2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

なお当社グループは、以下のような経営および事業リスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

(1)酪農乳業界について

[リスク①]

当社グループの主要原料である加工原料乳の取引は「畜産経営の安定に関する法律」に基づく交付対象数量、補給金単価等の変更が当社グループの原料調達等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、これまで同様、国内酪農に軸足を置き、企業理念で定めた使命の一つである酪農生産への貢献を果たすとともに、乳の国際化を視野に入れ、関税水準の引き下げに伴う乳製品輸入で得られるメリットの最大限の活用を検討していきます。

 

[リスク②]

当社グループが生産する乳製品には、国内農業保護を目的とした関税制度が敷かれております。しかし、WTO(世界貿易機関)農業交渉やFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)等の交渉および発効において乳製品の関税水準が引き下げられた場合には、当社グループの乳製品の販売に影響を及ぼす可能性があります。一方で、原材料調達価格が下がるなどのメリットも生じます。

 

(2)需給変動について

[リスク①]

当社グループは、国内で生産される生乳を主要原料としておりますが、国内の生乳需給はこれまでも過剰と逼迫を繰り返しており、過剰の場合には乳製品在庫過多により販売競争が激化し、逼迫の場合には商品の原料調達不足による製造量減少により販売機会の喪失や生産効率が低下する可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、牛乳・乳製品の需要拡大を通じて国内酪農生産の基盤強化と持続的発展に貢献していきます。

また、需給変動による収益への影響の軽減に向けて、事業ポートフォリオを再編し、収益基盤の複数化とその確立に取り組むとともに、継続的なプロダクトミックスの改善による収益力の強化、および効率的な生産体制の確立に取り組んでいます。

 

[リスク②]

乳製品や飼料原料の国際市況は、世界経済の変動等による需要の増減、旱魃等の異常気象による飼料作物の不作などを原因とする製品供給の減少等の影響を受け、大きく変動することとなります。国際的に需給が逼迫した場合には乳製品や飼料原料の調達困難化や価格の高騰があり、需給が緩和した場合には安価な輸入乳製品の流入による国産乳製品の需要減少や飼料価格の下落として、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、配合飼料価格上昇時には畜産経営者に配合飼料価格安定制度により価格補てん措置が採られることになっており、メーカー拠出金が増加した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)家畜伝染病について

[リスク①]

当社グループの主要原料である生乳は酪農生産者から工場に受け入れる段階で検査および殺菌等の処理を実施しておりますが、工場で生乳を受け入れた後に生乳を搾った牛が法令に定められた家畜伝染病に感染していたことが判明した場合には、法令等の定めに従い当該生乳または当該生乳を原材料とする製品の廃棄を行ないます。廃棄される原材料または製品の量が多くなる場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針①]

家畜伝染病等が流行した場合は、迅速な情報収集を行ない、法令や「MSQS(MEGMILK SNOWBRAND Quality Assurance System)」等に則り、適切な対応を行ないます。

 

[リスク②]

家畜伝染病が発生した場合、風評被害などにより国内の生乳を使用した商品の消費減少の可能性があります。また、当該伝染病の対応により乳牛が淘汰された場合、飼育頭数の減少に伴う生乳生産量の減少や飼料需要の減退による飼料販売の減少等により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針②]

風評については、一般社団法人Jミルクをはじめとした業界団体を通じ、正確な情報提供に努めていきます。

 

 

 

 

(4)市場規模の縮小等について

[リスク①]

日本においては少子高齢化の進展により人口減少傾向にあり、当社グループが対象とする市場が縮小してきております。また、急激な経済状況の後退や物価の高騰などが発生した場合、消費意欲の減退などによる市場縮小の可能性があります。こうした市場の縮小は、当社グループの商品販売に影響を及ぼす可能性があります。その他、畜産市場において飼養頭数が減少した場合、飼料や飼料作物種子の販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針①]

当社グループは、事業ポートフォリオを適切に見直しており、機能を訴求する商品や高付加価値商品の開発強化、販売拡大により、国内事業の収益基盤の強化・確立を目指しております。また、海外の生産拠点の活用によりチーズを中心に販売物量を拡大し、ボーダレス展開を加速することで、海外事業の強化を図っています。

 

[リスク②]

飲料・デザート類は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、天候不順や、夏場の気温が低く推移した場合には、売上高が減少し、当社グループの飲料・デザート類の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針②]

当社グループでは、需給変動による収益への影響の軽減に向けて、事業ポートフォリオを再編し、収益基盤の複数化とその確立に取り組むとともに、継続的なプロダクトミックスの改善による収益力の強化、および効率的な生産体制の確立に取り組んでいます。

 

(5)販売先の寡占化とメーカー同士の競合の激化について

[リスク①]

当社グループの製品は量販店中心に販売されておりますが、量販店を含む流通業界においては再編・淘汰が進み、流通業者の寡占化および大規模化が進展しております。この結果、特定の販売先の仕入れ・販売施策の変更および販売先の業績の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社は、メーカーとして「ものづくり」の強化と新たな価値の創造に取り組むことで、商品開発力の強化とともに、商品を通じた価値の提供を目指しております。あわせて、当社グループは新たな収益機会の創出に向けて、ニュートリション事業分野における通販チャネルを通じた機能性食品事業の規模の拡大、および利益の創出に取り組んでいます。

 

[リスク②]

乳業・食品業界においては大手メーカー同士の経営統合や中小メーカーの再編・淘汰が進展し、規模拡大と事業領域の拡大が進んでおります。この結果、当社グループの事業領域への他業界からの新規参入や、メーカー間の商品開発・価格競争の一層の激化等が想定され、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)食品の安全性について

[リスク①]

食品業界においては、食品の安全性や品質管理が強く求められております。仮に品質問題が生じた場合には自主的あるいは食品衛生法等の法令に基づく商品の回収や工場の操業停止、製造物責任(PL)法に基づく責務の負担等により当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。さらにこれらの事態の発生は、当社グループの社会的信用にも悪影響を与える可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、品質管理に関して世界標準の品質管理手法であるISO9001およびHACCP(Hazard Analysisand Critical Control Point)の考え方を取り入れ、独自の品質保証システム「MSQS(MEGMILK SNOWBRAND Quality Assurance System)」を構築するとともに、GFSI(Global Food Safety Initiative)に認定された国際的な食品安全スキームの認証取得を推進し、徹底した品質管理を行なっております。また、風評については、一般社団法人Jミルクをはじめとした業界団体を通じ、正確な情報提供に努めていきます。

 

[リスク②]

当社グループ固有の品質問題のみならず、国内外において、健康に影響を及ぼす物質の混入、家畜伝染病等の食品に関する品質問題や健康問題などが発生した場合、さらには問題発生の有無にかかわらずこれらに関する風評が拡大した場合には、当社グループの売上に影響を及ぼし、この結果として業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(7)法規制について

[リスク①]

当社グループの販売する乳製品を始めとした食品や育児用調製粉乳、機能性食品は、「食品衛生法」の他、「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」、「健康増進法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等により成分規格や製造方法、商品表示方法等について法規制を受けております。飼料・種苗は、「飼料安全法」、「種苗法」、「農薬取締法」、「家畜伝染病予防法」等の法規制を受けております。

仮に製造工程等におけるトラブルや表示の不備等による規制の抵触が発生した場合には、製品の廃棄・回収コストの発生や社会的な信用力の低下により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針①]

当社グループは、「雪印メグミルクグループ企業行動憲章」のもと、「グループサステナビリティ方針」等のグループ方針に基づき、各社行動基準、関連諸規定を定め、法令を遵守し、製造工程管理や品質管理、適正表示等に努めています。

 

[リスク②]

法令の改正がなされた場合には、これまでの成分規格や製造方法等が認められなくなる可能性があります。新しい成分規格や製造方法等に対応するためのコストが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針②]

法令改正への対応は、適切に行うとともに、生産性向上などコスト吸収に取り組んでいます。

 

[リスク③]

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」により、自動車を運転する業務に従事する者一人当たりの労働時間が減り、走行距離が短くなります。慢性的な人材不足の目立つ運送・物流業では、長距離輸送の人員確保がさらに困難となり、コスト増や配送能力の低下による売上機会の損失につながる可能性があります。

 

[対処方針③]

当社グループは、運送効率化に向けた輸配送コースの見直しやパレット輸送化の推進などにより、物流事業者と協力し効率的な輸配送ができる仕組みや、トラックドライバーの労働環境を整え、持続可能な物流体制構築に努めております。

 

(8)個人情報保護について

[リスク]

予期せぬ事態により個人情報の流出などが発生した場合には、社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、グループ各社が保有する個人情報の保護・管理について、「個人情報保護方針」および関連諸規定を定めるとともに、従業員教育などを通じ、厳正な管理に努めております。

 

(9)知的財産について

[リスク]

当社グループは、研究開発を始めその事業活動において、当社グループが所有している、または第三者により適法に使用許諾を受けている種々の知的財産を活用しております。当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの予期せぬ警告や訴えを受けたり、第三者に知的財産権を無断で使用される恐れがあり、その場合、訴訟活動やその結果により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、関連諸規定を定め、第三者の権利を侵害することのないよう努めるとともに、専門部署によるチェックを行なっております。また、当社グループの保有する知的財産については、専門部署により適切に管理する体制を整え、第三者による知的財産権の侵害リスクのモニタリングを行なっております。当社グループまたは第三者の知的財産にかかるリスクが顕在化した場合には、必要に応じて社外の弁護士などと協力し、事業への影響を最小限に留めるように対応します。

 

(10)人権に関するリスクについて

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人権尊重の取組み」を参照ください。

 

 

(11)大規模な地震・火災等の発生および感染症の流行について

[リスク①]

当社グループの生産事業拠点が、大規模な地震、火災の発生、その他、生産事業拠点の従業員が感染症に罹患するなど、長期間操業停止した場合は、生産・供給体制に影響を与え、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、お客様へ安全で安心して頂ける商品の安定供給に努めております。感染症等が流行した場合には、顧客、取引先及び社員の安全を最優先に考え、感染防止に向けて衛生管理を徹底するとともに、事業継続計画(BCP)に基づき事業継続に努めます。

 

[リスク②]

世界的パンデミックを引き起こすような感染症が拡大した場合には、経済活動が停滞し景気が悪化することで、販売低迷の長期化や原材料価格を含む様々なコストの上昇などが生じ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)環境に関するリスクについて

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動への対応」を参照ください。

(13)資金調達について

[リスク]

当社グループは、金融機関からの借り入れ、社債発行による資金調達を行なっておりますが、金融市場環境に変化があった場合に、資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、現預金残高に加え、金融機関とコミットメントライン契約および当座貸越契約を締結するなど、十分な資金の流動性を確保しています。

 

(14)為替レートの変動について

[リスク]

当社グループは、一部の原材料および商品を海外から調達していることから、為替レートの変動の影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円安は当社グループに悪影響を及ぼし、円高は当社グループに好影響をもたらします。

 

[対処方針]

当社グループは、為替予約や外貨決済により、為替レートの変動の影響を低減するように努めています。

 

(15)情報システムについて

[リスク]

当社グループでは、原材料の発注、製品の製造、商品の受注、経理処理等、事業全般にわたり情報システムを活用しております。停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等予想の範囲を超えた出来事により、情報システムの停止または一時的な混乱、内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合には、事業の一時的な停止や社会的信用の失墜等により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、情報システムを適切に運営するため、「情報セキュリティ基本方針」および関連諸規定を定めた上で、事業継続計画(BCP)を策定し、適切なセキュリティ対策を実施しております。また、従業員教育を行ない、リスクの軽減に努めています。

 

(16)人材に関するリスクについて

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 人的資本、多様性」を参照ください。

(17)その他のリスク

[リスク]

上記以外にも事業活動を行なううえで、経済情勢の変化に伴うリスクやコンプライアンスに関するリスクなど、様々なリスクが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

[対処方針]

当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスク管理体制の強化に取り組んでいます。

 

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、利益創出による財務の健全性の維持、キャッシュを創出する基盤インフラおよび成長への投資による資本効率の向上、ならびに株主への利益還元の充実を図っていくことを利益配分の基本方針としております。

連結配当性向目標につきましては、連結業績や財務状況等を総合的に勘案し、30%以上から資産売却益を除く40%以上に変更し安定的な配当の継続に努めてまいります。

 

毎事業年度における配当の回数については期末配当1回とし、配当の決定機関は取締役会としております。

当事業年度の配当につきましては、会社の利益配分に関する基本方針に則り決定したものであり、内部留保資金の使途につきましては、将来の設備投資などに充当していく予定です。

当社は連結配当規制の適用会社であります。

当事業年度の配当は以下のとおりです。

 

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2024年5月14日

5,414

80.00

取締役会