2024年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)天候・自然災害リスク

当社グループの主要販売商材である「種苗」の生育は天候に大きく左右されるため、天候状況は販売および生産に影響を与えます。まず販売面では、暴風雨などの自然災害や天候不良による不作などは生産者の活動に影響を与え、当社商材の販売が減少するリスクがあります。販売地域を世界170か国以上に広げたり、厳しい生育環境にも適応する品種を開発することなどによりリスクの軽減に努めていますが、世界的に異常気象は増加傾向にあると認識しており、各地における天候不良は売上の低迷をもたらす可能性があります。また、商品種子の生産については、天候不良により充分な品質や数量を確保できないリスクや生産コストが上昇するリスクがあります。このため世界19か国に生産を分散し、かつ同一地域でも複数の種子生産者にその生産を委託してリスク分散を図っているほか、一定量の安全在庫を保有することとしております。しかしながら、特に主要な産地において播種期から採種期までに大規模な天候変化や自然災害が生じた場合、欠品による売上減少や生産コストの大幅な上昇など、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク

育種開発リスクとしては、育種目標を設定してから10年以上を必要とする育種開発の性格上、投資コスト負担リスク、開発実現性リスク、商品ニーズが変化してしまうリスク、他社との開発競争リスク、新規育種技術の普及により参入障壁が下がり開発競争が激化するリスクなどがあります。さらに、育種研究者であるブリーダーが社外流出することにより、担当する品種の育成に障害が出て良質な商品の完成が難しくなるリスクや、遺伝資源の流出により模倣品が出回り知的財産が侵害されるリスクを有しております。当社グループでは、育種工学の拡充や社外研究機関との連携などを含めた研究開発体制の整備開発者に対する報奨制度の導入やチーム体制での育種の採用、種苗法に基づく品種登録や特許などを用いての知的財産権保護などを行っておりますが、急激に需要が変化した場合や強力な他社品種が出現した場合などは、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)保有資産の価値変動リスク

当社グループは様々な資産を保有しておりますが、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する社内規程整備などの管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、土地や有価証券などの資産価値が急激に下落した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、『(1)天候・自然災害リスク』にて記載したとおり、商品種子の生産は天候条件に大きく左右されるという当社グループの事業の特性上、顧客への安定供給責任を果たし、事業を安定的に継続するための安全策として、棚卸資産である種子を一定量確保しているため、種子の品質低下や商品の需要変化などにより、棚卸資産の廃棄・評価損が増加するリスクがあります。品質や販売動向に基づき定期的に評価の見直しを行っておりますが、生産や販売実績が計画から大きく乖離した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4)品質と安全性に関するリスク

当社グループでは、創業者坂田武雄の唱えた社是「品質・誠実・奉仕」に則り、品質と安全性に対する信頼を最重要課題のひとつと位置づけ、品質管理部を設け当社の品質基準に照らした商品チェックを行うと同時に、お客様相談室を設けるなどして商品クレームに適切に対応できる体制を採っております。しかしながら、「生き物」である商品の性質上、品質の水準や均一性などに不測の事態が生じるケースや、種子に由来しない環境や生産技術面からのリスクが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)カントリーリスク

当社グループは、生産・研究開発・販売拠点として、日本を含めて全世界で22か国に事業展開を行っております。うち、農場および研究施設として、国内5か所、海外で11か国14か所に拠点を持っております。これらの事業展開地域の一部においては、次のようなリスクが内在しております。

a.予期しない法律又は規制の制定又は改廃

b.政治・経済の混乱

c.テロ・紛争の発生などによる社会的混乱

d.地震などの天変地異の発生

e.コンピューターウイルスや諸情報の漏洩など、情報化に伴う問題の発生

グローバルに事業を展開することで、販売や生産のリスク分散が図れるメリットはありますが、一定の地域において何らかのリスク事象が生じる可能性が高まる面もあります。拠点展開先の各国からは、常に情報を早期に収集し、迅速な意思決定ができるように、経営やリスク管理体制の強化を図っておりますが、これらの事象が発生した場合、当地での事業の継続、需要の大幅な低下、種子生産から撤退などのリスクがあり、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

なお、当社グループのウクライナおよびロシア向け売上の連結売上高に対する割合は僅少ですが、世界的な資源価格や物流コストなどの高騰が、当社グループの売上原価を増加させる可能性や、生産コスト上昇により生産者が作付け意欲を減退させるリスクがあります。

 

(6)為替変動に関するリスク

当社グループは海外各地において商品を生産・販売しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、業績に影響を与えます。また、当社グループが原材料および商品の一部を調達あるいは輸出している海外との取引は、為替変動の影響を受けます。こうした影響を最小限に止めるべく、当社グループでは通貨別金額の変化に常時注意を払っており、適切な管理体制の下、先物為替予約取引や通貨オプションなどを活用し、リスクの軽減に努めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)取引先の信用リスク

 当社グループでは、国内外の様々な顧客や仕入先との取引を行っており、売掛金、前渡金などの信用供与を行っております。当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題と考え、長期安定方針の下、安定的、継続的に還元を強化することを基本方針としております。

また、毎事業年度における配当の回数については、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、上記の基本方針に基づき、また、固定資産売却益の計上により当期の親会社株主に帰属する当期純利益が大幅な増益となったことから、公表済の配当予想から10円増の1株当たり40円の配当を実施することとなりました。1株当たりの年間の配当金は、中間配当金25円と期末配当金40円と合わせて、前期比10円増の65円となりました。

内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える研究・生産体制を強化し、さらには、グローバル戦略の展開を図るために有効投資してまいりたいと考えております。

当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、「取締役会の決議によって、毎年11月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年1月12日

1,110

25

取締役会決議

2024年8月27日

1,756

40

定時株主総会決議