2025年2月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,685名(単体) 2,752名(連結)
  • 平均年齢
    33.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    9.4年(単体)
  • 平均年収
    5,517,000円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 2025年2月28日現在

従業員数(名)

2,752

(7,832)

 

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は( )内に年間平均人員(1日8時間換算)を外数で記載しております。

2 当社グループは、小売業のみを営んでおり、単一のセグメントであるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。

 

(2) 提出会社の状況

 2025年2月28日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,685

(7,482)

33.5

9.4

5,517

 

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は( )内に年間平均人員(1日8時間換算)を外数で記載しております。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 当社は、小売業のみを営んでおり、単一のセグメントであるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は以下のとおりであり、組合員数には連結子会社の人数を含んでおります。

(イ)名称

ベルク労働組合

(ロ)上部団体名

全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟

(ハ)結成年月日

1986年2月24日

(ニ)組合員数

13,299名(2025年2月28日現在)

(ホ)労使関係

労使関係は円滑に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注)1、3

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

3.6

107.8

49.5

70.1

99.7

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。

 

 ② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

株式会社ホームデリカ

4.5

株式会社ジョイテック

0.0

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.常用雇用する労働者が100人以下の事業会社であるため、「管理職に占める女性労働者の割合」のみの記載となっております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、気候変動等の環境課題、人権、人的資本経営、サプライチェーン等に関するサステナビリティを巡る課題への対応が、リスクの減少のみならず中長期的な企業価値の向上につながる重要な経営課題であると認識しております。

リスク管理委員会は、当社グループの経営資源の保全、社会的評価及びステークホルダーへ影響を与えうるリスク(不確実性)に対して、迅速かつ的確に対応することを目的として設置しています。2024年1月より、サステナビリティを巡る課題への対応は、全社的な視点から包括的に評価し戦略的なアプローチが必要なことから、その課題への対応をリスク管理委員会の所管事項としました。

リスク管理委員会は、代表取締役社長を委員長、業務執行取締役を委員として構成し、オブザーバーとして常勤監査役が委員会に出席しています。リスク管理委員会は、サステナビリティを巡る課題に対する方針の策定、担当取締役の任命、リスクと機会の特定、指標及び目標の設定のほか、取組計画の承認及び進捗状況の監督等を行っています。リスク管理委員会は、2025年2月期においては7回開催し、その議事内容は、委員会事務局(業務サポート部)がその議事内容を記録し、取締役会に報告し、取締役会との連携を図っています。

また、当社グループのサステナビリティに関する考え方、目標、取組状況等について、ステークホルダーの皆様と共有するため、2023年3月にサステナビリティ広報室を設置し、IR専門部署である業務サポート部とともに、サステナビリティ情報開示の充実を図っています。


スーパーマーケットを事業活動の中心としている当社グループが、持続可能な社会の実現に向け果たすべき役割について、リスク管理委員会において、その洗い出しを行い、下表のとおり特定しました。

E/環境

・気候変動対応

・循環型社会への貢献

・廃棄物排出量の削減

S/人的資本経営

・様々な課題を解決し、新しい価値を作り出す人間力のある人材の育成

・ダイバーシティ

・健康経営

S/地域社会との連携

・安全安心な商品の供給

・地域社会への貢献

G/コーポレートガバナンス

・コンプライアンスの徹底

・リスクマネジメント

 

今後も、取組の進捗状況、外部環境及び社会意識の変化を踏まえ、定期的な見直しを行っていきます。

 

 

(2)戦略

①気候変動への対応に関する戦略 

(気候変動対応に関する指標・目標の設定)

持続可能な社会の実現に貢献するため、環境マネジメントの重要なテーマとして、次の項目を選定し、各種施策を推進しています。

1. 政府が推進する「2050年目標(カーボンニュートラル:CO2排出量ゼロ)」の実現に向け、当社グループでは、長期目標として「2050年度のGHG(温室効果ガス)排出実質ゼロ」を目指し、再生可能エネルギーへの転換、省エネ・創エネの取り組み等、その対応を進めていきます。

2. 循環型社会の実現のため、事業活動から排出される資源ゴミだけでなく、販売した製品の包材等の回収を積極的に行い、資源利用量の削減に取り組んでいきます。

3. 廃棄物排出量削減のため、デジタル技術やデータを活用した発注数量コントロール、販売方法の見直し、食品リサイクルの推進を行い、排出量の削減に取り組んでいきます。

4. その他、環境に対する負荷の軽減または回避、汚染の削減等に取り組むとともに、法令及び規制を遵守いたします。

 

(シナリオ分析の前提条件)

当社グループは、スーパーマーケットを展開する当社(株式会社ベルク)、惣菜を中心とした加工食品の製造を行う株式会社ホームデリカと、販売資材、消耗品等の供給及び店舗等の清掃業務を行う株式会社ジョイテックで構成されています。

TCFDシナリオ分析の実施対象範囲は、スーパーマーケット事業を展開する当社グループ全体とし、時間軸は、当社グループ中期経営計画実行年度及び政府の温室効果ガス排出削減目標の時間軸にあわせ、短期 2027年、中期 2030年、長期 2050年に設定しました。

また、急速に脱炭素社会が実現する「1.5℃シナリオ」及び気候変動により自然災害の甚大化と頻度が増加する「4℃シナリオ」について、次のように設定しました。

設定シナリオ

1.5℃シナリオ

※急速に脱炭素社会が実現

4℃シナリオ

※気候変動により

自然災害の甚大化と頻度が増加

現象

産業革命以前と比較して平均気温上昇が1.5℃程度。気候変動対策の政策・法規制が大幅に強化され、この結果、脱炭素に向けて社会変容が発生する。災害等の物理的リスクは現状比不変。

産業革命以前と比較して平均気温上昇が4℃程度。気候変動対策の政策・法規制及び脱炭素社会への移行が進まず、気候変動による物理的なリスクが顕在化。

参照

シナリオ

物理面

 IPCC SSP1-1.9

持続可能な発展の下で、気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオ

IPCC SSP5-8.5

化石燃料依存型の発展の下で、気候政策を導入しない最大排出量シナリオ

移行面

IEA WEO2023 NZE シナリオ

(Net Zero Emissions Scenario)

世界全体として2050年にGHG排出量をネットゼロにすることを前提に策定されたシナリオ(2100年の温度上昇1.5℃)

IEA WEO2023 STEPSシナリオ

(Stated Policies Scenario)

50%の確率で、2100年の温度上昇2.4℃となるシナリオ

 

シナリオ分析を実施するにあたり、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオにおける当社グループを取り巻く将来の世界観を整理いたしました。

1.5℃シナリオにおいては、環境規制が進み低炭素社会へ移行し、炭素税の導入やフロン規制強化など、移行リスクに関連するコストが増加することが想定されます。一方で、顧客の環境に対する意識が向上し、環境配慮型商品の需要が増加すると考えられます。

4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行は失敗し気温は大きく上昇、物理的リスクが顕在化することが想定されます。異常気象や気温上昇による食料品の収量・品質悪化、食料品価格の上昇等が想定され、安定的な食品供給の重要性が高まると考えられます。

 

(気候変動による重要なリスクと影響度の定性評価)

当社グループでは、主要な事業であるスーパーマーケット事業において、気候変動により想定されるリスクと機会の洗い出しを行う過程で、バリューチェーン分析を実施しております。

分析においては、スーパーマーケット事業におけるバリューチェーンを大きく5つの枠組みに簡略化し、各段階におけるリスクと機会の洗い出しを行った後、リスク重要度評価を行い、当社グループにとって重要度の高いリスクと機会を特定しました。その後、対象事業と関係のあるシナリオを参照し、特定したリスクと機会に対して、財務的影響を把握しました。

リスク

要因

考えられるリスク

事業インパクト

時間軸

対応策

1.5℃

4℃

財務的

影響

移行
リスク

政策

規制

炭素税導入

炭素税の導入によるコストの増加

費用

増加

中・長期

・GHG排出量削減目標の設定及び削減施策の実行

・電力等のエネルギー調達先・方法の見直し

GHG排出量規制強化

フードロスへの対応強化にかかるコストの増加

費用

増加

短・中・長期

・適正発注による発生抑制

・食品残渣のリサイクル及び適正処理

・サプライヤーとの協働

・在庫管理最適化

・フードバンクへの寄付

・補助金の活用

代替フロン規制強化

フロン規制強化による設備投資コストの増加

費用

増加

短・中・長期

・設備更新計画の立案及びコストシミュレーション

・適切な点検、メンテナンスの実施

・補助金の活用

物理的リスク

急性

気候変動による災害激甚化、サプライチェーンの寸断・脆弱化

店舗罹災時における復旧コストの増加

費用

増加

短・中・長期

・BCPの策定及び災害発生時の早期営業再開準備

・ハザードマップを活用した危険度の把握及び対応

・自治体等との連携による相互支援体制の整備、構築

浸水・停電等の被害による店舗や製造拠点の営業停止

売上

減少

短・中・長期

生産地や物流機能への被害による商品・資材の欠品・供給不足

売上

減少

中・長期

・商品調達及び物流体制の強靭化、多様化、分散化

慢性

平均気温の上昇、降水・気象パターンの変化

農・畜・水産物の収量低下による原材料価格の上昇

費用

増加

中・長期

・気候変動の影響を受けやすい重要品目の特定及び産地との連携

・原材料の調達ルートや輸送手段の多様化、分散化

・気候耐性のある原材料の調達拡大による安定的な仕入れの確保

・気候変動に左右されない冷凍食品や加工食品の拡充

農・畜・水産物の欠品・品質低下等による販売機会ロス

売上

減少

中・長期

 

※ リスク重要度評価を実施するにあたり、「発生した際の影響の大きさ」及び「発生頻度」の2軸の評価基準を用い、その影響度を小・中・大の3つに分類しております。

 

機会

考えられる機会

影響度

機会の取込施策

1.5℃

4℃

機会

資源
効率

発注システム高度化によるフードロス削減、原材料調達コストの減少

・省エネ・再エネ設備の導入に際しての資金調達手段の多様化

・上記における費用対効果を最大化させるコストシミュレーション及びシナリオ分析の実施

・専門部署「データコントロール室」による適正な発注数量のコントロール実施

・全店舗、全工場における食品残渣のリサイクル実施(堆肥化・飼料化・ガス化)

・自然冷媒を使用する冷蔵、冷凍ケースの導入拡大

食品残渣の有効活用によるフードロス削減、廃棄コスト減少

自然冷媒を使用した設備の導入によるエネルギー効率の向上、GHG排出量削減

市場

産地との連携による調達力強化

・気候変動の影響を受けやすい重要品目の特定及び産地との連携

製品とサービス

顧客嗜好に合わせた環境配慮型商品の仕入・開発による売上増加

・環境配慮型商品の仕入・開発による売上増加

自社ネットスーパーの利便性強化により利用者増加、売上拡大

・ネットスーパーにおける機能の充実化、サービス提供地域の拡大

レジリエンス

サプライチェーンの見直し、再構築によるレジリエンス強化

・各自治体のハザードマップ等を活用し、事業所別危険度を把握

・BCP計画(被害の事前想定と事業継続に向けた計画)の策定、被害が発生した場合の早期営業再開に向けた体制構築

・原材料の調達ルートや輸送手段の多様化

・自治体との連携による相互支援体制の整備、構築

調達ルートの多角化による競争力強化、売上増加

 

※ 影響度については、「〇」は影響が大きいと想定されるもの、「△」は限定的に影響を受けるものとしております。

 

(事業インパクト評価を踏まえた財務的影響の整理)

事業インパクト評価において影響度「大」と評価したリスクについて、財務への影響を具体的に整理しました。今後は定量的な数値の算定・把握に取り組んでいきます。

シナリオ

リスク

要因

考えられるリスク

財務への影響度の想定

1.5℃

シナリオ

移行リスク

政策・規制

炭素税導入

炭素税の導入によるコスト増加

・炭素税の導入により、当社グループが排出するScope1、Scope2に対する炭素税負担が増加

GHG排出量規制強化

フードロスへの対応強化にかかるコストの増加

・フードロスに関わる各種規制が強化された場合、食品廃棄コストや環境コスト(サプライチェーンにおける上流・下流での炭素税負担の転嫁)の増加により、費用増加

代替フロン規制強化

フロン規制強化による設備投資コストの増加

・代替フロンに関する規制が強化された場合、フロン排出削減のため、冷蔵・冷凍設備の入替が必要となり、費用増加

4℃

シナリオ

移行リスク

政策・規制

GHG排出量規制強化

フードロスへの対応強化にかかるコストの増加

・フードロスに関わる規制が強化された場合、主に食品廃棄コストの増加により、費用増加

物理的リスク

急性

気候変動による災害激甚化、サプライチェーンの寸断・脆弱化

店舗罹災時における復旧コストの増加

・風水害等による災害の激甚化により、店舗が罹災することで復旧コストが発生、費用増加

浸水・停電等の被害による店舗や製造拠点の営業停止

・風水害等による災害の激甚化により、店舗や製造拠点において浸水・停電等の被害が発生。営業停止により売上減少

生産地や物流機能への被害による商品・資材の欠品・供給不足

・風水害等による災害の激甚化により、生産地や物流機能への被害が発生。商品や資材の供給が滞ることにより、商品の欠品や品不足が発生し、売上減少

・一方、大規模災害時の消費者による買いだめ等の行動により、一時的な売上増加も発生

物理的リスク

慢性

平均気温の上昇、降水・気象パターンの変化

農・畜・水産物の収量低下による原材料価格の上昇

・平均気温の上昇や天候不順により、サプライチェーンの上流において、農・畜・水産物の収量低下が発生。供給不足により原材料価格が上昇し、費用増加

・平均気温の上昇や天候不順により、サプライチェーンの上流における生産性低下による欠品・品質低下が発生。品不足や品質低下により販売量が低下し、売上減少

農・畜・水産物の欠品・品質低下などによる販売機会ロス

 

 

(対応策の検討)

政府が推進する「2050年目標(カーボンニュートラル:CO2排出量実質ゼロ)」の実現に向け、当社グループでは、長期目標として「2050年度のGHG(温室効果ガス)排出実質ゼロ」を目指し、その対応を進めていきます。GHG排出量削減の取り組みでは、排出量の8割を占める電気の使用に伴う間接排出を重点に、省エネ・創エネのほか、再生可能エネルギーへの転換を推進し、削減目標の達成を目指していきます。

電力使用量を抑える「省エネ」は、設備面では、店舗照明を蛍光灯使用時と比較して消費電力が約半分となるLED照明への切り替え、効率よく保冷する開閉式扉のショーケースの導入等を行い、運用面では、使用電力を見える化し、コントロールするデマンドモニターを全店に設置し、電力使用量の削減に取り組んでいます。

電気を創る「創エネ」では、物流センターや店舗において「太陽光発電」の設備導入を順次進め、CO2を排出しない再生可能エネルギーの採用を拡大しています。2025年2月末現在では44か所の事業所に「太陽光発電」設備を導入し、CO2排出量4,319t-CO2に相当する1,021万kWhを発電しました。

「再生可能エネルギーへの転換」では、店舗や物流センターで使用する電力を非化石電源に順次切り替え、2025年2月期には、電力会社から供給される電力の約8割を発電時に化石燃料を使用せず大気中のCO2を増加させない「非化石電源」への切り替えを行い、101,140t-CO2相当のCO2排出を削減しました。

また、GHG排出量の約1割を占める代替フロンについては、従来の代替フロンガスから自然冷媒を使用する冷蔵ケースを導入することにより、GHG排出量の削減に取り組んでいます(2025年2月末現在、19店舗に導入)。

店舗及び冷凍機器の更新を伴う既存店舗の改装では、半数以上の店舗に自然冷媒機器を導入しています。

 

当社グループでは、資源循環型社会への貢献の取り組みとして、スーパーマーケット事業の特性を活かしたリサイクル活動を積極的に推進し、資源利用量の削減に取り組んでいます。

全店舗の店頭に「リサイクルステーション」を設置し、ペットボトル・牛乳パック・食品トレー・アルミ缶等を回収しています。お客様には、販売した商品の包材を次回のお買物時にご持参いただくことで、普段の生活スタイルの中でリサイクル活動にご協力いただいています。回収ボックスの大型化や回収作業の効率化を図ることで、より多くの回収量を目指しています。また、店舗の営業に伴って排出されるダンボール、発泡スチロール、雑紙についても、店頭回収と同様に、リサイクルを行っています。

回収した資源ゴミは、自社配送の帰り便を活用して、物流拠点に隣接した自社「リサイクルセンター」に配送しています。リサイクルセンターは、2004年に開設され、回収した資源ゴミの減容及び溶解処理を行い、2025年2月期には、ダンボール(29,554トン)をはじめ、39,882トンをリサイクルしました。

 

廃棄物排出量の削減への取り組みは、食料品を取り扱うスーパーマーケットにとって重要なテーマの一つです。

廃棄物の発生抑制では、当社グループの特長である本社主導型経営により、デジタル技術やデータ分析を活用し、専門部署「データコントロール室」が適正な発注数量のコントロールを行っています。また、商品化や販売方法の見直しにより、食品残渣の削減、売り切りに取り組んでいます。

また、発生してしまった食品残渣は、全店舗、全工場において食品リサイクル(堆肥化・飼料化・ガス化)を実施しており、当社の食品リサイクル率は69.9%(2024年2月期)となっています。また、微生物による分解処理機の設置(44か所)、脱水処理による運搬や焼却時の環境負荷の軽減に取り組んでいます。

2024年3月には、専門部署「フードロス対策室」を新設し、施策推進を深化させるとともに、サプライヤーとの協働により、サプライチェーン上のフードロスに関する課題の解決に取り組んでいます。

 

②人材の多様性の確保を含む人的資本に関する戦略 

当社グループの経営理念は、社名の由来でもある「Better Life with Community(地域社会の人々に より充実した生活を)」であり、これをコンセプトに生鮮食料品を中心に地域密着型のストアづくりに取り組んでいます。

小売業は変化対応業であり、常に時代の変化を見据え、社会環境の変化に対応していかなければなりません。当社グループの中長期的な企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現へ貢献するために、人材育成及び社内環境整備は重要な経営課題の一つであると認識しております。

 

(人材育成に関する方針)

当社グループでは、「様々な課題を解決し、新しい価値を創り出す人間力のある人材」の育成を目指し、一人ひとりのレベルや立場、特性に応じた教育プログラム、技術や知識の習得を行うトレーニングセンターの設置、デジタルツールの活用、体験型学習への転換等、変化を楽しみながら、お客様の笑顔を見たい、地域に貢献していきたいという従業員の成長をサポートしています。

 

 ・ 階層別・職種別研修(新入社員・フォローアップ・スペシャリスト・キャリア採用)

 ・ 技術研修(作業技術・商品知識・販売知識・産地視察・工場視察)

 ・ 管理者研修(部門チーフ・副店長・店長・課長塾)

 ・ 特別研修(若手人材育成・ビジネススキル・食とマナー)

 ・ 部門横断したテーマ別勉強会(商品開発・デジタル学習)

 ・ 外部セミナーへの派遣

 ・ 自己啓発支援(通信教育・デジタル学習ツール・社内資格認定試験)

 

(社内環境整備に関する方針)

従業員一人ひとりが能力を発揮するには、「従業員が前向きにチャレンジできる社内環境の整備」が不可欠であると考えており、様々な取り組みを推進しています。

 

 ・ 仕事のやりがいを醸成する従業員エンゲージメントの向上とハラスメント対策

 ・ 仕事とプライベートを両立し、働きやすさを実現するワークライフバランス

 ・ 多様な視点や価値観を共有し、従業員の個性と能力を発揮するダイバーシティの推進

 ・ 従業員が心身ともに健康であることを推進する健康経営・労働安全衛生の取り組み

 

(従業員エンゲージメント)

従業員一人ひとりの能力が最大限発揮できるように従業員との良好な関係をつくり、仕事のやりがいを醸成する取り組みを推進し、従業員エンゲージメントの向上を図っています。商品開発及び接客等の優れた取り組み、技術及び知識に優れた従業員に対する表彰を行ない、また、1on1面談及び自己申告制度を通じて従業員の立場や特性に応じた意見や悩みを把握することで、能動的に業務に取り組める社内風土、環境づくりを行っています。

 

当社は、「経営資源の成長分野への重点的な投入、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力する」ことを方針としています。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、「賃金決定の大原則」に則り、自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、それ以外の総合的な処遇改善としても、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性の向上に資するよう、人材投資を中心に積極的に取り組むことを通じて、従業員への持続的な還元を目指しています。賃金の引上げについては、社会情勢や経営環境を考慮しつつ、適切な定期昇給、人事評価制度を通じた役割・成果に応じた評価・報酬制度の適正性向上、業務効率化による労働環境改善等も含めた総合的観点での賃上げに取り組んでいきます。

また、人材投資については、研修制度の拡充や自己啓発支援制度の活用による人材育成強化、人材の多様性の推進等により、人的資本の拡充に取り組んでいきます。

 

ハラスメント行為は、人権侵害にあたるだけでなく、従業員のメンタル不調・モチベーションの低下につながる等、企業価値向上を阻害する課題として、経営陣のみならず、従業員一人ひとりが予防・防止に取り組むことが重要と考えます。毎年4月を「ハラスメント防止啓発月間」とし、全従業員向けにトップメッセージの発信、ハラスメント防止研修の実施、ポスターの掲示等を行ない、予防・防止への意識を高める機会として取り組んでいます。ハラスメント行為の相談・通報窓口として、コンプライアンス委員会が運営する「従業員情報ダイヤル」を設置し、必要に応じて調査・是正措置を行なうこととしています。

また、当社グループは、地域社会の人々により充実した生活を提供するために事業活動を行い、お客様との関係を大切にしていますが、時にはお客様からの不適切な言動や行為によって、従業員が困惑したり、不快な思いをすることがあることから、2023年11月に従業員の安全配慮義務の観点からこのような課題に対する行動指針を定め、公表・店内掲示を行いました。

2025年2月には、従業員への実態調査結果から接客時の名札(名前の非表示)を変更し、従業員の心理的負担の軽減、プライバシーへの配慮を行っています。

 

(ワークライフバランス)

仕事とプライベートを両立し柔軟な働き方ができる職場環境の整備は、従業員の成長を促し、業務が効率化するだけではなく、従業員の健康維持、多様な人材の活躍につながると考え、従業員一人ひとりの「働きやすさ」の実現を目指しています。

 

労働時間の適正化及び休暇の取得促進については、部門横断的に課題を共有し解決するための会議を開催しています。多様な働き方については、地域限定社員制度の導入により従業員の生活環境や価値観、ライフステージに合わせた正社員区分の選択が可能となっています。また、積極的なデジタルの活用によるテレワークの推進を行う等、仕事とプライベートを両立する取り組みを行い、埼玉県の多様な働き方実践企業認定制度の「プラチナ」に認定されています。特に、女性従業員の育児休暇取得率が100%である一方、男性従業員の取得率は1割程度と低い水準であることが課題でした。2022年4月に育児・介護休業法が改正されたことを機に、男性従業員への育休取得の意向確認を強化し、育児休暇取得対象者に対する育児休業によるメリット、様々なサポート体制の周知を行い、また、育児休暇中の代替人員体制を整備することで、2030年までに100%取得を目指していきます。

2005年4月より施行された「次世代育成支援対策推進法」を実践していくために、以下のとおり行動計画を策定しています。すべての社員がその個性と能力を充分に発揮し、安心して働きつづけることができるような雇用環境を整備し、仕事と子育てを両立させ、次世代育成支援について地域に貢献できるような策定内容とし、取り組んでいきます。

 

 ・ 男性従業員の育児休業取得率を70%以上にする

 ・ 男性従業員の育児休業取得者のうち、1か月以上取得する割合を50%以上にする

・ 雇用するすべてのフルタイム労働者一人当たりの各月の法定時間外労働及び法定休日労働の合計時間数を平均25時間未満とする

 ・ キャリア形成のサポート強化

 

2025年2月期においては、従業員が安心して長期的に働ける職場環境の整備のため、新たに2つの制度を導入しました。2024年9月からは、従業員が不幸にも亡くなった際に、その遺族を支援する新たな制度「従業員遺族サポート制度」を導入しました。この制度は、従業員が安心して働ける環境を提供するとともに、万一の場合でも、遺族が安心して暮らせる環境を整えることを目的としています。

また、2024年10月からは、新卒で入社する正社員を対象に「奨学金返還支援(代理返還)制度」を導入しました。この制度は、独立行政法人日本学生支援機構から奨学金を借りている社員に対し、当社が同機構への返還を代理で行うことで社員の心理的及び経済的な負担を大幅に軽減し、この支援を通じて社員が安心して長期的に働ける環境を整えるとともに、個々のキャリア形成とモチベーションの向上に繋げることを目的にしています。

 

(ダイバーシティの推進)

多様な視点や価値観が存在することが、会社の持続的な成長を確保する上で強みとなるとの認識に立ち、従業員の個性と意欲を尊重し、ダイバーシティの推進に取り組んでいます。

 

女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、2021年4月から2026年3月までの「女性活躍推進法に基づく行動計画」を策定しています。現状においては、正社員における女性の比率が低く、また、平均勤続年数において差があるとの課題認識から、目標を設定し取り組みを推進しています。

 

1. 正社員に占める女性の割合を2021年3月末時点の22.6%から25%までに引き上げる

2. 女性の平均勤続年数を男性の平均勤続年数に対して70%以上とする

 

働く女性従業員に向け「誰もが働きやすい会社」を実現するため、キャリアプラン形成、働く環境及び女性特有の課題等について、女性の働き方・女性活躍をテーマにプロジェクトを立ち上げ、従業員アンケートや研修を通じ、その改善に取り組んできました。2025年3月に、女性活躍推進をはじめとするダイバーシティに関する専門部署「キャリアイノベーション室」を設置し、女性管理職・スペシャリストの育成及びキャリア支援等、多様な人材が活躍できるキャリア開発と組織全体の生産性向上を推進することとしました。

 

当社グループでは、国籍にかかわらず積極的に外国人採用を行い、2024年2月期からインド人のシステムエンジニアを新規採用しました。また、外国籍の従業員が安心して勤務や生活ができるように体制を整え、一人ひとりの個性や多様性を尊重しながら、組織で活躍できる職場づくりに取り組んでいます。

 

当社グループの障がい者雇用は、法定雇用率の達成は当然ながら、障がい者の方々が当社グループの一員として個々の特性や強みを生かして働く職場づくりを目指しています。採用に当たっては、特別支援学校・就労支援機関・ハローワークを始めとしたサポート機関と連携し、業務や職場環境を理解したうえで採用を行っています。

当社は、2019年に障がい者雇用優良事業所として「厚生労働大臣表彰」を受賞し、また、2020年には、障がい者就労農園「わーくはぴねす農園さいたま川越(埼玉県川越市)」に参画し、地域の障がい者を雇用し、農園で栽培した野菜を近隣店舗で販売を行なう、スーパーマーケットならではの取り組みを開始しています。

 

(健康経営の推進)

当社グループは、従業員一人ひとりの健康が企業の持続的な成長の基盤であると考え、健康経営を積極的に推進します。

当社グループは、健康経営の実現がリスクの減少のみならず中長期的な企業価値の向上につながる重要な経営課題であると認識し、経営理念である「Better Life with Community(地域社会の人々に より充実した生活を)」の実現には、従業員が心身ともに健やかに働くことが必要不可欠であり、その為に健康で活力のある職場環境の整備に努める必要があると考えます。

従業員の健康保持・増進の取り組みは、当社グループの将来の企業価値に大きな影響を与える要素であり、従業員の健康状態の悪化は、企業の生産性を低下させることになり、さらには、人材の定着率の悪化等、有能な人材の確保・定着にも悪影響を及ぼす可能性がある重要な経営課題の一つとして認識しています。

また、当社グループでは、役員及び従業員が守るべき行動規範である「ベルク行動基準」において「安全かつ衛生的な職場環境を維持し、従業員の健康を重視した快適な職場環境に努めます」とし、倫理規範である「商売六訓」においては「働いている従業員も健康で幸せになろう」と明文化することで、役員及び従業員がこの価値観を共有しています。

 

健康経営の推進体制と取組内容として、代表取締役社長が委員長を務める「リスク管理委員会」において、課題に対する方針の策定、健康経営を担当する取締役の任命、リスクと機会の特定、指標と目標の設定のほか、取組計画の承認及び進捗状況の監督を行っています。リスク管理委員会は、2か月に1度の頻度で開催され、健康経営の推進に関する取組状況の確認を行い、その議事内容は、委員会事務局(業務サポート部)が作成する議事録を取締役会に報告し、取締役会との連携を図っています。

2024年3月には、専門部署「メンタルヘルス室」を設置し、ストレスチェック等のサーベイ結果を分析し、課題の抽出、対策の立案を行い、不調者の発生を未然に防ぐ体制を整備しました。

人事教育部及びメンタルヘルス室を中心に、従業員組織である労働組合との協議、健康保険組合との連携を図り、定期健康診断の実施とフォローアップ、健康増進プログラムの実践、メンタルヘルスケア等の取り組みを推進しています。

 

 ・ 従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討

 ・ 健康経営の実践に向けた土台づくり

 ・ 従業員の健康づくりに関する施策の実行

 

従業員の安全と健康保持、労働災害事故防止などのため、各拠点で労働安全衛生委員会を開催し、その意見を反映させています。委員会では、労働災害の発生状況や労働時間の管理状況について確認、報告、対応を行っています。また、職場での安全確保の意識醸成のため、毎年8月を「労災防止強化月間」とし、全従業員向けにトップメッセージの発信、重点項目の共有及び対策の啓発活動を行っております。

2025年2月期においては、従来の立ち姿勢でのレジ接客を見直し、従業員の身体的負担を軽減することでより良い接客につなげていく取り組みを開始しました。この取り組みは、SAFEコンソーシアムが主催し労働災害防止の取り組みを表彰する令和6年度「SAFEアワード」において、安全な職場づくり部門の「ゴールド賞」を受賞しました。

 

(3)リスク管理

当社グループの全社的なリスク管理は、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会において、経営資源の保全、社会的評価及びステークホルダーへ影響を与えうるリスク(不確実性)に対して迅速かつ的確に対応するため、当社グループを取り巻くリスクの特定、リスクの評価と洗い替え、リスクの顕在化を未然に防ぐための体制整備や対策について策定しています。

なお、サステナビリティに関するリスク管理については、全社的な視点から包括的に評価し、戦略的なアプローチが必要なことから、その課題への対応をリスク管理委員会の所管事項としております。

気候関連のリスク評価手法については、「発生した際の影響の大きさ」と「発生頻度」の2軸を用いてリスク重要度評価を実施しております。今後は、機会の管理についても全社的なマネジメントシステムに組み入れるべく、運用を検討してまいります。

 

(4)指標及び目標

①気候変動対応に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

政府が進める「2050年目標(カーボンニュートラル:CO2排出量実質ゼロ)」に向け、当社グループは、長期目標として「2050年度のGHG(温室効果ガス)排出実質ゼロ」を目指していきます。

中期目標及び短期目標の達成に向けて、GHG排出量の大部分を占める電気の使用に伴う間接排出について、省エネ・創エネの取り組みのほか、2030年度までに電力使用量の50%以上を再生可能エネルギーに切り替えを行う等の取り組みを行っていきます。

Scope3については、今後、ステークホルダーの協力のもと、順次把握を行っていきます。

なお、当事業年度実績について、気候変動に関する一部実績は、確定に時間を要するため、有価証券報告書上では見込値とし、当社ホームページで確定値を記載いたします。

 

指標

目標

GHG(温室効果ガス)排出量

Scope1・Scope2

長期目標

目標年度 2050年度

GHG排出実質ゼロ

中期目標

目標年度 2030年度

GHG排出量を50%削減する(2013年度比)

短期目標

目標年度 2027年度

基準年度(2013年度)と同水準にまで削減する

 

 

 

実績

(当事業年度)

基準年

(2013年度)

基準年比

Scope1

事業者自ら排出

燃料の燃焼による排出

6,415

3,035

211.4

工業プロセスによる排出

15,828

10,225

154.8

Scope2

他社からの供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出

19,351

58,285

33.2

合計(t-CO2)

41,595

71,545

58.1

 

(注)1 基準年のGHG排出量は推定値を含みます。

2 燃料の燃焼による排出は、各拠点での都市ガス・LPガスの使用、社有車のガソリン使用、A重油によるボイラーの使用等であります。

3 工業プロセスによる排出は、各拠点での冷凍冷蔵設備及び空調機器使用に伴うフロン類の漏洩等(地球温暖化係数を乗じてCO2排出量に換算)

4 電気等の使用に伴う間接排出は、各拠点での電力使用量であります。(自社商業施設でのテナント使用分を含む)

   5 GHG排出量算定の範囲は、当社グループ全体であります。

6 当事業年度の実績について、一部実績は、確定に時間を要するため有価証券報告書提出段階での見込み値であります。

 

➁人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

当社グループは、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

(当事業年度)

正社員に占める女性の割合

2026年3月末までに25.0%

26.5%

正社員平均勤続年数における
女性の男性に対する割合

2026年3月末までに70.0%以上

60.0%

管理職に占める女性労働者の割合

2030年2月期末までに10.0%

3.6%

男性労働者の育児休業取得率

2030年2月期末までに100.0%

107.8%