2024年5月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 分譲マンション建設市場の動向によるリスク

当社グループは、分譲マンション建設事業を主たる事業としており、マンション・デベロッパー(以下「デベロッパー」という。)による物件の開発動向に影響を受けております。デベロッパーによる物件開発は、マンション用地の確保や不動産価格の動向のほか消費者の需要動向に影響を受けております。これらは、景気動向、金利動向、地価動向、物価動向、新規供給物件動向、不動産販売価格動向、住宅税制、少子化、人口減少等によって大きく左右される傾向にあり、消費者所得の低下及び景気見通しの悪化等は消費者の住宅購入意欲の減退につながります。これらの状況により分譲マンション着工戸数や需要が減少した場合、当社グループの請負工事受注高及び不動産取引高が減少する可能性があり、その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 主要事業エリアを東京圏としていることによるリスク

当社グループは、2018年4月に九州支店を開設し、事業エリアを九州及び周辺エリアにも拡大しましたが、主要事業エリアは東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県の一都三県)であります。当該エリアは、大手ゼネコンと同様に中小ゼネコンも事業展開しているため従来から競合が多く、この状況に加え、有望な事業用地の不足、地価高騰及び建築費の上昇によるマンション供給価格の高騰、人材や協力会社の調達難、他社の新規参入による競争激化等の要因が生じた場合、受注件数の減少等が生じることとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当該エリアにおいて、地震、風水害等の大規模自然災害及び事故、火災、テロ等の人的災害、その他予想し得ない災害が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 建設コストの変動によるリスク

一部の建築資材価格及び労務費は、工事期間が長期に亘ることから、建設コストの変動の影響を受ける可能性があります。当社グループにおいては、請負契約締結前に精度の高い見積算定を行なうとともに、デベロッパーとは最新の価格動向に基づく請負契約の締結による利益の確保に努めておりますが、請負契約締結後に想定を超えての建築資材価格の高騰、労務費の上昇が発生した場合には、利益の減少をまねき、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制、行政規制等によるリスク

当社グループの属する建設業界は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等により法的規制を受けており、当社グループはこれらの規制を受け、以下の許認可等の下、事業展開を行っております。

 

 

<主要事業の許認可等の概要>

許認可等の名称

法律名

会社名

許認可登録番号

有効期限

取消事由等

特定建設業許可

建設業法

ファーストコーポレーション㈱

東京都知事(特-3)第137046

2021年8月5日から2026年8月4日まで(5年毎に更新)

同法第28条、第29条

宅地建物取引業者

免許

宅地建物取引業法

ファーストコーポレーション㈱

国土交通大臣
(2)第9388号

2023年7月11日から2028年7月10日まで(5年毎に更新)

同法第65条、第66条

ファーストエボリューション㈱

東京都知事
(1)第106387

2021年6月5日から2026年6月4日まで(5年毎に更新)

一級建築士事務所

登録

建築士法

ファーストコーポレーション㈱

東京都知事

第57917号

2022年6月20日から2027年6月19日まで(5年毎に更新)

同法第26条

 

これら許認可等については、更新漏れが生じることのないよう十分に注意を払っておりますが、万が一更新漏れや取り消し、失効となった場合、また、これらの規制に係る行政処分等を受けた場合には、当社グループの事業展開に著しい影響が生じることとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、これら法律の改廃や新たな法的規制、適用基準の変更等によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 取引先の信用リスク

建設業においては、工事請負は個々の取引金額が大きく、目的物の完成若しくは引き渡しまでの多くの場合、目的物の引渡時若しくは引渡後に代金の支払が行われております。取引先の与信調査は厳格に実施しておりますが、工事代金の受領前に発注者、共同施工会社等が信用不安に陥った場合や協力会社が経営難に陥った場合は、資金回収不能や施工遅延等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 資金調達に係るリスク

建設業においては、目的物の引渡時に多額の支払が行われることが多く、長期にわたり多額の資金を立替した状態となり、当社グループの資金繰りにおいて一時的に資金不足となる場合があります。また、事業用地の仕入代金につきましては、その決済資金は金融機関からの借入を想定しております。金融機関とは良好な関係を維持しておりますが、金融環境の変化等により、与信枠縮小や調達金利の上昇等により当社グループの資金調達活動に影響が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 在庫に係るリスク

当社グループは、「造注方式」による事業展開に注力しております。「造注方式」における土地取引には、以下の形態があります。

①当社グループが事業用地をデベロッパーに紹介及び仲介

②事業用地の取引権利をデベロッパーに地位譲渡

③当社グループが事業用地を取得しデベロッパーに売却

④当社グループが事業用地を取得し、建物を建設後に土地付建物としてデベロッパーに売却

当社グループは、在庫リスクを低減するため、原則としてデベロッパーを選定後に事業用地に係る契約を締結することとしておりますが、上記③及び④においては、引渡し完了までの間は当社の在庫となります。この間に売却予定先が不慮の事態等に陥り予定した売買が成立しなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、③及び④においては、現在の財政状況を鑑み、デベロッパーの選定前に事業用地を先行取得する場合がありますが、在庫の長期化や不動産市況の悪化等から評価減が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) デベロッパー事業に係るリスク

当社グループは、受注案件の一部につきまして、デベロッパーと共同事業協定書を締結して販売事業主としてデベロッパー事業に参画しております。この場合、事業比率に係る部分は販売完了まで当社グループの在庫となります。当社グループは、当該事業の対象を、好立地で人気物件となることが予想される物件を中心に検討し、リスクの低減を図っております。しかしながら、パートナー企業の業績悪化、不動産価格の下落、売れ残り在庫等による事業収支の落ち込み及び追加の費用発生等から、予定している収益に満たない場合、及び今後の不動産市況の悪化等により在庫の評価減が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 契約不適合責任に関するリスク

当社グループは、高品質の建物を施工するため、厳格な品質管理基準を設けております。特に重要となる躯体部分における構造検査につきましては、法令に則った所定の検査に加え、当社グループの安全品質管理室によるダブルチェックを追加実施し、その運用の徹底に努めており、また、第三者機関の検査を導入するなど、品質管理体制には万全を期しており、保険加入や引当金計上によりリスクの低減も図っております。

しかしながら、当社グループが施工した建築物に重大な不具合が発生し、保険等でカバーできない多額の損害賠償が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 重大事故が発生することのリスク

当社グループは、重大事故の発生を未然に防ぐため、当社安全品質管理室による毎月最低1回以上の施工現場の安全パトロールを実施しております。また、協力会社と共に、施工現場の安全衛生管理を主たる目的とした安全協力会を設置し、協力会社メンバーも参加する安全パトロールを四半期ごとに実施する等しており、重大事故撲滅のための予防活動を実施しております。しかしながら、万が一、重大事故が発生した場合は、工事の中断、工期の遅延、工事コストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 訴訟・クレーム発生のリスク

建設工事着工にあたっては、近隣住民に対する事業計画等の事前説明を実施しております。しかしながら、事前説明後に予期し得なかった反対運動、重大なクレームが発生した場合には、工期の大幅な変更や計画変更等が発生する可能性があります。この場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 法令遵守(コンプライアンス)に係るリスク

当社グループは、法令遵守の徹底を図るために「企業行動規則」「コンプライアンス規程」「リスク管理規程」の制定及び「コンプライアンス・リスク管理委員会」の活動や各種マニュアルの作成、教育を通じ、役員・従業員に徹底した法令遵守への取組みを行っております。しかしながら、何らかの理由で、法令遵守違反等が発生した場合に社会的信用を損ない受注活動に支障をきたす等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 特定人物へ依存するリスク

当社グループの創業者である、代表取締役社長中村利秋は、会社設立以来の最高経営責任者として、当社の経営方針や事業戦略の決定をはじめ、営業を中心とする事業推進において重要な役割を担っております。当社においては、特定人物に依存しない体制を構築すべく、人材の招聘による事業推進体制の整備や職務分掌及び権限規程等により権限委譲を進めており、同人へ過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、同人が当社の業務遂行に支障をきたす事象が生じた場合、現時点においては当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(14) 大規模自然災害等に係るリスク

地震、津波、風水害等の自然災害や感染症の大流行が発生した場合、当社グループが保有する資産や役職員に直接被害が及び、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 生産能力拡充におけるリスク

当社グループは、今後の事業拡大及び中期経営計画値の達成のため積極的に人材採用を進めており、特に施工現場数の増加への対処及び更なる施工能力向上に向け、施工現場の優秀な人材の手当と協力会社の拡大・確保が必要不可欠となっております。しかしながら、競合他社との獲得競争の激化等により施工現場数に応じた人員と協力会社の確保ができない事態が生じた場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)気候変動リスク

近年、気候変動により自然災害が激甚化する傾向にあり、台風や洪水等による施工現場への被害や施工遅延といった物理的リスクがあります。また、気候変動に伴い低酸素・脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガスの上限規制による施工量の制限や、炭素税の導入があった場合、コスト増等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、地方創生SDGs官民連携プラットフォームに加入し、気候変動による事業への影響を想定し、リスクと機会の分析と対応について随時検討してまいります。

配当政策

3 【配当政策】

(1) 配当の基本的な方針

当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要施策の一つと考え、現在及び将来の事業展開や設備投資及び内部留保金の確保等を総合的に勘案し、継続的かつ安定的に配当を実施することを基本方針としております。

 

(2) 毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針

当社の剰余金の配当方針につきましては、配当を期末に1回行うことを基本的な方針としており、業績や財務状況等を総合的に勘案して決定することとしております。

 

(3) 配当の決定機関

剰余金の配当の決定機関は、中間配当及び期末配当ともに取締役会であります。

 

(4) 配当決定に当たっての考え方及び内部留保資金の使途

利益還元方法は連結配当性向30%以上とし、株主の皆様に対する利益還元の充実を図りつつ、経営成績及び今後の事業展開、健全な財務体質維持のために必要な内部留保の確保等を勘案の上決定いたします。なお、当事業年度の期末配当は1株当たり31円とさせていただきます。

 

(5) 中間配当について

 当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年7月12日

取締役会決議

377,409

31.00