リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) タウンニュースの発行遅延や不発行
① 不慮の災害や伝染病などによる発行遅延や不発行
タウンニュースは広告の申込みから紙面発行まで最短の場合3日で間に合うシステムを構築しております。
広告の受注から紙面の発行までの間などに回復困難なサーバートラブルが発生した場合や、配布エリア全体に影響を及ぼすほどの風水害や大地震、大規模な鉄道事故や停電、大火、伝染病などが発生し復旧に時間がかかった場合には、紙面の発行が遅延あるいは困難なケースもあり得ます。
かかる事態が発生した場合、広告主や読者に対して当社が信用を失うばかりか、広告収入が減少する恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、当社は無停電電源装置の導入やサーバーの外部委託への切り替え、テレワーク・サテライトワークの実施など考えられる範囲で紙面製作上起こり得るトラブルを想定し、その回避策を講じております。
② 印刷委託や配布委託に関する事故
当社は、広告の申込みから紙面掲載まで限られた期間でタウンニュースを製作しており、その紙面の印刷と折込を、それぞれ仕入印刷業者と折込配送委託業者に完全委託しております。そのためこれらの委託業者において突発的な事故や労働争議、伝染病など、当社の予測し得ない状況が発生し、タウンニュースの発行が遅延あるいは不可能になった場合には、広告主や読者に対して当社が信用を失うばかりか、広告収入が減少する恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社に関わるリスク同様に印刷委託や配布委託業者へのサイバー攻撃などのシステムリスクも認識しております。
(2) 経済情勢・市場環境の変動
① 景況の悪化と大口顧客の方針転換等による広告収入の減少
当社は、神奈川県と東京都多摩南部地区をメインに地域密着型のビジネスを展開しておりますが、少子高齢化社会がますます進展するなか、これらエリアの地域経済が悪化するとタウンニュースの広告需要が減少する可能性があります。これは、一般的に企業の広告費の支出が景気の状況に応じて調整される傾向にあるためです。また、大口顧客の販促方針の転換等により出稿が大幅に減少する可能性があります。
この対策として、当社では特定の業種や企業規模に偏らない広範囲で重層的な顧客基盤の拡大等に努めるとともに、大口顧客に対しては経験豊富な社員や特別チームが様々な提案営業を進めるなどの体制を作っています。
② 用紙代の高騰
当社が発行するタウンニュースの用紙代は、仕入原価の中で比較的高い割合を占めております。さまざまな要因により用紙の価格が高騰した場合、紙媒体の発行を主たる事業としている当社にあっては、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、タウンニュースの用紙につきましては、品質、価格、環境保護、安定供給を念頭に国内、国外を問わず選定にあたっております。また、デジタル配信の強化を進めることで、地域情報を発信する使命を果たしていくよう努めていきます。
(3) 人材確保について
当社事業の成長性及び競争上の優位性は、とりわけ編集記者の確保に大きく依存します。当社の編集記者は、営業と同時に地域新聞の記者としての業務を担っており、営業面では紙面に掲載される広告を受注するための企画・提案力が、また、記者としては読者に簡潔で分かりやすい記事を短時間に取材し、執筆できる能力が要求されています。しかし、何らかの理由により、かかる能力を有する人材の確保に支障をきたす恐れや優秀な人材が流出することも考えられます。このような事態が生じた場合、当社の競争力に影響を与え、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、当社では人事担当者や卒業生等による大学訪問、会社説明会の実施、インターンシップ生の受入れなど、より有能な新卒社員の安定的な採用や即戦力となる中途入社社員の採用を推進し、人材の確保をはかるとともに、各職位においては、編集記者研修、編集長研修、支社長研修等を、また、能力別研修においては、取材・原稿研修、営業研修等を、さらに、市場環境の変化に対応するため、都度テーマに応じた研修等を実施するなど対策を講じております。また2024年7月より「HR室」を立ち上げ、より専門的に深化した取り組みに移行していく所存です。
(4) 報道記事、広告内容の適切性と法規制
① 報道記事内容の適切性と法規制
タウンニュースは、地域情報紙として身近な街のニュースを掲載しています。報道にあたっては、読者に事実を正確に伝え、社会正義の実現を目指すと同時に不偏不党、公平性を第一義に紙面を編集、発行しております。
しかし、発行した紙面に万一事実と異なる記事が掲載されたり、誤解を招く表現が掲載された場合、訴訟を起こされる恐れがあります。また、公職選挙法等の法令に抵触する恐れのある内容が掲載された場合には、当社の社会的信用が失墜し固定化した顧客が離れ、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、記者行動指針、行動規範を定めるとともに、原稿のチェックには万全の体制を敷き、マニュアルを整備し研修を実施するなどして正確で且つ偏りのない報道に努めております。
② 広告内容の適切性と法規制
フリーペーパーであるタウンニュースの発行業務に関しては、特段の法規制はありません。しかし、タウンニュースに掲載する広告の方法や内容などに関しては、広告主、当社ともに不当景品類及び不当表示防止法、不正競争防止法などの法令や各業界団体の自主規制等の制約を受ける場合があります。万一かかる法令・規制に抵触する広告を掲載した場合、当社が社会的信用を失い、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、今後、広告主または、広告主が属する業界団体の広告活動、広告の掲載方法などに関する法令・規制・制度の導入や強化、法令等の解釈の変更等がなされた場合には、当社の広告受注・編集業務に間接的に影響を与える場合があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、広告掲載規程を整備し社内教育を実施するとともに原稿のチェック体制を磐石にするなど、法令・規制違反の未然防止に努めております。
(5) 競合の状況
フリーペーパー業界は、細分化したニーズや地域性に応じた広告が手軽に掲載できることなどから、多種にわたる紙(誌)面が存在しています。タウンニュースの発行地域においても多種多様の競合紙があり、地域によっては熾烈な受注競争が行われています。こうした中で、当社が優位性を逸した場合、あるいは競争の激化に伴い広告収入が著しく減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、当社は超地域密着の地域情報紙として地域との強い関係性を背景に、単なる広告媒体としてではなく、地域の総合メディアとしてサービスの多様化、企画力、提案力、品質力、さらに広告申込みから発行までのスピード感など、より競争上の優位性を確保していく所存であります。
(6) 新規発行エリアの黒字化までの期間
タウンニュースを新規エリアに創刊し、継続して発行し続けるためには、紙面の印刷経費、配布に関する折込経費、営業や編集に関する人件費、製作に関する人件費などを負担する必要があります。従って、紙面創刊以後において、これらの経費以上の広告収入を獲得するまでの期間、当該発行地域単独では黒字化しない場合があります。新規発行エリアの街の特性自体が、当社のこれまでの営業上のノウハウが通用せず広告の受注が拡大しなかった場合赤字期間の短縮が進まず、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、当社は今後、新しい地域に紙面を創刊する場合、新規開拓能力に卓越した優秀な人材を投入するとともに、これまで培ってきた営業上のノウハウをフルに活かし赤字期間の短縮を進めていきます。また、全ての行政区を面的に且つ隣接しながら隙間なく紙面を発行することにより広告受注の機会が増大することから、当面黒字化が見込めない発行地区であっても戦略上一定の期間継続して紙面を発行していく必要性があります。
(7) デジタルメディアによる紙媒体への影響
パソコンやスマートフォン等を利用したデジタルメディアにおける広告市場は拡大しております。当社といたしましても「Web版タウンニュース」や「政治の村」、さらにはご近所情報サイト「RareA(レアリア)」、「メール版タウンニュース」、「タウンニュースfor LINE」などをWeb上で公開しております。
しかし、今後これらデジタルメディアの相対的媒体価値が高まっていくと、紙媒体によるタウンニュースの読者が減少し広告が著しく減少することになった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、超地域密着の強みを活かした比類ない紙面づくりにより紙面価値を確保するとともにWeb媒体およびその他の媒体を含め「地域の情報をビジネスに換える」ビジョンのもと、総合的な取り組みを強化していきます。
(8) 顧客情報や個人情報の管理
当社は営業活動及び取材活動を通して個人情報を入手する場合があります。これらの情報が漏洩した場合には、社会的信用が失墜するばかりか、損害賠償を請求される恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、当社は関連規程やマニュアルを作成し、これを適正に管理するなど、必要な措置を講じております。
(9) 知的財産権等の侵害
当社は地域情報紙発行に関わる諸活動の中で、使用許諾を受けている以外の第三者の知的財産権などを侵害してしまう恐れがあります。偶発的な過失その他により著作権、肖像権など第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、社会的信用が失墜するばかりか、損害賠償を請求される恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
この対策として、規程を整備し、必要と考えられる社員教育を実施するなど、防止策を講じております。
(10)感染症への対応について
感染症あるいは伝染病等については、事態の悪化に伴い更なる感染拡大が進行した場合、従業員の感染による職場の閉鎖や紙面の発行停止、サプライチェーンの停滞などによる発行遅延など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社はお客様、お取引先、従業員の安全と感染予防を最優先に考え、従業員の体調管理の徹底、勤務体制の柔軟な見直し、テレワークやサテライトワークの実施、Web会議の導入などの取り組みを実施して対応しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社の利益配分に関する基本方針につきましては、業績や配当性向、将来の事業展開などを総合的に勘案しながら安定的な配当を継続的に行うことを基本方針としております。
また、配当については、現在は安定的な配当の継続を年1回期末配当にて行なうことを基本方針としております。
中間配当については、「取締役会決議により、12月31日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の配当金につきましては、上記基本方針に基づきまして、増額して19円とさせていただきました。次期の配当金につきましては、安定的な配当を維持継続していくことを基本に業績の状況や配当性向等を考慮しながら決定させていただく予定です。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。