2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

グループ全体の正常な事業運営を阻むリスクを統合的に把握し、リスクの顕在化を未然に防止するとともに、顕在化した場合の損失を極小化することを目的に、「リスク管理委員会」を開催しています。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。記載にあたっては、事業運営上のリスク、財務上のリスク、その他のリスクに区分したうえで影響の大きなものから順に、その具体的な内容と対策を記載しております。

なお、下記項目の中には、将来の予想に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

◎事業運営上のリスク

(1)設備工事事業共通(建築設備事業、機械システム事業、環境システム事業)

リスク

内容

対策

人財確保

大幅な採用計画の未達や離職率の増加があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある

・新卒社員の初任給ならびに従業員の給与水準引き上げ

・認知度向上

・働き甲斐のある職場環境構築による従業員エンゲージメントの向上

 

協力会社が雇用する技能者が減少し、必要な人数を集められず、業績に影響を及ぼす可能性がある

・協力会社との信頼関係強化

・三機テクノセンターを活用した協力会社教育

・新規協力会社の探索

・施工の自動化、省力化

資材・労務費上昇及び資機材納期遅延

・為替変動やエネルギー価格の上昇等により、資材価格及び労務費が急激に高騰しそれを請負金額に反映させることが困難な場合には業績に影響を及ぼす可能性がある

・資機材納期遅延により全体工期が遅れ、客先業務に支障を来し、信用・信頼を失うことにより、業績に影響を及ぼす可能性がある

・受注前:物価スライド条項を契約に取り入れる交渉

・受注後:早期発注と原価圧縮の工夫

・納期情報を常に更新、社内水平展開し、納期遅延防止の周知

海外事業のリスク

・コンプライアンス問題(法令違反)

・戦争・テロの発生やその国の政情悪化、経済状況の変動、予期しない法律・規制の変更等があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある

・現地スタッフへのコンプライアンス教育

・「海外危機管理マニュアル」の検証/更新の検討

工事施工中の事故及び災害

工事施工中に事故や災害が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある

・工事の安全衛生管理の徹底

・品質リスクアセスメントを活用したトラブル未然防止

・不測の事態に備えて工事賠償責任保険に加入

不採算工事

工事途中での設計変更や、工程遅れなどによる設備工程の圧迫や作業員の増員、手直し工事等による想定外の追加原価により不採算工事が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある

定期的に工事進捗管理を行う

ことによるリスクの早期発見

及び回避

訴訟等に関するリスク

事業推進において契約不適合責任、製造物責任、特許、契約上の債権債務等に関する訴訟を提起される可能性がある

・契約締結前の法務部門によるチェックの徹底

・品質リスクの抽出とプロセスごとの品質管理の徹底

・係争状況の定期的なモニタリング

 

 

 

(2) 建築設備事業

リスク

内容

対策

計画案件の過多及

び物件の大型化

・半導体やEV電池製造の大規模施設の計画が続出、大都市圏の再開発が増加。施工要員の配置や、協力会社の確保が困難になる

・物件の大型化に伴い工期が長期化することで、物価上昇及び要員不足のリスクが高まり、業績に影響を及ぼす可能性がある

・施工要員と協力会社工事量を踏まえた事業活動

・大型物件と特殊物件に対応 するため設計本部を設置

・半導体、EV電池製造施設向け次世代クリーンルーム 案件における高精度な実証 実験の実施による施工の合 理化

・工期及び物価上昇リスクを含めた契約内容の検討

地球課題への対応

サステナビリティを背景とした気候変動への対応等により、カーボンニュートラル対応の案件が増加し始めており、技術開発や体制の構築遅れ等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性がある

・再エネ利用の提案や脱炭素化への省エネ提案実施

・脱炭素社会実現に向けた技術開発や省エネに貢献する製品の拡販

 

 

(3)機械システム事業

リスク

内容

対策

設備投資の減少

景気の後退や不透明感・急激な為替変動を背景とした、製造業における設備投資減少により受注が減少する

製造業以外の顧客への展開

競争力の低下

市場は拡大基調だが競争が激しく、価格競争力の低下等により受注が減少する

・大和プロダクトセンターの生産工程を見直し、合理化

・新製品の投入

 

 

(4)環境システム事業

リスク

内容

対策

市場環境の変化

地方自治体の財政悪化を背景として、価格競争が激化する

・LCE事業の展開(※)

・価格優位性のある商品を核とした受注

長期事業リスク

DBO案件は、長期にわたる運営維持管理を伴うため、著しい物価上昇等予期しない事象が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある

物価スライド条項等を契約に 取り入れる交渉及び事業運営のモニタリング徹底

 

※ライフサイクルエンジニアリング(Life Cycle Engineering)事業の略称。新築、保守・メンテナンス、リニューアル、建替えといった建築物のライフサイクル全体を通じてサービスを提供する当社グループの事業コンセプト

 

 

(5) 不動産事業

リスク

内容

対策

賃貸料の変動

 賃貸料相場の急激な下落により賃貸料収入が大幅に減少する可能性がある

・テナントの入居状況のモニタリング徹底

・テナント与信に係わるモニタリング精度の向上

入居率の低下

建物や設備の陳腐化によりテナントが減少する

・テナントのニーズのモニタリング徹底

・CO2排出量の少ない設備導入や災害に強いビルなど、テナントのニーズに合わせた設備投資の検討

 

 

◎財務上のリスク

リスク

内容

対策

顧客の信用リスク

顧客の倒産等によって債権が回収不能となり、損失が発生する

・顧客の与信・回収状況に係わるモニタリング精度の向上

・与信リスクの高い特定の顧客に対する綿密な債権管理

株式相場の変動

・保有する株式の時価が下落し、資産が減少するとともに損失が発生する

・株価の下落により退職給付年金資産・信託資産が減少し、積立不足が発生する

・連結純資産に占める政策保有株式の割合を20%未満にすることを目標に縮減

・退職給付年金資産・信託資産の運用状況のモニタリング及び体制の強化

金利の変動

・金利変動等により退職給付年金資産・信託資産が減少し、積立不足が発生する

・金利上昇により資金調達コストが増加する

・年金資産・信託資産の運用状況のモニタリング及び体制の強化

・退職給付債務増加の抑制

・割引率及び期待運用収益率の定期的な見直し

・代金回収の早期化促進による借入金増大抑制

業績の季節変動

年度末にかけて工事の完成が集中することや工事進捗が急進する傾向にあるため、各四半期の業績に季節的変動がある

業績の進捗管理の徹底

 

 

 

◎その他のリスク

リスク

内容

対策

法令違反

建設業法、独占禁止法、労働基準法等の法令違反に対する行政処分等により事業活動に制限を受ける可能性がある

・行動規範、行動指針の浸 透及び遵守

・企業倫理研修の継続実施

過重労働

長時間労働により、従業員の健康被害が発生し、人的資本が毀損されることで、業績に影響を及ぼす可能性がある

・適正な人員配置の実施

・業務効率化の推進

・緻密な労務管理の実施

人権侵害

自社の活動やサプライチェーンにおいて人権の侵害が起きた場合に、取引停止や株価の下落、 罰金の支払、訴訟の提起が発生し、業績に影響を及ぼす可能性がある

人権方針に基づく人権デューデリジェンスの実施および教育

戦争・テロ・自然災害

戦争・テロ・地震や台風等の大規模な自然災害が発生した場合には、事業の継続が困難となり、業績に影響を及ぼす可能性がある

BCP体制の強化及びBCPを計画的に見直し有効に機能させる「事業継続マネジメントシステム(BCMS)」の継続運用及び国内子会社5社での運用開始

気候変動

  気候変動リスクの内容及びその対策については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ①気候変動関連」に記載のとおりであります

 

 

感染症流行

感染症が流行し、顧客、当社グループ社員や協力会社等に罹患者が発生した場合や、感染拡大防止のために移動・外出制限等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性がある

・感染症拡大に対応できる社内体制の整備

・平常時からテレワーク等の行動制限対応を習熟

・感染防止対策に必要となる衛生用品の常時備蓄

データセキュリティの侵害

個人情報、顧客名簿、施工図面(お客さまの機密情報)などの流出により損害を被る可能性がある

・システムセキュリティの強化

・企業倫理研修の継続実施

・不審メールなどへの啓蒙教育

システム障害

コンピュータウイルス感染、不正アクセス等により、社内システムが停止し、業務が継続できない可能性がある

不正プログラムの侵入を検知する専用ソフトを導入し、専門業者による常時監視を実施

デジタル競争の激化

デジタル技術の導入遅れが原因で、業務プロセスの最適化が遂行されないことにより、競争力が失われ、業 績に影響を及ぼす可能性がある

・経済産業省「DX認定事業 者」に認定

・デジタル改革推進本部を設置

・デジタル人財の育成、強化

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社では、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけております。

2022年度を初年度とした中期経営計画“Century 2025”Phase3において、配当については配当性向50%以上、1株当たり年間配当金70円以上の安定的・継続的な配当を実施することを、自己株式取得についてはPhase3期間中に500万株程度を実施していくことを基本方針としております。

当第100期(2024年3月期)の剰余金の配当につきましては、中間配当として1株につき普通配当35円を実施しており、期末配当金は、1株につき普通配当35円に特別配当15円を加えた50円(年間配当計85円)を実施することを決定いたしました。その結果、配当性向は51%となりました。

なお、当第100期(2024年3月期)は142万株の自己株式取得を実施しております。

 

今後もこのような基本方針に基づき、安定的かつ継続的な株主還元を実施してまいります。

 

当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回を基本的な方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

内部留保資金につきましては、競争力の強化をはかるとともに、更なる事業発展の基礎を構築するため、新事業と新技術の開発等に有効投資してまいります。

また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年11月10日

取締役会決議

1,906

35.00

2024年6月21日

定時株主総会決議

2,654

50.00