人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数8,299名(単体) 18,814名(連結)
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平均年齢43.3歳(単体)
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平均勤続年数11.1年(単体)
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平均年収9,177,163円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に当事業年度の平均人員を外数で記載しています。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
<女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金格差>
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき、算出しています。
(女性管理職比率) 2025年4月1日現在
(注)・当社・大東建託パートナーズ㈱・大東建託リーシング㈱3社の同日時点の女性管理職比率は8.9%です。
・4月1日(事業年度開始日)を算出基準日としているのは、前期の各種取組みや定期昇格・降格が一番反映される日であるためです。
〔背景と対策〕
当社では、管理職へ登用できるような優秀な女性が育つのを待つのではなく、資質のある女性を見つけ出し、計画的に育成して引き上げるという「女性育成プログラム」を展開しています。「クオータ制」で3年後の女性管理職人数を設定し、執行責任者の責任で計画的に育成・登用をしています。クオータ制第1期(2021年4月~2024年3月)の3年間で、登用する側の意識に変化が表れ、さらに候補者自身も階層別の研修等の参加により、不安解消や自信・意欲向上につながり、2025年4月時点で女性管理職比率は過去最高を更新しました。※2024年4月より第2期開始
プログラムを進める中で出てきた課題解決のために、内容の一部をブラッシュアップし、候補者を部下に持つ上司に対してどのように育成・支援すればよいのかヒントを提供する「上司向け研修」や、昇進後の意識の変化や抱えている問題を吸い上げる「昇進後アフターフォロー」などを新たに追加し、さらに2025年4月からは「支店長候補者マンツーマンサポート」を加え、より候補者育成に必要な機会を提供していきます。
(男性の育児休業取得率) 2025年3月31日現在
(注)算出方法は「2024年度に育児休暇を取得した男性従業員数/2024年度に子が誕生した男性従業員数」として
います。
〔背景と対策〕
子が誕生した男性従業員に対し、上司との面談義務化や役員から祝福メッセージを送り、計画的に育児休業を取得できるような取り組みを実施してきたこともあり、2019年以降育児休業取得率100%を維持してきました。“休業を取得すること”は全社に十分浸透したこともあり、2024年度からは“長期で取得できる環境づくり”に励んでいます。
取得経験のある男性従業員に長期取得の阻害要因をヒアリングした結果、休業を支える従業員の業務負担が増加することに対する気兼ねから休業を取得しづらいことが判明し、2025年度より育児介護を目的に連続1か月以上休業を取得する従業員がいるチームメンバーに対し手当を支給する「育児介護応援手当」や、休業取得に向けて業務調整の時間を確保することを目的に「配偶者の出産予定日の早期報告制度」を導入しました。
(男女間賃金格差) 2025年3月31日現在
〔背景と対策〕
当社の評価報酬制度は性別に関係なく、役割・貢献・成果に応じた平等な処遇体系となっていますが、正社員全体で65.2%の差が発生しています。最大の要因は収入の高い上級管理職を含めた管理職層で女性が少なく、その少ない女性管理職も経験年数が浅いこと、次いで、担当者における男女の労働時間に差があると考えています。
管理職登用においては、人的資本経営の重要施策として2030年4月1日までに女性管理職比率を10%にすることを目標に、女性育成プログラム(クオータ制や上級管理職登用に向けた個別フォロー)を実施しています。
また、労働時間の差においては、日本の社会構造による影響が大きいため、働き方改革(柔軟な勤務体系・残業時間削減・生産性向上など)及び男性の育児参画を引き続き推進し、より働きやすい平等な労働環境を目指すことで格差を縮めていきたいと考えています。
臨時従業員を含めた全従業員で見た場合、54.7%とさらに差が大きくなります。女性は正社員が少なく、全従業員のうち約23%が非正規社員であることから、雇用形態や役職の構成比の差が男女別の賃金に大きく影響していると考えられます。今後も非正規社員から正社員への登用も含め、女性社員の採用も増やしていきたいと考えています。
(注) 1.男女人数は男性正社員を100%とした場合の女性正社員の比率で記載しています。
2.男女人数は期中退職者も含む賃金を支払った人数で記載しています。
(3) 労働組合の状況
該当事項はありません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) サステナビリティ全般に関する取り組み
[大東建託グループのサステナビリティ経営について]
当社グループは、創業50年を迎えた2023年に、社会の持続可能性の一翼を担う価値を提供し続けるために、グループパーパス「託すをつなぎ、未来をひらく。」を策定しました。このパーパスに基づき、2030年のありたい姿「DAITO Group VISION 2030(以下ビジョン)」と、その実現に向けた「中期経営計画(2024-2026)」を打ち出しています。また、取り組むべき重要課題として「7つのマテリアリティ」を設定しています。
パーパスの具現化に向けたビジョンの実現、中計経営計画の達成を目指す当社グループの事業は、サステナビリティ経営そのものです。事業活動を通じて社会の課題を解決し、人々が暮らしやすいまちづくりと、まちの活性化を目指すことこそ、当社グループのサステナビリティの考え方となります。
① サステナビリティ基本方針
当社グループのサステナビリティ基本方針は、「大東建託グループは、豊かな暮らしを支える企業として、社会の変化を成長の機会と捉え、ステークホルダーのみなさまと共に、事業活動の発展と持続可能な社会の実現を目指します。」です。この方針は、当社グループの価値創造ストーリーでもあり、ビジョンの実現とパーパスの体現により、事業を通じた持続可能な社会の実現を目指します。
⇒サステナビリティに関する取り組みは、下記WEBサイトおよび統合報告書をご覧ください。
サステナビリティサイト:https://www.kentaku.co.jp/corporate/csr/
統合報告書:https://www.kentaku.co.jp/corporate/ir/report.html
② サステナビリティ推進体制(サステナビリティ・ガバナンス)
当社グループのサステナビリティ経営を推進する体制は、サステナビリティ経営方針の決定と監督を担う「取締役会」と、事業を通じたマテリアリティ対応を推進する「サステナビリティ推進会議」、そして、これらの経営と執行の橋渡しを行う「サステナビリティ推進課」の3組織により構成されています。「サステナビリティ推進会議」は代表取締役社長執行役員CEOを議長、マテリアリティの推進責任者である取締役上席執行役員をメンバー、監査等委員会委員長をオブザーバーとして構成し、サステナビリティに関する施策の協議・決議を行っています。同会議での決議事項は、「取締役会」へ定期的に報告を行い、適宜指示を受け推進しています。
③ サステナビリティ推進に向けた取り組み(戦略)
当社グループのサステナビリティ経営は、事業活動を通じたマテリアリティ(重要課題)の解決により、持続可能な社会の実現と、企業成長の両立を目指しています。
当社グループのマテリアリティは、執行役員および経営企画・事業戦略部門の責任者を中心とした次世代を担うメンバーによるプロジェクトチームによって、2021年に特定を進めました。当社グループを取り巻く、社内外の現状および社会変化等を踏まえ「あるべき姿」を抽出し、現状と理想のギャップ分析を実施し、マテリアリティ要素を洗い出しました。その上で、キャッシュ・フローおよび環境・社会へのインパクト評価を実施し、最終的に「7つのマテリアリティ」として特定しています。
④ サステナビリティに関するリスク管理体制(リスク管理)
当社グループでは、経営戦略に関するリスクを取締役会で、オペレーションリスクを取締役会の諮問機関であるリスクマネジメント委員会にて管理しています。
環境、社会、人材・組織、ガバナンスは、経営マテリアリティに掲げ、サステナビリティ推進会議にて、各KPIの進捗管理、リスクの抽出、課題の設定、対策実施のサイクルを議論し、定期的に取締役会へ報告しています。また、事業マテリアリティのKPIについても同様に管理しています。
他方、オペレーションリスクは、当社が事業を通じた社会への価値を提供することを阻害するものと捉え、リスクマネジメント委員会で管理しています。同委員会で、当社グループ事業に影響を与える「あらゆるオペレーションリスク項目」を各事業部門にて洗い出し、集約し、短・中・長期における発生可能性と当社事業への影響度等を踏まえスコアリングを行い、「重要リスク項目リスト」を作成しています。その項目の中から、特に重大な財務上または戦略的な影響を及ぼす項目を「重点管理リスク項目」と定め、定期的に取締役会へ報告し、モニタリングを実施しています。
⑤ マテリアリティのKPIと長期目標(指標と目標)
「7つのマテリアリティ」に対し、KPIおよび長期目標を設定し進捗を管理しています。中期経営計画(2024-2026)の非財務KPI・目標は、マテリアリティKPIより抽出しており、事業活動を通じたサステナビリティ経営に取り組んでいきます。
(2) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応
① 基本方針
当社グループは、気候変動を中心とした環境への取り組みを、企業価値を高めるための取り組みとして捉え、2020年に環境経営戦略「DAITO 環境ビジョン2050『環境トップランナーとして、事業活動を通して持続可能な社会の実現に貢献する』」を策定し、「建築」「暮らし」「ごみ」「企業」「自然」「人」の6つの領域における環境配慮の取り組みの方向性を示しました。さらに、当社グループのマテリアリティ(重要課題)に、「事業活動による環境課題への対応」を掲げ、気候変動課題の重要な指標である「温室効果ガス排出量削減率」をKGIに設定しています。さらに、中期経営計画2024-2026の非財務指標にも設定し、事業活動を通じて、気候変動リスクへの対応を積極的に取り組んでいきます。なお、昨今の社会情勢と環境課題の変化を踏まえ、環境ビジョンを2025年度中に見直す予定です。
また、当社は、2019年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、これまで、気候変動が事業に与える「リスク」と「機会」の把握に努めるとともに、統合報告書やサステナビリティブックなどにおいて透明性の高い情報開示を行っています。
⇒気候変動に関する主な取り組みは、統合報告書およびサステナビリティブックをご覧ください。
統合報告書:https://www.kentaku.co.jp/corporate/ir/report.html
サステナビリティブック:https://www.kentaku.co.jp/corporate/ir/esg/sustainability_report.html
② 気候変動対応に関する推進体制(ガバナンス)
当社グループでは、(1) サステナビリティ全般に関する取り組みでも記載のとおり、特に重点的に取り組むべき課題であるマテリアリティの推進に向け、代表取締役社長執行役員CEOを議長とする「サステナビリティ推進会議」を設置し、課題解決に向けた具体的な取り組みの協議、推進を行っています。その経過は定期的に取締役会へ報告を行い、方針や取り組みへの助言と進捗管理を行っています。サステナビリティ推進会議で協議した、気候変動、生物多様性、水リスク、汚染・廃棄物、サプライチェーンなどの環境に関する課題や取り組みは、グループ横断型の組織として設置している「環境経営プロジェクト委員会」に連携され、グループ会社も含めた環境経営体制の構築を強化しています。当委員会では、定期的な全体会議を通して、現状の把握と課題解決に向けた議論を行い、グループ全体の環境に関する気候変動への対応を中心とした取り組みを推進しています。
③ 事業リスク・機会の認識と事業戦略(戦略)
当社グループは、マテリアリティでもある「事業活動による気候危機の対応」を企業として重要な課題として認識しています。特に気候変動は当社グループの事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。今後、当社グループが長期的に存続・成長していくために、これらの「リスク」と「機会」を見極め、企業としての強み(経営資源・専門性など)を活かしながら経営戦略への反映が必要であると考えています。
<事業リスク・機会の認識>
a.気候変動におけるリスクと機会
気候変動におけるリスクと機会を評価するため、気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ、2℃未満シナリオ、4℃シナリオ)に基づき、短期・中期・長期の事業への影響を評価・分析しています。なお、気候変動におけるリスク・機会の分析は、これまでの取り組みから抽出された新たな課題や、昨今の社会情勢、環境課題の変化を踏まえ、2025年度中の見直しを予定しています。
●移行リスク
●物理的リスク
●機会
b.財務的影響の分析・算定
気候変動におけるリスクと機会を評価するため、財務的影響についても算定しています。
[前提要件]
・実施時期:2023年1月(1.5℃シナリオを新たに採用)
・対象期間:2023年~2050年(短期:2025年、中期:2030年、長期:2050年)
・対象範囲:大東建託グループにおける建築・不動産事業
・算定要件:気候変動シナリオ(STEPS、NZE、RCP等)に基づき分析項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定リスクは事象が発生した際の影響額で算定
●移行リスク
炭素税導入による営業活動、施工現場管理、物流などに対する課税や、材料コストの増加が想定されます。コスト増加に伴う販売価格高騰により、オーナー様の賃貸事業へのマインド低下につながり、売り上げ減少になることを政策・法規制リスクとして想定しています。また、電動車両(EV)の普及及び再生可能エネルギーへの移行に伴うコスト増加を技術リスクとして想定しています。
●物理的リスク
気温によって、突発的な風水害が多発し、太陽光パネルの破損等による修繕費の発生することを急性リスクとして認識しています。また、気温上昇により、工事現場の環境が悪化し、現場労働効率の低下や、事務所の空調費用の増加などを、慢性リスクと認識しています。
●機会
当社グループが、先行してZEH賃貸住宅を標準化し、LCCM賃貸住宅を開発・販売している現状は、将来に向けた準備と捉えることができ、市場シェア拡大などに有利となる機会になると認識しています。
④ 気候変動対応に関するリスク管理体制(リスク管理)
気候変動に関しては、TCFDに基づき気候リスク、機会のシナリオ分析を行った上、財務への影響を算出し、前述の通りまとめています。この中から、リスク発生の防止と、機会への転換を行い、実施状況をマテリアリティKPIの進捗確認と合わせてサステナビリティ推進会議で議論した上で、定期的に取締役会へ報告をしています。
また、昨今、気候変動に起因して増大する豪雨などの自然災害リスクに関しては、オペレーションリスクを管理するリスクマネジメント委員会でも評価・管理しています。大規模な自然災害により、お客様・従業員・管理建物・建築建物・事業所が被災し、復旧に多大な時間とコストを要することで、個々の事業継続に支障をきたすだけでなく、地域での持続的な生活を困難にする重大な事象と捉え、リスク発生への対策を行っていくことで、事業を通じて地域のレジリエンスに大きく貢献できることと捉え、リスクを管理しています。
⑤ 気候変動関連の中長期目標(指標と目標)
<温室効果ガス削減目標>
温室効果ガスの削減に向けて、2024年2月にSBT「ネットゼロ基準」として認定を取得した温室効果ガス削減目標を設定しています。
●温室効果ガス排出量(スコープ1+2・3)
― 2030年までに(2017年度比)55%削減
― 2050年までにネットゼロ
*2024年2月にSBT「ネットゼロ基準」として認定を取得
<再生可能エネルギー導入目標>
事業活動に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目指して「RE100」に加盟し、目標を設定しています。
●2040年までに、当社グループの事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーに
●賃貸住宅での太陽光発電設備拡大による再生可能エネルギー普及促進に貢献
<エネルギー効率目標>
エネルギー消費量の削減などを目指して「EP100」に加盟し、目標を設定しています。
●2030年までに当社グループのエネルギー効率を2倍(2017年度比)に
※エネルギー効率=売上高/エネルギー消費量
<内部炭素価格>
2025年4月より、当社グループ全体の新規事業や設備投資の対象を拡大し、内部炭素価格(ICP:インターナルカーボンプライシング)制度を本格導入しました。
●社内炭素価格:5,500円/t-CO2
対象事業:大東建託グループで行う脱炭素に向けた新規事業や設備投資
※Scope1(直接排出)およびScope2(間接排出)
<報酬制度>
取締役の報酬制度のうち業績連動報酬の係数には、財務指標に加え、複数の非財務指標を導入しています。気候変動に関連する指標としては、「CO2排出量の削減目標達成率」および「ZEH供給割合」を設定しています。
※詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等」に記載しています。
(3) 人的資本に関する開示
当社グループの中期経営計画の主要な柱として「人的資本経営の推進」を掲げております。パーパスの実現に向けて、「“グループ全社員の力”最大化=働きやすさ×働きがい」を具現化すべく、人的資本に関する多種多様な各種取組みを展開しております。
※組織再編にて2025年4月より「人的資本経営本部」を設置
(人事・DE&I・総務・情報システム・DX推進・広報・ブランド推進部門などより構成)
<全体体系図(経営戦略に連動した人事戦略の企画・実行)>
[人材育成の方針]
① 採用・定着
a.新卒採用・中途採用・専門職制度・シニア活躍支援
当社は新卒採用及び中途採用により事業に必要な人材を確保しており、優秀な人材の採用に向けて、市場環境に対応した採用手法の改善や訴求方法の見直し(インターンシッププログラムの多様化・リクルーター活動の強化・SNSを活用した採用ブランディング強化・新たな募集層や募集ルートの拡大など)を行っています。
さらに特定分野においては、市場価値の高い公的資格や高度な知識・技能を有した従業員を認定する「専門職制度」(エキスパート・スペシャリスト職)を導入しており、新技術や新製品の開発、新規事業の開拓、大規模プロジェクトの遂行といった事業優位性の向上に大きく寄与する領域で多数の専門職が活躍しています。
また、シニア層の活躍推進を目的として、定年制度の見直し・処遇改善を行っています。最長で70歳まで正社員と同等の処遇が継続する制度や働き方を選択できる制度(週休3日制、グループ会社への転籍など)の導入によりモチベーション高く、長く働き続けられる職場環境を構築しています。
(60歳以上社員の雇用継続率 2023年度93.3%→2024年度94.6%)
② キャリア・育成
a.当社の人材育成プログラム
2016年4月から8年間実施してきた人材育成プログラムを2024年4月に刷新しました。
当社は取り巻く環境変化に適応するべく中長期的なビジョンを掲げ、そこに到達する新たな経営戦略を打ち出しています。外部・内部の環境変化に適応して継続的に成長するためには、その戦略を実現できる人材の育成が重要と考えております。
例えば、人口減少や少子高齢化による労働力不足といった外部環境変化に対しては、採用等の外部調達だけでなく、既存社員が業務上の問題を解決して遂行するスキルを向上させながらモチベーション高くパフォーマンスを発揮することが今まで以上に必要となります。また事業領域拡張を目指した組織体制の構築といった内部環境変化に対しては、新規事業展開に必要なスキルを開発できる人材やボトムアップを実現できる自主自律の風土醸成が必要となります。
今回の人材育成プログラムの刷新は、このような人材を育成することを目的としています。
プログラム設計においては、まず当社が目指す方向を実現できる組織像より、組織を構成する従業員の要件(人材要件)を再定義のうえ、階層毎に求める役割、行動、能力(人材要件)を定め、求める能力・スキルを習得できる研修プログラムにしました。
特長としては、①「ヒューマンスキル」「問題解決スキル」「経営スキル」を3本柱として担当層からスキルが積み上がるカリキュラム、②いつでも、どこでも好きな時に学べて先端技術のリスキルもできるWEBオンデマンド学習コンテンツを希望者全員に提供する自律的学習の環境整備、③多様な価値観を持つメンバーのモチベーションをマネジメントできる人材を客観的指標で評価する管理職登用試験の導入、があります。一方、事業特性に応じた職種別のスキルの習得は、職種毎に教育機能を組織化した部門でカリキュラムを構築し、OJTを中心に展開をしています。
<人材育成プログラムにおける考え方>
<人材育成関連の指標>
人材育成プログラムにおける、リーダーの育成や社員の自主・自律的な学習への取組み、新しいスキルの獲得・リスキリングの状況などを検証しながら、施策の充実化を図っております。
b.建託士 試験制度
当社では、社業や建物賃貸事業に関する知識習得を目的として、オリジナルの社内資格として認定する「建託士」試験制度を導入しています。当社グループの「賃貸経営受託システム」を中心に、市場関連知識、商品知識、税務知識、専門用語など、土地の有効活用を提案する上で必要な幅広い知識習得を支援しています。
c.資格取得者数
通信教育や事業との関連性が高い資格(一級建築士・1級建築施工管理技士など)の取得に向けた各種支援を実施しています。また、資格取得者には一定要件のもと、資格技能手当を支給しています。
〔主な資格取得者数〕
(注)1.大東建託・大東建託パートナーズ・大東建託リーシングの合計数となります。
2.取得者数には資格試験合格者も含みます。
d.[挑戦風土の醸成]社内ベンチャー制度「HIRAKU」
当社グループでは、2020年4月より新規事業の創出によるグループ売上利益の拡大と、それに必要な社内起業家支援、それを支える当社グループ従業員が能動的に企画立案できる企業風土の創出を目指した、社内ベンチャー制度「ミライノベーター」を継続的に開催して参りました。2025年度より「HIRAKU」という名称にリニューアルし、人的資本経営の観点で従業員には自らのアイデアを提案できる場、そして自らの成長を会社の成長とともに実感できるチャレンジングな環境づくりを提供し続ける制度として更なる拡大を目指しています。本制度は、段階に応じたワークショップや個別相談会とインセンティブに加え、事業化に向けて社内外のメンターや執行役員クラスが提案者のサポートを行うことで、事業の蓋然性を高めるとともに、提案者の経営目線も養っていきます。当社の新規事業提案制度ではこれまで、過去6回の選考で、延べ1,174件の応募があり、そのうち最終審査を通過したアイデア21件※が事業化に向けて実証実験を行っております。
※2025年3月末時点の定時応募及び随時応募件数
e.DX人材の育成(当社グループ)
当社グループ全社員が自主・自律的に挑戦するDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しており、従業員が自らデジタル変革を立案・実践する企業文化の醸成を図っています。
現場主体のDXを推進するため、全社員のリスキリングに注力し、必要なナレッジ・スキル・マインドを備えたDX人材を引き続き育成するとともに、DX社内認定資格の当社グループ全従業員取得を目指しています。
また、2025年度より当社グループ内で生成AIを使ったコンテスト「DAITO DX Award」を開催し、自ら考えた業務変革アイデアの早期実現及び横展開により、当社グループのDX推進をさらに加速させていきます。
<DX社内資格認定者数>
f.サクセッションプラン
パーパスを実現するうえで経営者として明確なビジョンと必要な資質を持ち、既存事業の深化及び新規事業の創出などを牽引できる次世代経営者を計画的に発掘・育成するため、CEOサクセッションプランを展開しております。
・新CEO要件定義書、CEO育成マイルストン(長期)の策定
・次々期CEO候補者プールの構築(2年目)
・キャリア検討委員会の開催(評価、育成計画の策定、タフアサインメントの実施)
・経営幹部向けの外部アセスメントの実施・分析・個別フォローへの活用
③ 評価・報酬
a.評価・報酬制度
当社は経営基本方針に「高い生産性を背景とした高賃金主義に徹する(成果主義の人事処遇)」を掲げており、従来の成果主義を導入し、属性に関係なく、役割・貢献・成果に応じた適正な処遇の配分を実施しています。
職種毎の事業特性に応じた諸手当の充実化にも柔軟に対応しています。評価制度においては、経営計画と各組織及び従業員の個人目標との連動性を高めるため、目標管理制度を導入しています。
今後も社会情勢を踏まえながら、採用競争力や人材定着力を高める適正な報酬水準の実現と従業員の目標達成意欲につながる評価制度の運用を強化していきます。
b.株式報酬
当社グループ従業員の働きがいの向上及び会社の成長=社員の成長・株主との価値共有を図るため、譲渡制限付株式の付与を実施しております。
[社内環境整備の方針]
④ 成長エンジン
a.多様性に関する取り組み
当社グループは、サステナビリティ経営を推進していく上で、企業として持続的な成長をし続けるためには、個を尊重し、認め合い活かしていく、ダイバーシティが必要不可欠だと考えています。社員の成長が会社の成長であり、優秀な人材の確保(採用・就業継続)、育成が経営上の最重要課題と考え、当社ではダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、「みんなの個性を、会社の力に。」をテーマに「多様性が強みとなる」組織づくりを目指しています。
<ダイバーシティ推進体制>
当社では2015年にダイバーシティ推進専門組織として人事部内にダイバーシティ推進課を新設し、更なる推進強化のため、2022年度より人事部から独立させ、部として取り組みを進めています。多種多様なバックグラウンドを持つ人材が、お互いに尊重し合い、いきいきと活躍できる組織づくりの実現には、トップダウンだけではなくボトムアップも必要不可欠であると考えています。そのため、当社グループは従業員からの声を収集しやすい風土や体制づくりに注力し、集められた声をもとに制度の見直しや職場環境の改善に取り組んでいます。2024年度には運動促進と社内のコミュニケーション活性化を目的とした「社内運動サークル支援制度」を導入し、2025年度には新たに男性の育児休業取得促進のための「育児介護応援手当」や「配偶者の出産予定日の早期報告制度」を導入します。
<ダイバーシティ推進に向けた取り組み>
2024年度より中期経営計画がスタートし、ダイバーシティ推進においても中期経営計画~ダイバーシティ推進編~を掲げて取り組みをスタートしています。具体的には「個性を活かす(自分らしさ)、つながる(タテ・ヨコ・ナナメ)、対話・考動(理解を深めて動く)、Well Being(幸せ)」の4つを主軸として、多様性が強みとなる “十人十色を活かす”組織づくりと、多様な目線で挑戦する“コミュニケーションの質”の両輪で「みんなの個性を、会社の力に」できる環境を目指しています。初年度である2024年は、自身の体調不良時やペットの有事に有給の休暇を取得できる「ケア休暇」の導入や、申請することで同性パートナーを家族とみなし社内制度を利用できる「ファミリーシップ制度」において、同性パートナーだけではなく、適応範囲を広げ事実婚パートナーも配偶者と認め、家族向けの人事・福利厚生制度を利用できるようにしました。今後も4つの主軸のもと、ダイバーシティを推進してまいります。
<ダイバーシティ関連の指標・目標> 各年3月31日現在
(注)1.女性管理職割合は、4月1日(翌事業年度開始日)を算出基準日としています。
各事業年度の取組みや定期昇格・降格が一番反映される日であるためです。
2.「障がい者雇用率」はグループの数値です。
b.健康・Well-being経営に関する取り組み
当社は、老若男女を問わず多様な従業員が心身ともに健康で活き活きと働けることが企業の持続的な成長において重要であると考えています。従業員の健康保持・増進に積極的に取り組み、健康・Well-being経営を推進します。
<健康・Well-being経営推進体制>
当社では、従業員の健康保持増進を重要な経営上の課題とし健康と安全に関する取り組みを推進しています。人事部とダイバーシティ推進部が中心となり、健康保険組合等と連携しながら課題の抽出や施策の実施から評価改善まで戦略的に取り組んでいます。また、従業員の心身の健康や労働環境の向上に努めるために、現場の意見を速やかに取り入れられるよう、全国200以上の支店に約1,000名にものぼる衛生管理者を健康経営推進担当者として配置し、産業医や保健師と連携を図っています。
<健康・Well-being経営に関する取り組み>
「大東建託健康宣言」に基づき、健康を自分事化すること・ヘルスリテラシーの向上を目標として、特に肥満対策に力を入れ、各健康施策を推進しています。また、健康保険組合と連携し、ヘルスケアアプリを活用導入した情報提供、ウォーキングキャンペーンなどを実施しています。昨年度は経営層も一丸となって取り組んだことにより、従業員のモチベーションが高まり、1,000歩以上平均歩数が増加しました。さらに、独自のウォーキングキャンペーンを実施する事業部が出てくるなど従業員発のボトムアップも見られました。また、手上げ式の卒煙プロジェクトは自力にも関わらず、約50%の成功率となっています。
<健康経営関連の指標・目標> 各年3月31日現在
c.従業員エンゲージメント・職場環境向上に関する取り組み
(a) 従業員エンゲージメント
当社グループは2021年度より「従業員エンゲージメント調査」を実施しています。全社及び各部署における組織の強み・弱みといった組織状態を明確にし、全社組織課題の解決に対しては本社が主導し、各部署に応じた組織課題には各管理職が主導するという両輪で、各種施策の検証や職場改善活動に取り組んでいます。今後も、自主自律の精神の元、従業員一人ひとりが主役となって、自らの仕事を喜んで、楽しんで取り組める企業を目指し、「働きやすさ」と「働きがい」を増進し、社員の力の最大化に向けて取り組んでいきます。
●調査結果を踏まえた組織風土改革への取り組み
(b) 社内評価指標「健全経営ランキング」
当社では、組織活性施策として、従業員エンゲージメントのほか、2018年8月より営業成績や収益という短期的な業績結果だけではなく、「生産性」「人材育成」「働きやすい職場環境づくり」など、プロセスや就労環境といった支店・部門の中長期的な健全経営に欠かせない要素にも着目した独自の評価指標「健全経営ランキング」を導入・展開しています。評価項目毎に共通の基準・計算式に従って評価ポイントを算出した上で各支店・部門のランキングを決定・開示し、従業員主導の就労環境改善につなげています。また、優良支店の従業員とそのご家族様が一緒に使える褒賞制度の導入や、組織運営において特に影響力の大きい支店長に対する評価指標への組み込み(経営視点意識・人的資本経営力の向上)など、制度の浸透・運用力強化につながる工夫なども行っています。
<主な評価項目>
d.「人的資本アンケート」の実施・結果
外部調査機関を活用し、当社の人的資本経営に関する取組みに対する従業員の実態調査を2024年12月に実施しました。従業員の声として、総合的には良好な結果であり、特に「働きやすさ」領域に関しては調査機関レポートで「優良」という評価でした。「働きがい」領域についても概ね良好な結果であるものの、キャリア自律など更に向上の余地があることから、今後はキャリア自律に向けた全社的な推進や人的資本の可視化を目的としたタレントマネジメントシステムの強化に取組み、「働きやすさ」と「働きがい」の両立を図ります。
<領域別スコア>
※調査機関のレポートより抜粋。10点満点で7.0以上が優良、5.0が標準レベル。
⑤ 風土醸成
a.体質強化プロジェクト(パーパス具現化に向けた組織風土改革)
パーパスに基づき、従業員が自律的に考動できる組織風土づくりを目的に、経営層・事業部長・現場社員等による100名規模の全社プロジェクトを2024年4月より立ち上げ(大東建託パートナーズ・大東建託リーシングも参画)、持続的成長・全社最適の視点より組織・役割などの枠を超えた議論を行いながら、社員行動指針の策定や各種制度の見直しなどを実施しております。
<主な取組み事項>
・社員行動指針の策定 → グループ経営計画説明会で社員へ発表(2025年4月実施済)
・各種制度の見直し → 評価・報酬、キャリア・育成など(今後)
・現場浸透施策 → 現場への発信・啓発・定着、各種コミュニケーション施策の展開など(今後)
<全体指標/従業員エンゲージメント>
(注)株式会社リンクアンドモチベーション「エンゲージメントサーベイ」において調査を実施した、同社の算定基準による当社の評価及び偏差値になります。
「CD課単位組織割合」とは、会社や上司、職場と社員の信頼関係に不安がある低エンゲージメント組織の割合を表しています。
〔参考〕
グループ3社数値(大東建託・大東建託パートナーズ・大東建託リーシング)