2023年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 当社のリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ④ リスク管理体制の整備状況」に記載の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

<事業の特徴に関するリスク>

(1)広告宣伝活動の成果

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社はインターネット等の広告宣伝により新規顧客を獲得しております。当社の事業において、広告宣伝費は集客数・営業収益増加のための重要な投資であると認識しております。当社では、日常的に集客数・営業収益と広告宣伝費の費用対効果を分析することで最適な広告宣伝活動を行っており、また、お客様同士の紹介を通じた広告宣伝に頼らない集客力の向上に努めておりますが、何らかの理由により広告宣伝費の費用対効果が悪化した場合には、集客数・営業収益の減少や広告宣伝費の追加的な支出により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)コンサルタント人材の確保

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社の提供する英語コーチングサービスによって英語力を伸ばす重要な要因の一つにコンサルタントの品質があります。良質な学習サポートを実施するには高い英語力と問題解決能力、そしてコミュニケーション力のあるコンサルタントの確保が不可欠であります。

 当社では、引き続き採用広告や採用イベントの実施により、これらの人材の確保に努めていく方針でありますが、今後将来において、当社が求めるスキルや知識、経験を有するコンサルタントを確保できなくなった場合、当社のサービス提供に重大な支障が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)シャドーイングアドバイザー人材の確保

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社の提供するサブスクリプション型英語学習サービスにおける添削は、業務委託先のシャドーイングアドバイザー(以下、「SA」という。)が当社独自に開発した添削システムを活用し実施しており、今後事業拡大を進める中で遅滞なく全てのお客様に添削サービスを提供するためには、SA人材の確保が不可欠であります。

 当社としては、システム改善による添削効率と添削品質の向上及び均質化を図りつつ、採用活動の拡大によりSA人材の確保に努めていく方針であります。しかしながら、今後添削サービス需要に対して十分な供給体制を確保できなくなった場合、当社の事業展開に重大な支障が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システム障害

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社の提供サービスやそれを支える社内業務は、コンピューター及びインターネット技術を高度に活用しており、通信事業者が運営する通信ネットワークサービスへの依存度が高いと言えます。当社としては、情報管理をクラウドサービスを活用して保管しており外部ストレージ破損等による重要情報の消失リスクへの対策を講じております。一方で、電力供給不足、災害や事故等によって通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合、コンピューターウィルスによる被害にあった場合、あるいは利用するクラウドサービス等に不具合が生じた場合に、当社のサービスの提供が一時的に不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、お客様等から損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)風評被害

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それを要因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、企業イメージの毀損等により、当社の社会的信用や事業への信頼が低下する可能性があります。当社は「リスク・コンプライアンス規程」を制定し、リスク・コンプライアンス研修の実施により従業員のコンプライアンス意識を醸成し、リスク管理及びリスク発生の未然防止やリスク発生時の対応を行っておりますが、それにもかかわらず従業員による不正・不適切な行為が発生したり、否定的な風評が広まったりした場合、顧客離れが生じる等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)教育訓練給付制度の動向

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社の提供する英語コーチングサービス「プログリット(PROGRIT)」の一部のコースは、厚生労働省が主管する教育訓練給付制度の対象コースとして指定を受けております。当該制度は要件を満たす雇用保険の一般被保険者等がいったん全額受講料を支払い、受講修了後、出席率等一定条件を満たしている場合に、入会金・受講料の一定割合に相当する額が雇用保険からハローワーク(公共職業安定所)を通じて受講者に支給されるものであります。コースの指定期間は3年間であり、当社は今後も継続的に再指定を受けるために申請をしてまいりますが、指定コースにおける諸条件を満たさず再指定が受けられない場合又はコースの指定要件の変更がなされた場合には、集客数や顧客あたり単価が減少し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)減損損失

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、主に校舎を基本単位としてグルーピングしております。当社は定期的なコストの見直しによる収益性の改善に努めておりますが、外部環境の著しい変化等により校舎収益が悪化し、校舎における営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合には、固定資産について減損損失を計上することとなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)敷金・保証金の回収

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

 当社の校舎は、開校時に建物等所有者に対して、敷金・保証金として資金の差入れを行っているものがあります。開校の際には、建物等所有者の信用力調査や、同一の建物等所有者への偏重が生じないように確認を行っておりますが、建物所有者である法人、個人が破綻等の状態に陥り敷金・保証金の回収が困難となり、また、建物の継続利用が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<事業環境に関するリスク>

(9)市場の成長可能性

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 日本企業のグローバル化が進展すると共に、英語を必要とするビジネスパーソンは増え続けております。ネットワーク環境の改善やオンラインコミュニケーション支援ツールの利便性向上等により、コミュニケーションのボーダーレス化が不可逆的に進行する中で、今後も英語によるコミュニケーションの必要性は高まっていくと考えております。日本企業内においても、全社又は一部事業部における英語公用語化の動きが散見され、英語でコミュニケーションを取る必要性が生じております。このように、当社としては中長期的に英語学習ニーズは堅調に推移していくものと考えておりますが、新型コロナウイルスのパンデミックや戦争等による海外への渡航制限等を起因とした緊急度の高い学習目的が薄れるような事態が継続した場合には、英語学習市場が低迷し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)競合企業

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 英語コーチング市場は成長段階の市場であり、今後一層競争が激化する可能性があります。このような状況下において、当社は短期間での英語力の向上のための競争力のあるコーチングサービスの提供はもとより、最後まで「やり抜く力」を身に付けることが出来るコンセプトを明確にし、他社との差別化を図っております。

 また、当該事業はテクノロジーによる学習効率の向上、直接お客様にサービスを提供するコンサルタントの質、そして個々のお客様の学習データの蓄積・分析を通じたサービス品質改善等総合力が問われるため、先行者優位を保つべく日々の改善活動に努めております。しかし、今後競争状態が激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11)単一事業への依存

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社の売上高は「英語コーチング事業」に依存しております。当社では、今後も取引の拡大及び競合企業のサービスとの差別化を図っていくと同時に、同事業におけるサブスクリプション型英語学習サービスの比重を高め収益の多角化を図ってまいりますが、市場環境の変化及び競合企業や新規参入企業との競争激化等が、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)技術革新

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社は、語学ビジネス市場において事業展開しておりますが、語学ビジネス関連分野はAI等の技術を用いた新サービスの導入が相次いで行われており、変化の激しい分野となっております。このため、当社は最新の技術動向やユーザーニーズ等に注視すると共に、新技術及び新サービスの開発を継続的に行うために、優秀な人材の確保及び育成に取り組んでおります。しかしながら、激しい環境変化への対応が遅れた場合には、当社の競争力の低下が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)知的財産権

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 自社商品の保護及び競合他社との優位性を保つため、商標権などの知的財産権保護による自社権益の保護に努めておりますが、模倣サービス等による権利侵害がなされる可能性があります。

 また、当社が知的財産権を侵害しないよう、商品開発には十分な調査を行ったうえで事業活動を行っておりますが、万が一当社が、第三者より権利侵害として訴えを受けた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<法的規制に関するリスク>

(14)法的規制

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社は、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」及び「特定商取引に関する法律(特商法)」等の法令による規制を受けており、当社では、管理部門を中心に該当法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、必要に応じて研修や指導を行うなどリスク・コンプライアンス体制の整備に努めております。特に、マーケティング活動においては景品表示法の遵守に留まらず、社会に対して責任あるコミュニケーションを行うために、「マーケティングコミュニケーションに関するポリシー」を制定し自社ホームページ上で公開すると共に、具体的な行動指針を定めたガイドラインを策定し役職員への周知徹底を図っております。当社又は当社サービスに関して事実と異なる記事等が公開されている事実が確認された場合には、お客様に誤解を与えることの無いように記事を公開しているメディアに対して内容についての照会を申し入れる等、社外においても適切な情報提供が担保されている状態が維持されるように努めております。

 一方で、これらの法令等が厳格化し、当社の事業運営方法の大幅な変更を余儀なくされるような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<その他のリスク>

(15)個人情報保護

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社は、提供するサービスに関連して個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。

 当社は、個人情報の外部漏洩の防止をはじめ、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、アクセスできる社員を限定すると共に、個人情報保護規程等を制定し、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインを遵守に努めております。

 また、プライバシーマークを取得しており、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。

 しかしながら、当社が保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、これらの事態が起きた場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社への損害賠償請求又は信用の低下等によって、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(16)特定人物への依存

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、創業取締役である2名(岡田祥吾、山碕峻太郎)が中心となり当社の経営を行ってまいりました。当該2名は、当社の経営方針や事業戦略構築において重要な役割を果たしております。また、2023年8月31日現在、同2名が直接、間接含め保有する当社株式の合計が当社発行済株式総数の57.4%を有する上位株主でもあります。当社は、事業拡大に伴い同2名に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により同2名の業務遂行が困難になった場合、当社の今後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)事業拡大に応じた組織整備及び内部管理体制

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、今後の継続的な事業拡大に応じた組織整備及び内部管理体制の拡充のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。そのため、採用活動及び人材の育成に注力すると共に、採用した人材の定着を図るため組織エンゲージメントの向上を推進しております。しかしながら、人材の確保及び育成が十分にできず、事業規模に適した組織整備や内部管理体制の拡充が計画通りに進まなかった場合には、業務運営及び事業拡大等に支障が生じることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)訴訟

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、その事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しております。社内においてはマネジメント研修を通じた各管理職の育成を通じ従業員との意思疎通が普段から円滑に行われるように努め、取引先との関係においては取引の目的、内容、対価が正当であるかを稟議承認を通じて確認することで、訴訟リスクの抑制を図っております。

 しかしながら、訴訟を完全に回避することは困難であり、また、一度訴訟が起きた際には結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社の責任を問うような判断がなされた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)当社株式の流動性

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中

 当社の株主構成は本書提出日現在、当社代表取締役岡田祥吾、取締役山碕峻太郎、ファンド、法人企業、及び個人投資家であります。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達や代表取締役岡田祥吾や取締役山碕峻太郎への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)潜在株式の行使による株式価値の希薄化

発生可能性:高、発生する可能性のある時期:3年以内、影響度:小

 当社は、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性がございます。これらのストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は992,400株であり、発行済株式総数11,977,392株の8.28%にあたります。

 

(21)配当政策

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

 当社は設立以来配当を実施しておらず、主には高い成長性を維持するために、利益の再投資を行ってまいりました。株主への利益還元を行うことが経営上の重要な課題の一つであると認識しておりますが、当面は財務基盤の強化と継続的な事業拡大を目的として、内部留保の充実を優先したいと考えております。将来については配当の実施やその他の株主還元策を実施することも検討いたしますが、現時点においてはそれらの具体的な実施の可能性や時期については未定であります。

 

(22)ウイルス感染症

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社では、Web会議や社内チャットツールの積極的な活用によりテレワーク体制を整備することで、従業員及び関係者の感染拡大防止に努めております。現在、当社の多数の校舎は首都圏に集中しておりますが、ウイルス感染症等の影響を受けて人的移動が制限された場合、対面でのサービス提供に代替してインターネットを通じたオンラインでのサービス提供を行う方針であります。当社のサービス提供には支障がない一方で、海外への渡航や外国人受け入れの制限が長期化した場合は、緊急度の高い語学学習ニーズの低下により当社の収益機会が減少し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(23)自然災害

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 地震、津波、台風等の自然災害や火災等の事故及び通信ネットワークを含む情報システムの停止等により、当社の事業活動が停滞又は停止するような被害を受けた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指しております。そのため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておらず、当事業年度においても配当は行っておりません。

しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスを図りながら検討してまいります。内部留保資金につきましては、今後の事業戦略に応じて、新規顧客獲得のための広告宣伝活動や採用に伴う人件費等に充当する方針であります。

なお、剰余金の配当を行う場合、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は年に1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としておりますが、会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。