リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
①企業の人材採用ニーズについて
当社グループは、高専生や理工系の大学生向けの就職活動イベントを主たる事業としているため、企業の採用ニーズに影響を受ける可能性があります。
当社グループの提供する就職活動イベントは、中途採用よりも景気変動の影響を受けにくい新卒採用向けのサービスでありますが、当社グループの想定を上回る景気悪化等の発生により、企業の雇用水準が低迷する事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②システム開発について
当社グループの就職活動イベントは、全国各地において対面形式で開催するのが主流ではありますが、就職活動環境の変化を考慮し、学生及び企業のニーズを捉え、今後も機能面やセキュリティ面に優れ、かつ、利便性の高い「WEB合説サイト」の機能の充実や学生と企業の情報を効率的にマッチさせる「企業情報サイト(高専プラス)」によるサービス向上が必要であると考えております。
当社グループは自社内でシステムに関する「要件定義」「機能定義」「構成管理」「計画立案」等のいわゆる上流工程のシステム開発を行っており、また、信頼のある外部委託先とも連携することで、スピードを重視した開発体制を構築できております。
しかしながら、当初計画に沿ったシステム開発が行われない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③感染症リスクへの対策について
当社グループは、新型コロナウイルス感染症などの感染症リスクを「倫理・コンプライアンス規程」に基づきリスク管理の対象リスクに指定しており、社内外からの最新情報に基づき、イベント開催方法及び各種感染症対策等の判断を行っております。
また、当社グループは、高専生や理工系の大学生を中心とする専門性の高い人材を主体にイベントを開催しており、参加企業は、主に上場企業・大手企業などの優良企業であることから、感染症が収益に与えるリスクは最小限にとどめており、業績への影響は軽微であると判断しております。
しかしながら、近年の新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延により、当社グループの特徴である対面形式のイベントからオンライン形式イベントへ開催形式の変更を余儀なくされ、また、一部の業種において、業績の低迷に伴う新規採用意欲の低下などがみられたように、これらの感染症などの影響が長期化する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの事業内容及びサービスに関するリスク
業績の季節変動について
当社グループが提供する高専生及び理工系の大学生向け就職活動イベントは、年間の就職活動イベントの開催時期の決定について、学生及び企業のニーズ、競合企業の状況等を勘案して決定しておりますが、高専生及び理工系の大学生の就職活動時期・日本経済団体連合会から発表される「採用選考に関する指針」などの影響を受け、変動する可能性があります。
なお、現在は、12月から翌年3月にかけて、高専生及び理工系の大学生向け就職活動イベントを実施していることから、当社グループの売上高もそれらの期間と重なる第2四半期から第3四半期に偏る傾向があります。そのため、採用選考の流れに大きな変化がある場合、当社グループの通年の売上への影響は僅少なものの、四半期売上に影響を及ぼす可能性があります。
(2023年7月期の売上高並びに営業利益及び営業損失)
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
売上高(百万円) |
80 |
537 |
235 |
102 |
955 |
営業利益又は営業損失(△) (百万円) |
△59 |
288 |
41 |
△68 |
202 |
(注)第3四半期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については単体の数字を記載しております。
(3)法的規制及び知的財産権等に関するリスク
①個人情報の保護について
当社グループは、事業の性格上、就職活動を行う高専生及び大学生に関して住所・氏名・連絡先等の収集を必要とし、当社グループではこれらの個人情報等を厳重に管理しております。当社グループは、個人情報の収集とその利用に対する法的規制を遵守し、また、取引先、高等専門学校・大学の担当職員等の関係者、学生の各方面からの信頼性を一層高めるために、経済産業省の外郭団体である「一般財団法人日本情報経済社会推進協会」が付与する「プライバシーマーク(認定番号:第18860278号)」の認定を2020年5月に受けております。また、個人情報を収集するシステムに関しては、第三者機関のセキュリティ検査を実施するなど、適切に個人情報を管理する仕組みを構築しております。
当社グループでは上記のとおり、個人情報等の管理について細心の注意を心掛けておりますが、当社グループにおいて何らかの理由により個人情報等の漏洩が生じた場合には、当社グループの顧客等の当社グループに対する信頼の著しい低下等により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権について
当社グループの提供する商品・サービスが第三者の特許権、著作権等の知的財産権を侵害する可能性については、弁理士等の外部専門家を通じて調査を行っておりますが、当社グループの提供する商品・サービスに関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。
また、将来当社グループが提供する商品・サービスに関連して、当社グループが知的財産権を取得するよりも前に他の事業者等が特許権その他の知的財産権を取得する可能性があります。
これらの場合、当社グループに対する訴訟等が発生し、当社グループが提供するサービスに影響が出る可能性があるほか、当該訴訟等への対応のために必要となるコストの発生により当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)組織体制に係るリスク
①優秀な人材の確保及び育成について
当社グループの事業が継続的に成長していくためには、優秀な人材の確保、人材の育成及び定着は、経営上の重要な課題であります。当社グループは、必要な人材を確保するため十分な採用予算を確保し、また社員に対する教育を通じ、当社グループの将来を担う優秀な人材の確保・育成に努めております。また、競合企業の給与水準を考慮した給与モデルを設定するなど、待遇改善に着目することで、定着率の向上を図っております。
しかしながら、必要な人材の採用が想定どおり進捗しない場合、あるいは育成した役職員が退職した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②システム人員の確保及び教育について
当社グループが事業展開している就職情報業界では、学生と企業をつなぐ人工知能を用いたマッチングの仕組みや機能性の高いWEB面接システムの開発など技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連の技術革新やその変化に柔軟に対応する必要があります。
当社グループにおいても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③新規事業について
当社グループは、業容拡大に向けて2022年10月より転職情報サイト「転職スイッチ」を開始いたしました。また、高専生及び高等専門学校の支援の幅を広げ、日本国内の潜在的な課題であるアントレプレナー育成の一環として、国内のスタートアップ市場の活性化を目指し、2023年6月に株式会社FUNDINNOと業務資本提携を締結いたしました。新規事業開始に際しては、予め市場環境の把握や事業の回収可能性を十分に調査・検討するとともに、事業開始後も予実管理や進捗管理を通じ、定期的なサービス等の改良改善を行うことで、早期の収益化に努める方針であります。
しかしながら、安定的な収益を上げるためには、ある程度期間を要する場合があり、新規事業計画が順調に進まなかった場合には、人件費や広告費等の先行投資により、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
④小規模組織について
当社グループの従業員は42名(2023年7月31日現在)であり、従業員一人当たりの業務領域が広汎に亘ることがあります。人材育成の観点では好ましい環境である一方、急速に業務量が増加する局面において役職員の負荷が増大し、業務効率に影響を与える可能性があります。
当社グループは、今後、事業拡大に応じた人員増強、内部管理体制の充実を図る方針でありますが、事業の拡大に応じた人員増強が順調に進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤特定人物への依存について
当社の創業者であり代表取締役社長である田中浩二は、当社創業以来当社グループの事業に深く関与しており、当社グループの経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。当社グループは特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図っており、同氏に過度に依存しない経営管理体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務執行が困難になった場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社グループでは、当社の役職員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、当連結会計年度の末日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は5.1%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社グループの株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
②当社代表取締役田中浩二の持株比率について
当社の代表取締役である田中浩二は、当連結会計年度の末日現在で発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する所有株式数の66.74%を保有しております。
同氏は大株主である一方、経営者としての受託者責任を負う身であり、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益や様々なステークホルダーの権利・立場に配慮しながら慎重に行う方針であるほか、将来的には役職員に対する各種インセンティブプランの実施や業容に応じた株主づくり等により同氏持株比率は相対的に減少するものと考えております。
なお、もとより、経営陣における業務執行は、法令・諸規程等に基づき行うことはもちろん、取締役会においては、社外取締役や監査役を含めた活発な議論を行うほか、取締役相互間の監督機能と監査役及び監査役会の能動的・積極的な権限行使を通じてコーポレート・ガバナンスの実効性を担保し、少数株主の利益が害されることのないよう努めてまいります。
このように、同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役社長であるため、今後も当社の安定株主であるだけでなく、株主をはじめとするステークホルダーの期待に沿うべく今後も行動するものと認識しておりますが、同氏の投資行動により、当社グループの事業運営に何らかの影響があった場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績ひいては当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、配当政策につきましては、当社は成長過程にあることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、事業拡大、事業効率化のための投資を行い、企業価値向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
当事業年度は、今後の事業展開の備えとして、内部留保を充実させるべきと判断したことから剰余金の配当は実施しておりません。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。また、当社は、取締役会決議により毎年1月31日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。