルのレベルは様々ですので、職務に応じた職種別研修や階層別研修を実施しております。職務上必要な資格及び従業員のスキルアップの資格に対しては、資格取得支援として費用を会社負担(全額または一部補助)しております。また、業務に関連する各種研修の受講に関しても積極的な参加を推奨しております。当社グループにおいては、教育研修制度の充実を図り、従業員のスキルアップと離職率の低下に向けた制度の充実も図っておりますが、従業員の離職が継続した場合は人材育成コストの上昇や職場の質の低下により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩労務問題について
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。入社時の研修や職務別研修など従業員のスキルアップをサポートする制度を導入して、従業員満足の向上と人材育成の強化によるサービスの向上に取り組んでおります。しかしながら、今後の労働条件の見直しが行われる中で労使の意見が相違した場合には、円滑な折衝を行えるように協議委員会等を設置して対応する必要があります。また、今後の労務関連の法令や労働条件の見直しに対応する場合、人件費や付随する経費の増加となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪重要な契約及びパートナーシップについて
当社グループでは、福祉用具の貸与商品の一部を第三者から仕入れていますが、一般的に長期仕入契約を締結することなく継続的な取引関係を維持しています。また、安定的な仕入れを継続するために仕入れ先を分散することを原則としていますが、仕入れ条件によっては特定の仕入れ先の比率が高まる場合があります。仮にこれらの仕入れ先から商品仕入れが困難になった場合は、在庫不足や新たな仕入れ先の開拓に時間を要することになり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
①風評等の影響について
当社グループの事業は、入居者様及びそのご家族様のみならず、地域住民の皆様や介護に係る方々からの信頼の下で成り立っております。社員には常日頃から経営理念を浸透させ、質の高い介護サービスを提供できるように教育・指導を行っております。しかしながら社員の不祥事等による何らかの理由で、社内・社外を問わず当社に対して不利益な情報や風評被害が有った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②固定資産の減損リスクについて
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しております。介護施設等の新規開設時における固定資産の取得時において、社内の開設基準に基づいた評価プロセスを経て意思決定を行うとともに、開設後においてもその実績が計画どおりであるかをモニタリングし、減損に関するリスクの低減に努めております。
しかし今後、資産の利用状況及び資産から得られるキャッシュ・フローの状況等の悪化が継続し、減損処理が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③有利子負債について
当社グループは、新規の介護施設の開設に伴う設備投資資金等を金融機関からの借入により調達してまいりましたので、総資産に対する有利子負債残高の割合は2023年3月期47.6%、2024年3月期44.7%と高い水準で推移しております。 また、今後、新規施設の開設に伴い有利子負債依存度が相対的に高い水準で推移していくことが予想されます。
このような状況の中、金融情勢の変化などにより、計画どおりに資金調達ができず計画的なホーム開設が困難となる場合や、市場金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ハラスメントについて
当社グループでは、人材不足に対応するために幅広く採用を行っております。そのため、世代間の価値観の相違や従業員の多様化により、ハラスメント等のリスクに対する適切な対応が必要となります。ハラスメントに対する理解を深めるために、事業部会議や職員会議などで勉強会を行い、啓発ポスターを掲示して一人一人が認識できるように取り組んでおります。
また、ハラスメントに関する専門の相談窓口や通報できる体制を整えており、発生の防止と適切な対処に取り組んでおります。しかしながら、当社グループ内でのハラスメント等の行為が発生した場合は、従業員の離職や当社グループへの信頼性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤コンプライアンスについて
当社グループが営む介護事業は介護保険法に基づき運営されており、公共性の高い事業分野であるため、当社グループの社会的信用が企業価値に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループでは、介護保険法に定められた運営基準や個人情報の保護、また理念や安全管理などのコンプライアンスの徹底による社会的信用の構築を図るため、当社のリスク・コンプライアンス推進委員会が中心となり「内部統制システムの構築に関する基本方針」「コンプライアンス経営行動基準」に沿って、当社グループのすべての役職員が法令及び社内規程等の遵守の徹底に取り組んでおります。また、内部での不正を抑止して是正するため、当社グループでは内部通報制度を整備、運用しております。しかし、このような施策を講じても関連する法令等への抵触や、利用者の尊厳を損なう様な不適切なサービスが発生した場合など、当社グループへの社会的信用が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥大株主との関係について
当社の代表取締役会長である栁澤秀樹は、当社の大株主であり、親族と親族の資産管理会社である㈱カントリビューション及びSUN㈱の所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の54.2%の議決権を所有しております。同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。また、当社と致しましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦社会福祉法人佐久平福祉会との関係について
当社の代表取締役会長である栁澤秀樹は、自身が生まれ育った地元地域において高齢者福祉施設及び介護老人保健施設の運営を目的に、2002年7月に社会福祉法人佐久平福祉会(長野県佐久市)を設立し、2020年9月末まで理事長に就任しておりました。当社グループと同法人との間で資本関係はありませんが、当社の代表取締役会長が同法人の運営に関わっていたことを考慮して、社内規程に基づき、同法人との取引の必要性、取引条件の妥当性等を慎重に検討した上で、取締役会の承認を得ることとしており、取引の適正性を確保する体制を築いております。また、取引額が関連当事者の開示に関する会計基準で定める水準になった場合には、取引状況を開示いたします。しかしながら、このような管理体制にも関わらず、取引の適正性が認められない取引が行われた場合には、当社グループの経営の健全性が保たれないこととなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧当社株式の流動性について
当社の代表取締役会長である栁澤秀樹は、当社の大株主であり、親族と親族の資産管理会社である㈱カントリビューション及びSUN㈱の所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の54.2%の議決権を所有しており、今後も当社株式の流動性の確保に努めることとしております。
一方、取引所は流通株式時価総額における上場維持基準を新設し、その適用以降の上場維持基準は10億円であるところ、当社の流通株式時価総額は、取引所が定める形式要件に近い水準になる可能性があります。今後は、当社グループの経営方針及び事業計画に基づき、事業規模並びに利益の成長を通じて企業価値の継続的向上並びに大株主への一部売出しの要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針であります。しかし、株価の変動及び何らかの事情により、流動性が低下する場合には当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨利益還元について
当社グループでは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。今後は、中長期的な視野での業績動向を踏まえて配当性向を高めていく方針とし、事業計画に沿った利益を計上することを前提として財務体質の強化を図り、財政状態及び経営成績を勘案しながら、2023年3月期より配当を実施いたしました。しかしながら、当社グループの業績が計画どおり進展しない場合等、当社グループの業績が悪化した場合には、継続的に配当を実施できない可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要課題の一つとして認識し、株主への配当を安定かつ継続的に実施することを基本方針といたします。一方、事業展開と経営基盤の強化を図るための内部留保資金の拡充も重要な経営課題の一つと認識しているため、当面、自己資本比率が50%未満の間は連結配当性向25%を目指す所存です。
当事業年度の配当につきましては、株主に対する利益還元と将来の事業展開等を勘案して、1株当たりの中間配当を13円、期末配当を20円それぞれ実施し、合計33円といたしました。その結果、当事業年度の連結配当性向は16.9%になりました。
なお、剰余金の配当を行う場合は、中間配当と期末配当の年2回を基本方針といたします。当社は毎年9月30日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主に対し、中間配当を行うことができる旨を会社法第454条第5項の規定に基づき定款に定めております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。