2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,651名(単体) 12,531名(連結)
  • 平均年齢
    41.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.5年(単体)
  • 平均年収
    7,496,699円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

水産資源事業

8,016

[8,154]

加工食品事業

1,174

[1,857]

食材流通事業

2,006

[2,715]

物流事業

832

[87]

報告セグメント計

12,028

[12,813]

その他

7

[-]

全社(共通)

496

[88]

 合計

12,531

[12,901]

 

  (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

        2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,651

[1,768]

41.8

15.5

7,496,699

 

セグメントの名称

従業員数(人)

水産資源事業

249

[80]

加工食品事業

558

[1,507]

食材流通事業

445

[89]

物流事業

21

[7]

報告セグメント計

1,273

[1,683]

全社(共通)

378

[85]

 合計

1,651

[1,768]

  (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

        2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

  当社グループの従業員の加入する労働組合は、陸上職員のマルハニチロユニオン、船員及び事業員の全日本海員組合等があり、マルハニチロユニオン等は日本食品関連産業労働組合総連合会に加盟しております。

  労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1,3

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・

有期労働者

7.7

69.7

57.6

66.7

77.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の男女の賃金の差異は、男性従業員の賃金を100とした場合の女性従業員の賃金比率であります。男女賃金差異全体の数値は、正規社員には高額給与者に男性が多いこと、短時間労働者を含む非正規社員については女性比率が高いことが主要因となり、正規及び非正規よりも数値が低くなっております。なお、女性活躍の取組等については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人的資本に係る戦略・指標及び目標」に記載しております。

 

② 連結子会社

当連結会計年度

連結子会社

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)2

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2,4

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

大洋エーアンドエフ㈱

20.4

㈱マルハニチロAQUA

4.0

大都魚類㈱

7.9

神港魚類㈱

1.1

㈱大洋食品

12.5

㈱マルハニチロ北日本

0.0

59.0

77.3

82.3

㈱マルハニチロリテールサービス(注)5

9.4

㈱ヤヨイサンフーズ

1.6

0.0

58.1

79.3

83.7

㈱デリカウェーブ

16.1

0.0

81.7

82.2

95.8

マルハニチロ畜産㈱

0.0

100.0

70.1

76.3

83.3

㈱マルハニチロ物流

4.4

100.0

71.8

70.0

100.8

㈱マルハニチロ物流サービス関東

25.0

50.0

㈱マルハニチロ物流サービス九州

0.0

0.0

(注)1.「-」は該当項目において女性活躍推進法等に基づいた情報公表を行っていないことを示しております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4.労働者の男女の賃金の差異は、男性従業員の賃金を100とした場合の女性従業員の賃金比率であります。

5.㈱マルハニチロリテールサービスについては、2024年4月1日に㈱マリンアクセスと合併したことにより、㈱マルハニチロオーシャンに社名を変更しております。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

  近年、社会や地球環境などのサステナビリティ課題への関心が世界的にますます高まり、事業を取り巻く外部環境も日々変化しております。当社グループは、変化への対応、社内への重点課題の浸透、社内外のステークホルダーの意見を経営に反映していくことを重視し、2022年度より開始した中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」に伴い、前中期経営計画で取り組んでいたマテリアリティを見直しました。マテリアリティの見直しに際しては、社外有識者、社内従業員へのアンケートを通して社内外ステークホルダーの意見を取り込み、経営陣による議論、検討を重ね、下表に示す9つのマテリアリティを特定しました。

  マテリアリティそれぞれで抽出した機会とリスク、主要な取り組みは次のとおりであり、「環境価値の創造に関するマテリアリティ項目」と「社会価値の創造に関するマテリアリティ項目」に分類して記載しております。

 

環境価値の創造に関する

マテリアリティ項目

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

気候変動問題への対応

○天然水産物の漁獲量減少を補う養殖水産物の販売機会の拡大

●CO₂排出量削減対策による生産コストの増加

●海水温上昇に伴う魚種や漁場の変化による漁獲量・売上の減少

●気候変動による原材料の調達不全リスクの増大

・CO₂排出量削減ロードマップの策定

・CO₂排出量削減施策の実施(太陽光パネル設置、再生可能エネルギーへの切替え)

・省エネルギー設備の増強

・エネルギー効率の改善

・ノンフロン冷凍機への転換

・調達先の迅速な変更や取扱魚種の変更

・代替調達ルート、代替原料の模索

循環型社会実現への貢献

○容器包装プラスチック使用量削減によるコスト削減

○フードロス削減によるコスト削減

○廃棄物削減の取り組みによるコスト削減

●容器包装プラスチックの環境配慮型素材切替えによるコスト増加

●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損

・容器包装のプラスチック使用量削減と環境配慮型素材への切替え促進

・フードロス削減活動の推進

・製造トラブルの削減

・原材料・資材・商品の廃棄削減

・廃棄物の有価物化

海洋プラスチック問題への対応

○漁具管理強化、紛失減によるコスト減少

○海洋プラスチック問題へ積極的に取り組む企業としてイメージ向上

●海洋に流出しづらい漁具への切替えによるコスト増加

・漁具管理ルールの策定と運用

・海洋に流出しづらい漁具への切替え

・海岸クリーンアップ活動の積極的実施

生物多様性と生態系の保全

○持続可能な水産資源の提供による企業価値向上

○自社養殖場の認証レベル管理による環境保全

●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応によるコスト増加

●認証取得・維持にかかるコストの上昇

・生物多様性リスク評価の実施

・定期的な水産資源調査の実施と不明魚種、資源に心配のある魚種への対応

・持続可能な漁業・養殖認証(MSC・ASC等)取得水産物の取り扱いの推進

・持続可能な養殖認証の取得の推進

・輸入水産物のトレーサビリティ確認の強

・国内外ダイアローグへの参加

・自社養殖場における認証レベル管理

 

 

社会価値の創造に関する

マテリアリティ項目

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

安全・安心な食の提供

○品質事故、品質クレーム減少によるコスト削減

○お客様の満足度向上によるブランドへの信用獲得

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様の信頼低下による収益力の低下

・グループ品質保証規程に基づく品質保証活動の徹底

・品質に関する人財育成

・サプライヤ-との協働による食品安全・食品防御レベルの向上

・パッケージ、WEBサイト、業者間での適切な製品品質情報の開示

健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供

○お客様の満足度向上によるブランド価値向上

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

○お客様の健康価値創造と持続可能性に配慮した食を提供する企業ブランドの確立

●製品基準を満たす製品開発コストの増加

・健康価値創造と持続可能性に貢献する食の製品基準の策定

・「消費者志向経営」(未来次世代のために取り組む企業)に関する社内啓発研修の実施

・健康価値創造と持続可能性に貢献する企業という社外評価方法の構築

多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築

○性別・年齢・国籍等にとらわれない人財登用による社内モチベーションの向上

○イノベーションが起きやすい環境づくり

○人財獲得競争での優位性獲得

●人財開発及び職場環境改善コストの発生

・新卒採用比率男性50%・女性50%の継続

・取締役会・管理職の女性登用の推進

・仕事と介護・育児・治療の両立支援

・従業員の健康維持及び増進

・従業員エンゲージメントの評価方法の確立と向上

・グローバル人財育成の推進、等級別研修の拡充

・選抜研修の推進等を含めた人財育成プログラムの確立

事業活動における人権の尊重

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

○グループ内、サプライチェーン上での人権リスク軽減

●人権問題への対応遅延による企業価値毀損

・社内人権啓発研修の開催

・国内グループ製造拠点での外国人技能実習生調査と改善対応

・サプライチェーン上での人権調査と改善対応

持続可能なサプライチェーンの構築

○サプライチェーン上での社会・環境課題へのリスク低減

●サプライチェーン上における社会・環境問題対応によるコスト増加

●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅延による原材料調達不全リスクの増大

・「調達基本方針」「サプライヤーガイドライン」「腐敗防止宣言」のサプライヤーへの周知徹底

・システムを利用したサプライヤーの登録、モニタリングの実施、リスクの有無確認とフィードバック

 

 

(1)ガバナンス

  当社グループにおける「サステナビリティ推進委員会」は、代表取締役社長が委員長を務め、マルハニチロ㈱取締役を兼務する役付執行役員、関連部署担当役員、関連部署長を委員、社外取締役、監査役をオブザーバーとし、構成されております(2024年度より取締役常務執行役員が委員長、代表取締役社長は委員)。

  「サステナビリティ推進委員会」では、グループサステナビリティ戦略全般の企画立案や目標設定及びグループ各社の活動評価をしており、主に中期経営計画のマテリアリティの進捗状況を積極的に討議しております。各マテリアリティの推進体制では、マテリアリティ“循環型社会実現への貢献”のプラスチック使用量削減とフードロス削減及び“健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供”において、2022年度よりプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトオーナーを管掌役員、プロジェクトリーダーを関連部署長として、部署横断的な取り組みを推進しております。加えて、2023年11月より“気候変動問題への対応”で“CO₂排出量削減プロジェクト”も立ち上げ、プロジェクトオーナー、プロジェクトリーダー含むプロジェクトメンバーで各種施策の取り組みを進めております。

 

 <マルハニチログループサステナビリティ推進体制図>

 

(2)リスク管理

  当社グループでは、法務・リスク管理部を中心に、マルハニチロ㈱各部署やグループ各社のリスク管理責任者、リスク管理担当者が連携してリスク管理業務に取り組む体制を整えております。法務・リスク管理部は、マルハニチロ㈱の各部署及びグループ各社より抽出されたリスクの評価・分析にもとづきリスクマトリクスを作成し、当社グループとしてのリスクの仕分けとリスクの大きさの優先順位を決定することで、事業活動に潜むさまざまなリスクを日常的に管理し、業務改善に繋げております。また、法務・リスク管理部は、リスクの拡大やクライシスを未然に防ぐ業務のほか、企業の存続が危ぶまれるような重大な事件・事故、大規模自然災害などの有事においては、非常事態に対応するクライシスマネジメントの中心的な役割を担っております。

 

 

(3)重要な戦略・指標及び目標(気候変動)

  <戦略>

    気候変動リスクに対する戦略は、TCFDフレームワークに基づき策定しております。当社グループは、生産・調達から食卓までの水産物を中心とした幅広いバリューチェーンで事業を行っており、気候変動は水産資源や原料調達への影響や大規模な自然災害による事業活動の停止など、グループの事業に影響を及ぼす可能性が考えられます。このため2021年度の養殖事業に続いて、2023年度は水産のバリューチェーンを網羅的に対象として以下のとおりTCFD提言に基づくシナリオ分析を実施しました。TCFDフレームワークを参照し、水産バリューチェーンの事業ユニット別に気候変動のシナリオ分析を実施し、気候変動リスクと機会の特定、財務インパクトの評価を行い、その対応策を検討しました。明確化された重要なリスクと機会に対して対応策を講じることで、リスクの低減と機会の確実な獲得につなげ、気候変動に対してレジリエントな状態を目指してまいります。

 

A)リスク重要度評価

    対象となる水産バリューチェーンの各事業におけるリスク・機会項目を一覧化、その上で特に対象事業へのインパクトの大きいとみられる項目を特定しました。その結果、「移行リスク」ではカーボンプライシングによる自社コストの増加のほか、燃料価格の高騰による漁業操業コストの上昇、「物理的リスク」では海水温の上昇に伴う漁場や魚種の変化や水産物調達コストの増加や、激甚災害による操業停止による売上減少及び復旧コストの増加などが特定され、これらのリスクについてシナリオ分析を実行しました。

 

B)シナリオ群/対応策の定義

    国際エネルギー機構(IEA:International Energy Agency)、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)、その他国際機関が発行する資料などを参照し、4℃及び1.5℃(養殖事業は2℃)の2つのシナリオを設定しました。シナリオ分析の時間的範囲は、5年未満を短期、5年から10年を中期、10年超を長期として設定しました。

    4℃シナリオにおいては、物理的リスクの顕在化による漁獲量や売上の減少や水産物等の調達コストの増加、工場や調達先の被災による生産・物流の停止が発生し、物理的リスクへの対応が求められました。今後は漁業権へのアクセスを確保し、養殖技術における改良技術の開発/生産や物流の複線化や事業継続計画の精緻化にも注力してまいります。

    1.5℃及び2℃シナリオにおいては、脱炭素の規制拡大に伴う各事業での低炭素化と高付加価値商品・代替品の開発がリスク及び機会として特定され、再生可能エネルギーへの投資が求められ、漁船の操業コストや保管料・物流コストの増加が想定されました。対策として脱炭素に向けた省エネルギーやオンサイト太陽光、オフサイト太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの導入を進めております。また、代替タンパクを原料とする商品や環境配慮型商品、気候変動に対応した冷涼なメニュー・新商品開発が機会として特定され、対応を進めてまいります。当社グループでは、他社と共同研究中の「細胞培養魚肉」についても、世界最速商業化を目指しております。

 

  <指標及び目標>

    指標と目標については、CO排出量を指標とし、2030年度までにCO排出量の2017年度比30%以上削減、2050年度までのカーボンニュートラル達成を達成目標としております。目標達成に向けて、2030年度までの期間を、更に3つの段階に分け、より細かい目標を設定しております。フェーズ1(2022~2024年度)ではCO削減率10%、フェーズ2(2025~2027年度)にはCO削減率20%、フェーズ3(2028~2030年度)はCO削減率30%以上を目標にしており、最終的には2050年度末までにカーボンニュートラルを目指してまいります。

 

 

(4)人的資本に係る戦略・指標及び目標

  当社グループは、持続的な企業価値向上の源泉は、従業員一人ひとりであると考えております。「企業は何よりも人にある」という理念のもと、人的資本への投資を強化し、一人ひとりの持つスキル・能力・知識を高めて、価値創造を実現し、社会的課題を解決する人財を育成するとともに、多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築を目指しております。

 

<人財育成戦略及び社内環境整備戦略>

 当社グループは、長期経営ビジョンの達成に貢献する、新しいバリューを生み出す人財(チェンジメーカー)の創出に向けて、以下の3点をポリシーとして目指すべき人事施策の全体像を作成しました。

①非連続の成長に貢献できる中核人財の輩出及びグループ全体としての最適配置

②事業運営、事業戦略実行に必要な人財の確保

③従業員の自律的キャリア形成支援、成長実感を得られる機会の提供

 各施策の実行に向けて、2023年に職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を作成しました。職務記述書をハブとして、各施策が有機的に機能し、持続的な企業価値の向上につなげるよう取り組んでまいります。

 

中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV 2024」

 

目指すべき人事施策の全体図  

 

①人財育成

  a)グローバル人財育成プログラム

  当社グループでは海外市場への展開拡大や資源アクセスの強化を重点テーマとして取り組んでおります。そのテーマの実現に向けて、2018年度より「グローバル人財育成プログラム」をリニューアルして、異なる文化や価値観を持つ人々と協働し、マネジメントを行える人財の育成を行っております。

    当該プログラムは従業員の自己申告による応募からの選抜となっており、異文化対応、リーダーシップなどの研修の受講や1年間海外の関連会社へ派遣する「海外トレーニー制度」などの機会を提供しております。修了認定を得るためには、語学力・コミュニケーション能力など4つの基準及び役員に対する最終プレゼンテーションを通過する必要があります。プログラム修了認定者はグローバル人財プールとして管理し、計画的に海外現地法人の管理や事業運営の中核を担わせて経験を積ませることにより、海外で当社のガバナンスを利かすことができる経営人財を育成しております。

  また、成長ドライバー領域と位置づける冷凍食品の海外市場展開を担う人財の育成を目的に、2023年度より海外の関連会社へ3か月程度の短期派遣を継続的に行う取り組みを開始しました。海外での実践の場を経験する機会を広く提供することで、海外でのマーケティングや商品開発を担う人財を育成してまいります。

 

  b)経営リーダー人財育成プログラム

  持続的な企業価値創造には、全社視点で経営や事業を捉えて、グループ内のリソースを活かすことができる中核人財の中長期的な育成が必要との考えから2018年度より「経営リーダー人財育成プログラム」を運営・推進しております。

  当該プログラムは部長層、課長層、非管理職層それぞれからポテンシャルが高い人財を選抜して、経営に関する教育を経た後、アウトプットを中長期で行う機会を提供し、経営リーダー人財の育成を行っております。

 

  c)サステナビリティ人財

  サステナビリティ戦略の推進、特に当社の持続的な成長にとって重要となる「生物多様性と生態系の保全」への取り組みに向けて、2024年度に国際的な水産資源管理の推進を目的に水産資源推進室を新設し、国際的な漁業・養殖認証規格制度や国内外の水産行政等に精通した人財を配置しております。今後、更なる人財の育成・確保に取り組んでまいります。

 

  d)教育体系

  この他にも、当社では階層別やテーマに応じた教育研修プログラムを運営し、役職や職務に応じて求められる能力、役割期待やビジネススキルなどを学ぶ機会を提供し、人財育成に取り組んでおります。

  また、所属組織で行うOJT制度に加えて、2022年度からメンター制度を導入し、所属組織を超えた人間関係の構築や人財育成意識の早期熟成に取り組んでおります。

 

<教育体系図>

 

 

②人財配置戦略

 従業員のキャリア形成や将来を見据えた人財育成を基本方針として、グループ全体最適の観点を持って人財配置を戦略的に行っております。

 長期経営ビジョンにおいて掲げております水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンの価値最大化に向けては、セグメントを横断した人財配置を推進するとともに、非管理職層については管理職登用までに2職種3部署をローテーションすることを推進しており、当社グループ事業への理解の深耕、多角的な視野の獲得、変化への対応力強化を行っております。

 また、次期中期経営計画の達成に必要な人財の質・量をともに確保するために、サクセッションプログラムのリニューアルと動的な人財ポートフォリオの作成に取り組み、全体最適の人財配置を実現する仕組みの構築を目指してまいります。

 

③従業員のキャリア形成支援

 従業員自らが自身のキャリアを考え、挑戦し、成長を実感できることが、自律的な組織作りにつながり、企業価値創造につながるという考えから、従業員のキャリア形成を支援する取り組みを進めております。

 2023年度は職務記述書を作成して各組織の職務内容と必要な能力を従業員に公開し、従業員が自身のキャリアを検討する際の基盤を構築しました。また、2022年度からFA制度を導入しております。入社10年未満の従業員を対象として、同一部署に5年以上在籍した場合に、上長の了承なしで本人が希望する部署に異動することが可能となっており、導入以来、制度の利用が進んでおります。

 副業制度については、2022年度に導入しました。社外で多様な業務経験を積むことにより、視野拡大や能力開発につながり、自律的なキャリア形成を実現していくことを支援するとともに社内でのイノベーションの創造を期待しております。

 また、従業員が自ら手をあげて参画する社内プロジェクトを複数立ち上げて、キャリア形成のために挑戦する機会を提供しております。2023年度は事業の新規戦略の策定やAIツールの業務適用の検討などのプロジェクトに47名が参画しました。

 2021年度から導入した1on1ミーティングについては、職場環境・関係性の構築を目的として開始しましたが、今後はキャリア相談に対する管理職のコーチングスキル向上を図り、従業員のキャリア形成を支援する場として活用することを検討しております。

 

④ダイバーシティ&インクルージョンの推進

 性別・国籍・障がいの有無などの様々な違いを尊重し、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮することが、当社グループの持続的な成長には重要なことであるという考えから、「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定し、従業員の意識啓発及び行動変容につなげるための取り組みを進めております。

 

 a)女性活躍推進

 当社グループが新たな食の可能性に挑み、世界の人々に生きる活力を提供し続けるためには、これまで男性従業員が多くを占めていた営業等の職種においても女性従業員の配置を進め、多様な視点を活かしていくことが不可欠と考えております。海外現地への女性従業員の配置についても2024年度に実施しました。女性従業員比率を高めていくとともに、女性従業員が活躍できる機会の提供や意思決定層への登用を進めております。

 

採用比率・女性従業員比率

    2024年4月入社の新卒新入社員における男女比は男性50%、女性50%となっており、2022年度から3年連続で男女比はほぼ半々で推移しております。

      <新卒入社の男女比推移(男性:女性)>

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

60.3:39.7

50:50

47.7:52.3

50:50

 

    非正規社員の正規社員登用の直近3年間の登用者数における女性比率は93.1%(男性2名:女性27名)となっております。また、女性従業員の育児休業取得率は100%を8年間継続しております。これらにより、従業員における女性比率は年々高まっており、2024年4月1日時点の女性比率は29.3%となりました。

  <女性従業員比率の推移(各年度4月1日時点)>

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度目標

24.6%

26.2%

28.1%

29.3%

35%

 

 

女性管理職比率

    女性従業員の管理職比率は2030年度目標15%の達成に向けて積極的な登用を進めております。2024年4月1日時点の女性管理職比率は7.7%となりました。

  <女性管理職比率の推移(各年度4月1日時点)>

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度目標

4.5%

5.5%

7.0%

7.7%

15%

 

「えるぼし(2段階目)」認定の取得

    2017年度、厚生労働省「えるぼし」を取得し、5つの評価項目のうち「採用」「労働時間等の働き方」「多様なキャリアコース」の3つの基準を満たしております。また、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(2021-2025)を2021年3月に策定しております。

 

 b)障がい者雇用

 「障がいのある方たちと共に働く」の方針のもと、当社においては、2022年度より障がい者が活躍できる部署を新設し、社内の一部の業務を担うとともに業務効率化にもつながる体制を整備しました。工場においては定着支援のための「キーチーム」の設立などの取り組みを進め、直営6工場の障がい者雇用率は3.78%となっております。また、支社においても障がい者の方々がより多くの職場で活躍できるよう、業務の選択と集中を行って障がい者の方々が担える業務を増やしており、今後も継続して雇用者数も増やしてまいります。

   <障がい者雇用率の推移(各年度4月1日時点)>

2022年度

2023年度

2024年度

2.32%

2.31%

2.50%

 

 c)キャリア採用

 長期ビジョンの達成に向けて、質・量が充足していない人財層については社外人財の活用を積極的に進めております。2023年度の採用者にしめるキャリア採用の比率は30.6%となっております。また、当社を一度退職し、その後に得た知見・人脈・経験を活かして、再び活躍していただく「ジョブ・リターン制度」を導入しております。

 

⑤健康経営/Well-being

 当社グループは「本物・安心・健康な食の提供を通じて、人々の豊かなくらしと幸せに貢献する」ことをグループ理念として掲げており、様々な事業活動を通じて世の中の健康づくりに貢献していくことが存在意義であります。このことを実現するには従業員が健康な状態であることが重要なファクターであると考え、2018年健康経営方針を策定し、担当役員の統括の下、人事部・健康推進室(産業医、保健師、臨床心理士)、マルハニチロ健康組合で組織体制を作り、健康経営の推進に取り組んでおります。

 

<健康経営推進体制図>

 

 具体的な取り組みとしては、水産由来栄養素の摂取推奨と塩分制限、野菜・果物の摂取、更には運動イベントの要素を組み合わせた「well-Bチャレンジ」と称する社内イベントを毎年開催し、生活習慣病の改善に取り組んでおります。その他にも、仕事の合間のリフレッシュ・運動機会の提供を目的に短い時間で実践できるエクササイズを提供するイベント、歩行姿勢や推定野菜摂取量を測定するイベントなど、健康意識や行動の変容につなげる取り組みを行っております。

 また、従業員のストレスケアとして、関係性の質の向上にも寄与する1on1ミーティングや、ストレスチェックにおける高ストレス者が多い職場の従業員や新入社員などを対象とした臨床心理士との面談を実施しております。これらの活動を今後も継続して、世の中の健康づくりに貢献する健康価値創造のリーディングカンパニーを目指してまいります。

 上記の取り組みを通し、「健康経営銘柄2022」「健康経営優良法人(ホワイト500)2024」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「スポーツエールカンパニー(スポーツ庁)」「東京都スポーツ推進企業」に選定されております。

 Well-beingへの取り組みとしては、従業員がプライベートも含めた未来を考える機会や、誰もが尊重され、従業員一人ひとりが自分らしく健康に活き活きと働き、強みを存分に発揮する基盤について考える機会の提供として、2022年度より「ゼンカツ(=全員活躍)オープン講座」と称する講義やワークショップを実施しております。テーマは、ライフ&キャリアデザイン、レジリエンス、介護と仕事の両立など、従業員のアンケートにより関心の高いもの、周囲に受講して欲しいものを選定しております。今後も更にWell-beingを実現するための取り組みを進めてまいります。

 

⑥従業員エンゲージメント

 当社グループでは従業員のエンゲージメントを、企業価値を高める重要な要素と位置づけており、2021年度から従業員のエンゲージメントレベルを図るパルスサーベイを実施しております。サーベイ結果については、継続的にスコアの分析を行い、改善が必要な部門へは、人事部より状況を確認し、今後のアクションプラン検討等の支援を行っており、サーベイ結果を元に各部門がアクションサイクルを回してスコア向上を図る仕組みの構築を目指します。

 2023年度からはグループ会社へのエンゲージメントサーベイを開始しました。2024年度にはエンゲージメント評価方法を確立するとともに、2030年度までの目標を設定します。

 

⑦社内環境の整備

 a)柔軟な働き方の実現

 2018年度から本社・支社のフレックスタイム勤務化に取り組み、2021年度には全部署コアタイムなしのフレックスタイム勤務となっております。在宅勤務については、2020年度から制度化し、2022年度からは自宅だけでなく、実家での勤務も可能としております。また、育児・介護との両立支援、専門知識やスキルの取得、副業などを目的として利用できる週休3日制を2022年度から導入しております。

 

 b)男性の育児休業取得促進

 男性がより育児休業を取得しやすい企業風土の醸成を後押しするため、「男性育休100%宣言」への賛同並びに「イクボス企業同盟」へ加盟しております。経営層・管理職層向けのマネジメントセミナー、ライフワークバランスに関するセミナーを開催し、従業員全体の意識改革を進めております。また、男性社員がより育児休業を取得しやすい環境を整えるため、育児休業中の給与を一部サポートする制度を導入しております。

 これらの施策が子育てに関わる従業員の前向きな「仕事と育児の両立」の実現支援にも寄与し、女性従業員はもちろんのこと、男性従業員の育児休業取得率(短期含む)等が評価された結果、2023年に4つ目の「くるみん」認定を取得しました。

 これらの取り組みを今後も継続して、当社中期経営計画の社会価値創造に関するマテリアリティのひとつ「男性の育児休業+休暇取得率 2030年度 100%」を達成させてまいります。

   <男性従業員の育児休業+休暇取得率の推移>

2021年度

2022年度

2023年度

35.50%

52.30%

69.70%

 

⑧企業風土/カルチャー改革への取り組み

 当社グループが持続的に社会に貢献し続けると同時に従業員のWell-beingを実現していくためには、取り巻く環境とサステナブルに融合し、共生を可能とする組織カルチャーが必要であると考えています。その実現に向けて、役職員一人ひとりのマインドセット変革と実践を推進してまいります。2024年度より「当社グループの目指す未来の共有と共感」、そして「改革を身近に感じられること」を重点においたカルチャー改革を実行してまいります。具体的には、自己変革と自己成長が起こりやすくなるようなワークプレイス改革や食を通じての多数のステークホルダーとの共創に取り組みます。従業員と経営が一体となった公募制のプロジェクトを複数立ち上げて、次の100年先を見据えた心躍る将来について多くの従業員が想い、語り、実践できるような推進活動を目指します。