リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しています。当社はこれらのリスクの可能性を十分認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針です。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。当社はこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載のとおり、リスク・コンプライアンス委員会にて各リスクの予防策及び発生した場合の対応策を検討しております。
① 業界動向及び市場ニーズの変化 (発生可能性:中 発生時期:特定なし 影響度:大)
DX化が進み、システム環境のクラウド化が進む中、当社の製品に対する市場ニーズは今後も大きく拡大すると考えておりますが、IT業界は変化が激しく、技術革新や企業のビジネスモデルの変化などにより市場ニーズの方向性が大きく変化する可能性があります。その変化によっては、当社製品への市場ニーズが減少し、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、カスタマーサクセス及び営業の強化を行い、適時に顧客のニーズを捉えるとともに、マーケティングにも注力することにより、市場のニーズ及び業界の動向を敏感に察知し、早期に対応してまいります。
② 優秀な人材の確保及び育成について (発生可能性:中 発生時期:特定なし 影響度:大)
当社において、最も重要となる資産は人材と考えております。継続的な事業成長のためには、営業、開発、カスタマーサクセス、管理のいずれの業務領域においても優秀な人材を採用し、育成することが重要となります。予算策定、中期経営計画策定においても、人員計画は重要な要素であり、採用が計画通り進まない場合や想定以上の退職者が発生するなどにより計画通り人材が確保できない場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
近年、日本においては、エンジニアの人材が不足し、採用が大変難しくなっております。そのため、自社製品を企画、開発し、顧客に届けるという当社の魅力を伝えるとともに、エンジニアのロードマップを描くことでキャリアビジョンを明確にし、また、リモートワークの導入など多様な働き方を提供することで、採用を強化してまいります。それと同時に「組織を強くするIT環境をすべての人へ」というミッションを社内において継続的に浸透させモチベーションを高め、研修の充実、資格取得支援などを図ることで従業員定着率を高めてまいります。
③ 競合について (発生可能性:中 発生時期:特定なし 影響度:大)
当社の事業においては、いずれのソリューションにおいても、競合他社が存在しております。当社においては、他社にない製品機能や品質、またスピーディーな機能追加やクラウド化対応、導入しやすい価格設定などにより競合他社との差別化を図り優位性を有していると考えております。しかしながら、特出した機能的優位性をもった製品の新規参入や極端に安価な価格設定により競争が激化した場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
他社の状況をモニタリングするとともに、市場に必要とされる製品を継続的に開発していくことで、当社の優位性を確保してまいります。そのために、カスタマーサクセス及び営業を強化し、常に顧客ニーズを掴むことで市場ニーズへ適切に対応してまいります。
④ ネットワーク等のシステム安定稼働について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社製品の多くは、クラウド環境で提供しております。そのため、クラウドサービス及びネットワークの安定稼働が当社製品の利用においては、必須となります。そのため、不測の事態や災害等でクラウドサービスやネットワークに長期の障害が発生した場合には、当社製品の利用に支障が出る可能性があり、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
クラウドサービスの保証レベルは高く、バックアップ体制もあることから障害によりサービス停止になる可能性は低いと考えておりますが、当社ではシステムの稼働状況の監視体制の整備、外部からの攻撃に対するセキュリティ体制の整備を行うことで、障害発生の防止及び発生時の影響の最小化に努めております。
⑤ 当社製品のシステム障害について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:大)
当社製品の開発においては、開発体制を整備し、品質管理の部署を独立させ十分なテストを実施するなど、製品の品質管理を徹底しておりますが、想定外の障害、不具合等が発生し、大規模なシステム障害となった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、不具合等によるシステム障害に備え、障害対応やサポート体制の整備を行っております。
⑥ 技術革新について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社が属するIT業界においては、技術革新のスピードが速く、想定以上の技術革新により新技術等が開発され、当社がそれらに対応できなかった場合には、顧客を失うなど当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においても、研究開発を行う部署を設置し、モニタリングを行うなどリスクの低減に努めております。
⑦ 開発委託先の確保 (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社では、製品開発において、一定の割合で、オフショア開発となる海外のシステム開発会社への業務委託を行う方針をとっております。現在、委託先は多くないため、特定の委託先への依存度が高くなっております。そのため、何らかの理由による委託先との取引中止や委託先の倒産等などにより委託できなくなった場合、計画通りに製品が開発できず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、継続的に委託先の拡大を検討し、リスクの低減に努めてまいります。
⑧ 個人情報等の漏洩について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:大)
当社製品は、名刺情報等の個人情報等を取り扱っております。そのため、万一、情報漏洩が発生した場合には、当社に対する信用力の低下による収益の減少、損害賠償請求等が発生する可能性があります。この場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びPマークを取得し、内部管理体制を整備することで、情報漏洩防止の対策をとっております。また、当社の製品の機能としても個人情報漏洩対策機能を装備しております。
⑨ 知的財産権の管理 (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社の製品においては、OCR技術、オンライン名刺交換、暗号化技術などにおいて特許権を取得し、当社の技術を保護しておりますが、それらの特許権を侵害されるリスクがあり当社の技術が流用されるリスクがあります。また、当社が製品開発時等に、第三者の特許権を侵害するリスクがあります。これらが発生した場合は、収益の低下や損害賠償請求される可能性があり、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、特許権が侵害されるリスク、侵害するリスクを排除するために、特許権についてのモニタリングや調査を実施し、必要に応じて弁理士等に相談を行っております。これによりリスクの低減に努めております。
⑩ ソフトウェアの資産計上 (発生可能性:中 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社は、開発した製品を一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に則り、製品開発計画、開発工数、資産グループでの獲得見込みのキャッシュ・フロー等を勘案し資産としてソフトウェア計上しております。そのため、開発内容や開発工数によって、資産化額が増減し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される固定資産の資産グループのキャッシュ・フローの状況によっては、ソフトウェアに対して、固定資産の減損リスクが発生する可能性があります。減損の測定の結果、減損損失が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ソフトウェアとしての資産計上額及び固定資産の資産グループの業績を、月次で把握し、固定資産の減損の兆候を見逃さないように管理してまいります。また、減損の兆候がある場合には、予算修正等の対応を適切に行ってまいります。また、ソフトウェアとしての資産計上についても、月次で把握し、予算との乖離等の把握、分析を行っていくことで対応してまいります。
⑪ 特定の人物への依存について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社の代表取締役社長であり、かつ大株主である若山大典は、長年にわたり当社の経営に関わり、当社の経営方針の決定、事業戦略の決定において大きな役割を担っております。何らかの理由により若山大典が当社の業務を遂行することが困難になった場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、経営会議や取締役会の適切な運営により組織的な経営の実効性を高めるとともに、役員の役割分担の明確化、マネジメント層の育成による権限移譲を図ることにより上記リスクを低減しております。
⑫ 内部管理体制について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社の今後の継続的な事業成長、企業価値の向上のためには、内部管理体制を強化し、コーポレート・ガバナンスを構築する必要があります。事業拡大に内部管理体制の整備が追いつかない場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では職務権限の明確化、稟議等の承認体制の徹底、規程等の整備及び社員への周知、内部監査体制の構築などを行うことにより内部管理体制の強化に努めております。
⑬ コンプライアンス体制について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社においては、様々な顧客との取引や契約におけるリスクヘッジ、法令や契約を遵守した高品質な製品の開発、社内の倫理規則の徹底などのために、コンプライアンス体制を構築することが重要であると考えております。コンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社ではリスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクのモニタリングを行うとともに、リスクが発生した場合には適時に対応できる体制の整備に努めてまいります。
また、コンプライアンス研修を実施することにより役社員の意識向上を図っております。
⑭ 法令遵守等について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社は、「個人情報の保護に関する法律」「下請代金支払遅延防止法」「電気通信事業法」「特許法」などの法令の規制を受けております。また、準委任契約を締結している委託先があり、当該契約形態については偽装請負と誤認されるリスクがあるため、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に抵触する可能性もあります。適用法令が多くないことから、法令に抵触する可能性は低いと考えておりますが、法令等の変更などにより法令に抵触するような事態が発生した場合には、当社の信用力の低下に繋がるとともに、損害賠償請求等のリスクも発生し、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びPマークを取得し、社内管理体制の徹底、社員への教育を実施することで、個人情報保護に努め、「下請代金支払遅延防止法」については、対象企業の一覧を作成・管理し、法令の遵守を徹底しております。「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」について、運用ルールの確立、ルール実施に対するモニタリングを実施しております。
また、法令の改定等については、顧問弁護士との連携により適時に把握するように努めております。
⑮ 新株予約権による株式の希薄化について (発生可能性:高 発生時期:特定なし 影響度:小)
当社は、当社の健全な経営と社会的信頼の向上を図ることを目的として、従業員及び役員に対して業績向上、事業成長に対する意欲及び士気向上のために新株予約権を発行しております。本書提出日現在、発行済株式総数4,360,000株に対する割合は2.8%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式の価値が希薄化する可能性があります。
⑯ 自然災害について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
大規模な自然災害が発生した場合には、事務所等の倒壊、サーバー等の破損等を被る可能性があります。
そのため、事務所の耐震性の確認、食品の備蓄、従業員の安否確認サービスの導入、事務所以外の業務場所の確保のためのリモートワーク対応、地方事務所の設置による分散BCPの作成などの対応をしております。しかしながら、想定以上の災害、予期せぬ事態が発生した場合には、十分な対応ができず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 訴訟、係争について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社では、現在、業績に影響を及ぼすような訴訟等はありません。しかしながら、今後、何らかの事情により訴訟、係争が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、コンプライアンス研修等の実施により、社員の法令に対する認識を徹底し、まずは、訴訟、係争が発生するリスクを軽減するとともに、顧問弁護士及びセカンドオピニオンを可能にするべく顧問弁護士以外の弁護士とも連携をとることにより、迅速な対応がとれる体制を構築しております。
⑱ 為替相場の変動について (発生可能性:高 発生時期:特定なし 影響度:中)
当社では、クラウド型製品において、Amazon Web Services等のクラウドサービスを利用しております。また、一部開発を海外の企業に委託しております。クラウド利用料は原則として米ドル建てで計算されるため、為替相場の変動により当社の費用が変動する可能性があります。また、海外の開発委託先においては、基本的には円建て支払いではあるものの、円安となった場合には、値上げとなる可能性があります。そのため、為替相場が円安となった場合には費用が増加する可能性があります。
そのため、円安が長期に拡大した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、一定の米ドル金額に対して、為替予約を実施しております。これにより、支払いレートの固定化をし、費用額の変動を抑えております。また、為替相場を継続的にモニタリングし、状況に応じて、為替予約の追加や、クラウドサービス自体の取引条件の見直しを行うことにより費用の変動を抑えてまいります。
⑲ 配当政策について (発生可能性:低 発生時期:特定なし 影響度:小)
当社では、事業成長のための製品開発や新たな事業領域への投資のために、内部留保資金の充実を図るとともに、株主に対する利益還元を実施することも重要と考えております。当社においては、安定的に利益を計上してきたことから、継続的に一定の配当を実施しております。
今後においても、一定の配当性向を確保し、配当を実施していく方針であります。しかしながら、業績の変動によっては、一定の配当を確保できない可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、配当は株主に対する利益還元手段として経営の重要課題であると認識しております。配当政策につきましては、今後の事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的に配当を実施していくことを基本方針としております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、当期の業績、中長期的な見通し、資金状況等を総合的に考慮した結果、1株当たり30円としております。
内部留保資金の使途につきましては、長期的・持続的な事業発展のため、市場競争力を強化するための新製品開発、優秀な人材の確保等に重点投資し、さらなる事業の拡大に努めてまいります。
なお、剰余金を配当する場合には、期末配当の年1回を基本的な方針としており、配当の決定機関については取締役会となっております。また、取締役会の決議によって会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。