リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも事業遂行上のリスクとは捉えていない事項についても、投資者の投資判断上もしくは当社の事業を理解いただく上で重要と考えられる事項は、投資者に対する情報開示の観点から記載しております。
なお、本文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において、当社グループの判断に基づくものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 競合・経済情勢・市場規模について
① 競合について
当社グループが運営する事業は、物品の販売を行うモノ事業とその他事業に大別されますが、モノ事業(OEM部門)の一部案件を除き、いずれの事業においても一般消費者が最終顧客となることから、常に、商品・サービス・価格に関して国内外の競合企業と競争状態にあります。当社グループの商品・サービス・価格の競合他社に対する魅力が劣る等により事業競争力が相対的に低下し、顧客が競合他社を選択する場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 経済情勢について
当社グループは「日本のカルチャー」をテーマに、国内の主要都市/観光地で服飾雑貨や生活雑貨等のオリジナル商品の販売を営んでおります。外部環境の変化による気候状況、景気後退、大規模災害等に伴う消費縮小、来店客減少によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 市場環境について
当社グループ事業を取り巻く市場環境は、日本文化を象徴するデザインや日本製の商品に対する好感度の高さなどにより需要が拡大している状態と考えております。市場規模の拡大から異業種企業の参入等、市場の構造変化が劇的に進んだ場合は当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、わが国における戦争・紛争・テロの発生、感染症等の疫病の流行、大規模地震や台風等の自然災害、外交関係の悪化による訪日外国人客の減少等の場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法的規制について
当社モノ事業については「食品衛生法」「製造物責任法」「著作権法」「特定商取引法」「個人情報保護法」「電子消費者契約法」「商標法」「景品表示法」等の法的規制が存在しています。しかしながら、今後新たな法令等の制定や既存法令等の改正又は解釈の変更がなされ当社の事業の一部が制約を受ける場合、又は新たな対応を余儀なくされる場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 人材の採用・育成・確保について/雇用環境に係るリスク
当社グループの事業基盤として人材の確保が必要ですが、生産年齢人口の減少、雇用形態の変化等により、従業員の採用競争は厳しい状況にあります。こうした環境の中で適切な採用、人員配置が叶わない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、必要とする人員を確保するために非正規社員の時間給単価が上昇した場合には人件費比率が上昇し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 個人情報の管理・保護について/情報セキュリティに関するリスク
当社グループはサービス提供にあたり会員情報等の個人情報を取得、利用しているため「個人情報保護法」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられております。当社グループは、これら情報の消失や外部への漏洩防止を目的として、自社媒体の開発及び保守・運用を委託する業者についてはサーバの選定等事細かな事項に至るまでの決裁権を保持する等、情報管理体制を強化しております。また、当社グループは店舗の損益管理、勤怠管理及び会計処理などの情報処理の運営管理について、専門のソフトウェアを利用しており、バックアップやウィルス対策など、データや情報処理のセキュリティを確保しております。しかしながら、不測の事態により個人情報の消失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの社会的信用の失墜等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システム障害について
当社はインターネット上に自社ECサイトを運営しており、事業の安定的な運用のためにシステム強化及びセキュリティ対策を行っております。しかしながら、予期せぬ自然災害や不慮の事故等により当社が運営する媒体のコンピューターシステムに障害が発生した場合や、想定を超える急激なアクセス増等の一時的な過負荷によってコンピューターシステムが動作不能に陥った場合、サービス停止により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定人物への依存について/経営陣への依存について
当社グループの創業者であり創業以来の事業推進者である代表取締役森智宏は、当社グループの事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定等、当社グループの事業活動全般において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは過度に当該個人に依存しないよう、創業メンバーである専務取締役最上夢人をはじめとした経営幹部役職員を拡充し、権限委譲による分業体制と経営組織の強化に取り組んでおりますが、何等かの理由により当該各人による業務遂行が困難となり当社グループの業務の継続に支障が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 商品の品質について
当社モノ事業は外部の製造会社に生産を委託しております。新商品の生産にあたっては、デザイナーによる試作品の事前チェックを通過しないものは発売日を延期する等、品質最優先で対応しております。しかしながら、商品の予期せぬ不具合やそれによる事故等の発生により、当社グループの商品の安心・安全・信頼が害され、品質に対する信用を失うことになった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 直営店舗の賃借に係る差入保証金について/店舗開発について
当社の出店は、当社が建物等を賃借する直営店舗の形態を取っているため、賃貸人が破綻等の状態に陥り、当該店舗の継続的使用や差入保証金等の債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新規出店は賃料、商圏人口、競合店の状況等を勘案し、総合的かつ慎重に検討を行いますが、条件に合致する物件が調達できない場合には計画通りの出店ができなくなり、さらに出店後においても店舗収益性が低下した場合等には、店舗資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 天候の影響について/業績の季節要因について
当社グループは国内の主要都市/観光地に出店している店舗からの売上比率が高いため、出店地域で悪天候が長期に及んだ場合、来店客数の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) インターネット等による風評被害について
ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の掲示板への書き込みやそれを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、当社グループの経営にとってマイナスの影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態、株価に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 内部管理体制について
当社グループは未だ成長過程にあり、今後想定される業務拡大や新規事業の展開に対応するべく、継続的な人材の確保・育成、適切な人員配置、及び柔軟な組織改編により内部管理体制の強化を図っていく予定です。しかしながら、新たな人材の確保・育成、人員配置や組織改組が計画通りに進まず、内部管理体制の強化が進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 訴訟等について
当社グループは第三者の著作権侵害のないように体制の整備を進めておりますが、万が一当社グループの商品が第三者の知的財産権を侵害した場合等には、損害賠償等の訴訟を起こされる可能性がないとは言えません。その結果、当社グループの事業展開に対する支障の発生や企業イメージが低下するほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) カントリーリスクについて/為替変動について
当社モノ事業は生産の大半を海外の製造会社に委託しており、主な生産国は中国とタイです。そのため、当該地域に関係する市場リスク、信用リスクおよび地政学的リスク等や為替レートの大幅な変動等が当社の仕入れに影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 配当政策について
当社は、新規出店による事業規模の拡大及び財務基盤の強化を目的として内部留保の充実を優先してきたため、設立以来配当を実施していません。当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後は経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら、配当の実施を検討して参りますが、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定です。
(15) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役、従業員および社外協力者に対するインセンティブ付与を目的としたストック・オプション制度を採用しております。そのため、対象者により付与されている新株予約権の行使が行われた場合、既存株主の保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日前月末現在における新株予約権による潜在株式数は2,726,400株であり、発行済株式総数6,302,500株の43.3%に相当します。
(16) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の悪影響を受けた結果、前連結会計年度末には連結純資産が△441百万円の債務超過となっておりましたが、当連結会計年度に実施した第三者割当による新株式の発行並びに第12回新株予約権の発行により、財務基盤は強化され、2023年12月期連結会計年度末の連結純資産が142百万円となり、債務超過を解消することとなりました。また、当連結会計年度には、不採算店舗の退店と人員削減等によるコスト削減を実施することにより、モノ事業における店舗数を33店舗(2021年12月期末時点)から22店舗(2023年12月期末時点)まで縮小いたしました。新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限が徐々に緩和されたことにより来店客数が戻りつつあり、不採算店舗の閉鎖と合わせて営業収益も黒字に転換しました。モノ事業における店舗展開以外に、ECサイトにおける販売、OEMサービス等の強化による収益も確保しており、その他事業における静岡県を中心とした空き家をリノベーションした不動産賃貸業及び宿泊施設の運営も順調です。
その結果、当連結会計年度において、営業利益48,646千円、経常利益11,187千円、親会社株主に帰属する当期純損失13,465千円を計上しました。
一方、当事業年度の個別決算では、27,933千円の営業利益を計上したものの、当期純損失は42,718千円となり、△662千円の債務超過となっており、継続企業の前提に疑義を与える状況は残っておりますが、残存する新株予約権の行使による資金調達が見込めることや、2024年度は更なる業績の回復が見込まれるため、2024年度にはこれらの残りの事象も解消する見込みです。
当社グループの今後の見通しにつきましては、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後、個人消費の持ち直し、インバウンド需要の復調など経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナや中東地域をめぐる情勢長期化による資源や原材料価格の高騰など依然として先行き不透明な状況が続くことが考えられます。また、客数が順調に回復する中でも、エネルギー価格や原材料の仕入価格高騰及び円安による物価上昇、人件費の高騰などが懸念されており、今後も厳しい状況が続くものと予想しております。
当社グループのモノ事業は主に店舗運営により行っておりますが、条件に合致する物件の調達が進まないため、出店計画の見直しを行っております。2024年12月期は10店舗の出店を予定しております。
2024年12月期の見通しにつきましては、モノ事業は、引き続き催事の強化を進めてまいりますとともに、出店に関しましては、立地条件、契約条件、競合、収益性等を精査しながら総合的かつ慎重に検討を行い、家賃減額交渉も継続しながら、周辺領域への新規展開も行うことで収益の多様化を図ってまいります。
コスト面につきましては、全店舗について家賃減額の交渉、人件費の削減、本社機能の縮小などを行ってまいりました。本社及び店舗の運営費用の削減等引き続き経費の削減に努力してまいります。
以上により、2024年12月期の連結業績予想は、売上高1,560百万円、営業利益60百万円、経常利益60百万円、親会社株主に帰属する当期純利益60百万円を見込んでおります。
このような状況を総合的に判断した結果、現時点において、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められなくなったと判断しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指しております。そのため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておりません。なお、内部留保資金につきましては、今後の事業戦略に応じて、新規出店時の設備投資や採用に伴う人件費等に充当する方針であります。
しかしながら、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスを図りながら検討して参ります。
今後、剰余金の配当を行う場合は、年1回期末での配当を考えており、期末配当については株主総会が決定機関となっております。また、会社法第454条第5項に基づき、取締役会の決議によって毎年6月30日を基準日として中間配当を実施することができる旨を定款に定めております。