2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,685名(単体) 1,945名(連結)
  • 平均年齢
    45.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.8年(単体)
  • 平均年収
    9,002,643円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

国内土木事業

997

〔79〕

国内建築事業

461

〔21〕

海外事業

123

〔6〕

その他

262

〔47〕

全社(共通)

102

〔5〕

合計

1,945

〔158〕

 

(注) 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。

なお、全社(共通)は、報告セグメントに帰属しない管理部門等の従業員であります。

 

(2)提出会社の状況

(2024年3月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,685

45

18.8

9,002,643

〔111〕

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

国内土木事業

997

〔79〕

国内建築事業

461

〔21〕

海外事業

123

〔6〕

その他

2

〔0〕

全社(共通)

102

〔5〕

合計

1,685

〔111〕

 

(注) 1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 出向等を含めた在籍者数は1,733名であります。

 

(3)労働組合の状況

当社には東亜建設工業労働組合と称する労働組合があり、1947年10月1日結成され、2024年3月31日現在の組合員数は970名となります。

対会社関係においても結成以来円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

なお、関係会社には労働組合はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(注1、3~4)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期雇用労働者

(注5)

0.8

90.2

51.8

54.6

46.3

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

3 賃金には、基本給、各種手当、賞与等を含み、通勤手当等を除いております。

4 正規雇用労働者には、当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。

5 パート・有期雇用労働者には、パート・有期雇用労働者を含み、派遣社員を除いております。

6 連結子会社は上記3項目について、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表を行っていないため、記載を省略しております。

 

<男女の賃金の差異についての補足説明>

男女の賃金の差異については、正規雇用従業員を職級別に分析したものが下記の表となります。本分析における賃金は基本給及び賞与総支給額の年間支給額(ベース平均給与)としており、時間外手当等の各種手当は含まれておりません。これは時間外手当等の各種手当を除くことで、男女の賃金差異の主要因を把握することを目的としております。

 

正規雇用従業員の賃金差異分析

職階区分

人数

(男性)

人数

(女性)

男女の賃金割合

(ベース平均給与)

幹部職

535

2

103.6%

準幹部職

330

8

88.9%

監督職

196

17

97.5%

一般職

296

48

99.9%

実務職

1

113

91.3%

 

※2024年3月31日現在の在籍者の2023年4月1日から2024年3月31日の賃金で分析しております。

※当社から社外への出向者を含んでおり、当社への出向者は除いております。

※ベース平均給与は基本給及び賞与総支給額の合計となります。

 

当社は、従業員数1,883名(※)のうち82.1%を占める正規雇用従業員について、職務遂行能力等を元にした雇用管理制を採用しており、職階制度に基づいて処遇を決定しております。職階別のベース平均給与賃金割合は女性の方が低い場合でも80~90%台であるのに対し、正規雇用労働者全体の賃金割合は54.6%となっております。この原因として、男性従業員のうち幹部職および準幹部職の割合は63.7%であるのに対し、女性従業員は5.3%と低いことが挙げられます。

一方、パート・有期雇用従業員については、臨時雇用や継続再雇用、パート・アルバイト社員、特別社員から構成されております。これらの従業員は、多様な働き方に対応するために個別に労働契約を締結しており、職掌、職種、勤務体系などが異なっております。なお、男女の賃金の差異が生じている大きな要因としては、継続再雇用者の男女の賃金の差異が大きいことが挙げられます。継続再雇用は、定年を迎えた社員と再雇用契約したものであり、その処遇は定年時の月額給与等を基に決定しております。継続再雇用に含まれる女性の多くは一般職であったことから、相対的に低い割合となっております。

(※)人的資本経営の観点からパート・有期雇用従業員及び当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。これにより、「5 従業員の状況 (1) 連結会社の状況 及び(2) 提出会社の状況」に記載の数値とは差異があります。

 

<男性従業員の育児休業取得率についての補足説明>

当社においては男性社員の育児休業取得を促進するため、従業員の意識改革に取り組むと共に育児休業中1か月間を有給とする支援策を2022年度より導入しております。さらに2023年度より周囲の社員が育休取得を勧め、全ての社員が育休を取得して積極的に育児へ参画できる企業風土の醸成を目的として、育休取得者が所属する部署の社員へ「育休職場お祝い手当」を支給する制度を開始しました。これらの取り組みにより、2023年度の男性従業員の育児休業取得率は90.2%(2022年度45.5%)、平均取得日数は33.7日(同31.3日)となりました。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の環境変化により実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組

当社グループは、将来のあるべき姿「私たちが創るサステナブルな未来」を「Blue Green(青い海と青い空、そして緑あふれる街)」「Resilience Smart(安全・安心な街、そして快適な都市環境を整備)」「Well-being Social-Responsibility(社会から信頼され、社員からも愛される企業へ)」と描き、その実現に向けて、ESG経営基本方針「東亜建設工業グループは、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)に関する社会的責任を果たし、持続的な企業価値向上を実現するためのESG経営を推進し、SDGsに貢献します」をサステナビリティの基本的な考え方としています。

 

Ⅰ.ガバナンス

当社グループの全社的なESG活動の推進のため、「ESG委員会」を設置しております。委員会は社長を委員長とし、副社長1名、本部長6名、常勤監査等委員である取締役、監査等委員である社外取締役1名で構成されます。「ESG委員会」は年2回開催され、ESG活動に関する基本的な方針や具体的な行動計画の立案、活動実績のレビュー、施策等を審議しております。委員会の審議結果は取締役会に報告されるとともに、重要決定事項は事業部門(支店を含む)およびグループ会社に伝達され、グループ一体でのガバナンス体系を構築しております。

 

Ⅱ.リスク管理

当社グループのリスク管理に関する方針、体制は「ESG委員会」にて審議されます。リスクと機会の分類において、それぞれ想定される事象や影響を整理し、「発生頻度」と「発生影響」に基づいて評価します。各リスク・機会項目に対して、主管部署を設け、予防的対応策を検討しております。これらのプロセスによって決定した当社グループの重要リスク・機会は、ESG委員会にて審議・承認され、取締役会に報告されます。決定した重要リスクは、当社の経営戦略等に統合されます。

 

Ⅲ.戦略

■中期経営計画(2023~2025年度)

当社グループは、長期ビジョン<TOA2030>「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を実現するため、中期経営計画(2023~2025年度)において事業戦略と人材戦略の融合を基本方針としました。これにより、事業拡大を推進する組織作りと人材成長(育成)の両立を図っていきます。

高度なガバナンス体制とコンプライアンス精神を根底に置き、環境・人権・パートナーシップそれぞれの価値を重視し、社員を含むすべてのステークホルダーの幸福度を高めるために、ESG経営を更に深化させ、社会資本整備を通じてサステナブルな社会に貢献します。

■重要課題(マテリアリティ)

当社は、社会(ステークホルダー)にとっての重要度・関心度と、当社経営にとっての重要度を考慮して、優先的に取り組むべき12の重要課題(マテリアリティ)を特定し、中期経営計画や行動計画との連動を図り、さらにSDGsとの関連を踏まえて課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。

重要課題(マテリアリティ)

E

環境負荷の低減

建設廃棄物の削減と再利用促進

環境に配慮した施工

S

インフラ整備を通じた社会への貢献と共生

品質の確保・向上

顧客満足の追求

労働安全衛生の確保

多様な人材の育成と活躍推進

活き活きと誇りをもって働ける職場環境の構築

G

ガバナンスの強化

リスクマネジメントの強化

コンプライアンスの徹底

 

 

Ⅳ.指標及び目標

当社では、重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた重要指標(KPI)と目標を設定しております。マテリアリティに紐づけて設定した中期経営計画・行動計画・KPIに対して目標達成状況を毎年度確認し、行動計画・KPIを見直すなど、PDCAサイクルによる継続的な改善を行っております。

<統合報告書> https://www.toa-const.co.jp/esg/report.html

※2024年8月発行予定の「統合報告書2024」でより詳細なサステナビリティ情報開示を行う予定です。

 

(2)気候変動への取組(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)

気候変動問題は世界的に取り組まなくてはならない喫緊の課題であり、なかでも建設業が果たすべき役割は非常に重要であると考えています。当社では、TCFD提言に沿った気候関連の情報開示を拡充し、企業価値の向上を図りながら、事業を通じて社会の持続可能な発展に貢献してまいります。

 

Ⅰ.ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、当社グループのESG経営に関する基本方針に組み込まれております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 <ガバナンス>」を参照ください。

 

Ⅱ.戦略

TCFDの提言に基づき、当社グループにおけるリスクおよび機会を特定・評価し、気候関連問題が事業に与える影響を把握するため、中長期の視点も踏まえてシナリオ分析を実施しております。なお、「(低炭素社会への)移行」と「(気候変動による)物理的変化」に関するリスクと機会を検討するにあたり、以下の代表的なシナリオを採用しています。

・移行シナリオ:国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオ(SDS)

・物理的シナリオ:国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(RCP8.5)

 

 

■主な事業リスクと機会                    (影響度大のみ記載)

区分

リスク/機会

影響

影響度

対応策

移行シナリオ

リスク

炭素税導入及び脱炭素に向けた規制強化

・環境に対する規制の導入・強化に伴い、建設コストが上昇
・事業活動を通じて排出するCO2に

炭素税が課税されコスト増となる
・建設資材の価格が上昇し、調達

コストが増加

・設計・施工段階でのCO2排出量低減に向けた取組み
・低炭素型技術の開発
・建設機材の脱炭素化、協力会社と

の協働による省ネルギー推進
・再生材及び低炭素型資材の活用

機会

環境配慮型建物の需要拡大

・ZEBや省エネルギー技術がより注目され、需要が増加する
・低炭素技術や施工方法が、価格

競争力に繋がる

・ZEBの推進、建物の省エネ性能向上への取り組み強化
・低炭素技術や施工方法の開発促進

カーボンニュートラル関連施設の需要増加

・水素やアンモニアの受入れ施設など、カーボンニュートラル推進のための関連施設への建設投資の増加

・カーボンニュートラル関連施設の整備事業への取り組み強化

再生可能エネルギーの需要増加

・風力発電などの再エネ関連施設への建設投資の増加

・洋上風力発電事業へのEPC事業者としての参画に向けた取り組み推進

物理的シナリオ

リスク

平均気温上昇

・建設技能者の健康被害(熱中症等)の増加
・労働環境悪化による担い手不足

が更に加速

・ICT、AI等を活用した現場の省人化、生産性向上
・働き方改革を通じた労働環境の改

機会

気候変動に伴う市場変化

・自然災害の甚大化を見据えて、建物の新築やリニューアル市場の拡大、施設移転ニーズの高まり
・環境にやさしく、安心で安全な

街づくりの需要増加

・防災・減災やリニューアルを柱としたインフラ整備事業への取り組み強化
・快適な都市環境の整備事業への取

り組み強化
・上記に資する技術の開発促進

海面上昇に伴う工事需要増

・海面上昇や高潮等を見据えて、港湾・海岸部の防災対策工事の需要増加

・防災・減災のためのインフラ整備事業への取り組み強化
・上記に資する技術の開発促進

 

 

 

Ⅲ.リスク管理

気候変動に関する主なリスクは、当社グループのESG経営におけるリスクとして管理しております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 <リスク管理>」を参照ください。

 

Ⅳ.指標及び目標

当社はESGに関する取組における重要指標(KPI)を策定しその状況をモニタリングしております。重要指標(KPI)の一つとして、今後の気候関連リスク・機会の影響を鑑みて、Scope1,2,3の排出量の削減目標を策定いたしました。気候関連のリスク・機会の影響を受ける直接的なパラメーターとして管理し、具体的な削減対応を進めてまいります。

 

■指標/目標(排出総量)

Scope 1+2

2030年度25%以上削減(2020年度比)

2050年度実質排出ゼロ

Scope 3

2030年度25%以上削減(2020年度比)

 

※該当箇所の目標は、SBTのWB2℃目標としてSBTiに認定されております(2022年9月)

 

■温室効果ガス排出量実績値

当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1・2)の集計結果は下表のとおりです。

項目

単位

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

備考

Scope 1

千t-CO2

128

111

124

120

事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

Scope 2

千t-CO2

5

4

2

1

他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope 1+2

千t-CO2

133

115

126

122

 

Scope 3

千t-CO2

(1,770)

1,060

(2,160)

1,380

1,010

---

 

 

※Scope 3の集計は、当年度からカテゴリー11の電力消費計算でのエネルギー換算係数を変更しており()内は変更前数値です。なお、10千t-CO2未満は切り捨てて表示しております。

※2023年度のScope 3は、現在データ集計及び算出中です。

 

(3)人的資本政策

Ⅰ.ガバナンス

人材戦略に関する重要事項については、取締役会の監督の下、権限委任された社長がトップを務める経営会議において、具体的な課題や施策に関する審議と決定、進捗確認を行っております。また、長期ビジョン「TOA2030」を実現するために、事業規模と要員構成のシミュレーション、IT人材や外国人の採用など、部署間の事前協議が必要なテーマに関しては、部署横断で情報を共有し議論しております。

取締役および執行役員の指名・報酬に関しては、取締役会の諮問機関として指名報酬委員会を設置しております。選任手続き、報酬決定手続きの公平性・透明性・客観性を確保するため、社外取締役を委員長とし、5名の委員のうち過半数を社外取締役が占める当委員会で審議し、取締役会に対して提案・提言を行っております。

 

Ⅱ.戦略

当社は、長期ビジョン「TOA2030」において、高い技術と人材という礎によって社会を支え、人と世界をつなぐ社会基盤の整備に貢献し、未来を創造する企業となることを掲げております。実現のためには、既存事業の高度化や事業領域拡大の加速が不可欠であり、その活動を支えるのが、人材戦略による経営基盤の強化です。建設会社にとって人的資本は極めて重要です。無事故・無災害で施工し、高品質の工事を工期内に竣工させるためには、担い手確保が欠かせません。2023年度~2025年度の中期経営計画においても「事業戦略と人材戦略の融合」をビジョン実現の土台と位置付け、最重要課題ととらえて取り組んでおり、「働き甲斐のある職場づくり」「ダイバーシティの推進」「事業部門の採用と育成の権限強化」を人材戦略の柱として推し進めております。

 

<人材育成方針>

当社では「人材育成基本方針」に基づき、次代を担う多様な人材確保と成長を実感できる育成環境の整備を進めております。

 

(人材育成基本方針)

■性別や国籍、年齢などの属性にとらわれない多様性と包摂性を備え、従来の画一な人材育成とは異なる、個人の適性や能力に応じたセミオーダー型の人材育成を目指します。

■当社の将来の事業環境、事業ポートフォリオなどを想定した、計画的なプロフェッショナル人材の確保、育成を行います。

■多様な価値観を受け入れる組織文化、職場環境を構築し、個々のリスキリングなどを通じて、ライフサイクル全体を通じた長期的な人材の活躍を後押しいたします。

■人材戦略① 多様性、協調性、自発性が存在する組織文化の醸成

活力ある組織でありつづけるために、性別、国籍、年齢など属性の違いを自然に受け入れ、協調・協力し、自発的に考え、行動することを推奨する組織文化の醸成のための仕組みづくりを進めております。2023年4月に人事部内に人材戦略課を新設し、ダイバーシティ&インクルージョンを実現するための具体的な施策立案を行っております。

 

・女性の活躍推進

 2023年度末現在、当社全体の女性従業員比率は11.4%、女性管理職比率は0.8%です。多様性を指向する一方で、女性社員が少ないという状況の改善に向け、「女性総合職の採用を総合職採用の10%以上とする」との目標を掲げて、採用を積極化しております。また当社では課長以上の役職に就くことのできる職位を「準幹部職」「幹部職」としておりますが、2030年までに女性の準幹部職および幹部職に20人以上(2023年度末実績10人)を登用することを重要な目標とし、女性のキャリア採用にも注力しております。総合職社員数に占める女性の割合は、2020年度の2.9%から2023年度の5.2%へと増加しております。

さらに女性社員がより活躍できる環境を整えるために、主に定型的な業務を担う一般職社員に対し、転居を伴う転勤のない地域限定総合職制度を導入しました。2024年3月末時点の一般職社員の8割にあたる91人が2024年4月より地域限定総合職に転換し、キャリア研修などを通じた人材育成や、配置の工夫による職域の拡大を進めております。これらの取り組みにより、能力ある女性の管理職登用に向けた人材プールを拡大してまいります。

また取締役・執行役員におけるダイバーシティの推進も重要と考えており、2023年4月に1人、2024年4月に1人、女性社員を執行役員に登用しました。社外取締役についても2024年4月に新たに1人を登用し2人となり、現在4人の女性役員が経営に携わっております。今後も、女性社員が管理職の役割を担いやすい環境を整え、その役割を果たす女性社員を増やしてまいります。

 

・外国籍人材及びキャリア採用人材の活躍推進

 当社の外国籍の社員数は2024年3月末で25人です。2030年までに外国籍の社員数40人以上、準幹部職・幹部職の社員数10人以上を目指し、多国籍社員の正社員雇用、現地雇用などを推進しております。また社員に英語学習ツールを提供するとともに、国際事業本部では外国籍社員を交えた会話、会議では英語を使用するなど、英語の公用語化に取り組んでおります。

従業員のうちキャリア採用社員の比率は18.5%、全管理職におけるキャリア採用社員比率は17.6%です(2024年3月末時点)。多様性の推進に向けキャリア採用を活発化させており、2023年度採用者のキャリア採用比率は26.7%となりました。新しい職場に早期に馴染めるようフォローアップ研修を実施するなど、定着に向けた取り組みにも注力しております。

 

■人材戦略② 計画的なプロフェッショナル人材の確保と育成

 建設会社にとって人的資本は極めて重要です。当社では将来の事業環境、事業ポートフォリオなどを想定した計画的なプロフェッショナル人材の確保、育成を行っております。今後、2030年にグループ全体社員数2,210名(2024年3月末時点で1,945人)を目指し、新卒及びキャリア採用を計画的・安定的に行う方針です。

 

・各事業部門が主体的に取り組む将来の担い手育成

将来の建設業界を担う人材を獲得するために、2022年より全社員が対象のリクルーター制度を開始し、積極的なリクルーター活動を推し進めております。育成面では研修や勉強会を通じてチームワークの促進を図り、若年層社員にはフリートークの場を設け、メンター活動も積極的に行っています。また土木部門の「支店グループ制度」は、入社5年目までの若手社員が、互いの業務知識の向上を目指し、資格試験対策、DXや業務効率化に関する情報交換をしつつ、支店間の交流など、横のつながりを深める活動を展開しております。今後は作業所長への若手社員の抜てきや、営業職や専門職、ライン役職者への早期配置などについても推進してまいります。

さらに新型コロナウイルス感染症により中止していた若手社員を海外現場に数カ月間派遣するOJT研修を2024年度から再開し、引き続きグローバル人材の育成に取り組んでまいります。

 

<職場環境整備方針>

目指すべき将来像のひとつである「Well-being Social-Responsibility(社会から信頼され、社員からも愛される企業へ)」にも示す通り、当社は活き活きと誇りをもって働ける職場環境づくりとして、会社のあるべき姿を「人が集まる会社」と定め、社員の幸福度を向上させるとともに、関わるすべての人が幸せになる環境整備に取り組みます。また、こうした活動を通し、社会から信頼される企業となり、社会的責任を果たしてまいります。

 

■人材戦略③ 安心して働ける、働き甲斐のある職場づくり

当社では長期ビジョン実現のため、いかに「社員の幸福度」の高い組織を創っていくかという課題について検討をはじめております。社員が職場において感じることができる幸福度について、サーベイなどを通じて理解・分析し、施策化することを検討しております。

 また、2022年度より社員提案制度を導入し、社員の自発能動的な発信と実行が可能な仕組みを作り、風通しの良い組織を目指しております。2023年度は新規事業や技術開発、人事・教育制度など44件の応募がありました。これらの提案を共働で実現させていくことで、社員の「やりがい」と「働きやすさ」を向上させてまいります。上司と部下のほか、直属上司以外とのペアで対話する「TOAダイアログ」の制度も活用し、社員同士のオープンなコミュニケーションによって組織の活性化を図っております。

 さらに社員のより高い次元での挑戦を促し、株価及び業績向上への意欲や士気を高めるため、社員に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」を2023年に導入しました。本制度は今後の社員のエンゲージメント向上に寄与すると考えております。当社の持続的な成長のため、今後も人的資本への投資を進めてまいります。

 

■人材戦略④ ライフサイクル全体を通した長期的な人材の活躍の後押し

経営基盤を強化し、長期ビジョンを実現するためには、社員の定着率を高めることも欠かせません。特に女性社員は出産や子育てなどのライフイベントにより就業の継続が難しくなるケースがあることから、就労継続のための選択肢を用意しております。

両立支援では、産前産後休業、育児休業時の定期的なフォロー面談や復職時の職場環境配慮、女性総合職が出産育児に関連して特定地域での就労を希望する場合に、本人の希望する地域への配置を行う地域限定勤務制度などを設けています。2023年度にはベビーシッター料金の補助制度を新たに整備し、2024年度からは企業主導型保育園との連携を開始しました。今後も、仕事と家庭生活を両立できる環境づくりを進めてまいります。

また誰もが育児休業を取得しやすい企業風土の醸成に向けて、育休を取得する社員の所属部署への手当の支給(お祝い金)制度を新設するとともに、生活面での不安を軽減するために一定期間を有給とする取組みを行っております。これらにより男性の育児休業取得率は2020年度の5.9%から2023年度の90.2%へと大幅に伸長しております。

指標

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

育児休業取得率(性)

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

育児休業取得率(男性)

5.9%

12.1%

45.5%

90.2%

育児休業平均取得日数(女性)

296.8日

435.7日

293.4日

-日

育児休業平均取得日数(男性)

21.0日

44.3日

31.3日

33.7日

 

※育児休業平均取得日数については、厚生労働省が推奨する方法により当該年度に育児休業を終了し復職した社員の平均取得日数を記載しております。2023年度においては育児休業を取得した女性社員はいたものの、同年度中に復職しなかったことから、日数の表示をしておりません。

 

また当社は建設業を営む会社であり、施工場所の異なる各工事に社員を配置する必要性から、施工管理技術者を中心に、異動が発生するケースが多くあります。異動する社員のモチベーション向上と金銭的な負担感の軽減を目的に、2024年4月より転居手当の新設や単身赴任者の別居手当の増額を実施しました。今後は、異動そのものの軽減策についても検討を重ね、性別を問わず誰もができる限り長く働ける環境づくりを推進してまいります。

 

■健康経営

当社は健康経営宣言を2023年度に行い、健康経営優良法人2024(大規模法人部門)として認定されました。今後も健康経営推進委員会を通じて健康保険組合や産業医等と連携し、健康経営を推進してまいります。

 

Ⅲ.リスク管理

人材の確保におけるリスクは、当社グループのESG経営におけるリスクとして管理しております。詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(6)人材の確保におけるリスク」に記載しております。

 

Ⅳ.指標及び目標

当社では、<人材育成方針>及び<職場環境整備方針>について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

なお、連結子会社においても、ESG経営基本方針に基づいて多様な人材の育成と活躍推進に取り組んでおりますが、具体的な数値目標を設定していない等、当社グループにおける記載が困難なことから提出会社のもののみを記載しております。

指標

目標

実績

(当事業年度)

女性総合職の人数

2030年度において200以上を雇用

75

女性準幹部職・幹部職の人数

2030年度において20以上を雇用

10

外国人総合職の人数

2030年度において40以上を雇用

25

外国人準幹部職・幹部職の人数

2030年度において10以上を雇用

2

女性総合職の採用人数

総合職採用の10以上

13.5

育児休業の取得率

2024年度において男性社員50%以上、女性社員80%以上

男性: 90.2%

女性:100.0%

 

※女性総合職には地域限定総合職を含みます。

※準幹部職・幹部職は課長職以上の役職に就くことのできる職位をさします。

 

 

人的資本データシート(提出会社)

指標

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

KPI

単位

臨時従業員を含む総従業員数

1,714

1,748

1,788

1,883

 

うち女性総従業員数

230

245

251

274

 

従業員数(期末)

1,594

1,628

1,658

1,744

 

うち女性従業員数

162

177

185

199

 

(女性従業員比率)

10.2%

10.9%

11.2%

11.4%

 

平均年齢

45.8

45.6

45.3

45.0

 

平均勤続年数

20.0

19.9

19.5

19.0

 

うち男性総合職

19.9

19.8

19.3

18.7

 

うち女性総合職

8.7

7.5

7.1

6.2

 

総合職従業員数

1,314

1,336

1,363

1,432

 

うち女性総合職従業員数

38

50

62

75

(2030年度)
200人以上

(女性総合職従業員比率)

2.9%

3.7%

4.5%

5.2%

一般職(実務職)従業員数

114

118

114

114

 

うち女性一般職従業員数

113

117

113

113

 

準幹部職・幹部職者数

904

884

867

875

 

女性準幹部職・幹部職者数

7

8

10

10

(2030年度)
20人以上

管理職数

687

703

685

728

 

うち女性管理職数

7

8

6

6

 

(女性管理職比率)

1.0%

1.1%

0.9%

0.8%

 

外国人総合職従業員数

19

14

22

25

(2030年度)
40人以上

外国人準幹部職・幹部職者数

1

1

2

2

(2030年度)
10人以上

新入社員数

54

77

69

89

 

うち女性社員数

7

19

8

13

 

(新入女性社員数/新入社員数)

13.0%

24.7%

11.6%

14.6%

 

うち女性総合職数

3

14

8

12

 

(女性総合職数/新入社員数)

5.6%

18.2%

11.6%

13.5%

 

入社3年以内離職率

19.1%

8.9%

16.7%

15.1%

 

-

障害者雇用率

(法定雇用率)

2.3%

2.9%

2.7%

2.7%

(2024年)
2.5%以上

-

 

 

指標

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

KPI

単位

年次有給休暇取得率

49.5%

51.9%

55.2%

60.9%

 

-

育児休業取得率

(女性)

100.0%

100.0%

100.0%

100%

(2024年度)
80%

-

育児休業取得率

(男性)

5.9%

12.1%

45.5%

90.2%

(2024年度)
50%

-

育児休業平均取得日数

(女性)

296.8

435.7

293.4

-

 

育児休業平均取得日数

(男性)

21.0

44.3

31.3

33.7

 

 

※各指標の数値は、障害者雇用率を除いて各事業年度末日現在のものを表示しております。

※従業員数(期末)・平均年齢・平均勤続年数に係る各指標においては、人的資本経営の観点から当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。これにより、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載の数値とは差異があります。

※障害者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき各事業年度6月1日時点のものを表示しております。

※育児休業平均取得日数は、厚生労働省が推奨する方法により当該年度に育児休業を終了し復帰した社員の平均取得日数を記載しております。2023年度においては育児休業を取得した女性社員はいたものの、同年度中に復職しなかったことから、日数の表示をしておりません。