2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 建設・住宅市場の動向に関するリスク

景気後退や建設市場の縮小等により、想定を上回る建設需要の減少や官公庁による公共事業の大幅な減少、住宅市場における需給状況や価格の大幅な変動等、建設・住宅市場における急激な環境の変化により受注額が大幅に減少した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、建築物の長寿命化に資するリノベーション等の注力分野に経営資源を投入し、収益の拡大に取り組んでおります。また、当社の得意分野である戸建地下室に加え、コンセプト賃貸、木造ビル事業の取り組みを強化しておりますが、市場環境が想定を超える変化をした場合、経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 建設コストの高騰等に関するリスク

建設資材の急激な価格高騰や調達難、労務価格の高騰や建設技能労働者の不足等が生じることにより、工事採算の悪化等、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、営業部門と施工部門が連携して上昇する労務費・資材コストへの対応を図りつつ、効率的な施工体制を構築することでリスクの最小化に向けた施策を推進します。

 

(3) 品質保証に関するリスク

品質保証責任を問われる建築物等の重大な欠陥、リフォーム事業における建築基準法令への不適合対応費用が発生した場合、多額の損害賠償、補修費用、社会的信用の失墜が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しております。また、戸建住宅においては、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供するなど品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等の発生を完全に回避することはできません。

 

(4) 労働災害のリスク

施工工事において労働災害が発生し、工事の中止や遅延による工事原価の上昇、損害賠償、行政処分等による社会的信用の失墜が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、社内安全基準を策定しているほか、リスクアセスメントを含む「安全衛生マネジメントシステム」を運用し、労働災害防止に向けた取り組みを図っております。

 

(5) 自然災害のリスク

当社は神奈川、東京に営業拠点を有しており、首都圏において地震、台風、大雨、大雪等の自然災害が発生し、やむなく業務を停止せざるを得なくなる場合、建物や設備が損傷し、その修復に多大な費用が必要になった場合や感染症が蔓延した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、事業継続計画(BCP)を策定しております。拠点ごとに緊急連絡体制を整備し、定期的な防災訓練の実施、必要物資の備蓄、大規模停電等による本社機能喪失を想定したデータ保存の二重化、在宅勤務・WEB会議の活用等重要業務の維持継続及び事業への影響の最小化に取り組んでおります。

 

(6) 個人情報に関するリスク

当社の建設事業における土地所有者様、お施主様、入居者様、及び介護事業におけるサービス提供者様等に関する大量の個人情報を取扱っております。

 

当社では、全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取扱いに関する研修を定期的に実施するほか社内体制を整備するなど、様々な機会でその重要性を周知徹底し、その取扱いには管理体制の充実と細心の注意を払い情報漏洩の防止に取り組んでおります。またシステム面では、ファイアーウォールの設置による社外からの不正アクセス防止、電子メール対策ではクラウドのセキュリティーシステムによるフィルタリングの実施、社員が使用するPCの操作ログ監視システムによるデータ流出防止等に取り組んでおりますが、万一個人情報の漏えい等が発生した場合、社会的信用の失墜、損害賠償請求等により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 介護保険制度に関するリスク

当社の介護事業は、主に介護保険法の適用を受けるサービスの提供を行うため、サービスごとに自治体の指定を受ける必要があり、これらの法令には介護報酬減額や指定取消事由も定められており、コンプライアンスを徹底した運営が求められております。介護保険制度については、3年ごとに介護報酬の改定が行われることとされており、今後、介護報酬の引き下げ、介護サービス料金の自己負担割合の引き上げ等、介護給付費の伸びを抑えるための制度改正や報酬改定が行われた場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、リハビリ強化型ホームなど、差別化要素の明確化による施設の高稼働率を維持するとともに、介護職員の介護福祉士保有率等を向上させることで、各種高加算項目の取得により収益の向上を図ることにより、リスクの最小化に向けた施策を推進します。

 

(8) 法的規制に関するリスク

当社は、建設事業においては建設業法、建築基準法、住宅品質確保促進法等、不動産事業においては宅地建物取引業法等、介護事業においては介護保険法、老人福祉法等の法的規制を受けております。

当社では、建設業法をはじめとした各種関連法令の事前確認を徹底するとともに、役職員、お取引先業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しておりますが、今後、コスト増加や事業上の新たな制約につながる法的規制の新設や改廃、適用基準の変更等があった場合、又は法的規制による行政処分等を受けた場合には、当社の経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 減損会計が適用されるリスク

当社では、各事業の収益性が著しく低下した場合には、保有する土地・建物・のれん等について減損損失の計上が必要になることも考えられ、その場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(10) 不適切な業務及び財務報告リスク

当社は、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、「内部統制システム構築の基本方針」を制定しております。各種規程・マニュアル等の整備、会計処理の適正性のモニタリング等、内部統制の実効性確保に努めておりますが、業務及び財務報告が適正に行われなかった場合には、上場廃止・青色申告取り消し等のリスクが生じる可能性があります。

当該リスクに対応するため、速やかな情報収集と正確な情報把握に努めるとともに、不適切な業務及び財務報告事例等について管理部門をはじめ関連する部門に水平展開するなど、正確な業務及び財務報告等に関する啓発教育を実施し、適正な財務報告の重要性を徹底してまいります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を経営における重要政策の一つであると考えており、将来の成長に向けた投資に必要な内部留保を確保しつつ、より安定的かつ業績に応じた配当を実施することを基本方針にしております。具体的には、業績にかかわらず安定的な配当を実施する観点から、純資産配当率(DOE)2.5%を配当の下限水準としております。そのうえで、純資産配当率を2.5%とした場合の配当総額と、配当性向30%とした場合の配当総額のうち、いずれか大きい値を配当総額の基準として、各事業年度の利益状況や将来の事業展開等を総合的に勘案し、配当を行うことを基本方針としております。内部留保資金につきましては、事業拡大に伴う運転資金の確保と今後予想される経営環境の変化に対応すべく、企業体質の強化及び将来の事業展開のための財源として利用していく予定であります。

また、当社の剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本方針としております。当社は「取締役会決議により毎年12月31日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めており、剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会としております。

第53期の期末配当につきましては、当事業年度の業績並びに今後の事業展開を勘案いたしまして、1株当たり100円となりました。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

1株当たりの配当額

2024年9月27日

定時株主総会決議

124,237

千円

100円00銭