リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業について
① 当社グループ事業拡大の前提条件について
当社グループは、インターネットを活用したBtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの運営を主たる事業とし、「BtoBプラットフォーム 受発注」、「BtoBプラットフォーム 規格書」、「BtoBプラットフォーム 商談」、「BtoBプラットフォーム 請求書」等を提供することで、全国の利用企業から月々のBtoBプラットフォーム使用料をいただき、主な収益源としております。
当社グループの事業拡大のためには、利用企業の利便性追求を通じて顧客満足度を向上させ、継続的な利用を維持するとともに、新規企業の獲得による利用企業全体の規模の拡大が必要になります。また、顧客ニーズを重視した提供システムの充実を通じて利用企業の活用するサービス数の増加が必要となります。従いまして、利用企業数の増加、月額顧客単価の増加が当社グループの事業拡大のための前提条件になります。そのため、新規利用企業の獲得、既存利用企業の継続利用、利用企業が当社グループの提供する追加システムを採用することが順調に行われない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの運営について
当社グループは、BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの運営において原則として企業間取引の専門のインフラ及びビジネスツールを提供する立場であり、売買の当事者とはなりません。
しかしながら、BtoBプラットフォームの利用に関し、利用企業間でトラブルが発生した場合、「利用規約」等において当社グループのリスクを限定する規定を設けているものの、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、当社グループが法的責任を負わない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 利用企業に対する申込時の企業審査及び利用開始後の管理について
当社グループは、BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの利用企業について、原則として事業者(法人事業者を主な対象としておりますが、個人事業者も含みます)に限定しており、さらに、利用申込時において一定の企業審査を行うなど、利用開始前の管理を実施しております。
また、利用開始後も当社グループの営業部門において、売り手企業、買い手企業別のコンサルタントが利用企業に対して利用サポートを行う体制を採っており、コンサルティング活動を通じて利用企業の商品内容、商品調達内容及びBtoBプラットフォーム利用状況を確認するとともに、「利用規約」等の遵守状況を管理しております。
しかしながら、利用企業の利用開始前における企業審査や利用開始後の管理にもかかわらず、利用企業間でトラブルが発生した場合には、「利用規約」等にかかわらず当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、当社グループが法的責任を負わない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 通信及びシステム障害について
当社グループの事業は、外部に管理を委託するサーバーと、これを利用企業の使用するパソコン、携帯電話及びスマートフォン等を結ぶ通信ネットワーク双方に全面的に依存しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合や、その他予測不可能な様々な要因によってシステムがダウンした場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのシステムは、セキュリティ対策により外部からの不正なアクセスを回避するよう努めておりますが、コンピュータウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合、さらに、サーバー等の管理を委託しているデータセンター等運営会社のサービス低下、アクセスの集中によるサーバーのダウン、自然災害の発生によるサーバーのダウン等によりインターネットへの接続及びシステムの稼働がスムーズに行えない状態になった場合においても当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社のセキュリティ・可用性・処理のインテグリティ・機密保持・プライバシーに関する内部統制の整備・運用状況について、国際保証業務基準である「SOC1 Type2報告書」及び「SOC2 Type2報告書」(注)を取得しております。
(注)米国公認会計士協会(AICPA)が定めたトラストサービス規準(Trust Service Criteria)に基づき、当社では、「セキュリティ」に関する規準を対象としております。
⑤ 取引先情報を含む個人情報の管理体制について
当社グループは、サービスの提供にあたり利用企業から各種情報を取得し、利用しております。その中には個人情報も含まれるため、当社グループには「個人情報の保護に関する法律」(注)が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。個人情報については、情報管理規程及び各種手順書を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローの確立やアクセス制御等により管理しております。また、派遣社員等を含む全社員を対象とした社内教育に重点を置いており、当社グループの情報管理について教育しております。業務を外部委託する場合においては、外部委託事業者との間で秘密保持契約を締結し、委託業務内容に応じた個人情報の管理を遵守するよう監督に努めております。さらに当社グループが運営するBtoBプラットフォームに関しても、情報セキュリティ技術により対策を強化しております。
なお、当社グループは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)」認証の取得に加え、クラウドサービスに関する情報セキュリティ管理策のガイドラインを定めた国際規格である「JIP-ISMS517-1.0(ISO/IEC 27017)」認証を取得しております。
しかしながら、これらの情報が外部に流出する可能性や悪用される可能性が皆無とはいえず、個人情報その他の情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループに対する信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 「個人情報の保護に関する法律」においては、「個人情報取扱事業者」は、保有する個人情報を本人の同意を得ずに利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用してはならないこと、第三者に提供してはならないことなどの義務が課され、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じ、また従業者及び委託先に対する必要かつ適切な監督を行うことが義務づけられております。個人情報の取り扱いについては、主務大臣が報告の徴求、助言、勧告、命令及び緊急命令といった手段によって関与し、特に個人情報取扱事業者に命令違反、報告拒否、虚偽報告などがあった場合には罰則が課せられることがあります。
⑥ 法的規制について
(ⅰ) インターネットをめぐる法的規制の適用の可能性について
当社グループが事業を展開する国内のインターネット上の情報流通に関しては、その普及及び拡大を背景として現在も様々な議論がなされ、電子契約法等の法的規制が整備されつつあります。今後において、情報を提供する場の運営者に対しての新たな法律の制定やあるいは何らかの自主的なルールの制定が行われること等により、当社グループの事業が新たな制約を受ける可能性があります。また、当社グループの運営する各BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームは、電気通信事業法に定義される「電気通信事業」に該当し、今後、同法の規制が強化された場合、当社グループの事業に制約が加わる可能性もあります。さらに、インターネットビジネス自体の歴史が浅いため、今後新たに発生し、又は今まで顕在化しなかったビジネスリスクによって、現在想定されない訴訟等が提起される可能性もあります。かかる場合、その訴訟等の内容によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ) 食品・食材に関する法的規制について
当社グループの「BtoB-PF ES事業」では、売り手企業と買い手企業がそれぞれの食品食材の商品・調達情報を交換し、商取引を行う場であるインターネット上の「BtoBプラットフォーム 商談」の運営をしております。従いまして、本事業で取り扱う食品食材の販売及び情報の表現については、主に生鮮食品、加工食品への表示義務、輸入品の原産国名表示等を規定する農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)及び栄養表示基準の明示、誇大表現の禁止を規定する健康増進法等による規制を受けておりますので、当社グループでは、担当部署及び担当コンサルタントにより「BtoBプラットフォーム 商談」の利用企業の商品カタログ等における商品の情報に法的規制に抵触する内容がないかどうかを業務マニュアルに基づき随時チェックすることで関連法規・法令等の遵守に努めております。
しかしながら、将来的に法的規制が強化された場合、新たな対策が必要となり、「BtoBプラットフォーム 商談」上での食品・食材の情報の掲示に関して支障をきたす可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 知的財産権について
当社グループは、運営するシステム及びサービスの主な名称について商標登録しております。また、自社開発のシステムや当社グループのビジネスモデルに関しても、特許権や実用新案権等の対象となる可能性のあるものについては、その取得の必要性を検討し、5件の特許を取得しております。競合他社が特許等を取得した場合、その内容によっては競争の激化又は当社グループへの訴訟が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、商標権等の知的財産権及び当社グループに付与されたライセンスの保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権等が第三者から侵害された場合、並びに知的財産権等の保護のために多額の費用負担が発生する場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが使用する技術・コンテンツ等について、知的財産権等の侵害を主張され、当該主張に対する対応や紛争解決のための費用、又は損害が発生する可能性があり、また、将来当社グループによる特定のコンテンツもしくはサービスの提供、又は特定の技術の利用に制限が課せられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ その他
外食産業における店舗運営の生産性向上を目指し、店舗運営プラットフォームアプリの共同開発を進める目的で、2021年10月に株式会社串カツ田中ホールディングスとの共同出資により「株式会社Restartz(リスターツ)」を設立いたしました。市場や事業環境の急激な変化により、事業の推進が困難になった場合には、投資を回収できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 業績の推移について
当社グループは、2003年12月期に、売上高の増加に伴い利益面の黒字転換をいたし、以後22ヵ年にわたり黒字決算を継続しております。しかしながら、利用企業の状況の変化等により、システム使用料を売上高として積み上げる当社グループの収益モデルに変更を行わざるを得ない状況が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、利用企業の利便性向上や新規サービスを提供するために、継続的にソフトウエア開発を行っております。ソフトウエア開発が計画どおり行われた場合でも、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があり、投資を回収できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 外部環境について
① 企業間電子商取引(BtoB)市場の拡大可能性について
当社グループは、企業間電子商取引(BtoB)市場を主な事業領域としており、同市場が引き続き拡大することが成長のための基本的な背景と考えております。日本における同市場の規模は、2023年のBtoB(企業間電子商取引)-EC市場規模は、前年比10.7%増の465.2兆円、その他サービスを除いた商取引に対する電子商取引の割合であるEC化率は前年比2.5ポイント増の40.0%となりました(経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」)。
しかしながら、企業間電子商取引(BtoB)市場をめぐる新たな規制の導入や技術革新など、何らかの予期せぬ要因により、当社グループの期待どおりに同市場の拡大又は、企業間電子商取引(BtoB)の普及が進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、企業間電子商取引市場の拡大が進んだ場合であっても、当社グループが同様なペースで順調に成長しない可能性もあります。
② 競合について
当社グループは、BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームにおいて、「BtoB-PF FOOD事業」、「BtoB-PF ES事業」、その他の総合的なサービスの提供とシステム連動により利用企業が効率的かつ効果的に活用できるBtoBプラットフォームを構築しております。また、1998年6月に「ASP商談事業(現BtoB-PF ES事業)」における「食品食材市場(現BtoBプラットフォーム 商談)」の運営を開始して以来、経営資源を利用企業全体でコストシェアすることが可能な標準システムにより安価な価格帯を実現した価格優位性により競争力の強化及び競合他社との差別化に努めております。
しかしながら、当社グループと同様にインターネットを活用しシステムを提供している競合企業が存在しており、これらの企業及び新規参入企業との競合が激化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題と認識しており、経営成績の向上及び財務体質の強化を図りつつ、個別業績に応じた配当(基本配当性向50.0%)を継続的に行うこと、及び中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを、配当政策の基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当連結会計年度の配当につきましては、この配当政策に基づき、株主還元、安定配当の維持を踏まえ総合的に勘案した結果、中間配当は、1株当たり0.77円の配当、期末配当は、1株当たり0.97円の配当を実施することを決定いたしました。
内部留保資金につきましては、顧客ニーズへの対応、顧客利便性の向上及びシステムの安定稼働のために、今後も「BtoBプラットフォーム」のシステム開発及びサーバー等への有効投資を実施してまいります。
今後につきましても、利益配当による株主に対する利益還元を重視してまいります。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当連結会計年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年7月31日 |
174,254 |
0.77 |
取締役会決議 |
||
2025年3月26日 |
219,510 |
0.97 |
定時株主総会決議 |