事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
戸建住宅 | 1,144,505 | 20.6 | 69,826 | 13.1 | 6.1 |
賃貸住宅 | 1,376,089 | 24.7 | 129,960 | 24.4 | 9.4 |
マンション | 269,427 | 4.8 | 10,908 | 2.1 | 4.0 |
商業施設 | 1,227,145 | 22.0 | 145,928 | 27.5 | 11.9 |
事業施設 | 1,369,730 | 24.6 | 159,655 | 30.0 | 11.7 |
環境エネルギー | 131,180 | 2.4 | 12,420 | 2.3 | 9.5 |
その他 | 50,918 | 0.9 | 2,840 | 0.5 | 5.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループ(当社、連結子会社489社及び持分法適用関連会社177社(2025年3月31日現在)により構成)においては、戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギー及びその他の7事業を主として行っており、生活基盤産業への総合的な事業を展開しております。
各事業における当社グループの位置付け等は次のとおりです。
(戸建住宅事業)
戸建住宅事業においては、戸建住宅の注文請負・分譲を行っております。
[主な関係会社]
Stanley Martin Holdings, LLC、Rawson Group Pty Ltd、Trumark Companies, LLC、CastleRock Communities LLC、大和ハウスリフォーム㈱、大和ハウスリアルエステート㈱、㈱デザインアーク、大和ランテック㈱
(賃貸住宅事業)
賃貸住宅事業においては、賃貸住宅の開発・建築、管理・運営及び仲介を行っております。
[主な関係会社]
大和リビング㈱、North Clark LLC、DH MQW Pty Ltd、Daiwa House USA Member LLC、大和ハウス賃貸リフォーム㈱、Daiwa House Modular Europe B.V.
(マンション事業)
マンション事業においては、マンションの開発・分譲・管理を行っております。
[主な関係会社]
大和房屋(常州)房地産開発有限公司、大和ライフネクスト㈱、和宝(南通)房地産開発有限公司、玖心(常州)房地産開発有限公司、玖心(蘇州)房地産開発有限公司、Elephant Park Plot H11b LLP、Broadway Community Venture LLC、Broadway Community Owner LLC
(商業施設事業)
商業施設事業においては、商業施設の開発・建築、管理・運営を行っております。
[主な関係会社]
大和リース㈱、大和ハウスリアルティマネジメント㈱、ロイヤルホームセンター㈱、スポーツクラブNAS㈱、大和ハウスパーキング㈱
(事業施設事業)
事業施設事業においては、物流・製造施設、医療介護施設等の開発・建設、管理・運営を行っております。
[主な関係会社]
㈱フジタ、大和物流㈱、Daiwa House Malaysia Logistic Sdn. Bhd.、㈱ダイワロジテック、若松梱包運輸倉庫㈱、神山運輸㈱、大和ハウスプロパティマネジメント㈱
(環境エネルギー事業)
環境エネルギー事業においては、再生可能エネルギー発電所の開発・建築、再生可能エネルギーの発電及び電力小売事業等を行っております。
[主な関係会社]
大和エネルギー㈱、エネサーブ㈱
(その他事業)
その他事業においては、金融事業及びその他の事業を行っております。
[主な関係会社]
PT Daiwa House Indonesia、Daiwa House Malaysia Sdn. Bhd.、大和ハウスグループ投資事業有限責任組合、㈱メディアテック、㈱伸和エージェンシー、大和ハウスフィナンシャル㈱、大和ハウスインシュアランス㈱、ダイワロイヤルゴルフ㈱、大和ハウス・アセットマネジメント㈱、大和ハウス不動産投資顧問㈱
(注)地域統括会社等であるDH Asia Investment Pte. Ltd.、Daiwa House Australia Pty Ltd、Daiwa House USA Holdings Inc.、Daiwa House Texas Inc.については、上記7事業における主な関係会社に含まれておりません。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
2025年3月31日現在
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直し、好調なインバウンド需要により、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、エネルギーや原材料価格の高騰、慢性的な人材不足に加え、不動産市場の停滞により景気の足踏みが続く中国経済や米国の政策動向等による海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクは継続しております。
国内の住宅市場における、2024年4月から2025年3月の累計新設住宅着工戸数は、分譲住宅が前年比マイナスとなったものの、持家及び貸家が増加したことにより全体では前年比でプラスとなりました。一般建設市場では、建築着工床面積において、店舗が増加したものの事務所、工場及び倉庫が減少し全体で前年比マイナスとなりました。
このような事業環境の中で当社グループは、2022年度よりスタートした5ヵ年計画「第7次中期経営計画」において、「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」の3つの経営方針を掲げ、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業とストック事業の拡大やDXによる顧客体験価値向上等、様々な高付加価値提案や施策を積極的に推進してまいりました。「収益モデルの進化」では、「再生と循環」をキーワードに、地域・お客様の視点で、「創る・育む・再生する」の循環型バリューチェーンの拡充に努めております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は5,434,819百万円(前連結会計年度比4.5%増)、営業利益は546,279百万円(前連結会計年度比24.1%増)、経常利益は515,985百万円(前連結会計年度比20.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は325,058百万円(前連結会計年度比8.8%増)となりました。
なお、上記の営業利益には退職給付数理差異等償却益101,238百万円を含んでおり、数理差異等を除いた営業利益は445,041百万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
戸建住宅事業では、住まいのあり方が多様化する中、省エネ性とレジリエンス性能に優れた良質な住宅を提供してまいりました。加えて、住まう方の人生や変化する価値観に寄り添い、暮らしを豊かにするライフスタイル提案も行ってまいりました。
国内の住宅事業では、新しい分譲住宅「Ready Made Housing.(レディ メイド ハウジング)」という考え方のもと、人件費や住宅建築資材等の物価高騰の中でも注文住宅と変わらない高い設計力と品質、安心の長期保証、そしてアフターサポートを叶え、価格以上の価値を目指した良質な分譲住宅を提供しております。
注文住宅では、「自由設計と規格住宅のいいとこどり」が可能な注文住宅「Smart Made Housing.(スマートメイドハウジング)」の考え方のもと、事業を推進しております。2025年1月に当社オリジナルの「内外ダブル断熱」と太陽光発電システムを標準搭載することで、軽量鉄骨造3階建ての戸建住宅商品では初めてZEHに標準対応となる「xevo M3(ジーヴォ・エムスリー)」を発売いたしました。
また、ストック型社会の到来を見据え、既存建物の再生・循環にも注力しております。特に、かつて当社が開発した各地の住宅団地において、地域活性化や空き家問題等の社会課題に向き合い、まちを再生・再耕する「リブネスタウンプロジェクト」に取組んでおります。そこに暮らす人々と共に考え、まちと暮らしに寄り添い、未来に向かって輝き続けるまちの価値構築を進めております。
海外では、米国の東部・南部・西部を結ぶスマイルゾーンにおいて、東部のStanley Martin、南部のCastleRock、西部のTrumarkのグループ3社を軸とした事業拡大を進めております。2024年度は高止まりする住宅ローン金利の影響がある中、モーゲージバイダウン等のインセンティブ施策の活用による販売戸数の拡大や、工期短縮によるコスト削減等に取組みました。また各エリアにおいて、スプリングセールス期間に合わせた戦略的な販売中分譲地数の拡大により、足元の受注は堅調に推移しております。
以上の結果、当事業の売上高は1,144,505百万円(前連結会計年度比20.3%増)、営業利益は69,826百万円(前連結会計年度比98.6%増)となりました。
賃貸住宅事業では、ご入居者様、地球環境、街への3つの視点から持続的な価値を提供し、オーナー様の資産価値の最大化につながる賃貸住宅経営の提案とサポートを行ってまいりました。加えて、環境負荷を低減し、省エネ・創エネ対応のZEH-M物件の普及に努めております。
2025年3月には、創業70周年を記念してZEH-M(※)に対応した重量鉄骨ラーメン構造3・4階建て賃貸住宅商品「THE STATELY(ザ ステイトリー)」の販売を全国(北海道、沖縄県、一部エリアを除く)で開始いたしました。耐震等級の中で最も高い耐震性能である耐震等級3を実現した重量鉄骨ラーメン構造3・4階建て賃貸住宅商品となっており、1階部分は物販店舗や事務所等の用途にも対応できるため、建設地エリアのニーズに合わせた提案を可能としております。今後もオーナー様への幅広い土地活用の提案と、ご入居者様から選ばれる賃貸住宅を提供してまいります。
大和リビング株式会社では、多様なご入居者様に選ばれる、高品質で住み心地の良い賃貸住宅「D-ROOM」の提供に加え、管理物件の競争力ある部屋づくりも奏功し、管理戸数の増加及び高い入居率の維持につながっております。
大和ハウス賃貸リフォーム株式会社では、当社施工の賃貸住宅における定期点検や診断を通じたリレーションの強化を図り、保証延長工事やリノベーション提案を推進してまいりました。
海外では、賃貸住宅開発事業を展開している米国において、シアトル近郊で開発したエステラパーク・プロジェクトにおけるパークサイドを2024年11月に売却いたしました。また、同月には米国で賃貸住宅事業を行うAlliance Residential Companyを持分法適用関連会社といたしました。米国における当社グループのネットワークや提案力の強化により不動産開発プラットフォームの拡大を目指してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は1,376,089百万円(前連結会計年度比10.1%増)、営業利益は129,960百万円(前連結会計年度比12.2%増)となりました。
※ ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略称。断熱性・省エネ性能を高め、再生可能エネルギーなどにより、エネルギー収支ゼロを目指す集合住宅のこと。
マンション事業では、お住まいになる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使し、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。
2025年3月には、摂津市がJR東海道本線「千里丘駅」西側で進めている「千里丘駅西地区第一種市街地再開発事業」地内に、当社を含む4社共同企業体が開発する地上36階建て分譲マンション「プレミストタワー千里丘」(大阪府)が販売開始いたしました。駅直結の歩行者専用通路や隣接する商業施設等、再開発事業での整備による充実した周辺環境に加え、多彩な共用施設や設備による快適な住環境が評価され販売が順調に進捗しております。
大和ライフネクスト株式会社では、2025年1月に株式会社Octa Robotics及び綜合警備保障株式会社と共同で、ロボットとセキュリティシステムの連携についての実証実験に成功いたしました。経済産業省による「令和6年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に採択された本実験では、無人環境下においてロボットがセキュリティシステムの稼動を維持しながら警備・清掃業務を自律的に遂行できることを確認いたしました。これにより、ロボットが単独で建物内を自由に動くことができる環境を実現することが可能となりました。今後はロボット運用における各種セキュリティの強化や、複数のロボットの同時稼働を実現するためのシステム開発をパートナー会社と共に進め、管理品質の向上につながる新たな建物管理サービスの開発・販売に向けた取組みを加速させてまいります。
海外では、米国及び英国ロンドンにおける分譲マンション開発は順調に進捗しております。
しかしながら、前連結会計年度において株式会社コスモスイニシアが連結子会社から持分法適用関連会社となったことなどにより、当事業の売上高は269,427百万円(前連結会計年度比39.0%減)、営業利益は10,908百万円(前連結会計年度比70.8%減)となりました。
商業施設事業では、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じた多様な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、当社で土地を取得し、開発企画・テナントリーシング・設計施工まで行った物件を投資家様に販売する分譲事業、及び事業用施設の売買仲介・買取再販事業等にも注力してまいりました。
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、2025年3月末の総店舗数は64店舗となっております。同年2月には、「ロイヤルホームセンター戸田公園」(埼玉県)で改装工事を実施し、ペットや通常店舗では取扱いのない高品質なペットフード等を展開することで、ペット売場の強化を実施いたしました。
都市型ホテル事業では、大和ハウスリアルティマネジメント株式会社にて運営しておりますダイワロイネットホテルズにおいて、インバウンド需要も好調に推移しており、当期累計平均稼働率は88.5%となっております。また、2025年2月に「ダイワロイネットホテル秋田駅前」、同年3月に同社初のリゾート型ホテル「BATON SUITE 沖縄古宇利島」が開業いたしました。
スポーツ施設事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、販促強化を実施した結果、当連結会計年度のクラブ入会者数が前年比約150%を達成いたしました。引き続きセールス担当者への研修を強化し、更なる売上の向上を図ります。
大和リース株式会社では、2025年1月に東京都江戸川区で「総合レクリエーション公園」、「新左近川親水公園」をリニューアルオープンいたしました。当施設は、江戸川区南部の葛西地区にある公園をリニューアルするもので、区が公募を行い、当社を代表とするグループが事業協力者に選定されました。遊具や園路・ベンチ・トイレなどの公園施設の整備、カフェやレストラン・バーベキュー場等の運営等を行い、多くの利用者に親しまれる施設を目指してまいります。
海外では、台湾・高雄市において、2020年1月より開発を進めておりましたホテル・分譲マンションからなる複合開発プロジェクト「台湾高雄プロジェクト」(※)のホテル棟が完成し、2024年11月に「ホテル・ニッコー高雄」が開業いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は1,227,145百万円(前連結会計年度比3.9%増)、営業利益は145,928百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。
※ 台湾の大手不動産開発会社である大陸建設株式会社が設立した汎陸建設實業(はんりくけんせつじつぎょう)株式会社に、当社が出資し当プロジェクトに参画。
事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用を総合的にサポートし、業容の拡大を図ってまいりました。
物流施設関連では、2025年1月から3月の3ヶ月間において、需要が堅調な九州地区での大型賃貸施設「DPL福岡東」を着工いたしました。リーシングも堅調に進んでおり、「DPL札幌南Ⅲ・Ⅳ」、「DPL沖縄豊見城Ⅰ」、「DPL岩手花巻」、「DPL小田原」(神奈川県)で賃貸借契約を締結いたしました。
リブネス事業では、2025年1月から3月の3ヶ月間において、「リブネスひたちなか市山崎」、「沼津市西島町介護施設」、「Dプロリブネス名古屋市昭和区御器所」、「古河市茶屋新田リブネス計画」の4物件の買取販売を行いました。
食品関連事業では、中食の需要増加に伴い、冷凍食品の製造工場及び保管用の冷凍冷蔵倉庫の引合いが増えております。また、医薬品や健康食品の分野では高品質な物流センターの需要も増加しております。
主に当社が開発した物流施設を管理・運営する大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、2025年1月からの3ヶ月間において「DPL小牧」(愛知県)をはじめとする物流施設等6棟について新規プロパティマネジメント契約を締結し、2025年3月末時点の管理棟数は258棟、管理面積は約1,070万㎡となりました。
ロジスティクスサービス業を展開するダイワロジテックグループでは、IT事業において顧客企業のDX推進における投資拡大が続く中、受注も堅調に推移しIT事業における業績は計画を達成いたしました。引き続き物流業務の省人化・自動化案件を中心に取組み、更なる新規顧客獲得へつなげてまいります。一方、物流事業においては、主要顧客との契約見直しの影響もあり収益が伸び悩んでおりますが、全拠点における原価改善に取組むと同時に新規顧客獲得による未利用スペースの充足等により業績改善を進めてまいります。
株式会社フジタでは、大型建築工事として集合住宅や工場等、土木事業として区画整理事業の造成工事や風力発電所の建設工事等を受注し、業績は堅調に推移いたしました。
海外事業では、当社がベトナム北部で初めて開発したマルチテナント型物流施設「DPL Vietnam Minh Quang(ベトナムミンクアン)」が2025年2月に開所しました。当施設はタイ王国で物流施設や工場の開発等を展開する最大手のWHA Corporation PCLとの共同事業で進めていたものです。今後も米国及びASEAN等において事業施設の開発を加速してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は1,369,730百万円(前連結会計年度比5.8%増)、営業利益は159,655百万円(前連結会計年度比29.5%増)となりました。
環境エネルギー事業では、脱炭素への流れが加速し、再生可能エネルギー導入のニーズが高まる中、EPC事業(再生可能エネルギー発電所の設計・施工)、PPS事業(電力小売事業)、IPP事業(発電事業)の3つの事業を推進してまいりました。
EPC事業では、太陽光発電所から離れた需要家に供給する「オフサイトPPA(※)」、屋根上や隣接地に設置した太陽光発電所から直接電力を供給する「オンサイトPPA」の2つのPPA事業の拡大に取組んでまいりました。再生可能エネルギーの需要は着実に増加しております。今後も当社が創業以来積み重ねてまいりました用地開発のノウハウを活かした太陽光発電所用地の確保と、大手エネルギー会社との協業による需要家の開拓を行い、主力事業として引き続き注力してまいります。
PPS事業では、電源調達調整費(独自燃調)の導入等の取組みとともに、電力卸売市場のスポット価格が安定したことにより、過去最高の収益となりました。電力業界における事業環境動向の予見は困難なため、今後も事業リスクの対策を継続しPPS事業の安定化に取組んでまいります。
IPP事業では、太陽光発電を中心に、風力発電、水力発電を全国677ヶ所で運営しており、発電量は894MWとなります。
また、蓄電池事業を開始するほか、海外での事業展開に向けた取組みとして、タイ王国において、物流施設や工場の開発等を展開するWHA Corporation PCLと合弁契約を締結し、当事業海外初となる「PPAモデル自家消費型太陽光発電設備(オンサイトPPA)」の展開を2025年2月より開始いたしました。これまでの事業で培ったノウハウを活かし、更なる再生可能エネルギーの普及拡大を目指してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は131,180百万円(前連結会計年度比5.9%減)、営業利益は12,420百万円(前連結会計年度比36.0%増)となりました。
※ Power Purchase Agreement(パワー・パーチェス・アグリーメント)の略。電力購入契約。
(注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加420,561百万円、投資活動による資金の減少493,370百万円、財務活動による資金の減少44,682百万円等により、あわせて112,617百万円減少いたしました。この結果、当連結会計年度末には326,954百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は420,561百万円(前連結会計年度比39.1%増)となりました。これは、主に法人税等の支払いや販売用不動産の取得を行ったものの、税金等調整前当期純利益を488,783百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は493,370百万円(前連結会計年度は310,419百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は44,682百万円(前連結会計年度は97,399百万円の増加)となりました。これは、主に借入による資金調達を行ったものの、自己株式の取得や社債の償還、株主配当金の支払いなどを行ったことによるものです。
3.生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しております。(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
(注) 1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しております。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めております。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証
するものではありません。
<CFOメッセージ>
大和ハウスグループは、時代に応じてビジネスモデルを進化させながら成長してきました。創業当初は請負事業が中心でしたが、その後、分譲事業へも事業を拡大してきました。そして事業用定期借地権制度ができたことによる土地所有者の「土地を売らずに貸して収益を得たい」というニーズに応えるための事業を手掛けるようになり、さらには、当社が購入した土地に商業施設や物流施設などを開発する不動産開発事業も展開するなど、私たちは多くの土地情報と様々なテナントさまのニーズをつなぐ事業を拡大してきました。特別なことをしてきたわけではなく、「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者精神のもと、お客様のニーズに真摯に向き合い、事業を行ってきた結果であり、当社グループらしい進化の形として、これからも変革は続くと考えています。
持続的な成長と企業価値の向上を追求する企業として、足元では、金利の変動をはじめとした多岐にわたる事業環境の変化や課題に直面しながら、ビジネスモデルを変革し、状況に応じて資本戦略の見直しを行っています。
変動する世界経済・金利のある世界への対応
日本では、長らく低金利の時代が続いていましたが、徐々に「金利のある世界」へと移行が進みつつあります。足元では、大きな影響を受けている状況ではありませんが、金利上昇が事業に及ぼす影響は決して軽微なものではないと考えています。
例えば、多くの方が住宅を購入する際には住宅ローンを利用されますが、住宅ローン金利が上昇すると、お客さまが負担するコスト(支払総額)は増加するので、購買意欲の減退に繋がり、住宅販売に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産開発事業における収益性も金利の影響を受けます。建物が完成し、安定稼働した後に、物件を売却することで、利益を得るわけですが、売却の際のキャップレート(投資家の期待利回り)が上昇すれば、売却が予定通りに進まなくなる可能性があります。さらには、有利子負債に対する支払利息が増加することで費用が増えます。当社では金利上昇のリスク等を鑑み固定金利と変動金利のバランスをとりながら資金調達をしていますが、変動金利の部分はもちろんのこと、将来的には固定金利による調達コストにも影響が出ることが想定されます。これらのリスクを鑑み、今後の事業展開に向けた対応策を講じています。
変動する金利への打ち手
2023年2月に将来の金利上昇を見越して、不動産開発におけるハードルレートであるIRR(内部収益率)の基準を引き上げました。ハードルレートの引き上げについては、当初、積極的に投資を行いたい現場からネガティブな反応もありましたが、不動産開発の規模が拡大していく中、金利上昇へのリスク対応は重要であり、実施しました。今後想定される利上げの範囲であれば現在のハードルレートの水準で対応は可能だと見ています。
直近では、従業員に対して「金利が発生する世界への対応」という内容のメッセージを発信しました。私自身が大和ハウス工業に入社した1980年代の高金利時代の経験を踏まえながら、業績に与える影響額や、創業者の「金利は眠っている間にも働く」といった言葉を用いて、変革に対する意識の醸成を行っています。長らく低金利の環境が続いてきましたが、従業員一人ひとりが金利上昇のリスクを認識し、今後の営業活動、投資判断ができるようマインドチェンジすることが大切であると考えています。
また当社では、現場への意識づけ、資産の回転率向上につなげることを目的に「社内金利制度」を設けています。管理会計の仕組みの1つですが、各セグメント、各事業所で保有する資産に対して金利を賦課させることで、現場に金利を認識させる制度です。この制度があることで、現場はよりキャッシュフローを意識し棚卸資産を回転させること、お客さまとの契約の回収条件の改善に動かなければならなくなります。金利への意識は現場にも浸透していると感じています。今後も、現場の金利への意識、資産回転率向上への意識が薄れないように、効果的な策を検討していきたいと考えています。
変わりゆくビジネスモデルと今後の成長戦略
私が総資産回転率の改善は不可欠であると考えている背景には、以前は0.95倍から1.05倍の範囲内に収まっていた総資産回転率が、2020年のコロナ禍を経て、現在は0.8倍程度にまで下がっているからです。これは、投資が回収を上回っているということを意味しています。事業拡大に伴い、成長投資が回収より先行している部分はありますが、仮にこの状態が続くと、環境が変化した際の財務運営の舵取りが難しくなるリスクがあると認識しています。CFOとしては、当初第7次中期経営計画の最終年度としていた2026年度までに、万難を排して改善していきたい思いです。
海外事業における成長の方向性
現在、海外事業の構成比が徐々に高まり、なかでも米国事業への投資(M&Aや不動産投資)が増えています。海外への投資については、国内での投資と比較してリスク管理がより重要であると考え、海外でのプロジェクトについては、日本国内における投資ハードルレートより投資エリアのリスクに応じた高い水準を設定しています。またモニタリング機能の強化や現地子会社との連携の機会を増やすなど、慎重に海外事業を推進しています。
米国政府が導入を進めている関税については、米国の戸建住宅3社がカナダから輸入する木材が影響を受ける可能性がありますが、2025年4月にカナダ産木材は追加関税の対象外との発表もあり、現状は業績への影響は限定的であると見ています。米国の経済全体が急激な物価上昇やスタグフレーションに直面するリスクは考えられますが、人口が増加するエリアでの住宅需要は依然として強く、事業機会は多いと見ています。当社グループの成長において米国市場は引き続き重要な位置付けであり、今後も注力していきます。
国内事業の課題と対応策
日本国内では、人口減少に伴う世帯数の減少などによる住宅市場の縮小や建設業界における従事者の激減は大きな課題です。当社では初任給の改定などの人財確保に向けた施策や、現場の業務効率化と生産性の向上を目指す「建設DX」の取り組みを進めています。また、事業機会としては、老朽化した建物の建替え需要などのニーズはまだまだあると考えており、中でもBIZ Livness(事業施設・商業施設など非住宅分野の売買仲介、リノベーション・リフォームなどの不動産ストック事業)をより伸ばしていく必要性があります。
財務面では、戸建住宅のみならず、賃貸住宅、商業施設、事業施設でも積極的に展開している分譲事業により棚卸資産は増加傾向にあります。計画通りに進んでいない土地などに対しては、各事業部門に対応を任せるのではなく、コーポレート部門も一緒になって、全体最適を考えながら積極的に資金化を進めています。
資本戦略とROE13.0%へのストーリー
資本効率としてROE13%以上と財務規律としてD/Eレシオ0.6倍程度は優先順位をつけず両立したいと考えています。ROEは株主さまやエクイティ投資家の皆さまにお約束している指標ですが、一方でD/Eレシオは、金融機関や債券保有者をはじめとするデッド投資家の皆さまに対しての責務であると考えています。ROE目標を達成するために自己資本を抑えると共に、D/Eレシオの水準も見なければならないため、そのバランスは非常に難しいと考えています。
持続的な成長のための資金調達が必要な当社にとって、現在AA格である信用格付の維持は重要です。昨今の金利上昇や、特に2008年のリーマンショックの際にAA格以上でなければ社債発行ができなかったという経験などを踏まえると、今が重要な局面だと認識しております。D/Eレシオ0.6倍程度に向け資産の回転率向上、グループ内資金融通なども活用した有利子負債の圧縮を着実に進めていきます。投資が先行しているということはいずれ回収をしなければならないため、不動産売却による資金の回収、売却益の計上等、中期経営計画の期間中に様々な手を尽くしてROEとD/Eレシオの目標に向けて努力したいと考えています。
次期中期経営計画においては、どれだけの成長資金が必要であるか、また利益の積み上げによる自己資本の状況を鑑み、改めてD/Eレシオの水準を検討していきます。当社グループの成長のためには、アクセルとブレーキのバランスを考えながら、ビジネスチャンスをつかんでいくことが重要ですので、格付会社の方々を含めたステークホルダーと、丁寧なコミュニケーションをとっていく必要があると認識しています。
また、2027年度からは新しいリース会計基準が適用となり、従来オペレーティング・リースとして扱われていた取引がバランスシートにも影響を与えることが想定されます。既存のD/Eレシオについても、基準が変更された時に見え方が大きく変わりますが、キャッシュフローは変わらない為、影響はないと考えています。システム変更などの社内準備は進めていますが、会計監査人とも綿密なコミュニケーションを取りながら、会計基準変更により影響を受ける取引について、より詳細な検証を行っていきます。
株主還元等により自己資本をコントロール
当社グループは成長投資、株主還元ともに重要だと捉え、第7次中期経営計画では配当性向を35%以上、配当下限額も設定し、その基準を守りつつ成長投資を進めています。株価や投資案件の状況を鑑み、自社株買いについても機動的に実行することで、自己資本をコントロールし、ROE目標の達成を目指していきます。
また、当社株式への投資魅力をさらに高めるとともに、当社グループのサービスをご利用いただくことによって事業内容をより深く知っていただくことを目的として、2025年3月より株主優待制度を拡充しました。株主構成を見ると、個人株主の比率は約12%に留まっており、東京証券取引所平均と比べると低い水準です。当社グループの売上高の半分は戸建住宅やマンション、賃貸住宅など、個人のお客さま向けの事業ですから、より多くの方に当社の株式を保有していただくきっかけになればと考えています。個人株主の比率が増えることで、資本コストの低減にもつながると考えています。
資本コストと株価を意識した経営の推進
企業価値のさらなる向上への取り組み
2025年5月に、上場来高値を更新したことを大変嬉しく思います。2025年2月に発表した第3四半期決算発表の内容が良かったことに加えて、同日にリリースした株主優待の拡充も影響したのではないかと考えています。しかし、私たちは現在の株価水準に満足していません。PERは11~12倍程度ですが、これはプライム市場上場企業の平均(16.5倍)や建設・不動産セクターの平均(建設:14.9倍、不動産:14.0倍)よりも下回っています。将来に向けた成長ストーリーをしっかりと投資家にお伝えし、最適な資本政策を追求することでさらなる株価の向上を目指していきます。
※PERの数値は日本取引所グループ公開の2025年4月末時点加重平均を参照。
資本コストの改善に向けて
当社グループの資本コストは約7%(CAPM理論より算出)であると認識していますが、十分なエクイティスプレッドも意識しながらROEの目標値を設定しています。成長戦略の推進の途中経過をしっかりとお見せするなどの適時適切な情報開示に加え、サステナビリティ経営の推進や強固なガバナンス体制の構築など、資本コストの低減に向けて取り組んでいきます。また、これまでの実績も含めて、当社の今後の成長性についての理解を更に深めていただけるよう、持続的な成長と企業価値の向上を追求する企業として、多様な投資家の皆さまとの建設的な対話を今後も継続していきます。
2024年度末の総資産は、2023年度末比で5,156億円増加し、7兆493億円となりました。その主な要因は、各事業で分譲事業を推進するため販売用不動産の仕入れを強化し、特に戸建住宅事業及び商業施設事業において棚卸資産が増加したことによるものです。
負債合計については、2023年度末比で3,226億円の増加となり、4兆3,325億円となりました。その主な要因は、販売用不動産や投資用不動産の取得等のために借入金による資金調達を行ったことによるものです。
純資産合計については、2023年度末比で1,929億円増加し、2兆7,167億円となりました。その主な要因は、株主配当金956億円の支払いや自己株式1,000億円の取得を行ったものの、3,250億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。
リース債務等を除く有利子負債残高は、2023年度末比で2,212億円増加し、2兆3,090億円となりました。D/Eレシオについては、0.80倍(※1)となり、0.6倍程度としている財務規律を上回っておりますが、これは成長のための積極的な投資を進めたことによるものであり、当初第7次中期経営計画の最終年度としていた2026年度(※2)において掲げた財務規律を遵守すべく、資本政策を検討してまいります。
資産内訳については、棚卸資産の残高が2兆5,716億円となり、大きな割合を占める状況となっております。今後も棚卸資産や投資用不動産の取得等により、資産が増加することが見込まれますが、最適資本構成の検証により財務の健全性維持に努めてまいります。
※1.公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)及びハイブリッドローン(劣後特約付ローン)のうち合計2,500億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。
※2.第7次中期経営計画は、当初2026年度を最終年度とした5ヶ年計画としておりましたが、1年前倒しで終了し、2026年度を初年度とする第8次中期経営計画の公表を2026年5月に予定しております。
2024年度末の棚卸資産は2兆5,716億円となり、2018年度対比で169%の増加となりました。主な増加要因は、各事業
で当社の強みの一つである「土地を起点とした複合的な事業提案力」の強化を図り、投資不動産の購入を検討されてい
るお客様に向けた販売用不動産の仕入を増加させたことにより、特に賃貸住宅や商業施設事業において残高が増加した
ものです。また米国戸建住宅3社(Stanley Martin社、Trumark社、CastleRock社)において、米国住宅市場の進出エリ
アが順調に拡大していることも棚卸資産の増加につながっております。
投資不動産は1兆5,720億円となり、2018年度対比で46%の増加となっております。内訳としては流動化不動産(※3)が1兆2,200億円で66%の増加、収益不動産(※4)が3,520億円で3%の増加となっており、流動化不動産の増加
が投資不動産の増加につながっております。主な増加要因は収益ドライバーの一つである物流施設の開発投資を拡大し
てきたことによるものです。
資産の増加は棚卸資産や投資不動産の増加によるところが大きくなっていますが、これは成長のための投資を積極的に行っていることによるものです。投資に際しては、IRRを重要な指標として意思決定しており、売却時には資金回収及び収益獲得に寄与するものと考えております。今後も、市場の環境等を踏まえながら最適なタイミングで売却を実施し、資本効率の向上に努めてまいります。
※3.流動化不動産:値上がり益を得る目的で投資後、早期に売却可能な不動産。
※4.収益不動産:賃貸収益を得る目的で投資・開発した不動産。
キャッシュ・マネジメントについては、事業活動によるキャッシュ創出額を基準として投資を行うことを基本的な考え方としております。第7次中期経営計画において、財務規律としてD/Eレシオを0.6倍程度に設定しておりますが、優良な投資機会に対しては、積極的な投資を行う必要があり、成長のための投資が先行し一時的に規律を上回ることがあります。中長期的には、0.6倍程度に有利子負債の水準をコントロールするため、社内の投資判断基準を設定、厳格に運用し、成長投資と財務健全性の維持の均衡を図っております。
2024年度における営業活動CF(休日調整後)は4,300億円となり、2023年度に比べ1,372億円増加し、自己資本を1とした場合の営業活動CF比率は、2023年度の0.12から0.04ポイント上昇し0.16となりました。その主な要因は、法人税等の支払いや販売用不動産の取得を行ったものの、4,887億円の税金等調整前当期純利益を計上したことによるものです。
投資活動CFについては、第7次中期経営計画における投資計画に基づき、賃貸等不動産等の取得や、不動産開発事業への投資を3,117億円実行したことなどにより、△4,933億円となりました。その結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動CF+投資活動CF)は△633億円となりました。
財務活動CFについては、主に借入による資金調達を行ったものの、自己株式の取得や社債の償還、株主配当金の支払いなどを行ったことにより△446億円となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の2024年度末残高は2023年度末から1,126億円減少し、3,269億円となりました。
[ 図13 ]
海外事業における売上高は9,050億円、営業利益は517億円となり、2018年度からの7年間における年平均成長率は売上高21.7%、営業利益26.0%となりました。当社業績に占める海外事業の割合も上昇傾向にあり、売上高については2024年度では16.7%と、2018年度より10ポイント上昇しております。当社は米国の住宅会社のM&Aや海外での不動産開発等、海外事業に積極的に取組んでおります。第7次中期経営計画においては、地域密着型の海外事業による成長の加速を重点テーマの一つとしており、当初最終年度としていた2026年度(※2)には、海外売上高1兆円・営業利益1,000億円を目指しております。
※2.第7次中期経営計画は、当初2026年度を最終年度とした5ヶ年計画としておりましたが、1年前倒しで終了し、2026年度を初年度とする第8次中期経営計画の公表を2026年5月に予定しております。
[ 図21 ]
注 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。なお、時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)としております。
当社は、2022年度を初年度とする5ヵ年計画「第7次中期経営計画(※2)」を推進しております。3年目となる2024年度は、売上高は5兆4,348億円と4期連続の増収、退職給付会計における数理計算上の差異等の影響を除く営業利益は4,450億円と4期連続の増益となっており、ともに過去最高を更新することができました。原材料・エネルギー価格の高騰や金融資本市場の変動等の影響により厳しい事業環境が続きますが、計画達成に向けて、「収益モデルの進化」「経営効率の向上」「経営基盤の強化」の3つの経営方針を掲げ、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業の更なる進展や、地域を活性化させる複合再開発の推進、カーボンニュートラルの実現に向けた取組み等、各施策を実施してまいります。
※2.第7次中期経営計画は、当初2026年度を最終年度とした5ヶ年計画としておりましたが、1年前倒しで終了し、2026年度を初年度とする第8次中期経営計画の公表を2026年5月に予定しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、住宅・事業用建物の建築請負をはじめとして多分野にわたる総合的な事業展開を行っており、意思決定の迅速さと専門性の確保、バリューチェーンの一体化や顧客基盤の共有等による競争力強化を図るため、7つの事業領域を設定し、各事業領域ごとに包括的な戦略を立案し、事業活動を行っております。
したがって、当社グループは、事業領域を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「その他」の事業領域を除いた「戸建住宅」、「賃貸住宅」、「マンション」、「商業施設」、「事業施設」、「環境エネルギー」の6つのコア事業を報告セグメントとしております。
「戸建住宅」は戸建住宅の注文請負・分譲を行っております。「賃貸住宅」は賃貸住宅の開発・建築、管理・運営、仲介を行っております。「マンション」はマンションの開発・分譲・管理を行っております。「商業施設」は商業施設の開発・建築、管理・運営を行っております。「事業施設」は物流・製造施設、医療介護施設等の開発・建設、管理・運営を行っております。「環境エネルギー」は再生可能エネルギー発電所の開発・建築、再生可能エネルギーの発電及び電力小売事業等を行っております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と同一です。
報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値です。セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.その他には、金融事業等が含まれております。
2.調整額は以下のとおりです。
(1) セグメント利益の調整額△26,575百万円には、セグメント間取引消去△1,359百万円、のれんの償却額等822百万円、各セグメントに配賦していない全社費用△26,038百万円が含まれております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費及び試験研究費です。
(2) セグメント資産の調整額382,324百万円には、セグメント間取引消去△32,156百万円、全社資産414,480百万円が含まれております。全社資産の主なものは、当社での余資運用資金(現金預金)、長期投資資金(投資有価証券)及び管理部門に係る資産等です。
(3) 減価償却費の調整額1,849百万円には、セグメント間取引消去△499百万円、全社資産に係る償却額2,348百万円が含まれております。
(4) 持分法適用会社への投資額の調整額△10百万円は、セグメント間取引消去です。
(5) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額4,628百万円には、セグメント間取引消去△718百万円、本社設備等の設備投資額5,346百万円が含まれております。
3.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1.その他には、金融事業等が含まれております。
2.調整額は以下のとおりです。
(1) セグメント利益の調整額14,738百万円には、セグメント間取引消去△5,759百万円、のれんの償却額等699百万円、各セグメントに配賦していない全社費用19,798百万円が含まれております。全社費用は、主に退職給付に関する数理計算上の差異に伴う償却(営業費用の減額)、報告セグメントに帰属しない一般管理費及び試験研究費です。
(2) セグメント資産の調整額195,086百万円には、セグメント間取引消去△53,749百万円、全社資産248,836百万円が含まれております。全社資産の主なものは、当社での余資運用資金(現金預金)、長期投資資金(投資有価証券)及び管理部門に係る資産等です。
(3) 減価償却費の調整額2,075百万円には、セグメント間取引消去△496百万円、全社資産に係る償却額2,571百万円が含まれております。
(4) 持分法適用会社への投資額の調整額△24百万円は、セグメント間取引消去です。
(5) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額5,831百万円には、セグメント間取引消去△2,201百万円、本社設備等の設備投資額8,033百万円が含まれております。
3.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:百万円)
(注) 売上高は事業活動を行う地域を基礎として分類しております。
(2) 有形固定資産
(単位:百万円)
3.主要な顧客ごとの情報
全セグメントの売上高の合計額に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:百万円)
(注) 売上高は事業活動を行う地域を基礎として分類しております。
(2) 有形固定資産
(単位:百万円)
3.主要な顧客ごとの情報
全セグメントの売上高の合計額に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 「その他」の金額は、福祉事業等に係る金額です。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 「その他」の金額は、発電事業等に係る金額です。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 「その他」の金額は、発電事業等に係る金額です。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 「その他」の金額は、発電事業等に係る金額です。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
該当事項はありません。