2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,772名(単体) 2,052名(連結)
  • 平均年齢
    44.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.3年(単体)
  • 平均年収
    9,746,602円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

(2025年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

国内土木事業

1,042

〔82〕

国内建築事業

491

〔25〕

海外事業

146

〔6〕

その他

262

〔44〕

全社(共通)

111

〔7〕

合計

2,052

〔164〕

 

(注) 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。

なお、全社(共通)は、報告セグメントに帰属しない管理部門等の従業員であります。

 

(2)提出会社の状況

(2025年3月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,772

44

18.3

9,746,602

〔120〕

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

国内土木事業

1,042

〔82〕

国内建築事業

491

〔25〕

海外事業

126

〔6〕

その他

2

〔0〕

全社(共通)

111

〔7〕

合計

1,772

〔120〕

 

(注) 1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 出向等を含めた在籍者数は1,821名であります。

 

(3)労働組合の状況

当社には東亜建設工業労働組合と称する労働組合があり、1947年10月1日結成され、2025年3月31日現在の組合員数は1,015名となります。

対会社関係においても結成以来円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

なお、関係会社には労働組合はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(注1、3~4)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期雇用労働者

(注5)

0.9

95.5

54.9

57.5

46.2

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

3 賃金には、基本給、各種手当、賞与等を含み、通勤手当等を除いております。

4 正規雇用労働者には、当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。

5 パート・有期雇用労働者には、パート・有期雇用労働者を含み、派遣社員を除いております。

6 連結子会社は上記3項目について、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表を行っていないため、記載を省略しております。

 

<男女の賃金の差異についての補足説明>

男女の賃金の差異については、正規雇用従業員を職級別に分析したものが下記の表となります。本分析における賃金は基本給及び賞与総支給額の年間支給額(ベース平均給与)としており、時間外手当等の各種手当は含まれておりません。これは時間外手当等の各種手当を除くことで、男女の賃金差異の主要因を把握することを目的としております。

 

正規雇用従業員の賃金差異分析

職階区分

人数

(男性)

人数

(女性)

男女の賃金割合

(ベース平均給与)

幹部職(総合職)

556

2

98.3%

準幹部職(総合職)

297

9

93.0%

監督職(総合職)

217

20

92.2%

一般職(総合職)

335

62

98.0%

実務職

(非転勤型一般職)

0

29

-

 

※2025年3月31日現在の在籍者の2024年4月1日から2025年3月31日の賃金で分析しております。

※当社から社外への出向者を含んでおり、当社への出向者は除いております。

※ベース平均給与は基本給及び賞与総支給額の合計となります。

※地域限定総合職のベース平均給与はその特性から給与体系が異なるため、本分析には含めておりません。

 

当社は、社員数1,979名(※)のうち81.5%を占める正規雇用従業員について、職務遂行能力等を元にした雇用管理制を採用しており、職階制度に基づいて処遇を決定しております。職階別のベース平均給与賃金割合は女性の方が90%台であるのに対し、正規雇用労働者全体の賃金割合は57.5%となっております。この原因として、男性従業員のうち幹部職および準幹部職の割合は60.6%であるのに対し、女性従業員は6.1%と低いことが挙げられます。

一方、パート・有期雇用社員については、臨時雇用や継続再雇用、パート・アルバイト社員、特別社員から構成されており、多様な働き方に対応するために個別に労働契約を締結していることから、職掌、職種、勤務体系などが異なっております。なお、男女の賃金の差異が生じている大きな要因としては、継続再雇用者の男女の賃金の差異が大きいことが挙げられます。継続再雇用は、定年を迎えた従業員と再雇用契約したものであり、その処遇は定年時の月額給与等を基に決定しております。継続再雇用に含まれる女性の多くは一般職であったことから、相対的に低い割合となっております。

(※)人的資本経営の観点からパート・有期雇用社員及び当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。これにより、「5 従業員の状況 (1) 連結会社の状況 及び(2) 提出会社の状況」に記載の数値とは差異があります。

 

<男性社員の育児休業取得率についての補足説明>

当社においては男性社員の育児休業取得を促進するため、社員の意識改革に取り組むと共に育児休業中1か月間を有給とする支援策を2022年度より導入しております。さらに2023年度より周囲の社員が育休取得を勧め、全ての社員が育休を取得して積極的に育児へ参画できる企業風土の醸成を目的として、育休取得者が所属する部署の社員へ「育休職場お祝い手当」を支給する制度を開始しました。これらの取り組みにより、2022年度は45.5%であった男性社員の育児休業取得率は、2024年度には95.5%となりました。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の環境変化により実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組

当社グループは、「Blue Green(青い海と青い空、そして緑あふれる街)」「Resilience Smart(安全・安心な街、そして快適な都市環境を整備)」「Well-being Social-Responsibility(社会から信頼され、社員からも愛される企業へ)」を「私たちが創るサステナブルな未来」として描き、その実現に向けて下記のESG経営基本方針をサステナビリティの基本的な考え方としております。

 

<ESG経営基本方針>

当社グループは、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)に関する社会的責任を果たし、持続的な企業価値向上を実現するためのESG経営を推進し、SDGsに貢献してまいります。

 

 

Ⅰ.ガバナンス

当社グループの全社的なESG活動の推進のため、「ESG委員会」を設置しております。委員会は社長を委員長とし、副社長2名、本部長6名、常勤監査等委員である取締役、監査等委員である社外取締役1名で構成されます。「ESG委員会」は年2回開催され、ESG活動に関する基本的な方針や具体的な行動計画の立案、活動実績のレビュー、施策等を審議しております。委員会の審議結果は取締役会に報告されるとともに、重要決定事項は事業部門(支店を含む)およびグループ会社に伝達され、グループ一体でのガバナンス体系を構築しております。


※2025年6月27日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「取締役(監査等委員であるものを除く)5名選任の件」及び「監査等委員である取締役4名選任の件」を提案しており、当該議案が承認可決された場合の体制図であります。

 

Ⅱ.リスク管理

当社グループでは、リスクマネジメント体制図に示すように、3つのラインからなるリスク管理体制を構築しております。第1線では、本社・支店各主管部署、グループ会社が、年1回見直されるリスク一覧を基に、期首に主管するリスク項目への対応策を立案し、リスク管理を遂行しております。第2線では、グループ全体のリスクを網羅的に把握するリスクマネジメント小委員会が、グループ内のリスク対応状況や外部環境情報などを基に、ESG委員会に報告・改善案などを提案するほか、第1線のリスク管理を支援しております。ESG委員会では、当社グループのリスク管理に関する方針、体制を審議しております。また、リスク一覧の見直しや対策指示などを行い、状況を取締役会に報告しております。さらに、第3線の内部監査室は、第1線と第2線から独立した立場から、適正なリスク管理が遂行されるよう連携し、取組み状況を取締役会に報告しております。


 

 

Ⅲ.戦略

■中期経営計画(2023~2025年度)

当社グループは、長期ビジョン<TOA2030>「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を実現するため、中期経営計画(2023~2025年度)において事業戦略と人材戦略の融合を基本方針としました。これにより、事業拡大を推進する組織作りと人材成長(育成)の両立を図ってまいります。

高度なガバナンス体制とコンプライアンス精神を根底に置き、環境・人権・パートナーシップそれぞれの価値を重視し、社員を含むすべてのステークホルダーの幸福度を高めるために、ESG経営を更に深化させ、社会資本整備を通じてサステナブルな社会に貢献してまいります。

■重要課題(マテリアリティ)

当社は、社会(ステークホルダー)にとっての重要度・関心度と、当社経営にとっての重要度を考慮して年1回見直しております。2024年度においては、環境課題を改めて整理し、同年に策定した当社グループの環境行動規範と呼応する形とし、また社会やガバナンスの重要課題についても粒度をそろえ、5つの重要課題を特定しております。中期経営計画や行動計画との連動を図り、さらにSDGsとの関連を踏まえて課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しております。


 

Ⅳ.指標及び目標

当社では、重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた重要指標(KPI)と目標を設定しております。重要課題に紐づけて設定した重要指標の目標達成状況を毎年度確認し、結果に応じてアクションプランや重要指標、達成目標を見直すなど、PDCAサイクルによる継続的な改善を行っております。

<統合報告書> https://www.toa-const.co.jp/esg/report.html

※2025年8月発行の「統合報告書2025」でより詳細なサステナビリティ情報開示を行う予定であります。

 

(2)気候変動への取組(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)

気候変動問題は世界的に取り組まなくてはならない喫緊の課題であり、なかでも建設業が果たすべき役割は非常に重要であると考えております。当社では、TCFD提言に沿った気候関連の情報開示を拡充し、企業価値の向上を図りながら、事業を通じて社会の持続可能な発展に貢献してまいります。

 

Ⅰ.ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、当社グループのESG経営に関する基本方針に組み込まれております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 Ⅰ.ガバナンス」を参照ください。

 

Ⅱ.戦略

TCFD提言に基づき、当社グループにおけるリスクおよび機会を特定・評価し、気候関連問題が事業に与える影響を把握するため、短期・中期・長期のすべての視点を踏まえてシナリオ分析を実施しております。なお、シナリオ分析にあたり、以下の代表的なシナリオを採用しております。

1.5℃シナリオ

国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5℃以下に抑えるため2050年にネットゼロを達成するためのシナリオ(NZE2050)

4℃シナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(SSP5-8.5)

 

 

■気候関連の主なリスクおよび機会と対応策

(1.5℃または4℃のいずれかのシナリオで影響度を「大」と評価したリスク・機会のみ記載)

リスク/機会

影響

影響度

(対応するシナリオ)

対応策

炭素税導入及び脱炭素に向けた規制強化

・環境に対する規制の導入・強化に伴い、建設コストが上昇
・事業活動を通じて排出するCO2に炭素税が課税されコスト増となる
・建設資材の価格が上昇し、調達コストが増加

(1.5℃)

・設計・施工段階でのCO2排出量低減に向けた取組み
・低炭素型技術の開発
・建設機材の脱炭素化、協力会社との協働による省ネルギー推進
・再生材及び低炭素型資材の活用

平均気温上昇

・建設技能者の健康被害(熱中症等)の増加

・労働環境悪化による担い手不足が更に加速

(4℃)

・ICT、AI等を活用した現場の省人化、生産性向上

・働き方改革を通じた労働環境の改善

 

 

リスク/機会

影響

影響度

(対応するシナリオ)

対応策

機会

製品/サービス

環境配慮型建物の需要拡大

・ZEBや省エネルギー技術がより注目され、需要が増加する
・低炭素技術や施工方法が、価格

競争力に繋がる

(1.5℃)

・ZEBの推進、建物の省エネ性能向上への取組み強化
・低炭素技術や施工方法の開発促進

市場

カーボンニュートラル関連施設の需要増加

・水素やアンモニアの受入れ施設など、カーボンニュートラル推進のための関連施設への建設投資の増加

(1.5℃)

・カーボンニュートラル関連施設の整備事業への取組み強化

市場

再生可能エネルギーの需要増加

・風力発電などの再エネ関連施設への建設投資の増加

(1.5℃)

・洋上風力発電事業へのEPC事業者としての参画に向けた取組み推進

市場

気候変動に伴う市場変化

・自然災害の甚大化を見据えて、建物の新築やリニューアル市場の拡大、施設移転ニーズの高まり
・環境にやさしく、安心で安全な

街づくりの需要増加

(4℃)

・防災・減災やリニューアルを柱としたインフラ整備事業への取組み強化
・快適な都市環境の整備事業への取組み強化
・上記に資する技術の開発促進

製品/サービス

海面上昇に伴う工事需要増

・海面上昇や高潮等を見据えて、港湾・海岸部の防災対策工事の需要増加

(4℃)

・防災・減災のためのインフラ整備事業への取組み強化
・上記に資する技術の開発促進

 

本シナリオ分析の結果に基づき、具体的な対応策として、施工段階でのCO2排出量低減、建築物のZEB/ZEH化の推進、洋上風力発電事業への参画に向けた取組み、インフラの防災・減災やリニューアルに資する技術開発などに戦略的に取り組み、財務への負の影響を抑制するとともに、事業機会の最大化に努めております。

 

Ⅲ.リスク管理

気候変動に関する主なリスクは、当社グループのESG経営におけるリスクとして管理しております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 Ⅱ.リスク管理」を参照ください。

 

Ⅳ.指標及び目標

当社はESGに関する取組みにおける重要指標(KPI)を策定しその状況をモニタリングしております。重要指標(KPI)の一つとして、今後の気候関連リスク・機会の影響を鑑みて、温室効果ガスの排出総量(Scope 1+2、Scope 3)を指標とし、SBTに基づいた削減目標を策定しております。また、Scope 1+2について、2050年度までに実質排出ゼロとする目標を設定しております。温室効果ガスの排出総量は、気候関連のリスク・機会の影響を受ける直接的なパラメーターとして管理し、具体的な削減対応を進めてまいります。

 

■指標/目標(排出総量)

Scope 1+2

2030年度25%以上削減(2020年度比)

2050年度実質排出ゼロ

Scope 3

2030年度25%以上削減(2020年度比)

 

※該当箇所の目標は、SBTのWB2℃目標としてSBTiに認定されております。(2022年9月)

 

■温室効果ガス排出量実績値

当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)の集計結果は下表のとおりです。

項目

単位

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

備考

(基準年)

Scope 1

千t-CO2

128

111

124

120

94

事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

Scope 2

千t-CO2

5

4

2

1

1

他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope 1+2

千t-CO2

133

115

126

122

95

 

Scope 3

千t-CO2

1,060

1,380

1,010

1,060

-

Scope 1,2以外の間接排出

 

※Scope 1,2,1+2の1千t-CO2未満、Scope 3の10千t-CO2未満は切り捨てて表示しております。また、2024年度のScope 3は、現在データ集計及び算出中であります。

 

 

(3)人的資本政策

Ⅰ.ガバナンス

人材戦略に関する重要事項については、取締役会の監督の下、権限委任された社長がトップを務める経営会議において、具体的な課題や施策に関する審議と決定、進捗確認を行っております。また、事業規模と要員構成のシミュレーション、IT人材や外国籍社員の採用など、部署間の事前協議が必要なテーマに関しては、部署横断で情報を共有し議論しております。

取締役および執行役員の指名・報酬に関しては、取締役会の諮問機関として指名報酬委員会を設置しております。選任手続き、報酬決定手続きの公平性・透明性・客観性を確保するため、社外取締役を委員長とし、5名の委員のうち過半数を社外取締役が占める当委員会で審議し、取締役会に対して提案・提言を行っております

 

Ⅱ.戦略

当社は、長期ビジョン<TOA2030>において「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を掲げております。その実現には、社員一人ひとりが多様な専門性を持ち、社会課題に挑戦し続けることが不可欠であることから、長期ビジョン達成のための行動指針を定めるとともに、「人材育成基本方針」及び「職場環境整備方針」に基づいた取組みを行っております。なお、連結子会社においても、ESG経営基本方針に基づいて多様な人材の育成と活躍推進に取り組んでおりますが、具体的な数値目標を設定していない等、当社グループにおける記載が困難なことから、本項の指標・目標については提出会社のものを記載しております。

 

■長期ビジョンを達成するための行動指針

当社は、長期ビジョン<TOA2030>を達成するため、社員の行動指針を策定しております。この指針は「しなやかさ」「自分らしさ」「俊敏さ」「一歩先へ」の4つの要素から成り立っております。

・しなやかに!:世の中の変化に対して、過去にとらわれない柔軟さを持ち続けます。

・自分らしく!:自分のなりたい姿を見つけ、実現するために志を持って行動します。

・俊敏に!  :時代の流れに瞬時に反応し、すばやく決断・行動します。

・一歩先へ! :今よりも明日をより良いものにするために、日々挑戦し続けます。

  この行動指針に沿って、各種人事施策を策定・実行しております。

 

■中期経営計画を支える人材戦略

2030年の目指す姿に向け、中期経営計画(2023~2025年度)では、「部門間の連携強化による組織力の最大化」及び「新規事業を含めた新たなビジネスモデルへの挑戦」が不可欠であるととらえ、これらを実現するために事業戦略と人材戦略の融合を図っております。また持続的な企業価値向上の基盤として「働きがいのある職場」「ダイバーシティ推進」「事業部門ごとの採用・育成権限の強化」を重要テーマとして挙げ、人材育成基本方針、職場環境整備方針に基づき、次代を担う多様な人材の確保と成長を実感できる育成環境の整備を進めております。

 

 

■人材育成基本方針

・性別や国籍、年齢などの属性にとらわれない多様性と包摂を備え、従来の画一な人材育成とは異なる、個人の適性や能力に応じたセミオーダー型の人材育成を目指します。

・当社の将来の事業環境、事業ポートフォリオなどを想定した、計画的なプロフェッショナル人材の確保、育成を行います。

・多様な価値観を受け入れる組織文化、職場環境を構築し、個々のリスキリングなどを通じて、ライフサイクル全体を通じた長期的な人材の活躍を後押しします。

 

<具体的な取組み及び指標・目標>

当社では人材育成基本方針に基づき、以下の重点項目に沿った施策を進めております。

 

①計画的かつ長期的な要員計画

当社は2030年度にグループ全体社員数2,210人以上(2024年度末時点で2,052人)を目標としております。全従業員が対象のリクルーター制度、インターンシップの強化、退職後に得た知識や経験を活かして再び当社で活躍してもらうための「カムバック採用」などを通じ、新卒及びキャリア採用を計画的・安定的に行ってまいります。

指標

2023年度実績

2024年度実績

2025年度目標

新卒総合職採用者数

88人

81人

95人以上

キャリア総合職採用者数

30

36

25人以上

離職率

1.65%

1.43%

 

※新卒総合職は2025年4月1日時点で104人が入社しております。

 

②多様性、協調性、自発性が存在する組織文化の醸成

多様な属性を持った社員が、互いに理解し認め合い、それぞれの知識と経験を掛け合わせることで生まれるイノベーションが企業価値を高めると考えております。そのために多様な人材の計画的な採用と、能力を発揮できる環境整備に取り組んでおります。

 

a.女性の活躍推進

当社では課長以上の役職に就くことのできる職位を「準幹部職」「幹部職」としておりますが、2030年度までに女性の準幹部職および幹部職に30人以上(2024年度末実績11人)を登用することを目指しております。建設業は歴史的に女性の就業者数が少なく、当社においても2024年度末現在、女性総合職(地域限定総合職を含む)比率は11.2%にとどまっております。女性の採用数拡大を図るとともに、リーダーシップ研修等の施策を通じ、人材プールの充足を進めております。また主に定型的な業務を担う一般職従業員に対し、地域限定総合職制度を2024年度から導入しております。これまでに約9割の一般職が総合職に転換しております。今後、ジョブローテーションや教育の機会を増やし、より高いレベルの業務で活躍できるように支援をしてまいります。

多様な人材の活躍推進に向けた意識啓発を目的とし、2024年度は管理職層の一部にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に気づき、対処するための研修を行っております。今後も受講対象を拡大して実施し、多様な人材が活躍できる企業風土を醸成してまいります。

 

指標

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

女性総合職従業員数

75

178

250人以上

総合職に占める女性従業員の割合

5.2

11.2

-

総合職採用に占める女性の割合

12.7%

14.5%

20%以上

女性準幹部職・幹部職者数

10

11

30人以上

※総合職には地域限定総合職を含んでおります。

※準幹部職・幹部職…課長以上の役職に就くことのできる職位を指しております。

※総合職採用には新卒採用とキャリア採用を含んでおります。

 

 

b.多様な人材の採用と登用

知と経験のダイバーシティを実現するため、外国籍社員やキャリア採用、障害者の採用・登用にも積極的に取り組んでおります。国際事業本部では、日本語能力に関係なく外国籍社員が活躍できるよう、国内の職場でも日本語と英語の併記を標準としております。また将来的に国内部門での勤務や幹部職への昇進を見据え、日本語教育も提供しております。

フィリピンにおいてエンジニアの日本語習得を支援する取組みも2024年度から開始しております。現地で日本語教育を実施した後に、当社とエンジニア双方の合意により日本に招聘し、契約社員として雇用するもので、日本国内の建設工事現場で活躍してもらうことを期待しております。

指標

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

外国籍総合職従業員数

25

32

40人以上

準幹部職・幹部職に占める外国籍従業員の人数

2

2

10人以上

障害者雇用率(法定雇用率)

2.7%

3.0%

(2025年度目標)
 2.5%以上

管理職に占めるキャリア採用者の割合

17.6%

17.7%

-

 

※障害者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき各事業年度6月1日時点のものを表示しております。 

 

c.シニア社員の活躍推進

定年を迎えた後も働きたいと希望する従業員に対して、雇用を継続し、シニア社員として活躍できる機会を提供しております。直近3年間は約9割の従業員が雇用を継続し、多くのシニア社員が定年後も豊富な経験を活かして働いております。

 

③若手従業員を中心とした早期プロフェッショナル化

若手技術職員にとって一つの目標である現場所長としての業務遂行能力を早期に身につけるため、2024年度からスキルマップを導入しております。土木技術者は158項目、建築技術者は238項目からなる独自のスキル項目を作成し、必要なスキルを明確化しております。若手従業員と上司が対話しながら習得度合いを確認し、不足しているスキルを可視化したうえで、自発的な習得につなげてまいります。

指標

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

若手従業員(35歳以下)の作業所長職登用人数

9

11

-

 

 

④組織人としての役割を果たすためのスキル向上

変化の激しい時代には、社員一人ひとりが多様な専門性を持ち、社会課題に挑戦し続けていくことが不可欠です。絶えず学び、成長を続ける人材を育成する仕組みの構築に取り組んでおります。

 

a.経営人材の育成

次世代を担う人材の育成は、当社の持続的な成長と新たな価値創造のために非常に重要なテーマであると認識し、経営人材育成計画の再整備を進めております。2024年度には準幹部職・幹部職に昇格する際の階層別研修の内容を一新し、課題解決のスキルや組織ビジョンを考える力を育むプログラムを取り入れております。今後はより長期にわたって専門的な経営スキルを学ぶ選抜型研修の実施も計画しており、これらを継続していくことで、経営人材プールの充足を図ってまいります。

 

b.リスキル/リカレント教育の機会提供

教育を通した育成については、仕事を通じて日常業務の知識・技術を習得するOJTをベースに、新入社員研修、階層別研修、職能別研修を柱とした社内教育研修を行っております。また社員の自律的な成長に向けた取組みを会社として支援することを目的に、リスキル/リカレント教育の機会を整備、提供しております。2024年度は55歳以上の従業員を対象としたキャリア支援研修を新たに実施しました。自身の経験で培ったキャリア資産を整理し、シニア期以降も会社の成長に貢献するための意欲醸成につなげてまいります。

指標

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

従業員一人当たりの研修費用

88,893

109,506

-

 

 

■職場環境整備方針

~社会から信頼され、社員からも愛される企業へ~

当社は活き活きと誇りをもって働ける職場環境づくりとして、会社のあるべき姿を「人が集まる会社」と定め、社員の幸福度を向上させるとともに、関わるすべての人が幸せになる環境整備に取り組んでおります。また、こうした活動を通し、社会から信頼される企業となり、社会的責任を果たしてまいります。

 

<具体的な取組み及び指標・目標>

当社では職場環境整備方針を実現するため、以下の重点項目に沿った施策を進めております。

 

①社員エンゲージメント

社員個人の幸せと会社の幸せが連動し、ともに成長していける仕組みを構築することが組織力を高め、企業価値の向上につながると考えております。そのためには社員が企業理念に共感し、やりがいのある仕事を通して成長し続けられること、仕事へのモチベーションを維持できることが重要であります。これらを定期的に調査・分析することで、人事施策に反映してまいります。

2024年度から社員が職場や身の回りにおいて感じることのできる幸福度を測定する「幸福度診断」を開始するとともに、ワークショップ等を通じて、仕事を通じた幸せエピソードを共有する場を設けました。今後も診断を継続するとともに、幸福度向上に向けた取組みを広げてまいります。

また、当社の持続的な成長と社員のイノベーション創出力を高めるべく、2022年度に導入した社員提案制度「チャレンジNext」についても、提案内容の実践に対するサポートを行い、社員の推進力や実行力の向上に資する人材育成を促進してまいります。

 

②安心して働ける働きがいのある職場

社員が心身ともに健康で、ワークライフバランスを保ちながら充実感をもって働くことが企業価値向上の大きな要素であるとの考えに基づき、多様な働き方の実現や働き方改革を進めております。

 

a.心理的安全性の向上

当社は働き方改革の一環として、社内における心理的安全性の浸透を目指し、職場懇談会の充実やカエル会議(チームで目指す「ありたい姿」を設定し、その達成に向けた課題を抽出し、改善案を策定・実行する会議)の実施、管理職層を対象に上司・同僚・部下が多面的にフィードバックを行う「360度フィードバック」、上司と部下が定期的にペアで対話する「TOAダイアログ」等の施策を実施しております。社員同士のオープンなコミュニケーションを通じて、安心して働ける環境整備を促進してまいります。

 

b.多様な働き方の推進

多様な属性を持つ社員が、ワークライフバランスを保ちながら、いきいきと働ける環境を目指し、テレワークを中心とした労働時間と勤務場所の柔軟化や、育児・介護等における仕事と生活の両立ができる環境づくりを推進しております。男性の育休取得についても、育休中の一定期間を有給としているほか、育休を取得した社員が在籍する職場に対し「育休職場お祝い手当」を支給し、育休中のサポートに報いるとともに、育休を取得しやすい企業風土の醸成を推進しております。

指標

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

育児休業取得率(男性)

90.2%

95.5%

(2027年度目標)
 95%以上

育児休業取得率(女性)

100.0%

100.0%

(2027年度目標)
 100%

育児休業平均取得日数(男性)

33.7日

34.2日

-

育児休業平均取得日数(女性)

-

288.2日

-

※育児休業平均取得日数は、厚生労働省が推奨する方法により当該年度に育児休業を終了し復帰した社員の平均取得日数を記載しております。2023年度においては育児休業を取得した女性社員はいたものの、同年度中に復職しなかったことから、日数の表示をしておりません。

 

 

 

■健康経営

従業員が心豊かに活躍する企業として社会へ貢献し続けるため、社員とその家族の健康維持・増進を推進しております。

 

<具体的な取組み>

①メンタルヘルス

部下を持つ上司を対象にラインケア(上司が部下の心の健康状態を把握し、ケアをする)研修を開催し、メンタルヘルスの理解を深め、社員の心の健康を維持するとともにチームとしてのパフォーマンスの向上に役立てております。また新入社員研修におけるセルフケアやレジリエンス(精神的回復力)の講義を通じて、社員自らが主体的に健康を保つことを意識づけております。

 

  ②健康課題に関する情報共有

産業医による健康セミナーを定期的に開催しております。「アンガーマネジメント(怒りの感情と上手に付き合う方法)」や「睡眠」など身近な健康に関わるテーマを取り上げ、社員が心身ともに健康を維持・増進できるよう情報共有を行っております。

 

  ③女性の健康

「女性の健康相談窓口」を開設し、毎日24時間、スマートフォンから医師に無料相談できる体制を整えております。また、女性の健康に関する動画を配信し、女性自身の健康増進だけでなく、職場全体での女性の健康に関する理解の向上に努めております。

 

Ⅲ.リスク管理

人材の確保におけるリスクは、当社グループのESG経営におけるリスクとして管理しております。詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(6)人材マネジメントにおけるリスク」に記載しております。

 

 

Ⅳ.指標及び目標

「多様な人材の育成と活躍推進」をマテリアリティとして掲げ、以下のKPIを設定しております。なお、連結子会社においても、ESG経営基本方針に基づいて多様な人材の育成と活躍推進に取り組んでおりますが、具体的な数値目標を設定していない等、当社グループにおける記載が困難なことから提出会社のもののみを記載しております。

指標

目標

実績

(当事業年度)

女性総合職の人数

2030年度において250以上を雇用

178

女性準幹部職・幹部職の人数

2030年度において30以上を雇用

11

外国籍総合職の人数

2030年度において40以上を雇用

32

外国籍準幹部職・幹部職の人数

2030年度において10以上を雇用

2

 

※女性総合職には地域限定総合職を含んでおります。

※準幹部職・幹部職は課長職以上の役職に就くことのできる職位をさしております。

 

人的資本データシート(提出会社)

指標

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

KPI

単位

社員数

1,714

1,748

1,788

1,883

1,979

 

うち女性社員数

230

245

251

274

288

 

臨時従業員を除く社員数(期末)

1,594

1,628

1,658

1,744

1,833

 

うち女性社員数

162

177

185

199

219

 

(女性社員比率)

10.2%

10.9%

11.2%

11.4%

11.9%

 

平均年齢

45.8

45.6

45.3

45.0

44.7

 

平均勤続年数

20.0

19.9

19.5

19.0

18.5

 

うち男性総合職

19.9

19.8

19.3

18.7

18.1

 

うち女性総合職

8.7

7.5

7.1

6.2

10.6

 

総合職従業員数

1,314

1,336

1,363

1,432

1,584

 

うち女性総合職従業員数

38

50

62

75

178

(2030年度)
250人以上

(女性総合職従業員比率)

2.9%

3.7%

4.5%

5.2%

11.2%

一般職(実務職)従業員数

114

118

114

114

29

 

うち女性一般職従業員数

113

117

113

113

29

 

準幹部職・幹部職者数

904

884

867

875

864

 

うち女性準幹部職・幹部職者数

7

8

10

10

11

(2030年度)
30人以上

 

 

指標

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

KPI

単位

管理職数

687

703

685

728

745

 

うち女性管理職数

7

8

6

6

7

 

(女性管理職比率)

1.0%

1.1%

0.9%

0.8%

0.9%

 

外国籍総合職従業員数

19

14

22

25

32

(2030年度)
40人以上

外国籍準幹部職・幹部職者数

1

1

2

2

2

(2030年度)
10人以上

新入社員数

54

77

69

89

82

 

うち女性社員数

7

19

8

13

12

 

(新入女性社員数/新入社員数)

13.0%

24.7%

11.6%

14.6%

14.6%

 

うち女性総合職数

3

14

8

12

11

 

(女性総合職数/新入社員数)

5.6%

18.2%

11.6%

13.5%

13.4%

 

入社3年以内離職率

19.1%

8.9%

16.7%

15.1%

10.1%

 

-

障害者雇用率

(法定雇用率)

2.3%

2.9%

2.7%

2.7%

3.0%

(2025年)
2.5%以上

-

年次有給休暇取得率

49.5%

51.9%

55.2%

60.9%

54.1%

 

-

育児休業取得率

(女性)

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

(2027年度)
100%

-

育児休業取得率

(男性)

5.9%

12.1%

45.5%

90.2%

95.5%

(2027年度)
95%以上

-

育児休業平均取得日数

(女性)

296.8

435.7

293.4

-

288.2

 

育児休業平均取得日数

(男性)

21.0

44.3

31.3

33.7

34.2

 

 

※各指標の数値は、障害者雇用率を除いて各事業年度末日現在のものを表示しております。

※当社においては、当社就業規則に基づき、正社員を「従業員」と定義しております。これに対して、正社員含め当社と直接雇用関係にある者を「社員」として定義しております。

※臨時従業員を除く社員数(期末)・平均年齢・平均勤続年数に係る各指標においては、人的資本経営の観点から当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。これにより、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載の数値とは差異があります。

※障害者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき各事業年度6月1日時点のものを表示しております。

※育児休業平均取得日数は、厚生労働省が推奨する方法により当該年度に育児休業を終了し復帰した社員の平均取得日数を記載しております。2023年度においては育児休業を取得した女性社員はいたものの、同年度中に復職しなかったことから、日数の表示をしておりません。