人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,129名(単体) 5,731名(連結)
-
平均年齢41.7歳(単体)
-
平均勤続年数15.8年(単体)
-
平均年収7,359,560円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(2024年3月31日現在)
(注) 従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
(2024年3月31日現在)
(注) 1. 従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2. 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。
(3) 多様性に関する指標
①提出会社および連結会社
(注)1.女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女の賃金の差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき開示しています。なお、出向者は出向元の従業員として算出しています。
2.女性管理職比率は、2024年4月1日時点の従業員数を基に算出しています。
3.雪印ビーンスターク㈱の管理職は、ほとんどが当社からの出向者で構成されており、直接雇用の管理職は1名でその者が女性であることから、女性管理職比率が100%となっています。なお、当社からの出向者も含めた女性管理職の割合は7.8%です。
4.男性の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の4第1号における正社員の育児休業等の取得割合を算出しています。
また、育児休業取得率は、当該年度中に子供の産まれた正社員数(A)に対して、その年に初めて育児休業等を取得した正社員数(B)の比率(B/A)を示します。この比率には、前年度以前に子供が産まれたが、その時点では育児休業等を取らず、当該年度に初めて育児休業等を取得した者が含まれるため、育児休業取得率が100%を超えることがあります。例えば、2023年度の取得率には、2022年度以前に子供が産まれ、2023年度に初めて育児休業等を取得した正社員をカウントしています。
5.男女の賃金の差異は、女性の賃金が男性の賃金に対してどれだけの割合であるかを示しています。正規雇用労働者には、正社員に加えて、有期から無期契約に転換したフルタイム勤務労働者を含みます。なお、職位や雇用形態における男女の比率の違いが主な要因として、男女の賃金の差異が生じていますが、賃金制度自体に性別による処遇差はありません。(提出会社における正規雇用労働者の男女の賃金の差異(65.4%)の内訳…正社員:72.8%、無期労働契約に転換したフルタイム勤務労働者:92.6%)
雪印ビーンスターク㈱は、従業員の選択により時間や働く日数を制限して働いている労働者が、特に女性の割合で多いことから、全労働者での男女の賃金差異は44.2%となっておりますが、フルタイムで勤務している労働者の男女の賃金差は88.8%です。
②連結ベース
(注)1.提出会社および連結会社に記載の7社の集計値を記載しています。
(4) 労働組合の状況
当社グループ(当社および連結子会社)の労働組合には、全雪印関係労働組合連合会に加盟する組合が7組合(2024年3月31日現在組合員数3,929名)、その他に3組合(2024年3月31日現在組合員数259名)があります。
なお、労使関係について特記すべき重要な事項はありません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティ共通
※重要課題(マテリアリティ)は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 目指す姿(存在意義・志)」
に記載しておりますので、参照願います。
「健土健民」と、その具体的な実現手法である「循環農法」の考え方は、当初は酪農・乳業の発展と安定的で豊かな食生活の実現のために掲げられたものでした。100年を経て、社会課題は食の持続性の実現に変わっています。食の持続性のためには、健全な人間社会だけでなく、動物、植物、地球環境の好循環が必要であり、循環型社会を目指す基本的な思想は100年前も現在も同じです。
当社グループのサステナビリティ経営は、環境に配慮した生産システムの構築と付加価値の高い商品の供給により社会課題を解決する、持続可能な事業活動によって実現するものです。中計2025で掲げた食の持続性を実現するため、重要課題(マテリアリティ)とKPI(重要管理指標)を設定し、これからもコンプライアンスの徹底を基本として、社会的価値と経済的価値が同期化したサステナビリティ経営を推進し、食の持続性の実現を目指します。
(ガバナンス)
当社グループ全体のサステナビリティの取組みを経営レベルで推進していくために、当社社長が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会を設置し、2023年7月に第3回グループサステナビリティ委員会および2024年2月に第4回グループサステナビリティ委員会を開催しました。この委員会では重要課題(マテリアリティ)のKPI進捗確認や、達成に向けた協議を行い、取締役会に報告しています。さらに、グループサステナビリティ委員会の下にサステナビリティ担当役員が部会長を務め、委員として社長が参加するサステナビリティ推進部会を設置しています。この部会では担当役員が分科会長を務める「脱炭素分科会」、「脱プラ分科会」、「人権分科会」からの報告を受け、具体的な取組みを協議しています。2023年12月には自然資本および生物多様性の開示、施策を検討するため「TNFD分科会」を設置し、現在、4つの分科会で運営しています。
なお、当社の各部署とグループ会社にはサステナビリティリーダーが配置され、サステナビリティグループ活動を行うなど、従業員のサステナビリティの考え方の理解・浸透や、現場での具体的な取組みを推進しています。
※サステナビリティ関連の各種方針 https://www.meg-snow.com/csr/various_policies/
2023年度の開催実績と討議内容
(2) 気候変動への対応
①2050年カーボンニュートラル宣言
雪印メグミルクでは、社会的・経済的価値を同期化させた「サステナビリティ経営」において、2023年5月に2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル宣言を行い、2030年度までにCO₂排出量を2013年度比50%削減する目標をKPIとしてグループ一体で脱炭素の取組みを推進しています。
②TCFD提言への取組み
気候変動問題は、グローバル社会の最重要課題の一つであり、「食の持続性」の実現に向け当社事業の前提条件となる課題として、取り組む必要があります。当社では2021年10月にTCFDへの賛同を表明し、2022年9月より「雪印メグミルクレポート(統合報告書)」にTCFDに基づく非財務情報の開示を始め、年に一度、内容の見直しを行っています。
(ガバナンス)
「(1) サステナビリティ共通」に記載しております。
(戦略)
2023年度は抽出された移行リスクと物理的リスクから、2つのシナリオ(1.5℃上昇シナリオ、4℃上昇シナリオ)でリスクと機会に分類し、今後の対応を整理しました。将来的には現在取り組んでいるTNFDと統合を目指します。また、2030年と2050年を時間軸として、事業インパクト評価を実施しました。
気候変動リスク・機会と当社における対応
事業インパクト評価
■影響度「大、中、小」の定義(金額範囲について) 大:50億~30億、中:30億~10億、小:10億未満
(リスク管理)
気候変動リスクはサステナビリティ推進部会で報告・協議され、グループサステナビリティ委員会を通じ、進捗状況をグループ全体で共有しています。また、雪印メグミルク内で毎週開催しているリスク連絡会ではグループ全体のリスクとトラブルの管理を行い、情報の迅速な共有化と対応を確認しています。
(指標と目標)
抽出されたリスクに対し、KPIを設定し、その取組みを行うと共に、2023年度より新たなKPIを設定しました。
2023年度の主なKPIの進捗状況
※1 集計中のため、2024年9月発行予定の「雪印メグミルクレポート2024(統合報告書)」に記載予定です。
※2 2021年度は提出会社の数値であり、2022年度よりグループ会社に拡大しました。なお、提出会社の2022年度実績は
8.4%です。
※3 省エネ法改正により、燃料由来のCO₂排出量の算出係数が変更される可能性があるため、数値は暫定値となりま
す。
※4 アキダクト(Aqueduct)は世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価のグローバルツールです。
(TNFDへの取組みについて)
2023年12月にサステナビリティ推進部会の分科会としてTNFD分科会を新設し、2024年3月にTNFDフォーラムへ正式に参画しました。TNFD分科会は2024年3月までに計9回の会議を実施し、当社と自然関連の整理、自然関連の外部環境動向、他社動向分析、求められる水準と現状のGAP分析など初期的開示に向けた準備を実施しています。また、2024年1月には当社役員向け勉強会を実施し、TNFD開示および取組みの必要性について理解促進を図りました。
当社グループにとって主力事業である牛乳・乳製品は、豊かな食生活と日本全体の食料自給率向上に欠かせないものですが、酪農生産に対する環境負荷低減(GHG排出量の削減)が社会課題になっています。これら自然資本・生物多様性に関連する課題の解決に向け、当社グループのサステナビリティ経営をいっそう推進していきます。なお、TNFDに準拠した本格的な開示は2025年秋を予定しています。
③2023年度の取組事項
ア.炭素価格
A.設備投資について
2023年5月より大樹工場でホエイ及び残渣をエネルギーとして有効利用するメタン発酵設備の稼働を開始し、現在、100%負荷運転に向け設備の調整を実施しています。また、なかしべつ工場のボイラのエネルギーを重油よりLNGへ変更します。2024年12月稼働を目指して進めており、2023年度は1期工事が完了しました。
再生可能エネルギーの利用拡大に向け、2030年度に再エネ電力比率を全社で30%以上とする環境目標を新たに定めました。この対応として、2023年7月より海老名工場太陽光発電設備の稼働を開始しました。また、京都工場(2024年5月稼働予定)と阿見工場(2024年9月稼働予定)に太陽光発電設備導入工事を開始しました。幌延工場では水素エネルギーの利活用によるCO₂排出量削減の取組みを発表しました。これは幌延工場近隣(豊富温泉)から産出する未利用ガスから創出された水素と既存ボイラ燃料であるLNGを混焼させるボイラ設備を導入し、2025年下期から実証実験を行う内容となります。
B.サステナビリティ・リンク・ローンの活用
サステナビリティ・リンク・ローン(以下「SLL」)は、借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPT」)を設定し、借入条件とSPTの達成状況を連動させる借入です。
雪印メグミルクグループでは、2030年度CO₂排出量50%削減をSPTとして、2022年3月に80億円の調達を行いました。このSPTを基に借入期間の目標値を定めており、2022年度はその目標を達成しました。
なお、CO₂排出量は、第三者機関による検証を実施しております。
<雪印メグミルクグループ全体のCO₂削減率の目標及び実績値>
※1 2022年度、2024年度、2026年度の数値はSSLで設定したSPT
※2 2023年度数値は見込み
C.グリーンボンドレポーティングの進捗状況
グリーンボンドは、環境問題の解決に貢献する事業に要する資金を調達するために発行する債券です。2023年12月に発行した50億円のグリーンボンドの対象事業の概要、調達資金の対象事業への充当状況及び環境効果に関する指標等を、実務上可能な範囲で年次で当社ウェブサイト上に開示しております。
※サステナブルファイナンス https://www.meg-snow.com/csr/finance/
グリーンボンドで開示するプロジェクト
D.ICP導入について
インターナル・カーボン・プライシング制度について、2024年4月から導入する事を決定しました。
イ.消費者意識の変化
A.石油由来プラスチックの削減に向けて
雪印メグミルクでは、2030年度に石油由来のプラスチック使用量(売上原単位)25%削減(2018年度比)をKPIと定め、将来に向けた施策を検討しています。2023年度はヨーグルト容器の紙化に向けた検討やバイオマスプラスチックを配合した容器のラインテストを行い、サステナビリティ推進部会で協議しました。2023年4月より、東京都、神奈川県、千葉県、福岡県などで学校給食牛乳ストローレス容器の導入を開始しました。この取組みでは最大で年間約5,400万本(約18t)の石油由来プラスチックの削減が期待できます。また、リデュースの取組みとして容器包装に使用されているプラスチック製キャップの薄肉軽量化などにも取り組みました。
<石油由来プラスチックのKPI進捗状況>
B.プラスチックの排出抑制及び再資源化について
雪印メグミルク全体でプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が250t/年を超えるため、「多量排出事業者」に該当します。2023年度の全社環境目標より、新たにプラスチック排出の抑制および再資源化などに関する目標を定めました。今後、進捗状況の公表を行います。
C.海洋プラスチック配合のプラスチックパレット導入について
製品の輸送や保管に用いる荷役台として、海洋プラスチック(OBP:オーシャンバウンドプラスチック)を配合したパレットを採用しました。従来より、破損・老朽化したパレットやクレートを再商品化(リサイクル)したプラスチックを使用してきましたが、今後は更に海洋プラスチックを配合したパレットを使用し、プラスチック資源循環を強化します。
ウ.平均気温の上昇
A.生産拠点の節水の取組み
生産拠点の用水使用量について、2030年度に2013年度比9%削減とするKPIを定め、節水施策を実施しています。海老名工場では2023年5月から、ろ過器逆洗水回収設備が稼働しました。(2.6万㎥/年の削減効果)
また、興部工場温水装置導入・濃縮冷却塔更新、阿見工場蒸気ドレン排出方法改善、海老名工場品質管理課回収水活用、なかしべつ工場圧空冷却塔増能更新など用水使用量削減を順次実施しました。
この結果、2023年度の用水使用量は約11,600千㎥/年となり、 KPIを達成する進捗となりました。
B.緑肥作物種子による作付面積拡大(循環型社会の形成)
環境負荷低減に向け、グループ会社の雪印種苗㈱での緑肥作物種子による作付面積拡大(2019年度比20%拡大)を新たなKPIとして設定し取り組みました。
エ.異常気象の頻発化と深刻化(豪雨、洪水等)
A.生産拠点の水リスクについて
生産拠点の水リスクについて、リスクの再評価を行いました。アキダクト(世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価のグローバルツール)による評価では、リスクが高い対象事業所はありませんでした。当社の独自評価として用水、排水、洪水の各リスクについて評価し、用水リスクへの対応として、川越工場で井戸水の濁り対策、排水リスクへの対応として、川越工場で高濃度排水流入時の対策工事、グループ会社(八ヶ岳乳業㈱茅野工場)で排水処理設備の下水道接続を実施しました。また、洪水リスクへの対応として、グループ会社のハザードマップによる浸水被害の有無、受変電・配電設備への調査を実施しました。
B.プラントベースフードなどの代替食品について
2024年3月に新ブランド「Plant Label」(プラントラベル)を立ち上げ、プラントベースフード4商品の発売を開始しました。この新製品では、今後、日本で成長が見込まれる「えんどう豆」由来の原料を使用しています。「えんどう豆」は、低脂質であり、たんぱく質や食物繊維が豊富で栄養面にも優れた素材です。新たな植物性商品の発売で、プラントベースフード市場の活性化を図ります。
C.BCPの強化について
インフラの維持および停電後の復旧を目的として、北海道内全7工場に非常用発電機を設置しており、有事に備え、定期訓練を実施しました。
オ.酪農基盤
A.牧草・飼料作物種子の作付面積拡大(酪農生産基盤強化)
自給飼料型酪農の推進のため、グループ会社の雪印種苗㈱での牧草・飼料作物種子による作付面積拡大について、作付面積を2019年度比で3%拡大することをKPIに設定し取組みを推進しました。2022年度の実績ではKPIを達成する進捗となりました。
※1 集計中のため、2024年9月発行予定の「雪印メグミルクレポート2024(統合報告書)」に記載予定
です。
B.酪農総合研究所シンポジウム開催(酪農生産基盤強化)
持続的酪農経営を行うための経営管理・技術的支援として、2024年2月に雪印メグミルク酪農総合研究所が主催した酪農総合研究所シンポジウムを開催しました。
2023年度は「今こそ飼料の国産化を! PartⅡ~飼料自給率向上に向けた課題とは~」をテーマに、研究者や酪農家が講演し、自給飼料の利用拡大に向けた議論を行いました。
C.牛の腸管由来温室効果ガス削減の取組み
持続的な酪農の取組みとして、雪印メグミルク酪農総合研究所、生産団体(JA北オホーツク)、研究機
関(北里大学)と連携し、牛の腸管由来温室効果ガス削減対策となる実証試験を継続実施しました。
(3) 人権尊重の取組み
「ビジネスと人権」に関する企業の対応への要請はますます強まっており、当社グループの事業活動およびサプライチェーン上において、適切な対応が求められています。私たちは、事業活動を進めていく上で直接または間接的に影響を与える、あらゆる人々の人権を尊重しなければなりません。
2021年6月、事業活動における人権尊重の責任を果たすため、「雪印メグミルクグループ 企業行動憲章」に基づき、指針として「雪印メグミルクグループ 人権方針」を定めました。以降、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って実践しています。
※人権尊重の取組み https://www.meg-snow.com/csr/human-rights/duediligence/
人権デュー・ディリジェンスの実施ステップ
(ガバナンス)
「(1) サステナビリティ共通」に記載しておりますので、参照願います。
(戦略)
2021年度は、まず当社のサプライチェーンから人権デュー・ディリジェンスを開始しました。関係部署参画のもと特定した「優先的に取り組む人権リスク」に対して、2030年度までのロードマップに沿って人権影響評価を順次実施しています。現在、国内グループ会社、海外現地法人へ取組みを拡大しているほか、当社グループで雇用する外国人労働者(在留資格「特定技能」「技能実習」)の増加に伴い、全ての事業所において細やかに人権影響を確認するため、人権分科会のメンバーによるインタビュー(内部による確認)を2023年度より行っています。
(リスク管理)
人権への負の影響を防止・軽減するための対応(人権デュー・ディリジェンス)が不十分な場合は、調達や生産、取引関係におけるマイナス影響や、当社グループのブランド価値毀損にもつながります。そのため、「優先的に取り組む人権リスク」に対して、人権分科会およびサステナビリティ推進部会で対応結果の確認と今後の方向性の協議を行っています。その内容は全て、グループサステナビリティ委員会を通じてグループ全体に共有しています。 当社内で定期的に開催しているリスク連絡会では、グループ全体の人権に関するリスクとトラブルの管理を行い、情報の迅速な共有化を図り、対応をチェックしています。
(指標と目標)
重要課題(マテリアリティ)の重点取組みテーマ「人権の尊重」に定めたKPIに沿って、計画的に人権デュー・ディリジェンスや啓発活動を進めていきます。
2023年度までの進捗状況
(4) 人的資本、多様性
雪印メグミルクグループは、「最大の経営資源は『人材』である」と考えています。
世の中の大きな環境変化と先行きが不透明な中で、企業理念と存在意義・志の実現を目指し、持続的に成長するためには、その源泉となる付加価値を生み出す「人材」の成長と活躍が不可欠と考えています。
グループの役職員一人ひとりが大切に考える共通の姿勢・価値観である「雪印メグミルクバリュー(主体性・チャレンジ・チームワーク)」を実践する多様な人材が、個性や能力を十二分に発揮できる環境づくりと人事施策を推進し、従業員一人ひとりの「働きがい」(働きやすさ+仕事のやりがい)を高め、ミルクバリューチェーンを通じて付加価値を創造する人材を育成します。
なお、2021年度に「雪印メグミルクバリュー」の実践を推進し表彰する制度として「雪印メグミルク アワード」をスタートしました。2024年度より対象をグループ会社に拡大し、「雪印メグミルクグループ アワード」として、より一層のバリュー浸透を図ります。
(ガバナンス)
当社は、中期人材戦略について、中計2025の基盤戦略の一つとして、取締役会で協議・決定しています。
各部署・グループ会社における人材育成は、人材育成責任者、担当者を配置し、グループ人材育成方針に基づく施策を推進します。
(戦略・指標と目標)
「中期人材戦略」は、以下の4つの施策で構成されます。なお、連結グループ各社では研修等において一部共通の取組みを実施しているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社で取組みが行われていないことや数値の集約が困難であることから、指標および目標については提出会社の内容を記載しております。
①働き方改革の推進による労働生産性の向上
ア.働き方改革の推進
当社は、2016年度から生産性の向上に取り組んできました。時間外労働時間(一般職月間平均)は、2015年度の23.8時間から2023年度は16.7時間と4分の3以下に減り、年次有給休暇の取得率(全従業員平均)は、2015年度の65%から2023年度は83%に達しました。
イ.新しい働き方の提供
2018年度に全社展開した在宅勤務制度は、「どんな時間でも、どんな場所でも、どんな組織でも、そしてどんな人でも、いきいきと働ける」ことをテーマに「雪印メグミルクリモートワークマネジメント(YMR)」として進化し、今後さらに「あたらしい働き方」として、企業価値の向上と従業員満足の向上を同時に実現する、多様性あふれる働き方の実現に向け、従業員が自分で選べる働き方を目指していきます。
(指標・目標)
(注)1.数値は提出会社の実績値です。
2.総労働時間は一般職一人当たりの年間時間数です。
3.時間外労働時間数は一般職一人当たりの月間所定労働時間数に対する時間数です。
4.年次有給休暇取得率は非正規社員を含む全従業員の年間付与日数に対する取得率です。
②多様性(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進による付加価値創出
ア.ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)の推進
当社グループの求める人材は、「雪印メグミルクバリュー」で掲げた主体性・チャレンジ・チームワークの3つを実践できる資質のある多様な人材です。年齢(若手・中堅・シニア)、性別(男性・女性)、国籍、経歴(新卒・キャリア・ジョブリターン)、障がいの有無等、様々な背景を持つ人材がそれぞれの個性を認め、尊重し、互いの能力を発揮することで相乗効果と付加価値を生み出す企業グループを目指しています。
イ.女性活躍推進の取組み
当社は、2015年12月の「女性活躍推進」宣言以来、「女性活躍」を多様性の中核と位置づけ、企業戦略として推進しています。女性管理職比率は、2015年度の2.5%から2024年度期首には7.8%まで増え、引き続き2025年度末の10%以上を目標に取り組みます。
具体的な取組みとしては、女性リーダーの育成やキャリアアップに向けた社内外におけるキャリア開発プログラムの展開、育成プランの策定、LGBTQ+を含むアンコンシャスバイアスの理解促進を目的とした社内フォーラムの開催やeラーニングの実施、更にきめ細やかな機会の提供と育成を図る活躍支援に注力します。
ウ.キャリア人材の採用
経営戦略と連動し、ミルクバリューチェーンを支える人材として、新卒採用に加えて生産、営業、研究開発、IT等各分野において、他企業経験のあるキャリア人材の採用を行っています。また、意欲と能力を有する契約社員(非正規社員)は正社員に転換し、より広いフィールドで活躍しています。
エ.育児・介護の両立支援
出産・育児、介護と仕事の両立を支援するため、セミナーの開催や各種プログラム開発・提供を行っています。2022年10月には育児・介護休業法の改正に合わせて、男性従業員(非正規社員も含む)の育児休業取得促進を目的に「産後パートナー休暇」として28日間の有給休暇制度を新設しました。
オ.D&Iプロジェクト
働き方改革、各種制度の拡充と環境整備が進む中、次のステージとして、2023年度から人事担当役員、サステナビリティ担当役員を責任者とし、各部門の実務担当者から構成する「D&Iプロジェクト」を発足し、より一層、多様な人材が活躍する実効性のある仕組みづくりを加速させます。
(指標・目標)
(注)1.数値は提出会社の実績値です。
2.女性管理職比率、育児休業取得率、男女の賃金の差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき開示しています。なお、出向者は出向元の従業員として算出しています。
3.女性管理職比率は下記時点の従業員数を基に算出しています。
・2021年度:2022年4月1日時点
・2022年度:2023年4月1日時点
・2023年度:2024年4月1日時点
4.育児休業取得率は、当該年度中に子供の産まれた正社員数(A)に対して、その年に初めて育児休業等を取得した正社員数(B)の比率(B/A)を示します。この比率には、前年度以前に子供が産まれたが、その時点では育児休業等を取らず、当該年度に初めて育児休業等を取得した者が含まれるため、育児休業取得率が100%を超えることがあります。例えば、2023年度の取得率には、2022年度以前に子供が産まれ、2023年度に初めて育児休業等を取得した正社員をカウントしています。
5.男性の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の4第1号における正社員の育児休業等の取得割合を算出しています。
6.育児休業平均取得日数(男性)は、正社員の男性で、育児休業を取得した者の平均取得日数を記載しています。
7.男女の賃金の差異は、女性の賃金が男性の賃金に対してどれだけの割合であるかを示しています。正規雇用労働者には、正社員に加えて、有期から無期契約に転換したフルタイム勤務労働者を含みます。なお、職位や雇用形態の男女間での人数比率の違いが主な要因として、男女の賃金の差異が生じていますが、賃金制度自体に性別による処遇差はありません。
(提出会社における正規雇用労働者の男女の賃金の差異(65.4%)の内訳…正社員:72.8%、
無期契約に転換したフルタイム勤務労働者:92.6%)
8.障がい者雇用数、障がい者雇用率は障害者雇用状況報告書(各年度6月1日時点)に基づき算出しています。なお、出向者は出向元の従業員として算出しています。
9.新入社員数(キャリア)は正社員でないものから正社員への転換者を含みます。
③経営戦略を実現する人材確保・配置と育成
ア.スキル開発
当社では階層別の各役割要件に合ったスキルを設定し、マインド・思考等の強化と合わせ計画的にリーダーシップスキルを習得するプログラムを展開しています。公募型のビジネススキル研修にはグループ会社従業員も対象とし、アカウンティング、ロジカルシンキング、リーダーシップ等のスキル開発を推進します。
イ.活躍機会の提供
従業員意識調査の結果では、「男性に重要度の高い業務を任せがちである」という声もあります。スキル開発に加えて、性別に関係なく、若年層からベテラン社員まで、やる気と熱意を持った従業員に対しては社内公募やキャリアチャレンジ制度、大型プロジェクトへの参画、グループ会社への派遣等を通じて、能力開発と活躍の機会を提供していきます。
ウ.専門性の強化
当社グループは、乳で培われた私たちの幅広い知見や機能(ミルクバリューチェーン)によって価値創造を実現します。酪農、研究開発、生産、品質保証、マーケティング、ロジスティクス、IT等バリューチェーンを支える各部門の専門性のより一層の強化と共に事業展開のグローバル化、デジタル化に対応できる人材を育成します。
エ.キャリア自律支援
当社は20代~50代の各世代でキャリアワークショップを実施し、2023年度からは中高齢従業員のセカンドキャリアを視野に入れたセルフキャリアドックやキャリアカウンセリング等、キャリア自律支援を推進します。また、キャリア自律や多様な働き方の推進、能力開発・発揮等の観点から2024年度より副業制度を導入します。
オ.次世代リーダー(経営層候補)の育成
2023年度より、選抜型リーダーシップ開発研修と役員研修を繋ぐプログラムとして、次の経営層候補を対象にリーダー開発に主眼を置いた所属長研修を導入し、グループ経営の次世代を担うリーダー群を育成します。
(指標)
(注)1.数値は提出会社における正社員の実績値です。
2.研修費用は一人当たりの年間費用です。
④従業員のワークエンゲージメントの向上
ア.健康経営の推進
2021年4月に食の楽しさや健康をお届けし、食の未来を創造する企業として、従業員が心身ともに健康であることを尊び、健康の維持・増進に向け、自ら行動していくことができるよう、以下の取組みを推進、支援していくことを宣言しました。
a. 生活習慣病の未然予防を目的に、セルフケア知識の提供や、健康相談・保健指導を実施し、健康増進に向
けた取組みを推進します。
b. 従業員全員を対象に、ストレスチェックを実施し、メンタルヘルスに関わるケアおよび予防支援の取組み
を推進します。
c. 従業員の健康確保に向けた働き方の取組みを推進します。
従業員の主体的な「健活チャレンジ」をはじめとする生活習慣病リスク保有者数の減少と従業員の生産性の向上により、従業員一人ひとりの健康を礎として、従業員の人生の充実と会社の持続的成長を目指します。なお、2024年3月に日本健康会議より「健康経営優良法人2024」の認定を受けました。
健康経営推進体制
イ. エンゲージメント調査と施策への反映
人事戦略上、雪印メグミルクバリューを実践する多様な人材にとって、ワークエンゲージメントは重要なテーマであることから、2023年度に初めてエンゲージメント調査を実施しました。
当社の強みとして、「ワークライフバランスが実現しやすいこと」、「困難時に職場メンバーとの連携がとれること」等が挙げられる一方、弱みとして「ミッション・ビジョンへの共感性が低いこと」、「挑戦しにくい風土であること」が挙げられます。
これらから経営と従業員、上司と部下をはじめとする社内の「対話」が不足しているのではないかと推察し、2024年度より各所属長が自場所のエンゲージメント向上に向けたアクションプランを作成し、取組みを推進します。
ウ.人事諸制度の見直し
当社の人事制度の基礎は、2009年の雪印乳業㈱と日本ミルクコミュニティ㈱との経営統合に遡り、これまでに多くの拡充、見直しを行ってきました。今後も労働市場や働く人の意識等経営環境の変化に応じて、従来の年功的なものから、役割や発揮能力・行動や専門性に報いる等、若年層からベテラン社員まで「雪印メグミルクバリュー」を実践する多様な人材の働きがい(働きやすさ+仕事のやりがい)、成長につながる人事諸制度と運用へと見直します。
(指標)
(注)1.数値は提出会社の実績値です。
2.肥満該当率の対象者は40歳以上です。
3.アブセンティーズムは病気で休業している状態を表す数値として、傷病休職・休務制度利用日数及び
傷病欠勤日数の合計日数の平均値を記載しています。
4.プレゼンティーズムは何らかの健康問題を抱えたまま仕事をすることで労働機能に与える程度を測定
するための指標として、WFunによる測定を行い、組織の労働機能を総合評価した数値を記載して
います。
(リスク管理)
多様な人材や求める人材を確保できないこと、一人ひとりの働きがいの向上と成長を実現できないこと、「雪印メグミルクバリュー」と対局にある、「指示待ち」「前例踏襲」「セクショナリズム」といった組織体質に陥ること、これらを事業活動のリスクと考えています。多様な人材が個性や能力を十二分に発揮できる環境づくりと人材育成によりリスクを低減し、企業文化への定着を目指します。