事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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モバイル事業 | 2,611 | 56.4 | 1,342 | 83.0 | 51.4 |
ソリューション事業 | 2,014 | 43.6 | 276 | 17.0 | 13.7 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は事業の種類別に、「モバイル事業」と「ソリューション事業」を展開しております。事業の区分は「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」に揚げるセグメント情報の区分と同一であります。
※ 売上構成比は2024年12月期の実績を基に算出しております。
(1) モバイル事業
モバイル事業においては「モバイル無双で世界中に“ワォ!”を創り続ける」をミッションとしております。「作画工程を動画にして絵を描く楽しさを共有したい」というコンセプトから、当社が自社開発したiOS・Android用モバイルペイントアプリ「ibisPaint」の開発、サービス運営、さらには「ibisPaint」で制作された全世界のユーザーコンテンツに発表の場を与えるオンラインギャラリー「ibispaint.com」の運営を行う事業セグメントであります。モバイル事業に関する事業系統図は、次のとおりであります。
※SSPとは「Supply Side Platform」の略で、Supply-Side(媒体社、メディア)が広告収益を最大化するためのプラットフォームのこと。
※プラットフォーム事業者とは「Google Play」を運営するGoogle LLCや「App Store」を運営するApple Inc.等のこと。
■ ビジネスモデル
当社は「ibisPaint」をモバイルアプリ提供プラットフォームである「Google Play」や「App Store」等を通じてユーザーに提供しております。
「ibisPaint」は無料で基本的な機能を使用することのできるアプリで、「ibisPaint」上にバナー広告や動画広告等が表示されるようになっており、当社はこの広告枠に複数のSSP事業者から提供される広告をアドネットワーク(注1)を通じて表示することにより、SSP事業者ごとに最適化された広告収益を得ております。SSP事業者への広告枠の提供は本事業の広告ビジネスにおける主な収益源となっております。また、より快適に利用していただくために、2つの有料サービスを提供しております。1つは、広告非表示機能を含む追加機能や追加素材等の利用が可能となる定額課金型のプレミアム会員サービス(サブスクリプション)の提供であり、月額課金制と年額課金制の2種類の方法があります。もう1つは、アプリ上の広告が非表示となる売切型アプリの提供であり、初回インストール時に広告非表示機能付の有料版を購入する方法と無料版のインストール後に広告除去アドオンを購入する方法があります。両サービスは本事業のアプリ課金収入モデルにおける主な収益源となっております。
上記、アプリ広告売上及びアプリ課金収入については、ユーザーの獲得・維持が収益構造の源泉となっております。そのため広告投資(広告宣伝費)を計画的に行っております。また「ibisPaint」は、世界の19言語に対応したアプリであり、積極的な海外プロモーション(投資対象国は61ヶ国)を実施し、ユーザー数の増加及び収益の拡大に繋げております。
なお、2022年6月にリリースしましたWindows版ペイントアプリ「ibisPaint」については、当初は売切型アプリのみを販売しておりましたが、2024年3月に定額課金型のプレミアム会員サービス(サブスクリプション)を提供しております。
(注1):複数の広告媒体を集めて広告配信ネットワークを作り、それらの媒体に広告をまとめて配信する仕組みのこと。
※ 売上高及び売上構成比は2024年12月期の実績を基に算出しております。
■ 事業の特徴
① 無料でほぼフル機能、全世界で4.4億ダウンロード超え
「ibisPaint」は自社開発のモバイルペイントアプリであります。世界各国、趣味としてイラストを描く人、職業としてイラストを描く人、すき間時間にイラストを描く人が多く存在します。イラストを描く年齢層も幅広く、スマホを使い始めた子供からシニアまでほとんどを網羅しています。このアプリの最大の特徴は「ほぼフル機能を無料で提供している」ことです。その結果、欧米のアクティブユーザー数が5年連続ランキング1位を記録し、全世界でも5年連続トップ3以内にランクインいたしました(注2)。MAU(注3)は2024年12月に全世界で3,988万人、ダウンロード数は2024年12月末に4億4,967万件に達しております。「ibisPaint」は、世界のどこかで「1秒で2.4人にダウンロード」(注4)され拡がり続けています。
(注2):2020年~2024年。iPhone &Android Phone上の全カテゴリの日本製アプリが対象、data.ai by Sensor Tower調べ。
(注3):「Monthly Active Users」の略で、月あたりのアクティブユーザー数を示す。
ソーシャルメディアやソーシャルアプリなどで、適切な利用者数を示す値として使われる指標。
(注4):2024年の年間新規DL数77,412,139を基に算出。
※ 2016年12月から2019年9月までの「ibisPaint」の数値は当社の財務諸表に含まれておりませんが、参考情報として記載しております。
② 自社運営のオンラインギャラリー「ibispaint.com」(注5)
「ibisPaint」で創り出されたイラストを投稿できるメディア「ibispaint.com」は、ユーザーから投稿された作品がイラスト、マンガ等の種別に日別、月間、年間ランキング形式で閲覧できるようになっている他、投稿されている作品データをダウンロードすることができ、お絵かきのテクニックを学ぶこともできるようになっております。これらの特色により、作品へのコメント等を通じてユーザー同士のコラボレーションが活発に行われており、「ibisPaint」へのエンゲージメントの創出に貢献しております。
(注5):「ibispaint.com」は、2024年12月末現在、作品の投稿、ユーザーの交流等のサービス提供を目的としており、収益はありません。
③ 海外ユーザー数が日本国内ユーザー数を上回る
当社アプリの最大の特徴は全世界で支持されていることです。2024年12月末現在「ibisPaint」の累計ダウンロード数において、海外のユーザー数は全体の93.7%に達しており、日本国内のユーザー数を著しく上回っております。この理由としては、「言語を要しないイラスト制作」分野であること、主要な「19言語」に翻訳されていること、有料版を購入しなくても「ほぼフル機能が無料で使える」ことが挙げられます。
ユーザー獲得手法については、2016年9月期以降、世界61ヶ国のインターネット広告に出稿しており、広告出稿による効果に関するデータをモニタリングすることで、効果的な海外プロモーションを実施しております。国内人口は減少が見込まれるなか、まだまだ増える世界人口を相手にすること、増え続ける「モバイル」ユーザーを対象にしていることは大きなアドバンテージであると考えております。
④ Z世代のユーザー割合が多い
1990年代中盤以降に生まれた世代が、Z世代です。ニュースにも頻繁に取り上げられているZ世代は、SNS等の発信力もあり、これからの社会の消費行動や価値観の中心になり得る存在です。また顧客生涯価値(注6)を高めることにおいてZ世代を取り込むことは極めて重要であると考えております。
「ibisPaint」のユーザー属性を年代別に分析したところ、「ibisPaint」のZ世代の割合は44.6%を占めておりました(2024年の数値。日米2ヶ国、data.ai by Sensor Tower調べ)。「ibisPaint」は全世界のZ世代を中心にユーザーを拡大しております。
(注6):顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益(Life Time Value)のこと。
⑤ 無料版ユーザーからの収益
無料版でも「ほぼフル機能のアプリ」を提供、という部分に、当社の一番の強みがあります。通常、アプリビジネスは、サブスクリプション(定額課金)や購入(売切課金)をどれだけ獲得するかが鍵になると考えられています。当社の無料版アプリはユーザーに配信される広告から収益を得ています。無料だから簡素なアプリでいい、無料だから縮小版でいい、という考えではなく、全世界中イラストを思い思いの場所・タイミングで描いてほしい、そんな気持ちから「ほぼフル機能」のアプリを無料で提供し続けています。また、無料版が充実していることから、高い水準の顧客満足度を実現しています。満足度が高いことで以下のユーザー行動につながっております。
※ 2025年2月4日時点のアプリストア評価
a. リテンション(顧客の囲い込み、流失防止)
顧客満足度が低いアプリであれば、顧客は使用を停止し、競合アプリに乗り換えてしまいます。顧客満足度の高さはリテンションに直結しています。またイラストを描くという行動上、慣れたアプリから他のアプリにスイッチする、ということは時間が経てば経つほど難しくなります。
b. 顧客生涯価値への貢献
無料版であっても顧客がアクティブであり続ける限り広告収益をもたらします。
⑥ 差別化の源泉
モバイル事業では、モバイル最適化、優秀なエンジニア、スピードへのこだわりが三位一体となって、「ibisPaint」の開発力・サービス運営において他社製品との差別化を図っております。
※ GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、画像描写などを行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のこと。
※ UIとは「User Interface」の略で、ユーザーとモバイルアプリとのインターフェース(接点)のことを表す。
※ UXとは「User Experience」の略で、ユーザーがモバイルアプリを通じて得られる体験を表す。
「ibisPaint」の製品ラインナップは以下のとおりです。
(2) ソリューション事業
ソリューション事業では大きく分けて2つのサービスを展開しております。1つはスマートフォンやタブレットなどインターネット端末用のアプリケーション開発、クラウドサーバ環境構築及び運用保守等を提供している受託開発サービス、そしてもう1つはシステムエンジニア等のIT技術者派遣サービスです。当社には20年以上培ってきた開発力があり、最新の技術や開発環境に対応可能な優秀なエンジニアが多数在籍しております。その技術力を受託開発やIT技術者派遣として企業向けに提供を行う事業セグメントであります。本事業のビジネスモデルは以下のとおりであります。ソリューション事業に関する事業系統図は、次のとおりであります。
■ ビジネスモデル
受託開発サービスは主に準委任契約(履行割合型・成果完成型)又は請負契約によるもので、モバイルアプリやWebアプリ等の受託開発や運用保守を受託しております。受託開発に係る売上はフロー型の収益モデルであり、運用保守に係る売上は受託開発したアプリ等の運用保守が継続する限りは安定的に収益が見込めるストック型の収益モデルであります。クラウドコンピューティングを用いたサーバ環境構築・移行・運用保守については原則として当社内のみで行っており、収益モデルはアプリの受託開発・運用保守と同様であります。
IT技術者派遣サービスは、当社が無期雇用契約を締結したシステムエンジニア等の技術者を、労働者派遣契約に基づき、顧客である求人企業(派遣先企業)に派遣し、その人材派遣料を収益源とするビジネスモデルであります。
※ 売上高及び売上構成比は2024年12月期の実績を基に算出しております。
■ 事業の特徴
① 受託開発の特徴
スマートフォンやタブレット端末の登場以降、急速な情報通信技術の発展により様々な分野においてデジタルサービスの創出、利活用が進む中において、当社は顧客のIT戦略を推進するためのベストパートナーとして技術を提供し、よりエキサイティングでスピーディな社会の創出の一役を担いたいという考えから以下の5つのポリシーを掲げております。
・顧客第一主義
顧客視点に立った場合、時にはお客様と意見が食い違う場合もありますが、過去事例や最新の動向をふまえ、双方納得がいくまでディスカッションし、最良の解を導き出します。
・プロジェクトマネジメント
最初に開発するアプリに最適なプロジェクトスコープをご提案し、合意されたスコープに基づき、安心してお任せいただけるマネジメント体制を確立いたします。
・蓄積された高い技術力
これまで自社アプリを含め、数多くの開発案件に携わり培ってきた高い技術力を最大限に活かし、最新の技術も取り入れながら開発を進めていきます。
・スピード対応
顧客のニーズ、お客様のご要望、トレンドの変化などに、スピーディに対応。また高い技術をもった技術者が密に連携をとってスピーディに開発します。
・ワンストップ
アプリの企画から、設計・開発・テスト・リリースまではもちろんのこと、インフラ設計、構築、運用支援までワンストップでサポートします。
有限会社アイビスとして設立以降、当社はNTTドコモ社フィーチャーフォンi-mode用サイト「NetIbis」のリリースを皮切りに、Eコマースシステム「Ibis Ecom System」、フィーチャーフォン用フルブラウザアプリ「ibisBrowser」、フィーチャーフォン用フルメーラアプリ「ibisMail」及びiPhone・iPad用メールアプリ「ibisMail for iPhone/iPad」といった様々なモバイルアプリを時代のニーズに合わせて開発し、提供してまいりました。モバイル事業で培ったこれらアプリの開発技術やリリース、運用ノウハウを有していることがソリューション事業としての強みにもなっており、企画段階やユーザーインターフェース(UI)/ユーザーエクスペリエンス(UX) に関するご相談にも対応することができるほか、アプリと連携するバックエンドのWebシステム等も含めた設計から開発・運用までを自社においてワンストップで開発することが可能となっております。
また、当社は、クラウドサーバ上で動作するアプリケーションに最適な設計を考慮したサーバレス構築や移行等から運用・保守及び新規事業への導入コンサルティング等も行っております。
② IT技術者派遣の特徴
当社は2001年12月に常時雇用される労働者(無期雇用者)だけを派遣の対象とする特定労働者派遣事業の届出を行いました。以降、システムエンジニア等のIT技術者派遣に特化して事業を行っております。また、2018年3月には労働者派遣事業の許可を取得し、有期雇用者の派遣も行えるようになりましたが、高い技術力や豊富な経験を有するシステムエンジニア等を自社で育て、派遣先企業との長期的な関係を構築するという方針の下、引き続き、無期雇用者の派遣のみ行っております。雇用者に対しては、能力や職位に応じた教育カリキュラムを構築し、当社の経験豊富なエンジニアが講師として研修を行う等、スキルアップの機会を多く設けるように努めております。
「ibisPaint」の開発・運用実績やソリューション事業における様々なアプリ等の受託開発実績は本サービスの強みとなっており、ホームページを見た顧客からの直接受注獲得や受託開発の顧客からの紹介受注獲得に繋がっております。
情報通信技術の発展によるデジタルトランスフォーメーション(DX)や多様なITサービスが展開している中においてIT人材の需要は今後も高まる傾向が見込まれるため、引き続き本事業を拡大していく方針であります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業業績や雇用・所得環境は回復基調にあったものの、エネルギーや原材料価格の高騰による物価の上昇が続きました。一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東情勢の緊迫化など、国際情勢には不安定さが増しており、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
このような環境のもと、当社は、高成長事業であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」シリーズの開発/運営を主軸としたモバイル事業と、安定成長事業であるスマートフォンやタブレットなどのインターネット端末でのアプリケーション開発支援を行うソリューション事業の2本柱で積極的な事業展開を行ってまいりました。世界200以上の国と地域にユーザーを持つ「ibisPaint」においては、デジタルイラストユーザーのトレンドを常に意識した魅力的な新機能や新サービスの更なる拡充に注力し、サブスクリプション課金などのマネタイズ策の強化に取り組んでまいりました。ソリューション事業においては、急速な技術革新を背景にした企業のDX化における生産性向上や競争力強化のためのIT需要を的確に捉え、長年にわたり培ってきた高い技術力と柔軟な対応力を強みに、法人顧客に高度なソリューション提供を更に推進いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高4,625,427千円(前年同期比13.2%増)、営業利益1,155,358千円(前年同期比166.1%増)、経常利益1,170,367千円(前年同期比173.4%増)、当期純利益839,294千円(前年同期比190.8%増)となりました。
事業セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
<モバイル事業>
当事業年度におきましては、主力製品の「ibisPaint」についてはシリーズ累計のダウンロード数を積み重ね、2024年5月2日に大台の4億ダウンロードを達成し、2024年12月末日時点では4億4,967万ダウンロード(前年同期比20.8%増)となりました。モバイル事業では、新機能の追加やサービス拡充、ユーザーの声をもとにしたアプリの改善や仕様変更への対応(Ver.11.2.0からVer.12.2.12までリリース)をはじめ、YouTubeでの継続的なお絵描き講座の動画投稿、季節やトレンドに合わせた素材コンテストの開催(第37~44回)及び豊富な無料素材の追加など、常にユーザーフレンドリーを意識した製品の提供に注力してまいりました。2024年3月には、イラストの拡大・縮小を繰り返しても描画した線が劣化しないという「ベクターレイヤー機能」などを実装したVer.12.0.0をリリースしたほか、PC版の「ibisPaint for Windows」においても、モバイル版と同様のサブスクリプションによるプレミアム会員サービス(月額480円、年額2,950円)を開始いたしました。2024年5月には、画像生成AIによる追加学習を妨げるノイズをイラストに付与し、ユーザー独自の作風が模倣されることを防ぐ「AI学習妨害機能」などを実装したVer.12.1.0を、2024年9月には、作成したイラストをフォルダに分けて整理することを可能にする「作品フォルダ機能」などを実装したVer.12.2.0を、それぞれリリースいたしました。いずれの新機能・新サービスもユーザーから好評を博しておりますが、中でも「AI学習妨害機能」及び「作品フォルダ機能」はプレミアム会員(サブスクリプション)のみが利用できる機能として実装したため、サブスクリプション契約数の増加にも大きく貢献いたしました。
以上の結果、売上高は2,611,002千円(前年同期比6.3%増)となりました。売上区分別の国内売上高及び海外売上高は以下のとおりであります。
当事業において主な収入源となっているアプリ広告につきましては、DAU(日次アクティブユーザー)は概ね高い水準を維持し、また、為替は2024年8月以降円高に振れた時期もあったものの、期を通しては円安傾向にありました。しかしながら、より収益性の高いサブスクリプションへのシフトを志向したこと、アプリ広告事業の一部施策において実装段階で予期せぬ不具合が生じたことなどから、売上高は1,659,678千円(前年同期比10.1%減)となりました。アプリ課金につきましては、サブスクリプションは前述した各種新機能の追加やPC版サブスクリプションの開始などのほか、既存ユーザーに対するプレミアム会員サービスへの契約促進施策が奏功し、売上高は687,181千円(前年同期比108.2%増)、会員数は232,053人(前年同期比94.4%増)と大きく増加いたしました。一方、売切型アプリにつきましては、モバイル版・PC(Windows)版ともにサブスクリプションへの誘導が想定以上に進んだため、売上高は255,994千円(前年同期比5.9%減)となりました。
また、当事業年度よりオーガニック成長へ転換し効果的な広告投資を行ったことにより、セグメント利益は1,342,323千円(前年同期比76.7%増)となりました。
<ソリューション事業>
当事業年度におきましては、クラウドコンピューティング技術やモバイルアプリ開発のニーズが拡大を続ける中、特にエンタープライズ企業との直取引による拡大と深耕を推進したことにより、受託開発が大きく成長いたしました。従来のBtoC向け開発からBtoB向け開発への移行が緩やかに進む一方、幅広い分野の法人や地方自治体からのシステム開発受注が増加し、クラウドサーバの構築・移行支援(サーバレス環境の構築を含む)では安定的な収益を生む運用保守案件も順調に増加しております。本サービスにおいては、最新の技術をマスターするためのeラーニングによる多彩な教育カリキュラムや豊富な開発経験を活かした社内勉強会、AIを活用した開発生産性の抜本的向上策、顧客ニーズに合致した様々なアプリケーション開発手法など、高付加価値なSI体制の構築に向けて諸施策の検討及び導入を積極的に推進しております。IT技術者派遣では、大手SIerやソフトウェア開発企業などを中心に、最新の技術を習得したハイスキルなITエンジニアを提供し、派遣先企業のIT・DX関連における課題解決を力強く支援いたしました。一方で、主に前事業年度に大量に採用したITエンジニアとの開発案件におけるミスマッチ等により、特に下期において多くの離職が顕在化したため、期末のITエンジニア数が240人(前年同期比で増減なし)となりました。こちらは、会社側とのコミュニケーションを質・量共に充実させる形で既に対策を実行いたしております。当事業は、引き続き、最新の技術を駆使したモバイルアプリ開発支援を強みに、売上高・利益を着実に増加させる安定成長事業として、より一層の事業拡大を目指してまいります。
以上の結果、売上高は2,014,424千円(前年同期比23.5%増)となり、内訳としては、受託開発が526,919千円(前年同期比89.5%増)、IT技術者派遣が1,487,505千円(前年同期比9.9%増)となりました。増収に加え、エンジニアの採用が一服したこともあり、セグメント利益は275,514千円(前年同期比204.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産合計は3,200,964千円となり、前事業年度末に比べ1,091,639千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が998,081千円、ソフトウェアが32,355千円、前払費用が26,630千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は1,071,135千円となり、前事業年度末に比べ251,446千円の増加となりました。これは主に、長期借入金が20,454千円減少した一方で、未払法人税等が159,491千円、契約負債が96,770千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は2,129,829千円となり、前事業年度末に比べ840,193千円の増加となりました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ9,888千円増加するとともに、当期純利益839,294千円の計上による増加と剰余金の配当50,890千円の支払い等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は2,227,851千円となり、前事業年度末と比較して998,081千円増加となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は1,202,621千円(前事業年度は307,591千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,170,367千円の計上及び法人税等の支払額192,570千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は144,877千円(前事業年度は192,833千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出119,154千円、差入保証金の差入による支出20,287千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は62,434千円(前事業年度は520,292千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入19,776千円、長期借入金の返済による支出31,090千円、配当金の支払額50,845千円等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度におけるソリューション事業の受託開発に係る受注実績は次のとおりです。なお、モバイル事業及びソリューション事業のIT技術者派遣は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、受注件数が増加したこと等によるものです。
c 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(注) Google LLCはプラットフォーム提供会社であり、同社に対する販売実績は、当社の提供するアプリの利用者(ユーザー)にかかる広告売上高等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
b 経営成績の状況の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は4,625,427千円(前年同期比13.2%増)となり、前事業年度と比較して538,562千円の増収となりました。これは主にモバイル事業の主製品であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint」シリーズの累計ダウンロード数が2024年12月末に4億4,967万件(前年同期比20.8%増)となり、プレミアム会員サービスのサブスクリプション売上が順調に推移したこと、ソリューション事業の受託開発が大きく成長したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は1,833,158千円(前年同期比22.8%増)となりました。これは主にモバイル事業の開発人員採用に伴う人件費の増加、アプリダウンロード数が伸びたことによるサーバ利用料等の通信費の増加、ソリューション事業における受託開発増加に伴う人件費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は2,792,269千円(前年同期比7.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,636,910千円(前年同期比24.2%減)となりました。これは主にモバイル事業の売上増加に伴う販売手数料が増加した一方、エンジニアの採用が一服したことによる採用費の減少や、効率的な広告投資により広告宣伝費が減少したことによるものであります。この結果、営業利益は1,155,358千円(前年同期比166.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は主に受取報奨金や為替差益の計上により16,000千円(前年同期比66.6%増)となりました。営業外費用は主に支払利息の計上により991千円(前年同期比93.7%減)となりました。この結果、経常利益は1,170,367千円(前年同期比173.4%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は839,294千円(前年同期比190.8%増)となりました。これは法人税等調整額を含む法人税等合計331,073千円を計上したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b 資金の財源及び資金の流動性
当社の主な資金需要はモバイル事業の「ibisPaint」アップデート及び新規アプリ開発投資に係る人件費であります。運転資金は主に自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。設備投資の必要性が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。
現金及び現金同等物の当事業年度末残高は2,227,851千円であり、資金の流動性は十分に確保できております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。経営者は債権、繰延税金資産、引当金等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、当社の財務諸表で採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。