2024年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)主要取引先の占有率及び状況変化リスク

 当社グループの主要取引先は上位2社で売上高の38.8%を占めております。これら特定の業種、顧客との強い関係は強みである反面、経済情勢などの変化により顧客の事業運営が影響を受け、顧客の方針、開発計画等が変更を余儀なくされた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、既存顧客での新規分野の獲得、新規顧客の開拓に取組むことでリスクの軽減を図っています。

 

(2)不採算プロジェクトのリスク

 システム開発事業における受注形態の一つである「一括請負」は、見積工数や製品価値を考慮して価格を決定する方式です。したがって、実際にかかる開発コストとの差が利益となります。逆に見積価格以上に開発コストがかかる場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の要件変更等不測の事態で採算を割る案件が発生するリスクがあります。

 当社グループでは、新規の大型開発案件につきましては、受注審査委員会が規模、新規性(顧客、技術、業務分野、担当者)を事前にチェックし、委員長が受注の決裁を行っております。その後も、毎月プロジェクト状況を報告し、プロジェクトレビュー委員会が監視しております。また当社では、ISO9001の認証を取得し品質管理の徹底を図っております。

 

(3)投資活動におけるリスク

 当社グループが保有する有価証券等の当連結会計年度末における連結貸借対照表計上額は有価証券799百万円及び投資有価証券2,644百万円であります。市場価格の変動や評価額の変動により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、安全性の高い金融資産に限定して運用しております。有価証券及び投資有価証券は、主に満期保有目的の債券及び取引先企業との業務又は資本提携等に関連する株式であり、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、また、満期保有目的の債券以外のものについては、市況や取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。

 

(4)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループでは業務遂行のために顧客の機密情報を取り扱う場合があります。不測の事態などによりこれらの機密情報が外部に漏洩した場合、損害賠償や信用低下などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは情報システム・セキュリティ管理委員会で情報の取り扱いに関する規程作成や社員教育の徹底を図っております。また個人情報に関してはプライバシーマークを取得し、個人情報保護マネジメントシステムを整備・運用・改善することで情報セキュリティの強化に努めております。

 

(5)社員の不正行為や不法行為のリスク

 社員による悪意をもった経済的損失行為、インターネットを使った不用意な信用失墜行為、ルールの異なる顧客での重大な過誤による損害賠償などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは経営理念や行動規範の浸透などを通して倫理観の高い社員の育成を図ると同時に、内部統制の強化や経営監査室による内部監査などにより不正行為や不法行為を未然に防ぐ取り組みを行っております。

 

(6)人材確保のリスク

 当社グループの中心事業でありますシステム開発は、優秀な人材の確保が不可欠であり、採用が計画を大きく下回る場合や多数の従業員が離職した場合、パートナー企業と適宜・適切に連携できない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループのコアコンピタンスである制御・組込系システム開発の技術者育成には時間を要するため、計画的な人材採用と人材育成を行うとともに、働きやすい環境や制度などへの投資も積極的に行うこととしております。また、パートナー企業の開拓を進めるとともに、中国現地法人によるオフショア開発も活用してまいります。

(7)技術革新のリスク

 当社グループの事業は情報通信関連の技術が中心です。これらの技術分野は技術の進化する速度が非常に速く、その幅も非常に広いのが特色であります。革新的な技術の出現や開発手法の変化が起こった場合、その対応に時間や費用を要することにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは調査・研究活動を通して必要とする技術の選択、習得に努めております。

 

(8)カントリーリスク

 当社グループでは中国の現地法人が事業を行っており、当該国における政情の悪化、経済状況の変化、法律や税制の変更などのカントリーリスクにより当社グループの事業戦略や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社取締役が現地法人の役員を兼務し情報交換を密にすることで、打ち手を早める体制を構築しております。

 

(9)大規模災害等のリスク

 当社グループは東京を中心とした関東地区に事業所が集中しており、この地域で大規模地震やパンデミックなどが発生した場合は業務の停止や縮小などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは安否確認システムを導入し、社員及び家族の健康や安全を確保しつつ、顧客に安定したサービスを継続的に提供することを阻害するリスクが発生する場合には、代表取締役社長を本部長とする「緊急対策本部」を設置し、リスク低減、対策の検討とその実施を統括的に進める体制としております。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要施策として位置付けており、持続的な成長の源泉として利益を確保すると同時に、安定的な配当の継続と連結配当性向概ね50%以上を目標として実施することを配当の基本方針としております。

 上記の方針に基づき、当期末の配当につきましては、2024年7月9日の取締役会決議により期末配当金を1株当たり20円といたしました。なお、すでにお支払いしている中間配当金18円とあわせまして、年間配当金は1株当たり38円(期首配当予想より2円増)となります。

 内部留保については、経営基盤の拡大のためのM&A、新規事業、研究開発、人材への戦略的な投資に有効活用し、業績の向上を目指してまいります。

 また、当社は、「取締役会の決議により、会社法第459条第1項各号の法令が定めるところにより、剰余金の配当等を行うことができる。」旨定款に定めており、剰余金の配当としての期末配当は毎年5月31日、中間配当は毎年11月30日を基準日としております。

 なお、年間配当額は5期連続の増配となりました。2024年6月より開始する新たな中期経営計画では累進配当政策を進めてまいります。配当の基本的な考え方につきましては、これまで「利益の1/2」を株主に還元するとしておりましたが、株主価値のさらなる向上を目指し、還元率を「利益の2/3」に引き上げることとし、配当の基本方針を「安定的な配当の継続と連結配当性向66%を目標とする」に変更いたします。来期につきましては、当該配当方針の変更により14円増配の1株当たり年間配当金52円(中間配当金及び期末配当金各26円)とする予定であります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年12月28日

174,113

18.00

取締役会決議

2024年7月9日

193,435

20.00

取締役会決議