2025年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

酒類 飲料 医薬 ヘルスサイエンス その他 国内ビール・スピリッツ 国内飲料 オセアニア酒類
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
酒類 581,480 28.8 67,667 27.3 11.6
飲料 581,480 28.8 67,667 27.3 11.6
医薬 496,826 24.6 102,325 41.3 20.6
ヘルスサイエンス 256,113 12.7 11,105 4.5 4.3
その他 101,015 5.0 -1,100 -0.4 -1.1

 

3 【事業の内容】

当社グループは、純粋持株会社制を導入しており、当社及び連結子会社164社、持分法適用会社26社によって構成されております。当社は、持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への専門サービスの提供を行っております。当社グループの主な事業の内容と主な会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。

以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

また、当社は特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

<酒類事業>

麒麟麦酒㈱(連結子会社)、LION PTY LTD(連結子会社)を中心に、国内外における酒類事業を行っております。国内においては、麒麟麦酒㈱を中心に、ビール類、低アルコール飲料等の製造・販売を行っております。海外においては、主にLION PTY LTDを統括会社とした、オセアニア地域におけるビール、低アルコール飲料等の製造・販売、並びに北米におけるクラフトビール等の製造・販売を行っております。

 

<飲料事業>

キリンビバレッジ㈱(連結子会社)、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.(連結子会社)を中心に、国内外における清涼飲料事業を行っております。キリンビバレッジ㈱は日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。

 

<医薬事業>

協和キリン㈱(連結子会社、東京証券取引所プライム市場上場)を中心に国内外における医薬品の製造・販売を行っております。

 

<ヘルスサイエンス事業>

㈱ファンケル(連結子会社)、Blackmores Limited(連結子会社)を中心に国内外における健康食品事業等を行っております。㈱ファンケルは、国内を中心に化粧品・健康食品の研究開発、製造・販売を行っております。Blackmores Limitedは、豪州、東南アジア、中国を中心にサプリメント等の栄養補助食品の製造・販売を行っております。

 

 

事業の系統図及び主要な会社名は次のとおりであります。

 

 


業績状況

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営成績の状況

① 事業全体の状況

2025年、世界は引き続きめまぐるしく変化し、当社グループを取り巻く経営環境にも大きな影響を及ぼしました。世界各地の消費マインド低迷に加え、健康意識の高まりによりアルコールや砂糖等の消費に対する規制や抑制の動きが強まり、事業環境は一段と厳しさを増しました。AIの進歩により人々の価値観や生活様式は急速に変化し、気候変動や各地での紛争、米国をはじめとする政権交代による経済の不安定化等、変化を的確に捉えた経営が必要とされてきています。

こうした状況下で、当社グループは、一貫してCSVを経営の根幹に据えることにより長期的かつ持続的な成長を目指すとともに、環境変化に迅速かつ柔軟に対応するため、2025年度より、3年計画を毎年見直す新たな経営サイクルに移行しました。

また、酒類・飲料・医薬の各事業に加え、健康課題の解決を事業機会とするヘルスサイエンス事業をグループの成長ドライバーとすることを目指してきました。2025年は、㈱ファンケルの100%化完了と、協和発酵バイオ㈱のアミノ酸事業等の売却を行ったことで収益性が改善し、ヘルスサイエンスの成長への事業基盤が整いました。既存の酒類・飲料・医薬事業も堅調に推移し、計画を上回る成果を創出した結果、連結事業利益は3年連続で過去最高を更新しました。

ESGの取り組みにおいても、外部機関から高い評価を獲得しました。ESG指標のMSCI ESGレーティング※では、世界的なCSV経営先進企業と並ぶ「AA」評価を5年連続で獲得しました。

また、当社は、第7回「日経SDGs経営調査」における「SDGs経営」総合ランキングでは、7年連続最高位を獲得し、その中でも1社のみに与えられる最上位の「大賞」を受賞しました。

 

※ 米国モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が、環境、社会、ガバナンスのリスクに対する回復力を測定し、AAA-CCCで評価する格付けです。

 

LION PTY LTDは、社会・環境パフォーマンス、説明責任、透明性等において高い基準を満たした企業の一員として「B Corp」認証を受けました。北米のNew Belgium Brewing Company, Inc.及び豪州のBlackmores Limitedも認証されており、グループの海外主要事業会社の取り組みも高く評価されています。

 

 

2025年実績

2024年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

2兆4,334億円

2兆3,384億円

950億円

4.1%

連結事業利益

2,518億円

2,110億円

408億円

19.3%

連結営業利益

2,097億円

1,253億円

843億円

67.3%

連結税引前利益

2,379億円

1,397億円

981億円

70.2%

親会社の所有者に帰属する当期利益

1,475億円

582億円

893億円

153.4%

 

(重要成果指標)

ROIC

7.6%

4.1%

 

 

EPS

182円

72円

110円

153.4%

 

 

当年度の連結売上収益は、各事業の順調な進捗及び㈱ファンケルの通年寄与等により増加し、過去最高となりました。連結事業利益は、日豪の酒類事業をはじめとした各事業の順調な進捗及び㈱ファンケルの通年寄与、協和発酵バイオ㈱構造改革の早期実現等ヘルスサイエンス事業の収益性向上により大幅な増益となり、過去最高益を更新しました。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の増加等により、前期比2.5倍以上の大幅な増益となりました。

重要成果指標について、ROICは、当期利益の増益により年初目標を達成し7.6%となりました。EPSは、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加に伴い大幅に増加し、前年より110円増加の182円となりました。

 

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

2025年実績

2024年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

2兆4,334億円

2兆3,384億円

950億円

4.1%

酒類

1兆753億円

1兆817億円

△64億円

△0.6%

飲料

5,782億円

5,649億円

133億円

2.4%

医薬

4,965億円

4,953億円

12億円

0.2%

ヘルスサイエンス

2,514億円

1,753億円

761億円

43.4%

その他

320億円

213億円

108億円

50.6%

連結事業利益

2,518億円

2,110億円

408億円

19.3%

酒類

1,354億円

1,240億円

113億円

9.1%

飲料

677億円

640億円

37億円

5.8%

医薬

1,023億円

919億円

105億円

11.4%

ヘルスサイエンス

111億円

△109億円

220億円

―

その他

△647億円

△580億円

△67億円

―

 

 

連結売上収益 対前年


連結事業利益 対前年


 

 

<酒類事業>

キリンビール㈱は、2026年のビール類酒税一本化をはじめとする酒税改正を見据え、主力ブランドを中心に投資を強化し、魅力あるブランドポートフォリオの構築に取り組みました。人口減少・高齢化のトレンドは継続し販売数量は減少しましたが、ブランド構成の見直しと価格改定効果、費用管理の徹底により、売上収益・事業利益ともに前年を上回りました。

ビールカテゴリーでは「一番搾り」ブランドが堅調に推移しました。4月発売の「一番搾りホワイトビール」と、「一番搾り糖質ゼロ」を加えた3つの異なる個性をもった商品群で店頭のプレゼンスを高めることで、基盤の「一番搾り」も好調を維持し、ブランド全体で前年を上回りました。

また、10月発売の「キリングッドエール」は発売から8日で当初目標の60万ケースを超え、年間販売数量が130万ケースを突破する大ヒットとなり、ビールカテゴリーの活性化と、高付加価値商品の拡充につながりました。

クラフトビールでは、3月に「スプリングバレー」のロゴ・パッケージ・商品名を刷新し、「スプリングバレーブルワリー」として大規模にリブランディングを実施しました。

ノンアルコールでは、9月に「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」を発売しました。キリンビール史上最もビールに近い味を実現し、未充足だった「本格的なおいしさ」への需要に応えることで、ノンアルコール市場の更なる活性化に寄与し、売上及び利益率の改善に貢献しました。

RTDカテゴリーは、「キリン 氷結®無糖」シリーズが金額ベースで対前年2桁%増と好調に推移し、「キリン 氷結®」ブランド全体を牽引しました。

また、ビールの鮮度を維持し、フードロス削減にも貢献する次世代ビールサーバー「TAPPY(タッピー)」の導入が進み、導入店舗数は3万店を突破しました。「キリンビール 晴れ風」をラインアップに加えるなど、業務用需要の喚起とビール市場の活性化にも貢献しました。

LION PTY LTDは、豪州ビール市場が微減で推移する中、販売数量が前年を上回り、売上収益は現地通貨ベースで前年並み、事業利益は現地通貨ベースでも、円ベースでも増益となりました。クラフトビールの高価格ブランド「Stone & Wood(ストーン&ウッド)」や健康志向を捉えた「Hahn(ハーン)」ブランドが好調に推移しました。適切な価格戦略に加えて、構造改革による固定費削減が奏功し、収益性の向上を実現しました。拡大するRTD市場では、2024年に販売開始した「Hyoketsu(ヒョウケツ)」が、複数フレーバーの展開により好調に推移し、新たな成長機会の創出につながっています。

北米では、クラフトビール市場の縮小や原材料費の高騰という厳しい環境の中、New Belgium Brewing Company, Inc.の「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」ブランドは堅調に推移し、市場平均を上回りました。また、「一番搾り」は北米でのブランド強化と物流効率化をグループ内で行うことを目的に、New Belgium Brewing Company, Inc.での製造・販売体制への移管を完了しました。

なお、LION PTY LTDは、2025年9月まで豪州・ニュージーランド・北米を統括してきましたが、10月以降はオセアニアに集中するマネジメント体制に変更しました。

これらの結果、売上収益は0.6%減少し1兆753億円となりました。また、事業利益は、価格改定やコストコントロールにより9.1%増加し1,354億円となりました。

 

<飲料事業>

国内飲料市場が縮小する中、キリンビバレッジ㈱は、主力ブランド「午後の紅茶」の強化に加え、免疫ケアを中心としたヘルスサイエンス飲料の拡大に注力することで、収益性の改善に取り組み、増収増益となりました。
 「午後の紅茶」ブランドは、「キリン 午後の紅茶おいしい無糖/おいしい無糖 香るレモン/おいしい無糖 ミルクティー」をリニューアルするとともに、「夏のアイスティー/冬のホットミルクティー」といった季節を捉えたコミュニケーションで、年間を通じた紅茶需要の維持・拡大に取り組みました。また、9月に新商品「キリン 午後の紅茶FRUITS & ICE TEA」を発売し、紅茶トップブランドとして紅茶の新価値を提案することで、紅茶市場の活性化を図りました。

ヘルスサイエンス飲料では、「プラズマ乳酸菌」入りの飲料の拡売に注力しました。「iMUSE(イミューズ)」ブランドからは3月に「キリン イミューズ オフ・ホワイト ヨーグルトテイスト」を新たに発売、「キリン おいしい免疫ケア」シリーズからは11月に「キリン おいしい免疫ケア +ダブルビタミン」を新たに発売し、「プラズマ乳酸菌」入り飲料の選択肢を広げることで、日常的な健康意識の高まりに応える取り組みを進めました。また、6月には子ども向けプラズマ乳酸菌飲料「キリン つよいぞ!ムテキッズ」を一部で発売し、ユーザー層の拡大にも取り組みました。販売店拡大や商品ラインアップ拡充によりお客様接点が広がり、「免疫ケア」という生活習慣の定着に貢献しました。

北米で事業を展開するCoca-Cola Beverages Northeast, Inc.では、炭酸飲料を中心に販売が堅調に推移し、原材料費が上昇する中でも、高い収益性を維持しました。価格マネジメントに加え、営業活動により販売数量を安定的に確保し、売上収益は前年を上回りました。更に、これまで進めてきた物流拠点への設備投資の効果で、オペレーションの効率化が更に進んだこと等により、現地通貨ベースでも円ベースでも増益となりました。

これらの結果、売上収益は2.4%増加し5,782億円となりました。また、事業利益は、価格改定や販売費等のコストコントロールにより5.8%増加し677億円となりました。

 

<医薬事業>

協和キリン㈱は、注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)」及び「Poteligeo(ポテリジオ)」の上市国・地域の拡大や市場浸透に取り組み、着実に成長しました。為替の影響や日本国内の薬価改定、更に前年に実施したアジア・パシフィック地域の事業再編に伴う売上減少の影響があったものの、全体としては増収増益となりました。

開発パイプラインでは、急性白血病の治療を目的とする「ziftomenib( 米国製品名:KOMZIFTI)」は米国において承認されました。また、バイオ医薬開発の更なる加速化に向け建設中であった高崎工場HB7棟の竣工や北米でのバイオ医薬品原薬製造工場の建設等、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして持続的な成長を実現するための取り組みを着実に進めました。

これらの結果、売上収益は0.2%増加し4,965億円となりました。また、事業利益は11.4%増加し1,023億円となりました。

 

<ヘルスサイエンス事業>

世界的に健康意識が高まる中、2025年も栄養補助食品市場は拡大が続きました。ヘルスサイエンス事業ではアジア・パシフィック地域を中心としたお客様の健康課題の解決に向けて、サプリメントや健康食品、スキンケアの各分野で事業基盤の強化を推進しました。協和発酵バイオ㈱のアミノ酸事業等の売却完了や㈱ファンケルの通年での連結取り込みが寄与し、ヘルスサイエンス事業は黒字化を達成し、将来成長に向けた基盤が整いました。

㈱ファンケルでは、スキンケアを中心とした化粧品事業において、主力の「マイルドクレンジング オイル」の販売が堅調に推移したほか、「アテニア」ブランドが国内外で売上収益を伸ばしました。「アテニア」ブランドの「スキンクリア クレンズ オイル※」は、日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosmeの「ベストコスメアワード」において、スキンケア部門では史上初となる、2年連続の総合大賞を受賞しました。サプリメント事業では、海外における年代別サプリメントの販路拡大やマーケティング手法の見直しが奏功し、全体の成長を牽引しました。

Blackmores Limitedでは、主力ブランドである「Blackmores(ブラックモアズ)」や、薬剤師等により販売されるブランド「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の販売が好調に推移しました。オセアニア、東南アジア・韓国及び中国の全ての展開エリアで売上収益が前年を上回り、事業利益も増加しました。また、将来の収益性向上を目的として、豪州において分散している製造・物流拠点を集約することによりサプライチェーンを効率化する取り組みを開始しました。

プラズマ乳酸菌事業では、売上収益が前年比で約2割増と堅調に推移しました。サプリメントについては、国内の好調に加え、Blackmores Limitedの販路を活用した台湾での新商品展開等、グローバルでの「プラズマ乳酸菌」配合商品の展開を進めました。特に海外向けの菌体出荷は、販売金額ベースで前年比約5割増と大きく伸長しました。

これらの結果、売上収益は43.4%増加し2,514億円となりました。また、事業利益は、協和発酵バイオ㈱構造改革の早期実現等、ヘルスサイエンス事業の収益性向上により大幅な増益となり、111億円(前年度は事業損失109億円)となりました。

 

※ 「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ リフレシングシトラスの香り」が@cosme ベストコスメアワード2025 総合大賞を受賞しました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

(ⅰ)生産実績

当年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

酒類

999,941

△5.1

飲料

309,034

3.2

医薬 (注2)

373,176

△10.9

ヘルスサイエンス

210,262

60.9

その他

-

-

合計

1,892,413

△0.6

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 当年度より算出方法を変更したことに伴い、前年同期比は前年度の実績を再算出して計算しております。

 

(ⅱ)受注状況

当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

(ⅲ)販売実績

当年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

酒類

1,075,261

△0.6

飲料

578,190

2.4

医薬

496,514

0.2

ヘルスサイエンス

251,366

43.4

その他

32,031

50.6

合計

2,433,363

4.1

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当年度については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

相手先

前年度
(自 2024年1月1日
 至 2024年12月31日)

当年度
(自 2025年1月1日
 至 2025年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品㈱

234,844

10.0

-

-

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3) 財政状態

① 事業全体の状況

当年度末の資産合計は、前年度末に比べ1,399億円増加して3兆4,940億円となりました。有形固定資産、のれん及び無形資産については、協和キリン㈱における開発品導入等に伴う無形資産及び工場建設の進行に伴う有形固定資産の増加等により、前年度末に比べ1,319億円の増加となりました。

資本は、利益剰余金が702億円増加、その他の資本の構成要素が444億円増加、非支配持分が440億円減少し、前年度末に比べ614億円増加して1兆5,951億円となりました。その他の資本の構成要素の増加要因は、主に円安の影響によって在外営業活動体の換算差額が415億円増加した影響です。また、非支配持分の減少要因は、㈱ファンケルの追加取得の影響です。

負債は、前年度末に比べ785億円増加して1兆8,989億円となりました。社債の新規発行等により社債及び借入金が659億円増加しました。

これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は36.8%、グロスDEレシオは0.72倍となりました。

 

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
<酒類事業>

当年度末のセグメント資産は、設備投資による有形固定資産が増加したこと等により、前年度末に比べ660億円増加して1兆4,335億円となりました。

<飲料事業>

当年度末のセグメント資産は、設備投資による有形固定資産が増加したこと等により、前年度末に比べ384億円増加して3,647億円となりました。

<医薬事業>

当年度末のセグメント資産は、販売権及び営業債権が増加したこと等により、前年度末に比べ439億円増加して1兆566億円となりました。

<ヘルスサイエンス事業>

当年度末のセグメント資産は、棚卸資産が減少した一方で短期貸付金が増加したこと等により、前年度末並みの7,641億円となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

① キャッシュ・フロー及び流動性の状況

当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ174億円増加(会計方針の変更による減少107億円を除く)の1,253億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の収入は前年同期に比べ526億円増加の2,954億円となりました。非資金損益項目である、前年度に計上した段階取得に係る差損の反動減183億円及び持分法による投資の減損損失の反動減193億円があり、運転資金の流出も123億円増加したものの、税引前利益が前年同期に比べ981億円増加の2,379億円となったこと等により、小計では384億円の増加となりました。小計以下でも法人所得税の支払額が178億円減少したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比で増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の支出は前年同期に比べ1,444億円減少の1,850億円となりました。減少の主な要因は子会社株式の取得による支出であり、前年度に行ったOrchard Therapeutics Limitedや㈱ファンケルの連結子会社化の反動減のため、前年同期に比べ1,449億円減少の149億円となりました。また、当年度の資金の収入には、有形固定資産及び無形資産の売却による収入が81億円、政策保有株式の縮減に向けた取組みを引き続き推進したことによる投資の売却による収入が6億円ありました。なお、有形固定資産及び無形資産の取得について、前年同期に比べ50億円減少の1,756億円を支出した他、持分法で会計処理されている投資の売却による収入は前年同期に比べ29億円減少の6億円となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の収支は1,105億円の支出(前年同期は581億円の収入)となりました。社債の発行による収入が1,000億円、長期借入による収入が前年同期に比べ2,689億円減少の280億円となり、社債の償還による支出が前年同期に比べ50億円増加の350億円、長期借入金の返済による支出が前年同期に比べ484億円減少の300億円となりました。なお、当年度において連結子会社である㈱ファンケルの株式を追加取得したことにより、非支配持分からの子会社持分取得による支出が818億円となりました。また、当社では当年度よりDOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安とする配当を実施しており、非支配持分を含めた配当金の支払額は735億円となりました。

 

当社グループは資本コストを意識し、より安定的かつ持続的な配当を実現するため、DOE5%以上を目安とし、原則として累進配当を実施する配当方針を継続します。安定配当を最優先に、有利子負債返済と将来成長のための無形資産投資を実施しながら、キャッシュバランスに応じて投資や株主還元を検討していきます。

 

 

② 資本政策の基本的な方針

当社は事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。

事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益性改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)及び新規事業創造への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。

株主還元についても経営における最重要課題の一つと考えており、1949年の上場以来、毎期欠かさず配当を継続しております。2024年度まで「平準化EPSに対する連結配当性向40%以上」による配当を実施し、2025年度以降は、より安定的かつ持続的な配当を実現するため、DOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安とし、原則として累進配当を実施する配当方針へ変更いたしました。企業価値向上を目指す資本コストを意識した経営の一環として、株主の皆さまへの利益還元の一層の充実と資本効率の向上を図ることといたします。自己株式の取得については引き続き、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。

資金調達については、CSV経営を推進するためサステナブル・ファイナンスを活用します。調達した資金はCSVパーパスに基づいて社会課題の解決に向けた取り組みに繋げます。経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢に左右されない高格付けを維持しつつ、負債による資金調達を優先します。中長期的な目標達成に必要とされる投資において、株式発行による資金調達を行う場合は、ステークホルダーへの影響等を十分に考慮し、取締役会にて検証及び検討を行った上で、株主に対する説明責任を果たします。

 

セグメント情報

 

5.事業セグメント

(1) 報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎に決定しており、「酒類事業」「飲料事業」「医薬事業」「ヘルスサイエンス事業」の4つを報告セグメントとしております。

「酒類事業」は、麒麟麦酒㈱、LION PTY LTDを中心に、国内外における酒類事業を行っております。国内においては、麒麟麦酒㈱を中心に、ビール類、低アルコール飲料等の製造・販売を行っております。海外においては、主にLION PTY LTDを統括会社とした、オセアニア地域におけるビール、低アルコール飲料等の製造・販売、並びに北米におけるクラフトビール等の製造・販売を行っております。

「飲料事業」は、キリンビバレッジ㈱、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.を中心に、国内外における清涼飲料事業を行っております。キリンビバレッジ㈱は日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。

「医薬事業」は、協和キリン㈱を中心に国内外における医薬品の製造・販売を行っております。

「ヘルスサイエンス事業」は、㈱ファンケル、Blackmores Limitedを中心に国内外における健康食品事業等を行っております。㈱ファンケルは、国内を中心に化粧品・健康食品の研究開発、製造・販売を行っております。Blackmores Limitedは、豪州、東南アジア、中国を中心にサプリメント等の栄養補助食品の製造・販売を行っております。なお、当社は、前第3四半期連結会計期間に㈱ファンケルを連結子会社化し、「ヘルスサイエンス事業」に区分し開示しております。

また、セグメント情報における会計方針は、当社の連結財務諸表における会計方針と概ね同一であります。

セグメント間売上収益は、市場実勢価格に基づいております。

 

 

(2) 報告セグメントに関する情報

各報告セグメントに関連する情報を以下に記載しております。

前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他
(注1)

調整額
(注2)

連結

酒類

飲料

医薬

ヘルス
サイエンス

外部顧客からの
売上収益

1,081,694

564,871

495,295

175,256

21,270

-

2,338,385

セグメント間
売上収益

2,319

2,967

264

4,217

76,659

△86,425

-

計

1,084,013

567,837

495,558

179,473

97,929

△86,425

2,338,385

セグメント利益(△は損失)
(注3)

124,045

63,961

91,866

△10,895

30

△58,040

210,968

 

 

 

 

 

その他の営業収益

16,145

 

 

 

 

 

その他の営業費用

101,773

 

 

 

 

 

金融収益

14,595

 

 

 

 

 

金融費用

17,994

 

 

 

 

 

持分法による投資利益

37,035

 

 

 

 

 

持分法による投資の減損損失

19,255

 

 

 

 

 

税引前利益

139,721

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他
(注1)

調整額
(注2)

連結

酒類

飲料

医薬

ヘルス
サイエンス

セグメント資産

1,367,470

326,366

1,012,722

764,058

362,385

△478,841

3,354,159

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費
及び償却費

36,070

12,778

24,780

8,937

3,753

9,383

95,702

減損損失(金融
資産を除く)

3,902

-

2,060

7,427

-

-

13,389

持分法で会計処理されている投資

213,065

-

3,139

-

-

-

216,205

資本的支出

39,024

20,897

109,474

6,683

7,172

10,358

193,607

 

(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。

2 調整額は以下のとおりであります。

(1) セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない費用が含まれております。当該費用は、主に純粋持株会社である当社のグループ管理費用及び機能分担子会社において発生する複数の報告セグメントに関わる管理費用であります。

(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間債権債務消去及び各報告セグメントに配分していない資産が含まれております。当該資産は、主に純粋持株会社である当社及び機能分担子会社の余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資金(資本性金融商品)及び管理部門に係る資産等であります。

3 セグメント利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した金額である事業利益を使用しております。

 

 

当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他
(注1)

調整額
(注2)

連結

酒類

飲料

医薬

ヘルス
サイエンス

外部顧客からの
売上収益

1,075,261

578,190

496,514

251,366

32,031

-

2,433,363

セグメント間
売上収益

2,070

3,290

312

4,746

68,984

△79,401

-

計

1,077,331

581,480

496,826

256,113

101,015

△79,401

2,433,363

セグメント利益(△は損失)
(注3)

135,354

67,667

102,325

11,105

△1,100

△63,567

251,785

 

 

 

 

 

その他の営業収益

6,497

 

 

 

 

 

その他の営業費用

48,605

 

 

 

 

 

金融収益

10,673

 

 

 

 

 

金融費用

18,321

 

 

 

 

 

持分法による投資利益

35,830

 

 

 

 

 

税引前利益

237,859

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他
(注1)

調整額
(注2)

連結

酒類

飲料

医薬

ヘルス
サイエンス

セグメント資産

1,433,463

364,724

1,056,641

764,105

417,559

△542,449

3,494,043

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費
及び償却費

32,483

13,735

26,058

15,200

3,714

10,660

101,850

減損損失(金融
資産を除く)

1,221

-

2,778

2,176

-

-

6,175

持分法で会計処理されている投資

220,256

-

8,324

-

214

-

228,794

資本的支出

50,549

19,738

93,656

12,691

9,298

10,033

195,965

 

(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。

2 調整額は以下のとおりであります。

(1) セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない費用が含まれております。当該費用は、主に純粋持株会社である当社のグループ管理費用及び機能分担子会社において発生する複数の報告セグメントに関わる管理費用であります。

(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間債権債務消去及び各報告セグメントに配分していない資産が含まれております。当該資産は、主に純粋持株会社である当社及び機能分担子会社の余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資金(資本性金融商品)及び管理部門に係る資産等であります。

3 セグメント利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した金額である事業利益を使用しております。

 

 

(3) 地域別に関する情報

① 売上収益

(単位:百万円)

 

前年度
(自 2024年1月1日
 至 2024年12月31日)

当年度
(自 2025年1月1日
 至 2025年12月31日)

日本

1,214,171

1,286,658

オセアニア

234,529

226,862

アメリカ

631,040

657,490

その他

258,644

262,353

合計

2,338,385

2,433,363

 

(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

② 非流動資産

(単位:百万円)

 

前年度
(2024年12月31日)

当年度
(2025年12月31日)

日本

906,390

964,444

オセアニア

455,852

474,682

アメリカ

296,476

339,649

その他

188,524

199,749

合計

1,847,242

1,978,524

 

(注) 非流動資産は、金融商品、繰延税金資産、退職給付に係る資産は含んでおりません。

 

(4) 主要な顧客に関する情報

外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は、次のとおりです。

(単位:百万円)

 

関連するセグメント名

前年度
(自 2024年1月1日
 至 2024年12月31日)

当年度
(自 2025年1月1日
 至 2025年12月31日)

三菱食品㈱

酒類、飲料、ヘルスサイエンス

234,844

-

 

なお、当年度については、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。