人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,709名(単体) 4,536名(連結)
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平均年齢44.0歳(単体)
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平均勤続年数18.7年(単体)
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平均年収8,493,850円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
土木事業 |
919 |
建築事業 |
1,296 |
子会社 |
1,827 |
全社(共通) |
494 |
合計 |
4,536 |
(注) 従業員数は就業人員数である。
(2)提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
2,709 |
44.0 |
18.7 |
8,493,850 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
土木事業 |
919 |
建築事業 |
1,296 |
全社(共通) |
494 |
合計 |
2,709 |
(注) 1 従業員数は就業人員数である。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。
(3)労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はない。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 連結会社
当連結会計年度 |
||||
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注2) |
男性労働者の育児 休業取得率(%) (注3) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注2) |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うち非正規雇用労働者 |
||
6.0 |
88.1 |
71.3 |
70.4 |
53.5 |
(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としている。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。なお、華熊営造(股)は対象外としている。
② 提出会社
a 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率
当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
5.6 |
89.4 |
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。
b 労働者の男女の賃金の差異
|
当事業年度 |
||||||||||
女性 |
男性 |
全体 |
労働者の男女の賃金の差異(%) |
||||||||
雇用形態 |
社員区分 |
人数 (人) |
平均 年齢 (歳) |
年間平均 給与 (円) |
人数 (人) |
平均 年齢 (歳) |
年間平均 給与 (円) |
人数 (人) |
平均 年齢 (歳) |
年間平均 給与 (円) |
|
全労働者 |
422 |
36.2 |
5,699,607 |
2,247 |
45.6 |
9,018,884 |
2,669 (注4) |
44.0 |
8,493,850 |
63.2 |
|
正規雇用 |
総合職 |
174 |
30.0 |
6,437,042 |
1,775 |
41.4 |
9,369,191 |
1,949 |
40.3 |
9,107,658 |
68.7 |
エリア職 (注2) |
199 |
39.0 |
5,407,993 |
9 |
39.4 |
7,186,184 |
208 |
39.0 |
5,488,207 |
75.3 |
|
非正規雇用 |
契約社員、 シニア 社員等 (注3) |
49 |
47.8 |
4,274,613 |
463 |
62.0 |
7,713,595 |
512 |
60.6 |
7,383,569 |
55.4 |
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
2 住居の変更を伴う勤務地の変更がない者又は住居の変更を伴う勤務地の変更が支店管轄内に限定されている者。
3 契約社員は、1年以内の一定の期間を定めて雇い入れられた者であり、シニア社員は、会社を定年退職した者のうち、1年以内の一定期間を定めて雇い入れられた者。
4 年間の平均人数のため、「(2)提出会社の状況」の従業員数と異なっている。
5 労働者の男女の賃金の差異について、賃金制度上性別による差異はなく、階層・職位等が同等であれば男女間で賃金の差異は生じることはない。なお、差異の主な要因として、女性活躍推進の観点から女性の新卒採用強化に取り組み始めてから10年程経過しているものの、相対的に女性の勤続年数が短く、上位階層の女性の割合が低い水準にとどまっていることなどが挙げられる。
③ 連結子会社
当連結会計年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うち非正規雇用労働者 |
|||
㈱ガイアート |
0.9 |
85.7 |
55.5 |
56.6 |
50.9 |
ケーアンドイー㈱ |
5.6 |
100.0 |
81.3 |
65.6 |
58.1 |
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。
3 連結子会社のうち、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社は記載を省略している。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループは長期的な成長を実現し、かつ持続可能な社会の形成に貢献していくため、ESGの視点を経営に取り入れており、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求していくことをサステナビリティの基本方針としている。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ分野を含む経営上の重要事項を「経営会議」(議長:社長)にて審議している。また、経営会議を補佐する機関として「サステナビリティ推進委員会」(委員長:経営戦略本部長)を設置している。
「サステナビリティ推進委員会」は、事業本部長等により構成されており、ESG・SDGsの視点から、企業の長期的な成長・持続可能な社会形成に資する施策全般を検討する組織である。他の経営会議体と連携し、サステナビリティ分野を推進するための方針や制度の検討などを行っている。
取締役会では、上記プロセスについて報告を受け、取組状況の監督を行っている。
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(2)戦略
① 環境保全
当社グループは、限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会を目指して、「持続可能な社会」の実現のために「気候変動リスクへの対応」「ゼロエミッションの達成」「ネイチャーポジティブの実現」などを個別課題に挙げ、目標を定めて取り組んでいる。
当社は、2010年に建設業界で初めて、エコ・ファースト企業に認定された。
当社グループとして2021年2月にRE100に加盟し、事業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーとする取組みを進めており、温室効果ガス排出削減の中長期目標では、国際的な枠組みであるSBT認定を取得し、目標達成を目指している。
2023年1月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候関連のリスク及び機会の特定・評価と、事業活動に与える影響についてのシナリオ分析を行い、その結果を踏まえた情報を開示した。今後は、事業活動において重機や車両で使用する化石燃料をさらに削減し、再生可能エネルギーを積極的に導入するとともに、当社が提供する建物の大幅な省エネに寄与するZEBの普及促進、再エネ発電事業に取り組むなど、脱炭素化をさらに加速していく。
2024年度は、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」提言への賛同を表明した。TNFDv1.0を参照し、TNFDの枠組みであるLEAPアプローチを実施することで自然環境が事業活動に与えるリスク・機会を分析した。
さらに環境の取組みに注力するため、これまでの「安全衛生品質環境方針」を「環境方針」として改定し、活動指針を新たに掲げた。情報開示において国際的な環境非営利団体CDPより、気候変動部門において最高評価である「Aリスト」に選定され、同じく水セキュリティ部門でも「A-」評価を受けた。
なお、具体的な取組みとして、「カーボンニュートラル対策ワーキング」を立ち上げ、カーボンニュートラルの達成に向けた施策の検討を行い、ロードマップを策定した。
サーキュラーエコノミー分野では、「3Rの推進」「プラスチックごみの分別徹底」「グリーン購入の推進」に取り組んだ。
結果として、2024年度に重大な環境事故は発生していない。
1 気候変動リスクへの対応
気候変動に伴う「リスク」には、GHG排出に関する規制の強化等の「移行」に起因するものと、自然災害の頻発・激甚化等の「物理的」な変化に起因するものが考えられる。一方で気候変動に伴う「機会」として、新たな市場における需要の増加等が考えられる。当社では短期(概ね3年以内)・中期(概ね3年超~10年以内)・長期(概ね10年超)の3つの時間軸から気候変動関連の「リスク」(「移行」と「物理的」に分類)と「機会」を特定した。
2 生物多様性への対応
国内土木事業、国内建築事業のうち直接操業5拠点を対象にLEAPアプローチによる調査、分析を実施した。自然関連課題がある地域を特定するために、日本国内において地域に偏りがなく、かつ周辺の自然環境が異なると考えられる拠点を選定した。
Locate
LocateのフェーズではIBATとAqueductを使用し、各拠点周辺の自然との接点や水ストレスを把握した。
Evaluate
ENCOREを使用し、国内土木事業・国外建築事業のバリューチェーンのプロセスにおける自然への依存とインパクトを把握した。
その結果、依存度については、建築事業での川上における木材採取のプロセスで高く、インパクト(影響)については、土木事業、建築事業ともに直接操業における施工プロセスで大きいことが確認された。(2024年5月実施)
② 人的資本
a 基本的な考え方
当社グループは、人財を「資本」と捉え、その能力を最大限に引き出すことが中長期的な企業価値の向上につながるという考え方に基づき、持続的な成長の源泉であり、事業活動の核となる人財への投資を拡充し、量と質の両面で人財価値の最大化を図り、企業価値の向上に寄与するための人財基盤を構築する。
b 人財戦略
「熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)」において、60億円規模の人財投資を計画している。持続可能な人員体制を構築するための採用活動、次世代を見据えた社員のスキルアップやキャリアパスの充実を支援するための人財育成、社員のモチベーションアップのための報酬水準の向上、社員が安心して働くことができる職場環境の整備などに注力し、これらの取組みを通じて、社員の意欲や誇り、自信を高め、従業員エンゲージメントの向上、組織力の向上、そして人財価値の最大化を図る。
c 人財採用について
組織の活性化を図り、世代間の人員構成のバランスを整えるとともに、社員の高齢化による離職リスクに備えるため、ダイバーシティを意識した採用活動を行っている。
事業環境の変化や業績の見通しに基づいて、5年後・10年後の人員数・職種構成・年齢分布を考慮した採用計画を策定し、技術力及び競争力の維持・向上を図っている。
新卒採用においては、入社後のミスマッチを防ぐため、インターンシップ等の就業体験や現場見学会をはじめ、社員との面談や若手社員との座談会等を積極的に行い、将来を担う人財の獲得に注力している。
また、キャリア採用においては、事業戦略に基づき、注力すべき分野に必要な専門スキルを備えている即戦力人財の確保に努めている。なお、一度退職した元社員を、本人の希望により再雇用する「ジョブリターン制度」を設けている。
d 人財育成について
社員が自らの業務に必要な知識を蓄え、技術を磨き、事業環境の変化に柔軟に対応できる能力を身につけることは、キャリア形成において不可欠である。育成指針となる人財育成計画のもと、「自らを高め、未来をつくり、人を支える」、そのような人財に成長することを目指して様々な取組みを実施している。
当社の人財育成は、自ら目標を定め、計画をたて、強い意志で自己の能力開発に努める自己啓発を前提とするものとし、社員自らの能力開発に対し、その効果を高め会社の目標と連動させるべく、会社が行う人財育成の基本方策を次の4つと定めている。
ⅰ ジョブローテーション
複数の職場や異なった職務を経験することで、幅広い知識と考え方を修得させることを目的にジョブローテーションを行っている。社員のキャリアと将来的に希望する職務や、社員一人ひとりの適性を踏まえて、計画的、段階的な異動により、キャリアパスを形成している。
ⅱ OJT
日常の業務を通して、上司及び先輩が、部下及び後輩に対し、職務遂行に必要な知識、技能、態度等を意識的、計画的、体系的、継続的に指導・育成していく。「目標設定」「達成度確認」の面談を実施するとともに、求める人財像に即したスキルの習得状況チェックを行っている。
ⅲ 集合研修
OJTの補完と専門知識の修得、自己啓発の意欲を向上させることを目的として、教育訓練や研修を計画的に行っている。社員が修得すべきスキルのガイドラインを定め、専門知識を高めるための各分野別研修と階層別研修を年次毎に実施している。目的に合わせて集合研修とオンライン研修を使い分け、高い受講率を維持しながら効果的な研修を実施している。社員が研修を受講する際には、本人への案内とは別に、あらかじめ所属の本部長・支店長及び上司に通知し、研修に参加しやすい雰囲気づくりに取り組んでいる。
ⅳ 自己啓発支援
技術士、一級建築士などの公的資格の取得を奨励し、受験者を対象に補講や模試を実施し、社員のスキルアップにつながる自己啓発を支援、促進している。
なお、社員は上司と期首に目標設定面談、中間期に進捗確認面談、期末に自己評価確認面談、さらに評価結果についてのフィードバック面談を実施する。また、将来の職場配置や能力開発の希望は「キャリアプラン申告」として、社内の申請システムからいつでも上司を通さず、人事部へ提出することが可能な仕組みがある。
e ダイバーシティ企業として
当社は、性別、年齢、国籍、性自認・性的指向(LGBTQ等)、障がいの有無等にかかわらず、全ての人が活き活きと働くことができる職場環境の実現に取組み、ダイバーシティ、働き方改革の推進による業績の向上を目指している。
当社は、管理本部長を委員長として各本部長で構成する「ダイバーシティ推進委員会」を設置し、本部・支店・グループ会社よりダイバーシティ推進担当者を選任して、推進体制を構築している。また、各部門の代表者により制度・施策を検討する「働き方改革ワーキング」を設置し、全社横断型でダイバーシティ及び働き方改革を推進している。
当社は、女性活躍推進法に基づく第四次行動計画(2023年1月~ 2026年3月)を策定した。定量的な目標として①新卒採用者に占める女性割合を25%以上、②新任女性管理職比率を新任管理職の7%以上、③子の出生に伴う男性の休暇取得率70%以上の3点を掲げている。
ダイバーシティ推進後、10年間で女性管理職数は11名から85名と7.7倍、女性技術者も63名から161名と2.6倍になった。男性の両立支援制度の利用も増加している。長時間労働は改善され、月平均時間外労働は、社員一人当たり33.3時間減少する成果を上げた。
障がい者雇用に関して、障害者基本法で定める「障害者週間」(毎年12月3日~12月9日)の期間を拡大し、2021年度から毎年12月を当社の「障がい者月間」として制定した。「障がい者月間」では、障がい者への理解を深めようというテーマでeラーニングを実施している。また、特別支援学校生徒のインターンシップ受入れの実施、本社ビルのバリアフリー化を進め、社員通用口に自動ドアやスロープを設置し、エレベーターやトイレの改修を行った。2024年度は、各本部に1名ずつ障がいを持つ社員を採用し、業務に慣れるまで専門支援機関の相談者との定期的な面談を行うなど、定着に向けたフォロー体制に力を入れた。
2024年4月に同性パートナーや事実婚の社員も社内制度を利用できるよう「ファミリーシップ制度」を導入した。「同性パートナー」及び「事実婚のパートナー」(以下、パートナー)に配偶者(法律上の婚姻関係にあるもの)と同等の福利厚生や規程を適用し、会社が認めたパートナーの子を社内制度上「家族」として認めている。また、LGBTQ等に関するガイドラインを策定し、LGBTQ等に関する基礎知識をはじめ、SOGIハラスメントやアウティング防止から相談対応等まで分かりやすくまとめ、社員に周知している。
定年再雇用については、定年退職後65歳までの継続雇用制度を運用し、働く意欲のある定年退職者の雇用維持に努めている。2025年4月現在、在籍する定年再雇用者は295名で、豊富な経験や知識、卓越した技術を活かして活躍している。
f 働き方改革の推進について
当社は、これまで働き方改革として、テレワーク・時差出勤・フレックスタイムなどの制度を導入、業務プロセスの見直し・DXの推進など生産性の向上や業務の効率化に関わる施策、また意識改革に努めてきた。2024年より建設業に時間外労働の上限規制が適用されることを受けて、当社においては、長時間労働の要因は個人だけでは対応できない事由も多いことから、会社及び組織(チーム)として取組みを強化することを盛り込んだ、「働き方改革アクションプラン2024」を制定した。
アクションプランには、土木・建築事業部門及び内勤部門の組織の取組方針を加え、さらにチーム力を高めるために各本部長・各支店長や各作業所長・各部署長の取組方針を掲げ全社員で取り組んできたが、一部の部署や社員に対して業務が集中する傾向が見られたことから、「働き方改革アクションプラン2025」では業務が集中する可能性がある場合には組織的に支援する旨を追記している。今後もさらなる時間外労働の削減と社員のワークライフバランス向上に向けて、働き方改革に取り組む。
〈働き方改革アクションプラン2025(抜粋)〉 |
取組みプロセス |
社長方針→全社および事業部門の取組方針→部門(各本部・支店/部署・作業所)の取組方針→個人の行動計画 |
<全社および事業部門の取組方針> |
・業務量が集中する社員に対する組織的な支援とモニタリングを実施する |
・工期がひっ迫する可能性がある現場に対し組織的な支援を実施する |
・営業段階から週休2日の工程と工事規模に合わせた人員配置を計画し、4週8閉所相当の受注を徹底する |
・内勤部門にて現場支援部署(担当者)を配置し、作業所業務の一部を支援部署で担うことにより業務の平準化を実施する |
・全社的なICTツールの利用推進と活用支援を強化する |
<個人の行動計画> |
・週休2日・計画的な休日の取得を徹底する |
・目標設定において、各部署で上限規制の遵守につながる業務改善・工夫等を設定する |
・全員が自身の労働時間を確実に把握する |
・上司は部下個人とともに部署・作業所単位での労働時間の状況についても把握する |
g 従業員エンゲージメントについて
当社は、社員の会社への愛着や仕事への情熱の度合いを測るため、2023年度よりエンゲージメント調査を開始した。2024年度においては回答率が100%となり、全社員の思いを可視化することができた。調査結果を様々な切り口で分析し、全社的に取り組む施策の立案に活かすとともに、各部門においても効果的な施策を検討し、課題の解決を継続的に行っていくことで、社員の貢献意欲を高め、組織力の向上につなげる。
<エンゲージメント向上にむけた主な取組み> |
・中期経営計画に関する意見交換会の開催 |
・処遇改善に関する施策の実施 |
・管理職と若手社員による定期的なディスカッションの実施 |
・部署間・世代間のコミュニケーションの活性化に寄与する親睦イベントの実施 |
・ジョブローテーションによる業務の標準化・ナレッジの共有 |
・QCDSEパトロールを利用した現場社員との面談の実施 |
・外部講師によるエンゲージメント向上に関する講習会の開催 |
h 健康経営について
当社は、社員の健康を何よりの経営資源と捉え、本社人事部内に健康推進室を設置し、全支店の産業医並びに健康推進担当者と連携して、社員の健康を全面的にサポートする体制を整えている。また、社員健康推進計画を年度毎に策定し、PDCAサイクルによるスパイラルアップを図った健康推進活動を行っている。当社は優良な健康経営を実践している法人として、経済産業省が創設した「健康経営優良法人」の認定を9年連続で取得している。
・ハイリスク者への取組み
社員の健康診断結果は全て産業医による入念なチェックが行われ、フォローが必要な社員には受診や面談の勧奨、継続的なサポートを行っている。また、長時間労働による脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調を防止するため、対象者への疲労蓄積度チェックと希望者への産業医面談を毎月欠かさず行っている。その他にも特殊な労働環境下にある職場に対しては、産業保健専門職による訪問や面談など、特別なフォローアップを実施している。
・メンタルヘルスに関する取組み
ストレスチェック、社員研修(セルフケア&ラインケア)、職場復帰支援など、一次予防から三次予防まで幅広い活動を行っている。
休職においては、会社(産業医)と主治医が緊密に連携し、認識のずれを解消することで円滑な復職を支援する体制を構築している。その一環として「休業と復職に関するハンドブック」を当該社員に配付し、必要な手続きや給与等を明確に伝えている。休職中の社員へは月一度、会社(人事・上司・産業医)が連絡を取り、復職基準や期間、給与に関する情報提供と状況確認を行っている。復職に際しては、本人からの意思表示と主治医による当社指定の診断書提出を必須とし、事前に復職制度を主治医へ共有することで、復職基準への理解を促している。
さらに、経済的な不安を軽減するGLTD(団体長期障害所得補償保険)制度を導入。これにより、休職期間中の所得を補償し、社員の経済的な安定に貢献している。
③ 人権の尊重
当社グループは、全ての役職員がお互いの多様性を認め合い、事業に関わる全ての人の人権を尊重している。
当社が行動の原点としている「熊谷組行動指針(1998年4月)」を踏まえて、2023年1月に熊谷組グループ人権方針(以下、本方針)を策定した。当社グループの全ての役職員の人権を考慮するほか、ビジネスパートナー、サプライヤー及びその他の関係者に対して本方針の支持を求め、人権を尊重し、侵害しないように求めている。
熊谷組グループ人権方針(抜粋)
1.適用範囲
熊谷組グループ(熊谷組と連結子会社7社(国内6社、海外1社))を対象とし、すべての役職員に適用されます。また熊谷組グループのビジネスパートナー、サプライヤーおよびその他の関係者に対して本方針の支持を求め、人権を尊重し、侵害しないように求めます。
2.規範や法令の尊重・遵守
世界のすべての人々が享受すべき基本的人権について規定した人権に関する国際規範を支持、尊重します。また事業を行う国や地域で適用される法令を遵守し、各国や地域の法令が国際的な規範と異なる場合は、より高い基準を優先します。
3.企業活動全体を通じた人権の尊重
事業活動を通じて起こりえる人権への負の影響を防止し、人権尊重の責任を果たしていきます。
4.人権デューデリジェンスの実施
人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施します。
5.救済、是正
人権に対する負の影響を引き起こした場合は、その是正・救済に取り組みます。
6.教育、研修
すべての役職員が本方針について十分な理解を得られるよう適切な教育、研修を実施します。
7.対話、協議
事業活動が人権に及ぼす影響について関連するステークホルダーとの対話と協議を継続して行います。
8.情報開示
人権尊重の取組について、定期的な開示を行います。
<人権デューデリジェンス>
当社では、熊谷組グループの事業領域を対象として、「ビジネスと人権に関する指導原則」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」などを参考に、人権課題を認識、整理した。潜在的な人権リスクが高い事業領域を特定し、整理した人権課題を、自社及びサプライチェーンにおける発生可能性と深刻度の指標によって評価・マッピングした。自社における人権リスクは、ESG取組方針において重要課題(マテリアリティ)及び個別課題を特定した上で、様々な取組みを進めている。サプライチェーンについては、当社事業において特にリスクの高い人権課題を優先的に取り組むべき重点課題として特定した。
重点課題
・過剰・不当な労働時間 ・賃金の不足・未払、生活資金
・パワーハラスメント ・外国人労働者の権利
救済へのアクセス
当社は、全社員を含む全てのステークホルダーがいつでも相談・通報ができる窓口を社内外に複数設置している。また、内部通報者に対する不利益な取扱いを禁止するとともに、匿名による通報を許容している。
<社内への教育>
当社グループでは全社員に向けてハラスメント防止に関するeラーニングを実施している。①パワーハラスメント、②セクシュアルハラスメント、③妊娠・出産・育児休業・介護休業に関するハラスメント、④ハラスメントの対処方法、⑤確認テストという内容で、グループ全体で90%の社員が受講している。また、2024年度は「パワーハラスメント防止研修」を当社の管理職層を対象に計15回開催している。ハラスメントの防止を必須の項目と位置付けており、人権週間におけるメールマガジンの配信など、社内教育を行っている。
④ ステークホルダーとの関係強化
当社は、ステークホルダーとより良好な関係を築くため、2025年3月に「マルチステークホルダー方針」を改定した。企業経営において、株主にとどまらず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要になっていると認識している。
a お客様との関わり
当社は、1998年にCS推進室(現サステナビリティ推進部CS推進グループ)を、翌年全支店に「お客さま相談室」を設置した。“しあわせ品質”をお届けできるように組織連携を図り、お客様からの評価の向上に努めている。当社のCS(Customer Satisfaction)機能は、本社では経営戦略本部に置かれており、お客様の声が直接経営に反映されるよう組織設計をしている。また、本社・支店CS部門の社員全員を対象とした研修を2008年より毎年実施し、プロフェッショナルな人財育成に努めている。
社員に熊谷組のCS意識を浸透させ、「全員参加のCS」を実現するために、CSの取組みに対する社内表彰や講演会などを実施している。ここ数年では、顧客ロイヤルティの獲得のため、CX(Customer Experience)意識の社内浸透に取り組んでいる。
b 従業員との関わり
当社では、社員同士の親睦と福祉の増進及び会社と社員の意思の疎通を図り、会社の発展に寄与することを目的として、職員会を設置している。全社員から会社への要望事項を募り、職員会の支部代表者と社長が意見を交わす場を設ける等の活動を行っている。その成果として、社員からの要望が多かった福利厚生の項目に関する規程の改正につながった。
2024年度の施策としては、社内コミュニケーションの活性化やエンゲージメント向上を目的に、職員会主催のeスポーツ大会を開催した。本社と全支店、自宅や寮等を中継し、社員とその家族ら約400名がオンラインゲームを通じて親睦を深めた。開催後の意見交換会では実施アンケートをもとに今後の取組みについての新規施策案や方向性を話し合った。
c 株主・投資家との関わり
当社は、株主・投資家との建設的な対話に関する方針を含む「ディスクロージャー・ポリシー」(2024年3月制定)に基づき、経営及び事業活動等に関する情報を適時、適切かつ公平に開示するとともに、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーとの建設的な対話に努めている。また、フェア・ディスクロージャーの観点から、決算情報及び適時開示情報の英文同時開示を実施している。2024年度は、オンラインツールを活用した国内外の株主・投資家との個別ミーティング・電話会議やスモールミーティング、決算説明会の開催や投資家カンファレンスへの参加など様々な手段で対話を実施した。また、株主・投資家との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みとして、IR専任部署を強化するなど社内リソースの適切配分を実施し、その実施状況等についてコーポレートサイト並びにコーポレート・ガバナンス報告書にて開示した。
ESG取組方針の個別課題のひとつに「投資家との積極的対話」を掲げ、業績動向、経営戦略、株主還元などのほか、環境・社会課題やガバナンスへの取組み等について積極的に意見交換を行っている。対話を通じて把握した株主・投資家の意見や要望等については、取締役会メンバーや関係部門にフィードバックすることにより、株主還元、資本政策、投資戦略などの参考とし、企業価値向上に活かしている。
今後も株主・投資家の皆様に当社グループの持続的成長の確度をご理解いただき、適正な株主価値が形成されるよう、引き続き積極的にIR活動を推進していく。
d パートナー企業・取引先との関わり
当社は、健全な事業活動を推進するために「調達方針」及び「調達方針ガイドライン」を策定している。調達活動におけるガバナンスやコンプライアンスの向上を目指し、パートナー企業、取引先とともにバリューチェーン全体の付加価値向上に取り組んでいる。
専門工事会社を中心とした施工協力業者で組織された「熊栄協力会」は当社の協力会社872社で構成されている。「熊谷組と熊栄協力会会員相互が良きパートナーとして連携協力しながら、SDGsを意識した
QCDSE全般にわたり活動し、良好な職場環境づくりを推進する」という方針のもと活動している。2024年度より全国で青年部会を発足し、次世代の育成にも注力している。また、現場の要である技能者の技能と経験に応じ適正な評価や処遇を受けられるように、「建設キャリアアップシステム」の導入を推進している。
当社及び協力会社の安全・品質の向上、業務・作業の効率化、低コスト化などを目的として、「業務改善・創意工夫提案制度」がある。業務の改善、創意工夫、アイデアの提案を当社社員、協力会社社員から広く募集し、2024年度は81件の応募があった。優秀な提案は表彰するとともに当社と協力会社共通のデータベースに登録し、各本部・支店、作業所で採用され、安全、品質、環境、生産性の向上に役立てている。
e 地域社会との関わり
当社の社会貢献活動のプラットフォーム「熊谷組スマイルプロジェクト」は、マッチングギフトの仕組みを応用している。社会貢献活動に参加した社員数を集計し、年度ごとの累計人数に応じた社会貢献費を会社が拠出するものである。2024年度は全国147件の活動で延べ2,312名の社員が参加し、2024年度の社会貢献費として2,797万円を拠出した。拠出金は、当社の国際社会貢献活動であるKUMAGAI STAR PROJECT、自然災害発生時の義援金、社会課題に取り組む団体への支援などに充当している。
また、2025年に起きたミャンマー地震による被災地を支援するため、NPO等を通じて寄付を行った。
当社は、以下の団体を支援している。
・公益財団法人 日本対がん協会 ・認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ
・NPO法人 子育てひろば全国連絡協議会 ・一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟
・公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
(3)リスク管理
当社は、事業活動に伴うリスクの把握・低減及び機会の最大化に努めており、重要な事項については、個別案件毎にリスク・機会を抽出・評価のうえ、経営会議・取締役会にて意思決定を行っている。各事業部門においては、業務プロセスに内在するリスク・機会を抽出・評価のうえ、必要な対応策を検討し年度計画に反映している。この取組みの状況については四半期毎にモニタリングを実施し、経営会議体にて報告している。気候変動を含む環境リスク・機会に関しては、「サステナビリティ推進委員会」における報告・議論を経て、経営会議・取締役会にて報告・審議している。
(4)指標及び目標
① 気候変動
当社は、「(2)戦略 ① 環境保全」において記載した、気候変動リスクへの対応について、温室効果ガスの削減目標(スコープ1・2・3)を設定している。2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、2030年に向けた具体的な削減目標を定めた。スコープ1、2は2020年比で42%、スコープ3で25%削減する予定である。
熊谷組単体の温室効果ガス削減目標
|
基準年2020年(2019年度実績) |
2023年度実績 |
2030年目標 |
2050年目標 |
スコープ1+2 |
7.43万t-CO2 |
6.42万t-CO2 |
2020年比 42%削減 |
カーボンニュートラル |
スコープ3 |
378.20万t-CO2 |
235.67万t-CO2 |
2020年比 25%削減 |
カーボンニュートラル |
※2024年度実績は現在算定中
2030年CO2排出削減目標達成に向けた優先実施施策
② 人的資本
当社は「(2)戦略 ② 人的資本」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いている。当該指標に関する目標及び実績は以下のとおりである。
事業における取組み・具体的行動 |
指標 |
3か年の目標 (2024年度~2026年度) |
2024年度の実績 |
新卒採用活動 |
新卒採用者数 |
各年度の検討 |
115人 |
従業員エンゲージメントの 向上 |
エンゲージメントレーティング (注)2 |
レーティング「BB」 |
B |
国家資格の取得支援 |
一級土木施工管理技士 保有率 |
90%以上(各年度) |
92.8% |
一級建築施工管理技士 保有率 |
1%以上/年UP |
(注)4 △0.3% |
|
一級建築士保有率 |
1%以上/年UP |
(注)5 △0.8% |
|
ICTの標準化による現場 管理の効率化 |
新規現場導入率 |
100%(各年度) |
98.7% |
仕事とプライベートの両立等 |
休日取得 |
4週8休(作業所)(各年度) |
83.5% |
業務の効率化・平準化への 取組み |
時間外労働時間数 |
30時間以下(各年度) |
16.4時間 |
女性活躍推進行動計画 |
新任管理職に占める女性の割合 |
7%以上 |
32.1% |
子の出生に伴う男性の 休暇取得率 |
70%以上 |
89.4% |
|
現場公開による担い手確保 |
現場・職場見学会の開催 |
100件以上(各年度) |
土木:105件 建築:227件 |
従業員の健康管理 |
二次健康診断受診率 |
100%(各年度) |
(注)3 - |
(注) 1 人的資本に関する「目標及び実績」は、当社グループ各社で会社規模や事業形態が異なるため、各社において実態に即した指標を設定している。そのため当該「指標及び目標」は単体の計数としている。
2 株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」
3 2024年度の実績は現在集計中のため記載していない。
4 2023年度の保有率は87.2%、2024年度の保有率は86.9%である。
5 2023年度の保有率は56.0%、2024年度の保有率は55.2%である。