事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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在宅医療事業 | 1,396 | 40.1 | 178 | 27.7 | 12.7 |
地方創生事業 | 2,086 | 59.9 | 464 | 72.3 | 22.2 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は、「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」を企業理念とし、「地域を問わず全ての人が、心豊かに、能力や個性を発揮できる社会の実現」を目指すゴールとして、在宅医療事業及び地方創生事業に取り組んでおります。
在宅医療事業は、近年の精神疾患者の増加に伴う在宅医療ニーズの高まりを受け、医療機関への訪問診療のコンサルティング及び、精神疾患者を主たる対象者とした当社看護師職員等による訪問看護サービスを提供しております。
地方創生事業は、過疎化の進展に伴う人口減少や地場産業の衰退に伴う雇用機会の減少等、地方が直面している課題を解決することを目的とした事業であり、障がい者雇用支援事業、観光物産事業により構成されております。
なお、2019年11月に当社を存続会社として、連結子会社4社と合併しておりますが、合併前は当社が持株会社であり、日本在宅医療株式会社、インタービーイング株式会社及びジャパンサポート株式会社の3社が在宅医療事業に関連する事業を主として行っており、株式会社トレースエンタープライズにて地方創生事業を行っておりました。
(1) 在宅医療事業
(ビジネスモデルイメージ図)
在宅医療事業では、精神疾患(気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患)を抱える方を主たる対象者として、当社の看護師職員等による訪問看護サービス等を提供しております。
訪問看護は、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助のことであり、訪問介護員等が、利用者(要介護者等)の居宅を訪問し、入浴・排せつ・ 食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供する訪問介護とは異なり、医療行為の有無が大きな違いとなっております。
特に、精神疾患者を対象者とする精神科訪問看護は、精神疾患を抱えて地域で暮らす人の健康と生活を支え、利用者と家族を支援する医療サービスであり、そのサービス内容は主に「生活習慣、生活リズムの確立」「生活技術、家事能力、社会技術等の獲得」「対人関係の改善」「社会的資源活用の支援」「薬物療法継続への援助」「身体合併症の発症・悪化の防止」等となります。
なお、社会的資源とは、利用者がニーズを充足したり、問題解決するために活用される各種の制度・施設・機関・設備・資金・物質・法律・情報・集団・個人の有する知識や技術等の総称であり、例えば障害者年金の受給の支援や生活保護の申請の支援なども該当することから、精神科訪問看護師には多岐に渡る知識が求められます。
精神科訪問看護における収入の大部分は国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金に対する請求により得られ、一部利用者の自己負担金により回収する構図(後述)となっております。
精神科訪問看護の利用者の獲得に関しては、医療機関や役所、就労支援施設等多岐に渡る関係機関からの紹介が主な獲得経路になりますが、当社は特定の医療機関と訪問診療の支援を行う連携をし、主治医による訪問診療と当社の看護師職員等による訪問看護を組み合わせることで、精神疾患者向けの在宅医療を地域社会に普及させ、持続可能な医療体制のもと、住み慣れた地域で社会的な生活を家族と共に営むことができる社会を実現させることを事業の主目的としております。
訪問診療の診療報酬単価が高く設定されていることなどから、医療機関がこれまで実施していなかった訪問診療を新たに開始することを検討した場合であっても、診療報酬を得るための制度が複雑であることや対応方法が難しく実行が容易でないことから、当社が医療機関に対し訪問診療制度・診療報酬体系等を解説するとともに、医療機関が訪問診療を実施する患者に対して当社が提供する訪問看護サービスを活用してもらうなど、コンサルティングを通じて医療機関との連携を強化し、訪問看護の利用者の紹介を受ける機会を増やすことに取り組んでおります。
例えば薬の処方は医師が行い、薬の服薬状況の確認等は看護師が行う等のため、在宅医療の世界では、医師による訪問診療は主に訪問看護とセットで行われることから、訪問診療のコンサルティング(原則無料)などを通して訪問診療の開始または拡充の支援を行う連携により、訪問看護対象者のご紹介を頂くことに注力しております。
2014年7月14日に厚生労働省が公表した「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」における「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性(概要)」には、「精神病床を適正化し、将来的に不必要となる病床を削減するといった病院の構造改革が必要」と明記されました。
それにより、長期入院患者の地域移行に加えて、厚生労働省が医療施設の病床削減・在宅移行を目指していることがより明確化されるなど、当社の在宅医療事業を後押しする外部環境が整っている状況下にあると認識しております。
在宅医療事業における収益構造は、①国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金等からの診療報酬及び利用者本人からの診療報酬(自己負担分)と、②医療機関に対する各種コンサルティング収入に大別されますが、在宅医療事業売上高の9割以上は前者の診療報酬により構成されます。後者の医療機関に対する各種経営コンサルティングは、それ自体を在宅医療事業における収益の柱としているものではありませんが、当該医療機関から訪問看護の対象となり得る利用者の紹介を得る機会を獲得し、当社看護師職員等による訪問看護の利用者数を拡大していくことを目的とした取組みとなります。
本書提出日現在において、東京や大阪をはじめとして17箇所に訪問看護ステーションを開設しております(地方創生事業管轄の3箇所を含めると20箇所。営業所を含む。)。なお、営業所(サテライトオフィス)とは、利用者の自宅に近い場所から効率的にサービスを提供できるように、スタッフの待機や着替え、道具の保管などを行う出張所等のことであり、一定の要件を満たすことで、本体の訪問看護ステーション等に含めて指定を受けることができます。
(訪問看護ステーションの開設状況)
(参考)地方創生事業における訪問看護ステーションの開設状況
(注) 1.当社の完全子会社だった日本在宅医療株式会社及びインタービーイング株式会社は「コルディアーレ」、「インタービーイング」の名称でそれぞれ訪問看護ステーションを開設しておりましたが、2019年11月1日に当社が当該連結子会社2社を含む子会社4社を吸収合併しております。
また、当社が2017年10月に日本在宅医療株式会社を、2019年2月にインタービーイング株式会社をそれぞれ子会社化する前に開設していた事業所等については、子会社化前の開設年月を記載しております。
2.府中営業所は「訪問看護ステーション コルディアーレ東村山」に、杉並営業所は「インタービーイング訪問看護ステーション」に、綾瀬営業所と竹ノ塚営業所は「訪問看護ステーション コルディアーレ北千住」に属するサテライトオフィスとなります。
当社における訪問看護ステーションの展開方針としては、主として次に掲げるような特徴があります。
当社では、居宅での訪問看護サービスの利用を希望している利用者の約4割を特定の訪問診療における連携医療機関から、残りを他の医療機関、保健センター、就労支援施設等より紹介いただくことで、訪問看護利用者の獲得を進めております。
利用者数の増加に応じて、訪問看護ステーションを新たに開設する場合には、一部の例外はありますが、新たな事業所や営業所の開設地域の近隣に居住している利用者の一部を既設の事業所等から新設する事業所等に移管することとしております。これは、既設の訪問看護ステーションの訪問看護効率の平準化を図り、新設した訪問看護ステーションの収支を早期に改善するための施策として講じております。
また、これまでは東京・大阪等の首都圏における拠点展開を進めてきましたが、精神科訪問診療のニーズ、看護師採用環境等を慎重に検討し、札幌へ出店いたしました。
さらに、2019年9月より、後述する地方創生事業における障がい者雇用支援事業にて展開しているコルディアーレ農園の近隣に訪問看護ステーションを新設し、本書提出日現在では、宮崎県宮崎市、大分県大分市、佐賀県神崎郡に訪問看護ステーションを開設しております(2022年4月以降は地方創生事業にセグメントを移管しております)。
(2) 地方創生事業
地方創生事業は、過疎化の進展に伴う人口減少や地場産業の衰退に伴う雇用機会の減少等、地方が直面している課題を解決することを目的とした事業であり、①障がい者雇用支援事業、②観光物産事業により構成されております。
我が国が直面している課題に対して、官民一体となって取り組み、将来にわたって活力ある日本社会を維持する観点から2014年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」が閣議決定され、2015年度から2019年度までを対象期間とする第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、「総合戦略」という)が策定されました。第1期「総合戦略」では、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」及び「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」が4つの基本目標とされております。2019年12月には「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(令和元年改訂版)」及び2020年度から2024年度までを対象期間とする第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、4つの基本目標に加え、2つの横断的な目標が設定されました。
当社は、地方と都市の社会構造的不均衡を是正すべく、障がい者雇用支援事業により「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」という第1期「総合戦略」の1つ目の基本目標に取り組み、観光物産事業により「地方への新しいひとの流れをつくる」という「総合戦略」の2つ目の基本目標に取り組んでおります。また、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の横断的な目標として設定された「新しい時代の流れを力にする」においては、「SDGsを原動力として地方創生を推進する」ことが明記されておりますが、当社は障がい者雇用支援事業及び観光物産事業の両事業においてSDGsを意識した取り組みを行っており、障がい者雇用支援事業においては障がい者の働き甲斐の向上や健康的な生活等の推進に取り組み、観光物産事業においては民泊や体験プログラムを通じたサステイナブル・ツーリズム等の推進にも取り組んでおります。
① 障がい者雇用支援事業
(ビジネスモデルイメージ図)
2021年3月より民間企業における障がい者の法定雇用率(障害者雇用促進法にて定められた民間企業の障がい者雇用率。従業員を43.5人(2024年4月からは40人)以上雇用している事業主は、従業員に占める身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります)が2.2%から2.3%へと引き上げられたことから、民間企業による障がい者雇用の需要は大きく拡大しております。また、法定雇用率は2024年4月に2.5%に引き上げられ、更に2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定しており、更なる需要の拡大が見込まれております。
上記のように民間企業においては今後障がい者の雇用不足が拡大し、特に民間企業が集中する地域において大きな需要が発生することが見込まれます。障がい者の雇用義務がある民間企業は全国で108,202社ございますが、そのうち、23,407社が東京都、8,727社が大阪府、6,853社が愛知県、5,077社が神奈川県に集中しており、当該4都府県で全国の40.7%を占めております(厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」)。一方、地方においては障がい者の雇用義務がある民間企業の数が限られていることに加え、都市部の企業と比較して従業員数が少ない企業が占める比率が高いことから、障がい者の就労機会が限られており、都市と地方においては障がい者の就労機会の格差が存在していると認識しております。
当社の障がい者雇用支援事業は、利用企業における安定的な障がい者雇用の実現や、ダイバーシティの重要性の理解促進のため、地方に在住している障がい者に就労機会を提供することを通じて、地方に在住している障がい者の社会参加、地域社会への適合と職業能力の開発、経済的自立を支援していく事業です。
当社は就労機会が限られた地域において農園を開設し、障がい者の就労機会の地域間格差解消を図るとともに、障がい者が経済社会を構成する一員として能力を発揮する機会の確保、就労を希望する障がい者が、その能力や適性に応じた働き方を通じて障がいの特性や職業能力等に関わらず、住み慣れた地域で仕事を通じて自己実現ができる社会の実現に取り組んでおります。
当社サービスの利用企業による適正な雇用管理のもとで、当社では障がいの特性に応じた働き甲斐のある就労環境の整備に努めております。例えば、障がい者が農園で栽培した収穫物はサービス利用企業の社員食堂や農園周辺のこども食堂等において有効活用されるだけでなく、地域の小売店等を通じて販売されており、障がい者にとって働き甲斐を感じてもらうことができる仕組みとなっております。
厚生労働省が2023年12月に公表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、2023年6月1日時点において法定雇用率を達成できている民間企業はおよそ半分の50.1%という状況にあります。その背景には障がい者を求人し、雇用する側である企業において、①採用したくても応募がない、②障がい者の仕事となる業務の切り出しが難しい、③バリアフリー対応等、障がい者を受け入れる職場環境を整えることが難しい、④採用しても受け入れる部署の理解が得られにくい等により、サポートする体制を整えられていない、⑤採用しても早期に離職してしまう等の課題があると考えられます。
これら障がい者雇用に関するさまざまな課題の解決手段、地域の特性から就労機会が限られている障がい者の雇用創出手段として、当社では地方に在住している障がい者及び障がい者を管理する管理者を企業等へ紹介し、当該人材紹介先企業等に採用された障がい者の就労の場として当社が設置している農園をご利用いただくとともに、農作業に必要となる水耕栽培設備を賃貸するサービスを提供しております。
当社では、「障がいの特性や程度に応じて作業の割り振りが行いやすい」「収穫の喜びを感じることができる」という点で農作業を、「毎営業日、作業が必要であること」「安全かつ快適な職場環境が用意できる」「多様な栽培品種に対応できる」という点で、水耕栽培を選んでおります。
また当社では、障がい者が安心して仕事に取り組めるようさまざまな定着支援を行い、障がい者の職場定着率の向上にも取り組んでおります。
障がい者雇用支援事業は、主にサービス導入時に1回限りで発生するスポット売上に加え、サービス利用期間において月額で継続的に発生するリカーリング売上から構成される安定性の高い収益モデルとなっております。
農園の利用企業が使用する区画で雇用される障がい者や、その管理者の人材紹介売上が主なスポット売上となり、リカーリング売上は障がい者1人あたりの定着支援サポート、農園利用、水耕栽培設備レンタル等の対価からなり、コルディアーレ農園の売上の90%(2024年3月期実績)を占めております。
下記の指標がリカーリング売上を測る経営上の指標となります。
(注) 1. Average Revenue per Account(1利用企業あたりのMRR(注2))の略称。
2.Monthly Recurring Revenue(月次経常収益)の略称。契約金額ベースの月間リカーリング売上。
3.Annual Recurring Revenue(年間経常収益)の略称。MRRを12倍して計算。
4.直近12か月の解約によるMRR減少額の合計値÷13ヵ月前から前月のMRRの合計値で計算。
5.Net Revenue Retention(売上継続率)の略称。利用期間が1年を超過する利用企業のMRRの合計値と当該利用企業の前年同月のMRRの比として算出した数値の12ヵ月平均値。
「障がい者を雇用したくても雇用が難しい都市部の企業」が「就労意欲があっても就労の機会が限定的な地方に在住している障がい者」を雇用することによって、地方と都市の社会構造的不均衡が是正されるとともに、障がい者の経済的自立支援が可能となります。また、障がい者による一般就労の実現は、地域経済にとって、社会保障費の削減や、地域における消費拡大などの効果も期待できると考えております。
当社が運営している農園では、ハード面では、障がい者が働きやすい職場環境の整備として、冷暖房が完備された屋内農園、バリアフリー化や水耕栽培設備を導入し、ソフト面では、障がい者の体調やメンタルをサポートする看護師を常駐させることや、障がい者の通勤支援として送迎サービスを導入する等の取り組みを行っております。送迎サービスにより、就労における移動手段の問題や地理的な制約を無くすことで、幅広い障がい者が就労できる機会を提供し、看護師による障がい者や管理者へのカウンセリング機能の提供や、農園の近隣に訪問看護ステーションを開設することで、在宅医療事業におけるノウハウを障がい者の定着支援に活用するなど、身体、知的、精神障がいの区別なく幅広い障がい者が農園において安心して働ける職場環境づくりに取り組んでおります。
なお、2024年3月末時点における障がい者受入数は1,152人(前年同月比132%)となっており、障がい別の構成比は、身体、知的、精神の割合はおよそ1:1:2の割合になっております。また、障がい者の年齢別の構成比は20代、30代、40代、50代、60代とその他がおよそ2割ずつという構成になっております。
今後、障がい者雇用においては量的な面で需要が大きく拡大することが見込まれている一方、足元においては雇用の質の面においても大きな変化が生じております。2022年10月3日に召集された第210回臨時国会において、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)の一部改正が成立しました。法改正により、事業主(障がい者の雇用主)の責務として障害者の職業能力の開発及び向上が含まれることが明確化され、2023年4月1日から施行されましたが、当社は事業主による障がい者の職業能力の開発支援も行っております。
また、厚生労働省においては、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」が公表され、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」が、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては更新された「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」(令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例等含む)が公表されたことにより、障がい者が活躍できる職場環境の整備や適正な雇用管理のため事業主が行うことが望ましい取組のポイントが整理され、当社の障がい者雇用支援サービスにおいては、サービスを利用する企業(事業主)が上記リーフレットで示された望ましい取組のポイントを実現できることが求められております。当社としては農園を利用する事業主が障害者雇用促進法のみならず障害者雇用分科会にて公表された課題を解決し、望ましい取組に沿った障がい者雇用に主体的に取り組めるよう、障がい者各自の障がい特性の把握や合理的配慮の提供、職業能力の開発、適正な雇用管理等の支援に取り組んでまいります。
(在宅医療事業と地方創生事業のシナジー)
障がい者雇用支援事業を展開している宮崎県、大分県、佐賀県においては、「訪問看護ステーション コルディアーレ」を設置し、在宅医療事業のサービスを受けている利用者や農園で就労している障がい者の状況に応じて、主に精神障がい者の相互紹介を実施し、在宅療養と一般就労の支援を行っています。
また、上記の取り組みを実施することによって両事業で連携先として共通する精神科医療機関等との関係性の強化にも繋がっています。
(農園の開設状況)
(注) 1.当社100%子会社として設立した株式会社トレースエンタープライズにて行っていた事業となりますが、2019年11月1日に吸収合併しております。
2.1名の障がい者に対して1区画を割り当てております。
② 観光物産事業
(ビジネスモデルイメージ図)
観光物産事業は、地方創生事業に占める売上構成比が1割未満となりますが、主として旅行代理店事業と民泊事業により構成されており、長崎県の五島事業所にて事業を行っております。
2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」が世界文化遺産に登録されたことを契機として、当該地域における修学旅行生や観光客が増加し、消費の拡大や雇用促進等が期待されています。当社では、当該地域への修学旅行の誘致・観光客の誘客に取り組むために、2018年9月に第3種旅行業の登録を行っております。
当該地域への修学旅行の誘致に関しては、長崎県五島市から委託を受け、当社民泊事業として、五島市体験交流協議会の運営事務局業務を行う関係にあり、委託収入などを得ております。
また、2019年10月には第2種旅行業の登録を行ったことにより、第3種旅行業の登録では行うことができなかった国内募集型の企画旅行の販売が可能となり、新聞等での旅行商品の宣伝販売なども行えるようになりました。
旅行代理店事業では、旅行商品の企画・提案を行っており、主に長崎県五島市在住者の旅行需要や出張需要、長崎県五島市への旅行需要の取り込みを行い、各種旅行商品のアレンジメントの対価を受け取っております。
民泊事業では主として自然豊かな離島ならではの体験プログラムや、世界遺産にも登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」に関する学びの素材等を用いた旅行商品を学校等向けに企画・提案しており、五島市内に約100家庭ある民泊受入家庭を活用した修学旅行の受け入れを行っております。
ウィズコロナ期である2020年度から2022年度を除き、民泊を利用した修学旅行は年々増加傾向にあり、修学旅行によって五島市を訪れた人数は、五島市観光協会が公表している「令和元年五島市観光統計」によれば、2015年の年間1,308人から2018年には年間4,129人、当社が五島市観光協会より民泊及び体験プログラム事業を継承した2019年には過去最高となる年5,337人(対前年比+29.3%)まで拡大傾向にあります。
修学旅行に参加する生徒の各民泊受入れ家庭への割り振りや民泊と合わせて修学旅行生が参加する体験プログラムのアレンジメントの対価を受け取っております。
また、重要性の高い事業ではありませんが、物販事業として農園を運営している各地域の地場産品等を当社運営ECサイト「地場くる」等を通じて販売する物販事業を行い、各種特産品の販売の対価を受け取っております。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産の状況)
当事業年度末における流動資産は、1,769,733千円となり、前事業年度末に比べ511,262千円増加いたしました。これは主に、上場に伴う増資等により現金及び預金が393,377千円、売上の増加により売掛金及び契約資産が104,415千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における固定資産は、769,898千円となり、前事業年度末に比べ35,274千円増加いたしました。これは主に、長崎農園及び宮崎三股農園の開園等により建物(純額)が32,593千円増加したことによるものであります。
(負債の状況)
当事業年度末における流動負債は、529,006千円となり、前事業年度末に比べ124,468千円増加いたしました。これは主に、銀行への借入返済により1年内返済予定の長期借入金が32,116千円減少したものの、当事業年度末が金融機関休業日であったことにより未払金が48,664千円、未払費用が30,928千円、預り金が22,580千円増加したこと及び前事業年度においては、繰越欠損金の活用により課税所得が発生しておりませんが、当事業年度においては、上場に伴い繰越欠損金の利用が50%に制限されることにより未払法人税等が27,132千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における固定負債は、175,993千円となり、前事業年度末に比べ79,973千円減少いたしました。これは主に、銀行への借入返済により長期借入金が80,742千円減少したことによるものであります。
(純資産の状況)
当事業年度末における純資産は、1,834,631千円となり、前事業年度末に比べ502,041千円増加いたしました。これは、上場に伴う増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ178,296千円増加したこと及び当期純利益の計上により利益剰余金が145,449千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用情勢や個人消費に持ち直しの動きが進み、緩やかな回復基調で推移しました。一方、地政学的リスクの長期化や世界的な物価上昇と金融引き締め等による海外景気の減速懸念など、先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、当社では「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」を企業理念に掲げ、「地域を問わず全ての人が、心豊かに、能力や個性を発揮できる社会の実現」を目指すゴールとし、地域課題の解決や社会へのインパクト創出の実現に向けて、「在宅医療事業」及び「地方創生事業」を柱とした事業を展開しております。「在宅医療事業」につきましては、持続可能な医療体制のもと、住み慣れた地域で社会的な生活を家族と共に営むことができる社会の実現に向けて、訪問診療の支援や訪問看護サービスを通じて医療機関等と連携を図り、在宅医療を推進してまいりました。「地方創生事業」につきましては、障がいの特性や職業能力等に関わらず、住み慣れた地域で仕事を通じて自己実現ができる社会の実現に向けて、地方における雇用の創出及び地方に在住している障がい者の雇用促進、職業能力開発・向上の支援に取り組む障がい者雇用支援事業に注力してまいりました。また、当社は、2024年3月に更なる事業拡大と社会的信用力及び認知度向上を図るため、東京証券取引所グロース市場へ上場いたしました。今後より一層の事業推進を図るとともにガバナンス体制を強化し、企業価値向上へ繋げてまいります。
以上の結果、当事業年度における売上高は3,482,000千円(前期比17.3%増)、営業利益は208,409千円(同26.5%増)、経常利益は194,798千円(同21.2%増)、当期純利益は145,449千円(同22.6%減)となりました。
なお、セグメント別の状況は、「(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。」は、前事業年度末の803,465千円に比べ393,377千円増加し、当事業年度末残高は1,196,843千円となりました。
なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果、獲得した資金は299,541千円(前事業年度は224,538千円の獲得)となりました。これは主に、売上の増加により売上債権の増加額が104,415千円(前事業年度は売上債権の増加額が55,028千円)であったものの、税引前当期純利益が194,798千円(前事業年度は税引前当期純利益が161,322千円)、減価償却費が102,974千円(前事業年度は減価償却費が87,264千円)、当事業年度末が金融機関休業日であったことにより未払金の増加額が40,898千円(前事業年度は未払金の増加額が15,479千円)、未払費用の増加額が30,928千円(前事業年度は未払費用の増加額が20,928千円)、預り金の増加額が22,580千円(前事業年度は預り金の増加額が3,977千円)であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は116,839千円(前事業年度は195,499千円の使用)となりました。これは主に、農園開園に伴う設備投資により有形固定資産の取得による支出114,378千円(前事業年度は有形固定資産の取得による支出171,724千円)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果、獲得した資金は210,674千円(前事業年度は94,224千円の獲得)となりました。これは主に、銀行への借入返済により長期借入金の返済による支出112,858千円(前事業年度は長期借入金の返済による支出42,938千円)、リース債務の返済によりリース債務の返済による支出18,976千円(前事業年度はリース債務の返済による支出14,307千円)があったものの、上場に伴う増資により株式の発行による収入356,592千円(前事業年度は株式の発行による収入481,500千円)があったことによるものであります。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社では生産活動等を行う事業は行っておりませんので、該当事項はありません。
② 受注実績
当社では受注生産等を行う事業は行っておりませんので、該当事項はありません。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異を計上しております。繰延税金資産の回収可能性に用いられる将来の課税所得の見積りは、事業計画を基礎としており、外部環境や収益動向等を考慮の上で設定した売上予測をその主要な仮定としております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、3,482,000千円(前期比17.3%増)となりました。これは主に地方創生事業の障がい者雇用支援事業における新規契約獲得、ストック収入増及び在宅医療事業における新規利用者数の増加に伴う訪問件数の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、2,229,425千円(前期比21.4%増)となりました。これは主に事業規模拡大により原価部門の人員数が増加したことに伴う人件費等の増加及び地方創生事業の障がい者雇用支援事業における新規農園開園に伴う地代家賃の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は、1,252,574千円(前期比10.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、1,044,164千円(前期比8.1%増)となりました。これは主に事業規模拡大により事務員の人員数が増加したことに伴う人件費等の増加及び地方創生事業の障がい者雇用支援事業における広告宣伝費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は、208,409千円(前期比26.5%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、5,358千円(前期比37.2%増)となりました。これは主に受取保険金が発生したこと及び受取手数料が増加したことによるものであります。また、営業外費用は、18,970千円(前期比142.2%増)となりました。これは主に当社株式上場に伴う株式公開費用が発生したことによるものであります。
この結果、経常利益は、194,798千円(前期比21.2%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別損益は、発生しておりません。当事業年度における法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は、49,348千円(前事業年度は△26,536千円)となりました。
この結果、当期純利益は、145,449千円(前期比22.6%減)となりました。
(b) 在宅医療事業における経営成績
わが国の医療環境につきましては、2024年度診療報酬改定の基本方針における重点課題の一つとして、安心・安全で質の高い医療の推進が示されていること等から、当社は、質の高い在宅医療・訪問看護サービスの提供体制の確保及び地域全体での医療機能の分化強化、連携の推進が必要であると考えております。
このような状況のなか、当社は、訪問診療の支援を通じて医療機関等と連携を図り、質の高い在宅医療・訪問看護サービスを提供し、地域共生社会の実現に向けて取り組んでおります。当事業年度におきましては、新規エリアへの出店による事業領域の拡大及び事業基盤の確立を図るため、北海道札幌市に訪問看護ステーション1事業所を開設いたしました。また、サービス提供体制の整備により2事業所の営業所への形態変更を行い、当事業年度末においては、北海道、東京都、埼玉県及び大阪府にて訪問看護ステーション13事業所及び4営業所の計17拠点での事業運営を行ってまいりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は1,395,997千円(前期比3.0%増)、セグメント利益は177,832千円(同18.4%減)となりました。
(c) 在宅医療事業における収益構造上の特徴と主な経営指標
在宅医療事業では、下表の経営指標に着眼した業績管理を実施しております。
在宅医療事業における売上高の9割以上は国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金等からの診療報酬と利用者から自己負担していただく診療報酬により構成されており、当事業年度におけるこれら診療報酬単価(平均)は1回の訪問看護あたり約9千円となっております。在宅医療事業における売上高のうち診療報酬に相当する売上高は、当該診療報酬単価に訪問件数を乗じることで、その概算額が算出されます。つまり、診療報酬単価が一定であれば、訪問件数を着実に伸ばしていくことで、在宅医療事業における売上高も着実に伸ばしていくことができる収益構造上の特徴があります。
訪問件数を伸ばしていくための取組みとしては、利用者数を増やしていくことに加え、利用者数や訪問看護ステーションの面展開の状況に応じた看護師職員を着実に増やしていくこと、効率の良い訪問行程に基づく利用者向けの訪問看護サービスを提供すること等によって、全体の訪問件数を伸ばしていくことが可能となります。また、看護師1人当たりの訪問件数を伸ばしていくことで、全体の労務費やその他諸経費の削減にもつながる収益構造上の特徴も有しております。
なお、在宅医療事業における主たる経営指標の定義と第8期事業年度におけるその推移は下表のとおりです。
下表のとおり、第8期事業年度における各経営指標については安定的に推移しており、今後も地域の医療機関と連携し、精神疾患者に対する医師による訪問診療をサポートする形での訪問看護サービスに注力するとともに、更なる看護師の定着率の向上及び効率の良い訪問行程の策定等により、利用者数、常勤換算看護師数及び1常勤換算看護師あたり訪問件数を伸ばし、着実な業績の向上に努めてまいります。
※所長も常勤1と換算した場合
(d) 地方創生事業における経営成績
わが国におきましては、少子高齢化による地域の人口減少や東京一極集中等による地方都市の衰退が課題であり、当社は、地方創生への取り組みを推進し地域の活性化を図ることが必要であると考えております。また、当社の主要事業である地方における障がい者雇用支援事業を取り巻く環境につきましては、2023年3月に障害者雇用促進法施行令が改正され、障がい者の法定雇用率について2024年4月に2.3%から2.5%へ引き上げが実施され、2026年7月には2.7%へ引き上げが予定されていること、また、ダイバーシティの推進及びESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の視点に代表される「サステナビリティ(持続可能性)」への取組に対する意識の高まりからも、当社は、障がい者の更なる雇用促進、職業能力の開発・向上による共生社会の実現及び地方における就労機会の拡充を図ることが必要であると考えております。
このような状況のなか、当社は、障がい者雇用における地域間格差を解消し、就労機会が限定的な地方に在住している障がい者の雇用及び定着支援のサポートサービスを企業に対して提供しております。当事業年度におきましては、企業が抱える課題やニーズに対するソリューション営業を強化し、販路拡大を推進した結果、新規企業との契約獲得及び既存のサービス利用企業との追加契約獲得が順調に推移したことに伴い、新たに長崎県長崎市大浜町及び宮崎県北諸県郡三股町に農園を開園いたしました。また、2023年4月に施行された障害者雇用促進法及び2023年4月と6月に開催された厚生労働省の労働政策審議会(障害者雇用分科会)において公表された、障がい者が活躍できる職場環境の整備や適正な雇用管理のため事業主が行うことが望ましい取組のポイントへの対応として、障がい者の職業能力の開発・向上への取り組みをサポートできる体制の整備を図るとともに、在宅医療事業における知見や蓄積されたノウハウとの融合によるシナジー効果も活用し、サポート体制の強化に努めてまいりました。当事業年度末においては、長崎県、宮崎県、熊本県、佐賀県、福岡県及び大分県にて農園17拠点並びに宮崎県、大分県及び佐賀県にて訪問看護ステーション3事業所での事業運営を行ってまいりました。また、地域社会の活性化を図るべく、修学旅行生の教育体験民泊等による地方誘客及び地方の魅力ある特産品の販売の拡充を図ってまいりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は2,086,002千円(前期比29.4%増)、セグメント利益は463,747千円(前期比37.6%増)となりました。
(e) 地方創生事業における収益構造上の特徴と主な経営指標
地方創生事業では、下表の経営指標に着眼した業績管理を実施しております。
地方創生事業における障がい者雇用支援事業の売上高では、企業に当社から紹介した障がい者及びその管理者が当該企業に採用された際の人材紹介料のほか、これら障がい者が当社の設置しているコルディアーレ農園で就労する際に発生する農園利用料、水耕栽培設備レンタル料、当社スタッフによる障がい者の就労支援に際しての定着支援サポート料等を月額で課金しております。従いまして、下記の障がい者サポート数を安定的に増やし、且つそれに応じた新たな農園の開設を計画的に進めていくことができれば、変動費の増加は抑制されるため、利益率の上昇も見込むことが出来ます。
また、観光物産事業に関しては、旅行代理店業務にとどまることなく、2019年6月からは五島市から民泊事業を受託し、旅行会社や五島市で活動する体験交流協議会とともに個人旅行としてだけではなく、教育旅行(修学旅行)として全国から多くの若者を受け入れてまいりました。
なお、地方創生事業における主たる経営指標の定義と第8期事業年度におけるその推移は下表のとおりです。
下表のとおり、障がい者受入数合計は着実に増加しており、今後、障がい者雇用支援事業においては、企業が抱える課題やニーズに対するソリューション営業を強化してまいります。また、在宅医療事業における知見を農園利用企業の障がい者の定着支援に対して活用を図るとともに、障がい者の能力開発への取り組みをサポートできる体制の整備に注力し、サポート体制の品質向上に努めることにより、着実な業績の向上に努めてまいります。
(f)財政状態の分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
(g)キャッシュ・フローの分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社は、「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」に記載のとおり、経営環境、事業内容、法的規制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材の確保育成に努め、サービスの質の向上を図ることにより、当該リスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、当社のサービスを拡大していくための労務費及び組織強化のための管理部門の人件費等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、原則として自己資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。当社は、健全な財務バランスを保ちつつ、効率的な資金調達を図り、流動性の維持に努めております。