事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
医薬品卸売事業 | 2,313,967 | 82.7 | 31,916 | 86.2 | 1.4 |
ヘルスケア製品開発事業 | 52,613 | 1.9 | 1,916 | 5.2 | 3.6 |
地域医療介護支援事業 | 94,414 | 3.4 | 1,291 | 3.5 | 1.4 |
スペシャリティ医薬品流通受託事業 | 295,485 | 10.6 | 845 | 2.3 | 0.3 |
医療関連サービス等事業 | 42,188 | 1.5 | 1,049 | 2.8 | 2.5 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社及び当社の関係会社は、㈱スズケン(当社)、子会社40社及び関連会社10社により構成されており、医薬品等の販売、医薬品・医療機器等の製造販売、保険薬局・介護サービス、スペシャリティ医薬品流通受託、医薬品メーカー支援サービス及びこれらに付随する事業を営んでおります。
事業の内容と当社及び当社の関係会社の当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
(注) ㈱コラボプレイスは、2025年4月1日付で商号を㈱コラボスクエアに変更しております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
a 財政状態の状況
( 資 産 )
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,148億54百万円減少し1兆1,138億31百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
流動資産は前連結会計年度末に比べ1,041億94百万円減少いたしました。これは主に、商品及び製品が104億33百万円増加したものの、現金及び預金が791億75百万円、有価証券213億54百万円減少したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ106億59百万円減少いたしました。これは主に、有形固定資産が48億16百万円増加したものの、投資その他の資産が163億46百万円減少したことによるものであります。
( 負 債 )
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,058億46百万円減少し7,064億10百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
流動負債は前連結会計年度末に比べ1,053億3百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が1,084億30百万円減少したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ5億43百万円減少いたしました。
( 純資産 )
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ90億7百万円減少し4,074億20百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
株主資本は前連結会計年度末に比べ6億18百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を344億96百万円計上したものの、剰余金の配当の支払が69億88百万円、自己株式の取得による減少が279億83百万円あったことによるものであります。なお、当連結会計年度において自己株式278億38百万円を消却しております。
その他の包括利益累計額は前連結会計年度末に比べ83億95百万円減少いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が71億31百万円減少したことによるものであります。
b 経営成績の状況
当連結会計年度においては、依然としてウクライナ情勢の終息時期が見通せないことに加えて、米国政権の政策動向の不確実性など、複合的な要因による外国為替相場の変動、電力・エネルギー価格や原材料価格の高騰による物価高が引き続き進展しております。また、政策的な賃金上昇に加えて、いわゆる「2024年問題」に代表される「働き手不足」が進展し、様々なコストが上昇する一方で、価格転嫁が十分に見通せないことなど、国内景気や企業収益については先行き不透明な状況が続いております。
そのようななか、当社グループは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しており、本中計の実践を通じて、グループが「One Team」となって健康創造事業体への変革を進め、変化するヘルスケアエコシステムに新たな「解」と「希望」を送り続ける存在として新たな価値を創出し続け、さらなる企業価値の向上と社会課題の解決に貢献してまいります。
2032年の当社創立100周年に向け、本中計期間は「既存事業の変革」と「新たな成長事業の準備」を主なテーマと位置づけて取り組んでまいりました。
当連結会計年度における、「既存事業の変革」については、従来からの売上・シェアに連動する収益構造が変化するなか、多様な企業との協業を通じ、希少疾病薬や再生医療等製品を含むスペシャリティ医薬品の流通モデルの強化やMS(※1)の活動による新たな収益モデル構築に取り組んでまいりました。
具体的には、医療流通プラットフォームの構築に向けて、スペシャリティ医薬品トレーサビリティシステムである「キュービックス」を全国の地域中核病院などへ導入し、医薬品の流通品質向上に取り組んでおり、スペシャリティ医薬品流通において、国内への新規参入や新製品の上市を目指す製薬企業のご要望にお応えするとともに、新薬を待ち望む患者さまに確実に医薬品をお届けできる流通基盤の強化に努めてまいりました。
新たな取り組みとして、公益財団法人がん研究会有明病院(東京都江東区)と共同で、当社の完全子会社である㈱コラボプレイス(2025年4月1日付で「㈱コラボスクエア」に社名変更)が新たに開発した服薬管理システム「CubixxDT(キュービックス DT)」(※2)を用いて、服薬アドヒアランス(※3)の評価を行う共同研究を10月より開始しております。既に「キュービックスシステム」が提供している卸物流から医療機関、在宅までのトレーサビリティに加えて、「CubixxDT」の活用により、専用服薬パックや専用通信機器による遠隔での服薬情報を可視化し、医療従事者がリアルタイムで把握・管理することを可能とし、医療従事者の患者さまに対する最適な服薬支援と治療効果の向上へ貢献することを目指してまいります。
また、医薬品流通のリアルタイムの可視化と最適化の取り組みとして、医薬品の出荷調整による医療機関や保険薬局の業務負荷軽減や当社の生産性向上に寄与する仕組みの開発・導入を進め、発注した医薬品の納期や代替品の在庫などをインターネット上で確認できる「納品予定お知らせサービス」ならびに「納品予定アプリ」を2023年5月より導入しており、既に約9.4万軒(2025年3月末時点登録数)を超えるお得意さまにご利用いただいております。また、2023年10月より導入した、需要予測による発注サポートを行う「発注提案アプリ」は、既に約1.7万軒(2025年3月末時点登録数)のお得意さまにご利用いただいております。
「2024年問題」を踏まえた取り組みとして、2024年4月より、埼玉県草加市に、最新のロボット技術を駆使した自動化・省人化を実現する卸物流拠点に、製造業務受託・メーカー物流エリアを併設した、業界初のコンセプトを持つ「首都圏物流センター」を構築し、本稼働しております。「首都圏物流センター」を通じ、自動化による効率化をはじめ、輸配送コストの低減、GDP基準(※4)に準拠した品質面、CO2排出量の削減などの環境面、災害時におけるBCP対応のより一層の強化など、さまざまな効果の実現を目指してまいります。
今後もスズケングループは、「既存事業の変革」を実現する新たな仕組みを順次導入してまいります。
「新たな成長事業の準備」については、既に提携している企業とともに、新たな流通チャネル構築や、協業によるデジタルヘルス事業の構築を加速させ、革新的なサービスや情報ビジネスを推進し、製薬企業や医療機関、保険薬局、患者さまへの新たな価値の提供に取り組んでおります。
具体的には、医療・介護従事者向けのポータルサイトである「コラボポータル」(※5)のサービス提供を開始し、当社グループが保有するさまざまなサービスや情報の発信に加え、お得意さまと当社グループ、製薬企業、さらには多職種・専門スタッフをつなぐ機能、協業企業のデジタルヘルスサービスを統合的にお届けする機能などを搭載し、医療・介護現場へデジタルヘルスサービスを安心・安全にご利用いただける環境づくりに取り組んでおります。
2023年4月のサービス開始以降、登録ID全体としては、既に約20万ID(2025年3月末時点登録数)の利用をいただいているなか、2024年度は、医師IDの拡大に重点的に取り組むとともに、第1四半期連結累計期間に完全子会社となったエンブレース㈱が展開する、全国多数の医師会に採用され、約30万人の医療介護従事者の方々にご利用いただいている、医療介護に特化したソーシャル医療介護連携プラットフォーム「メディカルケアステーション(MCS)」(※6)との連携を推進し、スピードを上げて更なる拡大を実現してまいります。
今後も、スズケングループは、協業するヘルステック企業をはじめとする外部企業とともに、「健康創造事業体」の構築に向けた取り組みを加速させてまいります。
リスクマネジメントに関しては、ランサムウェア被害の多発など、高度化・重大化する情報セキュリティリスクへの対応に向け、2025年4月1日付で、取締役会の下部機構である「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」傘下の実務委員会として「情報セキュリティ実務委員会」を新設いたしました。今後、当社グループにおける一元的なセキュリティ水準の把握・統制と強化を一層推進してまいります。
株主還元方針については、2023年5月に開示した株主還元方針を2023年11月10日に改定・強化し、安定的な配当の継続を基本とし、中期経営計画の最終年度である2026年3月期までの3年間平均において、総還元性向100%以上の株主還元を実施することにより株主還元の充実を図るとともに、既存事業の強化や新規事業の創出に向けた投資を行うことで企業価値と資本効率の向上を目指してまいりました。
上記方針を踏まえ、2024年11月12日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき自己株式の取得を決議し、取得総数:5,600,000株、取得総額:279億80百万円の自己株式を取得した結果、配当金(総額:74億86百万円)と合わせて、2025年3月期の単年度総還元性向は102.8%、また、2024年3月期からの2年間平均総還元性向は105.3%となりました。なお、取得した自己株式については、譲渡制限付株式報酬(RS)等への充当を見込む10万株を除いた全数 (5,573,668株:消却前の発行済株式総数に対する割合7.16%)を2025年3月31日に消却しております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、新型コロナウイルス関連商材(治療薬・診断薬その他)売上が前年よりも落ち込んだものの、医療用医薬品市場が伸長したことに加え、スペシャリティ医薬品等の新薬などが寄与し、増収となりました。営業利益は、増収効果に加えて、2024年4月に改訂された流通改善ガイドラインへの取り組みおよび、物流委託費をはじめ医薬品流通に係る様々なコストが高ぶれする状況下においても、引き続き販売費及び一般管理費の見直しと抑制に取り組んだことなどにより、増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益においては、政策保有株式(投資有価証券)の縮減(上場6銘柄)を実施し、特別利益として投資有価証券売却益(120億円)を計上したことなどが寄与し、増益となりました。
その結果、売上高は2兆3,999億52百万円(前期比0.6%増)、営業利益は371億25百万円(前期比6.4%増)、経常利益は388億30百万円(前期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は344億96百万円(前期比18.9%増)となりました。
※1 MS(Marketing Specialist)
:医薬品卸売業の営業担当者のこと。
医療機関・保険薬局等を訪問し、医薬品の紹介、商談、情報の提供や収集を行います。
※2 CubixxDT(キュービックス DT)
:当社の完全子会社である㈱コラボプレイス(2025年4月1日付で「㈱コラボスクエア」に社名変更)が新たに開発した服薬管理システムのこと。
治療薬を充填する専用服薬パックと、データをサーバーに自動送信する専用通信機器で構成されており、患者さまが専用服薬パックから治療薬を取り出した際、そのイベントデータが専用通信機器によって自動的に専用サーバーへ送信され、医療従事者は、専用ポータルサイトの管理画面からいつでもそのデータを確認しリモートで患者さまの服薬状況を把握することが可能となります。
※3 服薬アドヒアランス
:患者さまが医療従事者の指示や治療計画に基づき治療を受けること。
特に薬物治療においてアドヒアランスが低い場合、治療効果が十分に得られない可能性があります。
※4 GDP(Good Distribution Practice)
:医薬品の適正流通基準のこと。
医薬品の市場流通における流通経路の管理保証、医薬品の完全性の保持、更に偽造医薬品が正規流通経路へ流入することの防止を図ることを目的としております。
※5 コラボポータル
:当社グループが保有するさまざまなサービスを提供する「ソリューション機能」をはじめ、当社グループの営業担当者やMRさま、専門スタッフの皆さまなどがチャットや動画などを活用して、遠隔でお得意さまと接点を持つことが可能になる「コミュニケーション機能」、さらにはAmazonビジネスとの連動による「購買機能」などをワンストップで提供するデジタルヘルスサービスの総合ポータルサイトです。SSO(Single Sign On:一度のユーザー認証によって複数のシステムの利用が可能になる仕組み)やデータ連携を採用し、アクセス性を高めることで医療・介護現場の業務効率化にも寄与します。
※6 メディカルケアステーション(MCS)
:誰でも簡単に利用できるタイムライン形式による非公開型医療介護連携SNSで、タブレット、スマートフォン、パソコンなど多様な端末に対応しています。強固なセキュリティのもとで院内や施設内はもちろん、外出先からでも必要な情報へ簡単にアクセスし、共有が可能。医師やコメディカル、介護職、患者さまとそのご家族が職種や立場を超えてつながる地域包括ケア・多職種連携を実現します。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法の見直しを実施し、従来「医薬品卸売事業」「ヘルスケア製品開発事業」「地域医療介護支援事業」「医療関連サービス等事業」の4セグメントでありましたが、従来「医療関連サービス等事業」に含まれていたスペシャリティ医薬品流通受託事業について、量的な重要性が増したため、新たに2セグメントに切り分け、「医薬品卸売事業」「ヘルスケア製品開発事業」「地域医療介護支援事業」「スペシャリティ医薬品流通受託事業(※7)」「医療関連サービス等事業」の5セグメントとしております。
このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。セグメント変更の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
※7 スペシャリティ医薬品流通受託事業
:希少疾患治療薬など、一般的な流通経路とは異なる、より厳格な品質管理と流通管理が必要な医薬品の流通を医薬品メーカーから受託する事業です。
医療機関への販売・納入など、実際の流通機能は当社グループの「医薬品卸売事業」が担うことから、売上高はほとんどが「医薬品卸売事業」との内部取引となります。
(医薬品卸売事業)
医療用医薬品市場は、抗悪性腫瘍剤の市場拡大やスペシャリティ医薬品等の新薬などが寄与したことにより、伸長したものと推測しております。
そのようななか、売上高は、新型コロナウイルス関連商材(治療薬・診断薬その他)売上が前年よりも落ち込んだものの、医療用医薬品市場が伸長したことに加え、スペシャリティ医薬品等の新薬の寄与などにより2兆3,139億67百万円(前期比0.6%増)となりました。営業利益は、増収効果に加えて、2024年4月に改訂された流通改善ガイドラインへの取り組みおよび、物流委託費をはじめ医薬品流通に係る様々なコストが高ぶれする状況下においても、引き続き販売費及び一般管理費の見直しと抑制に取り組んだことなどにより、319億16百万円(前期比4.9%増)となりました。
(ヘルスケア製品開発事業)
売上高は、医薬品製造事業における二次性副甲状腺機能亢進症治療薬ウパシタ静注透析用シリンジや、生理的腸管機能改善剤・高アンモニア血症用剤・ラグノスNF経口ゼリー、持続型赤血球造血刺激因子製剤ダルベポエチンアルファBS注の寄与などにより増収となりました。営業利益は、増収効果などにより増益となりました。
これらの結果、売上高は526億13百万円(前期比2.6%増)、営業利益は19億16百万円(前期比20.0%増)となりました。
(地域医療介護支援事業)
売上高は、介護事業においては増収を確保したものの、保険薬局事業において、閉局により運営店舗数が減少した結果、処方箋受付枚数が減少したことにより、減収となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費の適正化に努めたものの、減収に伴う売上総利益の減少を十分に補うには至らず、減益となりました。
これらの結果、売上高は944億14百万円(前期比3.1%減)、営業利益は12億91百万円(前期比23.6%減)となりました。
(スペシャリティ医薬品流通受託事業)
売上高は、既受託医薬品の市場伸長に加えて、新規受託医薬品も増加したことにより増収となりました。営業利益は、増収効果に伴い、増益となりました。
これらの結果、売上高は2,954億85百万円(前期比36.7%増)、営業利益は8億45百万円(前期比48.5%増)となりました。
(医療関連サービス等事業)
売上高は、外部ロジスティクス事業における一部製品の流通量の減少などにより減収となりました。一方、営業利益は、デジタルヘルス事業の収益性改善などにより増益となりました。
これらの結果、売上高は421億88百万円(前期比7.2%減)、営業利益は10億49百万円(前期比95.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ801億78百万円減少し1,185億67百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は650億79百万円(前期は872億16百万円の獲得)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純利益502億87百万円、売上債権の減少156億5百万円があったものの、仕入債務の減少1,084億30百万円、法人税等の支払136億24百万円、棚卸資産の増加108億35百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は203億78百万円(前期比100億28百万円増)となりました。
この主な要因は、有価証券の取得による支出360億42百万円、有形固定資産の取得による支出143億7百万円があったものの、有価証券の売却及び償還による収入548億円、投資有価証券の売却及び償還による収入154億52百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は354億83百万円(前期比37億67百万円増)となりました。
この主な要因は、自己株式の取得による支出279億83百万円、配当金の支払69億88百万円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しているため、前期比については変更後のセグメント区分の数値と比較しております。報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
b 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価額によっております。
c 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
d 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におきましては、医薬品卸売事業をコア事業とする事業体から健康創造事業体への転換に向け、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「For your next heartbeat ~未来に向けた鼓動を創ろう~」に基づき、引き続き「既存事業の構造改革」と「新規事業の創出(新領域へのチャレンジ)」に両利きで取り組んでまいりました。
医薬品卸売事業におきましては、利益重視への社員の意識改革、製品価値に基づく価格交渉の徹底に加え、「コラボポータル」や「納品予定アプリ」「発注提案アプリ」の展開など、デジタルツールの活用やバックヤード機能の強化を推進することで、効果・効率的な営業体制を構築するとともに、キュービックスシステムの展開により、高額医薬品廃棄ロスの削減に寄与するなど、お得意さまの課題解決に向けた提案活動を実践することにより、お得意さまの満足度向上と生産性向上の実現に努めてまいりました。
ヘルスケア製品開発事業におきましては、医薬品製造事業にて、2024年10月より開始された長期収載品の選定療養による影響がある中、主に「ウパシタ静注透析用シリンジ」「ダルベポエチンアルファBS注」などの重点製品への取り組みや、アボット社が展開する持続グルコース測定器「Free Styleリブレ」とその関連商品に関する日本国内におけるコ・プロモーションによる共同販促に取り組むとともに、先端巨大症・下垂体性巨人症を対象としたSK-5307(paltusotine)の開発など、新たな製剤の開発にも努めてまいりました。
地域医療介護支援事業におきましては、保険薬局事業にて、不採算店舗の閉局や譲渡を進めるとともに、デジタルツールの活用などにより業務の効率化を進め、機能強化メニューの開発に取り組むなど、生産性の向上に努めてまいりました。
スペシャリティ医薬品流通受託事業におきましては、国内一社流通受託の更なる獲得に向け、インフラの整備やGDPスペシャリストの育成・配置など、グローバルに対応した品質管理や提案力の強化に取り組んでまいりました。
医療関連サービス等事業におきましては、メーカー物流事業において製薬企業のニーズに対応するための設備投資を積極的に実施するとともに、デジタルヘルス事業の育成に取り組んでまいりました。
新規事業の創出におきましては、スマートロジスティクス、デジタルヘルスケア、地域医療介護支援の3つを成長ドライバーとして掲げ、様々な取り組みを進めてまいりました。なかでも、デジタルヘルスケアの領域におきましては、コラボポータルの展開に注力し、完全子会社のエンブレース㈱が展開するメディカルケアステーションとのID連携を行ったことなどにより、30万人以上の医療・介護従事者との繋がりを構築することができました。
今後は、現在構築中の「グループ情報統合基盤」の整備を進め、情報による新たな収益事業に挑戦してまいりたいと考えております。
また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針に基づき、両利き経営による利益の最大化に加え、財務・資本戦略として、政策保有株式の縮減や、自己株式の取得など株主還元の強化による資本の最適化に取組み、ROEの向上を目指しております。なお、2025年3月期においては、ROEは8.4%まで上昇し、総還元性向は102.8%となりました。
今後も、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、「既存事業の構造改革」と「新規事業の創出(新領域へのチャレンジ)」を両利きで実践することで、安定した収益の確保に加え、新しい利益を獲得できる新規事業をいち早く創出するとともに、政策保有株式の縮減や株主還元の強化、将来的には適切な負債の活用を視野に入れたバランスシート改革も実施していくことで、さらなるROEの向上を目指してまいります。
以上を踏まえ、当社グループが「One Team」となって中期経営計画を推進し、「健康創造事業体」への転換を早期に実現することで、変化するヘルスケアエコシステムに新たな「解」と「希望」を送り続ける存在として新たな価値を創出し続け、さらなる企業価値の向上と社会課題の解決に貢献してまいりたいと考えております。
② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、買掛金の支払や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、営業・物流・情報基盤の強化および新たな事業領域の拡大等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金を基本としており、投資はフリーキャッシュフローの範囲内を基本としております。ただし、有事における緊急的な措置としてコミットメントラインも保持しております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は1,185億67百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析を行っております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、それらについて継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a 収益の認識
当社グループの中心である医薬品卸売事業の売上高については、販売価格が未決定のものが一部含まれており、決定予測価格を合理的に見積り売上計上しておりますが、価格決定時において売上高の修正を行う場合があります。
価格決定の早期化と合理的な予測価格による売上計上に努めておりますが、価格決定までの期間が長期化し、決定価格が予測価格を大幅に下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b 貸倒引当金
当社グループは、受取手形及び売掛金等の債権の貸倒れに備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。お得意さまの財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性がないと考えられる金額は、評価性引当額を計上しております。将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングにより評価性引当額の必要性を検討しております。
過去に計上した繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩しております。一方、計上額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、繰延税金資産を計上しております。
d 退職給付
退職給付債務及び退職給付費用の見積りは、退職給付に関する会計基準等に準拠して行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、将来認識される退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
e 独占禁止法関連損失引当金
独占禁止法関連損失引当金の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社及び子会社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、医薬品・医療機器等の製造販売、保険薬局・介護サービス、医薬品メーカー支援サービス及びこれらに付随する事業活動を行っておりますが、当連結会計年度より、従来「医療関連サービス等事業」の区分に含まれていた「スペシャリティ医薬品流通受託事業」セグメントについて量的な重要性が増したため、新たな報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
「医薬品卸売事業」は、医療用医薬品・診断薬、医療機器・医療材料等の販売を行っております。
「ヘルスケア製品開発事業」は、医療用医薬品、診断薬、医療機器・材料の研究開発・製造・販売を行っております。
「地域医療介護支援事業」は、保険薬局・介護サービスの提供を行っております。
「スペシャリティ医薬品流通受託事業」は、スペシャリティ医薬品のメーカー支援業務を行っております。
「医療関連サービス等事業」は、医薬品メーカー物流受託などのメーカー支援サービス、デジタルヘルスサービス等の提供を行っております。
上記の報告セグメントの変更により、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告セグメントの会計処理方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計処理の原則及び手続に準拠した方法であります。
報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。
セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
4 報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)
(注) 全社資産は、主に余資運用資産としての有価証券及び長期投資資産としての投資有価証券であります。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)及び当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
重要な負ののれん発生益がないため、該当事項はありません。