人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,689名(単体) 12,454名(連結)
-
平均年齢41.4歳(単体)
-
平均勤続年数15.0年(単体)
-
平均年収7,684,093円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
水産資源事業 |
2,271 |
[1,244] |
食材流通事業 |
3,020 |
[2,932] |
加工食品事業 |
5,801 |
[8,658] |
報告セグメント計 |
11,092 |
[12,834] |
その他 |
829 |
[109] |
全社(共通) |
533 |
[103] |
合計 |
12,454 |
[13,046] |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。
(2)提出会社の状況
|
|
|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
1,689 |
[1,803] |
41.4 |
15.0 |
7,684,093 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
水産資源事業 |
65 |
[30] |
食材流通事業 |
660 |
[139] |
加工食品事業 |
524 |
[1,531] |
報告セグメント計 |
1,249 |
[1,700] |
その他 |
21 |
[6] |
全社(共通) |
419 |
[97] |
合計 |
1,689 |
[1,803] |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループの従業員の加入する労働組合は、陸上職員のマルハニチロユニオン、船員及び事業員の全日本海員組合等があり、マルハニチロユニオン等は日本食品関連産業労働組合総連合会に加盟しております。
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1,3 |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||
9.1 |
79.2 |
59.1 |
67.0 |
77.9 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3.労働者の男女の賃金の差異は、男性従業員の賃金を100とした場合の女性従業員の賃金比率であります。男女賃金差異全体の数値は、正規社員には高額給与者に男性が多いこと、短時間労働者を含む非正規社員については女性比率が高いことが主要因となり、正規及び非正規よりも数値が低くなっております。なお、女性活躍の取組等については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (6)人的資本に係る戦略・指標及び目標」に記載しております。
② 連結子会社
当連結会計年度 |
||||||
連結子会社 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2,5 |
|||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||||
大洋エーアンドエフ㈱ |
20.7 |
|
- |
- |
- |
- |
㈱マルハニチロAQUA |
3.2 |
|
- |
- |
- |
- |
㈱大洋食品 |
15.0 |
|
- |
- |
- |
- |
大都魚類㈱ |
5.7 |
|
- |
- |
- |
- |
神港魚類㈱ |
2.3 |
|
- |
- |
- |
- |
㈱ヤヨイサンフーズ |
1.6 |
|
27.3 |
55.3 |
78.4 |
89.0 |
㈱デリカウェーブ |
19.2 |
|
100.0 |
74.3 |
87.4 |
97.6 |
㈱マルハニチロオーシャン |
8.5 |
|
0.0 |
71.8 |
80.9 |
74.9 |
マルハニチロ畜産㈱ |
0.0 |
|
25.0 |
70.9 |
74.5 |
90.0 |
㈱マルハニチロ北日本 |
0.0 |
|
- |
61.1 |
79.0 |
83.6 |
㈱マルハニチロ物流 |
4.4 |
(注)4 |
85.7 |
71.4 |
69.2 |
98.7 |
㈱マルハニチロ物流サービス関東 |
33.3 |
|
100.0 |
- |
- |
- |
㈱マルハニチロ物流サービス九州 |
0.0 |
|
100.0 |
- |
- |
- |
(注)1.「-」は該当項目において女性活躍推進法等に基づいた情報公表を行っていないことを示しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
4.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
5.労働者の男女の賃金の差異は、男性従業員の賃金を100とした場合の女性従業員の賃金比率であります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、社会環境課題が刻々と変化していく中、企業として変革していくことが必要不可欠と考え、2025年3月に企業としてのパーパス、ミッションを改めて策定しました。パーパスと定めた「For the ocean, for life -海といのちの未来をつくる-」は当社グループが何のために存在しているのか、その存在意義をあらわし、ミッションと定めた「本物・安心・健康な食から広がる豊かなくらしとしあわせに貢献する」は私たちが果たしていくべき使命です。これからも持続的に当社グループが存在し、使命を果たしていくためには、気候変動問題、天然水産資源の枯渇、世界的な食糧危機や人権侵害などの社会環境課題の中で特に重要な課題を当社グループのマテリアリティと特定し、リスクを低減するための施策を講じ、機会を価値としてステークホルダーの皆様に提供していくことが必要です。
当社グループの強みは、「資源調達力」、「加工技術力」、「食材提供力」にあり、これを消費者起点のバリューサイクルで強化しながら、グローカルに展開し、「持続的なたんぱく質の提供」及び「健康価値の創造」を実現していくことが10年後に向けた新長期ビジョンです。この達成に向けて、持続可能性と健康価値に関する当社の独自基準を設定し、その基準を満たす製品売上比率を2030年のKPIとして新たに掲げております。これらの取組みを全社一丸で進めることで、お客さまへ価値の提供、課題解決に努めてまいります。
当社グループは、変化への対応、社内への重点課題の浸透、社内外のステークホルダーの意見を経営に反映していくことを重視し、前中期経営計画において取り組んできた9つのマテリアリティに関する活動を更に推進するために、2025年度より開始した中期経営計画「For the ocean, for life 2027」を策定しました。9つのマテリアリティは下記のとおりそれぞれにグループ目標(KGI・KPI・施策)を設定し、進捗を管理しながら取組みを進めてまいります。
■中期経営計画2025~2027年度 サステナビリティ戦略
(2)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ全体の戦略策定や、活動の評価、マテリアリティの進捗管理を行うサステナビリティ推進委員会を設置しております。同委員会は当社の取締役常務執行役員が委員長、サステナビリティ担当役員のもとサステナビリティ推進グループを事務局とし、当社代表取締役社長、取締役を兼務する役付執行役員、関連部署担当役員、関連部署長を委員、社外取締役、監査役をオブザーバーとし、構成されております(2025年度よりサステナビリティ担当常務執行役員が委員長)。同委員会は四半期ごとに年4回開催しており、各マテリアリティ推進を担当する責任者やマテリアリティ推進のために設けたプロジェクトのリーダーが報告し、積極的な討議を行っております。同委員会で討議された内容はサステナビリティに関するリスク、機会を含め、少なくとも年4回、経営会議を通じて取締役会へ報告しております。
各マテリアリティの推進体制では、マテリアリティ“気候変動問題への対応”のCO₂排出量削減プロジェクト、“循環型社会実現への貢献”のプラスチック使用量削減プロジェクト及び“健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供”プロジェクトにおいて、プロジェクトオーナーを管掌役員、プロジェクトリーダーを関連部署長としたプロジェクトチームにて、部署横断的に各種施策に取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループが事業活動を行ううえでの全社的なリスク管理については、法務・リスク管理部を中心に、当社各部署やグループ各社のリスク管理責任者、リスク管理担当者が連携して取り組む体制を整えております(下図)。「環境」並びに「サステナビリティ関連」の短期的かつ影響度の高いリスクについては、毎年実施されるリスクマネジメントプログラムによりリスクの抽出から分析そして対応策の検討が行われ、経営会議に報告しております。
加えてESG・サステナビリティに関連する中長期的なリスク・機会に対しては、サステナビリティ推進委員会において管理(サステナビリティ推進体制図)し、討議しております。特に気候変動と生物多様性の保全におけるリスクは重要リスクの一つと位置づけており、TCFDフレームワークに基づくシナリオ分析やTNFDのLEAPアプローチによって分析・評価したリスクと機会、対応策などについて管理・討議しております。詳細は「(2)ガバナンス」並びに「(4)気候変動に係る戦略・指標及び目標」~「(6)人的資本に係る戦略・指標及び目標」を参照ください。
(4)気候変動に係る戦略・指標及び目標
当社は2021年7月、TCFD提言に賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」へ参画しました。同年、環境省が主催する「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」の参加企業に選定され、養殖事業についてシナリオ分析を行い、分析結果が2022年3月環境省HPにて公表されました。2023年度は、水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット※当時のユニット名)についてもシナリオ分析を行い開示しました。
今後も気候変動に伴う外部環境の変化によって起こるリスクへの適切な対応を進めながら、新たな事業機会を追究しシナリオ分析を更新のうえ精緻化し、開示していきます。
① 戦略
2023年度に実施したシナリオ分析により、各ユニット(※当時のユニット名)のリスクと機会及びその影響度、対応策と時間軸について以下のとおり評価いたしました。
<気候関連リスク>
リスク分類 |
リスク内容 |
指標 |
対象事業ユニット |
影響度 |
影響を受 ける期間 |
該当 シナリオ |
||||||
漁業 |
養殖 |
海外 |
水産 商事 |
加工 食品 |
食材 流通 |
|||||||
移 行 リ ス ク |
法規制 |
カーボンプライシングによる自社コスト増加 |
コスト増加 |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
▼▼▼ |
中・長 |
1.5℃ |
省エネルギー設備・脱フロン設備の導入・切替による自社コスト増加 |
コスト増加 |
|
|
● |
|
● |
● |
▼▼ |
短・中 |
1.5℃ |
||
フロン規制強化に伴う保管料や物流コストの増加 |
コスト増加 |
|
|
● |
● |
● |
● |
▼▼ |
短・中 |
1.5℃ |
||
冷媒規制やミール装置設置義務化など、漁船への規制強化による操業コスト増加 |
コスト増加 |
|
|
● |
|
|
|
▼▼ |
中・長 |
1.5℃ |
||
環境関連の規制強化による漁船減少及び漁獲量減少 |
売上高減少 |
● |
|
● |
|
|
|
▼▼▼ |
中・長 |
1.5℃ |
||
市場 |
プラスチック代替原料の資材調達コスト増加 |
コスト増加 |
|
● |
● |
● |
● |
● |
▼▼ |
中・長 |
1.5℃ |
|
燃料価格の高騰による漁業の操業コスト増加 |
コスト増加 |
● |
|
● |
|
|
|
▼▼▼ |
短・中・長 |
4℃ |
||
気温上昇による食生活の変化に伴う、水産物消費の減少 |
売上高減少 |
|
|
● |
● |
|
● |
▼▼ |
中・長 |
4℃ |
||
平均気温上昇に伴う、生産拠点での室温管理や保冷コスト、防虫対策コスト等の増加 |
コスト増加 |
|
|
● |
● |
● |
● |
▼▼ |
中・長 |
4℃ |
||
評判 |
気候関連課題への対応遅れや、お客様の環境配慮商品ニーズに対応できないことによるレピュテーション低下及び売上減少 |
売上高減少 |
● |
|
|
● |
● |
● |
▼▼ |
中・長 |
1.5℃ |
|
物 理 リ ス ク |
急性リスク |
自社工場・協力工場・調達先の被災、生産・物流停止による売上減少及び復旧コスト増加 |
コスト増加 売上高減少 |
|
● |
● |
● |
● |
● |
▼▼ |
短・中・長 |
4℃ |
慢性リスク |
海水温上昇に伴う魚種や漁場の変化による漁獲量・売上の減少 |
売上高減少 |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
▼▼▼ |
短・中・長 |
1.5℃/ 4℃ |
|
干ばつの影響で作物の調達が困難になることによるコスト上昇 |
コスト増加 |
|
|
|
|
● |
● |
▼▼▼ |
中 |
4℃ |
||
海水温上昇に伴う水産物調達コストの増加 |
コスト増加 |
|
● |
|
● |
● |
● |
▼▼▼ |
中 |
4℃ |
<気候関連機会>
機会分類 |
機会内容 |
対象事業ユニット |
影響度 |
影響を受ける期間 |
|||||
漁業 |
養殖 |
海外 |
水産商事 |
加工食品 |
食材流通 |
||||
資源効率 |
廃棄原料(残渣)をミール(魚粉)へ有効利用することによる売上増加 |
● |
● |
|
● |
|
|
▲▲ |
中・長 |
エネルギー源 |
再生可能エネルギー利用や省エネルギー推進によるコスト削減 |
|
|
|
|
● |
|
▲▲ |
中・長 |
製品・サービス |
低炭素商品や認証商品など環境配慮商品の売上増加 |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
▲▲ |
中・長 |
漁場の変化への迅速な対応による漁獲量・売上増加 |
|
|
● |
● |
● |
● |
▲▲ |
中・長 |
|
海水温上昇に伴う魚種の変化により、代替たんぱく原料での売上増加 |
● |
● |
|
● |
● |
|
▲▲▲ |
中・長 |
|
異常気象ニーズに対応した災害食や冷涼なメニューなど新商品開発による売上増加 |
|
|
|
|
● |
● |
▲▲ |
中・長 |
|
|
|||||||||
1. ●:各事業ユニットにおいて影響度が中程度以上とされたリスクと機会 |
|||||||||
2. 影響度: リスク)▼▼=中 (経常利益への影響1%以上10%未満)、▼▼▼=大(10%以上) |
|||||||||
機会)▲▲=中 (経常利益への影響1%以上10%未満)、▲▲▲=大(10%以上) |
また、気候変動に対するレジリエンス向上のために事業インパクトへの対応策を以下のとおり抽出し、実践に向けて取り組んでおります。
リスク・機会要因 |
事業インパクト |
今後の対応策 |
|
新たな規制の導入 |
● |
カーボンプライシング(炭素税) |
<自社コスト増加に対して> ・再エネ、省エネの推進 ・生産工場の最適化による生産効率向上 ・価格転嫁について顧客の理解を得る ・自然冷媒設備の導入に向けた調査 ・省エネ設備投資(ノンフロン機器への転換、電気使用量の削減等) ・Austral Fisheries Pty Ltd.のカーボンニュートラル認証の取得、Climate Active NETWORKへの加入と植樹活動によるオフセット
<サプライヤーコスト増加に対して> ・保管料や物流コストに対し、規制・法令の方針及び動向をモニターし、適時・適切に対応 |
● |
省エネ設備・脱フロン設備導入によるコスト増 |
||
● |
再エネ利用・省エネ推進によるコスト削減 |
||
● |
環境関連規制の強化による漁船・漁獲量減少 |
・新船の投資判断基準及びプロセスの構築(インターナルカーボンプライシングの検討等) ・各国政府との協議・協働による対策 |
|
新たな規制の導入 |
● |
漁船への特殊規制強化への対応 |
・漁船へのミール装置導入により生産される魚粉の有効活用(漁業) ・国内残渣や食品としての未利用魚を利用した、廃棄原料の自社内循環の構築 ・ブリ、カンパチ、クロマグロ養殖の飼料原料への有効活用(養殖) |
資源効率化 |
● |
廃棄原料(残渣)の有効利用拡大 |
|
市場の変化 |
● |
環境配慮型の資材導入 |
・プラスチック代替原料について調達先との協業 ・規制や技術革新に注視し対応 ・顧客との協業によるバリューチェーン全体でのリサイクル推進 ・容器包装の資源効率化 |
● |
燃料価格の高騰 |
・燃料価格動向のモニタリング ・代替燃料の調査 |
|
製品・サービス |
● |
気温上昇に伴う食生活の変化による、水産物消費の減少 |
・気温上昇でも好まれる商品の品ぞろえ強化(鍋需要の減少を補完) |
● |
低炭素商品や認証商品など環境配慮商品の売上増加 |
・MSC、ASC認証取得の推進 ・カーボンオフセット、カーボンフットプリント製品の拡大 |
|
● |
異常気象ニーズに対応した新商品の売上増加 |
・災害食や冷涼なメニュー、気温に左右されない常温食などの拡大 |
|
評判 |
● |
気候関連課題への対応遅れ、エシカル消費への対応不足によるレピュテーション低下・売上減少 |
・気候変動への取組みの開示拡大 ・投資家との対話拡大 ・GHG排出の少ない調理方法・製品のPR推進 ・LCAやカーボンフットプリントによる製品のPR推進 |
自然災害の激甚化 |
● |
自社工場・協力工場・調達先の被災、生産・物流停止 |
・工場立地場所の最適化・再編 ・生産や物流の複線化 ・精度の高い気象予測での在庫管理 ・事業継続計画(BCP)の策定 ・共済、保険制度への加入 ・浮沈式生簀の導入(養殖) |
気温上昇 |
● |
生産拠点での室温管理や冷蔵コスト、防虫対策 |
・作業環境の温度管理の徹底 ・省エネや断熱を推進 |
● |
干ばつの影響による作物の調達コスト上昇 |
・干ばつリスクの高い調達先の洗い出し ・代替調達ルート、代替原料の模索(例:小麦粉から米粉+グルテン、米から麦へ等の置換え) ・耐暑性作物の捜索 |
|
海洋環境の変化 |
● |
魚種や漁場の変化による漁獲量・売上減少 |
・SeaBOSタスクフォースでの積極的な活動及び情報収集 ・北方市場における漁業権へのアクセス確保(海外) ・漁業権を持つパートナーとの提携(海外) ・海洋汚染リスクの低減(AIトラッキング魚体計数機の導入による給餌量の適正化等)(養殖) ・人口種苗の増産(クロマグロ完全養殖・孵化ブリ・孵化カンパチ)=天然種苗の補完・置換え(養殖) ・増養殖技術のR&D体制強化(養殖) ・魚類の細胞培養技術の確立(インテグリカルチャーとの共同研究) ・代替たんぱく源、培養魚肉の商業化生産及び食品加工の実装に向けた技術開発 |
● |
漁場の変化への迅速な対応による売上増加 |
||
● |
魚種の変化による、代替たんぱく原料の拡大 |
||
● |
海水温上昇に伴う水産物調達コストの増加 |
・調達先の迅速な変更(水産商事)(加工食品) ・代替原料の模索(魚種の変更) ・台風、赤潮等の外部要因に強い魚や養殖方法の研究開発(養殖) ・配合飼料の開発(餌料コスト・品質の安定化をはかり、育成に最適な栄養素を設計・転嫁)(養殖) ・ミールの積極利用(養殖) |
|
※ ●:リスク、 ●:機会 |
② 指標及び目標
当社グループでは、中期経営計画「For the ocean, for life 2027」でマテリアリティの一つに“気候変動問題への対応”を定め、KGI(2030年のありたい姿)を“2050年カーボンニュートラルを目指し、脱炭素や気候変動に対して業界における主導的地位を確立している”としております。そのKPIの一つで国内グループのCO₂排出量を2030年度までに2017年度比30%以上削減を目指しております。
また、スコープ1・2のCO₂排出量のトレースを海外グループ会社に拡大するとともに、国内グループのスコープ3排出量の精緻化に努めてまいります。
■CO₂排出量実績推移
項目 |
2017年度 |
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
||
CO2 排出量 |
|
合計(t-CO2)(スコープ1+2) |
254,423 |
244,399 |
252,217 |
245,536 |
248,811 |
233,017 |
224,940 |
|
スコープ1(t-CO2) |
95,913 |
88,568 |
101,840 |
97,804 |
99,035 |
87,155 |
83,959 |
|
|
スコープ2(t-CO2) |
158,510 |
155,831 |
150,376 |
147,732 |
149,776 |
145,862 |
140,981 |
|
|
スコープ3(t-CO2) |
- |
- |
- |
- |
- |
5,813,398 |
6,004,617 |
|
|
カテゴリ1:購入した製品・サービス |
- |
- |
- |
- |
- |
3,900,278 |
4,076,851 |
|
|
カテゴリ2:資本財 |
- |
- |
- |
- |
- |
28,511 |
18,945 |
|
|
カテゴリ3:エネルギー関連活動 |
- |
- |
- |
- |
- |
37,852 |
36,444 |
|
|
カテゴリ4:輸送、配送(上流) |
- |
- |
- |
- |
- |
287,370 |
283,028 |
|
|
カテゴリ5:事業から出る廃棄物 |
- |
- |
- |
- |
- |
7,099 |
7,175 |
|
|
カテゴリ6:出張 |
- |
- |
- |
- |
- |
1,464 |
1,459 |
|
|
カテゴリ7:雇用者の通勤 |
- |
- |
- |
- |
- |
4,878 |
4,851 |
|
|
カテゴリ8:リース資産(上流) |
- |
- |
- |
- |
- |
算定対象外 |
算定対象外 |
|
|
カテゴリ9:輸送、配送(下流) |
- |
- |
- |
- |
- |
295,482 |
283,710 |
|
|
カテゴリ10:販売した製品の加工 |
- |
- |
- |
- |
- |
288,908 |
307,437 |
|
|
カテゴリ11:販売した製品の使用 |
- |
- |
- |
- |
- |
937,398 |
961,645 |
|
|
カテゴリ12:販売した製品の廃棄 |
- |
- |
- |
- |
- |
24,156 |
23,072 |
|
|
カテゴリ13:リース(下流) |
- |
- |
- |
- |
- |
算定対象外 |
算定対象外 |
|
|
カテゴリ14:フランチャイズ |
- |
- |
- |
- |
- |
算定対象外 |
算定対象外 |
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カテゴリ15:投資 |
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(5)生物多様性に係る戦略・指標及び目標
当社グループは、世界の海洋から漁獲・養殖される水産物を中心とした自然の恵みを生業として140余年にわたり事業を継続してきました。当社グループの事業は他にも農・畜産資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり生態系サービスに大きく依存しておりますが、経済活動に伴う森林伐採や工業化、環境汚染などにより生物多様性の劣化が近年急速に進んでおり、これらを重要な社会課題であると認識しております。
生物多様性COP15にて採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」のミッションである、自然を回復軌道に乗せるために、生物多様性の損失を止め、反転させるための行動「ネイチャーポジティブ」に貢献することを目指し、当社グループは、原材料調達から製品廃棄に至るバリューチェーン全体での事業活動において、生物多様性への依存と影響並びにリスクと機会を把握し、その保全・再生に向けた取組みを推進します。
① 戦略
当社グループは、事業において生物多様性が深く関連するため2024年度に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のフレームワークに基づき、事業と自然との関わりを評価しました。まず、生態系サービスと事業との依存と影響を評価するツール(ENCORE※)を活用して一時評価を行った後、当社グループの事業実態に合わせた依存度と影響度を二次評価したうえでマッピングして評価対象ユニットを漁業ユニット・海外ユニット・養殖ユニット(ユニット名は評価当時)と決定しました。ユニット単位では取り扱う魚種などが多いため、以降の分析を詳細に行うために対象魚種の選定を行いました。対象魚種は経営上の重要性を考慮し、天然魚において取扱いが38%占めるスケソウダラを対象とし、養殖魚においては国内養殖場で生産されるマグロ・ブリ・カンパチを対象としました。
TNFDのLEAPアプローチにより、これら対象魚種の漁獲・養殖エリアの事業と自然との接点を特定し(Locate)、依存と影響を評価して(Evaluate)2024年9月に開示しました。リスクと機会の評価(Assess)と対応策の検討と開示(Prepare)については、2025年度に実施いたします。
※生物多様性と環境変化の要因に関する地理空間データセット、及び生態系サービスを生産プロセスに結びつける定性的影響/依存度評価ツール
詳細は、当社サステナビリティウェブサイトをご参照ください。
https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/sustainability/environment/maintenance/tnfd/
② 指標及び目標
当社グループは中期経営計画「For the ocean, for life 2027」において「生物多様性と生態系の保全」をマテリアリティとして以下の指標と目標を設定して取組みを進めております。
・取扱水産資源の資源状態確認率、評価不明魚種の取扱方針策定(グループ全体)
・電子トレーサビリティ方法を確立し、一部魚種で運用開始
・TNFDフレームワークにもとづく生物多様性リスク評価の拡大実施(国内グループ)
・グループ内全養殖場での認証レベル管理体制の構築(国内グループ)
(6)人的資本に係る戦略・指標及び目標
① 人的資本方針
当社グループの持続的な企業価値向上の源泉は従業員一人ひとりにあるとの考えに基づき、2022-2024年度の中期経営計画期間から「①非連続の成長に貢献できる中核人財の輩出 / グループ全体としての最適配置」、「②事業戦略の実行に必要な人財の確保」、「③従業員の自律的キャリア形成支援 / 成長実感を得られる機会の提供」を柱とするポリシーのもと、各施策に取り組んでまいりました。
2025年度から始まる新中期経営計画においても、上記3つの柱を人的資本方針の根幹として継続したうえで、新たに策定したパーパスとミッションのもと、新長期ビジョンの実現に向けた人財育成戦略を展開していきます。挑戦を奨励する風土を育むとともに、全社で人財を共有・活用する仕組みを整備することで、部門の壁を越えた共創を促進し、人財育成と価値創造を実現する組織づくりに重点的に取り組んでまいります。
<人的資本方針>
<人事施策の全体像>
② 人的資本経営の推進体制
人的資本経営の取組みを戦略的に推進するために、「人的資本経営推進プロジェクト」を設置しました。本プロジェクトは、経営企画部、人事部、事業企画部、DX推進部のメンバーで構成され、人的資本方針に掲げる3つの柱の実現に向けた活動を行っております。
2024年度は2025-2027年度の中期経営計画の策定と並行して活動を進め、中期経営計画の達成に重要となる人的課題の特定と対応策の検討を進めました。具体的には、経営戦略の実現に必要な人財要件の定義や、組織能力の強化に向けた準備を行い、中長期的な人的資本の強化に向けた基盤づくりに取り組みました。プロジェクトでの検討内容は、4部署の管掌役員によるステアリングコミッティでの審議を経て、経営会議に報告される体制を整え、全社的な人的資本経営の推進に取り組んでおります。
<2024年度プロジェクト体制図>
③ 人財育成プログラム
非連続的な成長に貢献する中核人財(「経営リーダー人財」「グローバル人財」「サステナビリティ人財」「DXリーダー人財」)を育成するプログラムを2024年度に策定しました。各人財カテゴリーにおいては2030年度KPIを設定し、これらの指標に基づいて計画的な人財育成と進捗管理を行ってまいります。
a)経営リーダー人財育成 この育成プログラム(新サクセッションプログラム)は、既存の「経営リーダー人財育成プログラム」と「サクセッションプログラム」を再構築する形で策定しました。従来の取り組みでは、人財要件や選抜基準が明確でないことに加え、育成施策が一律であり、個々の能力に応じた最適な支援が行き届いていない点が課題となっておりました。 新サクセッションプログラムでは、新たに定義した人財要件に基づいて選抜した候補者について、指名・報酬委員会より任命された役員で構成される「人財投資会議」、及び「人事委員会」にて育成方針の検討とモニタリングを行い、経営に直結した後継者候補を計画的に育成する体制としました。本プログラムを通じて、中長期的な企業価値向上を牽引する経営人財の継続的な輩出を実現してまいります。 |
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b)グローバル人財育成
当社グループは、2025-2027年度の中期経営計画において「消費者起点のバリューサイクルをグローカルに展開する」という長期ビジョンを掲げております。海外市場への展開拡大や持続可能な資源アクセスの強化を重点テーマとして取り組む中、多様な文化や価値観に適応し、海外事業を牽引するグローバル人財の育成は最優先の課題となっております。
この課題に対応するため、2013年からグローバル人財育成プログラムを運用するなど、グローバル人財育成の取り組みを進めてきました。しかしながら、これまでは社内に点在する育成施策(グローバル人財育成プログラム、海外長期・短期トレーニー、買付業務などを行う部署における海外での実務経験)が体系化されていなかったため、グローバル人財の把握・管理が不十分な状況でした。特に買付業務などを行う部署では、海外での実務経験を通じて実践的なスキルを培った人財が多数存在するものの、これらを含めた全社的なグローバル人財の活用も十分でなく、新規事業創出やリージョンを統括する人財、経理・財務等の専門分野人財の育成も不十分といった課題も生じておりました。
そこで2024年度に、点在する育成施策を整理・体系化し、グローバル人財を計画的に育成・管理・活用していくスキームを確立しました。具体的には、グローバル人財を海外での実務経験や習熟度に応じた3段階のグレードに整理し、より実態に即した明確な定義づけを行いました。
グローバル人財ビギナー |
海外での短期トレーニーを経験し、グローバル人財要件の基礎能力があると考えられる者 |
グローバル人財レベルⅠ |
海外での業務に必要な一定の経験を積み、グローバル人財要件の基礎能力を有する者 |
グローバル人財レベルⅡ |
海外実務に精通し、今すぐに海外で活躍できる人財及び海外で新しい事業を創出できるポテンシャルを持った人財 |
「グローバル人財レベルⅡ」の育成においては、レベルⅠの基礎能力を土台に実践的な海外業務経験を通じて高度な応用力と専門性を磨く機会を重視しております。このレベルⅡ人財には、複雑な状況判断や戦略的意思決定ができ、変化する環境に適応しながら海外事業の中核を担い、グローカル戦略に基づく新たな価値創造に貢献することを期待しております。なお、高度な専門性が求められるため、職種カテゴリーごとに具体的な要件を定義しております。
このグローバル人財レベルⅡの育成に関するKPIを設定し、計画的な人材育成と進捗管理を行っております。この新たな枠組みにより、グローバル人財の可視化と戦略的配置が可能となり、長期ビジョンの実現に向けた人的基盤の強化を図っております。
c)DX人財育成
変化の激しい外部環境に柔軟に対応し、企業として持続的に成長していくために、DXを推進できる人財の育成を人的資本戦略の重要な柱と位置づけております。特に、デジタル技術(D)の活用にとどまらず、事業・組織を変革する力(X)を発揮できる人財の育成に注力しており、DXを「手段」としてではなく「価値創造の変革」として捉えた人財戦略を推進しております。
2023年度には全従業員を対象にIT・DXのスキル・リテラシーの可視化調査を実施しました。この取り組みは、階層や部門によるスキルの偏りを正確に把握し、画一的な研修ではなく実態に即した育成施策を展開するための基盤となりました。この調査結果から得られた多くの気づきを施策に反映させる取り組みは、経済産業省が選定する「DX注目企業」において高く評価され、2年連続での選定につながっております。
2024年度より調査結果を踏まえて、事業戦略と連動した「DXリーダー」及び「デジタルアーキテクト」の育成を本格的に開始しました。「DXリーダー」はデジタルを利用した業務改革を企画し、他部署との連携調整を担う人財、「デジタルアーキテクト」は改革すべき課題を発見・提案し、DXリーダーの指示のもと実行を担う人財と定義しております。変革マインド醸成を主眼とした「越境リーダーシップ研修」など、実践的なプログラムを展開しております。
2025-2027年度の中期経営計画期間においては、育成したDXリーダーとデジタルアーキテクトによる現場主体の改革を推進し、2030年度には組織や企業の壁を越えた、事業戦略に基づく変革の実現を目指しております。これらの取り組みを効果的に進めるため、2024年度に設定した各人財カテゴリーのKPIに基づいて、計画的な人財育成と進捗管理を行ってまいります。
d)サステナビリティ人財育成
当社では、私たちのルーツである海を起点に、ステークホルダーや社会全体、そして地球と一体となって、「食」を通じて地球規模の社会課題を解決していく決意を込めて、2026年3月に社名変更を予定しております。
この新たな一歩に向け、2025年度にはサステナビリティ戦略部を新設し、事業活動を通じた経済価値、社会価値及び環境価値の創造を追求するサステナブル経営を体系的かつ効果的にグループ全体で推進する体制を整えました。
この体制のもと、持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立を目指し、サステナビリティ人財の体系的な育成に取り組んでおります。2030年度のあるべき姿として、以下の4分野において、戦略策定・推進ができる人財を各事業ユニットに配置することを目標に掲げております。
・環境
・サプライチェーンマネジメント及び人権
・水産資源
・ステークホルダーコミュニケーション
この目標達成に向け、2025-2027年度の中期経営計画では、各分野における「社外で啓発活動を推進できるエキスパート人財」と「社内で啓発を主導できるエキスパート人財」の育成に関する定量的KPIを設定しました。更に、「ビギナー人財」として、4分野の基礎知識を持ち、社内外で啓発活動に参画できる人財の育成目標も設定しております。これらの人財は、学生向けのサステナビリティ講習などの社会貢献活動を通じて、当社の企業価値向上にも貢献していきます。
サステナビリティ人財の育成は、社名変更に込めた決意を実現し、新設したサステナビリティ戦略部を中心とした全社的なサステナブル経営の推進力となるものであり、今後も計画的かつ戦略的に取り組んでまいります。
④ 人財配置戦略
長期ビジョン及び中期経営計画の達成に向けて、従来の部門個別最適から脱却し、経営・事業・従業員の3つの視点のバランスを考慮した全体最適の人財配置を企業価値創造の基盤と位置づけ、この方針に基づく戦略的な取り組みを進めております。具体的には事業ポートフォリオ方針の実現に必要な人財の質・量を確保するため、人財ポートフォリオの作成に着手しております。現段階では、組織内の人財の能力・スキルの見える化を進めており、事業戦略と人財配置の整合性を高めるための基盤構築を行っております。
また、「消費者起点のバリューサイクル」を実現するためには、各セグメント・部門間の強固な連携が不可欠であるとの認識から、人財の流動化を促進する仕組みづくりも進めております。部門間の人財交流を通じて、組織の壁を越えた知識・経験の共有を促進し、事業環境の変化に柔軟に対応できる組織体制の構築を目指しております。
今後は、これらの取り組みを体系的に進め、事業戦略の実行力強化と従業員の成長機会の拡大を両立させ、持続的な企業価値向上の実現に取り組んでまいります。
⑤ 挑戦と共創を促す風土醸成の取り組み
当社では、創業145年のDNAを活かしながら、次の100年、更にその先の未来に向けて「社員が主役」のカルチャー改革を推進しております。2024年度には、地球規模の変化や世界的課題に対応するため、海を起点とした価値創造力で「食」を通じて人も地球も健康にするソリューションカンパニーへと生まれ変わるという新たなコーポレート・アイデンティティを策定しました。
このコーポレート・アイデンティティ変革を実現するためには、従業員一人ひとりが挑戦し、現状にとらわれず自由に社内外と共創する風土が不可欠です。そのため、部門の壁を越えた人財の流動性を高めるFA制度や社内公募制を整備し、新たな視点や発想が生まれる環境づくりに取り組んでおります。これらの制度により、従業員が多様な経験を積み、新たな価値創造につながる機会を提供しております。
また、従業員の挑戦を称え、さらなる成長を促進するため、イノベーションや業務改善、価値創造に貢献した取り組みを評価する表彰制度を設けております。この表彰制度では、単なる業績だけでなく、挑戦のプロセスや組織への波及効果も重視し、新たな価値創造に向けた積極的な行動を奨励しております。
カルチャー改革の中核となる取り組みとして、2024年度より「当社グループの目指す未来の共有と共感」と「改革を身近に感じられること」を重点に置いた組織横断のプロジェクトを展開しております。従業員と経営が一体となったこれらのプロジェクトでは、従業員が自ら手を挙げて参画する公募制を採用し、自己変革と自己成長が起こりやすくなるようなワークプレイス改革や、食を通じての多数のステークホルダーとの共創に取り組んでおります。この取り組みにより、多くの従業員が自発的に参画し、組織の壁を越えた協働が生まれております。
更に、2023年度から2024年度にかけて全ての事業所で「タウンホールミーティング」を開催し、社長と従業員との直接対話の場を設けました。そこで寄せられた様々なアイデアや提案を丁寧に検討し、実現に向けた取り組みを進めております。特に「他部署の業務を体験したい」という従業員の声に応え、「他部署体験」プログラムを実施しました。13の部署にて若手から管理職まで65名が参加しました。この取り組みは、部門間の相互理解を深め、組織の壁を越えた共創の基盤づくりに貢献しております。
このように、挑戦を応援する制度の整備と風土醸成を通じて、従業員一人ひとりのマインドセット変革と実践を推進し、自律的な組織づくりと企業価値創造の実現を目指しております。
⑥ 従業員エンゲージメント
当社グループは、従業員のエンゲージメント向上を、企業価値を高める重要な要素と位置づけております。2023年度からはサーベイの対象範囲をグループ会社へ拡大し、2024年度は10,232名が対象となりました。
当社では「挑戦と共創の文化構築」という長期ビジョンの実現に向けて、エンゲージメントサーベイの以下3項目を重要指標として選定し、2030年度に向けた目標を設定しております。これらの指標は、「挑戦と共創の文化」の定着度を測る重要な尺度であり、現状の課題を反映した項目として、その改善が価値創造の基盤強化につながると考えております。
・「会社の方針や事業戦略への納得感」
・「挑戦する風土」(失敗したこと以上に挑戦したことを称えられる組織文化)
・「発言・意見に対する承認」(周囲が自分の意見や発言を聞いてくれているか)
エンゲージメント向上に向けた具体的な取り組みとして、サーベイ結果に基づく組織別の課題解決を推進しております。職場風土に課題がある工場においては、通常は管理職層を対象とする360度サーベイの範囲を拡大し、現場社員まで含めた包括的な調査を特別に実施し、その結果に基づくマネジメント研修や小集団活動を展開するなど、きめ細かな対応を行っております。
これらの取り組みを皮切りに、今後は各指標の課題に応じた多様な施策を展開し、スコア向上を図ります。従業員が新たな挑戦に踏み出し、部門を越えた共創が活発に行われる組織文化を醸成していくことで、従業員の創造性と生産性を高め、持続的な企業価値創造につなげていきます。
⑦ ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループは、「多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築」を社会価値創造におけるマテリアリティとして特定し、年齢、性別、国籍、障がいの有無に関わらず、様々な違いを尊重し、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでおります。この考えに基づき「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定し、従業員の意識啓発及び行動変容につなげるための取り組みを進めております。多様な視点や発想を融合させることで、「消費者起点のバリューサイクル」のグローカルな展開を加速するとともに、「挑戦と共創」の文化を醸成し、持続的な企業価値の創造を目指しております。
a)女性活躍推進
女性の活躍推進はダイバーシティ推進の重要施策と位置づけており、採用から登用までのあらゆる段階で機会の平等を確保する取り組みを強化しております。従来男性従業員が多くを占めていた職種や海外実務の場においても女性の積極的な登用を進め、多様な視点での事業展開を目指しております。長期ビジョンを実現するためには、同質的な視点や発想だけでは限界があり、多様なバックグラウンドを持つ人財、特に女性の視点や感性を積極的に取り入れることが不可欠であると認識しております。女性が意思決定プロセスに参画することで、従来にない発想や視点が生まれ、新たな価値創造につながると考えております。
女性の採用については、男女比50:50を指標とし、母集団形成段階からバイアス排除に努めております。また、女性管理職比率については、育成・登用の強化を図っております。具体的には、キャリア形成を支援する研修プログラムの提供や、ロールモデルとなる女性管理職の発信機会の創出など、成長機会の拡充と組織風土の醸成を同時に進めております。2030年度には女性従業員比率35%以上、女性管理職比率15%以上を目標に掲げ、新規管理職昇進者の女性比率向上に取り組んでおります。
○女性比率の推移
項目 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
2030年度 |
女性新卒入社 |
39.7% |
50.0% |
52.3% |
50.0% |
48.4% |
- |
女性従業員 |
24.6% |
26.2% |
28.1% |
29.3% |
31.5% |
35% |
女性管理職 |
4.5% |
5.5% |
7.0% |
7.7% |
9.1% |
15% |
(各年度4月1日時点、対象:当社)
b)障がい者雇用の推進
「障がいのある方たちと共に働く」の方針のもと、本社においては、障がいのある方が活躍できる専門チームを設置し、本社内の一部の業務を担う体制を整えております。また、工場では定着支援のための「キーチーム」を設立し、全社として障がいのある方々がより多くの職場で活躍できるよう、業務の選択と集中を行って障がいのある方々が担える業務を増やしております。この取り組みは、職場の多様性を高めるだけでなく、業務プロセスの見直しや効率化にもつながり、組織全体の生産性向上にも寄与しております。今後も継続して活躍の場を増やしてまいります。
○障がい者雇用率の推移
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
2.00% |
2.32% |
2.31% |
2.50% |
2.64% |
(各年度4月1日時点、対象:当社)
c)キャリア採用
多様なバックグラウンドを持つ即戦力人財や、高度専門職の採用を推進し、組織の多様性と創造性の向上に努めております。高度専門職については、その希少性と専門性の価値を適切に踏まえた処遇を行っており、専門人財の知見を通じて組織の対応力を高めております。
また、外部での経験を当社の価値創造につなげる取り組みとして、一度退職した従業員が社外で得た知見・人脈・経験を活かして再び当社で活躍できる「ジョブ・リターン制度」を導入しております。これらの取り組みを通じて、多様な視点と専門性を融合させ、組織全体での共創を推進しております。
○キャリア採用比率の推移
(単位:名) |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
新卒入社 |
75 |
58 |
50 |
86 |
80 |
キャリア採用 |
27 |
25 |
41 |
38 |
46 |
キャリア採用比率 |
26.5% |
30.1% |
45.1% |
30.6% |
36.5% |
(対象:当社)
⑧ ウェルビーイング向上の取り組み
当社グループでは、従業員一人ひとりのウェルビーイングを企業価値創造の基盤と位置づけております。ウェルビーイングは、身体的健康だけでなく、心理的充実、キャリア満足度、多様性の尊重など多面的な要素から成り、これらが調和することで従業員の創造性と生産性が最大化され、イノベーションの創出につながると考えております。
a)キャリア充実と自己実現の支援
ウェルビーイング向上の取り組みの一環として、従業員が自らの強みや志向に合わせたキャリアを構築できるよう支援しております。2022年度より開催している「ゼンカツ(=全員活躍)オープン講座」では、自己キャリア設計、多様性理解、メンタルヘルスケアなどのテーマで講座を展開し、従業員が自分らしさを知り、充実した人生を実現するための機会を提供しております。また、本人の異動希望調査をもとにしたキャリア形成支援や副業制度なども、従業員の自己実現と成長実感を促進する重要な取り組みとして位置づけております。
b)健康経営の推進
健康経営も重要な取り組みとして位置づけ、代表取締役社長を健康経営最高責任者とする推進体制のもと、「からだ」と「こころ」の両面から包括的なアプローチを行っております。主な取り組みとしては、「well-Bアクション」と総称する健康維持・増進プログラムを展開し、2025年度からは健康ポイントプログラムも導入して自発的な健康行動の定着を促進しております。メンタルヘルス対策としては社内サポート体制「ココロバ」の整備や1on1ミーティング「ブカシル」の活用により、心の健康維持にも注力しております。これらの取り組みが評価され、2025年度には「健康経営銘柄」を取得しました。
c)柔軟な働き方と両立支援
育児や介護などライフステージや、多様な価値観に対応した柔軟な働き方の実現も、ウェルビーイング推進の重要な柱です。「コアタイムなしのフレックス制度」、「在宅勤務制度」、「週休3日制度」等を整備し、個々のライフイベントとの両立を支援することで、働きやすさと働きがいの両立を図っております。また、育児や介護に関する専門窓口「はぐサポ」を設置し、従業員の悩みに寄り添ったサポートを提供するとともに、両立支援をテーマとした研修を定期的に開催し、管理職を含めた組織全体の理解浸透に努めております。当社の育児と仕事の両立支援の取り組みは、2023年に4回目となる厚生労働省の「くるみん」認定を取得しました。特に男性の育児参画を促進する取り組みを強化しており、その成果は男性育児休業取得率の着実な向上に表れております。
ウェルビーイングの成果を測定するため、健康状態に関する指標とエンゲージメント指標を設定し、継続的な改善を図っております。これらの指標に基づき、健康診断の事後措置強化、ヘルスリテラシー向上のためのセミナー開催、食・睡眠・運動に関する総合的な取り組みなど、具体的なアプローチを展開しております。また、育児休業取得率などの両立支援に関する指標も定期的に測定し、取り組みの効果検証を行っております。なお、「⑥従業員エンゲージメント」の項目も、ウェルビーイングを構成する重要な要素として、相互に連携しながら推進しております。
○男性従業員の育児休業及び育児目的休暇取得率の推移
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
42.5% |
35.5% |
52.3% |
69.7% |
79.2% |
(対象:当社)