リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定の取引先への依存に関するリスク
当社グループの売上高は、NTTグループへの依存度が高く、今後NTTグループの建設投資が何らかの理由で予想以上に変動・減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、NTTグループの不動産再開発やデータセンターをはじめとした新規事業分野向けの営業活動を実施しております。また、NTTグループ向け工事で培ったリニューアル工事のスキル・ノウハウを活用し、他の顧客への受注拡大を図ります。
(2)自然災害等に関するリスク
自然災害や大規模な感染症等の発生及びそれに伴うライフラインの停止や燃料・資材・人員の不足による工事の中断・遅延、建物・資機材への損害等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、自然災害等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、災害用備蓄品の確保、訓練の実施、BCPマニュアルの整備、サプライチェーンの混乱への対策及びテレワーク等を可能とする社内情報インフラの構築等により、リスク回避と被害最小化に努めてまいります。
(3)事業環境の変化に関するリスク
国内外の産業構造の変化や国内の景気後退等により新築工事を中心とした建設投資が縮小した場合、当社グループの受注が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、景気後退や産業構造の変化に対応するため、長年のNTTグループ向け工事で培ったリニューアル工事のスキル・ノウハウを他の顧客にも展開し、建設市場の変化に対応した注力分野の見直しを行うとともに、脱炭素社会に向けたカーボンニュートラル事業の推進も図ってまいります。
(4)気候変動に関するリスク
脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税をはじめとした新たな制度の導入による当社グループ及び顧客に対するコスト増加、また、物理的リスクとして、気温上昇による生産性の低下、異常気象による機器の損壊等があり、当該リスクが中長期的に当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、脱炭素・省CO2案件の実績・ノウハウを積み重ね、当社グループの温室効果ガス排出量の削減と社会・顧客の脱炭素社会への移行に対し貢献していきます。
(5)新しい技術への対応に関するリスク
当社グループの事業領域では、空調やエネルギーの分野を中心に技術改革が進んでおります。新しい技術への対応が遅れる場合、受注機会の喪失や市場競争力の低下等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、技術トレンドと市場ニーズの情報収集、データセンター等での冷却技術の検証、また、他企業とのアライアンス等により、新しい技術への対応力を高めていきます。
(6)事業の拡大に関するリスク
当社グループは、事業の拡大に向け、新規事業分野での事業開拓を行っておりますが、これらの分野では経験や検討が不足することに伴うリスクが想定されます。また、大型化したデータセンターや再開発案件にも取り組んでおりますが、これらの工事において適切なリソースを確保できないリスクがあります。リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、参入する分野についてノウハウを有する会社との提携や全社的な施工リソースの調整などによるリスクコントロールを行いつつ事業の拡大を図っております。
(7)人材確保に関するリスク
当社グループにとって「人」は最大の財産であり、持続的成長の原動力ですが、少子高齢化や働き方に関する考え方の変化等による人材不足が課題となっており、この状況が深刻化した場合、事業活動への支障を通じて当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、幅広い年齢層での性別等を問わない積極的な採用、計画的な育成、ICTツール活用等による業務効率化を行うとともに、働きやすい職場づくり・エンゲージメント向上により、事業に必要な人材の確保に努めてまいります。
(8)資材調達に関するリスク
当社グループが取り扱う設備用機器・資材について、需給逼迫やサプライチェーンの混乱等に伴う価格高騰や納入遅延が発生した場合、工事の採算性が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、資機材の状況を見極めながら納期の把握及び適正な価格の算出・決定を行うとともに、調達組織による協力会社数の拡大、協力会社とのコミュニケーションの充実、先行的な調達や集中購買等により納期遵守、原価低減に努めております。
(9)業績の季節的変動に関するリスク
当社グループとしては工事の平準化に取り組んではおりますが、顧客の要望や工程調整等の結果、上半期に比べ下半期に完成する工事の割合が高くなり、結果として連結会計年度の上半期と下半期の業績に著しい相違が発生する可能性があります。
(10)不採算工事の発生、品質に関するリスク
工事中の品質不良や完成後の契約不適合が発見されて補修コストが発生した場合、また、受注時の見積り不足や追加工事原価等により不採算が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、品質マネジメントシステムの徹底、過去の事例も踏まえた従業員・協力会社への教育に加え、受注時の見積り精度向上、工事リスクの特性に対応した現場支援の充実等を図っております。
(11)安全に関するリスク
当社グループは、顧客の建物工事を数多く施工しております。工事の施工において人身事故はもとより物損、設備事故を引き起こして顧客の信用を失う場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、従業員・協力会社への安全に関する当事者意識を持たせるように過去の事故事例の共有や安全教育・講習の実施(羽田安全研修センターの活用を含む)を行うとともに、安全パトロールの徹底により安全の確保に努めております。
(12)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業運営上、顧客等が保有する技術データ・顧客データ等の重要な情報を取り扱っております。潜在的リスクが高まっている不正アクセス等により当社グループからこれら重要な情報が流出した場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生等により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、ネットワーク構成の見直しに合わせてセキュリティ監視・運用サービスを導入し不正アクセス等への対応を強化するとともに、情報セキュリティについての教育・訓練を継続して実施してまいります。2013年以来情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しており、引き続き情報管理の重要性を認識した体制づくりに取り組んでまいります。
(13)法令違反、会計不正、社内不正、信用失墜に関するリスク
当社グループの役員・従業員が法令・社内規定に違反した場合、又は当社グループの信用を失墜させる行為を行った場合、事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループとしては従業員エンゲージメントの改善、内部監査機能の一層の強化、社内規定の周知徹底、内部通報システムの浸透、及びコンプライアンス教育の強化等を図っております。
(14)有価証券等に関するリスク
当社グループが保有する株式等の金融商品については、金融資本市場の変動や保有銘柄の業績等により大幅な時価の下落が生じた場合、減損が発生する可能性があります。また、期首に期待した分配金や利息等が受け取れない場合があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付けています。配当については、中長期的な利益の拡大に合わせ、安定的・継続的に維持・拡大することを目指します。
また、当社では、取締役会の決議によって中間配当をすることができる旨定款に定めており、毎事業年度における剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回行うこととしております。これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。
当事業年度(第60期)の1株当たり配当金につきましては、上記方針に基づき、年間94円(中間配当44円、期末配当50円)とすることを予定しております。翌事業年度(第61期)の1株当たりの配当金は、中間・期末ともに50円(年間配当は100円)を予想しています。
さらに、キャピタル・アロケーションの一環として、資本効率の観点から、機動的・弾力的な自己株式の取得にも取り組んでいます。当事業年度(第60期)においては、52.7万株/17.9億円の自己株式を取得しております。
内部留保資金につきましては、将来の事業展開に備えて財務体質の安定性を確保しつつ、人的資本の拡充、研究・技術開発、DX、また、バリューチェーンの深化・拡大に向けた投資等に活用するとともに、資本効率の観点から自己株式の取得も検討してまいります。
なお、翌事業年度(第61期)における自己株式の取得については、60.0万株/21.0億円を上限として、投資機会や株価水準を踏まえつつ、機動的・弾力的に実施する考えです。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年11月14日 |
985 |
44.00 |
取締役会決議 |
||
2025年6月24日 |
1,105 |
50.00 |
定時株主総会決議(予定) |