事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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モバイル事業 | 2,456 | 60.1 | 760 | 89.3 | 30.9 |
ソリューション事業 | 1,631 | 39.9 | 91 | 10.7 | 5.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は事業の種類別に、「モバイル事業」と「ソリューション事業」を展開しております。事業の区分は「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」に揚げるセグメント情報の区分と同一であります。
※ 売上構成比は2023年12月期の実績を基に算出しております。
(1) モバイル事業
モバイル事業においては「モバイル無双で世界中に“ワォ!”を創り続ける」をミッションとしております。「作画工程を動画にして絵を描く楽しさを共有したい」というコンセプトから、当社が自社開発したiOS・Android用モバイルペイントアプリ「ibisPaint」の開発、サービス運営、さらには「ibisPaint」で制作された全世界のユーザコンテンツに発表の場を与えるオンラインギャラリー「ibispaint.com」の運営を行う事業セグメントであります。モバイル事業に関する事業系統図は、次のとおりであります。
※SSPとは「Supply Side Platform」の略で、Supply-Side(媒体社、メディア)が広告収益を最大化するためのプラットフォームのこと。
※プラットフォーム事業者とは「Google Play」を運営するGoogle LLCや「App Store」を運営するApple Inc.等のこと。
■ ビジネスモデル
当社は「ibisPaint」をモバイルアプリ提供プラットフォームである「Google Play」や「App Store」等を通じてユーザに提供しております。
「ibisPaint」は無料で基本的な機能を使用することのできるアプリで、「ibisPaint」上にバナー広告や動画広告等が表示されるようになっており、当社はこの広告枠に複数のSSP事業者から提供される広告をアドネットワーク(注1)を通じて表示することにより、SSP事業者ごとに最適化された広告収益を得ております。SSP事業者への広告枠の提供は本事業の広告ビジネスにおける主な収益源となっております。また、より快適に利用していただくために、2つの有料サービスを提供しております。1つは、広告非表示機能を含む追加機能や追加素材等の利用が可能となる定額課金型のプレミアム会員サービス(サブスクリプション)の提供であり、月額課金制と年額課金制の2種類の方法があります。もう1つは、アプリ上の広告が非表示となる売切型アプリの提供であり、初回インストール時に広告非表示機能付の有料版を購入する方法と無料版のインストール後に広告除去アドオンを購入する方法があります。両サービスは本事業のアプリ課金収入モデルにおける主な収益源となっております。
上記、アプリ広告売上及びアプリ課金収入については、ユーザの獲得・維持が収益構造の源泉となっております。そのため広告投資(広告宣伝費)を計画的に行っております。また「ibisPaint」は、世界の19言語に対応したアプリであり、積極的な海外プロモーション(投資対象国は61ヶ国)を実施し、ユーザ数の増加及び収益の拡大に繋げております。
なお、2022年6月にリリースしましたWindows版ペイントアプリ「ibisPaint」については、当初は売切型アプリのみを販売しておりましたが、2024年3月に定額課金型のプレミアム会員サービス(サブスクリプション)を提供しております。
(注1):複数の広告媒体を集めて広告配信ネットワークを作り、それらの媒体に広告をまとめて配信する仕組みのこと。
※ 売上高及び売上構成比は2023年12月期の実績を基に算出しております。
■ 事業の特徴
① 無料でほぼフル機能、全世界で3.7億ダウンロード超え
「ibisPaint」は自社開発のモバイルペイントアプリであります。世界各国、趣味としてイラストを描く人、職業としてイラストを描く人、すき間時間にイラストを描く人が多く存在します。イラストを描く年齢層も幅広く、スマホを使い始めた子供からシニアまでほとんどを網羅しています。このアプリの最大の特徴は「ほぼフル機能を無料で提供している」ことです。その結果、欧米(欧州+米州)のアクティブユーザ数が4年連続ランキング1位を記録し、全世界でも4年連続トップ3以内にランクインいたしました(注2)。MAU(注3)は2023年12月に全世界で3,627万人、ダウンロード数は2023年12月末に3億7,213万件に達しております。「ibisPaint」は、世界のどこかで「1秒で2.3人にダウンロード」(注4)され拡がり続けています。
(注2):2020年~2023年。iPhone &Android Phone上の全カテゴリの日本製アプリが対象、data.ai 調べ。
(注3):「Monthly Active Users」の略で、月あたりのアクティブユーザ数を示す。
ソーシャルメディアやソーシャルアプリなどで、適切な利用者数を示す値として使われる指標。
(注4):2023年の年間新規DL数73,653,176を基に算出。
※ 2016年12月から2019年9月までの「ibisPaint」の数値は当社の財務諸表に含まれておりませんが、参考情報として記載しております。
② 自社運営のオンラインギャラリー「ibispaint.com」(注5)
「ibisPaint」で創り出されたイラストを投稿できるメディア「ibispaint.com」は、ユーザから投稿された作品がイラスト、マンガ等の種別に日別、月間、年間ランキング形式で閲覧できるようになっている他、投稿されている作品データをダウンロードすることができ、お絵かきのテクニックを学ぶこともできるようになっております。これらの特色により、作品へのコメント等を通じてユーザ同士のコラボレーションが活発に行われており、「ibisPaint」へのエンゲージメントの創出に貢献しております。
(注5):「ibispaint.com」は、2023年12月末現在、作品の投稿、ユーザの交流等のサービス提供を目的としており、収益はありません。
③ 海外ユーザ数が日本国内ユーザ数を上回る
当社アプリの最大の特徴は全世界で支持されていることです。2023年12月末現在「ibisPaint」の累計ダウンロード数において、海外のユーザ数は全体の93.2%に達しており、日本国内のユーザ数を著しく上回っております。この理由としては、「言語を要しないイラスト制作」分野であること、主要な「19言語」に翻訳されていること、有料版を購入しなくても「ほぼフル機能が無料で使える」ことが挙げられます。
ユーザ獲得手法については、2016年9月期以降、世界61ヶ国のインターネット広告に出稿しており、広告出稿による効果に関するデータをモニタリングすることで、効果的な海外プロモーションを実施しております。国内人口は減少が見込まれるなか、まだまだ増える世界人口を相手にすること、増え続ける「モバイル」ユーザを対象にしていることは大きなアドバンテージであると考えております。
④ Z世代のユーザ割合が多い
1990年代中盤以降に生まれた世代が、Z世代です。ニュースにも頻繁に取り上げられているZ世代は、SNS等の発信力もあり、これからの社会の消費行動や価値観の中心になり得る存在です。また顧客生涯価値(注6)を高めることにおいてZ世代を取り込むことは極めて重要であると考えております。
「ibisPaint」のユーザ属性を年代別に分析したところ、「ibisPaint」のZ世代の割合は49.3%を占めておりました(2023年の数値。いずれも日米2ヶ国、data.ai調べ)。「ibisPaint」は全世界のZ世代を中心にユーザを拡大しております。
(注6):顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益(Life Time Value)のこと。
⑤ 無料版ユーザからの収益
無料版でも「ほぼフル機能のアプリ」を提供、という部分に、当社の一番の強みがあります。通常、アプリビジネスは、サブスクリプション(定額課金)や購入(売切課金)をどれだけ獲得するかが鍵になると考えられています。当社の無料版アプリはユーザに配信される広告から収益を得ています。無料だから簡素なアプリでいい、無料だから縮小版でいい、という考えではなく、全世界中イラストを思い思いの場所・タイミングで描いてほしい、そんな気持ちから「ほぼフル機能」のアプリを無料で提供し続けています。また、無料版が充実していることから、高い水準の顧客満足度を実現しています。満足度が高いことで以下のユーザ行動につながっております。
※ 2023年12月末時点のアプリストア評価
a. リテンション(顧客の囲い込み、流失防止)
顧客満足度が低いアプリであれば、顧客は使用を停止し、競合アプリに乗り換えてしまいます。顧客満足度の高さはリテンションに直結しています。またイラストを描くという行動上、慣れたアプリから他のアプリにスイッチする、ということは時間が経てば経つほど難しくなります。
b. 顧客生涯価値への貢献
無料版であっても顧客がアクティブであり続ける限り広告収益をもたらします。
⑥ 差別化の源泉
モバイル事業では、モバイル最適化、優秀なエンジニア、スピードへのこだわりが三位一体となって、「ibisPaint」の開発力・サービス運営において他社製品との差別化を図っております。
※ GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、画像描写などを行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のこと。
※ UIとは「User Interface」の略で、ユーザとモバイルアプリとのインターフェース(接点)のことを表す。
※ UXとは「User Experience」の略で、ユーザがモバイルアプリを通じて得られる体験を表す。
「ibisPaint」の製品ラインナップは以下のとおりです。
(2) ソリューション事業
ソリューション事業では大きく分けて2つのサービスを展開しております。1つはスマートフォンやタブレットなどインターネット端末用のアプリケーション開発、クラウトサーバ環境構築及び運用保守等を提供している受託開発サービス、そしてもう1つはシステムエンジニア等のIT技術者派遣サービスです。当社には20年以上培ってきた開発力があり、最新の技術や開発環境に対応可能な優秀なエンジニアが多数在籍しております。その技術力を受託開発やIT技術者派遣として企業向けに提供を行う事業セグメントであります。本事業のビジネスモデルは以下のとおりであります。ソリューション事業に関する事業系統図は、次のとおりであります。
■ ビジネスモデル
受託開発サービスは主に準委任契約(履行割合型・成果完成型)又は請負契約によるもので、モバイルアプリやWebアプリ等の受託開発や運用保守を受託しております。受託開発に係る売上は、フロー型の収益モデルであり、運用保守に係る売上は受託開発したアプリ等の運用保守が継続する限りは安定的に収益が見込めるストック型の収益モデルであります。クラウドコンピューティングを用いたサーバ環境構築・移行・運用保守については原則として当社内のみで行っており、収益モデルはアプリの受託開発・運用保守と同様であります。
IT技術者派遣サービスは、当社が無期雇用契約を締結したシステムエンジニア等の技術者を、労働者派遣契約に基づき、顧客である求人企業(派遣先企業)に派遣し、その人材派遣料を収益源とするビジネスモデルであります。
※ 売上高及び売上構成比は2023年12月期の実績を基に算出しております。
■ 事業の特徴
① 受託開発の特徴
スマートフォンやタブレット端末の登場以降、急速な情報通信技術の発展により様々な分野においてデジタルサービスの創出、利活用が進む中において、当社は顧客のIT戦略を推進するためのベストパートナーとして技術を提供し、よりエキサイティングでスピーディな社会の創出の一役を担いたいという考えから以下の5つのポリシーを掲げております。
・顧客第一主義
顧客視点に立った場合、時にはお客様と意見が食い違う場合もありますが、過去事例や最新の動向をふまえ、双方納得がいくまでディスカッションし、最良の解を導き出します。
・プロジェクトマネジメント
最初に開発するアプリに最適なプロジェクトスコープをご提案し、合意されたスコープに基づき、安心してお任せいただけるマネジメント体制を確立いたします。
・蓄積された高い技術力
これまで自社アプリを含め、数多くの開発案件に携わり培ってきた高い技術力を最大限に活かし、最新の技術も取り入れながら開発を進めていきます。
・スピード対応
顧客のニーズ、お客様のご要望、トレンドの変化などに、スピーディに対応。また高い技術をもった技術者が密に連携をとってスピーディに開発します。
・ワンストップ
アプリの企画から、設計・開発・テスト・リリースまではもちろんのこと、インフラ設計、構築、運用支援までワンストップでサポートします。
有限会社アイビスとして設立以降、当社はNTTドコモ社フィーチャーフォンi-mode用サイト「NetIbis」のリリースを皮切りに、Eコマースシステム「Ibis Ecom System」、フィーチャーフォン用フルブラウザアプリ「ibisBrowser」、フィーチャーフォン用フルメーラアプリ「ibisMail」及びiPhone・iPad用メールアプリ「ibisMail for iPhone/iPad」といった様々なモバイルアプリを時代のニーズに合わせて開発し、提供してまいりました。モバイル事業で培ったこれらアプリの開発技術やリリース、運用ノウハウを有していることがソリューション事業としての強みにもなっており、企画段階やユーザインターフェース(UI)/ユーザエクスペリエンス(UX) に関するご相談にも対応することができるほか、アプリと連携するバックエンドのWebシステム等も含めた設計から開発・運用までを自社においてワンストップで開発することが可能となっております。
また、当社は、クラウドサーバ上で動作するアプリケーションに最適な設計を考慮したサーバレス構築や移行等から運用・保守及び新規事業への導入コンサルティング等も行っております。
② IT技術者派遣の特徴
当社は2001年12月に常時雇用される労働者(無期雇用者)だけを派遣の対象とする特定労働者派遣事業の届出を行いました。以降、システムエンジニア等のIT技術者派遣に特化して事業を行っております。また、2018年3月には労働者派遣事業の許可を取得し、有期雇用者の派遣も行えるようになりましたが、高い技術力や豊富な経験を有するシステムエンジニア等を自社で育て、派遣先企業との長期的な関係を構築するという方針の下、引き続き、無期雇用者の派遣のみ行っております。雇用者に対しては、能力や職位に応じた教育カリキュラムを構築し、当社の経験豊富なエンジニアが講師として研修を行う等、スキルアップの機会を多く設けるように努めております。
「ibisPaint」の開発・運用実績やソリューション事業における様々なアプリ等の受託開発実績は本サービスの強みとなっており、ホームページを見た顧客からの直接受注獲得や受託開発の顧客からの紹介受注獲得に繋がっております。
情報通信技術の発展によるデジタルトランスフォーメーション(DX)や多様なITサービスが展開している中においてIT人材の需要は今後も高まる傾向が見込まれるため、引き続き本事業を拡大していく方針であります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行からポストコロナ時代へ移行する中で、行動制限の緩和やインバウンド需要の拡大により、景気回復の兆しが見られるようになりました。一方で、国際情勢の不安定さによりエネルギー・原材料価格の高騰や金融引き締め政策、為替相場の急激な変動などが依然として続き、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、モバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」シリーズの開発/運営を主軸としたモバイル事業と、国内企業向けのアプリ開発支援を行うソリューション事業の2本柱で積極的な事業展開を行いました。世界200以上の国と地域にユーザを持つ「ibisPaint」においては、お絵描きユーザのトレンドを常に意識した魅力的な新機能や新サービスの拡充に注力し、世界のマーケットシェア拡大に取り組んでまいりました。ソリューション事業においては、経済産業省が推進する企業のDX化をはじめとした情報技術の活用という社会的な課題や大手企業からのロボティクス案件などを背景に、需要の高まるITエンジニアの積極的な採用と法人顧客への営業活動を更に推進いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高4,086,864千円(前年同期比20.3%増)、営業利益434,102千円(前年同期比97.4%増)、経常利益428,041千円(前年同期比79.8%増)、当期純利益288,575千円(前年同期比71.1%増)となりました。
事業セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
<モバイル事業>
当事業年度におきましては、主力製品の「ibisPaint」について、2023年1月に累計3億ダウンロードを突破し、2023年12月末日時点では3億7,213万件(前年同期比24.7%増)となりました。モバイル事業部では、新機能の追加やサービス拡充、ユーザの声をもとにしたアプリの改善や仕様変更への対応(Ver.10.0.7からVer.11.1.0までリリース)をはじめ、YouTubeでの継続的なお絵描き講座の動画投稿、季節やトレンドに合わせた素材コンテストの開催(第19~36回)及び豊富な無料素材の追加など、常にユーザフレンドリーを意識した製品の提供に注力しており、その結果として多くの新規ユーザ獲得に至りました。新たに追加した機能の中でも、特に2023年5月10日にリリースしたAI超解像度機能や、続く9月14日にリリースしたAI背景透過機能、パラパラ漫画の要領で自作イラストが動かせるアニメーション機能、自作イラストの雰囲気をがらりと変えることでユーザ同士の活発なコミュニケーションを生み出した新フィルター「レトロゲーム」は、お絵描きユーザを中心にSNSでも大きな話題になるなど、好評を頂いております。また、文部科学省を中心に推進されているGIGAスクール構想を受けて、「ibisPaint」を教育機関向けにカスタマイズした「ibisPaint Edu(アイビスペイント・エデュ)」を7月26日にリリースいたしました。
以上の結果、売上高は2,455,675千円(前年同期比13.5%増)となりました。売上区分別の国内売上高及び海外売上高は以下のとおりであります。
当セグメントにおいて主な収入源となっているアプリ広告につきましては、アクティブユーザはコロナ特需の反動から漸く脱して、増加基調を取り戻しております。また、広告単価は、期初は軟調に推移したものの、期中から期末にかけて大きく復調いたしました。アプリ課金につきましては、サブスクリプション(月額課金・年額課金)は既存ユーザに対するプレミアム会員サービスへの申込促進施策等が功を奏して、売上高は330,001千円(前年同期比66.5%増)、会員数は119,380人(前年同期比80.2%増)と大きく増加いたしました。また、売切型アプリはWindows版の販売が好調に推移したことから、売上高271,986千円(前年同期比25.8%増)、累計販売数は947,570件(前年同期比27.9%増)となり、こちらも順調に拡大しております。そして、引き続き効果的な広告投資を行ったことにより、セグメント利益は759,721千円(前年同期比94.0%増)となりました。
<ソリューション事業>
当事業年度におきましては、モバイルアプリ開発の急速な進化も後押しし、国内企業のモバイルアプリやWebアプリケーションなどの開発支援需要が想定以上に増加いたしました。
受託開発は、大手新聞社、通信キャリア、製造業、アパレル業、サービス業など多岐にわたる法人からのアプリ開発等の受注が順調に増えており、いくつかの案件においては、AWS(Amazon Web Services)を用いたサーバ構築・移行の支援が奏功し、安定した収入をもたらす運用保守案件も増加しております。本サービスにおいては、最新の技術をマスターするための教育カリキュラム、スクラム開発などの最新のアプリケーション開発手法、AI・Web3.0・メタバースなどを活用した開発生産性の抜本的向上策など、高付加価値なSI体制の構築に向けて諸施策の導入を積極的に推進しております。IT技術者派遣につきましては、大手SIerやソフトウェア開発企業など数多くの法人に対してハイスキルなITエンジニアを中心に受け入れが進みました。
日本国内におけるIT人材不足やChatGPTなどの急速な技術革新への対応が求められている中、当社は最新のOSS(Open Source Software)を適宜取り入れながら、スマートフォンやタブレットなどのアプリ開発支援において高い顧客満足度を実現しております。同事業においては、引き続き、モバイルアプリの受託開発をコア・コンピタンスとし、市場での競争力を高めてまいります。
以上の結果、売上高は1,631,189千円(前年同期比32.2%増)となり、内訳としては、IT技術者派遣が1,353,060千円(前年同期比28.2%増)、受託開発が278,128千円(前年同期比56.2%増)となりました。また、引き続きITエンジニアの採用などの開発人材投資を積極的に推進したことから、セグメント利益は90,560千円(前年同期比44.0%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産合計は2,109,325千円となり、前事業年度末に比べ820,036千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が635,004千円、売掛金が83,579千円、投資その他の資産のその他が64,281千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は819,689千円となり、前事業年度末に比べ38,235千円の減少となりました。これは主に、未払金が180,399千円減少した一方で、未払法人税等が55,473千円、賞与引当金が46,089千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は1,289,635千円となり、前事業年度末に比べ858,271千円の増加となりました。これは、株式上場による株式の発行等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ284,274千円増加するとともに、当期純利益288,575千円を計上したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は1,229,770千円となり、前事業年度末と比較して635,004千円増加となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は307,591千円(前事業年度は553,487千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益428,041千円の計上及び未払金の減少183,413千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は192,833千円(前事業年度は129,912千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出91,811千円、差入保証金の差入による支出66,790千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の増加は520,292千円(前事業年度は134,380千円の減少)となりました。これは主に、株式の発行による収入560,806千円、長期借入金の返済による支出34,380千円等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度におけるソリューション事業の受託開発に係る受注実績は次のとおりです。なお、モバイル事業及びソリューション事業のIT技術者派遣は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
財政状態の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b 経営成績の状況の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は4,086,864千円(前年同期比20.3%増)となり、前事業年度と比較して688,978千円の増収となりました。これは主にモバイル事業の主製品であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint」シリーズの累計ダウンロード数が2023年12月末に3億7,213万件(前年同期比24.7%増)となり、アプリ広告売上及びプレミアム会員サービスのサブスクリプション売上が順調に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は1,492,256千円(前年同期比45.1%増)となりました。これは主にモバイル事業の開発人員採用に伴う人件費の増加、アプリダウンロード数が伸びたことによるサーバ利用料等の通信費の増加、ソリューション事業部における派遣技術者の人件費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は2,594,608千円(前年同期比9.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は2,160,505千円(前年同期比0.5%増)となりました。これは主に積極的な人材投資による採用費の増加や、モバイル事業の売上増加に伴う販売手数料が増加した一方、効率的な広告投資により広告宣伝費が減少したことによるものであります。この結果、営業利益は434,102千円(前年同期比97.4%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は主に受取報奨金や為替差益の計上により9,607千円(前年同期比60.9%減)となりました。営業外費用は主に株式交付費や上場関連費用の計上により15,668千円(前年同期比147.9%増)となりました。この結果、経常利益は428,041千円(前年同期比79.8%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は288,575千円(前年同期比71.1%増)となりました。これは法人税等調整額を含む法人税等合計139,465千円を計上したことによるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主な資金需要はモバイル事業の「ibisPaint」アップデート及び新規アプリ開発投資に係る人件費であります。運転資金は主に自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。設備投資の必要性が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。
現金及び現金同等物の当事業年度末残高は1,229,770千円であり、資金の流動性は十分に確保できております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。経営者は債権、繰延税金資産、引当金等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、当社の財務諸表で採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。