リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであり、リスクを把握し、管理する体制・枠組みに関しては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 」の記載を参照ください。
(1) 在宅医療事業におけるリスク
① 事業の許認可について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の在宅医療事業は、下表のとおり介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定を都道府県知事から、健康保険法に基づく指定訪問看護事業者の指定を厚生労働省地方厚生局から受けています。介護保険法においては、訪問看護の適正な運営を確保するために、事業主が欠格事由に該当した場合や条文に基づく命令処分に違反した場合において事業の許可の取り消しや事業の全部もしくは一部の停止を命じられる旨が定められております。また、本許可には有効期限があるため、その円滑な更新に努める必要があります。当社としては、引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育等を行いリスクの管理等に努めてまいります。
当社が在宅医療事業を開始して以降、本書提出日までの間に本許可が取り消しとなる事由や業務停止処分等を受けた事由は発生しておりませんが、指定居宅サービス事業者や指定訪問看護事業者の取り消しや当該業務の一部の停止の命令を受けた場合、許可の有効期限内に許可の更新がされない場合には、訪問看護サービスを提供することができず、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(在宅医療事業における許認可等の状況)
② 医療機関における診療方針、経営方針、競争環境について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
在宅医療事業では、精神疾患を有する患者を主たる対象者として、外来での診療を中心としている医療機関に対する経営コンサルティングや精神科訪問診療に関する各種セミナーの開催等を通じて、医療機関等との関係性の構築を図り、医師による訪問診療を促し、利用者を当社に紹介していただいております。
しかしながら、当社がサービスを提供している医療機関を取り巻く経営環境の変化によって、患者の入院期間が長期化した場合、医療機関が外来患者の対応を中心とした診療方針を採用し続ける場合、訪問診療を始めた医療機関が再び外来中心の診療方針へと切り替えられた場合には、訪問看護の機会を失うことになることから、これら医療機関側の経営方針によって、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
当社では、特定の医療機関だけではなく、多様な医療機関や市役所、保健センター、就労移行支援事業者等との関係構築にも注力し、利用者紹介元の拡大を図っており、競合する企業は決して多くはないと認識しておりますが、高い資本力を有する企業や知名度を有する企業等の新規参入が相次ぎ、競争が激化した場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
③ 診療報酬制度について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:数年に1度、影響度:中)
看護師や准看護師等が利用者の居宅等に訪問した場合の訪問看護診療費は、「精神科訪問看護基本療養費」と「訪問看護療養費」により構成され、国民健康保険法・社会保険診療報酬支払基金法により、全国一律の診療報酬制が敷かれております。
医療保険制度に基づく診療報酬は2年に1回、介護保険制度に基づく介護報酬は3年に1回の頻度で改定が実施されることから、当社としては報酬改定を含む業界動向・環境変化については情報収集等を積極的に行い事業戦略を策定しております。しかしながら、在宅医療事業における連携先である医療機関の経営環境や診療報酬制度、訪問診療等の診療報酬が改正された場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
④ 法的規制について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の行う在宅医療事業では、介護保険法、医療保険各法、国民健康保険法、社会保険診療報酬支払基金法、障害者総合支援法、個人情報保護法、その他の関連法令・関連制度等の規制の影響を受けることになります。なかでも、精神疾患を有する患者の多くは、障害者総合支援法の適用を受けることとなりますが、当社では障害者総合支援法に基づく「指定自立支援医療機関」の指定を訪問看護ステーションの設置地域の都道府県知事から得ているため、当社の訪問看護ステーションは病院等と同じ医療機関としての枠組みに区分されることになります。病院と同じように医療保険(社会保険・国民保険等)が適用され、訪問看護を利用された場合の費用(自己負担)は、3割負担となります。訪問看護を利用された方の診療報酬明細書を作成して、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会に提出することで、7割の診療報酬が支払われ、疾患や障がいの程度によっては、国の助成制度や医療扶助があるため自己負担が軽減される場合があります。当社としては法的規制を含む業界動向・環境変化については情報収集等を積極的に行い事業戦略を策定しております。しかしながら、これら法的規制の改正等が行われた場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
⑤ システム障害について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、在宅医療事業における利用者の看護履歴、服薬情報、疾患情報等のセンシティブな利用者情報の一元的管理を実施することを目的とした専用のネットワークシステムを全拠点に導入しております。システムの利用に際しては、ID、パスワード、アクセス制限等、システム上の一定の制御を行っており、システムの導入元からは定期的な保守・メンテナンスを受けております。また、当該システムを導入して以降、事業運営面で重大な支障を及ぼしたシステムトラブルや利用者の個人情報等の漏洩事案等は生じておりません。
しかしながら、これらの対応策を以ってしても防ぎきることのできないシステムの誤作動やその他何らかのシステム障害等が生じた場合、利用者情報の正確な記録、保存が出来なくなることで、事業運営面での支障が生じる可能性があるほか、これら社内システムへの外部からの不正侵入によるウィルスの拡散や利用者情報の漏洩等が生じた場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(2) 地方創生事業におけるリスク
① 障がい者雇用に関する制度や企業等における障がい者雇用の動向について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境 ②地方創生事業」に記載した通り、民間企業等における障がい者の法定雇用率(障害者雇用促進法で規定)は引き上げられる傾向にありますが、障がい者の法定雇用率の変化や障がい者の求職動向等、企業の障がい者雇用を取り巻く環境が変化した場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
特に法定雇用率は2024年4月に2.3%から2.5%へ引き上げられ、2026年7月には2.7%への引き上げが決定しております。この2.3%から2.7%への2回の引き上げにより新たに11万人以上(※)の障がい者の雇用が生まれる可能性があり、当社のサービスに対するニーズも高まることが想定されます。法改正を含む業界動向・環境変化については情報収集等を積極的に行い事業戦略を策定しておりますが、今後の法改正等によって法定雇用率の引き上げが中止された場合や、雇用義務そのものがなくなった場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。 (※令和5年障害者雇用状況の集計結果の民間企業における算定基礎労働者数2,752万人に0.4%を乗じて計算)
② 障がい者雇用支援事業のビジネスモデルと法的規制等との関連性について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社における障がい者雇用支援事業では、企業等に障がい者及び管理者を単に紹介しているだけではなく、就労機会が限定的な地方において障がい者の雇用を創出する仕組みを備える「コルディアーレ農園」を開設し、企業等に採用された障がい者等に対して就労の場を提供しております。また、障がい者雇用の創出に加え、職場定着に向けた取り組みとして、当社の訪問看護ノウハウを持った看護師による健康面への配慮や、当社農園スタッフによる障がい者の特性を理解したサポート等を通じて、障がい者が働きがいをもって就労することができる職場環境づくりに努めており、障がい者自らの経済的な自立支援を視野に入れたビジネスモデルと認識しております。
障害者雇用促進法では、事業主による障がい者と健常者との均等な雇用機会の確保、障がい者に対する差別の禁止、障がい者への合理的配慮の確保等に関する諸規定や指針が示されております。当社からの紹介によって企業等に採用された障がい者やその管理者は、当該企業等の本支店等ではなく、当社が就労の場として提供している「コルディアーレ農園」にて就業していること自体が障害者雇用促進法その他の労働関連法令に違反するものではないことを外部の法律専門家(弁護士)に確認しております。
また、外部の法律専門家を通して厚生労働省にも照会を行い、適法性を確認しております。
しかしながら、当社の障がい者雇用支援事業のような仕組みに対しては否定的な風評が存在していることを認識しております。このような風評等を踏まえて、厚生労働省は実態調査を行い、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において障害者雇用ビジネス実施事業者の実態把握の取組として「把握した事例と課題等への対応に求められる望ましい取組のポイント①~⑦」を公表し、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」(注1)を、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例①~②」を公表するなど、利用企業への注意喚起や障害者雇用ビジネス実施事業者に対して利用企業への誤解を与えないような指導がなされております。
当社は法令の趣旨や、当該リーフレットの内容を踏まえ、利用企業が望ましい取組みを行うことができるような働きかけや各種取組みを実施し、さらに、同業他社と業界団体(一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会)を設立し、法令及び法令の趣旨に沿った運営に取り組んでおりますが、今後新たな風評等が発生した場合や当社の障がい者雇用支援事業のビジネスモデルを規制するような法改正や条例の制定等が行われた場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(注)1.「事業主の皆様へ」と題した農園等の利用企業が行うことが望ましい取組のポイントを紹介した冊子
③ 地方創生事業におけるその他の法的規制について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
地方創生事業では、障害者雇用促進法や雇用機会均等法以外にも、労働関連法令、職業安定法、農地法、旅行業法、特定商取引法、食品衛生法、酒税法、建築基準法等、規制を受ける関係法令は多岐にわたっており、それらの法令・規則を遵守する必要があります。
当社では関連業法をまとめた一覧を作成し、四半期毎に見直しを実施することで関連法令への遵守に注力しておりますが、関連法令の規制強化等が生じた場合、障がい者雇用支援事業における有料職業紹介事業許可や、観光物産事業における第2種旅行業の登録取り消しや抹消事由が生じた場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(地方創生事業における許認可等の状況)
(a) 障がい者雇用支援事業
(b) 観光物産事業
④ 利用企業の獲得について
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の障がい者雇用支援事業において提供しているサービスと同様に民間企業に対して障がい者の人材紹介を含む雇用支援サービスを提供する競合企業は多数存在しております。当社は、サービス内容やマーケティング手法の改善に日々取り組んでおりますが、サービスの改善等により既存の競合企業の競争力が向上した場合や、新規参入等による競争環境の変化により当社が提供しているサービスが優位性を保てなくなり、当社が顧客を維持・獲得できなかった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 民泊事業における安全衛生面または風評等に関するリスクについて
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は長崎県五島市において民泊事業を運営しております。毎年、民泊を受け入れる家庭に対して、五島保健所による衛生管理講習や五島病院によるアレルギー講習会を受講いただいておりますが、民泊を受け入れる家庭において食中毒が発生する等の安全衛生面での問題が発生した場合や、各種の体験プログラムにおける不慮の事故等が発生した場合には、風評が報道機関等を通じて報じられることによって、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
⑥ 観光物産事業での価格競争について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社が展開している観光物産事業は、多数の競合企業が存在していることに加え、宿泊事業者や特産品製造業者等のサプライヤーの直販等により、厳しい競争環境にあります。当社では障がい者雇用支援事業との連携により、農園利用企業の利便性に特化した出張パッケージや、農園を活用した独自のダイバーシティ研修プランの企画・販売などにより単純な価格競争に陥らない差別化に努めておりますが、今後更なる競争環境や価格競争に晒された場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(3) 両事業に共通するリスクまたはその他のリスク
① 人材の確保・定着について
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
在宅医療事業及び地方創生事業が今後持続的な成長を遂げていくためには、看護師をはじめとする人材の安定的確保が必要となってまいります。中でも看護師、准看護師等に関しては、人材の流動性が相対的に高い職種であると当社では認識していることから、これら有資格者の採用活動においては、社内紹介制度の導入、公的機関への募集広告の掲載、人材紹介会社の活用等の施策を講じ、標準的な週休2日の勤務形態のほかにも各人の働き方に合わせた複数の就業形態を導入していることに加え、保有資格や成果等に応じた処遇を行うことで、従業員の定着策を講じております。
また、定着化という面においては、両事業ともに労働集約的な事業であり、利用者宅や農園という業務実施環境の特性から生じるストレスや長時間労働の発生等により、人材が流出するリスクも高い事業であると認識しており、適度な休憩や長時間労働の防止、有給取得の推進などを行っておりますが、これらの諸施策による効果を得られず、人材の確保や定着化が進まない場合には、両事業の持続的な成長を遂げていく上での支障が生じ、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
② 新規事業拠点の開設について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
在宅医療事業の訪問看護ステーション等の新たな事業拠点の開設に際しては、訪問看護サービス利用者の紹介元となっている医療機関の医師による訪問診療と当社の看護師等による訪問看護を効率的に行うことが可能な立地条件、地域特性等を慎重に分析した上で、開設の意思決定をしております。
また、地方創生事業の障がい者雇用支援事業において、企業等に採用された障がい者及び管理者の就業場所となる農園を新たに開園するに際しては、当該開園候補地における障がい者数、立地条件、地域特性等を慎重に分析した上で、新規開設の意思決定をしております。
しかしながら、これら新規拠点の開設が計画通りに進まなかった場合や開設に必要とされる人員確保が進まなかった場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
③ 賃貸借契約について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の事業拠点は、そのほとんどが賃借物件であることから、賃貸借契約の期間満了にあたり契約の更新または新たな契約の締結ができない場合、若しくは予期せぬ事情により契約期間内に終了する場合には、近隣に代替拠点を開設し、または既存の他拠点を活用し、サービス提供の継続を図る方針ですが、これらの対策が奏功しない場合、顧客との契約を継続できないことや設備の処分・除却等により、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
また、当社は、賃貸人とコミュニケーションを密にして良好な関係を維持することで状況変化の徴候を早期に捉えるよう努めるとともに、新たに事業拠点の賃借をする際には、物件の物理的状況、賃貸人の経済的状況等を確認するよう努めて参りますが、賃貸人に破産等の倒産手続が生じ、敷金及び保証金の回収が不能となる場合、あるいは、事業拠点の賃料が増加する場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
④ 創業者である野口和輝への依存等について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の創業者である野口和輝は、当社の創業者であると同時に、代表取締役として、当社の経営方針及び事業戦略の立案・決定・事業化に重要な役割を果たしております。また、野口和輝が直接、間接含め保有する当社株式の合計が当社発行済株式総数の33.8%(2024年3月31日時点、注)を有する筆頭株主でもあります。当社では権限委譲を進めており、野口和輝に対する依存度を低下させておりますが、不測の事態等の発生により、野口和輝による経営面での関与・執行継続が困難になった場合には、当社の今後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)当社代表取締役 野口和輝は、当社株式の東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う当社のオーバーアロットメントによる売出しのための保有株式の一部貸出しにより、野口和輝が直接、間接含め保有する当社所有株式数1,982,000株(36.15%)のうち、127,500株(2.33%)を2024年3月26日に貸株として、株式会社SBI証券に貸出したことにより、当事業年度末日における所有株式数は1,854,500株(33.83%)となっております。
⑤ 大規模な自然災害の発生や感染症等の流行について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は在宅医療事業、地方創生事業を通して関東、九州を中心に多数の事業所を開設しております。当社の運営する農園は屋内型農園を主とする方針でありますが、既存の農園の一部は屋外型農園であるため施設賠償保険に加入しております。また、感染症に対応し、本書提出日現在においても、農園運営と訪問看護に従事する従業員についてはマスク着用を原則とする等の対応を行っております。しかしながら、これらの事業所を開設している地域において地震や、台風、竜巻等の自然災害が生じ、当社所有の設備に被害が生じた場合や、感染症等の流行による訪問看護サービスの実施や農園運営に障害が発生した場合等については、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
⑥ 情報管理について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
在宅医療事業では訪問看護サービスの利用者情報、地方創生事業では農園利用企業が農園において雇用している障がい者の個人情報等、センシティブな情報を保持しており、これらの個人情報は所定の社内規程等に基づき厳重に管理しております。部署毎に情報システムにアクセスできる権限を細分化し、不必要な情報にアクセスができないようにする等、情報管理を徹底しておりますが、何らかの理由で個人情報が漏洩した場合には、当社に対する社会的信用が毀損すること等により、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
⑦ 従業員の過失責任または風評等に関するリスクについて
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
在宅医療事業、地方創生事業ともに利用者とその家族、医療機関及び行政機関等のステークホルダーとの信頼関係のもとに成立している事業であることから、利用者の容体や症状等の変化に臨機応変に対応するための訪問看護マニュアルなどのマニュアルの整備や、従業員への定期的な教育研修の実施等を通じて、利用者への安定的かつ質の高いサービスの提供に努め、緊急を要する事態において適切な処置等が出来るような社内体制を整えております。
しかし、このような体制を整備していながら、当社従業員の過失責任によって、利用者の症状や容体の深刻化を招いてしまった場合や、業務中に利用者に負わせてしまった怪我、人命に関わるような不慮の事故、人権等を無視した利用者に対する不適切行為等によって、利用者またはその家族等から、慰謝料の請求や訴訟を提起された場合や、そうした風評が報道機関等を通じて報じられた場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。なお、本書提出日現在において、重大な訴訟は発生しておりません。
⑧ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、2024年3月31日時点における付与数は353,000株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は、6.4%となります。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
⑨ 配当政策について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。
しかしながら、当社の事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
⑩ ベンチャー・キャピタルとの関係について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
ベンチャー・キャピタルまたはベンチャー・キャピタルが運営するファンド(以下、VC)が保有する当社株式の合計が当社発行済株式総数の35.8%となっており、一般的にVCが保有する株式は上場後、段階を追って売却がなされる可能性が高く、ロックアップ期間(元引受契約締結日から上場日(当日を含む。)90日経過後もしくは株価が公開価格比で1.5倍に値上がりした場合にこれらVCが当社株式を売却しようとする場合、当社株式の市場価格等に悪影響が生じる可能性があります。
⑪ 調達資金の使途について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社が公募増資・第三者割当増資によって調達した資金については、新たな農園設備費用、広告宣伝費用及び人材採用費用に充当する予定であります。
しかしながら、事業環境の急激な変化等により、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。
なお、資金使途を変更する場合には、適時適切に開示等を行ってまいります。また、投資効果については継続的に投資効果を測定、改善を行い、想定どおりの成果をあげられるように取り組んでまいります。
⑫ 税務上の繰越欠損金について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中)
当事業年度末において、当社は税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消された場合には、所定の税率に基づく納税負担が発生するため、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑬ 固定資産の減損について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社が保有する固定資産について、経営環境の変化による収益性の低下等により、減損損失が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 業績の季節変動について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:全期間、影響度:中)
わが国においては、商慣習上3月を期末月とする企業が多く、地方創生事業の障がい者雇用支援事業は企業向けに提供するサービスであることから、顧客企業は新年度である4月に向けて、3月末までに当社サービスの提供を求める例がみられること等により、障がい者雇用支援事業の障がい者紹介数、人材紹介売上の計上が下期偏重になりやすく、当社の業績も下期偏重になりやすい傾向があると認識しており、第1四半期から第3四半期の決算数値における通期利益計画の進捗率が低くなりやすいことから、投資家の投資判断に影響を及ぼすリスクがあります。
⑮ 当社株式の流動性について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:全期間、影響度:中)
株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ当社の流通株式比率は34.52%(注)となっております。
今後は、ベンチャーキャピタルによる当社株式の更なる売却や、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、通期利益計画の進捗率が低くなりやすいことから、投資家の投資判断に影響を及ぼすリスクがあります。
(注)当社代表取締役 野口和輝は、当社株式の東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う当社のオーバーアロットメントによる売出しのための保有株式の一部貸出しにより、野口和輝が直接、間接含め保有する当社所有株式数1,982,000株(36.15%)のうち、127,500株(2.33%)を2024年3月26日に貸株として、株式会社SBI証券に貸出したことにより、当事業年度末日における所有株式数は1,854,500株(33.83%)となっており、当該127,500株を非流通株式と認識した場合。
⑯ 訴訟等について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、事業を展開していく過程において、各種契約や法令の違反、労働問題、知的財産権に係る問題等に関して、取引先・従業員等により訴訟を提起される可能性やその他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。そのようなリスクを低減させるために、当社は「リスク管理規程」及び「コンプライアンス管理規程」を制定し、両規程に基づいてリスク管理体制及びコンプライアンス管理体制を整備しており、役職員には社会的責任や社会貢献を重視し、法令等を遵守した行動、高い倫理観をもった行動をとることを周知徹底しております。しかしながら、上記のリスクが顕在化し、当社が当事者となる訴訟やその他法的手続きにおいて、敗訴若しくは当社にとって不利な内容の和解がなされる場合、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
また、当社は、将来的な労務リスクを低減する目的で、2023年4月に労働基準法上の管理監督者の範囲を縮小変更しており、その結果、2023年4月以降、管理監督者から除外された従業員が存在しております。当社は、管理監督者から除外された従業員から過去(2023 年3月以前)の未払賃金は存在しない旨を確認する同意書を取得しており、また、管理監督者の適用範囲の変更前においても、管理監督者性が否定される可能性は極めて低い旨の見解を外部の社会保険労務士法人より受領しております。従って、当社としては、過去の管理監督者の範囲変更に起因する未払賃金に係る労使トラブルが顕在化するリスクは低いと考えておりますが、既に労使関係の存在していない者からのものも含め、未払賃金請求が発生した場合、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
⑰ 競業避止について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:時期特定なし、影響度:大)
当社には株式会社N・フィールド出身の取締役が4名在籍しており、各取締役は、株式会社N・フィールドとの間で役員等退任後1年間の競業避止契約を締結しておりました。当該期間中に各取締役は競業避止義務に違反した行為をおこなっておらず、各取締役が株式会社N・フィールドと締結していた競業避止契約に違反していないことは外部の法律専門家(弁護士)にも確認をしておりますが、株式会社N・フィールドより競業行為の差止請求や損害賠償請求があり、当該違反が認められた場合には、当社の事業及び業績は影響を受ける可能性があります。なお、本書提出日現在において、民法上の時効期間を過ぎていると認識しておりますが、現時点までに株式会社N・フィールドからの請求等は受けておりません。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、規律ある事業投資と環境変化に備えた経営基盤の構築、株主の皆様に対しての利益還元を経営の重要項目と位置付けておりますが、現在は成長過程にあると考えており、内部留保資金の充実を図り、訪問看護ステーションやコルディアーレ農園の新規開設や人員の拡充といった成長投資のための原資とすることで企業価値の向上を目指すことが株主の皆様に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
そのため、当面の間は、事業拠点の拡大、優秀な人材の確保等のための必要資金として内部留保の充実を図る方針であります。
利益配分につきましては、業績や経営環境、内部留保の状況を見極めた上で、配当の実施を検討してまいります。
配当を行う場合には、年1回の期末配当を行うことを基本方針としており、決定機関は株主総会であります。また、当社は取締役会の決議によって、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記載された株主又は登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる旨を定款に定めております。