人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数118名(単体) 6,402名(連結)
-
平均年齢45.7歳(単体)
-
平均勤続年数20.3年(単体)
-
平均年収9,523,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2024年12月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
|
酒類事業 |
3,749 |
(3,489) |
食品飲料事業 |
2,401 |
(301) |
不動産事業 |
134 |
(63) |
報告セグメント計 |
6,284 |
(3,853) |
その他 |
- |
(1) |
全社(共通) |
118 |
(16) |
合計 |
6,402 |
(3,870) |
(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 ( )内は、年間平均臨時従業員数を外数で表示しております。
(2)提出会社の状況
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2024年12月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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118 |
(16) |
45.7 |
20.3 |
9,523 |
(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 ( )内は、年間平均臨時従業員数を外数で表示しております。
4 当社のセグメントは「全社(共通)」のみのため、セグメント別情報の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
当社グループには、サッポロビール労働組合等が組織されております。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異
①提出会社 |
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2024年12月31日現在 |
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会社名 |
管理職に占める女性従業員の割合(%) (注1、4) |
男性従業員の育児休業取得率(%) (注2、4) |
男性従業員の 1名あたり 育児休業取得 日数(日) (注2、4) |
従業員の男女の賃金の差異(%) (注1、3、4) |
||
全従業員 |
うち 正規雇用 従業員 |
うち パート・ 有期従業員 |
||||
サッポロ ホールディングス㈱ |
0.0 |
- |
- |
- |
- |
- |
②連結子会社 |
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2024年12月31日現在 |
||
会社名 |
管理職に占める女性従業員の割合(%) (注1、4) |
男性従業員の育児休業取得率(%) (注2、4) |
男性従業員の 1名あたり 育児休業取得 日数(日) (注2、4) |
従業員の男女の賃金の差異(%) (注1、3、4) |
||
全従業員 |
うち 正規雇用 従業員 |
うち パート・ 有期従業員 |
||||
サッポロビール㈱ |
7.4 |
93.7 |
37.5 |
68.6 |
67.9 |
60.0 |
ポッカサッポロ フード&ビバレッジ㈱ |
7.0 |
100.0 |
13.1 |
70.5 |
69.2 |
75.0 |
サッポロ不動産開発㈱ |
28.6 |
100.0 |
5.0 |
78.6 |
78.2 |
80.7 |
㈱サッポロライオン |
5.1 |
71.4 |
60.8 |
42.8 |
77.1 |
72.3 |
サッポロフィールド マーケティング㈱ |
- |
0.0 |
0.0 |
31.7 |
90.7 |
32.9 |
サッポログループ物流㈱ |
3.8 |
100.0 |
10.0 |
67.3 |
67.3 |
64.2 |
㈱新星苑 |
10.0 |
50.0 |
14.0 |
49.8 |
72.0 |
77.9 |
㈱PSビバレッジ |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
59.2 |
67.3 |
73.8 |
フォーモスト ブルーシール㈱ |
30.8 |
0.0 |
0.0 |
42.4 |
78.5 |
55.4 |
ヤスマ㈱ |
21.9 |
100.0 |
66.0 |
75.7 |
89.3 |
57.8 |
神州一味噌㈱ |
9.4 |
50.0 |
55.0 |
55.0 |
56.7 |
67.8 |
㈱北海道サッポロライオン |
8.1 |
- |
- |
43.8 |
87.3 |
92.6 |
(注)1 管理職に占める女性従業員の割合及び従業員の男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。海外子会社を含めたサッポログループ全体の女性管理職比率は15.0%となっております。なお、「-」は算定に必要な従業員が在籍していないことを示しております。
2 男性従業員の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規程に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。「-」は育児休業等の対象となる男性従業員がいなかったことを示しております。
3 従業員の男女の賃金の差異については、「源泉徴収票」の給与・手当・賞与を含めた総支給額の平均額に基づき算出しております。当社グループの賃金制度・体系において性別による処遇の差はなく、役割等級や雇用形態別の人数構成の差によるものだと捉えております。具体的には、給与の高い職群である管理職における男性比率、また、女性従業員の中で、短時間で働く有期雇用者の比率が高いことが大きな要因となっています。
これらの是正に向け、現在推進している女性活躍への取り組みにより、管理職を最優先とし女性比率を適正に高めていくこと、併せて働き続けられる環境を更に整備することで、男女の賃金の差異の解消につなげていきたいと考えております。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載の通りです。
4 出向者は出向元の従業員として集計しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サッポログループのサステナビリティに関する考え方>
サッポログループは、「中期経営計画(2023~26)」における、3つの戦略の柱の一つに「サステナビリティ」を掲げております。サステナビリティ経営の推進にあたっては「サッポログループ サステナビリティ方針」のもと、「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」を柱とする重点課題を特定し、それぞれ目標を設定しその達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取り組みを推進しております。
① ガバナンス
サッポログループは、サッポロホールディングス代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」を「経営会議」の諮問機関として設置しております。
「グループサステナビリティ委員会」では、グループ全体でサステナビリティ経営を推進するための全体方針を策定し、グループ内の調整を行い、担当取締役が半期ごとに気候変動や人財に関する課題を含めたサステナビリティ重点課題への対応の進捗状況について取締役会へ報告しております。
また、「グループリスクマネジメント委員会」では、委員会事務局が半期ごとにグループにおけるサステナビリティ関連リスクの発生状況や対応、再発防止について取締役会へ報告しております。詳しくは、「3 事業等のリスク」をご確認ください。
取締役会は、これら報告を受けた課題への取り組みや設定した目標をモニタリングし、監督しております。
組織体 |
グループサステナビリティ委員会 |
役割 |
・サステナビリティ経営推進のための全体方針策定及び統括 ・事業継続に向けた中長期的な外部環境リスクと機会、及びそのガバナンスに対するモニタリング |
構成 |
委員長 :サッポロホールディングス㈱代表取締役社長 委員長代行:サッポロホールディングス㈱経営企画部 担当役員 構成員 :サッポロホールディングス㈱経営企画部部長、経理部長、人事部長、総務部長 サッポロビール㈱、ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱、 サッポロ不動産開発㈱、㈱サッポロライオン、各社経営戦略担当役員 監査等委員 |
開催頻度 |
年2回 |
2024年の開催実績
開催月 |
主な議題 |
4月 |
・サステナビリティ経営推進体制に関する意見交換 ・サステナビリティ重点課題に対するモニタリング |
10月 |
・サステナビリティ重点課題に対するモニタリング ・サステナビリティ重点課題(指標・目標)更新に関する審議 ・長期的なサステナビリティ課題認識の共有 ・サステナビリティ推進体制整備に関する報告・討議 |
サステナビリティに関する取締役会での報告内容
開催月 |
主な議題 |
4月 |
・グループサステナビリティ委員会内容の報告 |
8月 |
・企業価値向上に資するサステナビリティに関する討議 |
11月 |
・グループサステナビリティ委員会内容の報告 |
当社は、取締役に対して特に「期待する」スキルを明確にしたスキルマトリクスを設定しており、「サステナビリティ」に関して、取締役として必要なスキルとして位置づけております。詳しくは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(2)役員の状況」をご参照ください。
また、取締役の報酬に関して、業績連動型株式報酬の項目に、「ESG指標」「従業員エンゲージメント」を組み入れ、サステナビリティに関する取り組みを役員報酬に反映させております。
取締役の業績連動型株式報酬(サステナビリティ関連項目)
指標 |
|
ESG指標 |
1.FTSE Russel ESG Rating(注1) 2.MSCI ESG Rating(注1) 3.温室効果ガス排出削減量(スコープ1,2) 各指標におけるスコア及び格付け等の毎年の評価基準を設定 |
従業員エンゲージメント |
「ワークエンゲージメント」(注2) 外部機関調査による評価結果で毎年の評価基準を設定 |
(注)1 企業のESG関連情報の収集、分析、評価等を行っている国際的な外部評価機関によるスコア及び格付け。
2 従業員が仕事に対してポジティブな感情を持ち、充実している状態。
② 戦略
サッポログループは「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」を柱とした、サステナビリティ重点課題(マテリアリティ)を9項目設定しております。中でも、グループの事業関連性及びリスクと機会の影響度の大きさから、「脱炭素社会の実現」「自然共生社会の実現」「地域との共栄」「責任ある飲酒の推進」「多様な人財の活躍」を、経営上特に重視する最注力課題と位置づけて、「リスクの低減」とともに「企業成長に繋がる機会創出」の観点からも取り組みを進めております。
重点課題の特定プロセスはWEBサイトをご参照ください。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/policy/systems/
経営理念 |
潤いを創造し 豊かさに貢献する |
||
提供価値 |
全ての事業が提供する時間と空間で、人々と地域社会のWell-beingに貢献 |
||
サステナビリティ方針 |
「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」 |
||
サステナビリティ 重点課題 (マテリアリティ) |
環境との調和 ①脱炭素社会の実現 ②循環型社会の実現 ③自然共生社会の実現 |
社会との共栄 ④地域との共栄 ⑤健康価値の提供 ⑥責任ある飲酒の推進 |
人財の活躍 ⑦多様な人財の活躍
|
⑧持続可能なサプライチェーン構築 |
|||
⑨安全な製品施設の提供 |
サステナビリティ重点課題:具体的な取り組みと経済価値との繋がり
区分 |
重点課題 |
具体的な取り組み |
経済価値の繋がり |
環境 との 調和 |
脱炭素社会の実現 |
・自社拠点・サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減 |
・省エネ等によるエネルギー使用量減 ・将来的な炭素税導入時のコスト増の抑制 |
循環型社会の実現 |
・循環型社会に対応した容器包装の実現 ・プラスチック資源のリデュース・リサイクル ・廃棄物・食品ロス削減 ・水資源の有効な利用、水リスクへの対応 |
・資材の安定調達 ・資源循環を起点にした新たなビジネスモデルの創出 ・無駄のないサービス提供による利益創出 ・廃棄コストの削除 ・良質な水資源確保等のリスク低減 |
|
自然共生社会の実現 |
・気候変動に対応した原料育種 ・自然と共生する拠点・まちづくり |
・気候変動への適応策実行による、長期的な原料の安定調達 ・原料生産者との協働による付加価値創出 |
区分 |
重点課題 |
具体的な取り組み |
経済価値の繋がり |
社会 との 共栄 |
地域との共栄 |
・地域の価値向上 ・自社リソースを活用した地域課題解決 |
・不動産価値向上による利益創出 ・地域創生を基軸にした新たな売上機会の創出 ・付加価値の高い国産原料の安定調達 |
健康価値の提供 |
・事業を通じた健康価値の提供 |
・健康価値提供による利益創出 |
|
責任ある飲酒の推進 |
・適正飲酒の啓発 |
・不適切な飲酒の防止による事業機会の維持 ・ノンアルコール、微アルコールの市場拡大 |
|
人財の 活躍 |
多様な人財の活躍 |
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進 ・成長と生産性向上に向けた人的資本投資 |
・ワークエンゲージメントを高めることによる、生産性向上 ・個のスキルアップ及び多様な価値観の融合による新たな価値創出 |
持続可能なサプライチェーン構築 |
・サプライチェーンにおける人権尊重 ・サプライチェーンにおける環境負荷低減 ・安定調達 |
・サプライチェーン不安定化によるリスクの低減 |
|
安全な製品・施設の提供 |
・食品安全 ・安全な施設づくり |
・安定的な事業継続を支える基盤の構築 |
③ リスク管理
サッポログループは「事業と環境にかかわるリスクを包括的に把握し、重点的に対応すること」により事業の永続性を図っております。リスクを組織運営に影響を与える不確実性と定義し、グループを取巻く様々な経営リスクの発生を未然に防止するとともに、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した場合には、発生時のリスク対策を適宜実施することで損失を最小限に抑える等、事業の継続的な維持・発展、及び社会からの信頼の確保に努めております。
なお、「経営会議」、「グループサステナビリティ委員会」及び「グループリスクマネジメント委員会」は、相互の役割を認識し、それぞれの機能に応じたアクションプランを設定し対応しております。詳しくは、「3 事業等のリスク」をご確認ください。
④ 指標及び目標
サステナビリティ重点課題に対し、それぞれ目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取り組みを推進しております。「脱炭素社会の実現」「自然共生社会の実現」「責任ある飲酒の推進」の指標及び目標、実績は後述をご確認ください。その他の指標及び目標の一覧、最新の実績は当社WEBサイトを参照願います。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/policy/systems/
*2025年8月に実績及びサステナビリティ情報の更新を予定しております。
<気候変動・自然資本への取り組み (脱炭素社会の実現、自然共生社会の実現)(TCFD、TNFD)>
当社は、気候変動への対応が地球規模で取り組むべき最重要課題の一つであると認識し、「緩和」と「適応」の両面から課題解決に向け、将来発生する可能性のある事業環境をシナリオ分析により複数想定した上で、リスクと機会を洗い出し、その結果を戦略や取り組みに反映しております。また、農作物や水資源等を利用する当社にとって、気候変動に加えて、自然資本対応も重要な課題であると認識しております。
当社は、TCFD・TNFDの提言に賛同し、積極的な情報開示を進めております。本提言に関連した分析の詳細は当社WEBサイトをご確認ください。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/environment/nature/climate/
① ガバナンス
「<サッポログループのサステナビリティに関する考え方> ①ガバナンス」に記載のとおり、サッポロホールディングス代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を「経営会議」の諮問機関として設置し、環境保全活動を推進・統括するとともに、各事業会社の環境経営の取り組みをサポートし、取締役会への報告を行っております。
② 戦略
「サッポログループ環境ビジョン2050」に基づき、脱炭素を志向した事業構造改革、省エネ対策の徹底に加え、再生可能エネルギーの活用で脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めております。また、自然共生社会の実現を掲げ、そのなかで気候変動適応の対応と連動させた持続可能な原料調達と、持続的に自然と共生できる豊かな時間と空間を感じるまちづくりを進めております。緩和策としてグループ全体での徹底した脱炭素の取り組みと、適応策としてビール事業で培ってきた原料づくりの取り組みで、気候変動に関する課題解決に挑み、これらの取組を進めることで、ネイチャーポジティブ(自然の損失を止めて回復軌道に乗せる)な社会の実現に貢献していきます。
なお、気候変動による影響が想定されるビール原料農産物の調達地域を対象としたシナリオ分析を実施し、戦略に反映しております。
Ⅰ.自然への依存・影響
当グループの主要事業である「酒類」「食品飲料」「不動産」の全サプライチェーンを対象に、潜在的な自然への依存・影響を評価しました。その結果、自然への依存・影響が大きい農産物の生産プロセスで、調達量が大きい酒類原料の「大麦とホップの生産」を重要な項目と位置付けました。TNFDが推奨している「LEAPアプローチ」に沿った評価分析の結果は前述のWEBサイトをご確認ください。
Ⅱ.シナリオ分析結果(財務影響)
基軸のビール事業で気候変動による影響が想定されるビール原料農産物の調達地域を対象とした、シナリオ分析を実施しました。国際連合食糧農業機関(FAO)のシナリオ分析データ等を基に、異常気象等の要因を考慮して補正しており、気候変動要因、経済社会要因、生産量に関する要因がそれぞれ異なる、サステナビリティ進展、標準、停滞シナリオについて、2050年までの収量の変化を想定しております。
|
気温上昇 |
異常気象 |
農業関連動向 |
社会動向 |
進展シナリオ |
1.5℃ |
ある程度増加(-) |
化学肥料等の使用に関する規制強化(-) |
人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の一定程度上昇 |
標準シナリオ |
BAU |
頻発化や被害拡大(-) |
品種改良や設備投資の増加(+) |
人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の上昇 |
停滞シナリオ |
4℃ |
激甚化(-) |
作物の病害が多発し農業被害が拡大(-) |
食料価格高騰、貧困層の食へのアクセス困難化 |
+:収量にプラス影響 -:収量にマイナス影響
サステナビリティ進展シナリオでは、化学肥料使用に規制がかかる影響等によって、収量に対してマイナスの影響が出る事を想定しております。収量推計が増加基調の国では上表のマイナス要因を受けても増加や横ばいを保つ場合があります。
〇原料農作物調達への財務影響
上記のシナリオ分析の結果をもとに、原材料の調達コストに影響が大きいと予想される以下の項目について財務影響を分析しました。本分析は、2022年度における全調達をもとに、気候変動関連の影響による価格増加分のみを試算しております。
・環境規制の強化による有機栽培の拡大
・エネルギー価格高騰による調達価格の上昇
・原材料(大麦、ホップ、トウモロコシ)の収量減少による原材料価格の上昇
|
|
(単位:億円) |
|
2030年 |
2050年 |
サステナビリティ進展シナリオ |
2.0 |
5.5 |
サステナビリティ標準シナリオ |
1.3 |
5.0 |
サステナビリティ停滞シナリオ |
2.5 |
7.7 |
各シナリオで最も財務影響の大きかったものは、停滞シナリオでした。停滞シナリオでは、「エネルギー価格高騰による調達価格の上昇」による影響が最も大きく、「原材料の収量減少による原材料価格の上昇」による影響で、2030年時点で2.5億円、2050年時点で7.7億円という結果になりました。次に影響の大きかった進展シナリオでは、「環境規制の強化による有機栽培の拡大」による影響で、2030年時点で2.0億円、2050年時点で5.5億円という結果になりました。標準シナリオでは、「原材料の収量減少による原材料価格の上昇」、「環境規制の強化による有機栽培の拡大」による影響で、2030年時点で1.3億円、2050年時点で5.0億円という結果になりました。
品目別にみると調達額の一番大きい大麦(麦芽含む)が、各シナリオで最も価格上昇のある品目となりました。
〇炭素税導入によるスコープ1,2への財務影響
炭素税導入による財務影響は、国際エネルギー機関(IEA)のNZEシナリオ(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)に基づき、当社拠点のエネルギー使用量から試算をしました。2030年、2050年時点において、当社も温室効果ガス削減目標が達成できた場合とできなかった場合の財務影響を分析しました。
年 |
温室効果ガス削減 目標が達成できた 場合の排出量(千t) |
温室効果ガス削減 目標が達成できなかった場合の排出量(千t) |
温室効果ガス削減 目標が達成できた場合の炭素税に関する コスト(千円) |
温室効果ガス削減 目標が達成できなかった場合の炭素税 に関するコスト(千円) |
2030 |
110 |
189 |
1,813,440 |
3,130,869 |
2050 |
0 |
189 |
0 |
6,055,178 |
※1USD=133.36円
IEA:NZEシナリオ
炭素税2030年:先進国130USD、新興国90USD、発展途上国15USD
炭素税2050年:先進国250USD、新興国200USD、発展途上国55USD
計画通りに排出量を削減できた場合、2030年:110千t、2050年:0tをそれぞれ見込んでおります。一方で、削減目標を達成できなかった場合、2022年の排出量が継続することを想定し2030年、2050年それぞれの排出量を189千tと見込みました。削減目標を達成できなかった場合、できた場合をそれぞれ比較すると、2030年は約13.2億円、2050年は約60.6億円のインパクトがあるという結果となりました。
Ⅲ.リスクと機会の評価と対応
シナリオ分析の結果から、3つのシナリオが現実化した場合を想定しサッポログループが直面するリスクと機会について短期・中期(2030年)、長期(2050年)の視点から検討を行いました。
農作物の収量減少、規制強化、病虫害等による品質低下等のリスクを認識しております。一方で機会については、品種改良による品質の安定化、新品種の開発、商品開発等による競争力の強化を認識しております。緩和策、適応策を強化することで、リスクの影響が低減され、機会を獲得できる可能性が大きくなると捉えております。
■移行リスク
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
カーボンプライシング導入による事業拠点エネルギーコスト増加 |
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
炭素税の課税 NZEシナリオ(進展シナリオ):2030年31.3億円,2050年60.6億円 |
・脱炭素化取り組みの推進(2030年・2050年目標達成) |
温室効果ガス排出削減目標への対応による、FLAG関連排出の削減に必要なコストの増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
窒素肥料の投入量等の情報把握、その削減に必要なコスト |
・FLAG関連排出算定方法を精緻化、活動量データの取得可否や課題を調査 |
30by30に向けた保護区の拡大や、IPLCsの管理地域の保護による調達先の減少・変更 |
|
〇 |
|
〇 |
|
原料農作物の調達額の増加等を想定 |
・多角的な調達先の確保 ・サプライヤーを通じた最新情報の把握 |
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
農薬(化学肥料含む)に関する環境規制強化による農産物収量減 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
原料農産物の調達額増加 (進展)2030年2.0億,2050年5.5億円 (標準)2030年1.3億円,2050年5.0億円 (停滞)2030年2.5億円,2050年7.7億円 ※ビール原料農産物を 対象とした2022年実績基準の試算 |
・農薬規制情報と農薬使用状況の把握 ・化学農薬に代わる生物的防除や物理的除去法等の総合的病害虫管理の情報収集と生産者動向の把握 |
カーボンプライシング等による農産物生産エネルギーコスト増加 |
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
■物理リスク
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
温暖化・異常気象による原料農産物の品質低下や収量減 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
原料農産物の調達額増加 (進展)2030年2.0億円,2050年5.5億円 (標準)2030年1.3億円,2050年5.0億円 (停滞)2030年2.5億円,2050年7.7億円 ※ビール原料農産物を 対象とした2022年実績基準の試算 |
・多角的な調達先の確保 ・異常気象による品質低下リスクの低い大麦・ホップ多収性品種の開発・普及 ・病害抵抗性に優れた大麦・ホップ新品種の開発・普及 ・サプライヤーとの連携による総合的病害虫管理の導入に向けた病害虫防除体系の確立 |
異常気象(熱波、干ばつ、台風や集中豪雨による風水害等)による事業拠点の渇水・洪水 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
生産停止による損失と復旧費用を想定 |
・既存拠点の水供給の安全性と渇水及び異常気象に対するリスク評価 |
新規感染症流行による原材料の調達停滞 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
生産停止による損失を想定 |
・グローバルの食品輸出入動向・規制に関する情報収集・把握 ・国内生産安定化のための基盤強化 |
気温上昇による設備の空調コスト増加 |
〇 |
|
|
〇 |
|
電力スト増加を想定 |
・運転管理における省エネルギーの徹底 |
水質汚染や土壌の健全性の劣化による収量・品質の低下 |
|
〇 |
|
〇 |
|
原料農産物の調達額増加、水質浄化コストの増加を想定 |
・多角的な調達先の確保 ・生産者とのコミュニケーションによる状況把握 |
■機会
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
温室効果ガス削減による事業拠点エネルギーコスト(炭素税額)の削減 |
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
NZEシナリオ(進展シナリオ)2030年13.2億円,2050年60.6億円 |
・脱炭素化取り組みの推進(2030年・2050年目標達成) |
気候変動に対応可能な品種開発による安定調達 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
業界での幅広い普及により調達額影響の低減 |
・干ばつや多雨等の気候変動の影響を回避・軽減する大麦・ホップ適応品種の開発・実用化(2035年実用化に向けて現在開発中の大麦新品種には、麦芽加工時の省エネ効果の特性を合わせ持つものがある) |
原料農産物開発と商品開発による競争力の強化 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
大麦やホップ開発品種を用いた商品(2035年以降 上市規模 ~547億円) |
|
ICT・ロボット等を活用した農業の効率化品種改良(育種)による品質の安定化 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
原料農産物価格への影響を想定 |
・国内外のパートナーとの協働による農業の新技術の活用 |
肥料や農薬等の投入量の最適化、エネルギー効率の高い機械の導入による、コスト及び環境負荷の削減 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
|
投入物コストの削減効果、原料農産物価格への影響を想定 |
・国内外のパートナーとのコミュニケーション、FLAG等当社脱炭素目標の共有 |
水利用効率の向上や水源地の確保・保全による、水関連リスク及びコストの削減 |
|
〇 |
〇 |
|
|
水関連対応コストの削減を想定 |
・生産拠点における水の効率的使用、定期的な水リスク調査によるクライシス発生の回避 |
サステナブルファイナンスによる資金調達 |
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〇 |
〇 |
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資金調達しやすくなることを想定 |
・ESGに関する外部評価の向上 |
〇移行計画
サッポログループは温室効果ガス削減目標についてSBT認定を取得しております。SBT1.5℃基準では、目標年に向かう毎年の削減水準が定められており、グループ全体で削減を目指しております。
このような削減計画を達成させるため、2022年から2030年の8年で約21億円の脱炭素投資を行います。生産拠点では設備の老朽化対策に合わせて高効率化への更新や工程の合理化等の省エネ活動、又は電力を中心に再エネの転換を進めます。脱炭素を目的とした投資判断の枠組みでは、ICP(Internal Carbon Pricing)を主要事業会社で導入しており、今回投資額の試算では6千円/t-CO2を採用しております。
〇適応策
基幹事業である酒類事業では、サッポロビール原料開発研究所を拠点に国内外の大学や研究機関、サプライヤーと連携しながら新品種の開発に取り組んでおります。気候変動により影響が大きくなると想定されるビール主原料について、病害抵抗性に優れ、異常気象でも収量や品質が安定している品種の実用化を目指し、開発を進めております。
③ リスク管理
サッポログループでは、気候変動は主要な原材料の調達や、水資源の確保が難しくなる等のリスクがある事を認識しております。
これらのリスクについては、「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」において、グループ重要リスクと位置づけ、リスクの評価、対応策の策定、実行、モニタリングを継続的に行っております。
④ 指標及び目標
気候変動・自然資本に関わる指標及び目標、実績以下のとおりです。
■脱炭素社会の実現
指標:温室効果ガス排出削減量
目標設定会社 |
目標(2030年) |
最新実績 (2023年) |
サッポロ グループ |
・スコープ1,2 温室効果ガス排出量を2022年比で42%削減 |
175.0千t ☆ (2022年比92.5%) |
SB, SBL, PS |
・スコープ3 温室効果ガス排出量を2022年比で25%削減 |
1,104.6千t ☆ (2022年比97%) |
・FLAGスコープ1,3 温室効果ガス排出量を2022年比で31%削減 |
64.7千t (2022年比90%) |
*SB:サッポロビール㈱、SBL:SLEEMAN BREWERIES LTD.、PS:ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱
*「☆」マークがついている、温室効果ガス排出量は、当社により策定した算定ルール及び算定結果について国際基準に準拠した第三者検証を一般財団法人日本品質保証機構から受けております。算定範囲等の詳細は、当社WEBサイト(ESGデータ集)を参照願います。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/esg/
*温室効果ガス排出削減目標はSBT認定を取得しております。
*温室効果ガス排出量の最新実績及び過去実績は、下記に掲載しております。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/esg/
■自然共生社会の実現
指標:大麦/麦芽の単位量あたりの窒素肥料の投入量、施肥最適化コミュニケーション
目標設定会社 |
目標(2030年) |
最新実績 |
SB |
・大麦/麦芽の単位量あたりの窒素肥料の投入量把握及び施肥最適化コミュニケーション ※2030年までに実施割合を100%にする。 ※当社のFLAG スコープ1,3目標の共有、窒素系化学肥料や有機肥料の活用について、現地訪問等による状況ヒアリング |
※2025年からの新目標 |
指標:気候変動対応原料育種の進捗
目標設定会社 |
目標(2030年) |
最新実績(2024年上期時点) |
SB |
・気候変動対応可能な特性を持つ大麦・ホップの国内品種登録出願 |
(大麦) ・赤かび抵抗性品種候補を公的評価機関に供試、播種を完了 ・穂発芽体制に関する育種材料について、北海道、カナダにおける育種試験にそれぞれ供試、播種を完了 (ホップ) ・うどんこ病、べと病抵抗性のDNAによる判別技術確立へ向けて、試験実施中 ・根系発達に関与する遺伝子に関して、予備調査実施中 |
<水資源の有効な利用、水リスクへの対応>
サッポログループでは、事業を通じて農作物や水資源等の自然の恵みを利用しております。世界中で自然の劣化が急速に進んでいる中で、当社にとって水は生産拠点での使用や、世界中で生産される農産物を原料に用いており必要不可欠であり、水リスクの把握と排除に努め、持続可能な水資源の利用を実現します。
① ガバナンス
「<サッポログループのサステナビリティに関する考え方> ①ガバナンス」をご確認ください。
② 戦略
サッポログループは、「サッポログループ環境ビジョン2050」及び、サステナビリティ重点課題において「循環型社会の実現」を重点課題として設定し、具体的な取り組みとして水資源の保全を掲げております。
水リスクが事業継続に与える影響を把握するため、サッポログループは国内外の生産拠点を対象に、Aqueduct Water Risk Atlas(以下Aqueduct)と実態調査を組み合わせて調査を定期的に実施しております。2024年時点で「総合水リスク」、「水ストレス」ともに「Extremely High」に該当する生産拠点は存在しませんでした。しかしながら、「総合水リスク」においてベトナムのロンアン工場の地域1か所が「High」に分類されたため、水リスク低減を優先的に取り組む拠点とし、具体的な目標を設定して取り組みを進めていきます。
農産物の生産地についても水リスクの評価を行っております。今回は、基軸となるビール事業の主原料である大麦・ホップについて、主な調達先地域サプライヤー拠点を調査しました。その結果、総合水リスクで「Extremely High」に該当する拠点はありませんでした。
今後も、水リスクを定期的にAqueduct等のツールを活用してモニタリングします。新たに水リスクの高い生産拠点が判明した場合、その拠点の状況に応じて対策を強化し、持続可能な水管理を目指します。
③ リスク管理
サッポログループは、地球環境の変化、自然の劣化に伴い、水資源の確保が難しくなることは、事業継続上のリスクと捉えております。グループ重要リスクと捉え「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」において、リスクの評価、対応策の策定、実行、モニタリングを継続的に行っております。
④ 指標及び目標
水資源の保全に関わる指標及び目標、実績は以下のとおりです。2024年までは、サッポロビール、ポッカサッポロフード&ビバレッジは2030年までに2013年比で10%削減に取り組むという目標を設定していました。本目標に対して2020年時点で達成し、その後継続して達成をしている事から目標の見直しを行いました。2024年に行った水リスク調査を参考に、サッポロベトナムのロンアン工場における新たな「水資源の保全」に関する定量・定性の目標を新たに設定しております。
指標:用水原単位
目標設定会社 |
目標(2030年) |
最新実績 |
SVL |
ロンアン工場において、 ・2030年まで用水原単位を2023年比10%削減 ・洪水等の水リスクについて、適切に地域とコミュニケーションを図り、影響を最小化させるよう努める |
※2025年からの新目標 |
指標:水リスク管理
目標設定会社 |
目標 |
最新実績(2023年) |
SB, SBL, SAS, SVL, PS, PK, YSM, SSI, |
・1回/3年以内による全生産拠点等の水リスクを調査 ・水の効率的使用 |
CDP水セキュリティ Aリスト企業選定 |
*SVL:SAPPORO VIETNAM LTD.、SAS:STONE BREWING CO.,LLC、PK:POKKA PTE.LTD.、YSM:ヤスマ㈱、
SSI:神州一味噌㈱
<責任ある飲酒の推進>
サッポログループは、経営理念「潤いを創造し 豊かさに貢献する」の実現に向け、世界的な社会課題の解決につながる価値創造に取り組んでおります。お酒は適正飲酒が健康で明るい生活や豊かさに貢献する一方で、不適切な飲酒が心身の健康に害をもたらす社会課題であるのも事実です。サッポログループは、酒類事業を展開する企業グループの社会的な責任として、「責任ある飲酒の推進」をサステナビリティ重点課題の中で最注力課題と位置づけて取り組んでいきます。
① ガバナンス
「<サッポログループのサステナビリティに関する考え方> ①ガバナンス」に記載のとおり、サッポロホールディングス代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を「経営会議」の諮問機関として設置しており、「責任ある飲酒の推進」に関するサステナビリティ専門部会の具体的な目標達成に向けた取り組みをサポートするとともに取締役会への報告をしております。
② 戦略
サッポログループでは、2021年にアルコール関連問題対策のグローバルスローガンとして、「Promote Responsible Drinking」を定めております。「サッポログループの適正飲酒に関する基本方針」である「適正飲酒の啓発」と「不適切な飲酒の防止」に基づき、社員一人ひとりがその推進役として「サッポログループ行動指針」に記された取り組みを行っております。
また、酒類事業を展開する企業グループの社会的な責任としてアルコール関連問題の解決に向けて、「リスク低減」、「機会創出」の観点から取り組みを進めております。
サッポログループの責任ある飲酒の推進に関する取り組み(一部)
・ビール業界共通の小冊子作成に参画、配布
・小中学生向け小冊子の無料配布
・ホームページによる情報提供
・大学と企業向け適正飲酒啓発セミナーの開催
・不適切な飲酒による問題の予防
・世界酒類製造業団体のコミットメントへ向けての取り組み
・多様なニーズに応えるノンアルコール商品・微アルコール商品の開発・拡大
③ リスク管理
サッポログループはアルコール関連の諸問題をグループ重要リスクと捉え「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」において、リスクの評価、対応策の策定、実行、モニタリングを継続的に行っております。
④ 指標及び目標
2025年、社会環境や事業環境の変化に伴い指標と目標を増やし、一層取り組みを進めてまいります。責任ある飲酒の推進に関わる指標及び目標、実績は以下のとおりです。
指標:純アルコール量のラベル表示
目標設定会社 |
目標(2025年) |
最新実績(2024年上期時点) |
SB |
・国産・国内販売の缶入りアルコール飲料、微アルコール飲料容器へ1本当たりの純アルコール量(g)を表示実施率100% |
94% |
指標:e-learning等による適正飲酒に関する啓発の社員受講率
目標設定会社 |
目標 |
最新実績(2023年) |
SB, SLN |
・国内従業員へのe-learning等による啓発 (1回/年以上)100%参加 |
・9月e-learning全従業員向け、責任ある飲酒の推進、実施 ・社員受講率99.4% |
指標:ノンアルコール、微アルコールや低アルコール製品に対する取組強化
目標設定会社 |
目標(2026年*SB) |
最新実績 |
SB、SLN |
・お客様の多様なニーズに応えるため、ノンアルコール、微アルコールや低アルコール製品において、選択肢を拡大していくことを目指す |
※2025年からの新目標 |
指標:適正飲酒セミナーの満足度
目標設定会社 |
目標(2027年) |
最新実績 |
SB |
・お客様に適正な飲酒の情報を提供し、啓発活動を進めることで、アルコールの有害な摂取を防ぎ、社会に貢献する ※セミナー後の満足度アンケート(5段階評価)にて2027年までに4以上 |
※2025年からの新目標 |
指標:飲食店におけるアルコールの誤飲発生件数
目標設定会社 |
目標 |
最新実績(2024年上期時点) |
SLN |
・0件 |
・店舗におけるアルコール誤飲発生件数0件 |
指標:飲食店メニュー・POP類へ20歳未満飲酒防止メッセージの表示率
目標設定会社 |
目標 |
最新実績(2024年上期時点) |
SLN |
・100% |
・飲食店メニュー・POP類へ20歳未満飲酒防止メッセージの表示率100% |
*SLN:㈱サッポロライオン
<サッポログループ人財戦略(多様な人財の活躍)>
サッポログループは、中期経営計画(2023~26)の基本方針「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を実現するため、すべての価値創出の源泉である「人財」を重要な経営基盤と位置づけ、人財戦略を策定、実行しております。
人財戦略では、北海道の「開拓使」をルーツとする創業以来の強みをベースとしながら、事業環境の変化に合わせた新たな価値創出に向け、多様な人財が「ちがいを活かして変化に挑む越境集団となる」ことを目指しております。なお、サステナビリティ重点課題において「多様な人財の活躍」を最注力課題に設定しています。
※中期経営計画、事業戦略、財務目標に関しては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期経営計画(2023~26)」をご確認ください。
① ガバナンス
サッポログループは、「多様な人財の活躍」をサステナビリティ重点課題として設定しております。サッポロホールディングス代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を「経営会議」の諮問機関として設置し、推進・統括するとともに、各事業会社の取り組みをサポートしております。また、サッポロホールディングス(株)人事担当役員を委員長とした「グループ人財戦略会議」において、人財に関する計画、アクションの策定・実行モニタリングを行う他、その内容は年2回の取締役会にて報告しております。
② 戦略
サッポログループ人財戦略においては、3つの具体的な戦略と5つの優先課題、KPIを定めて、人財育成と社内環境整備に取り組んでおります。
戦略①多様性×流動化=変化への挑戦
新たな領域の開拓や、コア領域の更なる成長を目指す当社グループでは、これまでの常識や同質性から脱却し、変化に挑むため、多様性と流動化の加速を重要課題としております。
「Ⅰ.多様性の促進」
優先課題に位置付ける女性活躍については、女性取締役、管理職比率の2026年KPI目標12%以上(サッポロホールディングス+4事業会社)に対し、各社にて年度目標を設定し、本人・マネジメント層向け研修、経営トップとの1on1や職場ぐるみの育成に取り組んでまいりました。結果、2024年女性取締役比率は15.2%と目標達成したものの、女性管理職比率は7.2%と目標8%に対し未達となりました。今後、更に社内人財の育成スピードの加速、社外人財の登用を通じ、確実な目標達成を強く会社全体で推進してまいります。
そして、多様な人財の活躍の基盤となる環境を更に整備していくため、2024年は、これまでのD&I推進に“Equity”を新たに明示し、サッポログループDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)へと進化させました。社長をはじめとする経営層からのメッセージ発信、新デザインの展開により、社内外への理解・浸透に取り組みを進めた結果、従業員意識調査では、70%以上が多様なメンバーが働きやすい環境であると回答しております。一方で、「多様な考えを活かそうとしている」に関しては62%、KPIのDE&I・チーム力3.2(4点満点)に対しては3.0の実績であり、今後は多様な人財をインクルージョンし、チームとして力を発揮できる環境づくりを更に推進していくことが必要と考えております。
「Ⅱ.社内外人財の流動的な活用」
事業ポートフォリオの見直しに合わせた柔軟な人財配置やDX・ITの活用等により、労働生産性は徐々に向上しております。効率化を継続して進める一方で、新たな価値の創出に向けた取り組みとして、多様な人財の流動化を強く推進しております。また、当社で20年以上前から大切にしてきた「自分のキャリアは自分で切り拓く」という基本の考えをベースに、キャリア実現の場を社外にまで拡大し、キャリア自律と挑戦を強く支援し、「誰もが越境し挑戦するのが当たり前」となる文化醸成に取り組んでおります。具体的な方策として、人財公募・社内外副業に関しては、新たに他企業との相互副業制度を開始し既存の社内外副業制度の経験者と合わせ2024年迄の累計で副業に261名がチャレンジし、2026年のKPIである社内副業経験者300名を目指します。社内外の新たな職場・業務へ自らの意思でチャレンジする経験を通じキャリア自律を推進していきます。更に当社は、グループ社員の約36%を50代以上のシニア層が占めており、シニア層の活躍も重要課題の一つです。希望者を対象としたキャリア面談は、2024年末現在50歳以上の約10%に実施し、新たなキャリア構築を支援する環境を整備しております。
多様な人財の活躍の一つとして国内グループ全社員に占めるキャリア採用者の割合は2024年末49%となっております。高度キャリア人財の採用についても、国際事業のグループ執行役員に社外人財を登用する等、事業戦略上重要なポジションへの登用を進めております。人財の流動化の加速を見据え、経営とキャリア採用者の座談会を実施し、誰もが働きやすい環境づくりに必要な課題の抽出、解決策の検討を進めております。
戦略②人的資本投資=個と組織の強化
サッポログループでは、中期経営計画で目指す「海外事業」「コア事業における収益力向上」を実現するため、優先し集中投資する人財として経営、グローバル、DX・ITの3つを掲げ、人財確保・育成を推進しております。
「Ⅲ.経営人財育成」
事業構造の転換に伴う環境変化へのスピード対応等、経営人財の高度化が求められる中、計画的な育成、登用を目的に、新たに策定された中長期経営方針を踏まえ、2024年に経営人財に求める要件を再定義しました。強化すべき点として「グローバル、ガバナンス知識の早期習得」を掲げ、育成施策を増強し2024年から展開しております。また、経営人財の充足率向上を目的に、経営人財育成を議論する会議体を整備、対象者の配置を含む個別育成管理、不足人財の明確化とその対応を進めております。
また、社長を含めた全役員を対象に、経営人財要件に照らした360度評価研修を実施しました。自身の行動を振り返り、強み・弱みを把握し、「経営層自らが変わる」を実践し、組織風土改革を推進するとともに、経営人財の更なる高度化へ取り組んでおります。
「Ⅳ.スピードある成長への積極投資」
当社は事業戦略を担う重要な経営基盤である人財への積極的な投資を進めてきました。グローバル人財、DX・IT人財の育成、支援型マネジメントの進化やリスキリングに関わる取り組みを実施した結果、2024年の人財育成投資額は286百万円となりました。
■グローバル人財育成
グローバル中核人財100名の確保を目標に、対象者を2段階(入学、配置レベル)に分け、きめ細やかに人事管理し、人財の高度化を進めております。専門人財の実践力強化に向け、語学、国際ビジネス力の強化研修等、グローバルビジネスの実践力強化への対応を加速しております。更に、将来の海外事業の拡大を見据え、人財の裾野を広げていくため、選抜者対象の若手グローバル人財(GPC)研修、グローバルリーダー人財(GLE)研修、全社向け語学力強化等、育成への投資を進めております。
■DX・IT人財育成
DX・IT基幹人財戦略に関しては「第2 事業の状況 1 経営方針・経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
■支援型マネジメントの進化
人の成長によって組織を成長させることを目的とした人事制度(育成評価制度)では、現場マネージャーが一堂に会し1,000時間以上の時間を年2回かけ、メンバーの育成を徹底的に議論し合う「人財育成会議」の実施等、人財育成に軸足を置いた運用を徹底しております。2023年から2024年にかけては、一人一人の社員の真の成長に向け「耳の痛いことが言える研修」を展開しました。
このような取り組みの結果、従業員意識調査において「職場では、各自の強みを活かしてチームとして高い成果をあげようとしている」と75%が回答しております。一方、KPI目標である「未来価値創造への挑戦」3.0以上(4.0満点)に対しては、2.7という結果となり、「職場には、ワクワクする目指したい姿を定めてみんなで失敗することを恐れずに挑戦しようとする雰囲気がある」という項目の改善を課題としております。サッポロビール社では将来の新規事業創出に繋げることを目指し、WONDER WORKSの活動を2023年スタートしており、2024年は、5年ぶりとなるビジネスコンテストを開催し、書類審査を通過した5組の中から、1組が事業化検討権を獲得しました。当日のコンテストの様子をLIVE配信する等、新しいことにチャレンジしたくなる気運を醸成しその実現を担える人財を数多く生み出す取り組みを進めております。
長く取り組んできた心理的安全性をベースにしたマネジメントの更なる進化と実現する力の強化に取り組んでまいります。
戦略③働き続けたい環境整備=100%の力発揮
「Ⅴ.エンゲージメント向上と健康促進」
多様な人財が100%の力を発揮しいきいきと活躍できる環境の整備に向けて2つの取り組みを通じて魅力ある会社への更なる変革を目指しております。
・働く場所・時間を自身で選択できる制度の拡大
サッポロビール社では、テレワーク、フレックスタイム、転勤の有無を自己選択できる制度等を早くから導入してまいりました。2024年は、リージョナル型社員のどこでも勤務制度(12月末3名が利用)、出張型営業職を対象とした「単身赴任又は自宅から通勤選択制度」を導入しました。サッポロライオン社でも、管理職時短制度を導入し、個々の働き方の価値観に合わせ、安心して働き続けられる環境整備を進めております。
・様々な事情を抱える社員の仕事との両立支援
サッポロビール社では、女性特有の健康問題への対応として、女性やその上司を対象とした女性健康セミナーの実施、生理休暇の更なる活用を目的に名称を「M休暇制度」とし、制度内容も一部変更しました。男性社員の育休取得率については、社内アンケートで収入や業務引継への不安が大きな課題と特定し、解消に向け収入計算ツールの提供やガイダンスの充実等の取り組みを行い、2023年100%を達成しました。2024年度は、育休の社員から業務を引き継ぐ職場メンバーの賞与を加算する仕組みを導入し、誰もが子育てに安心して参加できる環境づくりを進め、「NEXTなでしこ共働き・共育て支援企業」に選出されました。
病気と仕事の両立では、社内外へ越境した取り組みが評価され、「がんアライアワード2024」において、サッポロビール社は7年連続ゴールド賞、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社はシルバー賞を受賞。また、2024年は、今後増加が想定される介護での離職ゼロを目指し、介護に関する正しい知識の習得のための介護セミナーを全社で展開いたしました。従業員意識調査では、約75%が「育児や介護、ガン等の治療をしながらも働き続けられる環境が整っていると感じる」と回答。今後も、個々のメンバーが抱える課題と仕事の両立支援を進めてまいります。
■健康経営推進
サッポログループでは、心身の健康は、従業員・その家族・会社の幸せを創造することにつながるものと考え、2017年8月に「健幸創造宣言」、2023年からは、新たな健康経営中期計画を策定し、健康投資施策を展開しております。運動習慣の定着化に向け、7回目の実施となる生活習慣改善キャンペーンでは、グループ全体で4,000名の従業員が参加、「健康行動習慣化」と職場全体の「組織の健康風土づくり」につなげております。2024年度は大規模法人、中小規模法人健康経営優良法人で、グループ計8社が認定されました。
サッポログループ健康経営中期計画(2023-2026)戦略マップ
このような取り組みの結果、ワークエンゲージメントは2020年から0.7Pアップし、2024年度は、昨年同様の偏差値54と2026年KPIである54以上を2年連続達成しました。高エンゲージメント者割合も20.8%と同調査会社内で、トップクラスの高さとなっております。
一方で、出勤時の労働遂行能力の低下による労働損失は、コロナ後の出勤の増加、景気回復に伴う業務の繁忙等により、前年より0.1%悪化しました。全般として女性が悪化、家庭と仕事の両立、昇格時の業務変更に伴う自己効力感の低下等も要因と考えられ、個別キャリアサポート面談等の対応を実施しております。
今後も、高いエンゲージメントを維持しながら、両立支援や時間外労働削減による安心して働き続けられる環境づくり、健康経営の推進等を進めてまいります。
*ワークエンゲージメントは偏差値、国内12社
**サッポロホールディングス(株)+4事業会社(SB,PS,SRE,SLN)
③ リスク管理
サッポログループは、国内の少子高齢化に伴う需要の縮小や、それに伴う従業員の雇用に伴う競争激化、人財の流動化、又は職場環境の悪化による生産性の低下や退職者増加による人財不足等により、事業活動に必要な人財を確保できなくなる等のリスクを認識しております。「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」において、グループ重要リスクと捉え、リスクの評価、対応策の策定、実行、モニタリングを継続的に行っております。
④ 指標及び目標
サッポログループの人財戦略に関する、指標及び目標は以下のとおりです。
また、実績にはついては、サッポログループ健康経営中期計画(2023ー2026)戦略マップをご参照下さい。
なお、サステナビリティ重点課題である「多様な人財の活躍」の指標及び目標、最新実績は当社WEBサイトを参照願います。
https://www.sapporoholdings.jp/sustainability/policy/systems/
*2025年8月に実績及びサステナビリティ情報の更新を予定しております。
「Ⅰ.多様性の促進」
・女性取締役・管理職比率12%
・DE&I・チーム力3.2以上
「Ⅱ.社内外人財の流動的な活用」
・人員計画の確実な実行による生産性向上
・社内外副業経験保有者300名以上(SB)、グループへの拡大
・人財公募案件35件、応募70名以上
「Ⅲ.経営人財育成」
・サッポロホールディングス(株)+4事業会社(SB,PS,SRE,SLN)の経営人財サクセッションプラン
・人的資本情報の見える化
「Ⅳ.スピードある成長に向けた積極投資」
・グローバル中核人財100名
・DX・IT基幹人財200名
・「未来価値創造への挑戦」3.0以上
「Ⅴ.エンゲージメント向上と健康促進」
・ワークエンゲージメント54以上
・プレゼンティーイズム損失33.4以下