2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,290名(単体) 5,138名(連結)
  • 平均年齢
    39.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.9年(単体)
  • 平均年収
    8,199,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

食品製造販売事業

4,605

〔3,461〕

その他

91

〔54〕

全社(共通)

442

〔76〕

合        計

5,138

〔3,591〕

 

(注)1  従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。

2  従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(嘱託およびパートタイマー)の年間平均雇用人員であります。

3  全社(共通)は、管理部門の従業員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,290

39.6

13.9

8,199

〔2,266〕

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

食品製造販売事業

1,848

〔2,190〕

全社(共通)

442

〔76〕

合        計

2,290

〔2,266〕

 

(注)1  従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。

2  従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(嘱託およびパートタイマー)の年間平均雇用人員であります。

3  全社(共通)は、管理部門の従業員であります。

4  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、1968年に結成された労働組合があり、UAゼンセンに加盟しております。2025年3月31日現在の組合員数は、3,496名であります。労使関係について、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

24.8

100.0

79.1

81.7

71.8

女性労働者の賃金において、全労働者の10%、正規雇用労働者の13%、パート・有期労働者の0.4%が育児短時間勤務者となります。

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 

 ② 連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

ジャパン
フリトレー㈱

21.3

100.0

64.8

75.3

67.1

カルビー
 かいつか
 スイート
 ポテト㈱

0.0

77.0

72.9

87.0

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ経営

当社グループは、企業理念に基づき、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしへの貢献を実践しています。自然と生活者の間に立ち、社会課題を解決することが当社グループの存在意義だと考えています。

当社を取り巻く事業環境は不確実性を増し、グローバルで直面しているさまざまな社会課題への対応が強く求められています。特に当社グループの事業は、原料をばれいしょなどの自然素材に依存している割合が高く、昨今の気候変動の影響を大きく受けています。また、消費者の環境に対する意識が変化する中で、当社グループは人権や自然資本の保全に配慮した製品づくりを進めています。その一例として、RSPO認証パーム油を国内全工場に導入し、主力商品の一部にRSPOラベルを表示しています。人権への対応として、「カルビーグループ人権方針」に基づき、当社グループへの人権デュー・ディリジェンスを実施し、経営層および従業員への啓発活動を行いました。2026年3月期より「人権委員会」を立ち上げ、ガバナンスを強化していきます。

今後も企業活動を通して持続的成長と持続可能な社会を実現し、ステークホルダーとともに新たな価値を創造する「サステナビリティ経営」を実践していきます。

 

①ガバナンス

取締役会がサステナビリティ経営に関する監督の責任を持ち、サステナビリティ委員会がその推進を担っています。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長兼CEOが管掌し、原則年2回開催しています。マテリアリティの特定および重点テーマの設定を行い、各分科会で推進する重点テーマのロードマップの審議や進捗状況のレビューを実施し、その内容を取締役会に定期的に報告しています。

 


 

 

②戦略

サステナビリティ経営の中心戦略として、マテリアリティにおいて決定した重点テーマに取り組んでいます。取り組むべき社会課題を明確にするべく、「ステークホルダーにとっての重要度」と「自社における重要度」の二つの側面からマテリアリティを特定し、重点テーマを設定しました。重点テーマ別分科会を設置し、役員をオーナーとして、各重点テーマにおける戦略の立案・実行を推進しています。

これらの重点テーマに優先的に社内資源を配分することで、経営へのリスクを回避し、イノベーション創出の機会ととらえ、中長期的な成長を実現することを目指しています。

 

 

 


                                     ●○は重点テーマ

③リスク管理

サステナビリティ関連のリスクおよび機会の管理は、各重点テーマの目標達成状況およびロードマップの進捗レビューで行っています。その内容はサステナビリティ委員会で検討を行い、継続的にモニタリングし、取締役会に報告しています。

 

④指標及び目標

    特定した重点テーマ別に目標(KPI)を設定し、進捗管理を行っています。

 

マテリアリティ

重点テーマと主な施策

目標(KPI)

進捗

人々の健やかなくらしと多様なライフスタイルへの貢献

食の安全・安心の確保

・安全・品質に関する予防と監視

・安心への取り組み

健やかなくらしへの貢献

・食塩無添加/低塩/減塩商品を拡大

・たんぱく質を多く含む商品を拡大

2031年3月期

・食塩無添加/低塩/減塩商品(※1)の販売金額 200%

(2023年3月期比)

・たんぱく質の多い商品(※2)の販売金額 200%

(2023年3月期比)

2025年3月期

・食塩無添加/低塩/減塩商品の販売金額 120.5%

・たんぱく質の多い商品の販売金額 116.0%

消費者意識の多様化に応じた新たな価値提供

・フードコミュニケーションの活性化

スナックスクール(食育)の深化

工場見学の活性化、進化

フードコミュニケーション(※3)年間参加人数

 10万人以上/年

2025年3月期

参加人数 120,430人/年

農業の

持続可能性向上

持続可能な原料生産

 国産ばれいしょの安定した品質と調達に向けた、科学的栽培の推進・品種の変革・農業の省力化・産地の分散化

自然資本の保全
 土壌分析に基づく適正な施肥

2028年3月期

リン酸減肥普及率 80%

2025年3月期

リン酸減肥普及率 30.7%

持続可能な

サプライチェーンの共創

環境と人権を尊重した責任ある調達
 サプライチェーンアセスメントを通じてエンゲー

 ジメントを結び、環境・人権に配慮した調達を推進

 

2025年3月末時点

RSPO認証ラベル付商品

カルビー21品目、ジャパンフリトレー10品目で展開

環境と人にやさしい物流

・物流効率化による労働環境の改善

・温室効果ガス排出量の削減

  (Scope3カテゴリー4、9)

 

 

地球環境への配慮

 

 

カーボンニュートラルの達成

・Scope1、2における削減

 電力購入先の転換、省エネ活動、工場発電など

・Scope3における削減

 サプライヤーエンゲージメント

 ばれいしょCO2排出量の見える化

 段ボールサイズの変更、配送頻度減、積載率向上

2031年3月期

温室効果ガス総排出量 30%削減

(2019年3月期比)

2024年3月期(※4)

温室効果ガス総排出量

 3.5%増加  

 Scope1:11.6%削減

 Scope2:57.3%削減

 Scope3:16.3%増加

 

 

 

 

マテリアリティ

重点テーマと主な施策

目標(KPI)

進捗

地球環境への配慮

循環型社会の推進

・製品フードロス削減

・水使用量削減

・3Rの促進

2031年3月期

・製品フードロス 30%削減
(2023年3月期比/3ヵ年移動平均値)

 

2031年3月期
・水の総使用量 10%削減
 (2019年3月期比)

・廃棄物排出量 10%削減
 (2019年3月期比)

2025年3月期

・製品フードロス 6.1%削減

(3ヵ年移動平均値)

 

2025年3月期

・水の総使用量 4.5%増加

・廃棄物排出量 8.0%増加

プラスチックによる環境負荷の低減

・石油由来プラスチック包材の削減

・代替原料への転換やリサイクルの促進

2031年3月期

 石油由来プラスチック包装の

 代替・削減 50%

(2019年3月期比)

 

2051年3月期

 環境配慮型素材 100%使用

2025年3月期

石油由来プラスチック包装の

代替・削減 1.0%

 

 

自然資本の保全

TNFDのフレームワークに沿ったリスク評価の

実施(マイルストーンの提示)

TNFDのフレームワークに基づく情報開示を2025年秋に予定

 

 

地域コミュニティへの貢献
・社会貢献活動全員参加

・環境領域の拡大

  森林ボランティア活動

  海浜・河川保全活動の支援・参加

2024年7月

八王子市上川の里活動へ参画

多様性を尊重した全員活躍の推進

働き方の多様性への対応

・全員活躍

・多様性理解の教育体系整備

・1on1ミーティングの推進・定着化

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

・人財育成の強化

・働き方改革

2031年3月期

・女性管理職比率 30%超

・女性執行役員・本部長比率 30%超

・男性育児休業取得率 100%

・障がい者雇用率 3.6%超

 

2025年3月期

・女性管理職比率 24.8%

・女性執行役員・本部長比率

  19.5%

・男性育児休業取得率

  100%(※5)

・障がい者雇用率 2.80%

 

(注)製品フードロス削減はカルビーかいつかスイートポテト(株)を除くカルビー国内グループを対象、その他指標は

   カルビー(株)を対象

※1 栄養強調表示の基準値(食品表示基準第7条第1項 別表第12、第13)

※2 栄養強調表示の基準値(食品表示基準第7条第1項 別表第12、第13)をベースに自社基準で選定した商品が対象

※3 カルビー・スナックスクール、工場見学、お菓子コンテストなどの食育活動

※4 2024年3月期の実績。2025年3月期の実績は2025年秋公開予定

     (https://www.calbee.co.jp/sustainability/materiality.php

※5 育児休業取得者数および育児を目的とした休暇制度の利用者数の合算より算出

 

各施策およびKPI等の詳細は、カルビーホームページ「サステナビリティサイト」で公開しています。

https://www.calbee.co.jp/sustainability/materiality.php

 

 

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

気候変動はカルビーグループの事業の持続的成長に影響を及ぼす重要課題であると認識しています。2020年2月に賛同した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえ、気候変動シナリオ分析に着手し、以下の枠組みで取り組みを進めています。

 

 

 

①ガバナンス

代表取締役社長兼CEOがプロジェクトオーナーとなり、経営企画、サステナビリティ推進担当部門を含めたバリューチェーンに関わるメンバーで、気候変動シナリオの検討を実施しました。検討したシナリオに基づき最重要リスクと機会の特定、ならびにその対応策を策定し、経営委員会の審議を経て、取締役会に報告しています。策定したリスクと機会の対応策については、中長期の経営戦略に反映しています。

 

②戦略

気候変動による中長期の事業リスクと機会の特定にあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」4℃シナリオ、「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑える」2℃シナリオの2つのシナリオで、温室効果ガス排出規制による影響と、主要原料(ばれいしょ)の調達と生産を中心に分析し、整理しました。

その結果、2℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の直接的な被害と、環境意識の高まりによる消費者行動の変化が大きなインパクトになり、4℃シナリオでは災害の激甚化による工場と原料生産地の被害に加え、日照時間不足によるばれいしょ収量の減少の影響が大きいことが分かりました。

これに対して、自社の温室効果ガスの削減を進めるとともに、ばれいしょの品種転換や品種開発、栽培技術の確立、産地の分散化を進めます。また、エシカル消費への対応や、持続可能な原料の探索と商品開発などが機会の創出につながると考えています。今後は、継続的にリスク・機会の見直しや対応策の具体化を進め、中長期の経営戦略に反映させることで、持続可能な社会を実現する企業活動に取り組んでいきます。

 

・移行リスク

リスク項目

事業への影響

影響度

(※1)

時期

(※2)

リスク対応策

進捗

炭素価格の上昇

炭素税導入により工場の操業や原材料などのコストが増加する

中期

再生エネルギーの使用

製造拠点のカーボンオフセット電力への切り替え(国内14工場中11工場)

水素のエネルギー利用

2025年4月「JH2A」へ参画(※3)

消費者の環境意識の高まりによる行動変化

気候変動によって環境に配慮した商品へ消費行動が拡大する

中期

環境配慮型商品や認証商品への取組

・国内カルビーグループ工場にて、「RSPO認証パーム油(マスバランス方式)」100%使用。「RSPO認証ラベル」付の商品をカルビー21品目、ジャパンフリトレー10品目で展開(2025年3月末時点)

・FSC認証包材の使用

石油由来プラスチックの使用規制

石油由来原料の規制によって包材価格が上昇する。消費者意識が高まり、バイオプラスチック使用商品の選択が高まる

中期

リサイクルの推進

株式会社アールプラスジャパン(※4)へ参画し、リサイクル原料調達の実証実験を行い、使用済みプラスチックの再資源化を推進

脱石油由来プラスチックへの転換

・一部パッケージフィルムの薄膜化、サイズの縮小

・一部パッケージフィルムにバイオマスPETを使用

・食べきりサイズのスタンドパック商品の一部を対象に、チャックのない包装形態へ変更

 

(注)

※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下

※2 中期:2030年頃

※3 一般社団法人 水素バリューチェーン推進協議会

サプライチェーン全体を俯瞰し、業界横断的かつオープンな組織として、社会実装プロジェクトの実現を通じ、

早期に水素社会を構築することを目的とした団体

※4 プラスチック起因の課題解決に向け、アネロテック社(Anellotech Inc.)と低環境負荷で効率的なプラスチック再資源化の技術開発を進め、回収プラスチックの選別処理企業、モノマー・ポリマー・包装容器製造企業、商社や飲料・食品メーカー等連携して、技術の実用化に取り組んでいる共同出資会社

 

 

 

・物理的リスク

リスク項目

事業への影響

影響度

(※1)

時期

(※2)

リスク対応策

進捗

平均気温の上昇による原材料育成影響

気温上昇によってばれいしょの比重の低下が発生する

中期

ばれいしょの品種の転換・開発

気候変動に対応する耐暑性、晩成型品種および病害抵抗性に対応するための新品種の開発

栽培技術の確立

・土壌水分状態に合わせたイリゲーション(かん水)の実施

・土壌状態に応じた適正施肥の推進

降水・気温パターンの変化

降水・気象パターンが変化することで、日照時間が減少し、ばれいしょの生育不良や収量の低下が発生する

中期

産地の分散化

道央・東北・九州北部の産地を拡大

海外産ばれいしょの輸入ルートの確保

北米地域の拡大

異常気象の続発化(豪雨、台風、洪水など)

暴風雨などにより収穫時期のばれいしょ圃場の被害が拡大、工場の被災や物流寸断が長期化することで、調達・生産・供給量が減少する

短期

異常気象を想定したオールハザード型BCPの策定

国内生産拠点にてBCM活動を展開し、レジリエンス認証を取得

主要商品の生産拠点の分散化

物流効率等も考慮し、商品群の特性に応じた生産拠点の検討

ハザードマップに基づく工場建設

生産拠点の水没リスクの確認を実施。新設で水没リスクのある用地については想定浸水深以上の嵩上げを実施

海外グループ工場からの供給

・2018年~「Honey Butter Chip」輸入(韓国)

 

(注)

※1 営業利益 大:50億円以上、中:20~50億円、小:20億円以下

※2 短期:2024年、中期:2030年頃

 

 

・機会

機会項目

進捗

エシカル消費に対応した商品開発

・RSPO認証パーム油やFSC認証紙を使用した商品の発売

・ポテトチップスのパッケージサイズ変更や「miino」のケースサイズ縮小により、輸送効率を向上させ、CO2の排出量を削減

環境配慮型素材を使用した包装容器への転換

・プラスチック使用量の削減としてバイオマスPET、バイオマスインキの使用

・段ボールやカートンにおけるFSC認証紙の使用

気候変動に対応したばれいしょの品種開発と転換

気候変動に対応する耐暑性、晩成型品種および病害抵抗性に対応するための新品種の開発

農業の省人化による原料調達確保・拡大

・コントラクター事業の推進

・多畦ハーベスターの導入運用を促進し、作業時間を削減

・ばれいしょ輸送および受入れ体制を増強

持続可能な原料の探索と商品開発

・ホクレン農業協同組合連合会と北海道農産物の振興に向けた連携協定

  北海道産ばれいしょの安定調達体制の構築

  北海道産ばれいしょを中心とした新商品開発ならびに販売促進

  さつまいも、豆などの農産物を用いた新たな「食領域」の共同開発など

・しれとこ斜里農業協同組合とばれいしょの安定調達に向けた連携

長期保存が可能な食品の開発

ポテトチップス、じゃがりこ、フルグラ等の賞味期限延長

 

 

 

③リスク管理

気候変動は当社の掲げる各マテリアリティと密接な関連がある課題も多いため、それぞれマテリアリティの重点テーマ内で取り組みを進めています。サステナビリティ委員会が当リスクおよび機会の管理を行い、継続的にモニタリングし、取締役会に報告しています。

また、気候変動により高まる風水害等の自然災害リスクの管理・対策は、「オールハザード型BCP(事業継続計画)」を推進し、レジリエンスの高い事業体制を確保することで行っています。本件に関しては代表取締役社長兼CEOが議長であるコンプライアンス・リスク対策会議が担い、決定した重要なリスクの内容と対策を必要に応じて取締役会に報告します。

 


 

 

④指標と目標

温室効果ガスの排出抑制に向けて、2031年3月期までに温室効果ガス排出量を30%削減(2019年3月期比)することを目指します。さらに、2051年3月期にはScope1,2で温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指します。

2024年3月期は、Scope1、2、3の実績合計は3.5%増加(2019年3月期比)し、Scope1は11.6%削減、Scope2は57.3%削減、Scope3は16.3%増加となりました。

(単位:千t-CO2

項目

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

Scope1&2実績

171.0

168.3

156.7

133.7

124.0

121.3

Scope1実績

105.6

102.5

102.6

102.0

98.6

93.3

Scope2実績

65.4

65.8

54.1

31.7

25.4

27.9

Scope3実績

435.4

449.7

461.2

449.6

499.4

506.5

 

(注)

 ※1 本指標と目標は、カルビー国内製造拠点を対象。

 ※2 温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)の実績については、一般社団法人日本能率協会による第三者の保証を

     受けています。

      詳細はこちらを参照ください。(https://www.calbee.co.jp/sustainability/esg-data/pdf/Jpn_20240726.pdf

 ※3 2025年3月期の実績は2025年秋公開予定 (https://www.calbee.co.jp/sustainability/materiality.php

 

 

 

(3)人的資本に関する考え方および取り組み

 人財はカルビーグループの競争優位性、企業価値向上、持続的な成長の源泉です。人的資本を経営基盤と位置づけ、人財への積極的な投資、働く環境の整備、企業風土の醸成等、取り組みを強化・継続してまいります。

 

①人財ビジョン

 カルビーグループは、2030ビジョンの実現に向けて、「全員活躍」を人的資本に関する最上位方針としています。カルビーグループにとっての全員活躍の定義は、「多様な人財が強みを活かし、組織・社会への貢献と自身の成長を通して、幸せと誇りを感じる」ことです。未利用な食糧資源を活かした商品づくりを通じて人々の健やかなくらしに役立ちたいという創業の精神は今も受け継がれており、原料から消費者に近い店舗まで含めた「10プロセス」をバリューチェーンと捉えることで、企業価値を高めてきました。おいしさと楽しさを世界中の人々にお届けするためには、「地道な努力、工夫・改善を重ね、未来に引き継いでいく人財」と「既存の枠にとらわれず、未来を切り拓いていく人財」のそれぞれが尊い人財です。カルビーグループの企業理念・ビジョンに共感した多様な人財がお互いを尊重し、感謝しあい、切磋琢磨しながら、自らも組織も成長し続け、人々の健やかなくらしに貢献し続けることを目指しています。

 

イ.人財育成方針(3つの方針)

 (a) 経営・グローバル・DX人財育成を強化する

 未来のカルビーをリードする人財育成に経営がコミットし、計画的・意図的なOJT/OFF-JTを通して、持続可能な人財基盤を構築します。

 (b) 社員1人ひとりの成長とキャリア自律を支援する

 挑戦機会を提供し、成長を支援すると共に、主体的・能動的にキャリアを切り拓いていくことを支援します。また日常業務では得られない気づきや視野拡大の機会を強化します。

 (c) お互いに成長しあえる組織風土を醸成する

 育成責任をもつ役職者の人財・組織開発力の向上を支援します。価値創造のために、立場に関係なく意見を出し合い、お互いの強みを発揮できるような心理的安全な土壌のある職場風土を創ります。

 

 ロ. 社内環境整備に関する方針

 社員一人ひとりが、自ら効率的に生産性高く働くことを目指し、性別のみならず、属性、個々の価値観などの垣根を越えた多様なすべての社員が、健康で安心して仕事に取り組むため社内環境の整備に取り組みます。

 (a) 安全・安心な職場づくり

社員が安全かつ快適に業務を遂行できる環境および要員体制を整備するとともに、チーム内・組織間のコミュニケーションの活性化と良質化を図ります。

 (b) 多様で柔軟な働き方の推進

社員を取り巻く個々の事情やライフスタイルの多様化に合わせて、柔軟に働き方を選択でき、また休暇が取得しやすい環境を整備、推進します。

 (c) 健やかな心と体づくりの推進

社員が自身の健康に関心を持ち、健康維持・増進に向けて主体的に取り組むことをめざし、健康リテラシーを高める施策を実施するとともに、医療職が積極的にかかわり、専門的支援を行います。

 

②人的資本における現在地と課題

2030ビジョンの実現およびサステナビリティ経営の実現に向けて、組織・人事における課題と打ち手の検討および人財戦略の構築を進めています。

 

イ.当社独自の全員活躍指数(人的資本インデックス)

カルビーグループの人的資本経営による企業価値への影響を定量的に評価するため、当社独自の人的資本インデックスを開発しました。カルビーグループの持続的成長を実現するためには、国内コア事業中心の「α人財(地道な努力、工夫・改善を重ね、未来に引き継いでいく人財)」と、海外事業や新規事業中心の「β人財(既存の枠にとらわれず、未来を切り開いていく人財)」の双方がそれぞれ活躍し、お互いを尊重し、協働することが必要です。
 人的資本インデックスは、上述それぞれの人財の「全員活躍状態」「心理的安全性」「キャリア自律」の各スコアの合算値(活躍実感スコア)に、α人財とβ人財の相乗効果を高める「相互信頼スコア」を掛け合わせたものです。 


 

ロ.メンバーシップサーベイの結果から見える課題

2019年3月期より「カルビーグループメンバーシップサーベイ」を実施し、各組織のエンゲージメントの状態を把握しています。役職者同士の対話を通して組織ごとの課題を捉え、改善に向けた具体的な施策を実施しています。
 
 メンバーシップサーベイにおいて、以下の項目をコア6項目として課題分析をしています。

「仕事を通じた成長機会の付与」「役割以上の貢献の動機づけ」「会社、上司・同僚への信頼」「会社の成長への貢献意欲」「カルビーでの勤続意思」「カルビーで働くことへの誇り」
・エンゲージメントサーベイの結果、全6項目が大きく上昇した要因として、全56回にわたる車座ミーティングを通じて、経営と社員が直接対話を行い、経営方針の理解と共感が深まったこと、次に、製販一体の組織体制へと変更したことにより事業の運営効率が向上したこと、そして、各職場における風土改善活動への積極的な取り組みが寄与したこと、の3点が挙げられます。
・「カルビーで働くことへの誇り」は上昇しましたが、スコアが低位であることを踏まえ、経営方針、企業理念の浸透およびDNAの継承を強化し、引き上げを図っていきます。


  ※「1:ほとんどあてはまらない」~「5:非常にあてはまる」の5点満点の回答スコアの平均値

 

 

ハ.経営との対話で見えてきた課題

役付役員全員が参加する月1回の「人財育成会議」においては、人事戦略および次世代リーダーのサクセッションプランをテーマとして対話を重ねています。対話の中で「将来の企業価値向上を妨げる可能性のある課題」というテーマから「安定・安住マインドからの脱却」「自らの枠を超え、自ら踏み出す従業員の増加」「企業価値を高めるコア人財の充足」の3点を重要課題と特定しました。

 
(a)安定・安住マインドからの脱却

過去の成功体験に捉われ、失敗を恐れ、リスクテイクを避ける傾向があり、新しい発想や価値が生まれにくいという課題があります。人財の流動性が乏しいことに加え、年功的な評価・報酬制度により、現状を変えなくても一定の昇給が保証されることも、現状に甘んじやすい体質の一因です。

(b)自らの枠を超え、自ら踏み出す従業員の増加

過去の経験や自らの枠組に囚われずに発想することは、組織を超えた連携や個人の創造性向上に繋がります。コンフォートゾーンを抜け出す社員を増やすために、キャリア自律や成長を促すマネジメント力、反対意見や新しい発想が受け入れられる心理的安全な職場風土、社内外を含めて組織の外に目を向ける機会の提供が不可欠です。

(c)企業価値を高めるコア人財の充足

未来に向けて必要なポジションおよびそれをリードする人財の質と量を明らかにし、意図的・計画的に人財の獲得・育成を進めることは将来の価値創造に向けて、重要な課題と捉えています。

 

 

③人的資本を通じた価値創造ストーリー

上述の重要課題を踏まえ、カルビーグループは、人的資本経営を通じて、「共創による新しい価値創造」「貢献意欲・成長実感の向上」、そして「継続的に成長する強い企業・経営」の実現に向けて、変革を進めると共に、土台の強化に取り組みます。


 
施策方針は下記の通りです。
<変革を進める施策>
・失敗を恐れず、誰もが挑戦できる組織風土
 多様な経験・考え方を持つ社員を増やし、活かす上で心理的安全性の高い職場づくり、その中でも特に「新奇歓迎」の風土の醸成が社員の挑戦を後押しする重要なポイントです。
・多様な貢献と成長を促す人事制度
 従来の評価制度では、結果のみにフォーカスがあたり、プロセスやチームワークを促しにくい仕組みであったことを踏まえ、評価制度を含めた人事制度を改定することで、多様な貢献と成長を促します。
・個の可能性を広げるキャリア自律
 社員一人ひとりに対し、主体的にキャリアを掴み、自己成長する意欲と行動を促します。キャリア自律が進むことで挑戦が生まれる土壌が醸成され、働きがいも大きく高まると考えています。
・未来を創るコア人財の採用・育成
  将来の経営を担う経営人財、デジタル技術を活用して価値創造ができるDX人財、カルビーのDNAと知見を活かして 海外で活躍できるグローバル人財、これらの戦略人財の育成が重要です。

 

<土台を強める施策>

・多様性を尊重したDE&I経営の推進

多様な人財が自分らしさを活かし、社会や顧客に価値を生みだすDE&I経営を目指します。女性活躍推進はさることながら、外国籍、障害者などの従業員がより働きやすい環境づくりを強化します。
・カルビーの理念浸透 DNAの伝承
 社内外の環境変化、事業の変革が進む中、創業者の理念やカルビーのDNAを継承することは重要です。カルビーらしさを大事にしつつ、持続的な成長を実現してまいります。
・健やかな心と体づくりの推進
 「人々の健やかなくらしに貢献する」という企業理念を掲げる企業として、社員の健やかな心と体づくりをこれまでも、これからも大切にし、働きやすく安全・安心な職場づくりを推進していきます。

 

 

④施策方針における指標/目標および取り組み内容について

施策方針

指標/目標(2025年3月期実績)

取り組み内容(2025年3月期実績)

失敗を恐れず、誰もが挑戦できる組織風土

◆メンバーシップサーベイ:心理的安全性
3.50(3.54)

・社員と経営層と直接対話する「車座ミーティング」の実施(56回実施、参加人数約3,500人)
・Innovation & Beyond Festaの実施の(社員からの新規事業・新規プロセスの提案制度の実施)(応募件数84件)
・心理的安全性の定着推進
・メンバーシップサーベイワークショップでの取り組み

多様な貢献と成長を促す人事制度

◆メンバーシップサーベイ:全員活躍状態
3.50(3.67)

・人事ポリシーの策定と制度改定検討

個の可能性を広げるキャリア自律

◆メンバーシップサーベイ:キャリア自律
3.50(3.22)
◆選択型育成プログラムの受講者数

1,000人(1,095人)

・「キャリア探究ノート」による上司との対話の奨励
・キャリアエール(社内公募)の実施(ポジション53件、エントリー数26人)
・ビジネスリテラシー獲得のための育成プログラム実施

・社外への人財交流(社外出向)

・副業促進・社外副業人財活用

未来を創るコア人財の採用・育成

◆重要戦略ポジション候補者の充足度
300%(191%)
◆グローバルでの貢献意欲のある社員率
30%(23%)
◆DXアカデミーのべ受講者数

1,800人(2,122人)

・人財育成会議によるサクセッションプランの策定・推進
・次世代リーダーの育成体系の構築およびプログラム実施
・グローバルタレントマネジメントの構築
・グローバル人財交流の促進
・DXアカデミーの運営

多様性を尊重したDE&I経営の推進

◆女性管理職比率

30%超(24.8%)

◆障がい者雇用率

3.6%(2.8%)

◆シニアエキスパート・マイスター率(※1)

15%(9.4%)

・女性リーダーシッププログラムの実施
・特例子会社の新工場での事業所開設(職域拡大)
・シニア制度の改定(現役世代と同水準の報酬/65歳の雇用上限年齢を超えて雇用継続可能とする)

カルビーの理念浸透 DNAの伝承

◆指標/目標は検討中

・馬鈴薯研修への取り組み

・A・A・O活動(「安全・安心・美味しい」の品質向上活動)

・新入社員/中途社員入社研修での理念浸透

健やかな心と体づくりの推進

◆平均有給休暇取得率

80%(84.9%)

◆所定外労働時間

15時間/月(16.9時間/月(※2))

◆健康診断受診率

100%(100%)

・有給休暇取得状況の月次確認と取得計画の策定

・健康診断、人間ドックの受診勧奨

・体調不良者、休復職者の早期発見・対応と継続的な医療職による面談を実施

 

(注)女性管理職比率、障がい者雇用率の目標達成年度を2031年3月期とする

(注)選択型育成プログラム受講者数はカルビー国内グループを対象、その他指標は提出会社を対象
 ※1 定年(60歳)後再雇用社員のうち、高い専門性等を評価し、現役世代の同水準の報酬で雇用する社員の割合

 ※2 対象は年俸者を除く社員