2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,148名(単体) 4,939名(連結)
  • 平均年齢
    40.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.4年(単体)
  • 平均年収
    7,702,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

食品製造販売事業

4,452

〔3,490〕

その他

89

〔51〕

全社(共通)

398

〔68〕

合        計

4,939

〔3,609〕

 

(注)1  従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。

2  従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(嘱託およびパートタイマー)の年間平均雇用人員であります。

3  全社(共通)は、管理部門の従業員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,148

40.5

14.4

7,702

〔2,253〕

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

食品製造販売事業

1,750

〔2,185〕

全社(共通)

398

〔68〕

合        計

2,148

〔2,253〕

 

(注)1  従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。

2  従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(嘱託およびパートタイマー)の年間平均雇用人員であります。

3  全社(共通)は、管理部門の従業員であります。

4  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、1968年に結成された労働組合があり、UAゼンセンに加盟しております。2024年3月31日現在の組合員数は3,085名であります。労使関係について、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

  提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

22.6

100.0

79.0

80.4

75.1

-

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ経営

私たちを取り巻く事業環境は不確実性を増し、環境問題やサプライチェーン上の人権問題など持続可能な社会の実現への対応が強く求められる中、カルビーグループはサステナビリティを経営の根幹に据えています。

私たちの提供価値は、農作物や海産物などの自然の恵みを活かして、おいしさと楽しさと健やかさに資する商品をお届けし、人々の健やかなくらしに貢献することであり、自然と生活者の間に立ってライフラインをつなぐことが私たちの存在意義だと考えています。

自然資本の重要性の高まり、気候変動対策、人権問題の顕在化などサステナビリティに関わる外部環境の変化に伴い、2022年にマテリアリティの見直しを行い、新たに5つのマテリアリティと13の重点テーマを再特定しました。また、取り組みを推進するために「カルビーグループ環境ポリシー」の改定および「カルビーグループ人権方針」の制定、国連グローバル・コンパクトへの署名も行い、活動をグローバルに拡大しています。「カルビーグループ人権方針」に基づき、「人権尊重推進プロジェクト」を立ち上げ、人権デュー・デリジェンスをはじめとした取り組みを進めます。

カルビーグループは、企業活動を通して持続的成長と持続可能な社会を実現し、ステークホルダーとともに新たな価値を創造する「サステナビリティ経営」を実践していきます。

 

①ガバナンス

取締役会がサステナビリティ経営に関する監督の責任を持ち、その推進については、2019年に設置したサステナビリティ委員会が担っています。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長兼CEOが管掌し、原則年2回開催しています。マテリアリティの特定および重点テーマの設定を行い、各分科会で推進する重点テーマのロードマップの審議や進捗状況のレビューを実施し、その内容を取締役会に定期的に報告しています。

 


 

②戦略

サステナビリティ経営の中心戦略として、マテリアリティにおいて決定した重点テーマに取り組んでいます。取り組むべき社会課題を明確にするべく、「ステークホルダーにとっての重要度」と「自社における重要度」の二つの側面から課題をマテリアリティとして特定し、重点テーマを決定しました。重点テーマ別分科会を設置し、役付役員をオーナーとして、マテリアリティごとに設定した各重点テーマにおける戦略の立案・実行を推進しています。

これらの重点テーマに優先的に社内資源を配分することで、経営へのリスクを回避し、イノベーション創出の機会ととらえて、中長期的な成長を実現することを目指します。

 

③リスク管理

サステナビリティ関連のリスクおよび機会の管理は、各重点テーマの目標達成状況およびロードマップの進捗レビューで行っています。その内容はサステナビリティ委員会で検討を行い、継続的にモニタリングし、取締役会に報告しています。

 

④指標及び目標

特定した重点テーマ別にKPI(重点評価指標)を設定し、進捗管理を行っています。

 

マテリアリティ

重点テーマと主な施策

目標(KPI)

進捗

①人々の健やかなくらしと多様なライフスタイルへの貢献

食の安全・安心の確保

・安全・品質に関する予防と監視

・安心への取り組み

健やかなくらしへの貢献

・食塩無添加/低塩/減塩商品を拡大

・たんぱく質を多く含む商品を拡大

2031年3月期

・食塩無添加/低塩/減塩商品(※1)の販売金額200%(2023年3月期比)

・たんぱく質の多い商品(※2)の販売金額200%(2023年3月期比)

2024年3月期

・食塩無添加/低塩/減塩商品の販売金額110.1%

・たんぱく質の多い商品の販売金額111.8%

消費者意識の多様化に応じた新たな価値提供

・フードコミュニケーションの活性化

・スナックスクール(食育)の拡張

・工場見学の活性化、進化

2024年3月期

フードコミュニケーション(※3)

累計参加者数(2019年4月~5カ年)40万人(5年間で全国小学校3~6年生の人口の4%に相当)

2024年3月期

累計参加者数416,384人

②農業の持続可能性向上

持続可能な原料生産

 国産ばれいしょの収量増加に向けた、科学的

 栽培の推進・品種の変革・農業の省力化・産地

  の分散化

自然資本の保全
 土壌分析に基づく適正な施肥

2028年3月期

リン酸減肥普及率80%

2024年3月期

リン酸減肥普及率23.7%

③持続可能なサプライチェーンの共創

環境と人権を尊重した責任ある調達
 サプライチェーンアセスメントを通じてエンゲー

 ジメントを結び、環境・人権に配慮した

 調達を推進

 

 

環境と人にやさしい物流

・物流効率化による労働環境の改善

・温室効果ガス排出量の削減(Scope3カテゴリー4、9)

 

 

④地球環境への配慮

カーボンニュートラルの達成

・Scope1、2における削減

 電力購入先の転換、省エネ活動、工場発電など

・Scope3における削減

 段ボールサイズの変更、配送頻度減、積載率向上

2031年3月期

温室効果ガス総排出量30%削減

(2019年3月期比)

2023年3月期(※4)

温室効果ガス総排出量

2.8%増加

 Scope1:6.6%削減

 Scope2:61.1%削減

 Scope3:14.7%増加

循環型社会の推進

・製品フードロス削減

・水使用量削減

・3Rの促進

2024年3月期

製品フードロス20%削減
(2019年3月期比)
 

2031年3月期

・水の総使用量 10%削減
 (2019年3月期比)

・廃棄物排出量 10%削減
 (2019年3月期比)

2023年3月期(※4)

製品フードロス75.0%増加

水の総使用量3.9%増加

廃棄物排出量1.9%増加

プラスチックによる環境負荷の低減

・石油由来プラスチック包材の削減

・代替原料への転換やリサイクルの促進

2031年3月期

石油由来プラスチック包装の代替・削減 50%

(2019年3月期比)

2051年3月期

環境配慮型素材100%使用 

2024年3月期

石油由来プラスチック包装の代替・削減 1.8%

 

 

 

 

自然資本の保全

TNFDのフレームワークに沿ったリスク評価の実施(マイルストーンの提示)

 

 

地域コミュニティへの貢献
・社会貢献活動全員参加

・環境領域の拡大

  森林ボランティア活動

  海浜・河川保全活動の支援・参加

 

 

マテリアリティ

重点テーマと主な施策

目標(KPI)

進捗

⑤多様性を尊重した全員活躍の推進

働き方の多様性への対応(少子高齢化・感染症による変化)
・全員活躍

・多様性理解の教育体系整備

・1on1ミーティングの推進・定着化

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・人財育成の強化

・働き方改革

2024年3月期

・女性管理職比率30%超

・男性育児休業取得率100%

・障がい者雇用率2.5%

2024年3月期

・女性管理職比率22.6%

・男性育児休業取得率

100%(※5)

・障がい者雇用率2.62%

 

(注)製品フードロス削減はカルビーかいつかスイートポテト(株)を除くカルビー国内グループを対象、その他指標 はカルビー(株)を対象

※1 栄養強調表示の基準値(食品表示基準第7条第1項 別表第12、第13)

※2 栄養強調表示の基準値(食品表示基準第7条第1項 別表第12、第13)をベースに自社基準で選定した商品が対象

※3 カルビー・スナックスクール、工場見学、お菓子コンテストなどの食育活動

※4 2023年3月期の実績を記載。2024年3月期の実績は2024年秋公開の予定   (https://www.calbee.co.jp/sustainability/materiality.php

※5 2023年3月期より、(育児休暇取得者数+企業独自に育児を目的とした休暇制度の利用者数)/(配偶者が出産した人数)で算出

 

〈具体的な取組事例〉
 認証パーム油の使用(持続可能なサプライチェーンの共創:環境と人権を尊重した責任ある調達)

 カルビーグループ(国内)では、主に生産のフライ工程などに調理油としてパーム油を年間約4万トン調達しています。環境や人権に配慮した認証パーム油を2030年までに100%使用とする目標を掲げ、2021年7月から順次国内工場にてマスバランス方式(※1)の認証パーム油への切り替えを開始し、2022年4月には国内全工場に同方式を導入済みです。また、2022年9月より、「RSPO(※2)認証ラベル」を主力商品4種類6品目のパッケージに表示を開始し、対象を順次拡大しております。(2024年3月末時点、カルビー21品目、ジャパンフリトレー9品目に表示)

 継続して取り組んでいる課題として、搾油工場リスト(ミルリスト)の共有、原産地のトレーサビリティ及び不法な森林伐採が行われていないかなどのモニタリング等、パーム油サプライヤーと定期的に情報交換を実施しています。2023年9月には原産国の搾油工場を訪問し、課題についてパーム油サプライヤーと共に確認を行いました。今後もサプライヤーとのエンゲージメントを強化し、さまざまな社会課題に取り組んでいきます。

 


 

(注)

※1 マスバランス方式:製造・流通過程で認証油と非認証油が混合される認証モデル。物理的には非認証油も含んでいるが、購入した認証油の数量は保証

※2 RSPO:持続可能なパーム油のための円卓会議。(Roundtable on Sustainable Palm Oil)の略称。WWF(世界自然保護基金)とパーム油産業に関わるステークホルダー(メーカー、小売り、環境団体など)によって設立された非営利の会員組織

 

2022年に外部環境の変化を踏まえ、2020年に特定したマテリアリティの見直しを行いました。新たに特定した、5つのマテリアリティと13の重点テーマについては、次のとおりです。


 各施策およびKPI等の詳細につきましては、ホームページで公開しています。

https://www.calbee.co.jp/sustainability/materiality.php

 

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

特に気候変動はカルビーグループの事業の持続的成長に影響を及ぼす重要課題であると認識しています。2020年2月に賛同した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえ、気候変動シナリオ分析に着手し、以下の枠組みで取り組みを進めています。

 

①ガバナンス

代表取締役社長兼CEOがプロジェクトオーナーとなり、経営企画本部、サステナビリティ推進室を含めたバリューチェーンに関わるメンバーで、気候変動シナリオの検討を実施しました。検討したシナリオに基づき最重要リスクと機会の特定、ならびにその対応策を策定し、経営委員会の審議を経て、取締役会に報告しています。策定したリスクと機会の対応策については、中長期の経営戦略に反映しています。

 

②戦略

気候変動による中長期の事業リスクと機会の特定にあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」4℃シナリオ、「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑える」2℃シナリオの2つのシナリオで、温室効果ガス排出規制による影響と、主要原料(ばれいしょ)の調達と生産を中心に分析し、整理しました。

その結果、2℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の直接的な被害と、環境意識の高まりによる消費者行動の変化が大きなインパクトになり、4℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の被害に加え、日照時間不足によるばれいしょ収量の減少の影響が大きいことが分かりました。

これに対して、自社の温室効果ガスの削減を進めるとともに、ばれいしょの品種転換や品種開発、栽培技術の確立、産地の分散化を進めます。また、エシカル消費への対応や、持続可能な原料の探索と商品開発などが機会の創出になると考えています。今後は、継続的にリスク・機会の見直しや対応策の具体化を進め、中長期の経営戦略に反映させることで、持続可能な社会を実現する企業活動に取り組んでいきます。

 

 

・移行リスク

リスク項目

事業への影響

影響度

(※1)

時期

(※2)

リスク対応策

進捗

炭素価格の上昇

炭素税導入により工場の操業や原材料などのコストが増加する

中期

再生エネルギーの使用

製造拠点のカーボンオフセット電力への切り替え(国内13工場中9工場)

メタネーション(水素と二酸化炭素からメタンガスを生成し、燃料化)の使用

メタネーションに使われる水素産出技術などの開発に合わせて進める予定

 

消費者の環境意識の高まりによる行動変化

気候変動によって環境に配慮した商品へ消費行動が拡大する

中期

環境配慮型商品や認証商品への取組

・国内カルビーグループ工場にて、環境や人権に配慮した「RSPO認証パーム油(マスバランス方式)」の使用、2022年9月より「RSPO認証ラベル」を主力商品に表示開始し、2024年3月末時点でカルビー21品目、ジャパンフリトレー9品目で展開

・FSC認証包材の使用

石油由来プラスチックの使用規制

石油由来原料の規制によって包材価格が上昇する。消費者意識が高まり、バイオプラスチック使用商品の選択が高まる

中期

リサイクルの推進

・株式会社アールプラスジャパン(※3)へ参画し、リサイクル原料調達の実証実験を行い、使用済みプラスチックの再資源化を推進

脱石油由来プラスチックへの転換

・一部商品におけるパッケージフィルムの薄膜化、サイズの縮小

・パッケージフィルムに使用するインキをバイオマスインキに切り替え

・スタンドパックなどパッケージフィルムの一部にバイオマスPETを使用

 

(注)

※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下

※2 短期:2024年、中期:2030年頃

※3 プラスチック起因の課題解決に向け、アネロテック社(Anellotech Inc.)と低環境負荷で効率的なプラスチック再資源化の技術開発を進め、回収プラスチックの選別処理企業、モノマー・ポリマー・包装容器製造企業、商社や飲料・食品メーカー等連携して、技術の実用化に取り組んでいる共同出資会社。

 

・物理的リスク

リスク項目

事業への影響

影響度

(※1)

時期

(※2)

リスク対応策

進捗

平均気温の上昇による原材料育成影響

気温上昇によってばれいしょの比重の低下が発生する

中期

ばれいしょの品種の転換・開発

気候変動に対応する耐暑性、晩成型品種および病害抵抗性に対応するための新品種の開発

栽培技術の確立

・土壌水分状態に合わせたイリゲーション(かん水)の実施

・土壌状態に応じた適正施肥の推進

・デコンパクターを使用した、耕盤層破壊 による根域拡大

降水・気温パターンの変化

降水・気象パターンが変化することで、日照時間が減少し、ばれいしょの生育不良や収量の低下が発生する

中期

産地の分散化

道央・東北・九州北部の産地を拡大

海外産ばれいしょの輸入ルートの確保

北米地域の拡大

異常気象の続発化(豪雨、台風、洪水など)

暴風雨などにより収穫時期のばれいしょ圃場の被害が拡大、工場の被災や物流寸断が長期化することで、調達・生産・供給量が減少する

短期

異常気象を想定したオールハザード型BCPの策定

国内生産拠点のBCP推進

主要商品の生産拠点の分散化

物流効率等も考慮し、商品群の特性に応じた生産拠点の検討

ハザードマップに基づく工場建設

生産拠点の水没リスクの確認を実施

海外グループ工場からの供給

・2018年~「Honey Butter Chip」輸入(韓国)

・2022年「熱浪」輸入(香港)

 

(注)

※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下

※2 短期:2024年、中期:2030年頃

 

 

・機会

機会項目

進捗

エシカル消費に対応した商品開発

・RSPO認証パーム油やFSC認証紙を使用した商品の発売

・ポテトチップスのパッケージサイズ変更や「miino」のケースサイズ

 縮小により、輸送効率を向上させ、CO2の排出量を削減

・フードロスに対応した「Jagabeeのかけら」を発売

環境配慮型素材を使用した包装容器への転換

・プラスチック使用量の削減としてバイオマスPETの使用、バイオマス

 インキ使用

・段ボールやカートンにおけるFSC認証紙の使用

気候変動に対応したばれいしょの品種開発と転換

気候変動に対応する耐暑性、晩成型品種および病害抵抗性に対応するための新品種の開発

農業の省人化による原料調達確保・拡大

・コントラクター事業の推進

・多畦ハーベスターの導入運用を促進し、作業時間を削減

・ばれいしょ輸送および受入れ体制を増強

持続可能な原料の探索と商品開発

・ホクレン農業協同組合連合会様と北海道農産物の振興に向けた連携協定

・北海道産ばれいしょの安定生産調達体制の構築

・北海道産ばれいしょを中心とした新商品開発ならびに販売促進

・さつまいも、豆などの農産物を用いた新たな「食領域」の共同開発など

長期保存が可能な食品の開発

・ポテトチップス、じゃがりこ、フルグラ等の賞味期限延長

 

 

③リスク管理

事業への影響度、発生頻度によるリスクレベルを総合的に評価し、評価した重要リスクは、コンプライアンス・リスク諮問委員会のメンバーである社内取締役や外部有識者らが妥当性を検証し確認した上で、代表取締役社長兼CEOが議長であるコンプライアンス・リスク対策会議が決定した重要なリスクの内容と対策を、取締役会に報告します。


 

④指標と目標

温室効果ガスの排出抑制に向けて、2030年までに温室効果ガス排出量を30%削減(2019年3月期比)することを目指します。さらに、2050年にはScope1,2で温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指します。

2023年3月期は、Scope1、2、3の実績合計は2.8%増加(2019年3月期比)し、Scope1は6.6%削減、Scope2は61.1%削減、Scope3は14.7%増加となりました。

(単位:千t-CO2)

項目

対象

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

Scope1&2実績

カルビー国内製造拠点

171.0

168.3

156.7

133.7

124.0

Scope1実績

105.6

102.5

102.6

102.0

98.6

Scope2実績

65.4

65.8

54.1

31.7

25.4

Scope3実績

435.4

449.7

461.2

449.6

499.4

 

※Scope3カテゴリー1の排出係数をIDEA(ver3.2)に変更

 

 

(3)人的資本に関する考え方および取り組み

 人財はカルビーグループの競争優位性、企業価値向上、持続的な成長の源泉です。人財への積極的な投資、働く環境の整備、企業風土の醸成を、人的資本充実のための最も重要な課題であると認識し、様々な取り組みを継続して行います。

 

①人財ビジョン

 

2030ビジョンの実現に向けて、「全員活躍」を目指します

 


 

 

私たちは創業時から受け継がれた「企業理念」に共感した社員が集う組織です。

そして、カルビーが大切にしたい価値観を「Calbee 5Value (自発・利他・対話・好奇心・挑戦)」として行動レベルで表現し、社員一人ひとりに実践を求めています。
 会社と社員の関係においては「お互いに魅力を感じてつながる」状態を目指しています。

そのために会社は、「社員に仕事の意義・期待を共有し、挑戦機会を提供して、成長を支援する」ことにコミットし、社員には「自らの枠を拡げ、貢献し続けること、仕事の意義・意味を自ら見出すこと」を求めています。
 「全員活躍」によって新たな価値を生み出す、これがカルビーの目指す人財ビジョンです。

 

イ.人財育成方針(3つの方針)

(a) 経営・グローバル・DX人財育成を強化する

未来のカルビーをリードする人財育成に経営がコミットし、計画的・意図的なOJT/OFF-JTを通して、持続可能な人財基盤を構築します。

(b) 社員1人ひとりの成長とキャリア自律を支援する

挑戦機会を提供し、成長を支援すると共に、主体的・能動的にキャリアを切り拓いていくことを支援します。また日常業務では得られない気づきや視野拡大の機会を強化します。

(c) お互いに成長しあえる組織風土を醸成する

育成責任をもつ役職者の人財・組織開発力の向上を支援します。価値創造のために、立場に関係なく意見を出し合い、お互いの強みを発揮できるような心理的安全な土壌のある職場風土を創ります。

 

 ロ. 社内環境整備に関する方針

 社員一人ひとりが、自ら効率的に生産性高く働くことを目指し、性別のみならず、属性、個々の価値観などの垣根を越えた多様なすべての社員が、健康で安心して仕事に取り組むため社内環境の整備に取り組みます。

 

(a) 安全・安心な職場づくり

社員が安全かつ快適に業務を遂行できる環境および要員体制を整備するとともに、チーム内・組織間のコミュニケーションの活性化と良質化を図ります。

(b) 多様で柔軟な働き方の推進

社員を取り巻く個々の事情やライフスタイルの多様化に合わせて、柔軟に働き方を選択でき、また休暇が取得しやすい環境を整備、推進します。

(c) 健やかな心と体づくりの推進

社員が自身の健康に関心を持ち、健康維持・増進に向けて主体的に取り組むことをめざし、健康リテラシーを高める施策を実施するとともに、医療職が積極的にかかわり、専門的支援を行います。

 

②人的資本における現在地と課題

2030ビジョンの実現およびサステナビリティ経営の実現に向けて、組織・人事における課題と打ち手の検討および人財戦略の構築を進めています。

 

イ.メンバーシップサーベイの結果から見える課題

2019年3月期より「カルビーグループメンバーシップサーベイ」を実施し、各組織のエンゲージメントの状態を把握しています。役職者同士の対話を通して組織ごとの課題を捉え、改善に向けた具体的な施策を実施しています。
注視している「全員活躍状態にある社員の割合」(注)は45%(前年比+5%)でした。

(注)「会社の成長への貢献意欲」と「仕事での能力発揮」の設問に対し、いずれも「高い」と回答した割合

 

<コア6項目の状況>
 メンバーシップサーベイにおいて、以下の項目をコア6項目として課題分析をしています。

・他の項目と比べて低位にあるものの、「役割以上の貢献の動機づけ」のスコアは改善傾向にあります。2020年3月期から役職者とメンバーの1on1を推進してきたことが寄与していると評価しています。

・「カルビーで働くことの誇り」は、コア6項目の中で最も低位であり、前期よりも低下しています。社長・経営陣と社員の対話を通して、企業理念・存在意義および未来に向けたビジョンを浸透させ、引き上げを図っていきます。

 


 

  ※「1:ほとんどあてはまらない」~「5:非常にあてはまる」の5点満点の回答スコアの平均値

 

 

ロ.経営との対話で見えてきた課題

役付役員全員が参加する月1回の「人財育成会議」において、人財戦略および次世代リーダーのサクセションプランをテーマとして対話を重ねています。対話の中で「将来の企業価値向上を妨げる可能性のある課題」というテーマから①安定・安住からの脱却/変革への挑戦、②自らの枠を超え、自ら踏み出す社員の増加、③企業価値を高めるコア人財の充足、の3点を重点課題と特定しました。

 


(a)安定・安住からの脱却/変革への挑戦
 過去の成功体験に捉われ、失敗を恐れ、リスクテイクを避ける傾向があり、新しい発想や価値が生まれにくいという課題があります。人財の流動性が乏しいことに加え、年功的な評価・報酬制度により、現状を変えなくても一定の昇給が保証されることも、現状に甘んじやすい体質の一因です。
(b)自らの枠を超え、自ら踏み出す社員の増加
 過去の経験や自らの枠組に囚われずに発想することは、組織を超えた連携や個人の創造性向上に繋がります。コンフォートゾーンを抜け出す社員を増やすために、キャリア自律や成長を促すマネジメント力、反対意見や新しい発想が受け入れられる心理的安全な職場風土、社内外を含めて組織の外に目を向ける機会の提供が不可欠です。
(c)企業価値を高めるコア人財の充足
 未来に向けて必要なポジションおよびそれをリードする人財の質と量を明らかにし、意図的・計画的に人財の獲得・育成を進めることは将来の価値創造に向けて、重要な課題と捉えています。

 

 ③人的資本を通じた価値創造ストーリー

 


 

3つの重点課題を解決するための、具体的な施策方針は以下の4つです。これらの施策を通して「共創による新しい価値創造」「貢献意欲・成長実感の向上」、そして「継続的に成長する強い企業・経営」を実現していきます。


(a)失敗を恐れず、誰もが挑戦できる組織風土

多様な経験・考え方を持つ社員を増やし、活かす上で心理的安全性の高い職場づくり、その中でも特に「新奇歓迎」の風土の醸成が社員の挑戦を後押しする重要なポイントです。
(b)多様な貢献と挑戦を促す評価・報酬

従来の評価制度では結果のみにフォーカスがあたり、成功が保証されていないことへの挑戦を促しにくい仕組みでした。評価制度を改定することで、貢献と挑戦への意識を高めます。
(c)個の可能性を広げるキャリア自律

社員一人ひとりに対し、主体的にキャリアを掴み、自己成長する意欲と行動を促します。キャリア自律が進むことで挑戦が生まれる土壌が醸成され、働きがいも大きく高まると考えています。
(d)未来を創るコア人財の育成

将来の経営を担う経営人財、デジタル技術を活用して価値創造ができるDX人財、カルビーのDNAと知見を活かして海外で活躍できるグローバル人財、これら3つの戦略人財の育成が重要です。

 

④健やかな心と体づくりの推進

「人々の健やかなくらしに貢献する」という企業理念を掲げる企業として、社員の健やかな心と体づくりをこれまでも、これからも大切にし、働きやすく安全・安心な職場づくりを推進していきます。

 

⑤施策方針における指標/目標および取り組み内容について

施策方針

指標/目標(2024年3月期実績)

取り組み内容(2024年3月期実績)

失敗を恐れず、誰もが挑戦できる組織風土

◆メンバーシップサーベイ:心理的安全性
3.50(3.48)
◆女性管理職比率 30%超(22.6%)

・社員と経営層と直接対話する「車座ミーティング」の実施(62回実施、参加人数1,645人)
Innovation & Beyond Awardの実施(社員提案制度)
・心理的安全性の定着推進

・女性リーダーシッププログラムの実施

多様な貢献と挑戦を促す評価・報酬

◆メンバーシップサーベイ:全員活躍状態
60%(45%)

・人事ポリシーの策定
・人事制度・評価制度の改定検討開始
・制度運用を含めた役職者支援

個の可能性を広げるキャリア自律

◆メンバーシップサーベイ:キャリア自律
3.50(3.19)
◆選択型育成プログラムの受講者数 1,000人(781人)

・「キャリア探究ノート」による上司との対話の奨励
・キャリアエール(社内公募)の拡大(対象ポジション48件、エントリー数34人)
・副業の解禁(62人)
・社外留職の拡大
・ビジネスリテラシー獲得のための育成プログラム拡大

未来を創るコア人財の育成

◆重要戦略ポジション候補者の充足度
500%(800%)
◆グローバルでの貢献意欲のある社員率
30%(24%)
◆DXアカデミーのべ受講者数1,800人(1,719人)

・人財育成会議におけるサクセションプランの策定・推進
・次世代リーダーの育成体系の構築およびプログラムの開発・実施
・グローバルタレントマネジメントの構築
・グローバル人財交流の促進
・DXアカデミーの設立

健やかな心と体づくりの推進

◆平均有給休暇取得率 80% (84.9%)

◆所定外労働時間 15時間/月(17.2時間/月(※))

◆総合検診受診率100%(100%)

・有給休暇取得状況の月次確認と取得計画の策定

・健康診断、人間ドックの受診勧奨

・体調不良者、休復職者の早期発見・対応と継続的な医療職による面談を実施

 

(注)選択型育成プログラム受講者数はカルビー国内グループを対象、その他指標は提出会社を対象

 ※対象は年俸者を除く社員