2025年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    144名(単体) 6,102名(連結)
  • 平均年齢
    44.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.5年(単体)
  • 平均年収
    10,139,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

酒類事業

3,565

(3,446)

食品飲料事業

2,255

(283)

不動産事業

138

(78)

報告セグメント計

5,958

(3,807)

その他

(-)

全社(共通)

144

(20)

合計

6,102

(3,827)

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 ( )内は、年間平均臨時従業員数を外数で表示しております。

3 当社は、当連結会計年度より「不動産事業」を非継続事業に分類しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

144

(20)

44.8

18.5

10,139

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 ( )内は、年間平均臨時従業員数を外数で表示しております。

4 当社のセグメントは「全社(共通)」のみのため、セグメント別情報の記載を省略しております。

 

(3)労働組合の状況

当社グループには、サッポロビール労働組合等が組織されております。

なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異

 

 

①提出会社

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年12月31日現在

会社名

管理職に占める女性従業員の割合(%)

(注1、4)

男性従業員の育児休業取得率(%)

(注2、4)

男性従業員の

1名あたり

育児休業取得

日数(日)

(注2、4)

従業員の男女の賃金の差異(%)

(注1、3、4)

全従業員

うち

正規雇用

従業員

うち

パート・

有期従業員

サッポロ

ホールディングス㈱

0.0

-

-

-

-

-

 

 

②連結子会社

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年12月31日現在

会社名

管理職に占める女性従業員の割合(%)

(注1、4)

男性従業員の育児休業取得率(%)

(注2、4)

男性従業員の

1名あたり

育児休業取得

日数(日)

(注2、4)

従業員の男女の賃金の差異(%)

(注1、3、4)

全従業員

うち

正規雇用

従業員

うち

パート・

有期従業員

サッポロビール㈱

10.7

100.0

49.1

69.3

68.8

61.2

ポッカサッポロ

フード&ビバレッジ㈱

10.0

111.1

65.7

71.1

70.2

75.7

サッポロ不動産開発㈱

55.6

0.0

0.0

75.4

71.8

75.8

㈱サッポロライオン

8.7

75.0

161.0

45.1

79.1

68.9

サッポロフィールド

マーケティング㈱

0.0

0.0

0.0

33.3

32.7

34.3

サッポログループ物流㈱

3.8

-

-

70.3

70.4

60.8

㈱新星苑

10.5

100.0

33.0

54.4

77.8

81.3

㈱PSビバレッジ

0.0

50.0

120.5

63.9

75.2

67.1

フォーモスト

ブルーシール㈱

33.3

0.0

0.0

36.6

77.0

51.7

ヤスマ㈱

16.7

-

-

86.3

90.8

72.1

㈱北海道サッポロライオン

8.8

-

-

41.9

88.0

97.1

(注)1  管理職に占める女性従業員の割合及び男女の賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。海外子会社を含めたサッポログループ全体の女性管理職比率は17.9%(前年15.0%)となっております。なお、「-」は算定に必要な従業員が在籍していないことを示しております。

2  男性従業員の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規程に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。「-」は育児休業等の対象となる男性従業員がいなかったことを示しております。

3  従業員の男女の賃金の差異については、「源泉徴収票」の給与・手当・賞与を含めた総支給額の平均額に基づき算出しております。

当社グループの賃金制度・体系には性別による処遇の差はなく、賃金差異は主として役割等級や雇用形態別の人員構成の違いに起因するものです。

正規雇用従業員においては、給与水準の高い上位の役割等級に占める男性比率が高いこと、有期雇用従業員においては、短時間勤務者に女性が多い一方で、社員と同水準の等級に位置付けられる継続雇用従業員に男性が多いことが主要な要因であると考えています。

主要事業会社であるサッポロビール㈱においても、年々改善傾向にはありますが同様の傾向が見られています。(表1)とくに正規雇用従業員の30代以降で賃金差が拡大する傾向があり、分析の結果、男女それぞれの人員構成比において、①給与の高い経営職層(管理・専門系列含む)の割合が男性36%に対し女性13%と低いこと、②有期から無期雇用への転換者の割合が男性1%に対し、女性11%と差があること、また、③手当受給対象者に男性が多いことなどが主な要因であることが明らかとなっています。(表2)

これらの人員構成の改善に向け、管理職層の女性比率を適正水準へ引き上げることを女性活躍の優先事項と位置付け、KPIを2026年12%、2030年20%に設定しております。

2025年度には、経営職候補者を対象にした社長との対話会を全17回・65名に実施する等、取り組みを進め、2025年末の女性管理職比率は10.7%となり、2022年の約2倍に増加しています。

また、育児・出産に起因する休職期間の違いや、出産・育児・家事などによる時間的制約というジェンダーバイアスの影響により、時間外労働時間や働き方に男女差が生じている可能性も考えられます。こうした状況を踏まえ、同社では2024年より、1ヶ月超の育児休業取得者が発生した際に「休職職場応援ポイント」を付与する制度の導入など、男女ともに育児休業を取得しやすい環境整備を進めております。その結果、2025年の男性育児休業取得率は100%、1人当たりの平均取得日数は49.1日となりました。(表3)

当社グループでは、現在推進している女性活躍施策をさらに加速させ、特に管理職層の女性比率を適正に引き上げること、併せて全ての従業員が安心して100%の力を発揮できる環境づくりを進めることで、男女賃金差異の解消につなげてまいります。

詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 <サッポログループの人財戦略〈多様な人財の活躍〉>」に記載のとおりです。

4  出向者は出向元の従業員として集計しております。

 

表1 サッポロビール㈱における雇用形態別男女賃金差 推移             表2 サッポロビール㈱における年代別男女賃金差(正規雇用従業員)

     

 

表3 サッポロビール㈱における男性の育児休業取得率及び平均取得日数 推移

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サッポログループのサステナビリティに関する考え方>

サッポログループは「中期経営計画(2023~26)」における、3つの戦略の柱の一つに「サステナビリティ」を掲げております。サステナビリティ経営の推進にあたっては「サッポログループ サステナビリティ方針」のもと、「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」を柱とする重点課題を特定し、それぞれ目標を設定しその達成に向けて、進捗をモニタリングしております。今後は、「グループ中長期成長戦略」の実現に向けてより一層サステナビリティ経営の取組を推進していきます。

 

サステナビリティ重点課題の特定は、GRIスタンダード、SASBスタンダード、ESG格付けの外部評価等の国際的なフレームワークを参照のうえサステナビリティ課題を網羅的にリストアップし、特にサッポログループの業種・業態と関連性ある項目を、「事業による社会・環境への影響度」と「社会・環境による自社財務への影響度」を「リスク・機会」の側面からスコアリングし優先順位付けしました。社外有識者からいただいた客観的なアドバイスを参考にして、最終的に特定した重点課題を経営会議及び取締役会で承認しております。

 

① ガバナンス

サッポログループは、サッポロホールディングス㈱代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」を「経営会議」の諮問委員会として設置しております。

「グループサステナビリティ委員会」では、グループ全体でサステナビリティ経営を推進するための全体方針を策定し、グループ内の調整を行い、担当取締役が半期ごとに気候変動や人財に関する課題を含めたサステナビリティ重点課題への対応の進捗状況について取締役会へ報告しております。また、サッポロホールディングス㈱人事担当役員を委員長とした「グループ人財戦略会議」において、人財に関する計画、アクションの策定・実行ならびにモニタリングを行うほか、その内容は年2回の取締役会にて報告しております。

「グループリスクマネジメント委員会」では、委員会事務局が半期ごとにグループにおけるサステナビリティ関連リスクの発生状況や対応、再発防止について取締役会へ報告しております。詳しくは、「3 事業等のリスク」をご確認ください。

取締役会は、これら報告を受けた課題への取組や設定した目標をモニタリングし、監督しております。

 

組織体

グループサステナビリティ委員会

役割

・サステナビリティ経営推進のための全体方針策定及び統括

・事業継続に向けた中長期的な外部環境リスクと機会及びそのガバナンスに対するモニタリング

構成

委員長  :サッポロホールディングス㈱代表取締役社長

委員長代行:サッポロホールディングス㈱経営企画部 担当役員

構成員  :サッポロホールディングス㈱経営企画部長、経理部長、人事部長、総務部長

      サッポロビール㈱、ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱、

      サッポロ不動産開発㈱、㈱サッポロライオン、各社経営戦略担当役員

      監査等委員

開催頻度

年2回

 

2025年の開催実績

開催月

主な議題

4月

・サステナビリティ重点課題に対するモニタリング

・中長期的な環境投資、責任ある飲酒の推進、人的資本投資に関する報告と意見交換

9月

・サステナビリティ重点課題に対するモニタリング

・経営戦略に合わせたサステナビリティ重点課題及び方針の更新に関する報告と意見交換

・サステナビリティ重点課題(指標・目標の一部)更新に関する審議

 

取締役会におけるサステナビリティに関連した報告

開催月

主な議題

5月

・グループサステナビリティ委員会内容の報告

5月

・外部有識者からの「サステナビリティ・メガトレンド」インプットと討議

10月

・グループサステナビリティ委員会内容の報告

 

当社は、取締役に対して特に「期待する」スキルを明確にしたスキルマトリクスを設定しており、「サステナビリティ」に関して、取締役として必要なスキルとして位置付けております。詳しくは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(2)役員の状況」をご参照ください。2025年4月、取締役のサステナビリティスキル強化を目的に、役員クラスを対象とした環境経営能力強化研修を実施しました。

また、取締役の報酬に関して、業績連動型株式報酬の項目に、「ESG指標」「従業員エンゲージメント」を組み入れ、サステナビリティに関する取組を役員報酬に反映させております。

 

取締役の業績連動型株式報酬(サステナビリティ関連項目)

指標

ESG指標

1.FTSE Russel ESG Rating(注1)

2.MSCI ESG Rating(注1)

3.温室効果ガス排出削減量(スコープ1,2)

  各指標におけるスコア及び格付け等の毎年の評価基準を設定

従業員エンゲージメント

「ワークエンゲージメント」(注2)

  外部評価機関調査による評価結果で毎年の評価基準を設定

(注)1 企業のESG関連情報収集、分析、評価等を行っている国際的な外部評価機関によるスコア及び格付け

2 従業員が仕事に対してポジティブな感情を持ち、充実している状態

 

② 戦略

サッポログループは「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」を柱とした、サステナビリティ重点課題(マテリアリティ)を9項目設定しております。中でも、グループの事業関連性及びリスクと機会の影響度の大きさから、「脱炭素社会の実現」「自然共生社会の実現」「地域との共栄」「責任ある飲酒の推進」「多様な人財の活躍」を、経営上特に重視する最注力課題と位置付けて、「リスクの低減」とともに「企業成長につながる機会成長」の観点から取組を進めております。

 

Ⅰ.サステナビリティ重点課題

経営理念

潤いを創造し 豊かさに貢献する

提供価値

全ての事業が提供する時間と空間で、人々と地域社会のWell-beingに貢献

サステナビリティ方針

「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」

サステナビリティ

重点課題

(マテリアリティ)

環境との調和

① 脱炭素社会の実現

② 循環型社会の実現

③ 自然共生社会の実現

社会との共栄

④ 地域との共栄

⑤ 健康価値の提供

⑥ 責任ある飲酒の推進

人財の活躍

⑦ 多様な人財の活躍

 

 

⑧ 持続可能なサプライチェーン構築

⑨ 安全な製品・施設の提供

 

 

Ⅱ.リスクと機会、事業との関連性

サッポログループのサステナビリティ重点課題を特定する際に、各重点課題における「事業が社会・環境に与える影響」「社会・環境による自社財務への影響」に関してリスクと機会及び事業との関連性評価を実施しております。評価結果は以下のとおりです。

 

重点課題

事業が社会・環境へ与える影響

社会・環境による自社財務への影響

事業との関連性

リスク

機会

リスク

機会

酒類

外食

食品飲料

脱炭素社会の実現

循環型社会の実現

自然共生社会の実現

地域との共栄

健康価値の提供

責任ある飲酒の推進

多様な人財の活躍

持続可能なサプライチェーン構築

安全な製品・施設の提供

 

Ⅲ.具体的な取組と経済価値の繋がり

サステナビリティ重点課題に対しての具体的な取組と経済価値(将来的な財務影響)との繋がりは以下のとおりです。

 

 

重点課題

具体的な取組

経済価値への繋がり

脱炭素社会の実現

・自社拠点・サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減

・省エネ等によるエネルギー使用量減

・将来的な炭素税導入時のコスト増の抑制

循環型社会の実現

・循環型社会に対応した容器包装の実現

・プラスチック資源のリデュース・リサイクル

・廃棄物・食品ロス削減

・水資源の有効な利用、水リスクへの対応

・資材の安定調達

・資源循環を起点にした新たなビジネスモデルの創出

・無駄のないサービス提供による利益創出

・廃棄コストの削減

・良質な水資源確保等のリスク低減

自然共生社会の実現

・気候変動に対応した原料育種

・自然と共生する拠点・まちづくり

・気候変動への適応策実行による、長期的な原料の安定調達

・原料生産者との協働による付加価値創出

地域との共栄

・地域の価値向上

・自社リソースを活用した地域課題解決

・地域創生を基軸にした新たな売上機会の創出

・付加価値の高い国産原料の安定調達

健康価値の提供

・事業を通じた健康価値の提供

・健康価値提供による利益創出

責任ある飲酒の推進

・適正飲酒の啓発

・不適切な飲酒の防止による事業機会の維持

・ノンアルコール・微アルコールの市場拡大

多様な人財の活躍

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進

・成長と生産性向上に向けた人的資本投資

・ワークエンゲージメントを高めることによる、生産性向上

・個のスキルアップ及び多様な価値観の融合による新たな価値創出

持続可能な

サプライチェーン構築

・サプライチェーンにおける人権尊重

・サプライチェーンにおける環境負荷低減

・安定調達

・サプライチェーン不安定化によるリスクの低減

安全な製品・施設の提供

・食品安全

・安定的な事業継続を支える基盤の構築

 

Ⅳ.気候変動・自然資本への取組

サッポログループにとって気候変動への対応が地球規模で取り組むべき最重要課題の一つであると認識し、「緩和」と「適応」の両面から課題解決に向け、将来発生する可能性のある事業環境をシナリオ分析により複数想定した上で、リスクと機会を洗い出し、その結果を戦略や取組に反映しております。また、農作物や水資源等を利用する当社にとって、気候変動と同様に自然資本への対応も重要な課題であると認識しております。自然資本の対応策を進める際には、自然資本と気候変動は密接に関わっていることから、気候変動の対応策と相互に連携させることが重要と考えて取組を進めていきます。

当社は、TCFD、TNFDの提言に賛同し、積極的な情報開示を進めております。本提言に関連した分析の詳細は当社WEBサイトをご確認ください。

https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/environment/nature/climate/

 

<事業に関連したサプライチェーンと自然への依存・影響>

「酒類」「食品飲料」のサプライチェーン全体の主な産業プロセスを整理し、TNFD推奨ツール・ENCOREや社内情報等を参考にして、自然への依存と影響をヒートマップで整理しました。

「酒類」「食品飲料」では、サプライチェーンの上流及び直接操業ともに、原材料となる農作物の生産時の依存・影響が大きいと考えられました。具体的には、依存としては自然がもたらす安定した気候など、影響としては水利用や土地利用、温室効果ガス排出などが挙げられました。評価結果を踏まえ、サプライヤーと連携して、農業生産時の環境負荷の低減などに取り組んでおります。なかでも温室効果ガス排出については、2024年3月にFLAG関連排出の目標を立て、SBT認定を取得し削減に向けた取組を進めております。

容器包装に用いる紙の生産についても、自然への影響・依存が大きいと考えられます。紙使用量を削減した包装方法などに現在取り組んでおり、引き続き進めていきます。また、自社の直接操業であるアルコール発酵・蒸留や加工食品飲料の製造は、水に強く依存しております。水に関しては、水の高リスク地域に該当する当社工場での水使用量削減に関して2030年目標を掲げており、目標達成に向けた取組を進めていきます。

 

<自然関連リスクと機会の評価>

自然への依存と影響の評価結果を踏まえて、大麦・ホップの生産に伴う自然関連のリスク・機会を特定して、その大きさや発生可能性を検討しました。影響時期は短期(~2030年)、中期(~2040年)、長期(~2050年)と設定しております。

 

物理リスク

項目

リスクの概要

影響時期

財務影響

発生可能性

急性

病害虫の発生による収量・品質の低下

暴風雨や洪水などの気候災害による収量・品質の低下

気温上昇や干ばつ等による収量・品質の低下

慢性

水質汚染による収量・品質の低下や水質浄化コストの増加

土壌の健全性の低下による収量・品質の低下

 

 

移行リスク

項目

リスクの概要

影響時期

財務影響

発生可能性

政策

温室効果ガス排出削減目標への対応による、FLAG関連排出の削減に必要なコストの増加

30by30に向けた保護区の拡大や、IPLCsの管理地域の保護による調達先の減少・変更

化学肥料・化学農薬などの汚染に関連する規制の強化による対応コストの増加

干ばつ時の取水制限などの規制による収量低下・品質低下

技術

精密農業、再生農業などの環境負荷を低減する農業技術や、環境負荷低減やレジリエンス向上につながる品種開発への投資の増加、それらの技術の導入による短期的な収量低下やコスト増加

市場

環境負荷の小さい商品への消費者の選好性の変化による収益減少、市場シェアの減少

評判

保全重要度の高い自然などに大きな影響を与えることによるレピュテーション低下や操業許可の喪失

賠償

責任

保全重要度の高い自然などに大きな影響を与えることによる法的罰則・訴訟のコスト

 

機会

項目

機会の概要

影響時期

財務影響

発生可能性

資源

効率

肥料や農薬などの投入量の最適化、エネルギー効率の高い機械の導入による、コスト及び環境負荷の低減

水利用効率の向上や水源地の確保・保全による、水関連リスク及びコストの削減

製品

サービス

環境負荷を低減した農法の導入によるリスク低減、環境に配慮した食品の市場シェア獲得

市場

環境負荷の低減をテーマとした農業技術の開発や育種によるコスト削減やレジリエンス向上

環境負荷を低減した農法・農業技術の導入・開発、生物多様性保全活動によるブランドイメージ向上

資金

サステナブルファイナンスによる資金調達

持続可能な資源利用

気候変動に対してレジリエントな品種や、水や肥料などの使用量低減を可能にする品種の開発

保護・

復元・

再生

生物多様性の保全活動の実施

 

 

<シナリオ分析結果(財務影響)>

酒類事業で気候変動による影響が想定されるビール原料農産物の調達地域を対象とした、シナリオ分析を実施しました。国際連合食糧農業機関(FAO)のシナリオ分析データ等を基に、異常気象等の要因を考慮して補正しており、気候変動要因、経済社会要因、生産量に関する要因がそれぞれ異なる、サステナビリティ進展、標準、停滞シナリオについて、2050年までの収量の変化を想定しております。

 

 

気温上昇

異常気象

農業関連動向

社会動向

進展

シナリオ

1.5℃

ある程度増加(-)

化学肥料等の使用に関する規制強化(-)

人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の一定程度上昇

標準

シナリオ

BAU

頻発化や被害拡大(-)

品種改良や設備投資の増加(+)

人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の上昇

停滞

シナリオ

4℃

激甚化(-)

作物の病害が多発し農業被害が拡大(-)

食料価格高騰、貧困層の食へのアクセス困難化

+:収量にプラス影響 -:収量にマイナス影響

 

サステナビリティ進展シナリオでは、化学肥料使用に規制がかかる影響等によって、収量に対してマイナスの影響が出る事を想定しております。収量推計が増加基調の国では上表のマイナス要因を受けても増加や横ばいを保つ場合があります。

 

〇原料農作物調達への財務影響

上記のシナリオ分析の結果をもとに、原材料の調達コストに影響が大きいと予想される以下の項目について財務影響を分析しました。本分析は、2022年度における全調達をもとに、気候変動関連の影響による価格増加分のみを試算しております。

・環境規制の強化による有機栽培の拡大

・エネルギー価格高騰による調達価格の上昇

・原材料(大麦、ホップ、トウモロコシ)の収量減少による原材料価格の上昇

 

 

(単位:億円)

 

2030年

2050年

サステナビリティ進展シナリオ

2.0

5.5

サステナビリティ標準シナリオ

1.3

5.0

サステナビリティ停滞シナリオ

2.5

7.7

 

各シナリオで最も財務影響の大きかったものは、停滞シナリオでした。停滞シナリオでは、「エネルギー価格高騰による調達価格の上昇」による影響が最も大きく、「原材料の収量減少による原材料価格の上昇」による影響で、2030年時点で2.5億円、2050年時点で7.7億円という結果になりました。次に影響の大きかった進展シナリオでは、「環境規制の強化による有機栽培の拡大」による影響で、2030年時点で2.0億円、2050年時点で5.5億円という結果になりました。標準シナリオでは、「原材料の収量減少による原材料価格の上昇」、「環境規制の強化による有機栽培の拡大」による影響で、2030年時点で1.3億円、2050年時点で5.0億円という結果になりました。

品目別にみると調達額の一番大きい大麦(麦芽含む)が、各シナリオで最も価格上昇のある品目となりました。

 

 

〇炭素税導入によるスコープ1,2への財務影響

炭素税導入による財務影響は、国際エネルギー機関(IEA)のNZEシナリオ(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)に基づき、当社拠点のエネルギー使用量から試算をしました。2030年、2050年時点において、当社も温室効果ガス削減目標が達成できた場合とできなかった場合の財務影響を分析しました。

温室効果ガス削減

目標が達成できた

場合の排出量(千t)

温室効果ガス削減

目標が達成できなかった場合の排出量(千t)

温室効果ガス削減

目標が達成できた場合の炭素税に関する

コスト(千円)

温室効果ガス削減

目標が達成できなかった場合の炭素税

に関するコスト(千円)

2030

110

189

1,813,440

3,130,869

2050

0

189

0

6,055,178

※1USD=133.36円 (2023年の分析時点におけるレート)

IEA:NZEシナリオ

炭素税2030年:先進国130USD、新興国90USD、発展途上国15USD

炭素税2050年:先進国250USD、新興国200USD、発展途上国55USD

 

計画通りに排出量を削減できた場合、2030年:110千t、2050年:0tをそれぞれ見込んでおります。一方で、削減目標を達成できなかった場合、2022年の排出量が継続することを想定し2030年、2050年それぞれの排出量を189千tと見込みました。削減目標を達成できなかった場合、できた場合をそれぞれ比較すると、2030年は約13.2億円、2050年は約60.6億円のインパクトがあるという結果となりました。

 

<リスクと機会、財務影響と対応・施策の方向性>

シナリオ分析の結果、各シナリオで原料農産物の収量が減少する地域があることが判明しました。これらの影響を含めて、3つのシナリオが現実化した場合を想定し、サッポログループが直面するリスクと機会について、短期・中期(2030年頃)、長期(2050年)の視点で検討を行いました。

 

移行リスク

項目

関連

影響時期

財務影響

対応・施策の方向性

気候

自然

短期

中期

長期

カーボンプライシング導入による事業拠点エネルギーコスト増加

 

 

炭素税の課税

NZEシナリオ(進展シナリオ):2030年31.3億円,2050年60.6億円

・脱炭素化取組の推進(2030年・2050年目標達成)

温室効果ガス排出削減目標への対応による、FLAG関連排出の削減に必要なコストの増加

 

 

窒素肥料の投入量等の情報把握、その削減に必要なコスト

・FLAG関連排出算定方法を精緻化、活動量データの取得可否や課題を調査

30by30に向けた保護区の拡大や、IPLCsの管理地域の保護による調達先の減少・変更

 

 

 

原料農作物の調達額の増加等を想定

・多角的な調達先の確保

・サプライヤーを通じた最新情報の把握

農薬(化学肥料含む)に関する環境規制強化による農産物収量減

 

原料農産物の調達額増加

(進展)2030年2.0億円,2050年5.5億円

(標準)2030年1.3億円,2050年5.0億円

(停滞)2030年2.5億円,2050年7.7億円

※ビール原料農産物を

対象とした2022年実績基準の試算

・農薬規制情報と農薬使用状況の把握

・化学農薬に代わる生物的防除や物理的除去法等の総合的病害虫管理の情報収集と生産者動向の把握

カーボンプライシング等による農産物生産エネルギーコスト増加

 

 

 

物理リスク

項目

関連

影響時期

財務影響

対応・施策の方向性

気候

自然

短期

中期

長期

温暖化・異常気象による原料農産物の品質低下や収量減

 

原料農産物の調達額増加

(進展)2030年2.0億円,2050年5.5億円

(標準)2030年1.3億円,2050年5.0億円

(停滞)2030年2.5億円,2050年7.7億円

※ビール原料農産物を

対象とした2022年実績基準の試算

・多角的な調達先の確保

・異常気象による品質低下リスクの低い大麦・ホップ多収性品種の開発・普及

・病害抵抗性に優れた大麦・ホップ新品種の開発・普及

・サプライヤーとの連携による総合的病害虫管理の導入に向けた病害虫防除体系の確立

異常気象(熱波、干ばつ、台風や集中豪雨による風水害等)による事業拠点の渇水・洪水

生産停止による損失と復旧費用を想定

・既存拠点の水供給の安全性と渇水及び異常気象に対するリスク評価

新規感染症流行による原材料の調達停滞

 

生産停止による損失を想定

・グローバルの食品輸出入動向・規制に関する情報収集・把握

・国内生産安定化のための基盤強化

気温上昇による設備の空調コスト増加

 

 

 

電力コスト増加を想定

・運転管理における省エネルギーの徹底

水質汚染や土壌の健全性の劣化による収量・品質の低下

 

 

 

原料農産物の調達額増加、水質浄化コストの増加を想定

・多角的な調達先の確保

・生産者とのコミュニケーションによる状況把握

 

機会

項目

関連

影響時期

財務影響

対応・施策の方向性

気候

自然

短期

中期

長期

温室効果ガス削減による事業拠点エネルギーコスト(炭素税額)の削減

 

 

NZEシナリオ(進展シナリオ)2030年13.2億円,2050年60.6億円

・脱炭素化取組の推進(2030年・2050年目標達成)

気候変動に対応可能な品種開発による安定調達

 

業界での幅広い普及により調達額影響の低減

・干ばつや多雨等の気候変動の影響を回避・軽減する大麦・ホップ適応品種の開発・実用化(2035年実用化に向けて現在開発中の大麦新品種には、麦芽加工時の省エネ効果の特性を合わせ持つものがある)

原料農産物開発と商品開発による競争力の強化

 

大麦やホップ開発品種を用いた商品(2035年以降 上市規模 ~547億円)

 

 

項目

関連

影響時期

財務影響

対応・施策の方向性

気候

自然

短期

中期

長期

ICT・ロボット等を活用した農業の効率化品種改良(育種)による品質の安定化

 

原料農産物価格への影響を想定

・国内外のパートナーとの協働による農業の新技術の活用

肥料や農薬等の投入量の最適化、エネルギー効率の高い機械の導入による、コスト及び環境負荷の削減

 

 

投入物コストの削減効果、原料農産物価格への影響を想定

・国内外のパートナーとのコミュニケーション、FLAG等当社脱炭素目標の共有

水利用効率の向上や水源地の確保・保全による、水関連リスク及びコストの削減

 

 

 

水関連対応コストの削減を想定

・生産拠点における水の効率的使用、定期的な水リスク調査によるクライシス発生の回避

サステナブルファイナンスによる資金調達

 

 

 

資金調達しやすくなることを想定

・ESGに関する外部評価の向上

 

適応策

酒類事業では、サッポロビール原料開発研究所を拠点に国内外の大学や研究機関、サプライヤーと連携しながら新品種の開発に取り組んでおります。気候変動により影響が大きくなると想定されるビール主原料について、病害抵抗性に優れ、異常気象でも収量や品質が安定している品種の実用化を目指し、開発を進めております。

 

③ リスク管理

サッポログループは「リスク」を組織運営に影響を与える不確実性と定義し、グループを取巻く様々な経営リスクの発生を未然に防止するとともに、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した場合には、発生時のリスク対策を適宜実施することで損失を最小限に抑える等、事業の継続的な維持・発展、及び社会からの信頼の確保に努めております。

なお、「経営会議」、「グループサステナビリティ委員会」及び「グループリスクマネジメント委員会」は、相互の役割を認識し、それぞれの機能に対応しております。主要リスク、顕在化した場合の影響、主な対策は、「3 事業等のリスク」をご確認ください。

また、サステナビリティに関連したリスクに関しては、テーマ毎にリスクを評価し管理、対応を実施しております。気候変動や自然資本はTCFDやTNFDのフレームワークに沿って事業影響の分析や対応策の検討、水資源に対しては総合水リスクの評価と対応、人権の尊重に対してはサプライチェーン上の人権尊重に向けた人権デュー・ディリジェンスの対応に取り組んでおります。

 

④ 指標及び目標

Ⅰ.気候変動関連

<温室効果ガス排出の測定方法に関する開示>

サッポログループは、温室効果ガス排出を測定するにあたり、事業活動における実質的な管理と支配を正確に反映するため、測定アプローチとして経営支配力基準を用いております。また、GHGプロトコルに基づき温室効果ガス排出を測定するにあたり、スコープ2(購入した電力、蒸気、熱からの間接排出)の電力における算定はマーケット基準を用いております。当該基準は企業が電力購入契約を通じて選択した特定の電力供給源に基づく排出係数を用いて排出量を計算する方法です。排出量を正確に把握し、持続可能な経営戦略の策定に資することを目的としております。

 

<温室効果ガス排出量削減目標>

目標設定会社

目標(2030年)

サッポログループ

・スコープ1,2 温室効果ガス排出量を2022年比で42%削減

SB, SBL, PS

・スコープ3 温室効果ガス排出量を2022年比で25%削減

・FLAGスコープ1,3 温室効果ガス排出量を2022年比で31%削減

*SB:サッポロビール㈱、SBL:SLEEMAN BREWERIES LTD.、PS:ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱

*温室効果ガス排出削減目標はSBT認定を取得しております。

 

<温室効果ガス排出量>

サッポログループの温室効果ガス排出量に関する当連結会計年度(2025年度)実績は、2026年8月に当社WEBサイト上にて開示を予定しております。また、当社では、将来的に有価証券報告書内で会計年度実績を適時に開示できるよう、データ集計及び管理体制の強化・整備を現在進めております。なお、温室効果ガス排出量の算定結果については国際基準ISAE3410に準拠した第三者検証を一般財団法人日本品質保証機構から受けております。

当社WEBサイト(ESGデータ集)https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/esg/

(千t-CO2e)

 

2024年実績

削減比率

2025年実績

スコープ1,2温室効果ガス排出量

167.7

11.4%

集計中

スコープ3温室効果ガス排出量

979

14.0%

集計中

FLAGスコープ1,3温室効果ガス排出量

53

25.9%

集計中

削減比率は2022年を基準年とした比率

 

スコープ3温室効果ガス排出量に関する内訳                         (千t-CO2e)

 

概要

2024年実績

2025年実績

カテゴリー1

購入した製品・サービス

672

集計中

カテゴリー2

資本財

21

カテゴリー3

スコープ1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

27

カテゴリー4

輸送・配送(上流)

98

カテゴリー5

事業から出る廃棄物

3

カテゴリー6

従業員の出張

0

カテゴリー7

従業員の通勤

1

カテゴリー8

リース(上流)

21

カテゴリー9

輸送、配送(下流)

87

カテゴリー10

販売した製品の加工

算定対象外

カテゴリー11

販売した製品の使用

10

カテゴリー12

販売した製品の廃棄

15

カテゴリー13

リース資産(下流)

4

カテゴリー14

フランチャイズ

算定対象外

カテゴリー15

投資

20

スコープ3合計

979

 

FLAGスコープ1,3温室効果ガス排出量に関する内訳        (千t-CO2e)

カテゴリー

2024年実績

2025年実績

土地利用変化排出

12

集計中

土地管理排出

41

FLAG関連排出 合計

53

 

<サッポログループ環境投資>

サッポログループでは温室効果ガス削減計画の達成に向けて、生産拠点では設備の高効率化や工程の合理化等の省エネ活動、又は電力を中心に再生エネルギーへの転換を進めます。なお、2022年から2030年の8年で約21億円の環境投資を行います。

 

<内部炭素価格>

脱炭素を目的とした投資判断の枠組みでは、ICP(Internal Carbon Pricing)を主要事業会社で導入しており、投資額の試算では6千円/t-CO2を採用しております。

Ⅱ.サステナビリティ重点課題関連

サステナビリティ重点課題に対し、それぞれ目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取組を推進しております。温室効果ガス排出以外の指標及び目標の一覧、最新の実績は当社WEBサイトを参照願います。

*当社WEBサイトhttps://www.sapporoholdings.jp/sustainability/policy/systems/

*2026年8月に実績及びサステナビリティ情報の更新を予定しております。

 

<サッポログループの人財戦略(多様な人財の活躍)>

中期経営計画(2023~26)では、事業構造を転換し「海外事業の成長」「コア事業の収益力強化」を大きな柱として、持続的成長に向けた基盤の構築を目指しております。この事業変化に迅速に対応し、経営戦略を実現していくため、それを担う重要な経営基盤である人財と組織の強化を目的に、グループ人財戦略(2023-2026)を策定しました。

人財戦略では、北海道の「開拓使」をルーツとする創業以来の強みをベースとしながら、海外事業をはじめとする新たな事業や新たな商品・サービスの創出に果敢に越境し、変化に挑む組織づくりのための「多様性と流動化の加速」、注力する事業分野や経営戦略の実効性を上げるための「優先度の高い人財への集中投資」、当社で働くグループメンバーがエンゲージメント高く成果貢献できる「100%の力を発揮できるしくみ・環境の整備」の3つの戦略を掲げ、取組を推進しています。

なお、サステナビリティ重点課題において「多様な人財の活躍」を最注力課題に設定しています。

 

*SH:サッポロホールディングス㈱

*4事業会社:

サッポロビール㈱・ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱・サッポロ不動産開発㈱・㈱サッポロライオン

中期経営計画、事業戦略、財務目標に関しては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中期経営計画(2023~26)」をご確認ください。

 

① 戦略

サッポログループ人財戦略においては、3つの戦略に基づき、5つの優先課題とKPIを定め、人財育成と社内環境整備に取り組んでおります。

 

■戦略①多様性×流動化=変化への挑戦

新たな領域の開拓や、コア領域の更なる成長に向け、これまでの当社内における常識や既存の価値観から脱却し、多様性と流動化を加速することを重要課題と位置付けております。

 

<多様性の促進>

優先課題として位置付ける女性活躍については、女性取締役、管理職比率の2026年KPI12%以上(サッポロホールディングス㈱+4事業会社)に対し、各社にて年度目標を設定し、進捗をローリングしながら取組を推進しております。経営トップ層からマネジメント層に対しては、自らの言葉で方針を発信し意識改革を促すとともに、管理職候補の女性社員に対しては、社長と直接キャリアを考える場を設ける等、計画的な育成へ注力してまいりました。また、女性経営職の社外からの積極採用の取組も加わった結果、2025年女性取締役比率は17.2%、管理職比率は9.5%の目標値に対し、10.8%となりました。2030年のサッポロホールディングス㈱取締役比率30%、2026年管理職比率12%を目標に着実に前進してまいります。

2026年人財戦略の最終年度の確実な目標達成に向け、社内人財の育成スピードの加速、社外人財の積極的な登用を通じ、多様性のさらなる加速を図ってまいります。

国内主要会社で実施している従業員意識調査では、多様なメンバーが働きやすい環境であると72%が回答し年々数値は改善しています。一方で、「多様な考えを活かそうとしている」に関しては63%と一定の改善は見られるものの、KPIの「DE&I・チーム力3.2(4点満点)」に対しては、3.0の実績にとどまっており、更なる推進が必要であると考えております。

職場におけるインクルージョンの一層の加速に向け、DE&I推進や女性管理職育成に関する事業場長の役割・責任を社長や人事担当役員自らの言葉で直接説明する等、組織として多様な人財が力を発揮できる環境づくりを進めております。

 

<社内外人財の流動的な活用>

中期経営計画で掲げた収益力の向上や事業ポートフォリオに即した人財アロケーション、DX・ITの活用による業務効率化推進により、労働生産性は年々向上しております。

2026年7月には事業持株会社体制への移行を予定しており、「One SAPPORO 経営」の下、より機動的かつコンパクトな組織・人員体制構築に取り組んでおります。

また、多様な人財が流動的に動きシナジーを創出することを目的に「誰もが越境し挑戦するのが当たり前」となる文化醸成を進めてきました。人財公募については、2025年度に過去最多の49件を募集、94名が応募しました。社内外副業についても、2026年KPIである社内副業経験者300名に対し、378名となり前倒しで目標を達成しました。

今後も、社内外の新たな職場・業務へ自らの意思でチャレンジする経験を通じキャリア自律を更に加速していきます。

更に、グループ社員の約37%を占める50代以上のシニア層の活躍も重要な課題と位置付けております。希望者を対象としたキャリア面談は、2025年末時点で50歳以上社員の約18%に実施し、新たなキャリア構築を支援する環境を整備しております。

高度キャリア人財の採用についても、2024年より取組を進め、2025年は、国際事業をはじめとする事業戦略上重要なポジションへ事業場長クラス4名を含むマネジメント層の登用を行いました。併せて、人事総務部門担当者向けに新たな人財が組織に早期に組織になじめるためのオンボーディング研修の実施等、安心して能力を発揮できる環境づくりを推進しております。

 

■戦略②人的資本投資=個と組織の強化

サッポログループでは、優先し集中投資する人財として経営層、グローバル、DX・ITの3つを掲げ、人財確保・育成を推進しております。

 

<経営人財育成>

中長期成長戦略の実効性を高める上で、経営人財の高度化は必須であり、計画的な育成、登用を目的に2024年に経営人財育成のプロセスを明確化いたしました。

指名委員会と連携し、経営人財候補者の育成を推進する「経営人財戦略会議」を2024年に新設し、中長期成長戦略を踏まえた経営人財要件を再定義しました。2025年度は、社内候補者のアセスメント結果等を踏まえたスキル・経験を可視化し、今後の配置や研修派遣等の育成計画を策定、実行し、不足ポジションへの外部登用の検討等、人財プールの強化へ取組を進めております。

また、社長を含めた全役員対象の360度評価研修も継続実施し、自身の行動を振り返り、強み・弱みを把握し、「経営層自らが本気で変わる」を実践し、トップ層自ら組織風土改革をリードするとともに、経営人財の更なる高度化へ取り組んでおります。

 

<スピードある成長への積極投資>

重要な経営基盤である人財への積極的な投資を進めてきました。グローバル人財、DX・IT人財の育成、支援型マネジメントの進化やリスキリングに関わる取組を実施した結果、サッポロホールディングス㈱+4事業会社の2025年人財育成投資額は328百万円、一人当たり投資額は、約10.5万円となりました。

一人当たり投資額(正社員)

約10.5万円 *2024年実績 約8.3万円

 

・グローバル人財育成

グローバル中核人財100名の確保を目標に、対象者を2段階(入学、配置レベル)に分け、きめ細やかに人事管理し、人財の高度化を進めております。専門人財育成については、語学、国際ビジネス力の強化研修に加え、海外子会社へのトレーニー派遣、海外子会社からの人財受入等、積極的なコラボレーション機会を創出しております。グローバル経営人財候補者を対象とした海外ビジネススクールへの2名の短期派遣等、将来のグローバルビジネスを支える人財育成を加速しております。更に、将来の海外事業の拡大を見据え、人財の裾野を広げていくため、選抜者対象の若手グローバル人財研修、グローバルリーダー人財研修、全社向け語学力強化等、育成への投資を進めております。

 

・DX・IT人財育成

DX基幹人財戦略に関しては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

・支援型マネジメントの進化

人の成長によって組織を成長させることを目的とした当社の人事制度(育成評価制度)において、マネジメント力の一層の進化は不可欠であると考えております。マネジメント層自らが学び続ける姿勢を持ち、その責任と覚悟を問う目的で、これまでの一律のマネージャー研修を手挙げ制の形式に変更し、支援型マネージャー修練プログラムを展開しております。2025年は6プログラムを実施し延べ363名が受講しております。(前年比121%増)

このような取組の結果、従業員意識調査において「職場では、各自の強みを活かしてチームとして高い成果をあげようとしている」と75%が回答、マネジメント力の強化につながっていると考えております。一方、課題としていた「職場には、ワクワクする目指したい姿を定めてみんなで失敗することを恐れずに挑戦しようとする雰囲気がある」については、前年より2ポイント改善したものの、KPIである「未来価値創造への挑戦」3.0以上(4.0満点)に対しては、前年同様に2.7という結果となりました。これを受け、各社では組織力の強化に向け、職場でのガチ対話の展開、各組織方針へ落とし込んだ目標設定等により、数値向上への取組を進めております。

サッポロビール社では将来の新規事業創出に向けた取組の一つとして、2024年ビジネスコンテストを開催し、1組が事業化検討権を獲得。2025年度も1組が事業化検討権、2組が検討継続権を獲得しました。新しいことにチャレンジしたくなる気運の醸成、その実現を担える人財を生み出す取組をさらに進めてまいります。

 

■戦略③働き続けたい環境整備=100%の力発揮

<エンゲージメント向上と健康促進>

多様な人財が100%の力を発揮し、いきいきと活躍できる環境の整備に向け以下の取組を通じ魅力ある会社への一層の変革を目指しております。

 

・育児、介護、病気等と仕事が両立できるしくみ・環境づくりの推進

仕事と育児の両立の不安払拭や休職職場応援ポイント制度の導入等の取組の結果、サッポロビール社では2023年に男性育児休業取得率100%を達成し、2年連続でNextなでしこ共働き・共育て支援企業に選定されました。

介護離職防止に向けては、介護セミナー、全管理職向けにe-ラーニングを展開。がん罹患者による介護体験談をカフェ形式で開催する等、治療と介護、仕事との両立を考える機会とし、両立支援を強化しております。

また、多様な発想・考え方を有する人財の最大限の力の発揮を目的に、社内外で LGBTQ+への取組を続けてきた成果も認められ、評価指標である「PRIDE指標2025」のゴールドを初受賞しました。

従業員意識調査では、昨年に引き続き約75%が「育児や介護、がん等の治療をしながらも働き続けられる環境が整っていると感じる」と回答。今後も、個々のメンバーが抱える課題と仕事の両立支援を進めてまいります。

 

・健康経営推進

サッポログループでは、心身の健康は、従業員・その家族・会社の幸せを創造することにつながるものと考え、2017年8月に「健幸創造宣言」、2023年からは健康経営中期計画に沿って健康投資施策を展開しております。自己の健康管理に資するヘルスリテラシーの向上、運動習慣の定着化、職場での健康風土の醸成等への取組により、従業員意識調査でのワークエンゲージメントは前年より0.4ポイントアップ、プレゼンティーイズムは2026KPIに対し順調に進捗し、POS(会社からの健康支援)を感じる割合は80%超と高水準を維持しております。このような取組の結果、グループ8社が健康経営優良法人に認定。更にサッポロホールディングス㈱は2025年健康経営銘柄に初選定されました。

 

サッポログループ健康経営中期計画(2023-2026)戦略マップ

ワークエンゲージメントは偏差値、国内14社

プレゼンティーイズム損失率はサッポロホールディングス㈱+4事業会社

 

② 指標及び目標

サッポログループの人財戦略に関する、指標、目標及び実績は以下のとおりです。なお、2026年KPI達成を目指し、未達項目の達成、既に達成している項目に関しては更なる向上へ取組を進めてまいります。

 

(定量項目のみ記載)

指標

*対象会社

2026年

KPI

2023年

実績

2024年

実績

2025年

実績

女性取締役比率

12%以上

7.9%

15.2%

17.2%

女性管理職比率

12%以上

6.7%

7.2%

10.8%

DE&I・チーム力

3.2以上(4点満点)

3.0

3.0

3.0

副業経験

300名以上

175名

261名

378名

人財公募

35件/70名以上

35件/応募68名

22件/応募37名

49件/応募94名

グローバル中核人財

100名

100名

100名

100名

DX・IT基幹人財

200名

200名

200名

200名

未来価値創造への

挑戦

3.0以上(4点満点)

2.7

2.7

2.7

ワークエンゲージメント

54以上(偏差値)

54.0

54.0

54.3

プレゼンティーイズム損失率

33.4%以下

33.8%

33.9%

33.5%

*対象会社

①サッポロホールディングス㈱+4事業会社

②サッポロビール㈱

③国内グループ主要会社

 

サステナビリティ重点課題「多様な人財の活躍」における指標及び目標、最新実績は当社WEBサイトを参照願います。

https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/policy/systems/

*2026年8月に実績及びサステナビリティ情報の更新を予定しております。