2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,446名(単体) 21,173名(連結)
  • 平均年齢
    41.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    21.1年(単体)
  • 平均年収
    8,068,484円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

発電・販売事業

4,747

送配電事業

3,760

海外事業

95

その他エネルギーサービス事業

8,414

ICTサービス事業

2,840

都市開発事業

693

その他

624

合計

21,173

 

(注) 従業員数は、就業人員数(当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外

 から当社グループへの出向者を含む。)を記載している。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,446

41.3

21.1

8,068,484

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

発電・販売事業

4,422

その他エネルギーサービス事業

22

その他

2

合計

4,446

 

(注) 1 従業員数は、就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)を記載し

        ている。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合の状況について特記する事項はない。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異

   ①提出会社

2025年3月31日現在

管理職
に占める
女性労働者
の割合(%)

男性労働者
の育児休業
取得率(%)

(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)2,3,4

補足説明

全労働者

うち

正規雇用
労働者

うち

非正規雇用
労働者

2.5

103.3

65.0

67.1

58.8

(注)5

 

(注) 1 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号、

    以下「育児・介護休業法」という。)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行

    う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号、以下「育児・介護休業法施行規則

    」という。)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したもの。

   2 賃金には基準内賃金、時間外手当、賞与、世帯・住宅手当等を含み、退職金、通勤費等を除く。

   3 上記は、各月初日の人員数の平均をもとに算定している。ただし、無給者及び育児休職・介護休職中の

    者は含まない。また、出向者は出向元の人員として算定している。

   4 正規雇用労働者においては、女性は20~30歳代が半数以上を占める一方で、男性は40~50歳代が6割程

    度を占めるという年齢構成の違い等により差が生じている。非正規雇用労働者においては、その業務内

    容や技能水準等による複数の雇用区分があり、処遇水準が相対的に高い定年後再雇用者に男性が多いこ

    とから、非正規雇用労働者全体で差が生じている。

   5 「管理職に占める女性労働者の割合」「男性労働者の育児休業取得率」「労働者の男女の賃金の差異」

    に関する取組みは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本」

    を参照。

 

   ②連結子会社

2025年3月31日現在

名称

管理職
に占める
女性労働者
の割合(%)

男性労働者
の育児休業
取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)4

全労働者

うち

正規雇用
労働者

うち

非正規雇用
労働者

九州電力送配電株式会社

 0.0

(注)1 107.0

47.2

 64.4

54.6

株式会社QTnet

 1.8

(注)2  87.0

57.0

 66.3

52.3

九電ネクスト株式会社

 7.4

(注)1 100.0

44.3

 75.4

42.1

九州林産株式会社

 0.0

(注)3  33.3

76.5

 79.7

99.6

ニシム電子工業株式会社

-

(注)1  58.3

69.9

 73.0

59.7

九電テクノシステムズ株式会社

 1.0

(注)1  66.7

69.3

 80.3

64.6

株式会社九電ハイテック

 0.0

(注)2  70.0

96.5

102.9

36.2

株式会社九電送配サービス

 1.8

(注)1 116.7

88.2

104.9

56.1

西日本空輸株式会社

 9.7

(注)3  85.7

-

-

-

西日本プラント工業株式会社

 0.3

(注)1  40.4

73.4

 71.8

66.6

九電産業株式会社

 4.0

(注)1 100.0

66.1

 84.0

68.1

Qsol株式会社

-

(注)1  80.0

80.3

 80.1

64.6

株式会社九電ビジネスフロント

22.2

-

57.3

 80.8

85.3

株式会社RKKCS

 5.8

(注)1  76.9

68.7

 70.1

80.6

西日本技術開発株式会社

12.2

(注)1  77.8

88.0

 85.2

49.1

九電不動産株式会社

10.3

(注)3 100.0

-

-

-

株式会社九電ビジネスパートナー

25.0

-

-

-

-

九州メンテナンス株式会社

 0.0

(注)3   0.0

64.4

 70.3

81.2

 

(注) 1 育児・介護休業法の規定に基づき、育児・介護休業法施行規則第71条の6第1号における育児休業等の

    取得割合を算出したもの。

   2 育児・介護休業法の規定に基づき、育児・介護休業法施行規則第71条の6第2号における育児休業等及

    び育児目的休暇の取得割合を算出したもの。

   3 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した

    もの。なお、雇用管理区分毎の実績は、九州林産株式会社は全て正社員、九電不動産株式会社は全て正

    社員(技術職)のものである。また、西日本空輸株式会社の雇用管理区分毎の実績は、総合職が66.7%、

    技術職が100.0%である。

   4 パート・有期雇用労働者等の算定において、労働者の人員数について労働時間を基に換算している連結

    子会社もある。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 (1) サステナビリティ全般

当社グループは、「九電グループサステナビリティ基本方針」のもと、事業活動を通じて地域やグローバルな社会課題解決に貢献することで、持続可能な社会への貢献とグループの中長期的な企業価値向上の実現を目指している。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

 


 

<ガバナンス>

サステナビリティ経営の実践に向け、カーボンニュートラルをはじめとするESG(環境・社会・ガバナンス)の取組みを強力に推進するため、取締役会の監督下に、社長を委員長とし、社外取締役や関係統括本部長等を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を設置している。本委員会では、サステナビリティ全般に係る戦略・基本方針の策定(マテリアリティの特定)、施策実施状況の進捗管理に加え、気候変動や人的資本等の重要なサステナビリティ課題に関する戦略、リスク・機会についての審議・監督を行っている。また、本委員会の下には、「カーボンニュートラル・環境分科会」及び「地域・社会分科会」を設置し、環境・社会問題全般について、より専門的な見地から審議を行っている。

年に2回以上開催する本委員会の審議結果は、取締役会に遅滞なく報告しており、取締役会はサステナビリティに係る活動全般を監督している。

 

■サステナビリティ経営推進体制図

 


 

 

<戦略>

当社グループは、「九電グループの思い」及び「九電グループサステナビリティ基本方針」のもと、中長期的に目指す姿として、「九電グループ経営ビジョン2035」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を定め、グループ一体となった取組みを推進している。

これらの方針・ビジョン実現に向けた経営上の重要課題をマテリアリティとして特定し、その解決に向けた具体的取組みを中期経営計画(中期ESG推進計画)に落とし込むことで、着実な実践を図っている。

持続的に企業価値(経済価値)を高めていくためには、「短期」のみならず、「中長期」の社会情勢や経営環境の変化を見据えたうえで、今後の成長の障壁となりうるマテリアリティに焦点をあてた取組みを強化することが極めて重要である。そのため、当社グループは、企業価値(経済価値)につながる要素を「①短期の機会最大化」「②中長期の機会拡大」「③リスクの低減」の3つに分解し、それぞれの視点からマテリアリティ解決に向けた取組みを推進している。

 

■サステナビリティ経営を通じた企業価値向上モデル

 


 

<リスク管理>

当社グループの経営に影響を与えるリスクについて、毎年リスクの抽出、分類、評価を行い、全社及び部門業務に係る重要なリスクを明確にしている。把握したリスクについては、対応策を各部門及び事業所の事業計画に織り込むとともに、複数の部門等に関わるリスク及び顕在化の恐れがある重大なリスクについて、関連する部門等で情報を共有した上で、対応体制を明確にし、適切に対処している。特に、社会と企業のサステナビリティ実現に係るリスクについては、サステナビリティ推進委員会及び取締役会にて審議し、マテリアリティの見直し要否の判断につなげるとともに、対応策を中期ESG推進計画等に反映し、進捗管理を行うことで着実な実践を図っている。

当社グループの経営成績、財務状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、「3 事業等のリスク」に記載している。

 

<指標と目標>

当社グループでは、マテリアリティごとに目指す姿を設定するとともに、その着実な実現に向け、中期ESG推進計画において、各取組みの中期目標及び年度目標を設定の上、取組みの進捗を管理している。なお、当社グループ全体での指標及び目標の策定管理は、現在主要な事業会社において実施している。

 

 

■2025年度中期ESG推進計画

マテリアリティ

主要課題

中期目標 (年度記載がないものは2035年度)

カ|ボンマイナスへの挑戦

電源の低

脱炭素化

再エネの主力電源化

収益性・ROIC向上を踏まえた再エネの着実な開発

- 再エネ電力販売量:370億kWh(330億kWh[2030年度])

原子力の最大限の活用

原子力の安全・安定運転の継続

- 計画外停止ゼロ

火力発電の低炭素化

省エネ法ベンチマーク指標の達成[2030年度]

- A指標:1.0以上

- B指標:44.3%以上

- 石炭単独指標:43.0%以上

水素1%、アンモニア20%混焼技術の確立[2030年度]

水素10%、アンモニア20%混焼

送配電ネットワークの高度化

再生可能エネルギー導入拡大に向けたネットワーク設備の運用高度化に資する研究・技術開発

非化石電源目標の達成

非化石電源比率:44%以上[2030年度]

電化の推進

家庭・業務

九州の電化率向上に貢献

- 家庭部門:75% 、業務部門:65%

運輸

社有車のEV(電気自動車)化率:100% (EV化に適さない車両を除く)

EVバス事業、建機用電池事業の拡大(蓄電地の充電制御技術の高度化)

EV関連サービスの事業化

EV用充電器の販売

不動産開発事業におけるEV充電器導入

地域エネルギー

港湾電化、モビリティ電化、デジタルサービスに対応する技術開発の推進

エネルギー政策への関与提言

電源の脱炭素化と電力安定供給両立に資する制度の構築への寄与

省エネの推進

省エネ・省CO2等に資するサービスの充実

省エネ提案の推進

- 省エネ提案件数:650件以上 [2022-2035年度累計]

スマートメーターを活用した情報発信サービスの提供

バンカリング船の運用効率化などによるLNG供給数量の増加

海外における省エネ・省CO2に関する取組みの実施

省エネ法に基づく
エネルギー消費原単位
の低減

エネルギー消費原単位の低減

- 年1%以上低減(直近5か年平均) [2030年度も同じ]

循環経済への貢献

循環型社会形成

石炭灰以外リサイクル率:98%以上(廃プラスチック100%)

石炭灰リサイクル率:100% [2030年度も同じ]
 (発電所運転想定により見直しを検討)

PCB産業廃棄物:法令に基づいて適切に対応

グリーン調達率:99%以上(事務用品類) [2030年度も同じ]

ネイチャ|ポジティブへの貢献

地域環境の保全・社会との協調

環境アセスメントの確実な実施

従業員一人あたりの上水使用量:毎年過去3か年平均実績以下

コピー用紙購入量:可能な限り抑制

TNFDレポートにおける事業活動に伴う生態系への影響の評価・分析の継続実施

環境管理の推進

法令違反件数(改善勧告・命令・罰則含む):ゼロ

協定値の遵守徹底(非常時を除く)

多様なニ|ズを叶えるソリュ|ション進化

エネルギーの安定供給

安定供給の維持

- 一軒あたりの平均停電時間:世界トップレベルの維持

- 公衆感電事故発生件数:ゼロ

海外展開の拡大

資産売却・入替による最適ポートフォリオの構築

ソリューションの高度化

各事業領域でのプラットフォーム型ビジネス展開、データ活用によるソリューションの高度化

エネルギーソリューション事業の高収益化

日本最大のグリーンエネルギー・プラットフォーマー

地域共創による価値創造と成長

快適で持続可能な
まちづくり

地域と共創した魅力あるまちづくり

- 地域共創ビジネス創出件数:8件(九州内支店エリア各1件以上)
 [2030年度までの累計]

- 九州内支店エリアにおける都市開発案件への参画:10件(1件/年)以上
 [2030年度までの累計]

九州における森林ビジネスの発展

- 九電グループの森林事業拡大への取組み開始 [2027年度]

- 新規J-クレジット創出支援者数:50件(累計)

事業・サービスの創出と既存サービスの充実によるスマート社会の実現

- 新規事業化・共創件数22件(累計)

- スマート社会の実現に資するドローン新サービス創出:10件(1件/年)以上

- 地域経済活性化に貢献するICTサービス(まちのわ)を全国47都道府県へ展開

- スマートメーターを活用した見守りサービス「Q-ieまもり」の普及拡大

地域経済の活性化

企業と自治体の新規マッチング数:50社以上
[2030年度までの累計]

地域経済の基盤を維持・成長させる新規事業の事業化件数:2件以上
[2030年度までの累計]

価値創出に向けた人的資本経営

人と組織の進化による
価値創出

個人のWillを活かし、新たな価値を創出

- チャレンジ活動件数:2030年度:5,000件、2035年度:10,000件

- 事業化件数:30件以上 [2030年度までの累計]

経営戦略の実現に必要な
人材の獲得・育成

人材ポートフォリオに基づく人材の獲得・育成

自らの可能性にチャレンジできる仕組みづくり

自律的な挑戦実施率:50%

成長実感:80%

多様な人材が活躍できる
環境づくり

女性管理職比率2倍以上(女性活躍推進法に基づく第二期行動計画時を基準とする)

- 課長以上ポスト:3.0%

- 副長(一般的な係長級)以上:5.0% [2028年度]

技術系の新卒採用者に占める女性採用比率:15.0% [2028年度]

障がい者雇用率:法定雇用率以上

働き方改革の推進実感:75% [2030年度]

安心して働ける基盤づくり

委託・請負先も含めた重大な労働災害:ゼロ

健康経営優良法人継続認定

ストレスチェックにおける総合健康リスク:80以下

企業変革をリ|ドするDX推進

デジタル技術を活用した
抜本的な業務改革

DXによる利益創出効果:400億円程度 [2030年度までの累計]

企業変革に資するデータ
活用の推進

データ活用(高度分析)取組み件数:36件 [2027年度までの累計]

データ流通件数:20業務 [2027年度までの累計]

セルフBI(Tableau)によるダッシュボード運用件数:155件
 [2027年度までの累計]

DXやシステム開発を推進するための人材の育成・確保

DX専門人材の育成:650名 [2027年度]

高度IT人材の育成:15名以上 [2027年度]

革新と成長を支えるガバナンス強化

リスクマネジメント
システムの強化

リスク管理の精度向上

コーポレートガバナンスの実効性向上

取締役会の多様性・適正規模の確保(社外取締役比率等)

モニタリング体制の充実

指名・報酬に関する透明性・客観性確保

創造・保護・活用の知的創造サイクルを廻すことにより、企業価値を向上

コンプライアンスの徹底

重大なコンプライアンス違反件数:ゼロ

相談しやすい組織風土づくり

サプライチェーン
マネジメントの強化

サプライチェーンにおけるESGに対する意識向上

- 主要なお取引先とのサステナビリティに関する意見交換の実施:50社
 [2025年度までの累計]

情報セキュリティの確保

個人情報漏洩:ゼロ

サイバー攻撃による重大な情報セキュリティ事故件数:ゼロ

人権の尊重

サプライチェーン全体を含めた重大な人権侵害件数:ゼロ

ステークホルダー
エンゲージメントの充実

ステークホルダーからの満足度向上

- 当社グループへの信頼度:80%以上

財務体質の改善・強化

連結経常利益:1,800億円 [2030年度]

総合エネルギーサービス事業:900億円 [2030年度]

成長事業:900億円 [2030年度]

連結ROIC:3.3% [2030年度]

 

実績集計範囲 ※当社及び九州電力送配電株式会社 

 

 

 (2) 気候変動

世界共通の課題である気候変動への対応は、エネルギー事業者にとって、事業のあり方そのものに影響しうる大きなリスクであると同時に、持続的成長に向けたビジネス変革への新たなチャンスである。当社グループは、責任あるエネルギー事業者として、また、再生可能エネルギー開発の長い歴史を持ち、東日本大震災以降いち早く原子力の再稼働を実現した低・脱炭素のトップランナーとして、今後も脱炭素社会を牽引するとともに、その取組みを更なる企業成長につなげるため、気候変動への対応をグループ重点戦略(マテリアリティ)と位置づけ、グループ一体となった取組みを推進している。

 

<ガバナンス>

気候変動対応については、サステナビリティ推進委員会を中心としたガバナンス体制のもと、その取組みを推進している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <ガバナンス>」に記載している。

 

<戦略>

当社グループが持続的に気候変動の緩和に貢献し、かつ成長し続けることができるよう、上昇温度が1.5℃と4℃のシナリオを想定し、リスク・機会等の分析を行っている。

また、その分析結果を踏まえた対応戦略については、サステナビリティ推進委員会で議論を重ねたうえで、具体的な行動計画を毎年策定する「中期ESG推進計画」の中に落とし込み、戦略実現の実効性を高めている。

いずれのシナリオにおいても、低・脱炭素のトップランナーとして、中期ESG推進計画の取組みを実践することで、機会の最大化・リスクの最小化を実現していく。

 

■主なリスク・機会と対応戦略

項目

対応戦略

リスク

政策・規制

カーボンプライシング

・GHG(温室効果ガス)排出量削減

・エネルギー政策への提言・関与

非効率石炭フェードアウト

・アンモニア・水素の混焼技術確立

・LNG・カーボンフリー燃料等への振替

技 術

系統の安定性低下

・デジタルの活用による需給運用・系統安定化技術の高度化

評 判

資金調達コスト上昇

・KPI(重要業績評価指標)進捗等含めた情報開示の充実

物 理

資源開発地の操業不能

・供給ソースの分散化

台風等による設備被害

・無電柱化の推進、災害対応力の向上

機会

技 術

再エネ開発推進による収益拡大

・強みである地熱・水力の開発

・導入ポテンシャルが大きい洋上風力やバイオマス等の開発

原子力設備利用率向上

・定期検査短縮、長期サイクル運転、電気出力向上

市 場

電化の進展による販売電力量増

・電化率向上に向けた家庭・住宅関連業者との連携強化

製品・

サービス

カーボンニュートラルニーズ拡大

・DER(分散型エネルギーリソース)制御技術・蓄電池を用

 いたアグリゲートビジネスの展開

・EⅤを活用した新たなビジネスモデルの検討

レジリエンスニーズ拡大

・ドローンサービスや無停電電源装置等の関連製品・サービス

 における他社との協業、競合他社との差別化

 

※1.5℃、4℃のシナリオごとで各項目のリスク・機会の影響度・発現可能性は異なる

 

<リスク管理>

気候変動に係るリスクは、他のサステナビリティ課題に係るリスクと共に管理している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <リスク管理>」に記載している。

 

 

<指標と目標>

低・脱炭素のトップランナーとして、2050年のサプライチェーン全体のGHGの実質ゼロにとどまらず、社会のGHG排出削減に大きく貢献する「カーボンマイナス」を2050年より早期に実現するというゴールを設定している。また、2030、2035年の経営目標(環境目標)として、チャレンジングな目標・KPIを設定し、その着実な達成に向けて、進捗を管理している。


※2021年実績。九州の電化率は、国の統計情報をもとに当社にて試算

 

 

■サプライチェーンGHG排出原単位の推移

 


(注)2050年のカーボンニュートラル実現及び2035年の環境目標、本ロードマップは国の政策支援及び技術確立等がなされることを見込んで設定したものであり、状況に応じて見直すことがあります。

※1 GHGプロトコルに準拠し、Scope1・2・3が対象

※2 高効率LNG火力の新増設、既設火力での水素・アンモニア混焼、CCS、低炭素電源からの調達 など

※3 再エネ拡大や次世代革新炉の開発・設置の検討 など

 

■サプライチェーンGHG排出量の推移


 

 

 (3) 人的資本

九電グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中で、経営ビジョンを実現する原動力となるのは人材であり、人的資本充実に向けた取組みを加速し、多様な人材の力を価値創出につなげることが重要である。このため、九電グループは、「個人の思い(Will)と組織のビジョン等を結び付け、人と組織が共に成長しながら価値創出につなげていく」ことを基本的考え方とする「人的資本経営」を推進し、持続的な企業価値向上を図る。

 

<ガバナンス>

人的資本経営については、サステナビリティ推進委員会を中心としたガバナンス体制のもと、その取組みを推進している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <ガバナンス>」に記載している。

 

<戦略>

人的資本経営の推進により、「従業員エンゲージメント」と「一人当たり付加価値」の向上を図り企業価値を高めていくため、人材戦略として、以下の戦略の5つの柱を設定し、各種施策を展開している。

 

■人的資本経営における人材戦略と価値創出プロセスの全体概念


◆戦略の柱ごとの取組み

[戦略の柱①]人と組織の進化による価値創出

会社や職場のビジョン・目標に共感し、自律的に挑戦する人材の力を組織の力に変え、人と組織が共に成長しながら価値創出につなげるための活動「QX(Qden Transformation)」に、2023年度から全社をあげて取り組んでいる

QXの取組みでは、職場対話を中核としながら、エンゲージメントサーベイによる組織風土の改善サイクルをスパイラルアップさせるとともに、個々人の思いを実現するために必要なスキル獲得等を可能とする学びの環境も整備している。また、従業員のイノベーションのアイデアを起点に、社外とも連携しながら新たなビジネスやサービスを共創する「KYUDEN i-PROJECT」を実施し、柔軟な発想によるイノベーションを推進している。

加えて、デジタル技術を積極的に活用することで、業務の効率化・高度化・自動化を進め、人材がより付加価値の高い業務を担うことで、生産性を高め、付加価値創出を加速している。

 

 

[戦略の柱②]経営戦略の実現に必要な人材の獲得・育成

経営ビジョンの達成に向け、事業戦略の実現に必要な人材を整理した人材ポートフォリオに基づき、人材の獲得及び育成に取り組んでいる。人材の獲得については、他企業経験者・高度専門人材の採用を拡大するとともに、その専門力を発揮できるようスペシャリストコースを設ける等、キャリアルートも複線化している。また、人材の育成においては、電気事業を支える人材だけでなく、事業創造を牽引する人材の育成等、教育を体系化し、事業戦略の実現に取り組んでいる。


 

戦略の柱③自らの可能性にチャレンジできる仕組みづくり

従業員の自律的なキャリア形成を支援し、そのチャレンジを経営戦略実現の力とするため、個の自律的な学びや、社内外での副業・兼業等の多様な経験の機会を充実させるとともに、手挙げでの異動公募等の仕組みを整備している。


 

 

[戦略の柱④]多様な人材が活躍できる環境づくり

一人ひとりの力を引き出し、価値創出につなげるため、多様な人材が働きやすく、成長・働きがいを感じながら能力を最大限発揮できる環境づくりに向けてDE&Iを推進している。特に、女性活躍については、男女で管理職への就任状況に差が生じており、出産・育児等のライフイベントが業務経験に影響していること等がその主要因であることを踏まえ、出産・育児等の前に、部門の中核となる業務等を早期に付与する「キャリアの早回し」や、評価・登用における公正なキャッチアップに取り組むとともに、女性の声を活躍環境の整備に活かす「ウィメンズ・カウンシル」を設置し、経営層への提言を実施した。技術系部門においては女性が極めて少数であることから、女性の新卒採用拡大等の取組みを強化する。

また、男性の育児参画推進や、性的指向・性自認に関わらず、安心して自分らしく働くための制度整備や職場風土醸成に取り組んでいる。

さらに、生産性向上やワーク・ライフシナジー等を目的とし、業務改革、意識・風土改革、働く環境整備の三位一体で働き方改革を推進している

 

[戦略の柱⑤]安心して働ける基盤づくり

多様な人材が安心して働き、能力発揮する基盤として、安全・健康・人権尊重に係る取組みを推進している。

事業の基盤である安全については、「安全はすべてに優先する」という基本方針を示した「九電グループ安全行動憲章」を意識と行動のベースとして、重大災害ゼロに向けた取組み等、安全活動を推進している。また、2023年4月に設立した安全教育施設「安全みらい館」において、当社グループ従業員を対象とした教育を展開し、安全への決意と実践力を育み、グループの総力をあげて安全文化を創造し、進化させている。また、健康については、「九州電力健康宣言」及び「九州電力健康経営方針」の下、全ての従業員が心身ともに健康で、活き活きと働ける会社づくりを目指す健康経営を推進している。さらに、「九電グループ人権方針」の下、人権を尊重した事業活動を展開するとともに、サプライチェーンに対しても責任ある行動を徹底している。

 

<リスク管理>

人的資本に係るリスクは、他のサステナビリティ課題に係るリスクと共に管理している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <リスク管理>」に記載している。

 

<指標と目標>

「人と組織が成長し続ける組織文化の醸成により未来の価値を創出」することを目指す姿とし、「従業員エンゲージメント」及び「一人当たり付加価値」を九電グループ経営ビジョン2035における人材面の経営目標としている。この経営目標の達成に向けて、下記のKPIにより取組み状況をモニタリングしている。


※1:年度の記載がないものは2025年度目標

※2:実績集計範囲は当社及び九州電力送配電株式会社(その他の指標は当社グループ全体)

※3:売上高から外部購入価値(燃料費や委託費等)及び減価償却費を差し引いたもの
(経常利益+人件費+賃借料+金融費用+租税公課等)

※4:社外提供のエンゲージメントサーベイにおけるレーティング(当該サーベイを利用する10,000を超える企業全体での偏差値をAAA~DDの11段階で区分したもの)

※5:手挙げ研修の受講等の「自律的な学び」、社内兼業や社外副業等の「多様な経験」、ジョブ・チャレンジ制度等を活用した「キャリア実現」への挑戦

※6:健康経営度調査の対象である40代以上を対象とする