リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 技術革新について
当社が属しているライフサイエンス関連市場分野は、技術革新が著しく新技術の研究開発が盛んに行われております。当社は、最新の技術を利用したサービス展開を主眼に研究開発を行っておりますが、技術革新により他社が同種のサービスを異なる技術を利用して開始し、異なる付加価値が追加された場合や、当社よりも大幅に安価なサービスが市場に提供された場合、期待どおりの収益をあげることができない可能性があります。
(2) 経営上の重要な契約等
当社は当事業年度末現在、「5.経営上の重要な契約等」に示すとおりビジネス展開上重要と思われる契約を締結しております。契約先とは密接な関係があり、相互利益のもとに研究開発を推進していることから、当該契約の解消の可能性は低いと考えておりますが、契約が継続されない場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権について
① 特許について
当社が事業を営んでいるバイオ業界は技術革新が著しく、特許が非常に重要視されております。
当社が現在保有している特許は19件でありますが、これ以外に出願中のものが8件あります。しかしながら、現在出願している特許がすべて成立するとは限らず、他社特許に抵触した場合等、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。後発品からの技術模倣についても事業拡大局面におけるリスクと捉えています。社内ノウハウを分析し、特許取得と自社内に留めるノウハウとの切り分けをして特許戦略を推進していきます。また今後の改良や開発品の事業化に事業抵触するリスクを低減するため、開発初期化からクリアランス調査や自社実施権を確保するための特許化を進めてまいります。十分な特許対策を実施して事業化を目指していけるよう特許対応戦略を見直し、知財対策体制の強化を継続してまいります。
② 共同研究における特許の帰属について
当社と大学及びその他公的機関に属する研究者との間で実施する共同研究において、その成果となる知的財産権に関しては、共同研究開発契約により各々の権利の持分を定めております。今後、大学等の特許管理体制の方針転換が行われた場合、新たな費用発生が生じる可能性があり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法規制等について
当社は遺伝子検査サービスの展開や開発において、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」や「個人情報の保護に関する法律」等の法規制に抵触しないよう進めておりますが、法規制の改正その他規制の強化などの制約を受けた場合、当該サービスの開始の遅れや新たな費用発生など、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は法規制等に関する動向を注視し、遺伝子検査サービスの開発を行っております。
(5) 政府のバイオ関連政策について
大学及びその他公的機関からの研究受託は、当社の売上高の大きな部分を占めております。政府のバイオ関連政策の変更に伴い、大学及びその他公的機関の研究予算が削減された場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、現時点における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は僅少であります。
(6) 小規模組織であることについて
当社は当事業年度末現在で、従業員37名の小規模組織であります。当社は、業務遂行体制の充実に努めてまいりますが、小規模組織であり、限りある人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が社外流出した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。
(7) 提出会社が将来にわたって事業を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象
将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況といたしまして、2006年3月期より、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。当事業年度におきましても営業損失258百万円、経常損失245百万円、当期純損失248百万円、営業キャッシュ・フロー△140百万円を計上しております。
(8) 提出企業が将来にわたって事業を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象を解消し、又は改善するための対応策
「(7) 提出企業が将来にわたって事業を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象」の記載に基づき、今後、より詳細に市場動向を調査し中期事業計画を定め、受託事業では遺伝子解析サービスの収益化を、また、診断事業では遺伝子パネル検査等の事業拡大を目指してまいります。
その中で次事業年度は以下の施策に取組み、1,100百万円の売上確保を目標としております。
受託事業におきましては、当社のノウハウを活用した提案型研究受託の営業強化を図るとともに、実験デザインの提案、検体の受領からデータ解析まで、顧客ニーズに応じた一気通貫の大型案件の受注へつなげてまいります。さらに、最新技術の導入やアカデミア等との連携強化を行い、新サービスメニュー開発による他社との差別化を図ってまいります。
研究事業におきましては、次世代シークエンサーを使用したがん診断技術に関する研究開発やこれまで行ってきたRNAチェックの研究開発を通して、将来の診断・創薬に役立つツールの実用化に向けた研究を進めております。さらに、三井化学株式会社との協業により、当社の遺伝子解析技術と三井化学株式会社のライフサイエンス関連技術を有効に活用することで、両社が協力し、検査・診断領域での新事業を創出すること目指します。
診断事業におきましては、肺がん コンパクトパネルⓇの製品改良とシェア拡大を図るとともに、さらに、新規診断検査メニューの開発を行い、肺がん コンパクトパネルⓇに続く新たな診断検査の開発を進めてまいります。
配当政策
3 【配当政策】
バイオ産業は、市場の拡大や技術革新が急速に進展しており、市場競争力を強化し、収益の向上を図っていくためには、研究開発費、設備投資等積極的先行投資の継続が不可欠であります。
この前提に基づき、当社はこれまで利益配当は実施せずに内部留保とし、経営体質の強化と将来の事業展開に備えてまいりました。一方、株主への利益還元も重要な経営課題と認識しており、中期的な事業計画に基づいた投資を実行するための内部資金の確保と財務状況、そして利益水準を総合的に勘案し、利益配当を検討してまいります。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本の方針としております。期末配当の決定機関は株主総会であり、期末配当の基準日を毎年3月31日とする旨、さらに上記のほか基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。
また、中間配当につきましては、取締役会の決議により毎年9月30日を基準日として中間配当を行なうことができる旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、当期純損失を計上することとなり、誠に遺憾ながら無配とさせていただきました。