人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数8,360名(単体) 20,252名(連結)
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平均年齢42.0歳(単体)
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平均勤続年数17.0年(単体)
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平均年収7,877,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均臨時従業員数は、[ ]内に外数で記載しております。
3 その他は管理部門等の従業員数を含んでおります。
4 前連結会計年度末に比べ従業員数が3,956名増加しておりますが、主として2024年12月25日付で、ネットワンシステムズ㈱を連結子会社化したことによるものであります。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 その他は管理部門等の従業員数を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社グループには、SCSKユニオン、ベリサーブユニオン、SCSK九州ユニオン、北海道CSK労働組合、SCSKシステムマネジメント労働組合の各労働組合が組織されております。なお、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び男女の賃金の差異
(注)
<管理職に占める女性労働者の割合>
1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
2 出向者は、出向元の社員として集計しております。
<男性労働者の育児休業取得率>
1 ※印のある当社および連結子会社の男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
上記には、両立支援休暇(育児目的)および配偶者出産休暇(出産翌日以降取得分)を育児目的休暇の対象とし、取得者を加算しております。
なお、過年度に配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業および育児目的休暇を取得しているため、取得率が100%を超えております。
2 上記1以外の連結子会社については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 ―印は、配偶者が出産した従業員が居ないことを示しております。
4 出向者は、出向元の社員として集計しております。
<男女の賃金の差異>
1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
2 非正規雇用は、有期雇用となる契約社員、定年再雇用社員、アルバイト社員を対象に算出しております。
3 非正規雇用の―印は、非正規雇用の女性従業員が居ないことを示しております。
4 出向者は、出向元の社員として集計しております。
5 非課税通勤手当等は除いております。
6 等級、評価、報酬の制度上及び運用上における男女の差は設けておりません。
7 当社の男女間賃金差異が30代以降の年齢幅で徐々に広がっているのは(以下、年齢幅別の賃金差異参照)、出産や育児などのライフイベントにより、休業や短時間勤務を選択する女性社員が増え、男女の業務の経験量や質が異なってくることから成長スピードに差が生じ、結果として処遇面に影響を与えているものです。そのため、仕事とライフイベントとの両立により、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な社員が同じステージで活躍できるよう長時間労働を是正し、勤務場所や勤務時間に柔軟性を持たせるリモートワークやフレックス制度、半日や時間単位で取得可能な各種休暇制度を整備することで、すべての社員が活躍できる環境づくりを進めております。また、育児や介護のために短時間勤務をする社員がフルタイム勤務へ早期復帰するための支援制度を整備するとともに、女性が活躍できる組織風土を実現するため、女性管理職の積極的登用の目標を設定し、育成とキャリア開発支援に取り組んでおります。
※女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画(2021年度~2025年度)」 https://www.scsk.jp/corp/csr/diversity.html#wactivity
※年齢幅別の賃金差異
21~25歳:98.4%、26~30歳:99.8%
31~35歳:94.1%、36~40歳:86.6%
41~45歳:87.5%、46~50歳:82.9%
51~55歳:84.6%、56~60歳:83.8%
61歳~:75.7%
8 SCSKサービスウェア㈱では、無期転換後の契約社員のうち、週所定労働時間40時間未満の社員は、非正規雇用として集計しております。
9 SCSK北海道㈱の全労働者における賃金差異は、男女それぞれの年齢構成比(以下)が影響しております。
※男女別年齢構成比
男性 39歳以下 52%、40歳以上 48%
女性 39歳以下 72%、40歳以上 28%
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関するガバナンス
当社グループでは、代表取締役 執行役員 社長の諮問機関であるサステナビリティ推進委員会にて、サステナビリティに関する全社的な課題、取り組み施策の検討や確認を行っております。
検討内容は、サステナビリティ推進委員会から、経営会議に報告し、経営会議で全社的な経営に係る観点からさらなる議論を行った後に、サステナビリティ推進委員会から定期的に取締役会に報告が行われ、取締役会で適切に監督される体制を整えております。
また、当社では中期経営計画の基本戦略・経営基盤強化策の実効性を高めるため、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを含む個人評価が反映される役員報酬制度を採用しております。
なお、役員報酬制度の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。
サステナビリティに関するガバナンス体制及び各会議体の構成
サステナビリティに関する各会議体の役割と実施状況
(2)サステナビリティに関するリスク管理
当社グループでは、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、リスクマネジメントに関する規程を定めております。
サステナビリティに関するリスクについては、所管リスク担当部署とリスクマネジメント統括部署が共同し、外部レポートや外部有識者の助言をもとにリスク項目を分析しております。
分析したリスク項目は所管リスク担当部署からサステナビリティ推進委員会に報告を行い、同委員会にてリスクの確認、特定を行っております。特定したリスク項目は所管リスク担当部署からリスクマネジメント統括部署に報告を行い、リスクマネジメントに関する規定に則り、適切に管理されております。
当社のリスクマネジメントの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (1) リスクマネジメントの基本方針と体制」をご参照ください。
サステナビリティリスクの抽出・特定・評価の状況
①気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動が事業活動に与える当社への影響を評価するために、TCFDの枠組みに基づいて気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理しております。
気候変動リスク・機会については、各種政府レポートや各種開示基準(SASB、IFRS S2等)を参考に抽出を行っております。当社グループの事業観点を踏まえ影響が大きいと評価されたリスク・機会については、施策の方向性や対応策を検討しております。
2021年度に当社グループの温室効果ガス排出量の8割を占め、気候変動による影響が大きいと考えられる「データセンター事業」を対象にリスク・機会の特定・評価を実施いたしました。2023年度には当社グループ全体への気候変動による影響を把握するため、対象範囲を全事業領域に広げ、リスク・機会の特定・評価を実施しております。
②自然資本に関するリスク
当社グループは、事業が自然資本へ及ぼす依存と影響を評価するために、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下「TNFD」)の枠組みに基づいて自然資本に関するリスク・機会の把握及び整理をしております。
自然資本関連のリスク・機会については、当社グループの全事業領域を対象範囲とし、LEAPアプローチ(※1)に沿って抽出、特定いたしました。
特定されたリスク・機会については、リスクの最小化と機会の最大化に向けた取り組みを進めることで、自然環境に配慮した事業活動に努めております。
(※1)LEAPアプローチ:TNFDにより開発された、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップを通じて自然との依存・影響関係やリスク・機会など、自然関連の課題を評価する統合的なアプローチ。
③人権に関するリスク
当社グループは、「SCSKグループ人権方針」に基づいて、事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、人権デュー・ディリジェンスを実施しております。
当社グループの人権デュー・ディリジェンスは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「国連指導原則報告フレームワーク」、「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」など、国際的なガイドラインに沿ったプロセスで実施しております。2022年度に、当社グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、業種、地域、企業固有のリスクを踏まえ、優先的に対応すべき人権リスクを特定しました。
また、AI技術の急速な進展により、企業はAIを活用することで新たな機会を創出し、社会の利便性向上に寄与していますが、AIの利用方法によっては人権侵害をもたらすリスクも高まっております。
当社グループでは、事業においてAIが人権に与える影響を理解し、「AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省)」を踏まえ、AIシステム・サービスの開発・提供・利用に関する指針をまとめた「SCSKグループAI基本方針」を策定しました。当社グループでは、既に実施している取り組みの継続・強化に加え、特定された人権課題に対する新たな防止・軽減策の実践を進めることで、人権に配慮した事業活動に努めております。
サステナビリティリスクの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等リスク (2) 事業等のリスク ⑬サステナビリティに関するリスク」をご参照ください。
(3)サステナビリティに関する戦略と組織目標
サステナビリティに関する戦略と組織目標策定の状況
①気候変動に関する事項
(戦略)
気候変動への対応は企業の長期的価値を左右する重要な経営課題と認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。このような考えのもと、当社グループ全体の気候変動の影響を把握するために、当社グループの全事業領域をシナリオ分析の対象として選定しております。気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理し、選択シナリオは4℃シナリオと1.5℃シナリオとしております。
選択シナリオの概要
■4℃シナリオ:経済活動を優先し、炭素規制や再生可能エネルギーの利用は進まず、自然災害の激甚化が進むシナリオ
■1.5℃シナリオ:炭素税の高税率化、炭素排出規制の強化などの政策が世界的に広まり、脱炭素化に向けた積極的な移行が進むシナリオ
主なリスク・機会の概要
■リスク:移行リスクとしては、カーボンプライシングの導入・拡大による操業コストの増加や、脱炭素電源拡大などに起因する電力価格の上昇を背景とした電力調達コストの増加などが考えられます。物理リスクとしては、大雨・洪水の発生による拠点の設備・在庫の棄損や、渇水時におけるデータセンターの冷却水使用制限に起因する操業停止による売上減少などが考えられますが、世界資源研究所(WRI)が提供する評価ツールであるAqueductを用いた調査により、大雨や洪水などによる浸水リスクおよび渇水リスクが無いことを確認しました。
■機会:温室効果ガス排出量削減に向けた社会全体の意欲の高まりや、気候変動による異常気象の増加を背景とした脱炭素型データセンターやレジリエントデータセンターの売上増加など、社会環境変化を捉えた新サービスの需要増加による売上増加が機会として考えられます。
主要なインパクト項目に対する評価結果
(※1)財務影響の評価に当たっては、温室効果ガス排出量削減目標の達成を前提としております。
(※2)電力調達コストの増加に起因する販売価格の適正化による売上増加は試算の対象外としております。
対応策定義
各シナリオにおけるリスク・機会を特定し、施策の方向性・対応策の観点を検討しました。今後、リスク回避/軽減および機会獲得に向けた施策の検討を継続的に実施し、策定された対応策を実行することによって事業活動のレジリエンス向上を目指します。
(指標と目標)
当社グループは、温室効果ガス排出量の削減に向けて、SBTイニシアチブの認定を取得した中長期的な削減目標を設定しております。
温室効果ガス排出量の削減に向けて、環境に配慮した事業活動に意欲的に取り組むとともに、脱炭素社会への変革を事業機会ととらえ、幅広い業界にわたるお客様やパートナー企業との共創を通じて脱炭素社会の実現、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
SCSKグループの温室効果ガス排出量削減目標と実績
(※1)温室効果ガス排出量の開示にあたり、当社WEBサイトに掲載の「2024年度 第三者保証報告書」におけるScope1、Scope2及びScope3の各合計数値についてKPMGあずさサステナビリティ㈱より、第三者保証を取得しております。
(※2)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出。
(※3)Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
(※4)ネットワンシステムズ㈱を2024年12月25日付で連結子会社としたこと、及びビジネスの拡大に伴い増加しております。
(ご参考)
・TCFDシナリオ分析の詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。
公開場所:当社WEBサイト(https://www.scsk.jp/corp/csr/pdf/tcfd_v2.pdf)
・気候変動への対応など、その他の環境に関する取り組みにつきましては、
当社WEBサイト(https://www.scsk.jp/corp/csr/environment/index.html)をご参照ください。
・2024年度の温室効果ガス排出量については、第三者保証報告書と共に当社WEBサイトで公開を予定しております。
公開時期:2025年7月
公開場所:当社WEBサイト
(https://www.scsk.jp/corp/csr/non_financial.html?id=sec03#sec03)
公開内容:Scope1,2,3排出量、Scope3 カテゴリ別排出量
②自然資本に関する事項
(戦略)
自然資本への対応は、企業の長期的価値を決定する重要な経営課題の一つと認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。2024年度には、当社グループにおける自然資本への依存・影響関係の把握、及び関連するリスク・機会を特定するため、TNFDが提唱しているLEAPアプローチに沿った分析を行いました。
Locate、Evaluate
当社グループのバリューチェーン毎に、一般的に自然資本に対しどのような依存・影響関係があるのかを、ENCORE(※1)を用いて分析しました。
分析した一般的な自然資本への依存・影響関係を、当社グループの事業内容や拠点の地理的情報などの定性的な情報と、各事業拠点の温室効果ガス排出量などの定量的なデータを用いて整理し、当社グループにとっての自然資本への依存と影響を特定・評価しました。
その結果、特にデータセンターの操業における水資源への依存や、データセンターやオフィスの操業に伴う、温室効果ガスや廃棄物の排出において、当社グループ単独で直ちに自然環境に及ぼす影響は確認できませんでした。また、温室効果ガスの排出による影響、及び大雨・洪水によるリスクについては、「①気候変動に関する事項」をご参照ください。
(※1)ENCORE:産業別の自然への潜在的な依存・影響などを把握することができるツール
Assess
特定した依存と影響に基づき、当社グループのリスク・機会を抽出しました。抽出する際には、TNFDガイダンス(※2)を参照した他、TCFD開示等で特定した自然に関連するリスク・機会の項目についても再検討し、網羅的に洗い出しを行いました。抽出したリスク・機会については、ステークホルダーにとっての重要性と、当社グループにとっての重要性の観点から評価、特定するとともに、当社グループの対応策を整理しました。
(※2) Guidance on the identification and assessment of nature-related issues: the LEAP approach(version1.1)
Prepare
リスク・機会の分析結果を踏まえ、関連する指標について目標を掲げています。また、今般特定されたリスク・機会、及び指標と目標については、定期的に見直し、対応策の検討を実施していきます。
(指標と目標)
当社グループは、自然関連リスク及び機会を管理・評価するため、温室効果ガス排出量の削減(Scope1,2,3)の定量的な目標を設定しています。
温室効果ガス排出量削減の定量目標については、「①気候変動に関する事項」をご参照ください。
③「人的資本・多様性」に関する事項
当社グループは、「サステナビリティ経営」を成長戦略として取り組むことを掲げており、コアコンピタンスを活用して、お客様や社会と共にさまざまな社会課題の解決に貢献し、社会が必要とする新しい価値を創出しながら、社会と共に持続的に発展することを目指しております。
当社グループの経営理念「夢ある未来を、共に創る」を実現するために掲げている“3つの約束”では、最初に「人を大切にします。」ということを宣言し、社員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、互いの力を最大限に活かすことを約束しております。
2024年3月期よりスタートした中期経営計画では、経済価値と社会価値、人的資本価値等の非財務要素を包含した企業価値である「総合的企業価値」の飛躍的な向上に取り組むことを方針として掲げております。
人的資本価値の向上については、社員一人ひとりの「人材価値最大化」を基本方針としており、社員の能力開発(専門性、スキル、経験等)への投資とともに、社員の能力を高められる事業・案件を常に選択し、成長できる場・環境を用意すること、また、社員が持つ能力を最大限に発揮できる事業分野・事業モデルを常に選択・構築することに取り組んでおります。また、これまでの働き方改革や健康経営を中心に培ってきた働きやすい環境に加え「働きがい」を実感できる会社を目指し、社会価値や経済価値創出への貢献を通じた働きがいやエンゲージメントを高める Well-Being 経営を推進しております。
これらの方針や取り組みを、経営・マネジメントと社員の双方が共感し進められるよう、役員評価に「共感経営」を導入し、理念・ビジョンを共有し共感を生むリーダーシップを発揮することを評価し、その実践度を社員意識調査で計測しております。今後も、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、人材価値を最大化する人的資本経営の実践により、グランドデザイン2030に掲げる「共創ITカンパニー」の実現を確実にすべく取り組んでまいります。
(戦略)
人材価値最大化の基本方針に則った4つの重点施策と全社会議体を設定し、取り組みを進めております。
<人材戦略に関する重点施策>
■事業戦略と人材ポートフォリオ
事業戦略と動的に連動する中期の人材ポートフォリオ計画を、各事業をマネジメントする組織単位で策定し、その計画に基づきOJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成やリスキリングを実行することで、事業戦略に合致したスキルや高度な専門性を有する社員を育成しております。事業戦略をリードする高度デジタル人材の育成においては、実務を通じて実践的なスキルを磨くことに加え、基礎的な知識や手法を体系的に学び実践力を高めるトレーニングが必要なため、デジタル実装力を高めるAIやクラウド等の先進技術者向けの全社教育を拡充しております。
また、多様な社員がそれぞれの能力や意欲を最大限発揮できるよう、事業の構造改革、適材適所の人材配置、職場環境の整備などを同時に進めることで、人材価値最大化を目指しております。そのためには、事業戦略と人材戦略の連動、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲が不可欠であることから、自律的・戦略的・統合的なキャリア開発基盤として「iCDP(Integrated Career Development Plan)」を策定し、複数の制度・施策のつながりを重視した人材価値最大化の基本サイクルを回すとともに、人的資本管理システム「LAP-HCM」の導入により人材情報の可視化・分析を行っております。これにより、全社の人材戦略をはじめ、組織のマネジメントや育成計画の策定、社員一人ひとりのスキルアップと自律的なキャリア開発を促し、ラーニングカルチャーの醸成にもつなげております。
■処遇・報酬制度
競争の激しいIT人材市場において優秀な人材の確保・定着を実現するとともに、社員一人ひとりが高い目標を掲げて意欲的に挑戦できる風土を醸成し、持てる能力を最大限に発揮し成長し続けるために、人材価値を適切に評価し報いる処遇・報酬制度を整備しております。
人材価値最大化の基盤となる人事制度では、組織運営を通じて事業成長を担う経営・マネジメント人材の「GM職掌」、実力をダイナミックに評価するプロフェッショナル人材の「基幹職掌」など、キャリアパスごとの期待・役割に応じて、最適な人材育成と処遇を実現する複線型の人事制度を採用しており、多様な人材が能力開発に取り組み、チャレンジ志向と成長志向を持つ自律的な人材が集う会社を目指しております。また、高い市場価値を有し事業成長に寄与する優秀な人材の確保においては、年収3,000万円超での処遇を可能とする「ADV職掌」を設け、高度な人材の拡充にも取り組んでおります。IT人材の獲得競争が激化し市場価値が高まる中、優秀な人材の確保および社員エンゲージメントをさらに向上させるため、直近2年間では、2024年7月に全社平均で6.1%、等級別の平均では最大10%程度の報酬水準の引き上げを実施しました。2025年7月には例月給与を全社平均で15,000円引き上げ、人事評価や昇格に伴う昇給額と合わせ全社平均では5.2%の報酬水準の引き上げと、新卒採用者の初任給については月額10,000円の増額を予定しております。今後さらに激しく変化が続く事業環境を見据え、事業戦略や市場価値に応じた柔軟な処遇設計を可能とし上位職務への挑戦を促す人事制度への改定に取り組んでまいります。
社員の専門領域での能力は「SCSKキャリアフレームワーク」に基づき7段階のレベルで評価・認定する専門性認定制度により、プロフェッショナル人材の専門性とそのキャリアステップを可視化し、社員の成長を促しております。専門性認定審査のプロセスを通じて目指すレベルとのギャップを把握し、社員と上司が具体的な人材育成計画を策定することで、効果的な専門能力向上のための育成を行っております。専門性認定上位レベルの認定者には、専門性認定手当・一時金を支給し、高度専門人材への適切な処遇を実施するとともに、上位レベル認定に向けたより高レベルの業務への挑戦や学習の促進を図るなど、社員一人ひとりの市場価値の最大化に取り組んでおります。さまざまな事業領域においてデジタル技術の活用やソリューションへの実装を促進するため、高度デジタル人材の人材像と必要なスキルを定義し可視化するデジタルスキル認定制度の創設に向け準備を進めております。
■Well-Being経営
当社グループの最大の財産、かつ成長の原動力は“人”であり、社員一人ひとりの健康こそが、社員やその家族の幸せと事業発展の礎であることから「社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動につながる最高のサービスが提供できる。」という健康経営の理念を2016年3月期に明文化し、健康経営を経営上の重点課題として取り組んでまいりました。
2024年3月期からは、これまでの取り組みで培ってきた働きやすい環境を土台とし、価値創出を通じた社会への貢献と働きがいを実感できるWell-Being経営を実践しております。Well-Being経営の実践においては、当社グループにおけるWell-Beingの7つの価値観と25の指標を独自に定義し、アンケート調査にて社員のWell-Beingの実感値を可視化しております。その結果は「SCSK Well-Being Score」として組織にフィードバックし、組織の実態と照らし合わせながら、Well-Being度を高めるサイクルの確立を目指しております。また、当社グループの全社員がアクセスできるWell-Beingポータルサイトを開設し、Well-Beingの解説動画コンテンツやトップメッセージに加え、当社グループの各社・各組織でのWell-Being向上活動を支援する施策ガイドなどの情報を提供しております。Well-Being経営の理解浸透と組織・社員の主体的なWell-Being向上活動の取り組みにより、2024年3月と11月に実施したアンケート調査では「働きやすさ」「働きがい」ともにWell-Beingの実感値が向上しております。
今後も、当社グループ全体でのWell-Being経営の実践を通して、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社を実現することで、当社グループのエンゲージメント向上を目指してまいります。
■ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
2025年3月期から、D&IにEquity(公平性・公正性)とBelonging(“共に働く”と定義)の要素を加え、DEIB(Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)へとその概念を進化させ、すべての人材がその能力を最大限発揮できる「働きやすい」「働きがい」のある会社を目指しております。
これまで、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な社員が同じステージで活躍できるよう、長時間労働を是正し生産性の高い働き方を目指すスマートワーク・チャレンジや、勤務場所や勤務時間に柔軟性を持たせるリモートワークやフレックスタイム制度、各世代のライフイベントをサポートする各種休暇制度の導入などの環境整備に取り組んでまいりました。これらの取り組みは、社員の自律的な意識の醸成やワークライフバランスの確立に寄与し、DEIB推進の土台にもなっております。
育児との両立支援においては、育児休業や育児休暇を取得する期間に限らず、恒常的に男女ともに育児に参画しながら仕事との両立ができることを目標としております。育児初期においては、育児休業の分割取得や育児に関する特別休暇の拡大に取り組んだ結果、男性社員の育児休業取得率は5年前に比べると10倍に増え、育児休暇も含めると育児に関する休業・休暇の取得率は80%を超えております。男性社員の育児へ参画意識が高まっていることから、2025年3月期には「配偶者の出産休暇」制度を改定し、対象期間と付与日数を最大20日間へ拡充しました。今後も男性の家庭参画を後押しする職場環境を整備し、性別を問わず仕事と育児の両立がしやすい組織風土のさらなる醸成を目指します。
また、多様な人材の能力を引き出し、組織の意思決定における多様性を確保するためには、マネジメント層の人材の多様性を確保する必要があることから、2012年にD&I推進の専任組織を設置して以来、女性の登用については継続的に取り組んでまいりました。社会的背景やアンコンシャスバイアスを克服し、女性の登用を着実に進捗させるため、女性ライン管理職の登用目標を設定するとともに、2階層上のライン職によるメンター制度の導入や、必要なスキルを習得するための社外研修への参加機会、経営層やロールモデルとの対話の場を提供するなどの各役職別の育成・登用に向けた各種プログラムを実施しております。
提出会社の女性登用・育成目標
さらに、属性に関わらず安心して働き、活躍できる職場環境を作るため、LGBTQのインクルージョンを目的とした社員の理解促進、意識啓発にも取り組んでおります。今後は、グループ会社社員も参加可能なオンラインセミナーの開催やアライネットワークの交流の場を通じて、当社グループ全体に取り組みを広げて行く予定です。また、障がい者雇用に関しては、当社グループ及び特例子会社である東京グリーンシステムズ㈱での雇用推進に加え、2025年3月期からパラアスリートの雇用を本格的に拡充し、パラスポーツ競技で活躍しているアスリートへの理解を通して多様性を受け入れるマインドの醸成に取り組んでおります。
属性に関わらず多様な人材がその能力を最大限発揮できる「働きやすい」「働きがい」のある会社を目指し、今後も様々な取り組みを推進してまいります。
(ご参考)
<人材戦略に関する全社会議>
■人材戦略会議
人事分掌役員を議長とし、事業遂行の責任者である各事業部門のグループ長と経営企画分掌役員、人材戦略本部で構成しております。事業戦略と人材戦略の連動性向上など、今後の人材戦略に関する取組みや人事諸制度の刷新に向けた議論を行い、戦略の実行力を高めております。
■DEIB推進委員会
人事分掌役員を委員長、人事分掌役員補佐(DEIB・Well-Being推進担当)を副委員長とし、各事業部門代表の本部長、DEIB・Well-Being推進専任組織責任者で構成しております。意思決定の多様性を確保する女性登用の取り組みやWell-Being経営の実践に向けた具体的な施策について議論を行い、多様な人材が保有する力を最大限に発揮できる職場環境整備と企業風土醸成を推進します。
(指標と目標)
中期経営計画においては、先進技術者の育成に加え、コンサルティング機能の拡充や新規事業開発強化を担うコンサル・ビジネスデザイン人材、質の高いプロジェクト遂行とマネジメントができる高度プロジェクト・マネージャ人材の採用や育成強化について具体的な目標を設定して取り組みを進めております。また、各人材の育成施策および人材獲得、競争力を確保するための報酬水準の引き上げに100億円~200億円規模の人財投資を実行しております。
「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社であること、「心身の健康」が整い高いパフォーマンスを発揮できることは、技術の変遷や事業環境の変化に関わらず求められる基礎的な事項であることから経営指標として設定し、目標水準を達成・維持するための取り組みを行っております。また、DEIBを推進する代表指標として、マネジメント層の多様性を確保することを目的とした女性社員の登用の拡大を目標として設定し、キャリア開発やパイプラインの構築に取り組んでおります。
人材関連データ
※1 連結での数値。(「デジタルスキル標準教育修了者」以外は単体での数値)
※2 正社員・専門型正社員のキャリア採用者数。
※3 期中の平均従業員数に対する依願退職者の割合。
※4 正社員・専門型正社員・シニア正社員の平均年間給与。
※5 詳細は「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および男女の賃金の差異<男女の賃金の差異>」をご参照ください。
※6 社員意識調査で、「働きやすい会社」および「やりがいのある会社」の両項目にポジティブ回答を行った社員の割合。2025年3月期の実績(連結)は、それぞれ87.2%、77.5%。
※7 社員意識調査で、「自分の能力が十分活かされている」項目にポジティブ回答し、さらに健康アンケートで「健康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに80%以上発揮できている」と回答した社員の割合。2025年3月期の実績(連結)は、それぞれ75.1%、75.4%。
※8 取締役は除く、受け入れ出向者は含む。目標「部長級の女性数3倍以上」については2023年3月期実績に対する比率を算出。
※9 期中に育児休業等の利用を開始した社員の数。
※10 期中に本人もしくは配偶者が出産した社員のうち、期中に育児休業等の利用を開始した社員の割合。
※11 期中に育児休業等を終了し復職もしくは退職した社員のうち、復職した社員の割合。
※12 育児休業等を利用し、期中に復職した社員における育児休業等の平均取得日数。
※13 家族の看護、中学校卒業までの子の育児に必要な疾病予防および学校行事への参加、不妊治療による通院の際に時間単位で取得可能な休暇(年間5日間)。
※14 裁量労働制適用者、管理監督者を含む全社員の平均。
・「人的資本・多様性」に関する詳細な情報については、当社WEBサイトに公表されている「統合報告書」をご参照ください。https://www.scsk.jp/ir/library/report/index.html