2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,740名(単体) 4,507名(連結)
  • 平均年齢
    44.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.6年(単体)
  • 平均年収
    9,179,351円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    8.1%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

(人財戦略に関する基本方針)

 当社グループの人財戦略は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)重要テーマ別 3 人的資本 (2)人的資本における戦略」に記載のとおりである。

(従業員の給与・賞与の決定に関する方針)

 当社は、持続的な企業価値の向上に向け、従業員の「成長」と「公正な評価」を両立させる報酬制度を構築している。具体的には、キャリアステージに応じた以下の方針を定めている。

<給与>

・一般社員層(職能給ベース)

 従業員の中長期的な成長を公正に評価し反映する給与体系をとっている。基本給は、各職層毎に定義された能力要件に基づき、日常の業務遂行を通じた成長及び能力の伸長度合いを評価したうえで決定している。

・管理職層以上

 業績に対する責任を担い、経営戦略を確実に実行していく役割を重視している。基本給は、これまでの経験や貢献を重視した「功績資格給」と、責任・役割の大きさに連動する「役割給」または現場の作業所長としての習熟度や貢献度に応じた「所長能力給」を組み合わせた体系をとっている。

 なお、労働市場における採用競争力の強化及び人財のエンゲージメント向上を目的として、初任給の引き上げを含むベースアップを機動的に実施している。

<賞与>

 賞与は、会社の業績と個人の評価を反映し、原則年2回支給している。個人評価については、業績への貢献度や成果を適切に報酬へ連動させることで、モチベーション向上を促すインセンティブとして位置づけている。

 

(2)【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

土木事業

949

建築事業

1,256

子会社

1,767

全社(共通)

535

合計

4,507

(注) 従業員数は就業人員数である。

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

2,740

44.0

18.6

9,179,351

8.1

 

セグメントの名称

従業員数(人)

土木事業

949

建築事業

1,256

全社(共通)

535

合計

2,740

(注) 1 従業員数は就業人員数である。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。

(3)労働組合の状況

 労使関係について特に記載すべき事項はない。

(4)管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

① 連結会社

当連結会計年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注2)

男性労働者の育児

休業取得率(%)

(注3)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注2)

全労働者

うち正規雇用労働者

うち非正規雇用労働者

7.1

87.5

64.1

63.8

53.9

(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としている。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。なお、華熊営造(股)は対象外としている。

 

② 提出会社

 a 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率

当事業年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

6.5

88.6

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。

 

 b 労働者の男女の賃金の額の差異

 

当事業年度

女性

男性

全体

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

雇用形態

社員区分

人数

(人)

平均

年齢

(歳)

年間平均

給与

(円)

人数

(人)

平均

年齢

(歳)

年間平均

給与

(円)

人数

(人)

平均

年齢

(歳)

年間平均

給与

(円)

全労働者

391

36.4

6,418,669

1,975

45.7

9,725,873

2,366

(注4)

44.0

9,179,351

66.0

正規雇用

総合職

174

30.5

6,900,393

1,689

40.3

9,792,916

1,863

39.2

9,522,761

70.5

エリア職

(注2)

205

39.1

6,030,212

9

44.6

8,244,817

214

39.4

6,129,309

73.1

非正規雇用

シニア

社員等

(注3)

12

60.5

6,068,486

277

62.4

9,367,676

289

62.4

9,225,888

64.8

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

2 住居の変更を伴う勤務地の変更がない者又は住居の変更を伴う勤務地の変更が支店管轄内に限定されている者。

3 シニア社員は、会社を定年退職した者のうち、1年以内の一定期間を定めて雇い入れられた者。

4 年間の平均人数のため、「(2)提出会社の状況」の従業員数と異なっている。

5 労働者の男女の賃金の額の差異について、賃金制度上性別による差異はなく、階層・職位等が同等であれば男女間で賃金の差異は生じることはない。なお、差異の主な要因として、女性活躍推進の観点から女性の新卒採用強化に取り組み始めてから15年程経過しているものの、相対的に女性の勤続年数が短く、上位階層の女性の割合が低い水準にとどまっていることなどが挙げられる。

 

③ 連結子会社

当連結会計年度

名称

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注1)

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用労働者

㈱ガイアート

1.6

100.0

56.4

56.2

52.4

ケーアンドイー㈱

7.2

100.0

70.8

67.7

78.7

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。

3 連結子会社のうち、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社は記載を省略している。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)サステナビリティ全般におけるガバナンス

 当社は、サステナビリティ分野を含む経営上の重要事項を「経営会議」にて審議している。また、経営会議を補佐する機関として「サステナビリティ推進委員会」を設置している。

 「サステナビリティ推進委員会」は、本部長等により構成されており、ESG・SDGsの視点から、企業の長期的な成長・持続可能な社会形成に資する施策全般を検討する組織である。他の経営会議体と連携し、サステナビリティ分野を推進するための方針や制度の検討などを行っている。

 取締役会では、上記プロセスについて報告を受け、取組状況の監督を行っている。

 

 

 

サステナビリティ推進委員会

目 的

熊谷組のサステナビリティ推進施策全般の検討

開催回数

適宜(2025年度5回/2026年度7回予定)

委員長

経営戦略本部長

委 員

土木事業本部長 建築事業本部長 管理本部長 安全本部長 技術本部長 国際本部長 新事業開発本部長 設計本部長 委員長指名者

事務局

経営戦略本部 サステナビリティ推進部

活動内容

サステナビリティ分野を推進するための方針や制度の検討、マテリアリティの特定・改定・進捗モニタリング、 社外評価・イニシアティブへの参画・報告、統合報告書編集方針検討、社会貢献活動推進の検討等

情報開示

ウェブサイト、統合報告書、有価証券報告書等

 

(2)サステナビリティ全般における戦略

 当社グループは、長期的な成長を実現し、持続可能な社会の形成に貢献するため、ステークホルダーにとって重要と考えられる課題をESG視点で特定し、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求していくことをサステナビリティの基本方針としている。熊谷組グループビジョン(当社グループが目指す企業像)のもと、事業活動を通じて社会課題解決に貢献し、持続的成長による企業価値向上を目指していくため「ESG取組方針」を策定している。

 ●ESG・SDGs視点での日常業務への浸透

 当社グループはESG・SDGs視点による日常業務を実践している。社員一人ひとりが、どのような社会課題の解決に貢献できるか常に意識しながら業務を行うことを習慣づけ、企業風土となることを目指している。

 ●重要課題(マテリアリティ)の特定

 2024年5月に当社グループはESG取組方針の重要課題(マテリアリティ)の改定を実施し、それに伴い、中長期視点で事業戦略上のリスクまたは機会となる個別課題の再検討を行った。

 改定の理由:

 重要課題・個別課題を検討した当時(2018年度)から、激甚化する自然災害や新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵攻等特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まり等の大きな外部環境の変化があった。また、品質の確保や人権の尊重といった項目が掲げられておらず、社会からの期待に十分に応えられていない可能性があった。改定においては、社員、投資家、お客様、有識者といったステークホルダーの意見を反映している。

 

(3)サステナビリティ全般におけるリスク管理

 当社は、事業活動に伴うリスクの把握・低減及び機会の最大化に努めており、重要な事項については、個別案件毎にリスク・機会を抽出・評価のうえ、経営会議・取締役会にて意思決定を行っている。各事業部門においては、業務プロセスに内在するリスク・機会を抽出・評価のうえ、必要な対応策を検討し年度計画に反映している。この取組みの状況については、四半期毎にモニタリングを実施し、経営会議体にて報告している。気候変動を含む環境リスク・機会に関しては、「サステナビリティ推進委員会」における報告・議論を経て、経営会議・取締役会にて報告・審議している。

 

(4)サステナビリティ全般における指標と目標

 ESGに基づく事業活動と、SDGsの169のターゲットとの関わりを示し、当社が事業を通して社会課題解決に貢献している分野を「ESG・SDGsマトリクス」として可視化している。「ESG・SDGsマトリクス」は、さらなる課題解決に向けたイノベーションの手がかりや長期的なリスクマネジメントのリストとして活用している。各個別課題に対し、指標と目標(KPI)を設定している。中期経営計画と整合し、3か年のKPIとしている。

 

 

(5)重要テーマ別

1 気候変動

(1)ガバナンス

① ガバナンス機関又は個人

ⅰ 気候関連のリスク及び機会の監督に責任を負うガバナンス機関の名称又は当該責任を負う個人の役職名

 気候関連のリスク及び機会の監督に責任を負うガバナンス機関及び個人の役職名は、次のとおりである。

ア.気候関連のリスク及び機会の監督に責任を負うガバナンス機関:取締役会(監督機関)、経営会議(執行機関)

イ.気候関連のリスク及び機会の監督に責任を負う個人の役職名:代表取締役社長

ⅱ 気候関連のリスク及び機会に対してガバナンス機関又は個人に与えられた役割、権限及び義務、その他の関連する方針への反映

(監督機関・執行機関の気候関連のリスク及び機会に関する役割)

 当社グループは、気候関連課題への対応を経営の重要課題の一つと認識した上で、社長を議長とする経営会議で審議するほか、その補佐機関として「サステナビリティ推進委員会」を設置している。

 同委員会は各本部長で構成され、ESGの視点から環境目標の進捗や具体策を検討している。

 取締役会は、これらの報告を受け、気候変動に関する識別されたリスク・機会の各項目に紐づく指標及び目標の進捗度合等を継続的に監督する体制を構築している。

(その他の関連する方針への反映)

 サステナビリティ開示テーマ別基準第2号(気候関連開示基準)を参考にし、気候関連のリスク・機会を適切に管理・監督するため、ガバナンス、リスク管理等に関する規程等を整備している。

ⅲ 気候関連で定めた戦略を監督するための適切なスキル及び必要な能力

 当社は、各取締役の担当職務や経験等も踏まえながら、取締役会において必要とされるスキル項目が適切に配置され取締役会における多様性とバランスが確保されることに留意しながら各取締役を選任している。

 2026年3月末においてESG・SDGs分野の専門的経験・知見を有する取締役は4名である。

 なお、当社は取締役会に対して定期的に研修等を実施し、気候変動に関する社会動向や当社グループへの期待、対応すべき課題についての知見を共有している。これにより取締役会として必要な能力を確保していると認識している。

ⅳ ⅰの機関又は個人による気候関連のリスク及び機会に関する情報の入手方法及び報告頻度

 取締役会に対し、気候関連のリスク・機会に関する情報を次のア・イのプロセスで報告している。

(情報の入手方法・報告頻度)

ア.サステナビリティ推進委員会からの情報提供:年5回

カーボンニュートラル対策ワーキングからの情報提供:年2回

イ.経営会議からの報告頻度:四半期に1回

ⅴ ⅰの機関又は個人による戦略、主要な取引に関する意思決定・リスク管理のプロセス・関連する方針についてのモニタリング、リスク及び機会に関連するトレードオフの考え方

 経営会議において、気候関連のリスク・機会の特定、目標の設定及び進捗におけるモニタリングの評価や管理を実施している。

 また、経営会議により審議・決定された結果を、年4回の頻度で取締役会へ報告している。取締役会では、経営会議により決定した事項の報告内容に基づき、リスクの低減と機会の拡大に関するバランス(トレードオフ)を考慮しながら、企業価値向上に向けた適切な監督を実施している。

ⅵ 気候変動に関連するパフォーマンス指標と報酬制度に関する方針

 サステナビリティ戦略を推進するため、ESG評価の達成度を役員報酬に反映させる制度を導入している。具体的なパフォーマンス指標は次のとおりである。

●中期経営計画に掲げる以下の非財務目標について、計画期間中の取組みを評価

(ESG評価のパフォーマンス指標)

・CO排出量の削減活動 (スコープ1+2、スコープ3の削減率)

・従業員エンゲージメントの向上 (エンゲージメントレーティング)

・安全管理水準の向上 (度数率)

・社内外の法令違反防止体制の構築

 上記のうち、気候変動に関連した指標はCO排出量の削減活動(スコープ1+2、スコープ3の削減率)である。

 報酬構成全体のうち、ESG評価における4つのパフォーマンス指標の占める割合は5%である。

 

② 経営者の役割

ⅰ 気候関連のリスク・機会をモニタリング・管理・監督するためのガバナンスプロセス、統制及び手続における経営者の役割

ア.委任されている執行機関の名称:経営会議、サステナビリティ推進委員会

イ.委任されている執行機関のモニタリングプロセス:気候関連の施策立案、リスク・機会の評価、目標設定及び進捗管理は、経営会議の補助機関である「サステナビリティ推進委員会」で検討し、経営会議で審議している。取締役会は、四半期に1回の頻度でこれらの重要事項について報告を受け、監督・指導を実施している。

ⅱ 気候関連のリスク・機会を監督するための統制、手続及びその他の内部機能との統合

 当社グループは、気候関連のリスク・機会のモニタリング・管理・監督によって、事業活動に伴うリスクの正確な把握とその対応に努めており、社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置している。

 気候関連のリスクと機会のモニタリングを実施する内部統制及び評価手続は、「内部統制システム構築の基本方針」に基づき運用されている。

 

(2)リスク管理

① 気候関連のリスクの識別等及びモニタリングを行うためのプロセス及び関連する方針

ⅰ リスク管理におけるインプット等に関する情報

ア.使用しているデータの情報源

・リスク・機会の特定:SASB産業別基準に基づく財務データ

・気候変動・排出量:社内データ、各種規程、IEA・IPCCのシナリオ、GHGプロトコル

・事業・対象範囲:関係省庁などが発表している情報等

イ.気候関連のリスクを識別するためのシナリオ分析に関する情報

・(3)戦略 ⑥気候レジリエンス「気候関連のシナリオ分析」に使用した各種イニシアティブの情報に基づいてシナリオ分析を行っている。

ウ.気候関連のリスクの影響の性質、発生可能性及び規模の評価方法に関する情報

 気候関連におけるリスクの性質及び重要性を考慮する上で、識別されたリスク・機会の項目における財務的影響額の閾値及び発生可能性を踏まえた上で、リスクの性質及び財務的影響額の評価を実施している。

 財務的影響額の閾値及び発生可能性については、次のとおりである。

 

・ 財務影響額の閾値の定義

リスク・機会

100億円以上

10億円以上100億円未満

10億円未満

 

エ.気候関連のリスクの優先順位付けに関する情報

 財務上重要であると判断した気候関連のリスクを開示しており、気候関連のリスクと気候関連以外のリスクとの間に個別の優先順位を付けていない。

オ.気候関連のリスクのモニタリングに関する情報

 サステナビリティ推進委員会や各本部からの情報、社内外の環境の分析に基づき、「財務影響額」と「発生可能性」の両面から評価し、経営会議にて重要な項目を特定している。

 取締役会では、経営会議において少なくとも四半期に一度以上の頻度で審議・決定した内容について、報告を受けた上で、気候関連のリスクをモニタリングする体制を構築している。

カ.気候関連のリスクをモニタリングするプロセス

 リスク管理におけるガバナンスプロセスについて、過去の事業年度からの変更はない。

ⅱ 気候関連の機会を識別し、評価し、優先順位付けし、モニタリングするために用いるプロセスに関する情報

 モニタリングについては、ⅰのアからオに記載の方法で、実施している。

ⅲ 気候関連のリスク及び機会を識別し、評価し、優先順位付けし、モニタリングするために用いるプロセスが、全体的なリスク管理プロセスに統合され、用いられている程度並びにその統合方法及び利用方法に関する情報

 気候関連のリスク及び機会を識別・評価・優先順位付けし、モニタリングするためのプロセスについては、ⅰ及びⅱに記載している。

 当社グループは、気候関連のリスク・機会をグループ全体のリスク管理プロセスに統合している。

 

(3)戦略

① 気候関連のリスク・機会

ⅰ 財務上影響を与える気候関連のリスクと機会

 重要であると識別された気候関連のリスク・機会の項目を次のように判断している。

・気候変動におけるリスク・機会の概要及び財務的影響額

 

 識別されたリスク及び機会の項目、並びにそれぞれの財務的影響額については、各項目の総額を開示することを原則としている。したがって、識別された各リスク及び機会の項目において、費用の増加分と収益の増加分を相殺した純額による財務的影響額の記載を行っていない。

ⅱ 気候関連のリスク及び機会について、その影響が生じると合理的に見込み得る時間軸及び時間軸の定義

 気候関連のリスク及び機会における時間軸(時間軸の定義を含む)を次のように定義している。

時間軸

期間

定義

短期

2026年度

当連結会計年度の翌連結会計年度

中期

2027年度から2029年度

現在の中期経営計画の期間に整合

長期

2027年度から2035年度(注)

長期構想の事業計画に整合

(注)中期の時間軸は、長期の時間軸に包含している。

ⅲ 時間軸の定義と戦略的意思決定に用いる計画期間との関係

 気候関連のリスク及び機会の特定、評価、管理(モニタリング)に関する時間軸について、長期は概ね10年程度を指している。

 時間軸と脱炭素計画は整合しており、取締役会で承認されている。

 

② ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンに与える影響

ⅰ 気候関連のリスク及び機会が現在及び将来の企業のビジネス・モデル及びバリュー・チェーンに与える影響

 気候変動が各事業のビジネス・モデル、バリュー・チェーンに与える重大な影響について、次のように認識している。

項目

ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンに与える影響

購買活動

建設資材や施工時のGHG排出量への賦課金、排出権取引制度導入による調達コストの増加

製造

建設現場における夏季の労働生産性の低下

台風や豪雨による建設現場の一時停止等

調達活動・出荷活動

サプライチェーン上の輸送コストの増加

建築物の設計から竣工までの資材・燃料価格高騰

台風や豪雨によるサプライチェーン寸断による資材調達等の遅延の発生

販売・サービス活動

再生可能エネルギー関連の投資増加に起因する売上増加

中大規模木造建築の売上増加

ZEB等のエネルギー効率が高い建築物やBEI値が低い環境配慮型建築物の売上増加

国土強靱計画による防災・減災・復旧対策事業の売上増加

ⅱ ビジネス・モデル、バリュー・チェーンにおいて、気候関連のリスク及び機会が集中している部分

 バリュー・チェーンにおける重大な気候関連のリスクと機会が考慮される項目(地理的地域・施設・資産の種類・調達・販売及び流通チャネル等)を次のとおり特定している。

事業

国内土木事業、国内建築事業、海外建設事業、その他の事業

地理的地域

日本、台湾

施設・資産の種類

自社における所有資産(固定資産)、建設現場

調達・販売及び流通チャネル

バリュー・チェーン全体(直接操業及び上流・下流)

 

③ 気候関連のリスク及び機会が現在及び将来予想される短期・中期・長期に与える影響

ⅰ 現在及び短期・中期・長期の将来、財務諸表等に重要性がある影響を与えるリスク・機会項目については、① ⅰの表に記載している。

ⅱ 投資計画及び処分計画、戦略を遂行するための資金計画

 中期までの取組みとして、中期経営計画期間(2024~2026年度)中に再生可能エネルギー事業に100億円の投資を行う予定である。

ⅲ 気候関連のリスク及び機会を管理する企業の戦略を踏まえた、短期、中期及び長期における、企業の財務業績及びキャッシュ・フローの変化に関する見込み

 短期、中期及び長期における気候関連のリスク・機会項目の財務的影響額が財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼすと考えている。具体的な財務的影響を与える気候関連のリスク・機会項目及び影響額は、① ⅰの表に記載している。

 

④ 定量的情報の開示とその免除

ⅰ 定量的情報を提供していないリスク・機会の項目と理由

・定量的情報を提供していないリスク・機会の項目

ア.カーボンニュートラル達成のための移行コストと実行の難しさ

イ.再生可能エネルギー関連の投資増加に起因する建設需要・売上の増加

ウ.GHG排出が少ないCOの固定化も可能な中大規模木造建築物の売上増加

エ.ZEB等のエネルギー効率が高い建築物やBEI値が低い環境配慮型建築物の売上増加

オ.国土強靱化計画による防災・減災・復旧事業の売上機会の増加

・定量的情報を提供していない理由

(リスク項目)

 アのリスク項目に関する水素化バイオ燃料及び国内炭素税の中長期的な将来の価格動向等が不明瞭であり、財務的影響額を算出するうえでの不確実性が高いことから、定量的な財務的影響額の情報を開示していない。

(機会項目)

 イからオの機会項目に関する該当事業の年平均成長率を算出する実績の情報源が不足しているため、財務的影響額を算出するうえでの不確実性が高いと判断した。

ⅱ 財務的影響の定量的情報を提供しないと判断した気候関連のリスク又は機会と、他の気候関連のリスク又は機会及びその他の要因との複合的な財務的影響に関する情報

 定量的情報を開示しないⅰの気候変動の機会項目は、移行リスク① ⅰの「カーボンニュートラル達成のための移行コストと実行の難しさ」と関連している。

 

⑤ 戦略及び意思決定に与える影響

ⅰ 気候関連のリスク及び機会に対する対応状況及び今後の計画

 当社グループは、カーボンニュートラルの実現を事業戦略の核に据え、環境配慮型技術の開発・普及に取り組んでおり、中期経営計画(2024~2026年度)では、再エネ事業、中大規模木造建築、防災・減災関連を重点成長領域として特定している。

 これら戦略分野の目標達成に向け、執行体制を強化し、研究開発及び人財への投資を拡充することで、経営基盤の更なる充実を図っている。

 また、今後における具体的な計画については、次のとおりである。

 

・気候移行計画の概要

移行計画の各項目

内容

移行計画が依拠する主要な前提と依存関係の

概要

気候変動における1.5℃及び4℃のシナリオ分析に基づき、サステナビリティ開示テーマ別基準第2号(気候関連開示基準)等を参考にし、移行計画に対して、将来の市場動向、規制の変更、技術の進歩について次のように予測している。

将来の市場動向:IEAのWEO2025が公表している日本のマクロ経済におけるGDP成長率は、2024年~2035年:年率0.6%の成長を前提

規制の変更:2030年までに化石燃料賦課金の予測価格約1,000円/t-COを踏まえ、日本の規制当局において炭素税の本格的導入もしくは地球温暖化対策税の大幅な増税

技術の進歩:クリーンエネルギーの使用割合増加と化石燃料の使用割合低下

1:戦略の整合性

2035年度までに温室効果ガスの削減目標達成するために、以下の活動に取り組んでいる。

①スコープ1・2:再エネ電気の導入、非化石証書の導入、バイオ燃料の導入、脱炭素建機の導入

②スコープ3:事業リスクの軽減や建築事業におけるサプライチェーンと連携した調達から廃棄までのカテゴリー1における削減施策の遂行

③「産業横断的指標カテゴリー」の指標と目標に基づく開示

2:計画の前提

気候変動における1.5℃から2℃、4℃シナリオのリスク・機会の抽出、リスクの低減・機会の拡大を目的としたアクションプラン、移行計画をサポートする財務計画・予算及び関連する投資計画の実施

 

 

移行計画の各項目

内容

3:リスク項目に対する影響の低減・優先順位の高い機会項目

①カーボンニュートラル達成のための移行コストと実行の難しさ

②再生可能エネルギー関連の投資増加に起因する建設需要の拡大による売上増加

③GHG排出が少ないCOの固定化も可能な中大規模木造建築物の売上増加

④ZEB等のエネルギー効率が高い建築物やBEI値が低い環境配慮型建築物の売上増加

⑤国土強靱化計画による防災・減災・復旧事業の売上機会の増加

4:アクションプラン

移行計画の中期的なアクションプランは、リスク項目に対する影響額の軽減、優先順位の高い機会の拡大を目的としている。

(具体的な気候レジリエンス対応と機会の拡大への関係性)

・カーボンニュートラル達成のための移行コストと実行に向けた対応策として、①炭素排出エネルギーから水素化バイオ燃料へのエネルギー構成の転換・GHG削減に対する取組み、②GHG削減に関する技術開発促進による事業拡大(機会項目)というフローを目的として気候レジリエンスの対応策及び「5:財務計画」による投資の実行を計画している。

5:財務計画

移行計画をサポートする財務計画・予算及び関連する投資計画の目標は、③ ⅱに記載している。

6:シナリオ分析

1.5℃シナリオ及び4℃シナリオにおいて複数のシナリオを定め、リスク・機会の分析結果に基づいて、短期から長期の時間軸を定めている。

具体的な詳細については、⑥に記載している。

ⅱ 過去の報告期間に開示した計画に対する進捗

 重要であると識別された気候関連のリスク・機会の項目及びそれに関連する指標を設定した上で、2025年度より開示を実施している。そのため、「過去の報告期間に開示した計画」に対する進捗のKPI等はない。

ⅲ ⅰの対応を決定するにあたり考慮した、気候関連のリスク及び機会の間のトレードオフ

 気候変動対応とネイチャーポジティブの実現における相互影響(トレードオフ)を重要な経営課題として認識している。

 脱炭素社会への貢献として推進する中大規模木造建築事業においては、木材利用が森林資源や生態系に与える影響を十分に考慮した上で、持続可能な調達プロセスの構築に努めている。

 また、気候変動と自然資本の両面から企業価値を毀損させないよう、適切なモニタリングのもとで事業を推進していく。

 

⑥ 気候レジリエンス

(気候関連のシナリオ分析)

ⅰ 気候関連のシナリオ分析に使用したインプットに関する情報

ア.分析に用いた気候関連のシナリオ及びそのシナリオの情報源

 当社グループでは、1.5℃シナリオから2℃未満シナリオ及び4℃シナリオの2つのシナリオ分析において、IEA(International Energy Agency、国際エネルギー機関)及びIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)が発行する各イニシアティブ関連の資料等を情報源として参照している。

イ.分析に用いたシナリオの多様性

 シナリオ分析において、1.5℃から2℃未満シナリオ及び4℃シナリオの3つのシナリオに基づき、IEAのWEO(World Energy Outlook)2025、IPCCの第5次及び第6次報告書によるRCP(Representative Concentration Pathways:代表濃度経路シナリオ)、SSP(Shared Socioeconomic Pathways:将来の社会経済の発展の傾向を仮定した共有社会経済経路)等のイニシアティブの情報源に基づくシナリオを使用している。

ウ.気候関連の移行リスク又は物理的リスクのいずれに関連するシナリオ

 1.5℃シナリオから2℃未満及び4℃の各シナリオにおける移行リスク及び物理リスクの分析に以下の規格を使用している。

シナリオ分析に用いた

気候関連のシナリオ

関連するシナリオ

各シナリオの概要

1.5℃シナリオから2℃未満シナリオ

移行シナリオ

①NZE(Net Zero Emissions by 2050):50%の確率で1.5℃未満に抑制(一時的な超過=オーバーシュートも限定的)、2050年までに世界全体で温室効果ガス(GHG)の排出量を実質ゼロにする、最も厳格な移行規制を想定したシナリオ

②APS(Announced Pledges Scenario):50%の確率で1.7℃に抑制、世界各国が表明している国別の削減公約やネットゼロ目標が、期限通りにすべて達成されると仮定したシナリオ

物理シナリオ

①RCP1.9/SSP1-1.9:1.0〜1.8℃上昇(平均1.4℃)

パリ協定の「1.5℃目標」達成に重点を置いた、最も意欲的な持続可能シナリオ

②RCP2.6/SSP1-2.6:

1.3〜2.4℃上昇(平均1.8℃)

21世紀末までに気温上昇を2℃未満に抑えることを目指す地球温暖化対策シナリオ

 

 

シナリオ分析に用いた

気候関連のシナリオ

関連するシナリオ

各シナリオの概要

4℃シナリオ

移行シナリオ

STEPS(Stated Policies Scenario):50%の確率で2.4℃上昇

世界各国が現在すでに実施している政策や、公表済みの具体的な施策のみが継続すると仮定した、現状趨勢(ベースライン)シナリオ

物理シナリオ

①RCP8.5:基準年(1986〜2005年)比:2.6〜4.8℃上昇(平均3.7℃)

IPCC第5次評価報告書(AR5)における最高位の排出シナリオ。有効な温暖化対策をとらなかった場合の推移を想定

②SSP5-8.5:3.3〜5.7℃上昇 (平均4.4℃)

産業革命前比IPCC第6次評価報告書(AR6)における最高位の排出シナリオ 化石燃料依存型の経済発展が続いた最悪のケースを想定

上記のシナリオ群に基づき、気候関連の移行リスク・物理的リスクの識別及び関連性を考慮している。

エ.気候変動に関する最新の国際協定と整合するシナリオの使用

 IEAのWEO2025のシナリオ及びIPCCにおけるRCP、SSPの規格を踏まえた上で、脱炭素社会に向けた政策・技術・市場等が着実に移行し、パリ協定に基づく21世紀末の地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃程度に抑えるシナリオを使用している。

オ.気候関連の変化、進展又は不確実性に対する気候関連のレジリエンスの評価と選択した気候関連のシナリオとの関連性

 識別された気候関連のリスク・機会及び各種指標・目標の設定について、IEAやIPCC等の世界的なイニシアティブが公表する複数シナリオを踏まえたレジリエンス評価を実施している。外部環境のベンチマーク分析に基づくシナリオ規格に加え、当社グループの戦略やビジネス・モデルに関する定性的・定量的な評価を総合的に勘案した結果、このアプローチが最適であると判断した。

ⅱ シナリオ分析に使用した時間軸

 気候関連のシナリオ分析を実施した重要な産業の時間軸を次のように設定している。

時間軸

期間と概要

短期・中期

2030年まで(現在の経営計画や事業戦略の影響を反映する期間)

長期

2040年~2050年まで(脱炭素社会への移行など、長期的なリスク・機会を評価する期間)

ⅲ シナリオ分析に用いた事業の範囲

事業

対象地域

国内土木事業、国内建築事業、その他の事業

日本

海外建設事業

台湾

ⅳ シナリオ分析の前提とした主要な仮定

ア.事業を営む法域における気候関連の政策

 国内における建設事業が展開されている法域の気候関連政策の概要について、IEAのWEO2025に基づき把握している。

 各法域における気候関連の政策の概要については、IEAのWEO2025の主要国の気候関連政策の記載を参照している。

 

シナリオ

概要

現行政策シナリオ

日本の具体的な省エネ規制の強化内容

・2025年〜2027年の「トップランナー制度」の見直しに伴い、エアコン、給湯器、窓ガラス、テレビに対して、「最低エネルギー性能基準(MEPS)」が設定される。

・2022年に改正された「建築物省エネ法」に基づき、今後はすべての新築の建物に対して、新しく改定された省エネ基準を満たすことが完全に義務化される。

表明された政策シナリオ

日本が表明している普及促進策

・「住宅省エネキャンペーン」の一環として、断熱改修工事及び高効率給湯器に対する補助金が導入される。

・家電製品及び建築物に関する既存の効率規制が延長及び強化される。

イ.マクロ経済のトレンド

 IEAのWEO2025に基づくマクロ経済のGDP成長率を、当社グループが事業を展開しているマクロ経済のトレンドとして考慮している。

対象地域

対象期間及び経済成長率(年率)

日本

2024年~2035年:0.6%、2035年~2050年:0.7%

アジア太平洋

2024年~2035年:3.9%、2035年~2050年:2.8%

ⅴ シナリオ分析を実施した報告期間

 シナリオ分析を2025年度に実施している。

 

(気候レジリエンスの評価)

ⅰ 気候関連のシナリオ分析の結果が企業の戦略及びビジネス・モデルに対する評価へ与える影響とその対応

 ⑥に記載のシナリオ分析を踏まえた上で、気候変動のリスク・機会を識別している。

 また、識別されたリスク・機会のビジネス・モデルへの影響については、2025年度、短期から長期における財務的影響額を踏まえた上で、気候変動のリスクの軽減、機会の拡大に向けた対応策を気候移行計画等に基づき実施している。

 なお、気候変動における識別されたリスク・機会の項目についての再評価を、定性・定量の両面から毎年実施する予定である。

ⅱ 気候レジリエンスの評価において考慮された重大な不確実性の領域

 当社グループは、気候レジリエンス評価における重大な不確実性の領域を日本及び台湾と捉えている。当該地域は、当社のビジネス・モデルやバリュー・チェーンにおいて、気候関連のリスクと機会が物理的・構造的に集中する地理的領域である。

ⅲ 気候変動に対して、短期、中期及び長期にわたり戦略及びビジネス・モデルを調整する能力

ア.気候関連のシナリオ分析において識別された影響に対応するための、既存の金融資源の利用可能性及び柔軟性

 気候変動における識別されたリスク・機会の項目についての再評価を今後、定性・定量の両面から毎年実施し、気候変動のリスクの軽減、機会の拡大に向けた投資計画及び対応策を気候移行計画と合わせて変更していく予定である。

 また、具体的な今後のレジリエンス対応策と機会の拡大に向けたアクションプランの概要については、⑤ ⅰ「気候移行計画の概要」の3から5に記載している。

イ.自社グループにおける既存の資産を再配置、別の目的へ再利用、性能向上又は廃棄する企業の能力

 毎年実施予定の再評価の結果に基づき、顕在化したリスクに対する対応策として、既存の固定資産等の再配置、除却、廃棄等を実施する可能性がある。(注)

(注)2025年度、短期においては、顕在化したリスクに対する対応策として、既存の固定資産等の再配置、除却、廃棄等を実施する計画はない。

ウ.気候関連の緩和・適応・機会に対する投資とその影響

 気候変動リスク及び機会の再評価に基づき、気候レジリエンス強化に向けた投資や計画の継続的な見直しにより、リスクに伴う財務的影響の最小化と、機会獲得による財務的効果の最大化が、今後段階的に顕在化していくものと見込んでいる。

 

(4)指標と目標

① 気候関連の指標

(温室効果ガス排出の測定方法)

ⅰ 温室効果ガス排出の測定方法

ア.スコープ1温室効果ガス排出

 主に工事現場の重機で使用する軽油、都市ガス、プロパンガス、ガソリン、灯油等による直接排出

イ.スコープ2温室効果ガス排出

 他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出

ウ.スコープ3温室効果ガス排出

 スコープ1、2以外の事業活動(資材調達、建造物の運用、排気等)に関連するサプライチェーン全体の排出

 排出量は、次の基準に基づき算出している。

拠点

排出量の算定に使用する排出係数

国内拠点

・温対法の規定に基づき、環境省公表の最新の排出係数を使用

・GHGプロトコルに基づき、年間の活動量に、業界団体が公表している最新の係数を使用

海外拠点

・GHGプロトコルに基づき、原則として各国の固有係数を使用

・把握が困難な場合はIEAの国別係数を使用

 

(GHGプロトコル(2004年)に基づく温室効果ガス排出の測定)

ⅰ 温室効果ガス排出量の測定アプローチ

 「GHGプロトコル(2004年)」に基づき、以下の温室効果ガス排出量の測定アプローチとして、財務支配力アプローチを選択している。

ⅱ 財務支配力アプローチを選択した理由

 投資先から経済的利益を得る目的で、契約等によりその財務方針を決定する権限(財務支配力)を持つ場合、持分割合に関わらず、当該投資先の実質的な支配関係及び経済的権利(利益分配やリスク負担の割合等)に応じて、温室効果ガス(GHG)排出量を集計している。

 外部への報告にあたり、この「財務支配力アプローチ」を採用することが、当社グループの企業活動の実態を最も適切に表すものであると判断している。

ⅲ 選択した測定アプローチと気候関連の指標及び目標に関する開示項目と関連性

 当社グループの財務支配力による測定アプローチは、SASB産業別基準の指標である①2025年度の炭化水素関連プロジェクト及び再生可能エネルギー・プロジェクトの繰越工事高の金額、②2025年度の気候変動の緩和に関連する非エネルギー・プロジェクトの繰越工事高の金額に関する開示目的と直接の関連性はない。

 

(温室効果ガス排出の絶対総量)

 当社グループにおけるスコープ1からスコープ3の排出量は、以下のウェブサイトに開示している。

「脱炭素の取組み」 https://www.kumagaigumi.co.jp/sustainability/environment/c-neutral/

「環境データ」   https://www.kumagaigumi.co.jp/sustainability/environment/envirodata/

 

ⅰ スコープ1温室効果ガス排出

項目

排出量(単位:t-COe)

スコープ1(2024年度)

94,550

スコープ1(2025年度)

2026年夏季に開示予定

 

ⅱ スコープ2温室効果ガス排出

項目

排出量(単位:t-COe)

スコープ2(ロケーション基準:2024年度)

29,607

スコープ2(ロケーション基準:2025年度)

2026年夏季に開示予定

スコープ2(マーケット基準:2024年度)

23,095

スコープ2(マーケット基準:2025年度)

2026年夏季に開示予定

 

ⅲ スコープ3温室効果ガス排出

スコープ3

各カテゴリー

排出量(単位:t-COe)

2024年度

2025年度

カテゴリー1

1,009,403

2026年夏季に開示予定

カテゴリー2

10,064

カテゴリー3

18,472

カテゴリー4

27,942

カテゴリー5

2,068

カテゴリー6

591

カテゴリー7

1,452

カテゴリー11

2,365,069

カテゴリー12

29,124

カテゴリー13

709

 

② 内部炭素価格

ⅰ 内部炭素価格の適用方法

 J-クレジット・非化石証書等の取引価格からGX-ETS1トン当たりのクレジットの想定価格を踏まえた上で内部炭素価格を決定している。

ⅱ 内部炭素価格

 温室効果ガス排出のメートル・トン当たりの価格:約4,000円から10,000円程度

 

③ 報酬

ⅰ 気候関連の評価項目を役員報酬に組み込む方法

 具体的な気候変動に関連するパフォーマンス指標と報酬制度については、(1) ガバナンス① ⅵに記載している。

ⅱ 役員報酬総額に占める気候関連評価の割合

 役員報酬のうち、ESG関連の評価項目の割合:5%

 気候関連の評価項目は、当該ESG関連の評価項目の一部に含まれている。

 

④ 産業別指標

 気候関連の各リスク・機会項目のモニタリングに使用している指標

 ISSB「産業別ガイダンス」の開示トピックに関連する産業別の指標を参照し、その適用可能性を考慮した結果、以下の指標を気候関連の各リスク・機会項目のモニタリングに使用している。

・スコープ1・2の削減率

・スコープ3の削減率

 

⑤ その他気候関連指標

ⅰ 企業の見通しに影響を与えると見込まれる気候関連の各リスク及び機会を測定し、モニタリングに使用している指標

ア.識別した気候関連のリスク又は機会

 識別した気候関連のリスク又は機会については、(3)戦略① ⅰに記載している。

イ.識別した気候関連のリスク又は機会に関連する企業のパフォーマンス

 識別した気候関連のリスク又は機会の財務的影響度を含むパフォーマンスについては、(3)戦略① ⅰに記載している。

ⅱ サステナビリティ開示基準以外の情報源から得た指標

ア.サステナビリティ開示基準以外の情報源から得た独自の指標の定義

 当社グループは、SASB産業別基準(エンジニアリング及び工事サービス)の指標を考慮した結果、識別されたリスク・機会及びパフォーマンスの評価に該当しないと判断し、独自の指標として以下の項目を定義している。

・スコープ1・2の削減率

・スコープ3の削減率

イ.第三者による指標の認証の有無及びその理由

 サステナビリティ開示基準に基づき、リスク・機会の識別からSASBスタンダードの産業別基準の関連指標を考慮した上で最終的に重要なリスク・機会の項目に関連する指標を定義するまでの一連のプロセスを適切に実施していることから、個別に定義した指標に関する第三者認証を受けていない。

ウ.指標の算定に用いた方法及びその算定に用いたインプット

 ④ ⅰの算定に用いたインプットは、次のとおりである。

・指標の算定:GHG削減目標のデータ

 

⑥ 気候関連目標(気候関連の目標の特定)

ⅰ 戦略的目標の達成に向けた進捗をモニタリングするために設定した定量的及び定性的な気候関連の目標並びに企業が活動する法域の法令により満たすことが要求されている目標がある場合における情報開示

ア.目標を設定するために用いる指標

 ④ ⅰに記載している指標を目標の設定に使用している。

イ.指標に対して設定している定量的目標

 ・スコープ1・2の削減率目標:42%(基準年度:2019年度、達成目標:2029年度)

・スコープ3の削減率目標:25%(基準年度:2019年度、達成目標:2029年度)

ウ.指標に対する目標の目的について

 パリ協定を始めとする国際的方針、日本のNDC(国が決定する貢献)や気候変動に関連する法規制(省エネ法や地球温暖化対策推進法等)や様々な政策を支持し、気候変動による事業環境の変化への適応をさらなる成長機会と捉えた上で、指標に対する目標を定めている。

エ.指標に対する目標が適用される企業の部分(バウンダリー)

・事業:当社及び連結子会社の国内土木事業、国内建築事業、海外事業、その他の事業

・地域:日本、台湾

オ.指標に対する目標が適用される基準年度から目標年度までの期間

定義

期間

指標に対する目標が適用される基準年度から

目標年度までの期間

2019年度から2029年度

カ.指標に対する目標が定量的である場合、それが絶対量目標であるか、原単位目標であるかについて

 指標に対する定量的目標は、絶対量目標として定義している。

キ.当社グループの気候変動に関する最新の国際協定の反映状況

 パリ協定第2条における「世界全体の平均気温を工業化以前に比べ2℃高い水準を十分に下回るものに抑えること、1.5℃高い水準までに制限するための努力を継続する」という記載を踏まえた上で、気候変動の指標に対する目標として反映している。

ⅱ 目標を設定し、評価・承認する手順及び進捗をモニタリングする方法

ア.指標に対する目標を設定し、評価・承認する手順の概要

 当社グループでは、識別されたリスク・機会項目の事業部門に該当するSASBスタンダードの開示トピックを考慮した上で、適用した指標について、当社グループの各事業部門における環境への取組みに関する目標をサステナビリティ推進委員会で集約し、最終的に(1)ガバナンス① ⅱの監督・執行機関による評価・承認する手順を採用している。

 なお、目標及び目標設定の方法論に関する第三者認証は実施していない。

イ.指標に対する目標の進捗をモニタリングする方法

 (1)ガバナンス① ⅱの監督・執行機関によるガバナンスプロセスにより、四半期に1回の頻度でモニタリングを実施している。

ⅲ 気候関連の目標のパフォーマンス及びトレンド又は変化についての時系列での分析

 気候関連の目標に対する企業のパフォーマンス

 気候関連の目標に対するパフォーマンスの適用期間を2019年度から2029年度までと定めている。

 そのため、2029年度までの目標に対する進捗状況については、次のとおり。

 

 

 

ⅳ 温室効果ガス排出目標に関する開示

ア.温室効果ガス排出目標の対象

 7種類の温室効果ガス全てをGHG削減の排出目標の対象としている。

イ.スコープ1・2・3における温室効果ガス排出目標の対象

 CO、CH、NO、HFCs、PFCs、SF、NF

ウ.温室効果ガス排出目標

 GHG排出量の総量目標に基づいている。

 

2 環境保全(TNFD)

 当社はこれまで工事施工時に、すべての作業所において生物多様性についての評価を行い、生物多様性の保全及び自然資源の持続可能な利用に配慮してきたが、さらに当社の事業における自然資本への依存、インパクト、リスクと機会を把握するために、TNFD v1.0を参照し、自然が事業活動に与える影響と事業活動が自然に与える影響をダブルマテリアリティの考え方で分析・評価した。

 

(1)環境保全におけるガバナンス

 当社は、自然関連課題を含む経営上の重要事項や先住民族等に関する人権方針、ステークホルダーとのエンゲージメントについて取締役会で審議している。TNFDのガバナンスに関しては、当社のサステナビリティ全般におけるガバナンスに準拠している。

 

(2)環境保全におけるリスク管理

 当社は、事業活動に伴うリスクの把握・低減及び機会の最大化に努めることが企業価値の向上につながると考えている。重要な事項については、個別案件毎にリスク・機会を抽出・評価のうえ、経営会議・取締役会にて意思決定を行っている。各部門においては、業務プロセスに内在するリスク・機会について抽出・評価のうえ、必要な対応策を検討し年度計画に反映している。この取組みの状況については四半期毎にモニタリングを実施し、経営会議体にて報告している。生物多様性を含む環境リスク・機会に関しては、「サステナビリティ推進委員会」における報告・議論を経て、必要に応じ経営会議・取締役会にて報告・審議している。

 

(3)環境保全における戦略

 国内土木事業、国内建築事業のうち直接操業5拠点を対象にLEAPアプローチによる調査、分析を実施した。自然関連課題がある地域を特定するために、日本国内において地域に偏りがなく、かつ周辺の自然環境が異なると考えられる拠点を選定した。LocateのフェーズではIBATとAqueductを使用し、各拠点周辺の自然との接点や水ストレスを把握した。EvaluateのフェーズではENCOREを使用し、国内土木事業・国内建築事業のバリュー・チェーンのプロセスにおける自然への依存とインパクト(影響)を把握した。その結果、依存度については、建築事業での川上における木材採取のプロセスで高く、インパクトについては、土木事業、建築事業ともに直接操業における施工プロセスで大きいことが確認された。

 

 

(4)環境保全における指標と目標

個別課題 「ネイチャーポジティブの実現」

具体的な取組み:①生態系の回復に関する事業 ②品質環境マネジメントシステムの運用と改善

指標:①脱炭素燃料開発、販売事業の拠点整備件数 ②施工中の重大な環境事故件数

目標:①2件以上 中期経営計画期間中(2024~2026年度)②0件 中期経営計画期間中(2024~2026年度)

 

3 人的資本

(1)人的資本におけるガバナンス

 当社グループは、人財を「資本」として捉え、その能力を最大限に引き出すことが中長期的な企業価値向上につながると考えている。これに基づき、持続的な成長の源泉であり事業活動の核となる人財への投資を拡充し、質と量の両面で人財価値の最大化を図り、企業価値の向上に寄与するための人財基盤を構築する。経営戦略と人財戦略の一体的推進をさらに強化するため、従来の「人事戦略会議」を発展的に改組し、経営会議の下部組織として、各本部のトップを委員とした「人事戦略委員会」を新設した。

 本委員会では、人財を「価値創造の源泉」となる経営資本と位置づけ、事業部門の枠を超えた全社的かつ長期的な観点から、人的資本の最大化と経営資源の最適化に向けた検討を深めていく。

 経営層主導のもと、持続的な企業価値向上に向けた「次世代経営人財の育成」並びに「戦略的な人財投資」を着実に実行し、迅速かつ実効性の高い意思決定を行っていく。

 

 

(2)人的資本における戦略

 「熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)」において、60億円規模の人財投資を計画している。持続可能な人員体制を構築するための採用活動、次世代を見据えた社員のスキルアップやキャリアパスの充実を支援するための人財育成、社員のモチベーションアップのための報酬水準の向上、社員が安心して働くことができる職場環境の整備等に注力し、これらの取組みを通じて、社員の意欲や誇り、自信を高め、従業員エンゲージメントの向上、組織力の向上、そして人財価値の最大化を図る。

 

① 人財採用について

 組織の活性化を図り、世代間の人員構成のバランスを整えるとともに、社員の高齢化による離職リスクに備えるため、ダイバーシティを意識した採用活動を行っている。事業環境の変化や業績の見通しに基づき、5年後・10年後の人員数・職種構成・年齢分布を考慮した採用計画を策定し、技術力及び競争力の維持・向上を図る。新卒採用においては、入社後のミスマッチを防ぐため、インターンシップ等の就業体験や現場見学会をはじめ、社員との面談や若手社員との座談会等を積極的に行い、将来を担う人財の獲得に注力している。また、キャリア採用においては、事業戦略に基づき、注力すべき分野に必要な専門スキルを備えている即戦力人財の確保に努めている。なお、一度退職した元社員を、本人の希望により再雇用し、再び当社で活躍してもらう「ジョブリターン制度」を設けている。

 

 

② 人財育成について

 社員が自らの業務に必要な知識を蓄え、技術を磨き、事業環境の変化に柔軟に対応できる能力を身につけることは、キャリア形成において不可欠である。育成指針となる人財育成計画のもと、「自らを高め、未来をつくり、人を支える」、そのような人財に成長することを目指して様々な取組みを行っている。

 

 

 

ⅰ 資格取得、社外教育の支援

 技術士や一級建築士等の公的資格の取得を奨励している。受験者には補講や模試を提供する等、社員の自発的なスキルアップを支援している。

ⅱ 人事評価や業務遂行におけるコミュニケーション

 社員は上司と期首に目標設定面談、中間期に進捗確認面談、期末に自己評価確認面談、さらに評価結果についてのフィードバック面談を行う。また、将来の職場配置や能力開発の希望は「キャリアプラン申告」として、社内の申請システムからいつでも上司を通さず、人事部へ提出することができる。

ⅲ 高い研修受講率の実現

 社員が研修を受講する際には、本人への案内とは別に、あらかじめ所属の本部長・支店長及び上司にも通知し、研修に参加しやすい雰囲気づくりに取り組んでいる。

 

③ 従業員エンゲージメントについて

ⅰ エンゲージメント調査の実施

 当社は、持続的な成長の原動力は「人」であると考え、従業員エンゲージメントの向上を経営の重要課題と位置づけている。2023年度に開始し、年に1回行っているエンゲージメント調査では、回答率100%を2024年度に達成、2025年度も維持している。調査結果については、全産業平均を上回る総合スコアとなり、全支店でスコアが向上するなど前向きな変化が生まれている。同様の調査はグループ会社でも実施しており、グループ一体となって、やりがいと誇りを持てる環境づくりに取り組んでいる。今後も社員の貢献意欲を高めるとともに、顕在化した課題に対するサポート強化や制度見直しの検討を進める。2026年度は、2025年度に達成したエンゲージメントレーティングの基準点、「BB(52点)」の維持を確実に目指すとともに、「BBB(55点)」への到達を見据え、エンケージメント向上に努める。

 <2025年度の主な取組み>

  ・処遇改善に関する施策の実施:継続的な給与のベースアップや特別賞与の支給

  ・エンゲージメントの低い中間層によるディスカッションと施策の検討、サポート強化

  ・部署間・世代間のコミュニケーションの活性化に寄与する親睦イベントの実施

  ・ジョブローテーションによる業務の標準化・ナレッジの共有(4・5年次を対象とするローテーション制度)

  ・外部講師によるエンゲージメント向上に関する講習会の開催

  ・各支店長の評価項目にエンゲージメントスコアを設定

 

ⅱ 中間層によるディスカッションの実施

 エンゲージメント調査から、比較的人数が少なく、業務の責任が重くなる年齢でもある中間層(36 ~ 40歳)のスコアが相対的に低くなっていることが判明した。この課題の解決に向けて、中間層の管理本部社員をパネラーに招き、ディスカッションを実施した。相談しやすい雰囲気や裁量ある業務遂行が働きやすさにつながる一方で、業務の属人化、部門間の連携、評価・処遇の納得感、方針浸透などが課題として共有された。今後は、業務の可視化とマニュアル整備、定期的な情報共有、本社・支店間のローテーションや交流機会の拡充等、多くの意見が交わされた。

 

 

 

④ ダイバーシティ

 当社は性別、年齢、国籍、性自認・性的指向(LGBTQ+)、障がいの有無等にかかわらず、すべての人が活き活きと働くことができる職場環境の実現に取り組み、ダイバーシティ、働き方改革の推進による業績の向上を目指している。

ⅰ 推進体制

 当社は、管理本部長を委員長とし各部門の代表者で構成する「ダイバーシティ推進部会」を設置し、さらに本部・支店・グループ会社よりダイバーシティ推進担当者を選任して推進体制を構築し、全社横断型でダイバーシティ及び働き方改革を推進している。当社のダイバーシティ推進部はそれらの運営や実効性を高める役割を担っており、人財活躍推進と働き方改革推進を統合して取り組んでいる。

 

 

ⅱ 女性が活躍できる職場

 当社は女性活躍推進法に基づく第五次行動計画(2026年4月~2030年3月)を策定した。定量的な目標として以下を掲げている。

・新卒採用者に占める女性の割合を25%以上とする

・管理職に占める女性の割合を8%以上とする

・子の出生に伴う男性の休暇(配偶者出産時特別有給休暇、出生時育児休業、育児休業)取得率を90%以上及び男性育児休業取得日数を平均30日以上とする

 また、第四次行動計画(2023年1月~2026年3月)では、定量的な目標として以下の3点を掲げ、実行した。

 

女性活躍推進行動計画の実績(第四次行動計画)

定量的目標

2023年度

2024年度

2025年度

新卒採用者に占める女性割合を25%以上

29.1%

21.0%

23.5%

新任女性管理職比率を新任管理職の7%以上

25.0%

32.1%

32.3%

子の出生に伴う男性の休暇取得率70%以上

75.6%

89.4%

88.6%

 

男性育児休業取得率+配偶者出産時特別有給休暇取得率

75.6%

89.4%

88.6%

 

男性育児休業取得率

57.8%

76.6%

77.3%

 

配偶者出産時特別有給休暇取得率

53.3%

55.3%

70.5%

 ダイバーシティ推進の取組み開始以来、11年間で女性管理職数は11名から97名と8.8倍、女性技術者も63名から178名と2.8倍になった。男性の両立支援制度の利用も増加している。長時間労働は改善され、月平均時間外労働は、社員一人当たり31.7時間減少する成果を上げた。

 多様な働き方を実現するための制度導入の一環として、2021年に社内で不妊治療に関するアンケートを実施した。社員の声を取り入れた男女ともに利用可能な不妊治療休暇制度及び治療に専念することができる休業制度を導入した。さらに、2023年にはベビーシッター利用時の費用補助制度を、2025年には治療と通院が必要な社員が仕事との両立ができる制度を導入した。また育児と介護の両立支援のため、介護個別相談会、子育て中の女性技術者交流会を実施している。

ⅲ 障がい者雇用の現状

 2024年度は各本部に1名ずつ障がいのある社員を採用し、業務に慣れるまでは専門支援機関と連携して定期面談を行う等、職場定着に向けたサポート体制に注力した。2025年度は各支店においても採用活動を促進させるため、管理本部より採用要請をするとともにダイバーシティ推進部による採用に関するサポートや情報提供を積極的に行った。さらに、障がいのある社員の教育担当者には、障がい者支援に関する基礎研修への参加を促し、誰もが安心して働ける職場環境の整備を進めている。

ⅳ LGBTQ+に関する取組み

 2024年度、同性パートナーや事実婚の社員も社内制度を利用できるよう「ファミリーシップ制度」を導入した。「同性パートナー」及び「事実婚のパートナー」(以下、パートナー)に配偶者(法律上の婚姻関係にあるもの)と同等の福利厚生や規程を適用し、会社が認めたパートナーの子を、社内制度上「家族」として認めている。

ⅴ 定年再雇用の状況

 定年退職後65歳までの継続雇用制度を運用し、働く意欲のある定年退職者の雇用維持に努めている。2026年4月現在の在籍者は301名で、豊富な経験や知識、卓越した技術を活かして活躍している。

 

⑤ 健康経営について

 社員の健康を何よりの経営資源と捉え、本社に健康推進室を設置し、全支店の産業医並びに健康推進担当者と連携して、社員の健康を全面的にサポートする体制を整えている。また、社員健康推進計画を年度毎に策定し、PDCAサイクルによるスパイラルアップを図った健康推進活動を行っている。当社は優良な健康経営を実践している法人として、経済産業省が創設した「健康経営優良法人」の認定を10年連続で取得している。

ⅰ ハイリスク者への取組み

 社員の健康診断結果はすべて産業医による入念なチェックが行われ、フォローが必要な社員には受診や面談の勧奨、継続的なサポートを行っている。また、長時間労働による脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調を防止するため、対象者への疲労蓄積度チェックと希望者への産業医面談を毎月欠かさず行っている。そのほかにも特殊な労働環境下にある職場に対しては、産業保健専門職による訪問や面談等、特別なフォローアップを行っている。

・社員健康推進計画(2026年度)

①社員の業務災害防止に向けた取組み

②労働時間の把握ならびにハイリスク者へのアプローチ

③一般健康診断の実施ならびにハイリスク者へのアプローチ

④ストレスチェックの実施ならびにハイリスク者へのアプローチ

⑤個別事例における取組み

⑥社員の身体的・精神的・社会的な健康の保持増進に向けた取組み

ⅱ メンタルヘルスに関する取組み

 個別事例対応やストレスチェック(80項目)を通じた組織改善の提案、セルフケアとラインケアを中心とした階層別の社員研修等の実施、社員が安心して業務に専念できるよう、休職・復職に関する明確な基準と手厚いサポート体制の整備を行っている。

 休職者対応においては、「休業と復職に関するハンドブック」を当該社員に配付し、必要な手続きや給与等を明確に伝えている。また、休職者には月に一度、会社(管理部・上司・産業医・保健師)が連絡を取り、復職基準や期間、給与に関する情報提供と状況確認を行っている。復職に際しては、主治医に当社の復職基準を事前に共有し、理解を促すことで、円滑な復職を支援している。また、本人からの復職の意思表示と主治医による当社指定の復職診断書の提出を求めることで、認識のずれをなくしている。

 さらに、スムーズな職場復帰を支援するため、復職する際には約1か月間の試し出勤制度を導入し、勤務状況を丁寧に確認している。加えて、経済的な不安を軽減するためにGLTD(団体長期障害所得補償保険)制度を導入することで、休職期間中の所得を補償し、社員の経済的な安定をサポートしている。

 

⑥ 働き方改革の推進について

 2024年度からの建設業における時間外労働の上限規制適用を受けて、当社は2023年度より年度毎に「働き方改革アクションプラン」を策定し、業務効率化と労働時間短縮に継続的に取り組んでいる。

 2025年度については、労働時間の抑制に向けた成果が着実に出ている一方で、竣工間際の業務集中や突発的な事象による労働時間が増加した事例もあった。こうした状況を鑑み、2026年度の働き方改革アクションプランには「組織的なバックアップ体制」のさらなる強化を重点施策に掲げている。

 また、社員のワークライフバランス向上につながる休日・休暇の取得についても、最前線で働く社員が安心して休暇を取得できるよう、休日取得の徹底及び作業所の閉所に向けた取組みを、全社的な最優先事項として推進する。

 「働き方改革アクションプラン」は、社員一人ひとりの健康確保とワークライフバランスの向上を目指す行動計画と位置づけ、誰もが心身ともに健やかに、誇りを持って働ける環境を構築していく。

 

(3)人的資本における指標と目標

 当社は「3 人的資本(2)人的資本における戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いている。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりである。

 

事業における取組み・具体的行動

指標

3か年の目標

(2024年度~2026年度)

2025年度の実績

新卒採用活動

新卒採用者数

124人(各年度の検討)

153人

従業員エンゲージメントの

向上

エンゲージメントレーティング (注)2

レーティング「BB」

BB

国家資格の取得支援

一級土木施工管理技士

保有率

90%以上(各年度)

91.3%

一級建築施工管理技士

保有率

1%以上/年UP

(注)3

0.5%

一級建築士保有率

1%以上/年UP

(注)4

2.6%

ICTの標準化による現場

管理の効率化

新規現場導入率

100%(各年度)

98.5%

仕事とプライベートの両立等

休日取得

4週8休(作業所)(各年度)

97.6%

業務の効率化・平準化への

取組み

時間外労働時間数

30時間以下(各年度)

15.1時間

女性活躍推進行動計画

新任管理職に占める女性の割合

7%以上

32.3%

子の出生に伴う男性の

休暇取得率

70%以上

88.6%

現場公開による担い手確保

現場・職場見学会の開催

100件以上(各年度)

土木:183件

建築:258件

従業員の健康管理

二次健康診断受診率

100%(各年度)

(注)5

51.5%

(注) 1 人的資本に関する「目標及び実績」は、当社グループ各社で会社規模や事業形態が異なるため、各社において実態に即した指標を設定している。そのため当該「指標及び目標」は単体の計数としている。

2 株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」

3 2024年度の保有率は86.9%、2025年度の保有率は87.4%である。

4 2024年度の保有率は55.2%、2025年度の保有率は57.8%である。

5 2025年度の実績は現在集計中のため、2024年度の実績を掲載。

 

4 人権・サプライチェーンマネジメント

(1)人権・サプライチェーンマネジメントにおけるガバナンス

 当社は、人権・サプライチェーンマネジメントを含む経営上の重要事項を「経営会議」にて審議している。また、経営会議を補佐する機関として「サステナビリティ推進委員会」を設置している。「サステナビリティ推進委員会」の下部組織となる「人権方針専門部会」を設置し、年4回開催している。「人権方針専門部会」は関連部署長が参加しており、「熊谷組グループ人権方針」に基づき人権尊重に関する取組みと人権デューデリジェンスの実施について議論している。同部会にて議論された内容及び進捗状況については、「サステナビリティ推進委員会」にて年2回、取締役会では年1回の報告を行っている。

 また、当社はサプライヤーに対して「熊谷組調達方針」及び「熊谷組調達方針ガイドライン」の遵守を推進する取組みを行っており、「人権方針専門部会」と同一の構成で議論を行い、サステナビリティ推進委員会及び取締役会にて各年1回の報告を行っている。取締役会では、上記プロセスについて報告を受け、取組状況の監督を行っている。

 

(2)人権・サプライチェーンマネジメントにおける戦略

 当社は、持続可能な社会の形成に貢献し、社会から必要とされる企業であり続けるために、人権・環境・ガバナンス等の項目から成る「熊谷組調達方針」及び「熊谷組グループ人権方針」に則り調達活動を実施している。当社が健全な事業活動を進めていくためには、取引先とのパートナーシップのもとサプライチェーン全体で持続可能な事業活動を行うことが重要であると考えている。互いに信頼できるパートナーとしてともに発展するため、「熊谷組調達方針ガイドライン」、「熊谷組グループ人権方針」を掲げ、人権・サプライチェーンマネジメントへの取組みを進めている。

 人権の尊重については、自社やサプライチェーンにおける人権への負の影響を特定・評価し、それを防止・軽減する対策を講じ、その効果を追跡・評価した上で、一連の取り組みを開示し説明責任を果たすプロセスである人権デューデリジェンスを以下のとおり実施している。

ⅰ 負の影響を特定

 当社グループの事業領域を対象として人権課題を認識、整理し、当社グループのバリュー・チェーン上において最も潜在的な人権リスクが高い領域は、調達・施工の過程であると特定している。さらに、整理した人権課題を、自社及びサプライチェーンにおける発生可能性と深刻度の指標によって評価・マッピングし、発生可能性と深刻度の高い優先して取り組むべき人権リスクを特定している。

ⅱ 負の影響の防止・軽減

 協力企業に対し、オンラインにて人権に関する説明会(勉強会)を実施している。この説明会では、人権への取組みの好事例や具体的な対応策の紹介などの教育を実施するとともに、熊谷組グループの相談窓口を案内している。

 当社事業において優先的に取り組むべき人権課題の中でも建設業における特徴的な課題である、外国人労働者に関わる取組みをテーマとして、当社の協力会社組織である「熊栄協力会」との意見交換会を実施。

 自社従業員に対しては、社内啓発活動としてe-ラーニングの実施や、社内研修で人権に関する取組みを扱うなどの教育を行うほか、社内イントラネットや、メールの配信等で啓発活動を年1回実施。

ⅲ 実効性の評価

 全国の協力企業のうち、契約金額や頻度から優先順位の高い300社へアンケート調査を実施。一部企業へは訪問ヒアリングを通して意見交換を行った。現状直ちに是正が必要となる結果は無かったが、リスクの軽減を目標として引き続き取組みを進める。

ⅳ 救済へのアクセス

 当社は、全社員やすべてのステークホルダーがいつでも相談・通報ができる窓口を社内外に複数設置しており、内部通報者に対する不利益措置を禁止するとともに、匿名による通報を許容している。

 

(3)人権・サプライチェーンマネジメントにおけるリスク管理

 当社は、事業活動に伴うリスクの把握・低減及び機会の最大化に努めており、重要な事項については、個別案件毎にリスク・機会を抽出・評価のうえ、経営会議・取締役会にて意思決定を行っている。各事業部門においては、業務プロセスに内在するリスク・機会を抽出・評価のうえ、必要な対応策を検討し年度計画に反映している。この取組みの状況については四半期毎にモニタリングを実施し、経営会議体にて報告している。人権・サプライチェーンマネジメントのリスク・機会に関しては、「サステナビリティ推進委員会」における報告・議論を経て、経営会議・取締役会にて報告・審議している。

・リスクと機会

個別課題

リスク

機会

人権の尊重

・社会的信用の失墜

・企業価値の毀損

・不買行動の発生

・既存顧客との関係強化

・採用力や人財定着率の向上

サプライチェーンマネジメントの強化

・調達先の違法行為

・低価格化競争の発生による産業全体の構造的な疲弊

・調達コストの増加

・適正な市場の形成

・調達コストの最適化

・サプライチェーンの活性化

 

(4)人権・サプライチェーンマネジメントにおける指標と目標

 ESG取組方針の重要課題(マテリアリティ)に対する個別課題においては、中期経営計画と整合した3年間の指標と目標(KPI)を設定している。人権とサプライチェーンマネジメントに関するKPIは以下のとおりである。

 

個別課題

事業における取組み・具体的行動

指標と目標(KPI)

人権の尊重

人権リスクの防止・軽減に向けた取組み

人権デューデリジェンスの実施

:対象企業の拡大

サプライチェーンマネジメントの強化

「熊谷組調達方針」「熊谷組調達方針ガイドライン」の遵守

不正な取引の件数:0件

 

<その他取組み>

●ステークホルダーとの関係強化

 当社は、ステークホルダーとの対話を通じ、より良好な関係を築くため、2025年3月に「マルチステークホルダー方針」を改定した。企業経営において、株主にとどまらず、社員、パートナー企業・取引先、お客様、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要であると認識している。

 

 

 

1 お客様との関わり

 当社は、1998年にCS推進室(現サステナビリティ推進部CS推進グループ)を、翌年全支店に「お客さま相談室」を設置した。“しあわせ品質”をお届けできるように組織連携を図り、お客様からの評価の向上に努めている。当社のCS(Customer Satisfaction)機能は、本社では経営戦略本部に置かれており、お客様の声が直接経営に反映されるよう組織設計をしている。また、2008年より、本社・支店CS部門の社員全員を対象とした研修を毎年実施し、プロフェッショナルな人財育成に努めている。

 社員に熊谷組のCS意識を浸透させ、「全員参加のCS」を実現するために、CSの取組みに対する社内表彰や講演会などを実施している。ここ数年では、顧客ロイヤルティの獲得のため、CX(Customer Experience)意識の社内浸透にも取り組んでいる。

 

2 従業員との関わり

 当社は、社員同士の親睦と福祉の増進及び会社と社員の意思の疎通を図り、会社の発展に寄与することを目的として、職員会を設置している。全社員から会社への要望事項を募り、職員会の支部代表者と社長が意見を交わす場を設ける等の活動を行っている。その成果として、社員からの要望が多かった福利厚生の項目に関する規程の改正につながった。

 2024年度より、社内コミュニケーションの活性化やエンゲージメント向上を目的に、職員会主催のeスポーツ大会を開催している。2025年度は台湾やインド等を含む国内外の全拠点から社員とその家族ら800名以上がオンラインゲームを通じて親睦を深めた。開催後の意見交換会ではアンケート結果を参考に今後の取組みや方向性について議論が交わされた。

 

3 株主・投資家との関わり

 当社は、株主・投資家との建設的な対話に関する方針を含む「ディスクロージャー・ポリシー」(2024年3月制定)に基づき、経営及び事業活動等に関する情報を適時、適切かつ公平に開示するとともに、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーとの建設的な対話に努めている。また、フェア・ディスクロージャーの観点から、決算情報及び適時開示情報の英文同時開示を実施している。

 2025年度は、オンラインツールを活用した国内外の株主・投資家との個別ミーティングやスモールミーティング、決算説明会や現場見学会の開催、投資家カンファレンスへの参加等、様々な手段で対話を行い、その実施状況等についてコーポレート・ガバナンス報告書や統合報告書、ウェブサイト及び決算説明会資料で開示した。また、IR専任部署を経営企画部内に移管し、経営陣や経営企画部門との連携を高めるなど、株主・投資家との建設的な対話を促進するための体制を強化した。

 昨今、ESG投資への関心がますます高まる中、財務情報はもとより非財務情報開示の充実に努めるとともに、ESG取組方針の個別課題の一つに「投資家との積極的対話」を掲げ、業績動向、経営戦略、株主還元等のほか、環境・社会課題やガバナンスへの取組み等について積極的に意見交換を行っている。対話を通じて把握した株主・投資家の意見や要望等については、主旨や傾向等を分析し取締役会で議論するなど経営へフィードバックすることにより、株主還元、資本政策、投資戦略等の参考とし企業価値向上に活かしている。

 

4 パートナー企業・取引先との関わり

 当社は、健全な事業活動を推進するために「熊谷組調達方針」及び「熊谷組調達方針ガイドライン」を策定している。調達活動におけるガバナンスやコンプライアンスの向上を目指し、パートナー企業、取引先とともにバリュー・チェーン全体の付加価値向上に取り組んでいる。

 「熊栄協力会」は当社の協力会社884社を中心に組織されている。「熊谷組と熊栄協力会会員相互が良きパートナーとして連携協力しながら、QCDSE全般にわたり活動し、良好な職場環境づくりを推進する」という方針のもと活動を進めている。

 熊栄協力会は、次世代の育成を目的に各支部で「青年部会」の設置を進め、2024年度には全支店への設置をした。現在は112名体制で活動を展開している。当社は、各支部の青年部会の交流を積極的に支援し、互いの知見や技術を吸収し合う研鑽の場を提供している。また、当社若手職員とのネットワーク構築を推進することで、ともに未来の建設現場を支える強固な信頼関係の構築と、魅力ある職場環境づくりを目指している。

 技能者のキャリア形成を支援し、働きがいのある現場を実現するため、「建設キャリアアップシステム」(CCUS)の積極的な活用を推奨している。パートナー企業各社が本システムを導入することは、「人財を大切にする」という姿勢を内外に示す強力なメッセージとなり、優れた技能者の確保・育成に直結すると認識している。当社は、パートナーとの強固な信頼関係のもと、次世代の建設業を支える共存共栄の仕組みづくりに努めている。

 当社は、担い手確保の一環として、外国人技能者が安心して長く働くことのできる職場環境づくりを進めている。その具体化に向けて「外国人技能者の環境づくりワーキンググループ」を設置し、熊栄協力会と連携しながら以下4つのテーマを中心に活動している。

・外国人技能者の労働災害低減に向けた取組み

・作業所における外国人技能者の受け入れ環境の整備

・外国人技能者のキャリア形成の支援

・外国人技能者の採用の促進

 2025年度は、当社の作業所を対象に外国人技能者の就労状況に関する調査を実施し、受け入れ状況や課題の把握をした。また、当社の役職員と協力会社を対象として、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)による講演を実施するなど、外国人技能者への理解促進に努めている。

 今後も、外国人技能者が安全かつ安心して働くことのできる環境づくりを推進するとともに、多様な人材が活躍できる持続可能な施工体制の構築を目指していく。

 

5 地域社会との関わり

 当社の社会貢献活動のプラットフォーム「熊谷組スマイルプロジェクト」は、マッチングギフトの仕組みを応用している。社会貢献活動に参加した社員数を集計し、年度毎の累計人数に応じた社会貢献費を会社が拠出するものである。2025年度は全国149件の活動で延べ2,621名の社員が参加し、社会貢献費として3,506万円を拠出した。拠出金は、当社の国際社会貢献活動であるKUMAGAI STAR PROJECT、自然災害発生時の義援金、社会課題に取り組む以下の団体への支援などに充当している。

・公益財団法人 日本対がん協会      ・認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

・NPO法人 子育てひろば全国連絡協議会 ・一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟

・公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン