2024年5月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業環境、事業内容等に関するリスク

① 厚生行政の変化に伴う既存取引先の業績悪化(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

国家予算に占める社会保障費比率上昇抑制を目的として、報酬制度を中心に定期的な厚生行政の見直しが行われておりますが、その内容によっては、当社グループの取引先の多くの経営成績において、大きな影響を与える可能性があります。そのため、取引先において十分に対処できなければ、多くの取引先の業績が悪化するなどの事態も否定できません。

当社グループは、そのような事態を回避すべく、取引先へのモニタリングと経営指導を通じ事態深刻化の前に業績改善、事業再編等を図っております。

しかしながら、既存取引先に対する影響が甚大かつ急激である場合、取引条件見直しを余儀なくされる結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金融マーケットの逼迫と金利水準の上昇(顕在化可能性:中 発生時期:数年以内 影響度:大)

  当社グループの連結貸借対照表は、金融機関との類似性が高く、有利子負債比率が高水準にあります。このことから、金融マーケットの逼迫やマーケット金利水準が上昇すると調達そのものが難しくなることに加え、調達コストの上昇につながります。

 金融マーケットの逼迫に備え、直接金融の導入、コミットメントラインの設定等、資金調達の多様化を図っております。金利水準の上昇については、買取手数料が、市中金利水準上昇と連動して上昇しないものの、買取手数料引き上げ等の変更交渉により一定の転嫁は可能です。また、経営指導、各種コンサルティング等、資金調達を伴わないサービスの拡充にも注力しております。

  しかしながら、戦争、政情不安等の国内外の環境変化により、金融マーケットが急激に縮小し、金利水準が急激的かつ大幅に上昇し、顧客との手数料水準を主とした条件見直し対応ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 金融行政の変化等に伴う金融機関の貸出姿勢の変化(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

   当社グループは、医療機関等に対する経営サポートを主要な事業としており、資金的なサポートを含みます。

そのため、当社グループは金融機関等からの資金を調達する必要があり、金融機関等の方針の転換により、金融機関が当社グループへの与信を縮小する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。金融機関等との緊密なコミュニケーションを通じて、当社グループの事業に対する理解を促進し対応しているほか、今後は間接金融以外の調達手法も検討してまいります。

しかしながら、金融行政の大幅な変化や金融機関の取組方針の大幅な転換により、当社グループに対する急激かつ大幅な与信縮小が金融機関に発生する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 貸倒引当金について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

      当社は、過去の貸倒実績率及び回収可能性を勘案し貸倒引当金を合理的に見積り計上しております。

 当社は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)F&Iサービス   ① 診療・介護報酬債権等譲渡に基づく資金支援サービス」に記載のとおり、事業者等が社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会等(社保・国保等)に対し、既に所有する債権(確定債権)及び事業を継続することで将来発生する見込みの債権(将来債権)を、あらかじめ定めた月あたりの買取債権金額に買取月数を乗じて買取りしております。

そのため当社が買取る債権は、社保・国保等に対するものであり、債務者の信用力は一般的に高いと考えられますが、そのうち将来債権については、事業者等が医療・介護サービスの提供を完了した時点で発生するため、取引先である事業者等に不測の事態が生じ、事業の縮小や、事業継続が困難な状況となった場合には、当社は、社保・国保等からの回収を行うことができません。

そのような事態に至った場合、事業者等との債権譲渡契約に基づき、事業者等が当社に対し未回収額を補てんすることとしておりますものの、貸倒損失が発生する可能性があります。

当社は、あらかじめ取引先代表者からの保証等により買取債権の保全に努めるとともに、取引先へのモニタリングと経営指導を通じ、不測の事態が生じないよう、また、事態が深刻化する前に対応できるように努めております。

しかしながら、今後の日本経済情勢、市場環境、法制度の変化・変更等により、支払遅延又は回収不能が急増する場合には、貸倒引当金を積み増しせざるを得ないこともあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 不正・不祥事について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループの医療機関等に対する経営サポートは、医療機関等との面談・メール・通話等を通じて実施されます。このような業務の特性上、従業員等による不正行為や不祥事等が発生する可能性を完全に否定することはできないことから、当社グループでは、取引先への複数の従業員・役員による関与、従業員等に対するコンプライアンス研修等を実施することでリスクの低減に努めております。

このような取組みにも関わらず、万一、従業員等による不正行為や不祥事等が発生した場合には、取引先との取引関係に影響を及ぼす可能性や、当社グループに対する評判の悪化から当社グループの営業活動が困難になる可能性があり、このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.組織体制に関するリスク

① 情報システムについて(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

  当社グループは、取引先情報、経理情報等をコンピュータシステム及びネットワークに依存しております。これらに使用するハードウエア、ソフトウエアは汎用性の高い市販の物を使用し、データに関しても適切なバックアップ管理により、人的及び物的両面でのセキュリティ確保に努めております。

 しかしながら、これらの情報システム環境に対し、複合的かつ長期的な障害が発生する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 取引先情報及び個人情報の取扱いについて(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

  当社グループにおいて、F&IサービスやC&Brサービス推進において、取引先の機密情報を入手するケースが少なくありません。これらの情報漏洩の発生を防ぐために情報管理の規程等を整備し、従事者に対する教育を徹底するとともに情報の機密度合いによって管理フォルダを分別しアクセス権限の制限等を行い漏洩の回避を図っております。

子会社の株式会社D&Mキャリアにおいても、人材事業であることから多くの個人情報を保有しております。個人情報漏洩の発生を防ぐために、個人情報保護の規程等を整備し、従事者に対する教育を徹底しておりますとともに、個人情報を管理するデータ領域へのアクセス権の制限等で漏洩の回避を図っております。

  しかしながら、悪意のある第三者によるシステム侵入や事故等により外部流出が発生する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 当社グループに適用される法制度の変更リスク(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループの主要業務である債権買取には法規制が存在しませんが、貸付金に対しては貸金業規制があります。当該業務を推進する過程においては、貸金業務遂行上のマニュアル遵守に加え、監督官庁及び業界団体との緊密な情報連携と指導を仰ぎ、コンプライアンス上問題ない内容での業務遂行に努めております。

 また定期的に実施している内部監査においても法令遵守状況のチェックを行っております。

 しかしながら、法制度の変更により、当社の主要業務である債権買取に関し、何らかの法的又は行政規制が実施されれば、その対応に伴う業務プロセスの見直し及び整備コストの発生等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人材の確保と育成について(顕在化可能性:中 発生時期:数年以内 影響度:中)

  当社グループは、各分野で経験を積んだ役職員が役割分担と補完体制を充実させ、安定的な事業運営を行っております。併せて、今後の事業拡大及び提供するサービス多様化に対応するため、経験豊富な人材確保と多役化を一層進めてまいります。

 しかしながら、人材マーケットの状況次第で、事業拡大に見合う人員確保と育成ができない場合等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 風評リスクについて(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

当社グループは、医療・介護事業者の再生支援、地域インフラとしての医療・介護事業者のSDGs支援という「事業再生」に力点を置いた活動を展開しております。このような活動は、関係者が「希望しない変化」を伴うことも多く、悪評の発生には十分注意を払っております。具体的な対策としては、当社グループに関する定期的なネット情報の検索や取引先への定期的な往訪等での関係性の確認等です。

  しかしながら、悪意のある中傷は、その原因、動機、手法をあらかじめ特定することは不可能に近いことから、インターネットやSNS等を利用した、大量、多様かつ長期的な情報操作による悪評拡散が発生する場合、当社グループの財政状態及び経営成績並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 許認可事業での許認可要件遵守状況(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

 当社グループは、必要な許認可を取得したうえで、各事業を展開しております。これらは各々の関係法令に違反した場合等には、当該事業の停止、廃止又は許可の取消等の処分を監督官庁より受けることがあります。

 現時点において、当社グループの事業推進においては、許認可が必要な事業もあり、貸金業、有料職業紹介事業、労働者派遣事業、高度管理医療機器等販売業・貸与業、古物商、宅建業、登録支援機関等の許認可を取得しております。これまでは、マニュアル遵守や内部監査の徹底等の対策により法令違反等の事実はございませんが、今後何らかの理由により監督官庁による処分を受けた場合には、当社グループの事業活動の他、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、これらの規制等の改廃、新設が行われた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 訴訟等の可能性について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

取引開始時には、事前に充分条件説明を行い、かつ契約書においても弁護士監修の下、トラブルに至らないよう取引後に想定される様々なケースに対応できる内容にしており、訴訟等の回避の体制は構築しております。しかしながらビジネスの性質上、訴訟を受ける可能性はあります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他に関するリスク

① 大規模災害等の影響(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

 地球環境の変化に伴い、甚大なる自然災害の発生頻度が高まっており、地域インフラの一翼を担う医療・介護事業者の事業継続に深刻な影響を与える事例も発生しております。幸いにも、当社グループ取引先に甚大な影響が発生した事例は、現在までございません。

しかしながら、大規模地震を含め、地域社会に大きな影響を与える大規模自然災害等が発生した場合、顧客である医療・介護事業者への事業継続のみならず、当社グループの財政状態及び経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

② 大規模な感染症流行による影響について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

 2019年12月に報告された新型コロナウイルス感染症のパンデミックは当社グループの事業活動に影響を与えました。当社グループの主要取引対象先である医療・介護事業者が、独立行政法人福祉医療機構による同感染症に係る無担保・無利子の対応支援資金融資等を利用する事例があり、短期的には事業者等あるいは取引先候補者の経営環境好転による需要の一時的減少が生じました。

 同様の大規模な感染症が流行した場合には、医療・介護事業者の資金需要の変化のみならず、取引先の大幅な業績悪化等、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

大規模感染症流行時の国や地方自治体による医療・介護事業者への支援に関する指針を注視し、医療・介護事業者の経営への影響を予測し事前に対処するほか、社内的影響としては、大規模な感染症により業務遂行に必要な人員やスタッフが確保できない可能性があります。その対策としては、リモート業務のインフラと規程を整備し、在宅業務可能な体制を構築するとともに社員には徹底した安全管理・衛生管理を呼びかけ、時差出勤・在宅勤務・情報収集等を実施し、同感染症の感染拡大を抑え、企業活動の継続を維持できる体制を整備しております。

 

③ 特定の取引先への依存について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社グループにおいて、医療法人財団コンフォートに対する売上高の、当社連結売上高に占める比率が2024年5月期において、22.8%となっております。当財団グループとは長期に亘って良好かつ安定的な取引関係を維持できており、現時点において、取引関係に支障をきたす事象は生じておらず、今後も継続的な取引が維持できるものと考えておりますが、今後は依存度を下げるべく、他の既存取引先との取引拡大や新規取引先の開拓によりリスク低減に努める方針であります。

しかしながら、何らかの理由により、当財団グループとの取引関係が継続困難となった場合や取引が大幅に減少する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 大株主との関係について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

当社の大株主である松井信博氏及びその親族は、親族の資産管理会社である株式会社YSY及び親族の所有株式数を合わせると2024年7月末時点で発行済株式総数の44.52%を所有しております。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針としております。当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の所有株式数が急激に増減した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在、当社グループと当社大株主松井信博氏、その親族、及びその親族の資産管理会社である株式会社YSYとの人的関係、取引はございません。

 

⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

  当社グループは、役員及び従業員に対してインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。2024年7月末時点で新株予約権による潜在株式数は76,000株であり、当社発行済株式総数2,246,000株の3.38%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、成長することで投資家に報いていくことを第一としておりますが、当面は成長戦略投資に向けた内部留保を優先し、時期を検討しながらも営業基盤・財務基盤を強固なものにできれば、市場の平均的な配当性向を目指すこと、及び事業年度における配当の回数については年1回とすることを基本方針としております。

当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、期末配当は5月31日を、中間配当は11月30日をそれぞれ基準日として、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり5円の配当としております。

内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、将来の事業拡大の実現に向け有効活用してまいります。

(注)基準日が第9期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年8月23日

株主総会決議

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