2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク要因は、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することは困難であるため記載しておりません。

なお、本文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)特に重要なリスク

リスク

リスクの内容

主な対応

特定のサービス/特定取引先への販売代理業務の依存

当社の売上高は主力事業であるワイヤレスゲートWi-FiサービスのWiMAXが依然として高い比率を占めている状況です。

不測の事態等による会員数の大幅な減少等が発生した場合および、新規サービス加入者の多くを特定の取引に依存しております。この取引先の方針変更や何らかの要因による取引関係の悪化等の理由により変化が生じた場合、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、ワイヤレスゲートWi-FiサービスのWiMAXの依存度を低下させるため、新規事業領域への展開を企図しております。既存代理店様等との協業深化、販路拡大の実現、及び自社ECサイトでの販売強化、並びに周辺商品及びサブスクリプションの販売強化を行い、全国的に販売網を構築していくなど販売チャネルの拡大を図っております。

通信回線等の外部への依存について

当社は、ワイヤレス・リモートサービスの提供にあたり、独自の通信設備を持たず、主力のWiMAXはKDDI株式会社から、その他のワイヤレス・リモートサービス等についても通信事業者や公衆無線LAN事業者から通信回線等の仕入を行い、当社のプラットフォームにおいてサービスを提供しております。

そのため、外部の通信事業者等から提供される通信回線等が長期にわたり中断する等の事象が発生した場合、また、何らかの要因による外部の通信事業者等との取引関係の悪化等の理由により、通信回線等の仕入に影響があった場合、当社のワイヤレス・リモートサービス提供ができない事象が発生し、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、安定した高品質の通信サービス提供のため、外部の通信事業者等との良好な関係を継続しており、継続的かつ安定的に仕入ができるよう情報交換等含め連携を強化しております。

技術革新について

当社の属する情報通信業界においては、技術、顧客ニーズ及び業界環境等の変化が速く、頻繁に新技術に基づくサービスの開発、サービスの提供が行われております。重要な新技術の利用権の取得、顧客ニーズに合ったサービス開発等ができない場合、通信サービスの提供ができない事業が発生し、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、単一の技術によらない通信サービスの提供を行っており、技術革新への対応をできるものと考えております。また、関連部門による技術変化に対する適切な情報収集を行い、それら課題等に対応するための人材配置を行っております。

減損損失に係るリスクについて

当社の資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生した場合、当社の経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、保有する固定資産の収益性について適宜評価を実施し、その評価に基づく保有の継続可否、活用策の立案等を検討し、減損損失が認識された資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額との差額を当期の損失として減損損失を認識します。また、綿密な事業計画の立案及び管理を実施し、業績のモニタリングに努めております。

 

繰延税金資産の回収可能性について

当社は、税効果会計を適用しております。

繰延税金資産の回収可能性は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来課税所得の見積りや一時差異等のスケジューリングの結果、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積りは、事業環境や市場環境等を考慮した事業計画を基礎としており、実際に発生した利益及び課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、当社の財務諸表において重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価において基礎となる事業計画の策定にあたり、当該計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。

 

代金回収業務の委託について

当社は、クレジットカード決済での当社サービスの代金回収に関して、その大部分を決済代行会社であるGMOペイメントゲートウェイ株式会社に委託しております。同社に委託することにより個人情報を保有せず、回収業務が効率的に行われる等のメリットがあります。他方で、契約によって定められている回収代行手数料が今後変動した場合、また、何らかの事態が発生して当該契約が終了した場合、当社の経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、安定した事業継続を図るため、委託先との定期的な情報交換を行う等、業務の事情や状況の把握に努めています。また、クレジットカード以外の決済手段の拡充を通じて、リスク分散にも取り組んでおります。

 

(2)重要なリスク

リスク

リスクの内容

主な対応

システム障害について

当社は、システムの管理に細心の注意を払い、システム障害が発生することのないように運営を行っております。しかしながら、コンピューターウィルスや不正な手段によるシステムへの侵入、その他当社が予測不可能な事象に起因するシステム障害が発生した場合には、サービスを提供することが困難になります。万一システムに障害が発生し、長時間にわたってサービスが停止した場合、当社が提供するサービス、及び事業に影響を及ぼす可能性があります。

当社のネットワーク及びシステムは、安定した通信サービスの提供及び品質維持を図るため、通信回線の二重化、強固な認証手続きを要求するアクセス制限や、ファイアウォールの設置等の対策を行った耐障害性を重視した設計となっており、リスクの低減を図っております。

新規事業領域への展開に伴うリスクについて

当社は、既存代理店様等との協業深化、販路拡大の実現及び自社ECサイトでの販売強化、並びに周辺商品及びサブスクリプションの販売強化を行い、持続的成長を目指しております。これによりシステム投資、広告宣伝費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、不測の事態等が発生し、新規事業が安定収益を生むまでに時間を要した場合及び計画通りに事業が進まない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、営業会議において販売代理店との連携強化、新商品やサブスクリプションの新規導入の検討等を実施し、取締役会及び執行役員会議にて、その状況をモニタリングしております。新規事業を行うに当たっては、投資の回収可能性等のリスクを総合的かつ慎重に検討し、M&A等も含めた新規事業等の実施判断を行い、リスクの低減を図っております。

自然災害及び事故等について

当社及び当社取引先の事業拠点が、想定を超える地震、津波、台風等の自然災害、事故、火災、テロ等の予測不可能な事象の発生によって被害を受けた場合、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、安定した事業継続を図るため、リスク管理規程に基づいた情報システムに関するセキュリティ対策、ネットワーク及びシステムのバックアップ体制の構築に努めております。また、緊急連絡体制を整備し、有事の際における従業員等の安全の確保、事業への影響度の把握、復旧計画の策定及び実施のための体制を構築しております。

人材の確保及び育成について

当社は、事業拡大を図り持続的な成長を継続するために、優秀な人材の確保が必要であると考えております。優秀な人材の確保には、人材の採用、退職抑止、人材育成が必須であり、これらに努めていく方針であります。しかしながら、優秀な人材の確保が計画通り進捗しない状況が生じた場合、当社の事業運営及び持続的な成長に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、人材の採用、退職抑止のためにリモートワーク、フレックスタイム制度の推進、育児休業復帰者へのサポート等、働きやすい職場環境の構築、及び福利厚生の充実等を図っております。また、人事制度を見直し、業績に応じた従業員への還元を推進しております。さらに人材育成のために、メンター制度、キャリア形成のためのサポート等、各種社内教育制度を取り入れております。

個人情報について

当社では、顧客情報を取得し利用目的の範囲内でこれを利用し、適切に保管しております。しかしながら、外部からの不正アクセスまたは当社関係者、並びに業務委託先等より個人情報が流出し、不正利用された場合、当社サービスの信頼性の低下を招き、社会的信用の失墜によるビジネスへの悪影響等、当社業績に影響をあたえる可能性があります。

当社では、全ての役職員が個人情報保護規程を厳格に遵守し、個人情報等の取扱いに関する教育を徹底する等社内管理体制を強化しています。また、プライバシーマークの認証を取得、更新を継続しております。当該認証制度に準じた活動を通じて、従業員の情報セキュリティ意識の向上・強化や、委託先に対する個人情報保護状況の確認を実施しております。

法的規制について

当社は、電気通信事業者として総務省に届出を行っており、電気通信事業法に基づく規制を受けております。当社の業務に関し、通信の秘密の確保に支障がある、あるいはその業務方法が適切でないことの理由に総務大臣より業務方法の改善命令その他の措置がとられた場合、社会的信用の失墜により当社業績に影響を与える可能性があります。

当社は、電気通信事業法を遵守した事業者として、必要となる情報を継続的に収集し、法改正に伴い必要となる業務変更やその対応状況等については、取締役会や本部長会議で議論され、リスクを最小化すべく努めております。

また、法務担当者によるサービス規約や契約書のリーガルチェック、顧問弁護士による法務レビューを通じて、電気通信事業法その他当社事業に関する法規の遵守に努めております。

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来の持続的な成長に必要な内部留保を確保しつつ、財政状態及び経営成績並びに経営全般を総合的に勘案し、利益配当を行うことを基本方針としております。

当社は、期末配当による年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としておりますが、毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度及び次期の配当につきましては、収益体質の強化と安定化を図り、内部留保を高めるよう努めたいことから、無配とさせていただく予定です。早期の業績回復および復配を目指し、全力を挙げてまいりますので、株主の皆様には何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。