2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    174名(単体) 29,386名(連結)
  • 平均年齢
    41.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.8年(単体)
  • 平均年収
    10,915,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

 

従業員数(名)

連結会社合計

29,386

(13,007)

 

(注) 1 当社グループは、総合広告会社として広告主等に対するマーケティング・コミュニケーションサービス全般の提供を主として営む単一セグメントであるため、グループ全体での従業員数を記載しております。

      2 従業員数は就業人員数であります。

     3  従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員数であり、外数であります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

174

41.4

12.8

10,915

(14)

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であります。

      2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

      3 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員数であり、外数であります。

      4 当社従業員は、株式会社博報堂、株式会社大広、株式会社読売広告社、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ、株式会社博報堂DYトータルサポート、株式会社大広WEDO、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社及び株式会社博報堂テクノロジーズからの出向者であり、平均勤続年数は各社での勤続年数を通算しております。

 

(3) 労働組合の状況

提出会社の従業員は株式会社博報堂、株式会社大広、株式会社読売広告社、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ、株式会社博報堂DYトータルサポート、株式会社大広WEDO、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社及び株式会社博報堂テクノロジーズからの出向者であるため、労働組合は組織されておりません。また、国内外の連結子会社15社には、各社労働組合が組織されており、組合員数は2,605人であります。なお、労使関係は良好で、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

算出方法

注2・3から選択

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

㈱博報堂

10.4

87.9

87.9

*

3

72.7

74.4

78.1

㈱大広

7.6

76.9

76.9

*

3

72.0

71.2

95.4

㈱読売広告社

7.0

100.0

100.0

*

3

71.2

73.8

98.6

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

6.3

88.9

88.2

100.0

3

70.8

75.2

94.5

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム㈱

24.9

89.7

89.7

*

3

79.7

79.3

82.2

㈱アイレップ

25.8

90.5

90.5

*

3

74.3

73.7

104.9

ソウルドアウト㈱

19.6

90.0

90.0

*

3

71.4

75.9

132.6

㈱博報堂プロダクツ

18.4

61.5

57.9

200.0

3

84.4

83.5

93.9

㈱TBWA\HAKUHODO

26.1

100.0

100.0

*

3

68.2

68.1

110.3

 

 

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

算出方法

注2・3から選択

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

㈱大広WEDO

19.1

50.0

50.0

*

2

78.8

80.9

55.4

アイビーシステム㈱

25.0

100.0

100.0

*

2

0.0

88.9

90.1

㈱アド・プロ

80.9

100.0

100.0

*

2

87.7

84.3

82.0

㈱セレブリックス

17.1

64.7

64.7

*

2

87.9

88.8

90.9

日本トータルテレマーケティング㈱

33.6

70.0

66.7

100.0

2

60.6

76.7

80.3

㈱エクスペリエンスD

0.0

-

-

-

-

65.6

50.9

71.3

㈱バックスグループ

14.8

77.8

60.0

100.0

2

67.2

93.8

64.2

㈱博報堂アイ・スタジオ

15.9

60.0

60.0

*

2

85.3

85.7

52.1

㈱九州博報堂

10.7

-

-

-

-

63.9

69.2

79.6

㈱博報堂DYトータルサポート

41.9

100.0

100.0

*

2

79.3

78.1

107.0

㈱博報堂DYアイ・オー

70.8

*

*

*

3

94.0

102.4

42.6

㈱アイヴィジット

31.6

100.0

100.0

*

2

63.8

88.9

77.9

㈱スパイスボックス

15.4

50.0

50.0

*

3

57.4

65.4

311.6

㈱博報堂Gravity

27.3

-

-

-

-

75.3

75.0

92.7

㈱オズマピーアール

28.6

33.3

33.3

*

2

72.0

73.7

83.5

㈱エッジ・インターナショナル

36.4

-

-

-

-

71.3

70.5

74.5

データスタジアム㈱

6.7

50.0

50.0

*

2

90.1

85.9

91.0

㈱読広クロスコム

12.5

-

-

-

-

75.2

75.5

87.4

㈱ベストコ

4.4

0.0

0.0

*

2

65.3

76.9

91.1

㈱博報堂テクノロジーズ

15.4

-

-

-

-

77.6

78.1

*

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。また、出向者については、出向元の従業員として集計しております。
なお、アイビーシステム㈱においては、短時間労働者が含まれるパート・有期労働者について、フルタイム労働者の所定労働時間に換算した人員数をもとに算出を行っております。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。また、出向者については、出向元の従業員として集計しております。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。また、出向者については、出向元の従業員として集計しております。

4.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、公表義務がない会社については、「-」としております。

5.集計対象となる従業員がいないため、「*」としております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ戦略

当社グループは、グローバルパーパス「生活者、企業、社会。それぞれの内なる想いを解き放ち、時代をひらく力にする。Aspirations Unleashed」のもと、中期経営計画における重要テーマとして「人を中心としたサステナブルな経営」を掲げ、「生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現」を目指しています。当社グループにおけるサステナビリティ方針(2024年11月策定)は下図の通りです。E(環境)領域においては「持続可能な地球環境への貢献」、S(社会)領域においては「多様な個の成長と尊重によるクリエイティビティの発揮」、G(ガバナンス)領域においては「コンプライアンスとインテグリティの追求」をそれぞれ掲げ、自立と連携の考えのもとグループ各社の事業特性や強みを活かし、当社グループらしいサステナビリティを推進します。

 


 

① ガバナンス

当社グループでは、社会の大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、持続可能な企業価値の向上と社会課題の解決を両立すべく、ESGを重視したガバナンス体制を構築しております。

サステナビリティ業務の執行面においては、博報堂DYグループサステナビリティ委員会を設置し、環境及び人権、DE&I、サプライチェーンなどのサステナビリティに関する基本方針、テーマ及び施策案の検討・策定など、当社グループ全体のサステナビリティ推進全般の審議を行っております。当該委員会は、当社代表取締役社長を委員長、取締役を構成員として、半期に1度開催しています。また、グループの事業会社各社とともに、より実効力を持ったサステナビリティ活動を推進すべく、当該委員会のもとにサステナビリティ推進本部を設立しました。サステナビリティ推進本部には、グループ各社での推進責任者として各社に設置しているサステナビリティ担当役員が参加するグループサステナビリティ推進会議と、グループ各社の推進担当者が参加するESG部会において、各テーマの方針・目標・活動についての議論や各社の取組の共有を行っています。

サステナビリティ業務の監督面においては、取締役会が半期に1度当該委員会より活動状況についての報告を受け、当社グループのサステナビリティの状況に関して把握、レビューを行うとともに、重要なテーマに関して決議を図っています。2024年度の議題は、サステナビリティ方針の策定及び重要課題(マテリアリティ)の特定について(2024年9月取締役会)の決議、社会貢献活動及びダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの進捗について(2025年2月取締役会)の報告を行いました。

 


 

② 戦略

中期経営計画及びサステナビリティ方針の策定にあわせ、当社グループが持続的に成長し、ステークホルダーに価値提供するための重要なテーマとして、重要課題(マテリアリティ)の見直しを行いました。当社グループの重要課題(マテリアリティ)は、「持続可能な地球環境への貢献」「多様な個の成長と尊重によるクリエイティビティの発揮」「コンプライアンスとインテグリティの追求」の3分野に合計9つの項目が紐づく構成となっています。そして、これらの取り組みに共通するのが「人を中心としたサステナブルな経営」です。当社グループの最大の強みである「人」の力を最大限に活かすことで、当社グループらしい価値創造につなげます。各項目に活動方針及びKPI/モニタリング指標を定めることで実効性を強化し、取り組みを加速しています。

 

人を中心としたサステナブルな経営

重要課題(マテリアリティ)

活動方針

対外的なコミットメント

環境

 

持続可能な地球環境への貢献

気候変動へのアクション

・脱炭素に向けた取り組みの推進

TCFDコミットメントによるCO2排出量の削減目標

サステナブルな行動変容への貢献

・サステナビリティの社会実装に向けたビジネスやコレクティブインパクトの推進

社会

 

多様な個の成長と尊重によるクリエイティビティの発揮

専門性と先進性を発揮する人材への投資・育成・環境整備

・生活者発想・共創を基盤に、より成果を生み出す人材・組織

・アスピレーション起点のキャリアオーナーシップ促進

・経営戦略の遂行に向けたケイパビリティの獲得

ウェルビーイングの推進

・社員の幸福度を軸とした健康・健全な働き方の推進

DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進

・あらゆる多様性を強みとする組織への変革

・全員活躍社会の実現

グループ女性管理職

目標2030年30%

将来人材や地域コミュニティへの貢献

将来人材育成及び地域発展支援を通じた社会への影響力の発揮

ガバナンス

 

コンプライアンスとインテグリティの追求

人権の尊重

・人権デュー・ディリジェンスの継続実施と課題改善

コンプライアンス/高い倫理性の堅持

博報堂DYグループ「グループ行動規範及び遵守事項」の浸透

・情報セキュリティの確保と実践

マーケティング活動における

インテグリティ(誠実性)

・広告におけるステレオタイプ、人権侵害、ウォッシュ表現の排除

 

 

<重要課題(マテリアリティ)の特定ステップ>

重要課題(マテリアリティ)の特定は、サステナビリティ推進室を中心に、関連部署及びグループ各社との連携により、4つのステップを経て実施しました。

まずステップ1では、SDGs、GRI・SASB・ISOなどの国際的なガイドライン及び業界動向から、当社グループの事業戦略を踏まえ、社会課題を抽出・リストアップしました。次にステップ2では、ステップ1で抽出した各課題について、リスク・機会の両面から、「当社グループが受ける財務的なインパクト」及び「当社グループが環境・社会に与えるインパクト」の重要性を総合的に評価し、優先順位付けを行いました。評価結果は、下図の通りマトリクスにて整理・可視化しています。

 


 

その次にステップ3では、ステップ2の評価結果について、ステークホルダー(グループ各社、社外有識者)と妥当性に関しての意見交換を実施、内容をブラッシュアップしました。

最後にステップ4として、博報堂DYグループサステナビリティ委員会における審議・承認の後、取締役会における審議・承認を経てマテリアリティを特定しました。

これらのマテリアリティに紐づく各種指標において、経営レベルでのモニタリング及び定期的な評価を行うことでPDCAを回し、サステナビリティ経営を実践していきます。

 

③ リスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関するリスクと機会を識別、評価のもと重要課題(マテリアリティ)を特定し、博報堂DYグループサステナビリティ委員会にて、経営レベルで監督及び進捗管理や見直しを行っております。当社グループの事業戦略に関わる重大なリスク及び機会が発生した際には、必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申するなどの適切なリスク管理体制を構築しています。サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の特定の過程に関しては、②戦略 重要課題(マテリアリティ)の特定ステップを参照ください。また、各個別テーマにおけるリスク管理に関しては、(2)個別テーマへの取り組みを参照ください。

 

④ 指標と目標

指標と目標に関する詳細は(2)個別テーマへの取り組みを参照ください。なお、2025年3月期におけるサステナビリティに関わる各種取り組み・実績に関しては、ESGデータブック2025及び統合報告書2025にて開示予定です。

 

 

(2)個別テーマへの取り組み

1.気候変動への対応
<TCFDへの対応について>

当社グループでは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しています。気候変動が及ぼす重要リスク・機会の洗い出しと、定量的な財務面の評価を2022年度より開始し、気候変動への積極的な対応は、将来の財務効果を生み出す可能性があることが確認できました。

 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略に組み込まれています。

年に2回、博報堂DYグループサステナビリティ委員会において、経営レベルでの監督及び、気候変動リスク及び機会に関する進捗管理や見直しを行っています。また、重要な事項については取締役会への報告・審議・決議を経て意思決定するとともに、必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申するなど、適切なリスク管理体制を構築しています。詳細は「2サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ戦略 ①ガバナンス」に記載しております。

 

② 戦略

気候変動により平均気温が4℃上昇すると、社会に非常に大きな影響を及ぼすとされていることから、世界における気温上昇を1.5℃以内に抑える目標に貢献することは、当社グループにおいても重要であると認識しています。当社グループでは、シナリオ分析の範囲として、当社グループの主要事業地域である日本国内を中心に、研究開発・調達・生産・サービス供給までのバリューチェーン全体について、平均気温の増加幅別に2つのシナリオを想定し、2030年以降の長期想定で考察しました。

ⅰ. 1.5℃シナリオ:今世紀末の地球の平均気温が産業革命前と比較して1.5℃上昇以内に抑えられるシナリオ(一部2℃シナリオも併用)

ⅱ. 4℃シナリオ:今世紀末の地球の平均気温が産業革命前と比較して4℃前後上昇するシナリオ

 

1.5℃シナリオでは、炭素税導入や電力等のエネルギー価格上昇に伴うコスト増のリスクがある一方、一般消費者の嗜好変化による低炭素排出製品・サービスを取り扱う顧客からの売り上げ増や、脱炭素に貢献するサービスの提供により、当社の企業価値向上の機会があることを確認しています。一方で、このことは、脱炭素への取り組みが遅れることが事業リスクにもなり得ることも意味しています。

 

1.5℃シナリオ

種類

項目

時間軸

インパクト

対応策

移行リスク

政策・規制

・化石燃料由来のエネルギー使用に伴うGHG排出への炭素税の導入による事業運営費用の増加

短期~長期

・PPAや再エネ電力メニュー、証書等による再エネ電力の調達

・LED等の省エネ機器の導入

・従業員への啓発活動を通じた再エネ・省エネの推進

・再エネ電力需要の高まりによる購入電力単価の上昇

中期~長期

・賃貸オフィスのZEB化による地代家賃の上昇

中期~長期

市場

・脱炭素に向けた政策・規制の影響により、GHG排出量が多い業種に関連した企業からの広告収入が減少

中期~長期

・自社のスコープ1,2だけでなく、サプライヤーとの連動でのスコープ3削減

評判

・脱炭素に向けた取り組みが不十分と顧客に評価された場合、新たな事業機会の喪失や他社への流出が発生

中期~長期

・TCFDやCDP等を通じた情報開示

・SBT等のイニチアチブ参加の検討

・脱炭素に向けた取り組みが不十分と投資家に評価された場合、株価下落

中期~長期

移行機会

市場

・脱炭素や環境配慮製品・サービスを製造・販売する顧客企業からの広告収入が増加

中期~長期

・自社のスコープ1,2だけでなく、サプライヤーとの協働でのスコープ3削減

・当社「SDGsコーポレート価値創造プログラム」等、今後顧客の気候関連問題への意識の高まりに合わせたサービス提供や消費者との環境コミュニケーションを重視する企業や官公庁から普及啓発事業の依頼が増加

中期~長期

・SDGsやエシカル消費に関わる啓発活動の推進

・「ESGトランスフォーメーション」サービス等の事業を通じた気候変動対応への貢献

評判

・脱炭素に向けた取り組みが積極的だと顧客に評価された場合、新たな事業機会の創出や他社からの流入が発生

中期~長期

・TCFDやCDP等を通じた情報開示

・SBT等のイニシアティブ参加の検討

・脱炭素に向けた取り組みが積極的だと投資家に評価された場合、株価上昇

中期~長期

 

 

4℃シナリオでは、台風・洪水等の激甚的な風水害増加が、当社の事業を支えるオフィスビルの操業停止などのリスクになり得ますが、テレワークの推進等の非常時でも滞りなく事業が継続できるように対応策を進めています。

 

4℃シナリオ

種類

項目

時間軸

インパクト

対応策

物理リスク

異常気象の激甚化(台風、豪雨、土砂、高潮等)

・洪水や高潮等の被害による資産や営業停止による損害増加

短期~中期

・テレワークや調達リスクを分散化する等の自社のBCP対策を推進

・激甚災害の頻度増加によるBCPニーズの高まりに対応するITソリューション需要の増加

短期~中期

・テレワークツール等の提供によるクライアントのBCP推進

 

 

 

③ リスク管理

博報堂DYグループでは、気候変動関連のリスクと機会に対する強固な管理体制を構築しています。

年2回開催される博報堂DYグループサステナビリティ委員会において、経営レベルでの監督を実施し、気候変動リスクおよび機会に関する進捗状況の管理と見直しを定期的に行っています。また、特に重要な事項については取締役会へ報告・審議され、決議を経て最終的な意思決定がなされます。さらに、必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申する体制も整っており、気候変動関連リスクがグループ全体のコンプライアンス及びリスク管理の中で適切に評価・管理されるよう努めています。

今後も継続的にシナリオ分析を実施することで質と量の充実を図り、経営戦略への統合をさらに推し進め、不確実な将来に対応できるレジリエンス(強靭さ)を高めていきます。

 

④ 指標と目標

当社グループでは、2050年度のカーボンニュートラルを達成するために、中間目標として、2030年度のスコープ1+2の排出量を2019年度比で50%削減、2030年度のスコープ3の排出量を2019年度比で30%削減に設定しました。その実現のために、再生可能エネルギー由来電力の比率を2030年度時点で全体の60%、2050年時点で100%の導入を目指します。従来の省エネルギー活動についても2019年度比30%減を目指すことに加え、廃棄物を2019年度比で50%削減を維持、リサイクル率を85%以上とすることを目標として掲げました。

現在、パリ協定に基づく温室効果ガスの排出削減目標である SBTの認定機関であるSBTi (Science Based Targets initiative)に対してコミットメントレターを提出し、CO2のさらなる排出削減を進めています。

今後も、TCFD提言に則り、情報開示の質と量のさらなる充実に注力するとともに、算定範囲及び目標設定範囲の拡大や各種イニシアティブ参加についても検討をしていきます。

 

<目標と実績>

2023年度までの実績は下記の通りです。なお、2025年3月期実績に関しては、2025年度統合報告書にて開示を予定としております。

項目

目標

基準年

2019年度

2022年度実績

2023年度実績

達成状況

CO2排出量

スコープ1+2

(注1)

2030年度50%削減(2019年度比)

2050年度ニュートラル

22,540トン

16,081トン

10,703トン

52.5%減

CO2排出量

スコープ3

(注2)

2030年度30%削減(2019年度比)

30,063トン

17,747トン

22,297トン

25.8%減

再エネ導入目標

(注2)

2030年度60%、2050年度100%

0%

1.8%

36.5%

36.5%

省エネルギー目標

(注1)

30%削減(2019年度比)

13,107Kl

9,770Kl

6,592Kl

49.7%減

廃棄物削減目標

(注3)

平均50%以上削減を維持(2019年度比)

486トン

228トン

290トン

40.3%減

リサイクル率

(注3)

リサイクル率85%以上

82.2%

79.0%

83.5%

83.5%

 

(注) 1 博報堂DYグループ国内全拠点合算。スコープ2はマーケット基準で算定。

2 ㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、㈱博報堂プロダクツの合算。Scope3においては、カテゴリー2,3,6,7,13を対象としております。

3 ㈱博報堂東京本社分

 

 

2.人権への対応
<人権方針>

私たち、博報堂DYグループは、最大の資産であるクリエイティビティを発揮する人財を通じて、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指しています。人権の尊重はグループの存立基盤であり、倫理的かつ持続可能なビジネスの根幹をなすものとして推進しています。私たちは、人権を尊重する責任をよりいっそう果たすべく、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」が掲げる保護・尊重・救済のフレームワークに依拠し、グループの人権方針を制定しました。本方針は、当社グループで働く全役職員等(役員、正社員、契約社員、派遣社員のすべて)を適用の対象としています。

 

① ガバナンス

当社の取締役会は、本方針で規定する人権尊重の活動全般を持続的に監督する責務を持ちます。とりわけ顕著な人権課題への取り組みに関するモニタリング機能を果たしながら、人権侵害への直接的または間接的な関与を回避するため、合理的措置を講じます。サステナビリティ管轄部門である「サステナビリティ推進室」は、サステナビリティ担当取締役のもと、本方針の浸透及び人権尊重全般に関する取り組みを推進します。さらに必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申する、適切なリスク管理体制を構築しています。詳細は「2サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ戦略 ①ガバナンス」に記載しております。

 

② 戦略

当社グループは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権尊重の責任を果たすために人権デュー・ディリジェンスを実施することで、グループの事業活動による人権面での影響について説明責任を果たすよう努めていきます。

さらに、人権デュー・ディリジェンスの結果をもとに、顕著な人権問題に対する取り組みに注力するよう努めます。さらには既存事業に加え、M&Aを実施した企業を含む事業会社を対象に、グループ各社の内部統制部門と連携しながら、リスクマネジメントの取り組みの一環として、事業活動で起こりうる人権に対する負の影響の整理・評価・対策を検討していきます。

 

③ リスク管理
<顕著な人権課題の特定>

  人権リスクを特定するにあたり、下記の対応ステップを通じて顕著な人権課題の特定を実施しております。

 

 ⅰ.人権課題の網羅的な把握

  国際的規範及び業界動向等から想定される重要な人権課題を網羅的に列挙の上、事業展開国・地域における人権課題の調査及び担当者へのヒヤリングを実施。上記を踏まえ、当社グループのバリューチェーン上でどのような人権課題が発生しうるか、候補リストを作成しました。

 

 ⅱ.重要度評価

  人権への負の影響(発生可能性及び深刻度)、当社グループ事業との関連性に基づき、過去及び将来的な発生可能性を考慮し、各人権課題に対して重要度を評価し、優先度を検討しました。

 

 

 ⅲ.顕著な人権課題の特定

  ⅱ.の重要性評価に基づき、博報堂DYグループサステナビリティ委員会で協議の上、顕著な人権課題を特定しております。

顕著な人権課題

特定された人権課題

各種指標

 

人権への負の影響を受ける可能性のあるライツホルダー

従業員

調達先

(注1)

生活者

表現・情報発信

1.制作プロセスにおける表現の制約(従業員・調達先)

制作プロセスにおける表現の制約

2.表現及び情報発信を起因とする差別など(生活者)

表現及び情報発信を起因とする差別など

3.個人情報の流出、プライバシーの侵害(生活者)

個人情報の流出

プライバシーの侵害

労働

4.就業における差別、ハラスメント(従業員・調達先)

就業における差別やハラスメント

5.採用における差別(調達先)

採用における差別

6.過重労働・長時間労働/安全と健康(従業員・調達先)

過重労働・長時間労働/安全と健康

7.強制労働(調達先)

強制労働

8.児童労働(調達先)

児童労働

宗教

9.宗教の自由(従業員・調達先)

宗教の自由

 

(注)1 主に協力機関

 

<救済メカニズム(対応窓口)>

当社グループでは、全役職員等に対して、企業内通報・相談窓口を設置しており、人権に関する通報や相談を極めて高い匿名性と秘匿性を確保した上で受け付け、人権侵害を受けた方が救済を受けられるように誠実に対応します。さらに、グループ各社における人権に対する負の影響の評価及び対応を検討するため、企業内通報・相談窓口に届く人権侵害に関する通報件数及び傾向を定期的に確認し、深刻な侵害につながる可能性のある事案に対しては対応策を議論し、グループコンプライアンス委員会への報告を行っています。

 

<従業員の人権リスク評価>

従業員における人権リスク評価のため、2024年度も前年度に引き続き当社グループ内における人権教育として、人権研修を実施しています。また、その浸透度合いを測るとともに、潜在的な人権課題を検出し、人権デュー・ディリジェンスの進捗を評価することを目的としたアセスメント(アンケート調査)を国内の主要事業会社で実施しています。詳細は、<人権アセスメントの実施>に記載しております。

 

<ステークホルダーとの対話/情報開示>

人権に関わる影響について、関連するステークホルダーとの対話と協議を通じて、適切な対応を行います。また、本方針に規定する取り組みを含む、人権尊重に対する活動の進捗及び結果をコーポレートサイトにて情報開示することで、より積極的な取り組みを図ります。

 

<人権方針の周知浸透/教育>

当社グループは、事業活動において本方針の実効性を高めるよう、全役職員等に対する本方針の浸透、周知徹底、及び人権に関する理解を深める教育を実施します。また、現在行っている各種ハラスメントに関する研修、広告における表現リスク研修についてもいっそう強化していきます。

 

<人権アセスメントの実施>

■実施プロセス

・グループの顕著な人権課題として特定した9項目に基づき、調査内容を精査し、調査票を作成しました。

・国内主要8社(㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト㈱、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂プロダクツ)において、正社員・契約社員を対象に匿名アンケートを実施しました。

・当社においてアンケート結果の集計・分析を行い、潜在的な人権リスクの有無を検証しました。

・グループ各社にフィードバックを行い、各社においてリスク防止・低減施策等、具体的な対応の取り組みを検討しています。

 

■調査概要

・調査方法:WEBアンケート

・集計分析対象:国内主要8社(㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト㈱、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂プロダクツ)の単体集計(ソウルドアウト㈱のみ連結)

・回答率:アンケート画面送付者数11,195名、回答者数8,892名で回答率は79.4%

 

■人権アセスメント(アンケート)結果

・全般:喫緊に対応しなければならない重大な人権リスクは発見されませんでした。

・人権の基本的理解度:人権の基本的理解度については、各社9割を超えました。

・人権対応体制:通報窓口の認知理解度は非常に高い結果であったが、利用方法や匿名性の担保については、さらなる理解促進施策を行い、周知徹底を図っていきます。

・顕著な人権課題に関する顕在的なリスク:「過重労働・長時間労働/安全と健康」「就業における差別やハラスメント」については前年度より着実な改善傾向が見られておりますが、さらなる改善に向けたリスク防止・提言施策を計画し、推進していきます。

 

■今後の計画

・グループ各社における人権研修、人権アセスメントの継続実施

・グループ各社のリスク防止・低減施策のモニタリング

・人権アセスメント実施対象の拡大(国内子会社、海外子会社)

 

④ 指標と目標

2024年度の実績は下記の通りです。

人権リスクに関する課題に対応すべく、今後も引き続き人権デュー・ディリジェンスを推進し、適切な対応を検討していきます。

また、人権に配慮し尊重したバリューチェーンの確立・維持のため、調達先や生活者をはじめとした社外ステークホルダーとのエンゲージメントについても具体検討に着手しています。

項目

2024年度実績

データ集計対象会社

人権研修

受講率 91.2%

㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト㈱、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂プロダクツ(各社単体集計でソウルドアウト㈱のみ連結集計)

人権アセスメント

回答率 79.4%

㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト㈱、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂プロダクツ(各社単体集計でソウルドアウト㈱のみ連結集計)

 

 

 

3.人材育成及び職場環境整備への対応

<人材育成及び社内環境整備への対応について>

当社グループでは、「自由と自律を尊重し、多様な個性とチーム力を価値創造の源泉とする」という経営理念を掲げています。いつの時代においても社会の変化をいち早く捉え、高度なクリエイティビティによって価値を提供し続けるための土台は、社員一人ひとりの「自ら成長する」という強い意志だと考えています。誰もがキャリアオーナーシップを持って新しい領域に挑戦し、多様な仲間と成果を生み出すことができるよう、環境整備、風土醸成に取り組んでいます。

グループ経営の実践にあたり、グループ会社間での人材交流や、当社グループの根幹をなす生活者発想に関する研修などをグループ横断で実施しています。また、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)についてはグループカルチャー醸成のための重要事項として、グループ横断での取り組みを推進しています。詳細は「(2)個別テーマへの取り組み 4.ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)への対応」に記載しております。一方で、人事制度や研修制度については、各社の多様な事業特性を踏まえた最適な方法で実施することを重視しており、各社において事業戦略に合わせた人事戦略を設定するとともに、指標及び目標を定めて取り組みを推進しています。

以下より、当社グループの主要子会社である㈱博報堂の事例を記載します。

 

① 人材育成
<人材育成について>

㈱博報堂は、中期経営計画に掲げた「生活者価値・デザイン・カンパニー」を目指し、2023年度より事業ユニット制を導入し事業ポートフォリオ変革を推進しています。この変革を実現するための全社活動方針の柱として「生活者発想と人材への投資」を掲げ様々な施策を展開しました。

 

ⅰ.全社横断の施策

2024年度より「中期経営計画推進委員会」傘下に「高度デザイン人材分科会」を設置。経営デザインセンター長をリーダーに、人材開発室・人事室・経営企画室が中心となり、高度デザイン人材の要件定義や職能体系の再構築、人材配置の最適化を推進しています。具体的な施策としては、新たに「生活者価値デザイン研修」を導入。事業の多角化とビジネス変革をリードする次世代人材候補を選抜し、外部も交えた実践的かつ濃厚なプログラムで競争力の強化を目指しております。

 

ⅱ.組織毎の施策

「事業ごとに特色のある専門性のある人材を育て合おう。」をスローガンに、スキル強化にとどまらず、博報堂DYグループのDNAやWAYにも触れて習得するプログラム等も導入し、社員一人ひとりの成長を最大限引き出すための多様な機会を提供しています。当社グループの社員が講師を務めるオリジナル研修が大半を占め、様々な社員が持つ多様なクリエイティビティの形に接することができるのが大きな特徴です。また、ビジネス課題・組織課題が様々に変化するなかでより柔軟な現場主導の人材育成を実現するために、昨年度より「人材育成ファンド」制度を施行しました。会社が組織ごとに支援金を配賦するもので、各組織が主体となり、組織のミッション達成に必要なスキルや経験を身につけるための活動を行うことができる制度です。具体的には女性社員支援やAIスキル向上など幅広く活用されました。

 

ⅲ.個人支援の施策

年代・役職別の研修のほか、リスキリング専用の運営基盤を構築し、多様なプログラムの選択が可能となっています。受講履歴やアンケートはデータ化され、次年度の戦略策定に活かすなどPDCAサイクルを実現しています。

 

 

② 社内環境整備
<ワークスタイル変革について>

㈱博報堂では、HR(Human Resources)機能の強化を経営基盤強化の柱として位置づけ、2022年度にワークスタイル変革委員会を発足しました。社員一人ひとりが高いモチベーションを維持し、より高いクリエイティビティを発揮できる労働環境の整備を目標に、以下の取り組みを進めています。ワークスタイル変革委員会は、発足当初より「繁忙改善」「業務プロセスの進化」「クリエイティビティ創出」の3つのアプローチを通じて働き方のアップデートを目指してまいりました。「はたらくと人生を、もっといい関係に。」を全社方針に掲げ、単に労働時間を削減するだけでなく、働く“質”の向上を通じて、社員のパフォーマンスとエンゲージメントを高める本質的な働き方のアップデートを目指しています。

ワークスタイル変革委員会は、各センター長及び事業ユニット長をボーディングメンバーとし、各責任者が変革推進の責任を担い、組織運営に反映させています。今期はCHO(チーフ・ヘルス・オフィサー:健康経営最高責任者)が委員長を務め、心身ともに健康でモチベーション高く、クリエイティビティを発揮できる環境づくりを推進しています。

また、ワークスタイル変革委員会のもと、博報堂は「新しい働き方」に関する戦略立案及び推進を担うワークスタイルトランスフォーメーション部(以下、ワクスタ部)を設置しています。ワクスタ部は人事室と連携して事務局を構成し、組織と社員の両側面からワークスタイル変革を推進しており、主に今後の博報堂のチーム文化の検討と定着や生成AIなどの先進技術も含めた業務プロセス改善を検討しています。一方、人事室は時間価値向上と心身の健康維持のためのタイムバリューマネジメントを推進しており、両部署が連携し、領域を横断しながら博報堂独自の新しい働き方を構築しています。

具体的な施策として、今年度は以下の3つの全社KPIを掲げ、生産性向上に繋げています。

ⅰ.クリエイティビティをより発揮するために:部門グループ別効率化アクション 全社件数 30件

仕事の質改善を目的とした、「業務効率化/業務プロセス進化のためのアクション」として、組織ごとの特性に応じた目標設定及びその推進をサポートする体制を構築し、クリエイティビティ発揮を最大化します。一方、全社視点ではAI利活用推進に向けた動きを推進します。

ⅱ. 心身ともに健康に働くために:クラスター分類による繁忙の可視化及びオーバーワーク対策の措置

㈱博報堂では、心身ともに健康な状態で高いパフォーマンスを発揮するため、年間労働時間でA~Eのクラスターを設けて繁忙対策を行っています。社内のオーバーワーク基準をもとにした「働きすぎ」の目安であるEランクの撲滅に向け、毎月の労働時間から年間予測労働時間を算出するダッシュボードを設けるなど、マネジメント層及び社員自身が勤務状況を把握できるよう可視化しています。ワークスタイル変革委員会も定期的にモニタリングを行い、業務状況改善を働きかけています。

ⅲ.メリハリをつけた働き方のために:月1休暇(有休/特休)取得+フリーバカンス(注1)2回取得推進

以下の休暇取得推進施策を行い、「働く」「休む」のメリハリをつけた働き方を推進しています。

 

●有休奨励日・年末年始休暇取得奨励期間「ハクホリ」の設定

年間12日の有休奨励日を社内ポータルほか全社員のスケジュール上に常時掲出することで会議体を避け、休暇取得しやすい環境を整備しています。

また、年末年始の公休日期間前後10日間を有休奨励期間に設定し、通称「ハクホリ」期間として、社員自らが長期休暇をデザインできるよう期間中5日間の有給休暇取得を促進しています。

●年間休暇モニタリング/アラート

上期に年間有休5日取得を全社でモニタリングし、取得状況に応じて対象社員の上長を含めてアラートメールを自動配信します。

 

(注1)「フリーバカンス」は、社員が任意のタイミングで年2回、連続5営業日の休暇を取得できる博報堂独自の休暇制度で、通常の有給休暇とは別に付与される特別休暇です。

 

 

<健康経営について>

㈱博報堂では、「生活者発想」を原点に、社員一人ひとりのウェルビーイングが、創造性の源泉であり、持続的な成長の基盤であると考えています。社員が心身ともに健康で、いきいきと活躍できる環境を整備することが、企業価値の向上に不可欠であるという認識のもと、健康経営を重要な経営課題の一つとして捉え、積極的に推進しています。

「生活者発想でウェルビーイングな未来へ」という健康経営ビジョンを掲げ、社員の健康を「個人のウェルビーイングの源泉」「会社の生産性の源泉」「社会へのクリエイティブ創造の源泉」と捉えています。当社グループとして、社員の健康増進を支援することで、社員自身の豊かな生活と成長を促し、ひいては組織全体の活性化と社会への貢献に繋がるという考えに基づき、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。なお、取り組みが評価され、2022年度から3年連続で「健康経営優良法人」(大規模法人部門)に認定されております。

㈱博報堂では、健康経営を経営の重要事項として位置づけ責任者としてCHO(チーフ・ヘルス・オフィサー:健康経営最高責任者)を任命しています。CHOは、グループ全体の健康経営戦略を策定・推進し、その進捗状況を経営層に報告する責任を担います。経営層は、CHOの主導する健康経営に関する取り組みを全面的に支援し、社員の健康増進に向けた投資を積極的に行ってまいります。

また、健康経営を推進するために、専任組織としての人事室健康推進部をハブとした体制を構築しています。健康推進部は、各部門や、健康保険組合、社内診療所、健康サポートセンターなどと連携し、多角的なアプローチで社員の健康をサポートしています。また、産業医や保健師、臨床心理士などの専門職によるサポート体制も整備し、社員の多様な健康課題に対応できる体制を強化しています。

社員の健康増進に向け、具体的な施策を各種展開しています。社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう健康経営を推進し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

ⅰ.「健診戦」の実施:健康診断をエンターテインメント化し、社員一人ひとりの昨年度からの健康改善度をスコア化して表彰するプログラム「健診戦」を開発。2019年にグループ内で実証実験を開始し、その後の毎年継続して実施。その結果、健康意識の低い層の巻き込みや参加者のメタボリックシンドロームへの改善効果等を実証するなど、一定の効果を創出することができました。現在はグループ外の企業へもサービス提供しています。
ⅱ. 健康創造プラットフォーム「カラダCHANTO! プロジェクト」の運営: 博報堂では社員が主体的に健康管理に取り組めるよう、健康に関する情報提供、運動機会の創出、食生活改善プログラムなどを主催し、グループ会社含めた社員の健康意識の向上や健康行動を支援しています。
ⅲ. 定期健康診断の事後措置の強化: 健康診断の結果に応じ、リスク者に対しては再検査や精密検査の受診勧奨、産業医面談などを通じて、早期発見・早期治療を促進しています。
ⅳ. メンタルヘルス対策の充実: ストレスチェックの実施、相談窓口の設置、研修プログラムの提供など、各社で社員のメンタルヘルスケアを積極的に行っています。
ⅴ. 感染症予防対策: 健康保険組合と連携し、インフルエンザ予防接種の実施や健保組合による接種の費用補助など、感染症の流行状況に応じた対策を実施し、社員の安全と健康を確保しています。

 

4.ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)への対応

<博報堂DYグループ DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)方針>

当社グループでは生活者である社員一人ひとりが、自らのクリエイティビティを通じて、生活者や社会の様々なテーマとつながり、未来をつくる存在として、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指しています。

DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)は博報堂DYグループのDNAである生活者発想そのものであり、イノベーションの源泉です。当社グループは、その経営方針の一環として、グループ全体でDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を推進します。

 

① ガバナンス

当社グループでは、DE&Iを経営トップのコミットメントのもと、推進しています。サステナビリティ管轄部門である「サステナビリティ推進室」は、サステナビリティ担当取締役のもと、各事業会社より選出されたS(社会)部会担当者と一体となり、本方針の浸透及びDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)全般に関する取り組みを推進します。さらに事案に応じて、グループコンプライアンス委員会とも連携を行っていきます。詳細は「2サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ戦略 ①ガバナンス」に記載しております。

 

② 戦略

生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現のため、「個の事情を踏まえた働きやすい環境」「個の活躍を推進する働きがい」「誰もが活躍していくことができる社会」の3つを重点テーマとしているほか、これらのテーマを浸透させるためのグループ社内風土醸成にも注力し取り組んでいます。各テーマの事例は下記の通りです。

なお、DE&Iの推進においては、各事業会社の課題に合わせた制度設計や風土醸成などの縦の取り組みに加え、グループ連携での横の取り組みとして、各事業会社の推進担当者間で事例や情報を共有する交流会を定期的に開催し、互いに学び、高め合うことでDE&Iの理解浸透及び推進の加速を目指しています。

 

1)個の事情を踏まえた働きやすい環境

育児や介護などの状況にあっても、すべての社員が生活と仕事を両立し、自らのクリエイティビティを発揮しながら安心してキャリア形成できるよう、様々な制度や支援策の整備を進めています。

<事例>

・育児との両立をチームの課題としても捉えるため、両立支援についてまとめたハンドブックを配布しています。(実施会社:㈱博報堂、㈱読売広告社、㈱博報堂テクノロジーズ)

・特定積立休暇を入園・入学式など子どもの公式行事への参加や、妊婦健診や家族の受診時の付き添いを含む看護・介護に使用できる休暇制度「かぞくおもい休暇」を導入しています。(実施会社:㈱博報堂)

 

2)個の活躍を推進する働きがい

社員一人ひとりが自らの力を発揮し、働きがいを実感できる職場風土づくりを目指しています。

<事例>

・女性の活躍推進に関して、事業会社ごとに課題抽出とロードマップを作成し、KPIの達成を目指しています。(実施会社:㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト㈱ 、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂プロダクツ)

・女性社員同士のコミュニティランチ、女性に向けたメンタリング施策など、女性がキャリアについてヒントを得て、前向きに取り組むための施策を導入しています。(実施会社:㈱博報堂、㈱大広)

 

3)誰もが活躍していくことができる社会

LGBTQ+や障がいなどの属性に関わらず、多様な生活者一人ひとりが個性や能力を十分に発揮し、誰もが活躍できる社会を目指します。

<事例>

・配偶者の対象を事実婚・同性パートナーに拡大し、各種人事制度や福利厚生の対象としています。(実施会社:㈱博報堂、㈱大広、㈱ソウルドアウト、㈱博報堂プロダクツ)

・特例子会社「㈱博報堂DYアイ・オー」では、「日本一、働きがいのあるダイバシティ・インクルージョン企業へ」を企業理念に、会社で働く誰もが、個性、特性を認め合い尊重し合い、成長できる環境を整えています。特例子会社を含む博報堂DYグループにおける障がい者雇用率は2.71%です(2025年5月現在)。

 

4)DE&Iが浸透した社内カルチャー醸成

多様性を受け入れ、包摂性のある社内文化の醸成を目指しています。

<事例>

・博報堂DYグループらしいDE&Iの実現に向けて、一人ひとりの行動を促すことを目的とした社内イベント「博報堂DYグループ Diversity Day 2024」を開催しました。

 

③ リスク管理

DE&Iに関わるリスク・機会が発生した際には、各事業会社及びS(社会)部会、サステナビリティ推進本部において共有の上対処するとともに、博報堂DYグループサステナビリティ委員会に報告することで管理を行っています。必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申するなどの適切なリスク管理体制を構築しています。

 

 

④ 指標と目標

ジェンダー平等における目標として、2030年度までに博報堂DYグループの管理職の女性比率を30%にすることを目指します。

項目

目標

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

女性管理職比率

2030年 30%

(博報堂DYグループ)

11.5% (注1)

13.1% (注1)

13.8% (注2)

 

(注) 1 対象は㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、ソウルドアウト㈱

2 対象は㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、㈱博報堂DYメディアパートナーズ、ソウルドアウト㈱、㈱博報堂テクノロジーズ

 

その他の多様性に関わる指標の実績は「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。