2023年9月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,655 100.0 155 100.0 9.4

事業内容

3【事業の内容】

(1)ビジョン・ミッション

 当社は、2011年10月25日に創業し「幸せの懸け橋に~1人でも多くの人を幸せに導く~」という創業理念のもと、経営管理の課題解決を通じて、社会に貢献し続けるとの想いから、「国内No1の経営管理インフラ会社」を目指し、事業を展開しております。

 IMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が作成する2023年版の世界競争力年鑑で日本の競争力総合順位は35位、特にビジネス効率性の分野では47位となっており、テクノロジーの急速な発展・グローバル化等によりビジネスリスクが複雑化しております。複雑化したビジネスリスクの把握はこれまでよりも識別が困難となりやすく、その識別ができないことでリスクへの適切な対応が遅れ、企業への重要な影響を及ぼす可能性があります。このような状況を避けるためリスクをいち早く識別する専門ノウハウの必要性が更に高まっています。加えて、経営環境としては多々発生する経営リスクに臨機応変に対応していく必要があり、このような専門分野においては、社内人材のみではなく、様々な経験と知見を有している外部人材の活用により、高い実効性を担保することが可能です。

 また、少子高齢化や人口減少により生産年齢人口の不足が深刻化し、様々な業界で人手不足が生じるとされる2030年問題などのように、今後も労働力人口の低下が予想されており、より効率性の高い企業経営を実施していくには各企業のニーズに応じてアウトソーシングを効果的に活用することが必然となります。公認会計士業界においては、大手監査法人勤務以外の働き方を選択する会計士が増加している一方、個々のプロフェッショナルの知見を集約し、適切に配分するプラットフォームが整っていないと考えています。

 当社はこのような経営課題を解決するため、全国に分散している公認会計士のプロフェッショナル資源をデータベース化し、クライアントニーズに最適な形で提供していくプロシェアリング事業を展開することにより、経営支援プラットフォーマーとして、企業の持続的成長を支えていきます。

 

(2)特性

 当社は、ワーキングプラットフォーム「会計士.job」というメディアを運営しており、当メディアには、様々な経験と知見を有している公認会計士等(※1)が2023年9月時点で4,100名超登録しており、1年間の稼働者数は286名となっております。当社所属のコンサルタントは、クライアントニーズに適合したサービス提供するため「会計士.job」の登録者から最適なパートナー会計士(※2)を抽出・アサインし、プロジェクトを実行していくというプロシェアリングモデルを活用しております。プロシェアリングモデルを活用することにより、より細かいニーズに的確に対応したサービスが可能となり、4,100名超というリソースにより、ご依頼からサービス提供までのセットアップ期間が短く、リソースを効率よく活用していくため適切な価格でのサービス提供が可能となっております。

 提供サービスとしては、設立時から一貫してIPOを志向されるクライアントが多く、IPO支援に関して2023年1月から9月までのIPO会社への関与割合が25%超の実績を誇っており、IPOに向けて発生する課題を過去の経験や最新の状況を踏まえて効率的に解決していくことが可能となっております。また、決算開示や内部管理体制の整備、M&Aに関連したサポートなど企業成長において継続して生じるクライアントニーズに対し必要なリソースを提供し解決しております。これらの支援はコンサルタント及びパートナー会計士がクライアントとチーム一丸となり、口頭でのアドバイスのみではなく、実際に手を動かす形での支援を実施しております。当社はこれまでに積み重ねてきたノウハウのチェックリスト化や、業務オペレーションの最適化により、IPO準備を始めとしたクライアントの経営管理課題の有効性の向上と業務の効率性の両立を追求しております。

※1 公認会計士等:公認会計士(試験合格者含む)や米国公認会計士(試験合格者含む)他

※2 パートナー会計士:当社の業務委託先である公認会計士等

 

(3)サービス概要

 当社は、経営管理における課題を解決することで積み重ねてきたナレッジのシェアを軸とした「経営管理コンサルティングサービス」、「プロフェッショナル人材の紹介」等、公認会計士人材の経験・知見のデータベース化・最適配分を通じて、経営管理の課題解決を支援するプロシェアリング事業及び付帯関連事業を実施しております。なお、東京証券取引所の市場再編への対応やIPO市場の盛り上がりを背景に成長を志向する企業へのご支援を拡大しております。

 当社の主なサービスラインナップは当社売上の9割超を占める「経営管理コンサルティングサービス」としての①IPO支援、②リスクマネジメントサービス、③アカウンティングサービス及び④ファイナンシャルアドバイザリーサービスと「プロフェッショナル人材の紹介」としての⑤プロフェッショナル人材紹介サービスとなります。

 「経営管理コンサルティングサービス」は当社コンサルタントとパートナー会計士がチームを組成し、パートナー会計士による実際に手を動かすサポートを、当社コンサルタントがプロジェクトマネジメントを行うことでクライアントに伴走した支援を実施します。また、「プロフェッショナル人材の紹介」は当社コンサルタントがクライアントの人材ニーズをもとに適切な候補者を紹介しております。各サービスの内容は以下のとおりです。

 

① IPO支援

 上場(IPO)準備・市場区分の変更を進める上で、様々な課題を支援し、解決へ導く「IPO総合支援」や、申請書類(Ⅰの部、Ⅱの部、各種説明資料)の作成等、IPOに関連する様々な経営課題を、IPO専門知識や経験、能力を有する人材と共に解決してまいります。

 これまでのIPO準備はインソース(内製)のみでの実施が当たり前とされてきましたが、強固な経営管理体制構築の必要性、ノウハウ不足の補填、人材不足の補充等の理由から当社へのアウトソーシングの依頼が増加しています。IPOの専門的な知識や能力を有する人材は社内のみならず社外でも想像以上に貴重な人材で中々見つからず、IPO経験のある経理担当者を新規採用するにも採用活動には「時間」「手間」「コスト」「ミスマッチ」など様々なリスクがあります。

 また、Web上にはIPOに関する情報が散乱していますが、IPOに関する経験者が不在で自社の状況を勘案して全体を通して「いつまでに」「何を」「どうやって」準備したらよいのか、誰に相談したらよいかわからないなどの不安・お悩み・問題があり、これら経営課題の解決を行っております。

② リスクマネジメントサービス

 当社が提供している「リスクマネジメントサービス」は、J-SOX(内部統制)支援、内部監査支援、海外子会社管理、IT監査、不正調査など、企業が抱える様々なリスクへの適切な対応をサポートしております。上場・非上場問わず、企業が考える法令遵守や不正防止など、様々なリスクに対して企業の状況を踏まえた優先順位をつけ、優先度の高いリスクを中心にアプローチするサービスを行っております。これらのサービスは人手不足で当社へアウトソーシングする企業が増えております。

 「J-SOX(内部統制)」支援は、外部の視点を取り入れることで、リソース不足の解消だけではなく、経営効率の改善も期待できる改善提案も提案するなど「意味のある」監査の実行を図る企業が増加しており、当社への依頼が増加しております。また、企業成長に欠かせない「内部監査」は①IPO支援でも記載のとおり、当社へのアウトソーシングの依頼が増加しています。当社では、昨今の時代の流れの速さ、ビジネスリスクの複雑化等から必要性が増している内部監査業務にいち早く特化し、多くの実績を積んできました。人的リソース不足やノウハウ不足を、プロフェッショナル人材を活用することで解消するとともに、より効果的かつ効率的な内部監査の実施をご支援しております。

③ アカウンティングサービス

 当社では、バックオフィスに関する「決算開示」、「クラウド会計導入」、「決算早期化・管理体制強化」、「IFRS導入」などを支援しております。当社が運営している4,100名超の公認会計士等が登録しているサイト「会計士.job」から最適な人材と共に、経営課題の解決を行っております。

「決算開示」では、金融商品取引法・会社法で求められている開示書類の作成をご支援いたします。クライアントのビジネスを理解し、スケジュールの策定と決算上のトピックスの洗い出しから始めます。また、連結子会社があれば、迅速な連結決算の実行が不可欠です。しかしながら、子会社の決算報告について問題を抱えていたり、会計処理が複雑化することで悩んでいたりする会社も多いのが現状です。当社は、決算業務の経験を有する公認会計士等が現場において決算に必要な根拠資料等の作成サポートや実際の開示書類への落とし込みまで決算業務そのものをご支援し、開示作業につなげてまいります。決算業務はもちろん、会計監査人への対応として、監査法人との会計処理や開示処理に関するコミュニケーションにおける情報・考え方の整理などのご支援も行います。決算体制を強化したいクライアント、決算早期化を目指したいクライアントにフィットするサービスです。

 IPO準備会社向けの「クラウド会計導入」では、クラウド会計システムの導入を検討しているクライアントに対し、知識・経験を有した公認会計士等が、クライアントのビジネスを理解し最適なクラウド会計システムのご利用に関してシステムの選定から導入・運用の安定化までを支援いたします。

 「決算早期化・管理体制強化」では、現状の業務フローを把握することで、必要な業務と過度な業務の見直しや統制の追加などを行い管理体制を強化することにより決算の早期化をご支援いたします。管理体制の強化および決算の早期化はスピーディーな経営分析を促進し、経営力の強化につながります。しかしながら、正確かつスピードが求められる決算作業は非常に煩雑であり、多くの担当者を悩ませています。企業の規模や業種によってもあるべき管理体制は千差万別です。ツール導入だけでは解決できないほど社内プロセス含めた管理体制が複雑になってしまっていることも少なくありません。当社では多くの成長企業をご支援してきた実績をもとに企業にとってのあるべき管理体制の構築をお手伝いします。

 「IFRS導入」は、クライアントのIFRS(国際財務報告基準)の導入を検討段階から実際の開示書類の作成まで伴走する形でご支援いたします。IFRSは日本企業でも導入が進んできているとはいえ、経験者が不足していることなどから「対応が難しい」「コストがかかる」「実務負担が増える」ことが多いです。当社では成長企業を数多く支援してきた実績を生かし、クライアントの業務実態に見合ったIFRS導入・開示支援をいたします。

 

④ ファイナンシャルアドバイザリーサービス

 我々はこれまでに培ってきたM&Aに関する支援実績から得られた知見を活かして適切な支援サービスを提供致します。当社は、M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス業務、各種バリュエーション、M&A後のPMI(※1)支援をワンストップサービスにより窓口を一本化し提供しております。各専門家とのネットワークにより、デューデリジェンスの領域を幅広にカバーしております。

 これらは専門分野ごとに依頼することが一般的ですが、窓口が複数になると買収・買収対象企業にとって大きな負担となります。また、専門家の間で情報交換がなされないことで、担当者のコミュニケーションコストが増大したり、各報告書の整合性がとれていなかったりという問題が生じますが、当社では窓口を一本化して各DDの専門家と連携していますので、クライアントに無駄な負担をおかけしません。

  ※1 PMI:Post Merger Integrationであり、M&A(合併・買収)後の統合プロセスのこと

⑤ プロフェッショナル人材紹介サービス

 当社は「会計士.job」ネットワークにより2023年9月時点で4,100名を超えるプロフェッショナル人材のスキル情報を有し、外部の人材データベースも活用することで十分な知識や能力を有する最適な人材をスピーディーに紹介することが可能です。企業の人材ニーズを的確に判断し、CFO、IPO準備室長、経理部長、監査役等の経営管理体制の強化に必要なハイクラス人材を紹介しております。

 

 

[事業系統図]

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は1,246,265千円となり、前事業年度末に比べ376,446千円増加いたしました。流動資産につきましては、1,188,376千円(前事業年度末比367,212千円増)となりました。これは主に、2023年6月26日に東京証券取引所グロース市場へ新規上場したことに伴う、公募による募集株式発行の手取額の入金、及び当事業年度に営業活動により資金を獲得したことにより、現金及び預金が326,937千円増加したことなどによるものです。固定資産につきましては、57,889千円(同9,233千円増)となりました。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は359,461千円となり、前事業年度末に比べ111,531千円増加いたしました。流動負債につきましては、342,781千円(前事業年度末比133,771千円増)となりました。これは主に、買掛金が19,202千円、未払費用が15,182千円及び未払法人税等が38,138千円増加したことなどによるものです。固定負債につきましては、16,680千円(同22,239千円減)となりました。これは長期借入金の返済22,239千円による減少です。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は886,804千円となり、前事業年度末に比べ264,914千円増加いたしました。これは、当事業年度において東京証券取引所グロース市場へ新規上場したことに伴う公募による募集株式発行及び新株予約権の行使に際しての払込みにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ81,473千円増加したことに加え、当期純利益を102,879千円計上したことにより利益剰余金が増加したことなどによるものです。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大も次第に落ち着きを見せ、社会経済活動の正常化が進み、景気の緩やかな回復が継続しています。一方で、国際情勢による地政学的リスクに伴うエネルギー価格上昇や、世界的な金融引き締めに伴う影響、生活必需品の値上げなど経済活動の動向は極めて不透明な状況が継続しております。

 また、高度化・複雑化が増すビジネス環境下において、企業の経営課題は年々増える一方、企業を支える労働力の面では、少子高齢化という社会問題も相まって働き手が不足している状況です。生産年齢人口は減少する一方で、働き方の多様化が進みプロフェッショナル業務のアウトソーシングが拡大しております。

 このような状況の中、当社は「幸せの懸け橋に~1人でも多くの人を幸せに導く~」という創業理念のもと、経営管理ナレッジシェアを軸とした「経営管理コンサルティングサービス」、「プロフェッショナル人材の紹介」等、公認会計士人材の経験・知見をデータベース化・最適配分を通じて、経営管理の課題解決を支援するプロシェアリング事業及び付帯関連事業を拡大しております。

 当社が運営する公認会計士等のためのワーキングプラットフォーム「会計士.job」では登録者数が2023年9月時点で4,100名を超え、急速に変化する事業環境への対応を背景に成長を志向する企業へのご支援を拡大しております。

 各企業ともに慢性的な人材不足の状況であり、上場準備会社からは管理体制整備のノウハウやリソース不足に陥りやすく、IPO支援、リスクマネジメントサービスを中心に、また、上場会社からはリスクマネジメントサービス、アカウンティングサービスを中心に当社の提供する各サービスへの問合せが増加し、支援社数も増加しております。

 各サービスへの問合せ対応や将来的な事業拡大のため採用の強化を進めております。また、日本国内におけるスタートアップ企業の成長とIPOならびにM&A業界のさらなる発展を目的にBridgeIPO/M&ACommunityを立ち上げ、HPやメールマガジンでの業界に関する情報発信やオンラインによるピッチイベントの開催などを実施しております。

 以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,654,667千円(前事業年度比30.2%増)、営業利益155,360千円(同61.7%増)、経常利益151,550千円(同58.3%増)、当期純利益102,879千円(同59.2%増)となりました。なお、当事業年度で発生した上場関連費用は17,338千円であります。

 なお、当社はプロシェアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は980,888千円(前期末比326,937千円増)となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は207,229千円(前年同期は13,713千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益139,112千円(前年同期比43,404千円増加)を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は15,054千円(前年同期は7,706千円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得により15,000千円支出(前年同期は653千円取得による支出)したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果調達した資金は134,762千円(前年同期は131,093千円の調達)となりました。これは長期借入金の返済により23,628千円支出(前年同期は38,906千円の支出)しましたが、株式の発行による収入158,391千円(前年同期は170,000千円の収入)が大きかったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社の事業は、プロシェアリング事業であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載しておりません。

 

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

プロシェアリング事業

1,654,667

130.2

合計

1,654,667

130.2

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

① 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「会計士.job」の登録者数及び稼働者数、クライアント数×クライント当たり売上高×契約継続率をモニタリングしております。

 当事業年度のクライアント数は451社(前年同期比15.6%増)、人材紹介サービスを除く契約継続率は57.0%(前年同期は58.7%)、パートナー会計士稼働者数は286名(前年同期比28.3%増)となっており、今後も引き続きこれらの指標を伸ばし、これに伴う売上高の増加や利益率の向上を目指してまいります。

 

② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a.経営成績の状況の分析

(売上高)

 売上高はリスクマネジメントサービス、アカウンティングサービス、ファイナンシャルアドバイザリー及び人材紹介サービスでは、当社のコンサルタントを徐々に増員したこともあり着実に売上高を伸ばし、1,654,667千円(前年同期比30.2%増)となっております。詳細に関しては「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は735,905千円(前年同期比26.0%増)となりました。これは、上記の売上高を伸ばしたことに伴い売上原価に含まれる外注費(主にパートナー会計士に対する業務委託報酬)が増加したことによるものであり、当事業年度のパートナー会計士稼働者数は286名(同28.3%増)となっております。この結果、売上総利益は918,761千円(同33.8%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は763,401千円(前年同期比29.2%増)になりました。これは、主に事業拡大に伴い社内人材の採用を積極的に行ったことによる人件費及び採用研修費用が増加したことなどによります。この結果、営業利益は155,360千円(同61.7%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 営業外収益は164千円(前年同期比4.0%増)と大きな発生はありませんでした。営業外費用は3,975千円(同632.5%増)となりました。これは当事業年度に東京証券取引所グロース市場への株式上場にあたり実施した公募増資により株式発行費が3,643千円発生したことによるものです。この結果、経常利益は151,550千円(同58.3%増)となりました。

(特別利益、特別損失)

 特別利益は発生はありませんでした。特別損失は12,437千円(前年同期発生なし)となりました。これは当社が保有する投資有価証券の評価について検討した結果、投資有価証券評価損を計上したことによるものです。この結果、税引前当期純利益は139,112千円(前年同期比45.4%増)となりました。

(法人税等合計、当期純利益)

 法人税等合計は36,233千円(前年同期比16.6%増)となりました。この結果、当期純利益は102,879千円(同59.2%増)となりました。

 

b.財政状態の状況の分析

財政状態の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報の記載

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。フリー・キャッシュ・フローは192,174千円のプラスとなりました。また、2023年6月26日の東京証券取引所グロース市場への株式上場にあたり実施した公募増資により、新たに119,600千円の資金調達を実施しており、資金需要に備えております。

当社の運転資金需要の主なものは、「会計士.job」登録者に対する業務委託料のほか、当社の人材採用、維持に係る人件費を含む販売費及び一般管理費等です。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を確保しながら、必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。必要に応じてエクイティファイナンス等による資金調達を検討します。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。