2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,727名(単体) 5,267名(連結)
  • 平均年齢
    42.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.7年(単体)
  • 平均年収
    11,811,745円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)  連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

環境システム事業

3,533

塗装システム事業

1,468

全社(共通)

266

合計

5,267

 

 

(注) 1  従業員数は就業人員であります。

2  全社(共通)は、本社・本部及び一部連結子会社の管理部門の従業員であります。

 

(2)  提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,727

42.3

15.7

11,811,745

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

環境システム事業

1,282

塗装システム事業

256

全社(共通)

189

合計

1,727

 

 

(注) 1  従業員数は就業人員であります。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3  全社(共通)は、本社・本部の従業員であります。

 

管理職に占める女性管理職

男性育児休業取得者

管理職数(人)

管理職割合(%)(注)1

取得者数(人)

取得率(%)(注)2

10

3.0

32

71.1

 

 

雇用形態

人数(人)

平均年間賃金(円)(注)1

賃金差異

(%)

補足

説明

女性

男性

女性

男性

正社員

206

1,419

8,298,555

12,647,173

65.62

(注)3

有期社員

46

57

3,972,083

6,797,745

58.43

(注)4

全体

252

1,476

7,508,666

12,422,182

60.45

 

 

 

(注) 1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3  係長級以上の女性社員が少ないことを要因の一つとして格差が生じております。現行制度上、同一等級内における男女の格差はありません。

4  職務の違いによる差を要因の一つとして格差が生じております。

 

(3)  労働組合の状況

現在提出会社には労働組合は結成されていませんが、組合の代わりを果たすものとして、従業員の選出による代表委員で組織された「組織風土改善委員会」があります。同委員会は、「労使一体」の精神を基本方針とし、労使双方の立場から労務上の問題、業務遂行上の問題に自主的、積極的に取り組んでおり労使関係は円満に推移しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティへの対応

大気社グループのサステナビリティへの考え方は「創業理念」「企業理念」に示され、従来から引き継がれてきたものですが、昨今、国際社会においてサステナビリティをめぐる課題解決への機運が高まる中、本業を通じて豊かな環境の創造と産業社会の発展に貢献していくことこそが当社グループの存在意義(パーパス)であるとの認識を深め、持続可能な社会の実現と企業の永続的成長に向けて、グローバルな社会的課題への積極的な取組を進めています。

サステナビリティをめぐる課題への対応は、中長期的な企業価値向上の観点から、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題です。こうした趣旨のもと、2050年を念頭においた経営環境の見通しやビジネスモデルの変化等をテーマに、役員のオフサイト・ディスカッションを継続的に実施しています。2024年度においては、2025年の新中期経営計画・長期経営計画の開示に向け、未来の社会環境の変化及び将来像を見据えた「大気社のグローバル成長戦略」というテーマで、中長期的な視点から当社の方向性について議論しました。また業務執行取締役に対しては、ESG等の非財務目標を評価要素とし、企業の中長期的な成長を促すべく業績連動報酬を導入いたしました。この制度に関しては、報酬諮問委員会において客観性・透明性ある評価を実施しております。

 

(サステナビリティ経営の推進体制)

サステナビリティ全般に関するガバナンスにつきましては、経営会議の諮問機関として、執行側の会議体という位置づけで、2023年2月にサステナビリティ推進委員会を発足し、モニタリングを実施しております。さらに2024年2月には、社外役員の客観性のある意見を取り入れ、一層の活動推進を図るべく、新たに取締役会の第四の諮問機関として、独立社外取締役を委員長としたサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会では取締役会からの諮問事項を討議・検討し、その結果を少なくとも年1回以上の頻度で取締役会へ答申しております。

 

<サステナビリティ推進体制図>

 


 

サステナビリティ全般に関するリスク管理につきましては、リスクマネジメント委員会において、当社グループの総合的な観点から、各リスクのリスク度評価、対応すべきリスクの選定、リスク低減に向けた方針等の策定・実行に取り組んでいます。同委員会は代表取締役社長を委員長として、年2回及び必要時に開催することとし、全社的なリスクマネジメントの基本方針及び責任体制、運営などを定め、周知・徹底を図っています。

当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

・気候変動に関する取組

・人的資本・多様性に関する取組

それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、当社の企業統治の体制については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要」をご参照ください。

 

(2) 気候変動に関する取組

当社グループは、優先的に取り組むべき経営上の重要課題(マテリアリティ)の一つに「気候変動の緩和と適応」を位置づけ、本業である省エネルギー性能の高い空調・衛生設備や塗装プラントの提供を通じて、環境負荷低減に取り組んでおります。

なお、2021年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しております。

 

① ガバナンス

気候変動への対応に関してはリスクや機会を認識しビジネスチャンスとして捉え、経営戦略に織り込む活動を行っています。経営会議では、環境保全活動に係る全社的な行動計画を策定しており、当該計画について取締役会に付議し決定しています。

また、全社方針検討会では、計画に基づいた環境保全活動の取組状況を確認・評価するとともに目標の見直しを実施し、その結果を年2回以上の頻度で取締役会へ報告しています。

これらの報告を受けた取締役会では、気候関連のリスク・機会について監督を行い、目標及び進捗のモニタリングを実施しています。

気候関連リスク・機会の評価及び管理については、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長に責任を付与しています。

 

② 戦略

気候関連のリスク及び機会を特定・評価し、事業に与える影響を把握するため、環境システム事業及び塗装システム事業を対象に、2035年度において、当社グループへの影響度が高いリスクと機会の要因を洗い出し、世界の平均気温上昇が2℃未満に抑制されることを想定した2℃未満シナリオと、4℃程度上昇する4℃シナリオについて、それぞれ政策や市場動向の移行に関する分析と、災害などによる物理的変化に関する分析を実施しました。当社グループは「炭素税」「顧客行動の変化」「省エネ・再エネ技術の普及」を移行の要素、「平均気温の上昇」を物理的な要素と認識し、重要なリスク・機会として特定しました。

 

ア 4℃シナリオ

政府による低炭素政策も限定的で、低炭素社会への移行は限定的な範囲に留まり、平均気温の上昇によりヒートストレスや自然災害リスクが高まります。これらは当社グループの事業に対し、以下のような影響をもたらすと想定されます。日本国内では炭素税が導入されない想定のため、炭素税導入による資材原価の上昇の影響は限定的です。事業ごとにみると、環境システム事業ではネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)、塗装システム事業では省エネ設計プラントの需要が広がるものの、顧客からの低炭素対応要請による売上への影響も限定的と想定されます。その一方で、平均気温の上昇に伴い、植物工場・空調システムの需要の取り込みや施工現場における熱中症・感染症対策の強化が必要になります。

 

イ 2℃未満シナリオ

物理リスクの影響は限定的な範囲に留まりますが、各種規制や顧客からの要請など移行リスクへの対応が必要になります。これらは当社グループの事業に対し、以下のような影響をもたらすことが想定されます。政府による低炭素政策の強化により、炭素税負担及び資材原価の上昇の影響がもたらされ、コストの上昇が見込まれます。事業別にみると、環境システム事業では、顧客からの低炭素対応要請が強まり、省エネ規制、新築のZEB義務化等により、既存の空調施工売上は減少する一方で、当該要請等に対応した製品・技術の開発により売上が拡大することが見込まれます。塗装システム事業では、塗装工程の低炭素化への需要が拡大し、低炭素化・省エネ化非対応の既存の製品売上が減少する一方で、これらの対応をした製品・技術の開発により売上が拡大することが見込まれます。

 

シナリオ分析の結果、当社グループの事業に影響を与える重要な気候関連のリスク及び機会、2035年度時点における財務影響は以下のとおりです。

 

 

ⅰ)移行リスク・機会

財務影響+10億円以上:

財務影響±1億円未満:

財務影響+10億円未満:

財務影響△10億円未満:

 

 

財務影響△10億円以上:

 

項目

リスク

機会

各シナリオに

おける財務影響

想定される対応策

4℃

2℃

未満

炭素税

炭素税の導入

(コストの上昇)

低炭素建築物への需要の増加(売上の増加)

 

低炭素塗装プラントへの需要の増加(売上の増加)

・GHG排出量削減目標の設定

・GHG排出量の全量把握・分析の効率化

・自社におけるエネルギー効率化、再エネ導入

・低炭素な施工技術・システムの開発

・再生可能エネルギー業界への参入

・世界各国のそれぞれの環境対策・方針・施策に対応した空調設備技術の開発

顧客行動の変化

 

省エネ・再エネ

技術の普及

顧客からの要請への対応(コストの上昇及び不適切な対応→売上の減少)

 

省エネ・再エネ技術の開発における競争力の低下(売上の減少)

顧客の低炭素建築物へのニーズの取り込みやZEBの拡大による施工需要の増加(売上の増加)

 

先進的な省エネ・再エネ技術の開発(売上の増加)

・工場のZEB化など省エネ設備の施工拡大

・エネルギー循環システムの構築

・エネルギーマネジメントなどの省エネソリューションの提供

・低炭素な施工技術・システムの開発

・設備の小型化、省エネ化

・塗装工程の変革に貢献できる技術の習得と商品開発の促進

・塗着効率改善、省エネ技術の開発

・CO2回収・循環技術等の開発・事業創出

・新たな水処理・水資源の維持・有効利用、生成技術(MOF等)

・研究開発・新規事業創出に向けたデジタル融合

・自動作業ロボット、施工支援ロボットの開発

・CO2を排出しない設備、CO2を循環利用できる設備の開発と検証

 

 

ⅱ)物理リスク・機会

項目

リスク

機会

各シナリオに

おける財務影響

想定される対応策

4℃

2℃

未満

平均気温の上昇

平均気温の上昇による労働生産性の低下や猛暑日の増加による施工中止(コストの上昇)

 

労働法制の改正(売上の減少)

空調システム技術の需要増加(売上の増加)

 

施工における機械化・自動化の推進(売上の増加)

 

植物工場の需要増加(売上の増加)

・植物工場事業の多角展開、植物工場事業のエネルギー循環化

・施工における機械化・自動化の推進

・空調・休憩場所などの労働環境の整備

・熱中症対策の推進

 

 

 

詳細は当社ウェブサイトにて開示しております。

https://www.taikisha.co.jp/sustainability/taikisha/tcfd/

 

③ リスク管理

当社グループでは、気候変動を含む重大なリスクの低減と顕在化するリスクの最小化に努めています。

リスクマネジメント委員会においては、当社グループの総合的な観点から、各リスクのリスク度評価、対応すべきリスクの選定、リスク低減に向けた方針等の策定・実行を行っています。同委員会は、代表取締役社長を委員長として、年に2回及び必要時に開催することとし、全社的なリスクマネジメントの基本方針及び責任体制、運営などを定め、周知・徹底を図っています。

気候変動を含む重大なリスクに関しては、各所管部門において項目を抽出し、「経営への影響」や「発生の頻度」を考慮に入れ、大・中・小の3段階で「リスク度(重要度)」を判定しています。その中で戦略や財務上、重要な影響を与える大の項目に関しては、優先的に対応すべきリスクとして選定し、重点管理方針・目標の立案を行った上でリスクマネジメント委員会へ報告します。これを受け、リスクマネジメント委員会では、全社的・統合的な観点から各リスクのリスク度評価及び重点管理方針・目標について討議し、基本方針の策定を行います。その後、各所管部門では活動計画の遂行状況のモニタリングを実施し、結果をリスクマネジメント委員会へ報告します。リスクマネジメント委員長(代表取締役社長)は、全社のリスクマネジメントの状況を取りまとめ、内部統制委員会での討議を経て、年に2回、取締役会への報告を行います。

また、経営全般の重要事項を決定する経営会議では、気候変動のリスクや機会に対する討議をはじめ、気候変動シナリオの見直しや長期戦略への反映を行っています。気候変動リスクを含めた関連の課題に関しては、リスクマネジメント委員会の報告と並行して、取締役会への報告の検討も行います。

 

④ 指標と目標

ア 気候関連のリスク及び機会の管理・評価に用いる指標

気候関連のリスク及び機会の管理のため、温室効果ガス(GHG)排出量だけでなく、エネルギー消費量や水使用量、廃棄物排出量等の指標を設定して種々の対策を実行しています。

 

・2023年度のGHG排出量

 

(単位:kt-CO2)

自社グループの活動による排出量

Scope1

27

Scope2

18

上記以外のサプライチェーンによる排出量

Scope3

10,814

 

 

(注) 1 上記GHG排出量につきましては、以下のとおり、自主的に任意の保証を受けております。
保証提供者:株式会社サステナビリティ会計事務所
代表者:福島隆史(公認会計士)
保証対象:2023年度 温室効果ガス排出量Scope1、Scope2(マーケットベース)、Scope3(カテゴリー1,2,3,4,5,6,7,11,12計)
保証基準:ISAE3000、ISAE3410  保証水準:限定的保証
受領した2024年10月1日付「独立第三者の保証報告書」は、当社ウェブサイトに掲載しております。
独立第三者の保証報告書(当社ウェブサイト内)
https://www.taikisha.co.jp/sustainability/taikisha/tcfd/pdf/pdf-index-01.pdf

2 2024年度のGHG排出量につきましては、2025年10月発行の統合報告書で開示予定です。

 

イ 削減目標

当社グループは、気候変動問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、事業活動に伴うCO2排出量を指標とし、SBT認定を視野に、2030年度までに2022年度比でScope1・2を42%削減、Scope3を25%削減する目標を設定しました。今後も当社グループの設計施工による設備の運用段階におけるCO2排出削減に関して積極的に提案活動に取り組むとともに、国内・海外拠点の使用電力の再エネメニューへの切り替えや、オフサイトPPA導入などを通じて脱炭素社会の実現に貢献していきます。なお、これらの情報については、当社ウェブサイトや統合報告書でも開示しております。

当社ウェブサイト

https://www.taikisha.co.jp/sustainability/taikisha/tcfd/#anc-04

統合報告書(当社ウェブサイト内)

https://www.taikisha.co.jp/sustainability/report/

 

(3) 人的資本・多様性に関する取組

当社グループの人的資本・多様性に関する基本的な考え方や取組は、「Diversity, Equity & Inclusion 多様な人材・知見を融合し、一人一人がお互いを尊重し合うグローバル企業となる」という長期ビジョンを目指したもので以下のとおりです。

 

① ガバナンス

当社は、取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、指名諮問委員会を設置しております。この委員会は取締役会からの諮問に基づき審議し、答申を行い、取締役会が決議を行います。指名諮問委員会は経営幹部の育成を担う人材育成委員会との連携強化についても審議し、重要事項は取締役会に付議されます。

経営会議では当社グループの業務執行に係る事項について審議・迅速な意思決定を行い、その中で重要な案件は取締役会に付議されます。また、全社方針検討会を設置し、年度経営方針の達成状況の検討・検証を行い、その報告を受けた取締役会では人的資本関連のリスク・機会について監督し、目標及び進捗のモニタリングを実施しています。指名諮問委員会では、CEOサクセッションプラン状況のモニタリング、業務執行取締役の再任アセスメント、新任社外取締役候補者、監査役候補者等について審議し、執行役員については人材育成委員会でプール人材の育成や指名諮問委員会で選定する等、執行側と監督側の連携を構築しています。海外人材の登用を見据えたグループ執行役員制度の導入等についても検討するなど、今後ステークホルダーへの説明責任を果たすためCEOサクセッションプランのモニタリングを強化し、執行側の人材育成委員会との連携により一貫した人材育成を実現することを目指しております。

 

② リスク管理

リスクマネジメント委員会において、当社グループの総合的な観点から、各リスクのリスク度評価、対応すべきリスクの選定、リスク低減に向けた方針等の策定・実行を行っています。同委員会は、代表取締役社長を委員長として、年に2回及び必要時に開催することとし、全社的なリスクマネジメントの基本方針及び責任体制、運営などを定め、周知・徹底を図っています。

人的資本に関するリスクについては、各所管部門において項目を抽出し、「経営への影響」や「発生の頻度」を考慮に入れてリスク度を判定しています。その中で戦略や財務上重大な影響を与えるリスク度が高い項目に関しては、優先的に対応すべきリスクとして選定し、重点管理方針・目標の立案を行った上でリスクマネジメント委員会へ報告します。これを受けて、リスクマネジメント委員会では、全社的・総合的な観点から各リスクのリスク度評価及び重点管理方針・目標について討議し、基本方針の策定を行います。その後、各所管部門では活動計画の遂行状況のモニタリングを実施し、結果をリスクマネジメント委員会へ報告します。リスクマネジメント委員長(代表取締役社長)は、全社のリスクマネジメントの状況を取りまとめ、内部統制委員会での討議を経て、年に2回、取締役会へ報告します。

また、経営全般の重要事項を決定する経営会議では、人的資本に関するリスクや機会に対する討議をはじめ、人材戦略の見直しや長期の経営戦略への反映を行っています。人的資本に関するリスクを含めた関連の課題については、リスクマネジメント委員会の報告と並行して、取締役会への報告を行います。

 

人的資本に関し人材戦略のベースとなる重要課題(マテリアリティ)、並びに当社グループが認識・考慮しているリスクと機会は以下のとおりです。

 

マテリアリティ

リスクと機会

人材確保と人材育成

リスク

・グローバル戦略を支える人材が不足する

・人材の獲得競争激化による人材流出

・イノベーションを創出できる人材の不足

機会

・ビジネス機会の拡大に対応するための人材の質的・量的な拡充

・優秀な人材確保と育成による人的資本拡大

・新事業の創出や、革新性のあるサービスの提供につながる

働きやすい職場環境の整備

リスク

・職場環境の影響による優秀な人材の流出

・社員エンゲージメントの停滞・低下、労働生産性の低下

・長時間労働による三六協定違反、健康障害の発生

・介護や育児を理由とする離職の発生

機会

・革新(イノベーション)を生み出し、ワクワクする職場風土

・多様な人材が挑戦し、能力を発揮できる職場環境

・労働生産性の向上、健康力・モチベーションの向上

 

なお、人権に関するリスク及び人権リスク低減や防止の取組は「3 事業等のリスク (11) 人権に係るリスク」をご確認ください。

「大気社グループ人権方針」はWebサイト

https://www.taikisha.co.jp/sustainability/society/human-rights-policy/

をご参照ください。

 

③ 戦略

(1) 中期経営計画(2022年度~2024年度)の振り返り

「変革・成長を支える経営基盤の強化」を基本方針の一つに掲げ、断続的に付加価値を創造できる事業構造への転換に向け、KPI設定、進捗管理を行い、「イノベーションを生み出す組織風土づくり」「社員エンゲージメントの向上」「計画的な人材価値の開発」の実現に向け取り組みを行いました。中期経営計画における指標及び目標・実績は次のとおりとなります。

 

 

KPI(提出会社)

項目

単位

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2024年度目標

Ⅰ.育成

一人当たりの研修費用

千円

41

67

155

200

キャリアプラン作成

100

100

100

100

海外トレーニー制度の利用者数

3

3

キャリア形成の支援 ※1

39.6

41.6

46.7

47.5

仕事に対するフィードバック ※2

61.6

62.0

61.5

65.0

Ⅱ.エンゲージメント

ワークエンゲージメント

61.4

62.0

64.1

65.0

①仕事に対する好奇心・ワクワク度 ※3

50.2

50.2

53.9

55.0

②果敢に挑戦する風土 ※4

72.6

73.7

74.4

75.0

エンプロイーエンゲージメント

62.9

64.4

67.7

65.0

Ⅲ.流動性

新卒社員採用人数

75

90

107

97

キャリア採用比率

23.7

22.7

25.6

29.0

定年退職者を除いた社員離職率

2.2

2.2

1.6

2.2

新卒社員3年目離職率

18.8

14.9

11.9

14.0

Ⅳ.ダイバーシティ

ダイバーシティの浸透度 ※5

66.6

68.0

71.0

70.0

女性社員

育児休業取得率

100

100

100

100

育児休業復帰率

100

100

100

100

男性社員

育児休業14日以上取得率

9.0

35.4

55.5

50.0

育児休業復帰率

100

100

100

100

年次有給休暇取得率

62.1

68.3

66.4

70.0

管理職に占める女性管理職割合

2.7

3.2

3.0

3.2

障害者雇用率

2.71

2.68

2.77

2.70

海外現地法人社長の現地雇用者数 ※6

3

4

4

Ⅴ.健康・安全

健康経営ホワイト500

取得

取得

取得

優良法人取得

取得

ストレスチェック受検率

97.3

97.4

98.0

100

パフォーマンスの発揮割合 ※7

75.1

74.5

78.0

75.0

労働災害率

度数率

0.12

0.42

0.69

0.23

強度率

0.001

0.043

0.05

0.005

Ⅵ.コンプライアンス

eラーニング受講率

100

100

100

100

誓約書提出率

100

100

100

100

 

※1 当社実施のエンゲージメントサーベイの「キャリアへの配慮」に対する肯定的な回答の割合を基に算出しております。

※2 当社実施のエンゲージメントサーベイの「仕事に対するフィードバック」に対する肯定的な回答の割合を基に算出しております。

※3 当社実施のエンゲージメントサーベイの「仕事に対するポジティブな感情」に対する肯定的な回答割合を基に算出しております。

※4 当社実施のエンゲージメントサーベイの「自発的な行動」に対する肯定的な回答割合を基に算出しております。

※5 当社実施のエンゲージメントサーベイの「ダイバーシティへの対応」に対する肯定的な回答割合を基に算出しております。

※6 当社海外連結子会社及び関連会社の集計値となります。

※7 病気やケガがないときのパフォーマンスを100%としたとき過去4週間におけるパフォーマンスの自己評価となります。

※8 記載する指針及び目標については、当社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、「海外現地法人社長の現地雇用者数」を除き連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

(2) 経営理念を実現するための「価値創造基盤」「人的資本に関する基本理念」の制定

当社グループは「顧客第一」の創業理念を実現するため、事業を通じて社会・環境・経済の3つの価値を創造しています。そして、これらを支える基盤である人的資本を重視し、企業理念や経営ビジョン・事業ビジョンを具現化するとともに、人・組織のあるべき姿及び人材マネジメントの方向性を明確にすることを目的として、「価値創造基盤」と「人的資本に関する基本理念」を制定しました。

この「価値創造基盤」は、(ⅰ)基本思想、(ⅱ)コミットメント(人的資本に関する基本理念)、(ⅲ)実現に向けた指針の3つで構成されています。また、「人的資本に関する基本理念」は、経営ビジョン・事業ビジョンを支える人・組織の在り方として理念体系図においてビジョンと行動理念の間に位置づけられ、行動理念はこの基本理念に基づく指針及び規範として機能しています。

 

価値創造基盤に基づいた人的資本に関する基本理念の制定

 

(3) 「長期ビジョン」と「10年プラン2035」における「人的資本の増強」

2025年5月15日に公表した、2035年の目指す姿「10年プラン2035」における当社グループの成長戦略を成功させる「人的資本の増強」の実現に向けた3つの人材戦略と2つの重点施策を掲げております。

 


 

 

人材戦略①:グローバルな人材ポートフォリオ・マネジメントの構築

1.成長戦略を実現するために必要な人材像を特定し、人材ポートフォリオを可視化する

当社グループの成長戦略を支える4つのキャリアプロフェッショナル人材を定義し、各人材が果たすべき役割と、各人材が持つべき能力・専門性を明確にしました。これにより、人材のAs-Is(現状レベル)とTo-Be(求める人材像)を可視化し、人材の充足を目指します。


 

2.人材ポートフォリオ・マネジメントシステムを基軸に人材戦略を実現する


 

 

人材戦略②:必要な人材の採用と育成

人材採用/人事制度改革・早期人材育成プログラムを通して人的資本(質的・量的)の拡充を目指します。

奨学金制度による優秀な外国籍人材の獲得や技術に特化した大学との連携により新卒採用を強化します。また、キャリア採用(スカウト、リファラル、アルムナイ等)による即戦力の拡大と、人事制度改革(社内ローテーション、定年延長、ジョブ型雇用)等、多様なアプローチにより効果的な人材採用・活用戦略を推進します。

人材育成については、4つの人材ポートフォリオで定めた人材定義を基に自律的なキャリア開発が可能となる人材育成体系を整備し、教育するとともに業務や経験を通した育成を行います。さらに若手社員の育成プログラムを充実させると共に社員の潜在能力を見極め、習熟段階に応じた早期の人材育成を目指します。また、グローバル化対応として、新設したアセアン地域管理部により、アジア地域を中心に現地経営職候補者の早期育成や各国特有事項に基づいた人材育成を実施します。

 

人材戦略③:「イノベーション」と「ワクワク」を生み出す職場風土

多様な人材が能力を発揮できる職場環境を整備するDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進を通じて、社員一人一人の能動的な挑戦を支援し、挑戦から得た経験を適正に評価することで社員が働きがい・働きやすさを感じながら新たな挑戦に取り組んでいける、「革新(イノベーション)を生み出し、ワクワクする職場風土」を醸成していきます。

 

 


 

グローバル化対応として、制定した人的資本に関する基本理念の浸透を通して、ロイヤリティ・エンゲージメントの向上を図るとともに社員の満足度やエンゲージメントのレベルを測定し、課題点を可視化したうえで有効な施策の立案と実行を行っていきます。

 

重点施策①:エンジニアリング力の強化

技術戦略に特化した人材を輩出する高度専門人材認定制度の運用を強化すると共に、Design(設計)、Build(施工)、Care(アフターケア)のすべてを担える「Design・Build&Care人材」を育成・増強することで、エンジニアリング力の強化を図ります。また、半導体・製薬など特定の分野に特化した人材を育成するための専門教育機関を新たに設立します。

 

重点施策②:グローバル化対応力の強化

日本人社員については、早期に海外勤務を経験する機会を提供する海外トレーニー制度、海外拠点長の経験、上級管理職への登用やCEO候補としての育成といった、年齢に応じた育成ステップを通じてボーダレスな活躍を推進します。ナショナルスタッフについては、優秀な人材を早期にナショナルスタッフ経営幹部に選抜して海外拠点の経営に参画させると共に、日本及び海外拠点でのグローバルな経験を通じて育成します。

 

 

④  指標及び目標

当社グループの人的資本に関する指標及び目標は以下のとおりとなります。