人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,124名(単体) 31,144名(連結)
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平均年齢41.6歳(単体)
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平均勤続年数13.6年(単体)
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平均年収9,985,539円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
3 臨時従業員数には、派遣社員を除いております。
(2) 提出会社の状況
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均勤続年数は、雇用形態等により積算方法が異なるため概算となります。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 女性経営職比率、男性育児休暇取得率、男女賃金差異
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、経営職とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、監督若しくは管理の地位にある者をいいます。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 子の出生年度とその子に対する育児休業等及び育児目的休暇の取得開始年度のずれにより、育児休暇取得率が100%を超える場合があります。
4 中途入社・退職者及び休職者、復職者は人員数から除いております。
5 当社では、同一労働における男女の賃金体系に差は設けておりません。この差の主たる要因は等級別人員構成の差によるものであります。具体的には、女性において、相対的に賃金の高い経営職、また、総合職の上位等級に該当する人員数が少ないことによるものです。女性の活躍とネットワークづくりを積極的に支援するとともに、多様な視点や価値観を発揮できる組織づくりによって女性の活躍促進策を推進し、会社として女性活躍の機会、環境を整備していきます。
6 女性経営職比率、男性育児休暇取得率、男女賃金差異の集計対象はキリンホールディングス原籍者としております。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、経営職とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、監督若しくは管理の地位にある者をいいます。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 子の出生年度とその子に対する育児休業等及び育児目的休暇の取得開始年度のずれにより、育児休暇取得率が100%を超える場合があります。
4 中途入社・退職者及び休職者、復職者は人員数から除いております。
5 女性経営職比率、男性育児休暇取得率、男女賃金差異の集計対象は各社の原籍者としております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティ関連財務開示の作成方法について
① 全般的情報
当社グループのサステナビリティ関連財務開示は、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2026年2月20日内閣府令第5号)附則第2条第1項により「企業内容等の開示に関する内閣府令」(1973年大蔵省令第5号)第19条の9第1項に基づき、当年度よりサステナビリティ開示基準※を早期適用し、サステナビリティ開示基準に準拠して作成しております。なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
本サステナビリティ関連財務開示は、当年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)を報告期間として作成しております。本サステナビリティ関連財務開示は、サステナビリティ開示ユニバーサル基準「サステナビリティ開示基準の適用」第93項、サステナビリティ開示テーマ別基準第1号「一般開示基準」第42項及びサステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」第102項に基づき、比較情報を開示しておりません。また、本サステナビリティ関連財務開示は、サステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」第103項(2)に基づき、Scope3排出量を開示しておりません。なお、Scope3排出量については開示の準備が出来次第、開示予定です。
本サステナビリティ関連財務開示は、2026年3月27日(公表承認日)に、情報開示委員会の審議を踏まえて委員長である取締役常務執行役員CFO 秋枝眞二郎が承認し、代表取締役社長COO 南方健志に報告しております。
本サステナビリティ関連財務開示のうち、ガバナンス、リスク管理、及びScope1・2排出量、並びに一部の指標についてKPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証(限定的保証)を受けております。詳細については下記ウェブサイトに掲載の「SSBJ基準に準拠したサステナビリティ関連財務開示-第187期」(2025年)をご参照ください。
URL https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/financial_results/
※:国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開発したIFRSサステナビリティ開示基準の内容と整合性があるものとして、我が国のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が開発したサステナビリティ開示基準(日本基準)。
② ガイダンスの情報源に関する情報
当社グループは、サステナビリティ関連財務開示にあたっての重要テーマ並びにリスク及び機会を識別するにあたり、サステナビリティ開示基準を適用しております。また、後述する当社の事業・ビジネスモデルを踏まえ、酒類産業、清涼飲料産業、及び加工食品産業に関する国際サステナビリティ基準審議会が公表したIFRS S2号の適用に関する産業別ガイダンス(2023年6月公表。以下、「産業別ガイダンス」という。)、並びに、酒類産業、清涼飲料産業、加工食品産業、及びバイオテクノロジー・医薬品に関するSASBスタンダード(2023年12月最終改訂。以下、「SASB」という。)を参照しております。また、GRI並びにIS026000等を参照して策定したグループ・マテリアリティ・マトリックス(以下、「GMM」という。)で抽出した経営諸課題から、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別する対象として、次の7つの重要テーマを設定しました。また、各テーマについて当社グループの担当役員を配置し、責任をもって対応します。
・アルコールの負の影響
・健康長寿社会
・アンメットメディカルニーズ
・人的資本
・人権
・消費者課題
・環境(気候変動・自然資本)
③ 判断に関する開示
本サステナビリティ関連財務開示を作成する過程で行った判断のうち、サステナビリティ関連財務開示に含まれる情報に最も重大な影響を与える判断は次のとおりです。
・サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別
詳細については「(3) リスク管理 ① サステナビリティにかかるリスク管理 (ア)サステナビリティに関する重要なリスク(機会)の選定」をご参照ください。
④ 測定の不確実性に関する開示
本サステナビリティ関連財務開示で報告される数値に影響を与える最も重大な不確実性は、次のとおりです。
・気候関連シナリオ分析により評価された財務的影響
詳細については「(5) 重要テーマ別 ⑦ 環境(気候変動・自然資本) (イ)リスク管理 (ⅱ)リスクと機会の識別 (a) 気候変動に関するシナリオ分析 (c) 分析結果における財務影響と対応」をご参照ください。
(2) ガバナンス
純粋持株会社である当社は、当社グループ全体戦略の策定と推進、各事業のモニタリング、グループ連携によるシナジー創出の推進、サステナビリティを巡る課題の検討及びサステナビリティにかかる基本的な方針の策定等の役割を担います。
当社グループは、ステークホルダーとともに、持続的に存続・発展していくための重要テーマを経営諸課題と捉え、積極的に対応することでCSV経営を推進します。サステナビリティを巡る課題に対して全社的に推進するための体制を整え、リスクマネジメントの推進のみならず、ステークホルダーとの共創による収益機会につなげます。
取締役会及びグループ経営戦略会議で意思決定する際には、決裁手続規程並びに関連する内規に基づき、考え得る戦略の選択肢を挙げ、それぞれの期待効果・リスクの両面を明確化し、戦略選択に伴って想定されるリスク・機会、影響度及び発生確率、並びにリスクへの対策(ゼロリスク・低減・テイク)を議論しております。
① 監督体制(ガバナンス機関又は個人)
サステナビリティ関連のリスク及び機会の監督の責任は、取締役会が負っております。サステナビリティ関連のリスク及び機会は、重要な経営課題であると認識しており、中長期的な企業価値向上の観点から、職務権限規程に基づき、GMMを含むグループCSV方針を決議した上で、これらの課題への取り組みについて議論を行います。
また、取締役会は、年次で、情報開示委員会の委員長である取締役常務執行役員CFOから、GMMを基に設定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会や、そのモニタリング指標の情報共有を受けます。
取締役会は、経営企画部からの各事業/機能の四半期報告に基づき、サステナビリティ関連業務の執行を四半期ごとに監督します。
取締役会は、これらの審議や以下に記載する執行からの報告を通じてサステナビリティ管理の有効性を監督します。
なお、重要なリスク及び機会の選定からサステナビリティ関連財務開示に至るまでのプロセスについては、「SSBJ基準に基づくサステナビリティ関連財務開示方針」及び「SSBJ基準に基づくサステナビリティ関連財務開示実務指針」を制定し社内体制を整備・運用しており、この社内体制は当社の経営監査部による内部監査の対象になっております。
② 執行体制(経営者の役割)
社長の諮問機関として、以下4つを設置しております。グループCSV委員会、グループリスク・コンプライアンス委員会、情報開示委員会で協議/決定された事項は、原則として事前にグループ経営戦略会議で議論された後、取締役会に報告されております。
(ア)グループ経営戦略会議
社長の意思決定を補佐支援する諮問機関として、グループ経営に関する意思決定のうち、影響の大きい戦略及び投資に関し、社長を含む執行役員、社内監査役、プロフェッショナル・アドバイザー等で構成されるグループ経営戦略会議を設置し、原則として週次で開催しております。
グループ経営戦略会議では、長期の方針や戦略を踏まえた、短中期の非財務目標やその実現に必要な投資計画を審議・決議します。また、事業会社や部門から目標の達成状況及びリスクについての報告を受け、事業会社・部門の監督を行います。
(イ)グループCSV委員会
グループ横断的なCSVについて議論するためにグループCSV委員会を設置し、原則として年3回開催しております。
グループCSV委員会規程の定めにより、本委員会は、社長の諮問機関であり、当社の会長・社長を委員長、主要グループ会社の社長と当社の常務執行役員以上を委員とします。必要に応じてマルチステークホルダーの観点から社外有識者の参加・助言を受け、GMMなどのサステナビリティに関する長期の方針や戦略を意見交換し、その結果を取締役会に付議・報告します。
(ウ)グループリスク・コンプライアンス委員会
当社のリスク担当執行役員を委員長、当社の常務執行役員以上を常任委員とするグループリスク・コンプライアンス委員会を設置し、原則として年2回開催しております。グループリスクマネジメント規程により、リスクを「キリングループの経営目標達成や企業の継続性に影響を及ぼす不確実性(機会と脅威の両方を含む)」と定義したうえで、同委員会においてサステナビリティ課題に関するリスクを含めた、リスクマネジメント活動の全般を統括しており、リスクマネジメント方針を決定するとともに、グループ重要リスクを選定し、取締役会に報告します。
(エ)情報開示委員会
取締役常務執行役員CFOを委員長、当社の関係役員・部門長を委員とする情報開示委員会を設置し、原則として四半期毎に開催しております。情報開示委員会規程により、有価証券報告書を含む適時開示情報を決定します。また、有価証券報告書で開示する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会や、そのモニタリング指標は、情報開示委員会で決定し、社長に報告します。
なお、有価証券報告書で開示する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会や、そのモニタリング指標は、重要テーマ毎に原則として会議体を設置し、その中で議論しておりますが、グループリスク・コンプライアンス委員会が選定するグループ重要リスクも踏まえて最終化しており、その結果を踏まえて、情報開示委員会にて決定しております。
<ガバナンス体制図>
③ 取締役会に求められるスキル及びコンピテンシー
当社が監督・執行体制を適切に機能させ、当社グループの持続的成長と企業価値向上を実現するには、ジェンダーや国際性等の多様性を確保しながら、取締役会・監査役会がそれぞれ全体として必要なスキルを有していることが求められます。この要請は、執行側についても同様です。
このたび、当社はKV2027の先を見据えた新たな長期経営構想「Innovate2035!」を公表しました。これを契機として、当社は取締役会及び監査役会に求められるスキルの見直しを実施しました。
まず、当社グループが掲げる「CSV経営」の理念に対する深い理解と共感は、当社の取締役及び監査役に全員に共通して求められる基本的かつ不可欠な要件であると整理しております。
そのうえで、経営・事業トップの経験を通じた「企業経営」の総合的な能力を前提としつつ、「サステナビリティ」「グローバル」「財務/IR」「法務/リスク管理」の各分野に関する知見を、当社の経営推進及びコーポレートガバナンスの実効性確保に不可欠な基本スキルと位置付けております。
さらに、「Innovate2035!」では、CSV経営を通じて持続的な成長を実現し、社会課題である「健康」への貢献を目指しております。当社グループは、『人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている』をビジョンに掲げております。イノベーションを創出するための源泉は、「R&D」「マーケティング」「人財・組織」「ICT・DX」「生産・品質保証」といった組織能力であり、取締役会及び監査役会において、実効性の高い意思決定と監督を行うために不可欠なスキルと考えております。
「サステナビリティ」に関するスキルについては、当社の新任役員及び部門長向けに毎年実施しているコーポレートガバナンス研修の一部として、サステナビリティ(CSV経営)のインプットを実施しております。インプット後には、その内容に関する質疑も含め、重要テーマに関する役員間での意見交換も実施しております。
④ スキル及びコンピテンシー定義
当社の取締役・監査役・執行役員に求められるスキル及びコンピテンシーの定義は以下のとおりです。
*1:上場企業あるいはそれに類する企業
*2:官公庁、弁護士事務所、監査法人、アカデミア、NPO等
⑤ スキル及びコンピテンシーの充足状況等
各役員のスキル及びコンピテンシーの充足状況等は以下のとおりです。
(ア) 取締役 (注1)
(注) 1 社内取締役については、知見・経験を有する分野を○、そのうち特に貢献が期待される分野を◎とし、社外取締役については、特に貢献することが期待される分野を●としています。(◎と●は最大3つ以内とする)
(イ) 執行役員 (注2)
(注) 2 執行役員については、知見・経験を有する分野を○、そのうち特に貢献が期待される分野を◎としています。(◎は最大3つ以内とする)
(ウ) 監査役 (注3)
(注) 3 監査役については、特に貢献することが期待される分野を●としています。(●は最大3つ以内とする)
⑥ 取締役・監査役・執行役員スキルセットの判断過程
毎年行う取締役会実効性評価の中にスキル充足度も含めており、指名・報酬諮問委員会が評価結果を踏まえた候補者選定を行っております。
実効性評価結果から必要と考えられるスキルを持つ新たな候補者を指名する必要がある場合、経歴、面談等により、スキルの評価を行います。その際、企業経営や一般的なビジネス管理の経験、ステークホルダーとの直接対話を行った経験を持っていることを重視します。
再任候補の役員については、既に経験した年度での経験や議論内容、当社グループ事業に関する情報提供、トレーニング等を踏まえて、スキルを定期的に評価し見直します。
⑦ 役員報酬への反映
当社は、執行役員の報酬がCSV経営の実現と中長期的な企業価値向上に向けたインセンティブとして機能するよう設計しております。
取締役の報酬はあらかじめ株主総会で決議された総額の範囲内で、職務権限規程に基づき取締役会の決議により決定されており、決議の際は指名・報酬諮問委員会でその妥当性を審議し、透明性及び客観性を高めて公正なプロセスで決定しております。
社内役員の報酬は、固定報酬である「基本報酬」並びに業績連動報酬である短期インセンティブとしての「賞与」及び中長期インセンティブとしての「株式報酬」の3つで構成されております。「株式報酬」の決定においては、経営計画で定めるキリングループ連結の財務・非財務指標から、中長期の株主価値向上と社会的価値創出の両立を促す評価指標を選定しております。
「株式報酬」については、信託型株式報酬制度を採用し、業績達成条件が付されていないリストリクテッド・シェア・ユニット(RSU)及びローリング方式の3年経営計画の目標達成度に連動するパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)で構成され、PSUの業績評価指標は、経営計画に掲げる主要な経営指標であるROICとEPS成長率及び非財務指標としております。非財務指標は、「環境」「コミュニティ」「健康」「人的資本」の4つの項目について、項目ごとに定められた具体的な指標の達成度を定量的に判定し、これに各指標及び項目全体の定性面を加えて項目別評価を行ったうえで、それらの評価結果及び定性面の考慮を踏まえた総合評価で決定します。PSUの支給率は、目標達成時を100%として、0%~200%の範囲で変動します。
<役員の報酬構成>
<信託型株式報酬のPSU業績連動係数の算定式>
代表取締役会長CEOの場合、基本報酬が27%、賞与が31%、株式報酬が42%であり、株式報酬のうちRSUが3割、PSUが7割、PSUのうち非財務評価の評価割合が2割であることから、それぞれの支給率を100%と仮定した場合、代表取締役会長CEOの役員報酬のうち非財務評価の評価項目と結びついている部分の割合は約6%です。
当年度に認識された役員報酬(固定報酬のみの社外取締役及び監査役の報酬を含む)のうち、非財務評価の評価項目と結びついている部分の割合は約5%です。上記の通り、非財務評価は4つの項目の総合評価で決定することから、気候関連の評価項目に係る部分を区分して識別することができません。
客観性及び透明性を担保する観点から、グループ経営戦略会議にて評価した内容をもとに、評価結果及び支給リストを指名・報酬諮問委員会において審議し、取締役会において決定します。非財務指標については、下表のとおりです。
なお、社外取締役は客観的立場から当社及び当社グループ全体の経営に対して監督及び助言を行うという役割を担い、監査役は客観的立場から取締役及び執行役員の職務の執行を監査するという役割を担うことから、社外取締役及び監査役には、それぞれ基本報酬(固定報酬)のみを支給します。
⑧ リスク及び機会に関連するトレードオフの考慮
当社グループにおける取引に関する意思決定のうち、当社の決裁を要する場合には、「環境(気候変動・自然資本)」や「人権」を中心に、起案会社/部門が、重要テーマが影響を及ぼすリスクについて、影響度と発生確率、リスク及び機会への対策(ゼロリスク・低減・テイク)を検討しております。その検討結果は、当社の関係部門のコンサルテーションを受けた上で、決裁が申請されております。
(3) リスク管理
① サステナビリティにかかるリスク管理
サステナビリティに関する重要なリスク(機会)は、グループ重要リスクの管理プロセスの中でモニタリングされております。重要テーマのリスク管理については、重要テーマごとのリスク管理のセクションに記載しております。グループ重要リスクは、グループ全体の目標や戦略・事業遂行に関するリスクだけでなく、それぞれの事業固有のリスクの両面からリスクを集約して作成しております。各リスクについては、定量・定性の両面からグループに与える影響度を評価すると共に、発生確率を考慮し、影響度と発生確率の両軸でリスクの重要度を設定します。さらに重要リスクはリスクマップ上で一元化して管理を行っております。グループリスク・コンプライアンス委員会では、作成したグループ重要リスクについて議論し、それぞれのリスクへの対応、許容度などについて議論を行います。またこれらのグループ重要リスクは取締役会で審議され、状況変化の確認や対策の見直しを行っております。
当社およびグループ会社はリスクに応じた対策を立案・実行し、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、事業と機能の両軸で実施するモニタリングを通じて、戦略リスクを管理・統制するとともに、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めております。
なお、過去の報告期間と比較して、当社グループのサステナビリティに関する重要なリスク(機会)の管理プロセスに変更は生じておりません。
(ア)サステナビリティに関する重要なリスク(機会)の選定
GRI並びにIS026000等を参照して策定したGMMで抽出した経営諸課題を土台(ロングリスト)として、SASBの開示トピックを加味し、重要テーマに集約しております。重要テーマに関するリスク(及び機会)は、毎年、重要テーマ所管部門と事前に協議したうえで、情報開示委員会で見直し要否を確認しており、見直しが必要と判断された場合には、重要テーマ毎に設定している会議体にて、具体的な見直しを実施しております。また、そのリスク(及び機会)は、リスク(及び機会)が顕在化したときに発生する財務上の影響度(50億円未満、50~100億円、100億円以上)、発生可能性(10年に1回程度、10~30年に1回程度、30年以上に1回程度)の二軸でその重要性を評価しております。具体的には、財務上の影響度が大きい(100億円以上)場合には発生確率を問わず重要性が高いと評価するとともに、財務上の影響度が中程度(50~100億円)の場合には発生可能性が高い(10年に1回程度)もののみを重要性が高いと評価し、開示すべきリスク・機会に選定しております。
(イ)グループ重要リスクの管理プロセスへの組み込み
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の選定結果は、グループ重要リスクを選定する際に留意すべき方針・環境変化・事業等の確認の一部として、経営企画部にインプットしております。
その後、経営企画部は、幅広いソースから当社グループの事業・戦略に影響を与えうる外部的リスク(地政学、法制度、気候変動、自然災害、技術革新など)に関する情報収集、シナリオ分析(環境テーマについては、シナリオ分析を実施しております)を含む各種分析を行ったうえで、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会を含めたグループ重要リスクを選定し、その結果はグループリスク・コンプライアンス委員会での協議を経て、取締役会で決定されております。
なお、当社においては、サステナビリティに関する課題を各種リスクの検討要素、リスクドライバーと捉え、統合リスク管理の枠内で管理をすることとし、他の種類のリスクに比してサステナビリティ関連のリスクを優先順位付けはしておりませんが、当社はCSVを経営の根幹に捉え、社会との価値共創を第一にした経営を行っており、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は常に経営戦略やリスク管理の中で考慮されております。
(ウ)当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の決定・報告
グループ重要リスクの選定結果も踏まえて最終化した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は、情報開示委員会で決定され、社長に報告されております。
② 当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクに関する従業員教育とリスク顕在化時の対応
当社グループでは、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的な責任を果たすこと。それにより、ステークホルダーからの期待に応え、キリングループに対する信頼・企業価値を維持向上させること」を目的に、サステナビリティに関する重要なリスクの一つとして認識している個人情報の漏洩により、お客様の信頼失墜や損害賠償が発生するリスクへの対応の必要性などを含むコンプライアンス研修及び情報セキュリティ研修を毎年、国内の契約社員・派遣社員も含むすべての役員・従業員を対象に実施しております。
また、そうした従業員教育を実施したにもかかわらず、リスクが顕在化した場合には、「グループクライシス管理マニュアル」に基づき対応しております。
(4) 戦略
① ビジネスモデル
当社グループは、祖業のビール事業を通じ、1世紀以上にわたって磨き続けてきた「発酵・バイオテクノロジー」を起点に食・医・ヘルスサイエンスの3領域で事業を展開しております。
(ア)食領域(酒類・飲料)
祖業であるビール事業を中心に、現在も基盤となる事業領域です。1990年代以降にはアジア・オセアニアを中心にグローバル展開を加速させ、高い付加価値を有するブランドを数多く製造・販売しております。
(イ)医領域
ビール製造で培った微生物・細胞の研究から発展した技術にバイオテクノロジーを掛け合わせ、1980年代に医薬品の研究開発を開始しました。今ではグループの主要事業にまで発展し、バイオ医薬品を中心としてグローバルに事業を展開しております。
(ウ)ヘルスサイエンス領域
食領域における自然由来の原料や、発酵・培養の研究を進める中で、プラズマ乳酸菌をはじめとした身体に有用な物質を数多く発見してきました。これらの資産を活用し、今後のグループの成長の柱として育成していく事業領域です。
上記の当社グループが行う事業及びビジネスモデルを踏まえ、当社グループに関連する産業として、酒類産業、清涼飲料産業、加工食品産業、バイオテクノロジー・医薬品産業を特定しております。
② 計画期間
当社グループは、2026年を開始年とする10年間のグループ長期経営構想「Innovate2035!」における「2035年Vision」を実現することが当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながるとの認識のもと、計画を策定し実行しております。
「2035年Vision」として明確化している「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている」を実現するため、当社グループは、社会とともに持続的に存続・発展していくうえで今後10年間の重要課題をGMMに整理しております。
GMMで特定した長期的な重要課題を見据えるとともに、直近年度の実績を踏まえて、今後3年間の中期的な計画値を決定し、更に単年度計画に落とし込んでおります。3年間の計画値は、毎年度の実績を反映させ、毎年ローリングしております。
そのため、当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しております。
③ バリューチェーン
当社グループにおける食、医、ヘルスサイエンスの3領域の代表的なバリューチェーンは以下のとおりです。当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会がバリューチェーンのどの部分に集中しているか、またビジネスモデル・バリューチェーンに現在及び将来どのような影響を与えるかについては、重要テーマ別の戦略における、当社グループ※の見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の表の中で記載しております。
なお、バリューチェーンのうち当社グループ※への影響、リスク及び機会の集中状況は同表の「リスク及び機会が顕在化したときに発生するビジネスモデル・バリューチェーンへの影響と財務的影響」「発生可能性」「金額的重要性」「リスク及び機会の影響が及ぶセグメント」に記載していることから、同表におけるバリューチェーンの欄には当社グループ※を除いた、当社グループ※のステークホルダーを記載しております。
※:アンメットメディカルニーズテーマにおいては「キリングループ」と表記しております。
<食領域>
<医領域>
<ヘルスサイエンス領域>
④ トレードオフ事例
当年度に実施した買収案件においては、ESGデューデリジェンスを実施し、環境及び人権を必須としたサステナビリティ関連リスクへの影響を考慮した上で、意思決定しております。
(5) 重要テーマ別
① アルコールの負の影響
当社グループは、連結売上収益及び連結事業利益の約50%を酒類事業が占めております。中期的に、事業展開国・地域で酒類の販売(酒税を含む)、広告・宣伝に対する規制が強化された場合、当社グループの酒類事業展開国において酒類販売の減少や規制対応費用の増加などが発生する可能性があります。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、アルコールの負の影響への対応を促進するため、毎年、CSV戦略担当役員も参加するグループCSV委員会又は当社取締役会にてアルコール関連問題をアジェンダの一つに設定しグループとしての取り組みを報告又は議論し、グループ全体戦略へ反映させます。グループCSV委員会で報告・議論された場合は、当社の取締役会に報告されております。当期は取締役会で議論されました。
また、アルコールの負の影響への理解を深め経営に反映するため、CEOをはじめとする当社グループの酒類事業に関わる役員がアルコール依存症の専門治療を行っている独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターを訪問し、アルコール関連問題の最新の研究と課題について講義を受けております。直近では2023年に訪問しました。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、グループCSV委員会又は当社取締役会において、アルコールの負の影響への社内外の環境変化を踏まえたリスクの見直しを議論します。また、グループCSV委員会又は当社取締役会では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクへの対応戦略について、その進捗状況を確認します。当期の取締役会では、アルコール関連問題に対する外部動向について取り上げられ、適正飲酒啓発活動の重要性が改めて認識されました。
(ウ)戦略
当社グループは、社会とともに持続的に存続・発展していくための重点課題として「健康」「コミュニティ」「環境」を設定しておりますが、その前提として「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を果たすことをCSVパーパスとしております。事業を通じて、潜在的にアルコールの負の影響を受ける可能性のあるステークホルダー、及びステークホルダーから受ける事業への影響について把握に努めます。負の影響の予防・低減に取り組み、酒類事業を営むキリングループとしての責任を果たし、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを着実に進展させます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「事業展開国・地域で酒類の販売(酒税を含む)、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク」への対応戦略
当社グループでは、CSVパーパスに掲げた「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を果たし、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進展させるため、「酒類事業を営むキリングループとしての責任に関する方針」を定めております。当社グループ全体でアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進めるとともに、節度ある飲酒文化の醸成と、こころ豊かな社会の実現に貢献していきます。酒類マーケティングに関しては「責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針」を制定しております。これは、国や地域の基準に沿った社会規範を遵守し、適正飲酒を促進しながら、一貫して高い基準で事業を推進していくことを約束するものであり、当社グループが行う責任ある飲酒に向けたマーケティング活動に係る全従業員やパートナーを対象としております。また、当社グループの従業員には、酒類を扱う企業グループの従業員として知っておくべき適正飲酒に関する知識を習得するために、国内グループ従業員を対象に適正飲酒啓発研修を行っております。また、飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)を実施し、自身の飲酒習慣を振り返る機会を設けております。そのうえで、酒類事業の展開国・地域においては、お客様への適正飲酒啓発活動を実施し、自身のアルコール体質を確認しつつ、お酒の特性と効用、また誤用によるマイナス面を正しく理解していただき、適正な飲酒に向けたアドバイスなどを伝えております。当年度においては、具体的な適正飲酒啓発活動として、動画配信やワイナリーツアー内での適正飲酒啓発活動の実施、また大学や企業に訪問して適正飲酒セミナーも開催しております。また、グローバル酒類メーカーが加盟する「責任ある飲酒国際連盟(IARD)」に加盟し、適正飲酒の啓発、アルコールの有害摂取の低減に向けた取り組みを推進しております。国内ではキリンビールがビール酒造組合に加盟しており、ビール業界と連携した適正飲酒啓発に取り組んでおります。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、中期的には、事業展開国・地域で酒類の販売(酒税を含む)、広告・宣伝に対する規制が強化された場合、当社グループの酒類事業展開国において酒類販売の減少や規制対応費用の増加などが発生する可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスクが、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
アルコールの負の影響に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループでは、事業展開国で、お客様へ適正飲酒を啓発し、業界の一員として市場の有害摂取の根絶に貢献しておりますが、それにもかかわらず、規制が更に強化された場合でも、これまでに培ってきた商品開発力や既存の物流・販売網を活かした、低/ノンアルコール商品の更なる需要取込みや新たな商品カテゴリーの創出が可能と考えております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、CSV戦略担当役員は、中期的にアルコールの負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、酒類事業に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
酒類事業の展開国・地域によって対応策が異なることから、グループ共通ではなく、酒類事業会社毎に指標を設定しております。
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
本指標における目標値は、2025-2027年で毎年前期比向上となるよう進捗管理をしております。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
アルコールの負の影響の低減に向けた目標達成に向けて、各酒類事業会社における取り組みが順調に実施されております。
② 健康長寿社会
当社グループは、日本をはじめとした事業展開国及びその他地域における少子高齢化の進展や健康ニーズの高まりを当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の機会であると捉えております。祖業である酒類事業で培った発酵・バイオテクノロジー、長年にわたる免疫研究やグループに飲料事業及び医薬事業を保有することの強みを生かし、市場を拡大・創造します。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、健康課題への対応を促進するため、ヘルスサイエンス経営戦略会議を月に2回以上開催しております。ヘルスサイエンス戦略担当役員主催の下、当社の関係役員・部門長・グループ事業会社社長・副社長又は経営企画部長が参加しております。ヘルスサイエンス経営戦略会議で議論された内容は、必要に応じてグループ経営戦略会議又は取締役会に報告されるとともに、グループ経営戦略会議に報告されたものは当該会議の審議を経たうえで、改めて必要に応じて取締役会に報告され、グループ全体戦略に反映されます。同時に、取締役会では、当社グループのヘルスサイエンス事業計画の進捗について監督を行います。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、ヘルスサイエンス経営戦略会議において、社内外の環境変化を踏まえたリスク及び機会の見直しを議論しております。当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略については、グループ経営戦略会議又はヘルスサイエンス経営戦略会議において、その進捗状況を四半期ごとに確認しております。取締役会ではグループ経営戦略会議又はヘルスサイエンス経営戦略会議より挙げられた重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しております。
(ウ)戦略
当社グループは、CSVパーパスの一つに「健康」を掲げ、「健康な人を増やし、疾病に至る人を減らし、治療に関わる人に貢献する」ことを目指しております。昨今の社会情勢の影響を受け、社会の健康に関する関心は高まっている一方で、個々人のライフステージや特性などで抱えている課題の内容は異なります。当社グループでは、リサーチマーケティングによるお客様のニーズ探索を起点にコンセプトを設計し、グループ内外の素材・技術を組み合わせ、幅広い商品を展開して、この課題の解決に貢献します。以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、基礎研究による高付加価値素材を探索、機能開発し、潜在的なお客様の健康ニーズを開拓し、新たなビジネスモデルを構築することの重要性を認識し、取り進めております。
飲料事業のキリンビバレッジはヘルスサイエンス領域をドライバーと位置付けた成長戦略を実行しております。2023年にはBlackmoresを買収、2024年には、ファンケルを連結子会社化し、協和発酵バイオの事業構造改革を進め、戦略をグローバルに推進するガバナンスと経営基盤を整えました。また、協和キリンとの人財交流や、協和キリンとの共同出資で2024年設立されたCowellnex社により、医領域の疾患理解や研究ノウハウ、アカデミアネットワーク等が既に活かされております。
これらを通じて、当社グループは「土台の健康づくり」と「個別の健康課題」にフォーカスしたキリン独自のアプローチ方法で取り組みを進め、世界的に高まりを見せる健康課題を解決し、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指します。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1) 海外免疫市場に参入するための顧客メリットの拡充を検討します。
具体的には、高付加価値素材の探索や機能開発を検討することで、解決できる健康課題を拡大し、顧客のメリットに繋げます。また、免疫ケアの啓発活動も強化していきます。啓発活動を通して免疫ケアが体調管理に与えるメリットの認知を高め、弊社商品と潜在顧客とのタッチポイントを創出します。実際に、ベトナムへの販売エリア拡大で同国における免疫に対するリテラシーが向上したことで、プラズマ乳酸菌※製品の販売数量が増加しました。今後もベトナムにおけるプラズマ乳酸菌の認知拡大と健康意識向上へ向けて、政府の取り組みなどへ積極的に参画していく方針です。加えて、微生物発酵素材の世界大手企業と戦略的なパートナーシップを結び、海外市場におけるプラズマ乳酸菌のBtoBビジネスを加速させております。当社は、こうした海外市場への参入で海外消費者の健康課題の認知を得ながら、それに対する解決へ向けた商品やサービスの研究開発を続けていきます。プラズマ乳酸菌は毎年1か国以上の海外展開を予定しております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
※:プラズマ乳酸菌は、健康な人の免疫の維持をサポートする乳酸菌です。ヒトの免疫の司令塔pDCに働きかけることが論文で報告されております。キリン、小岩井乳業、協和発酵バイオが共同で研究を進め、国内外の大学・研究機関の協力のもと、多数の論文発表及び学会発表を行っております。当社グループでは、飲料、サプリメント、ヨーグルトなどさまざまなカテゴリーでプラズマ乳酸菌配合商品を展開しております。
2) 国内外での化粧品事業の成長に向けた取り組みを強化します。
肌の健康は多くの消費者の関心が集まる健康課題であり、肌ケア用品をはじめとする化粧品事業を保有する当社グループはその解決に向けて取り組みます。当社グループは各社の知見を繋ぎ合わせ、消費者の多様な関心に即して機会を取得していきます。その一例として「がん患者のアピアランス(外見)ケア」の課題解決に取り組む当社グループの横断プロジェクトが2022年から開始されております。がんやその治療によって外見が変化しても、その人らしく社会生活が送れるための環境づくりを目的とし、医療従事者や患者さんに向けた情報提供に関する知見を持つ協和キリンのサポートを受けております。今後は、ファンケル、Blackmoresなど、企業間のシナジーを発揮して、美容と肌の健康に対する内外アプローチを実現する新製品の開発に注力します。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
3) 事業会社各社での、社会的インパクト拡大の取り組みを強化します。
環境の目まぐるしい変化や昨今の社会情勢に伴い、より長く健康でいたいと考える人が増えております。当社グループは日常的な健康習慣としての「免疫ケア」、栄養、運動、休息が、土台の健康を作ると考えております。展開しているサプリメント、健康に関連する飲料や食品、高機能素材の社会的インパクト拡大の取り組みを強化します。例えば、免疫ケアの大切さを伝える官民連携プロジェクト「げんきな免疫プロジェクト」では様々な企業、団体、自治体にご賛同いただき、啓発に取り組んでおります。また、免疫について学ぶ授業も継続的に実施しており、保護者も含めた家庭内の意識向上にも取り組んできました。さらに協和キリンと共同出資で設立したCowellnex社により、研究開発、ベンチャー投資、事業開発といった分野で、医領域との連携を強化し、健康を取り巻く社会課題の解決につながるイノベーションの創出にも取り組んでおります。
ヘルスサイエンス製品のさらなる機能拡大を目指し、製品の出荷や啓発活動を通してお客様との接点を増やし、顧客のニーズを理解する機会を増やします。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
免疫ケア、栄養、運動、休息からなる土台の健康、体調管理及び肌不調への関心の高まりは、長年の免疫研究やスキンケア領域の強みを持つ当社グループにとって財務的影響が大きな機会であり、中長期に及ぶ関連商品・サービスの売上増加と収益性向上の影響が見込まれます。また、気候変動や都市化・近代化に起因するストレス増等の健康課題を解決する機会は各社で展開するサプリメントや高機能性食品の販売増加と収益性の改善につながるとともに、新商品・サービスの開発費用の増加が短期、中期及び長期で発生することが見込まれます。当年度においては、ヘルスサイエンス事業の売上が前年度と比較して76,111百万円増加しました(ファンケルの完全子会社化に伴う売上増加を含む)。その要因の一つには、機会の顕在化もあると考えておりますが、機会が顕在化したことによる影響を区分して識別することができないため、定量的情報を記載しておりません。中長期の機会が顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
新商品・サービス開発のための投資を検討しており、そのための投資計画を策定中です。自己資金で対応可能なため、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記の機会が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)指標及び目標
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
上記機会の創出に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
③ アンメットメディカルニーズ
健康をサステナビリティを巡る課題として位置付けているキリングループにおいて、医薬事業を担う協和キリンは患者さんを中心においた医療ニーズを重視しております。特にアンメットメディカルニーズの高い疾患(希少疾患を含む)と向き合う人々にLife-changingな価値を提供し健康課題解決に貢献することが、キリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の機会であると、キリングループは捉えております。
(ア)ガバナンス
協和キリンは、マテリアリティを“ビジョン実現のための重要経営課題”と位置づけております。マテリアリティ(重要経営課題)については、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)、Access to Medicine Index、PSCI等を参照し、社会の持続性へのインパクトと協和キリングループの事業へのインパクトの観点から特定しております。
マテリアリティは、2021-2025年中期経営計画及び連動する年度経営計画に組み込まれて推進されてきました。2026年以降は、“Vision 2030 and Beyond:中長期構想”と整合させ、年度経営計画に組み込んで推進していきます。また、計画の進捗は四半期ごとにモニタリングされ、グローバル経営戦略会議及び取締役会に報告されております。なお、中長期的な経営課題の解決を推進するために、2024年からの業績指標には年度経営計画で定めた非財務目標(マテリアリティに関連する目標を含む)の達成度を加えることとしております。
マテリアリティの見直しは、社内外の環境変化を踏まえ、毎年実施し、グローバル経営戦略会議で承認後、取締役会で決定されております。
協和キリンでの議論を経た後、キリンホールディングスのグループ経営戦略会議に四半期ごとに報告され、フラットな議論を交わしております。また、協和キリンを含むグループ全体の内容として取りまとめたものがキリンホールディングスの取締役会に報告されております。キリンホールディングスの取締役会では、課題への対応方針及び実行計画について監督を行います。
(イ)リスク管理
リスクマネジメント(RM)体制と重要リスク特定のプロセス
協和キリングループにおけるリスクとは、経営目標及び戦略目標の達成に影響を与える不確実性を指し、事業活動の遂行において企業価値の毀損につながる脅威(ネガティブな影響)に加え、適切に対応することで企業価値の創出や成長につながる機会(ポジティブな影響)の双方を含むものと定義しております。協和キリングループは、Enterprise Risk Management(ERM)の枠組みのもと、リスクを単なる回避対象としてではなく、機会の最大化及び企業価値の創出・保全につなげるべき経営上の重要事項として位置づけております。
協和キリングループは、日本を含むJAPAC、北米、EMEAを中心とした地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しております。3つの地域にそれぞれリージョナルリスクマネジメント委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しております。また、CxOが中心として参加するグローバルな位置づけのグループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針を審議していきます。
重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が実務担当者会議において社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。グループリスクマネジメント委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。グループリスクマネジメント委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策について全社的な観点で議論しております。重要リスクの低減に向けた進捗確認は、アクションプランのモニタリングと合わせて行い、グローバル経営戦略会議にて進捗確認と環境変化を踏まえたリスクの重要度の変化をモニタリングしていきます。グループリスクマネジメント委員会では、その評価結果を基にリスクマップを策定しており、これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されております。
キリングループでは、キリンホールディングスの経営企画部が協和キリンにおいて特定された重要リスクを集約し、キリングループ全体に共通するリスクも含めた精査を行います。同部がキリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会を含めたグループ重要リスクを選定し、その結果はグループリスク・コンプライアンス委員会での協議を経て、キリンホールディングスの取締役会で決定されております。
(ウ)戦略
協和キリングループは、マテリアリティを“ビジョン実現のための重要経営課題”と位置づけております。
特定した協和キリングループのマテリアリティは「価値創造トピック」と「価値向上トピック」とに分類され、Vision 2030実現のための戦略の幹「アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供」「患者さんを中心においた医療ニーズへの対応」「社会からの信頼獲得」「Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化」とも対応しております。その上で、マテリアリティについて目標を定め、戦略的に取り組んでいくことがビジョンの実現、ひいては、協和キリングループと社会のサステナビリティの両立につながると考えております。
また、協和キリングループのマテリアリティは、協和キリングループが所属するキリングループのマテリアリティとも関連性があり、特にキリングループの事業へのインパクトが高いマテリアリティである「Life-changingな医薬品の創出と提供」及び「医薬品の品質保証と安定供給」は、それぞれ、協和キリングループの「革新的な医薬品の創出」、「製品の価値最大化」、「パイプラインの充実」、「医薬へのアクセス向上」、「病気と向き合う人々のニーズを基点にした新たな価値の共創」及び「製品の品質保証と安定供給」と紐づけられております。
キリングループでは上記を踏まえ、本テーマにおいて以下のとおり「Life-changingな医薬品の創出と提供」「医薬品の品質保証と安定供給」をキリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会として選定しております。
なお、協和キリングループにおいては、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会とのトレードオフを考慮し、取り組みを進めております。
*1:協和キリングループは、社会的価値(病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値を提供し、社会課題を解決すること)と、経済的価値(協和キリングループがさらにLife-changingな価値を生み出していくために人的資本と知的資本に投じる原資となりうる利益)という2つの価値創造の両立を実現していきます。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応戦略
2021年より、Vision 2030の実現に向けて活動を推進してきましたが、世界中での医療費抑制圧力の強まり、新薬開発難度の高まりといった製薬業界にとって厳しい大きな環境変化がある中、Vision 2030の実現をより確かにするための戦略として打ち出したのが“Story for Vision 2030”です。これは、協和キリングループがVision 2030に掲げているLife-changingな価値を継続して創出・提供するための戦略です。自社で注力する疾患領域とモダリティ※1をより明確に設定しました。これに加え、オープンイノベーションやパートナー連携、ベンチャーキャピタル/コーポレートベンチャーキャピタルファンド活動などの強化も推し進めます。
これらの活動により生み出される“Life-changingな価値”の最大化、という観点では、ビジネスモデルを適切に選択する必要があります。自社で注力する疾患領域のアセットでは協和キリングループが開発から販売までをグローバルで行い、生み出された価値を患者さんに届けつつ、患者さんの声を研究開発に反映することでその領域での自分たちの強みを増幅していくことも重要となります。戦略的パートナリングアセットでは、価値最大化に社外の力を活用します。適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを築くことにより、患者さんに最速でお届けすることも含めてその価値最大化が実現できると期待しております。
このように、適切なビジネスモデルを選択することで、協和キリングループは、創出した価値を一日でも早く多くの病気と向き合う人々に届けていくことに注力しております。
※1:モダリティ:構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類
〔自社で注力する疾患領域のアセット〕
協和キリングループは、下記に定めた3つの疾患領域を自社で注力する疾患領域として価値の創出と提供に取組んでおります。各疾患領域では、上市国・地域の拡大、疾患啓発活動や患者支援プログラムの実施などを通し市場浸透に継続して取組んでいきます。
骨・ミネラル
Crysvita(日本製品名:クリースビータ)では、在宅自己注射をより簡便で安全に行うことができる剤型として、患者さん及び医療関係者から期待されていた皮下注シリンジの日本・欧州での販売を開始しました。イタリアではCrysvitaが腫瘍性骨軟化症に対して保険償還の対象となりました。KK8123※2、KK8398※2の開発も着実に進行中です。
血液がん・難治性血液疾患
Ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は、NPM1変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)に対する1日1回経口投与可能なメニン阻害薬として世界で初めて米国で承認されました。今後もKura Oncology社との連携を推進し、急性白血病に対する新たな治療選択肢(併用療法や早期の治療ライン)の提供を目指していきます。
Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、機械学習・AI技術を活用し、患者さんの治療アクセス向上を推進しております。
加えて自社初の抗体薬物複合体(ADC)であるKK2845等※2の開発も着実に進めていきます。
希少疾患(造血幹細胞遺伝子治療)
OTL-200(欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)は、米国・欧州における異染性白質ジストロフィーを対象とした新生児スクリーニングの拡大を患者団体等のコミュニティーと共同し推進しております。この活動の結果、スペインでは保険償還の対象となりました。米国保健福祉省長官から米国連邦政府として新生児スクリーニングの対象とすることが推奨されたため、今後各州に展開されるように活動を続けます。日本では早期発症型異染性白質ジストロフィーに対して希少疾病用再生医療等製品指定を取得、サウジアラビアにおいても希少疾病用医薬品指定と優先審査指定を受けました。さらにOTL-203※2及びOTL-201※2についても着実に開発を進めていきます。
〔戦略的パートナリングアセット〕
協和キリングループは、適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを築くことにより、患者さんに最速でお届けすることも含めてその価値最大化の実現を目指しております。
低分子であるKHK4951※2(一般名:tivozanib)、協和キリン独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260※2及びKK2269※2、並びにPOTELLIGENT抗体であるKK4277※2、本態性高血圧症を対象疾患として2025年第Ⅰ相試験を開始したKK3910※2については、今後パートナーとの連携も含め、価値の最大化を図っていきます。なお、Amgen社と連携し、複数の臨床試験を継続して推進してきましたKHK4083※2(一般名:ロカチンリマブ)は、2026年1月30日にAmgen社の戦略的ポートフォリオ見直しを背景として、同社との開発・商業化に関する提携契約を終了し、協和キリンは規制当局対応及び将来の商業化を含む、ロカチンリマブのグローバルプログラムの全権利を再取得しました。その後、2026年3月3日に、最新の安全性情報及び総合的なリスク・ベネフィット評価を踏まえ、ロカチンリマブに関する現在実施中の全ての臨床試験を中止することを決定しました。
また、自己免疫疾患に対する、ファースト・イン・クラス低分子治療薬候補の開発を目的とした、前臨床開発プログラムに関するライセンスをBoehringer Ingelheim社に提供しました。
なお、「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応について、一部国の政情等の影響を受けたものの、概ね順調に進捗しました。その後、ロカチンリマブに関する臨床試験中止を決定しました。決定前に策定した"Vision 2030 and beyond:中長期構想"で掲げた中長期財務目標の変更は行わないこととしており、引き続き当該取組を推進していきます。
※2:開発パイプラインの詳細は「開発パイプライン一覧」及び「主な申請承認情報」に記載のとおりです。
2)「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応戦略
協和キリングループの創出したLife-changingな価値を確実に患者さんへお届けできるよう、安定供給体制を維持・強化し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。災害、国際情勢の変化といった外部要因、GMP違反、製造トラブル、といった内部要因を含む、医薬品の品質や安定供給を脅かす多様なリスクに備え、堅牢な生産・供給基盤の構築、生産・品質技術の強化、人材育成を一体的に推進し、確かな品質の医薬品を安定的に供給します。
現在、群馬県高崎市と山口県宇部市に基幹生産拠点を有し、さらに米国ノースカロライナ州においてバイオ医薬品原薬製造工場(サンフォード工場)を建設中です。こうした自社生産体制の整備・強化により、リスク発生時にも柔軟な生産対応が可能になります。高崎地区はバイオ医薬品の中核拠点として、バイオ生産技術研究所と高崎工場が隣接し、研究から製造、承認申請までを一貫して進められる環境が整っております。この近接性を活かし、スムーズな技術移管や製造トラブルへの迅速な対応を実現しております。また、品質管理・品質保証機能をQ-TOWERへ集約し、相互の連携を強化することで、品質部門全体として確かな品質の維持に取り組んでおります。宇部工場は経口固形製剤の大量生産型自動化工場として、最新技術と堅牢な品質管理体制を備え、高効率な供給を支えております。重要な製品については、自社工場に加え外部CDMOとのデュアルソーシング体制を構築し、供給安定性をさらに向上させております。委託先管理を含むサプライチェーンマネジメントは複雑化しておりますが、社内外との連携強化やKPIモニタリングにより管理能力とレジリエンスの向上を図っております。また、予期せぬ製造停止や出荷遅延に備え、一定期間の需要を賄える在庫を確保し、供給継続を可能としております。米国拠点の立ち上げにあたっては、自社生産能力の拡充だけでなく、技術と人材の国際的な循環を通じた生産技術全体の底上げを目指しております。高崎地区では2025年にHB7棟が竣工し、製造トレーニング設備を設置しました。高崎工場の従業員に加え、サンフォード工場のスタッフも訪問し、両拠点が協力して技術習熟度の向上に取り組んでまいります。
「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応については、おおむね順調に進捗しております。
当年度において顕在化した機会については、「<リスク/機会への対応戦略> 1)「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応戦略」に記載のとおりです。なお、機会が顕在化したことによる財務的影響を区分して識別することができないため、当年度及び次年度以降における、財務的影響について記載しておりません。一方、当年度において、リスクは顕在化しておりません。また、次年度以降においてリスクが顕在化した場合に、どの程度の財務的影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、財務的影響について定量的情報を記載しておりません。
キリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応戦略を実現するために必要な投資としては、革新的な医薬品の創出・その適応拡大を含む価値最大化を目指した研究開発投資とともに、社外アセットへの戦略投資(ライセンス導入、VC・CVC投資など含む)があり、その当年度実績と将来予測は下表に示しております。これらの財務投資には、その後の販売を見据えた適切な地域における開発投資も含まれております。また、これらの財務投資の将来予測は、それぞれ売上収益の規模や戦略に応じて、変更される可能性があります。
「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応戦略を実現するために必要な財務投資としては、自社の製造・品質保証・サプライチェーンマネジメントにかかる費用及び投資があり、その当年度実績と将来予測は下表に示しております。これらの財務投資の将来予測は、社内外の状況変化を受けて、変更される可能性があります。
*1:キリングループでは、キリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:リスク対応に要する費用のみを算定することが困難であるため、関係部門の費用総額(ただし、製造にかかる費用のうち変動費を除く)を記載しております。
*3:リスク対応のための直接投資額を算定することが困難であるため、関係部門の投資総額を記載しております。
*4:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
上記の機会への対応戦略としてのパイプライン拡充や創薬技術獲得のための戦略投資については、戦略に基づき機動的に実施します。当該投資資金については、ネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保します。なお、上記の機会への対応戦略が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要な修正を生じさせることはないと考えております。
また、上記のリスクへの対応戦略としての自社の製造・品質保証・サプライチェーンマネジメントにかかる投資として、米国ノースカロライナ州にバイオ医薬品原薬製造工場(サンフォード工場)を建設中です。当該投資資金については、自己資金により賄う予定です。なお、上記のリスクへの対応戦略が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要な修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
アンメットメディカルニーズに関するキリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関するキリングループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。以下に「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」に関する協和キリングループのレジリエンスについて記載します。
製品の供給計画を策定する際には、予期せぬ事態により自社工場や外部CDMOでの製造が停止した場合でも供給を継続できるよう、一定期間の需要を満たす十分な在庫を確保しております。さらに、工場からの製品出荷が停止した場合にも、一定期間対応可能な在庫をストックポイントに備え、供給を継続できる体制を整えております。自社工場では、自然災害などによる電力停止に備えて非常用電源を確保し、製造を維持できるようにしております。加えて、重要な製品についてはデュアルソーシング体制を構築し、リスク発生時の安定供給を一層強化しております。
品質リスクへの対応として、自社工場・CDMOともに、最新のGMP動向及びリスクに基づいた定期的なGMP監査を行い、特定された課題は是正措置・予防措置が確実に実行されるよう管理しております。また、特定された全てのリスクは品質リスクレジスターへ登録し、必要な対応策についてはその進捗をモニターしております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、協和キリンは、中期的にアンメットメディカルニーズの負の影響が協和キリンの想定を超えて発生した場合でも、協和キリンは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、医薬事業に関する協和キリンの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。なお、本指標は「SASB:HC-BP-000.B」を参考に設定しております。各品目の状況をより明確化するために、「開発パイプライン一覧及び主な申請承認」に関する表を掲載することとしております。
*2:詳細は、「開発パイプライン一覧」及び「主な申請承認情報」に記載のとおりです。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*4:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。なお、本指標は「SASB:HC-BP-250a.5」を参考に設定しております。当社への財務的影響を考慮し、データの集計範囲を調整したうえで、開示しております。
*5:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応について、一部国の政情等の影響を受けたものの、概ね順調に進捗しました。その後、ロカチンリマブに関する臨床試験中止を決定しました。決定前に策定した"Vision 2030 and beyond:中長期構想"で掲げた中長期財務目標の変更は行わないこととしており、引き続き当該取組を推進していきます。また、「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応については、概ね順調に進捗しております。
開発パイプライン一覧
※ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)の開発状況詳細については、Kura Oncology社のホームページ(https://kuraoncology.com/)をご参照ください。
主な申請承認情報
④ 人的資本
ユニークな事業ポートフォリオを持つ当社グループにおいて、グループ理念・価値観・CSVへの共感を高めることは重要です。その共通基盤のもと、国内外の食(酒類・飲料)・医・ヘルスサイエンスの人財交流を進め、事業経験や属性の多様性及び多様性への受容性を高めることはイノベーションの源泉であり、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の機会であると捉えております。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、人的資本に関する戦略について、当社のグループ経営戦略会議で審議・意見交換し、人財戦略部門の計画に反映した後、グループ計画の一部として、再度、当社のグループ経営戦略会議での討議を経て当社の取締役会に報告されます。取締役会はグループモニタリングの一部として人的資本に関する戦略の進捗について監督を行います。
また、当社グループでは、労働安全衛生を含む健康経営を積極的・自主的に推進していくため、グループCSV委員会の傘下にグループ横断の会議体「グループ健康経営推進会議」を設置し、年に2回開催しております。CPO(グループ人財統括担当役員)を本会議の議長として、国内主要事業会社の人事部長等が参加しております。グループ健康経営推進会議で議論された内容は、グループCSV委員会への報告後、当社の取締役会に報告され、グループ全体戦略へ反映させます。同時に、取締役会では、当社グループの健康経営への対応方針及び実行計画について監督を行います。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、グループ経営戦略会議において、社内外の環境変化を踏まえた人的資本戦略に関するリスク及び機会の見直しを議論します。また、グループ経営戦略会議では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略について、その進捗状況を確認します。
(ウ)戦略
当社グループでは、人間の無限の可能性を信じる「人間性の尊重」という考え方を基本理念とし、従業員一人ひとり、新たな価値創造に向かって挑戦し、活き活きと働くことで、仕事を通じて成長し続ける環境を提供していきます。人財をイノベーションによる価値創造、競争優位の源泉と位置付け、人財に投資していくことで、「人財が育ち、人財で勝つ会社」を目指します。人財戦略は、足元の経営戦略の実行性を高めていくことと同時に、人財のケイパビリティは将来にわたる企業価値を高める重要な要素となり、経営戦略の可能性を広げます。そのキーとなるのは「専門性」と「多様性」です。従業員それぞれが、専門性を高めるとともに、食(酒類・飲料)から医・ヘルスサイエンス領域にわたる多様で盤石な事業ポートフォリオの中で多様な経験と多様な視点を養う環境を提供し、「専門性」と「多様性」を兼ね備えた人財を育成します。
また、多様な価値観を受容する組織文化を形成し、組織やチームを超えた共創を通じて、CSV経営を推進し、グループの持続的成長と企業価値向上を実現していきます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「従業員のグループ理念・価値観・CSVへの共感を高め、CSV経営の実践を加速する機会」への対応戦略
当社グループでは、活き活きとやりがいを持ち仕事に向き合う従業員の創出に向けて、CSV経営理念の浸透に向けたグローバルインターナルブランディングを行っております。
各グループ事業会社での浸透度の違いや状況に合わせた新たな施策の展開を検討し、従業員一人ひとりがキリングループの目指すビジョンや方向性に対する理解・共感を深め、キリングループの一員であることに誇りを持って働ける環境整備を進めております。具体的には、タイムリーなグループ情報の発信と、従業員の理解浸透を目的に、経営情報を発信するグループ従業員共通の社内WEBサイト”KIRIN Now”を展開しているほか、当社グループの理念・価値観・CSVを体現した取り組みを表彰する「キリングループ・アワード」や、当社グループ従業員のCSVに対する理解を促進するための「CSV体験」プログラムなどを実施しております。
これらの取り組みを通して、当社グループが経営の中心に据えているCSVの実践を加速させていきます。
なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
2)「従業員の安全衛生上の問題が発生し、生産性が低下するリスク」への対応戦略
従業員の労働安全衛生の確保は価値創造の根幹であり、CSV経営を実践する上で重要です。安全・衛生の確保を最優先とし、安全で衛生的な職場環境の整備に努めるほか、業務上の安全衛生に関する法令等を理解し、これを遵守します。また、労働関係法を遵守し、働きやすい健康な職場環境の維持に努めます。
当社グループでは、「キリングループ労働安全衛生方針」を策定しております。キリングループ各社の組織・事業場において役割と責任を明確にした体制を整備し、適切な経営資源を投入し、労働安全衛生活動を継続的に改善していくことで、ともに働く※一人ひとりが、心身ともに健康で、安全に、活き活きと、働きがいを高めている状態を目指します。
なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
※:同じ職場で働くすべての人(パートナー会社、業務委託会社、協力会社従業員含む)
3)「意思決定・組織マネジメントに関与する人財の多様性を高めることにより、新たなアイデアや戦略の発想を促進し、顧客や市場を創造又は拡大する機会」への対応戦略
当社グループでは、世界のCSV先進企業となるために必要な組織能力として、「多様な人財と挑戦する風土」を掲げております。近年、外部環境変化の激しい不確実性が高い時代に突入しており、グループを取り巻く事業環境も厳しさを増す中で、キリングループが持続的に成長するためには、「人的資本経営」を実践し、CSV経営に共感する多様な人財が、個々の可能性を最大限に発揮してイノベーションを加速させる必要があります。
当社グループでは、女性が自主性・創造性を発揮し活き活きと活躍する組織風土の実現に早くから取り組んできました。2022年には、当社のリーダー女性比率を2030年に30%にすることを掲げた「女性活躍推進長期計画2030」を策定しております。男女ともに早期にリーダーシップを発揮できる組織風土に向けて、出産・育児を迎える前に、早めに仕事経験や成功体験を積ませ、得意領域をつくる「早回しのキャリア形成」を推進しております。また、多様な従業員が尊重しながら働くことを阻害する要因の特定と排除を行うことで、多様性を受容する組織への変革を推進しております。
なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、従業員の安全衛生上の問題発生による生産性の低下などにより、操業への影響による売上減少や人財離れによる採用・育成コスト増加などが生じ、その影響が中期に及ぶ可能性があります。また、次年度以降、中期的に機会が顕在化し新たな価値創造やイノベーション実現に伴う商品・サービス販売機会の増加に伴う売上増加の可能性がありますが、リスク及び機会が顕在化した場合、どの程度影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスク及び機会が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
人的資本に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループでは、事業展開国で、労働安全衛生を含む健康経営を積極的・自主的に推進しております。それにもかかわらず、重大労働災害が発生した場合でも、事案の概要・原因の共有をグループ会社間で速やかに行い、類似の業務の洗い出しと、再発防止として安全装置設置など設備改善、作業手順の見直し、教育等について速やかに着手しております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、CPO(グループ人財統括担当役員)は、中期的に人的資本の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:当社グループの従業員へ回答を依頼し、回答を取得した範囲でスコアリングを行っております。また、絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:当社グループの従業員へ回答を依頼し、回答を取得した範囲でスコアリングを行っております。また、絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*4:海外連結子会社は国内連結子会社に比して女性経営職比率が相対的に高く、戦略上の優先度が低いことから、国内の女性経営職比率を開示対象としております。また、絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
「専門性」と「多様性」を兼ね備えた人財によるイノベーションの創出に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
⑤ 人権
グローバルに事業及びサプライチェーンを展開し、従業員及びビジネスパートナーとともに事業を展開する当社グループにとって人権はすべての土台であり、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクと捉えております。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、人権課題への対応を促進するため、グループCSV委員会の傘下に人権課題に特化したグループ横断の会議体「グループ ビジネスと人権会議」を設置し、年に2回開催しております。CPO(グループ人財統括担当役員)を本会議の議長として、当社の関係役員・部門長が参加しております。グループ ビジネスと人権会議で議論された内容は、グループCSV委員会への報告後、当社の取締役会に報告され、グループ全体戦略へ反映されます。
また、持続可能な事業の展開に向けて、経営の基盤に人権尊重の考えを据えることの重要性について理解を深め経営に反映するため、グループ ビジネスと人権会議の参加者に限らず、国内グループの社長・役員・部門長を対象に、トップ層人権啓発研修を毎年開催しております。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、グループ ビジネスと人権会議において、人権課題への社内外の環境変化を踏まえたリスクの見直しを議論します。また、グループ ビジネスと人権会議では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクへの対応戦略について、その進捗状況を確認します。
(ウ)戦略
事業活動を通じて社会課題の解決を図り、社会とともに持続的な成長を果たしていくためには、人権の尊重は大前提であり、すべての事業活動の土台と位置づけて、CSVパーパスの土台である「普遍的な責務」の一つとしております。当社グループはすべてのステークホルダーの人権を尊重することを重要な経営課題と捉え、継続的に取り組んでいくとともに、そのための体制も整備していきます。人権への負の影響の特定、予防、低減に努めるとともに、是正のための適切な処置を実施します。事業を通じて、潜在的に人権への負の影響を受ける可能性のあるステークホルダー、及び関連する人権への影響について把握に努め、負の影響を予防、低減し、負の影響があった場合には是正のための適切な処置を行い、当社グループに関わるすべての人々の人権の尊重に継続して取り組みます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「当社グループのサプライチェーンで人権侵害が発生するリスク」への対応戦略
当社グループは、「キリングループ人権方針」を策定し、バリューチェーンにおける人権課題の特定から、是正取り組みの計画と実行、モニタリング及び情報開示を経て、外部ステークホルダーとのコミュニケーションに至る継続的なプロセスである人権デューデリジェンスを実施しております。当社グループでは、バリューチェーン全体の人権リスクを評価した上で、バリューチェーン上流の人権リスクに対し優先的に取り組みを行っております。外部の専門機関であるBSR (Business for Social Responsibility™)の助言も受けながら、人権リスクの高い農産物及び農産物加工品を特定し、Sedexの評価ツールを用いて、調達国の人権リスクと事業への影響度という二軸で優先順位付けを行い、サプライチェーンの人権デューデリジェンスを実施しております。また、定期的にサプライヤーに対するリスクアセスメントを実施し、不適合事項の是正に取り組むことで、サプライヤーにおける児童労働や強制労働の撲滅に取り組んでおります。当年度においては、国別の人権リスク評価の結果をもとに、相対的に高リスクと評価された国を対象とした、人権デューデリジェンスを計画通りに実施しております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
2)「当社グループの役員・従業員又はサプライヤーが人権侵害を起こし、それに対する是正のための措置が不十分となるリスク」への対応戦略
当社グループの役員・従業員が人権侵害を起こすリスクに備え、国内では役員向け研修・階層別研修及び全従業員向けの人権啓発研修等を毎年継続して実施しております。また、ステークホルダーが、当社グループのビジネスに関して、人権侵害の懸念を感じられた際の報告先として、サプライヤーホットラインと苦情処理窓口を設置しております。当年度においても、サプライヤーホットラインと苦情処理窓口への通報を受けており、それらに対して、必要な是正措置を講じております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、人権方針やサプライヤー規範への重大な、あるいは疑わしい違反が発生した場合、既存顧客との関係悪化に伴う販売機会の喪失により売上が減少し、その影響が中期に及ぶ可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスクが、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
人権課題に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループは、人権デューデリジェンスを実施し、サプライヤーホットラインや苦情処理窓口を運用したにもかかわらず、人権課題の負の影響が顕在化し、特定の原料産地からの調達が困難になったとしても、調達先を分散しており、特定の原料産地への依存度合が低いため、影響は限定的と考えております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、CPO(グループ人財統括担当役員)は、中期的に人権の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、人権課題に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*4:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*5:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*6:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*7:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
人権リスクの高いサプライヤーに対する人権デューデリジェンスは計画通りに進捗しており、引き続き人権リスク低減に向けて活動を行っていきます。
⑥ 消費者課題
当社グループで展開する酒類・飲料・ヘルスサイエンス事業においては、お客様に安全・安心な商品・サービスを提供することがすべての基盤であり、お客様に安全・安心な商品・サービスを提供できなくなることが、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクと捉えております。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、グループ全体の品質保証レベル向上のため、毎年、品質保証機能の主管部門である品質保証部にて部門年度計画を策定しております。年度計画に対し、環境の変化に迅速に対応しながら確実に計画を実行するため、品質保証統括担当役員も参加する四半期モニタリング会議を実施しております。モニタリング会議で議論された内容は、必要に応じ当社のグループ経営戦略会議による討議を経て、当社の取締役会に報告され、グループ全体戦略へ反映させます。同時に、取締役会では、当社グループの品質保証課題への対応方針及び実行計画について監督を行います。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、年度計画の四半期モニタリング会議において、品質保証に関する環境変化を踏まえたリスクの見直しを議論します。また、年度計画の四半期モニタリング会議では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクへの対応戦略について、その進捗状況を確認します。
(ウ)戦略
事業活動を通じて社会課題の解決を図り、社会とともに持続的な成長を果たしていくためには、「食の安全・安心の確保」は、GMMにおいて重要テーマの一つとして位置づけられております。キリングループでは、国際標準(ISO9001、FSSC22000など)の考え方を参考にした品質マネジメントシステムを構築し、継続的な改善を実施しております。
この国際的な品質保証システムの構成要素として、まず「キリングループ品質方針」があり、キリングループの価値観である「先駆」「お客様本位/患者さん本位」「品質本位」に基づき、お客様/患者さんの満足と安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先する姿勢を明示しております。次に「行動宣言」では、品質方針を実現するための具体的な行動や考え方を宣言しており、グループ各社の全ての指針となっております。
これらを体系的に具現化したのが「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則(KGQMP)」です。KGQMPは、グループ各社の品質マネジメントシステムに反映され、バリューチェーン全体で品質目標を設定・達成することで、高品質で安全・安心な商品・サービスの提供を実現するキリングループ共通のルールです。また、KGQMPの遵守状況は隔年で確認されております。
さらに、品質保証部では、グループ主要会社との個別対話を通じて品質保証活動の状況把握を行い、各社の自律的な品質保証活動を支援しております。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「当社グループの製品に予期し得ない品質問題が発生するリスク」への対応戦略
当社グループでは、当該リスクに対応するため国際的な品質保証システムに沿った品質マネジメントシステムの構築と継続的な改善を実施しております。
グループ内の製造工場では、GFSI(Global Food Safety Initiative)承認国際認証である食品安全マネジメントシステムやISO22000などの取得・運用を進めており、国際標準の品質マネジメントシステムを構築しております。また、グループ内における重大な製品回収事故は内容・発生件数ともに適切にモニタリングされており、再発防止策の立案・実行に役立てられております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、主に品質不良に起因する製品廃棄損が574百万円発生しております。次年度以降新たにリスクが顕在化し、当社グループの製品に予期し得ない品質問題が発生した場合、中期的には顧客の喪失による売上減少や損害賠償などを含む対応コストが増加する可能性があります。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスクが、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
消費者課題に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループは、KGQMPへの各社の順守状況の確認及びグループ主要会社の個別モニタリングを実施しております。それにもかかわらず、消費者課題の負の影響が顕在化したとしても、「グループクライシス管理マニュアル」に従って迅速かつ適切に対応し、被害及び影響の最小化を図ります。クライシスの内容及びレベルに応じて対策本部を設置し、社長、担当役員等を含めた社内の報告・共有を速やかに行うと同時に、被害の拡大防止のため必要な情報を社外にも報告・公開します。また、対策本部を中心に、グループリスク・コンプライアンス委員会、関係部署と連携し、状況把握、分析、最悪シナリオに基づく対応方針を検討し、対策を実施します。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、品質保証統括担当役員は、中期的に消費者課題の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、消費者課題に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:FB-PF-250a.1
*2:FB-PF-250a.4
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
食品安全の国際認証(GFSI認証及びISO22000)取得率は最終目標である100%に向かって改善傾向にあり、計画通り進捗しております。製品回収事故件数は、グループ各社が「キリングループ品質方針・行動宣言」、それを具現化する「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則(KGQMP)」に基づき、自律的な品質保証活動を実行しており、発生件数は減少傾向にあります。
⑦ 環境(気候変動・自然資本)
(ア)ガバナンス
(ⅰ)監督体制
環境を含むサステナビリティ課題全般に関するガバナンスについては、前述の全般事項にかかるガバナンスセクションで説明しております。
環境4課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に対しては、グループCSV委員会の下にサステナビリティ課題別グループ会議の1つとして、グループ環境会議(年2回)を設置しております。CSV戦略担当役員を議長、関係役員及び部門長を委員として、「サステナビリティ関連リスク・機会の認識共有、戦略に関する議論」「キリングループ環境ビジョン2050の実現に向けた各種ロードマップの進捗状況モニタリングと方針・戦略・計画・意見交換」を主な議題としております。本会議での議論は、グループCSV委員会及び当社の取締役会に対して報告されます。同時に、取締役会は、当社グループの環境課題への対応方針及び実行計画について監督を行います。本会議の設置・運営により、2021年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードが求めているサステナビリティを巡る課題への取り組みを強化しております。気候変動対応を含む環境経営は、CSV経営体制に組み込まれる形で運営されております。
(ⅱ)役員報酬への反映
環境を含むサステナビリティ課題全般に関する役員報酬の考え方については、前述の全般事項にかかるガバナンスセクションで説明しております。
なお、気候変動の「Science Based Targets(SBT)1.5℃」目標を達成するための指標である「GHG削減率(2019年比)」や、「国内におけるリサイクルPET樹脂使用比率」、「水ストレスが高い製造拠点における用水使用原単位」については、役員報酬連動のKPIに設定しております。なお、環境関連の評価項目は役員報酬に他の評価項目と合わせて非財務評価として組み込まれているため、区分して識別できません。評価項目の全体については、「(2) ガバナンス ⑦ 役員報酬への反映」をご参照ください。
その他の各種環境指標についても、当社グループのローリング方式の3年経営計画における経営目標に落とし込み、当社の担当役員や各グループ会社の業績指標に設定し経営計画に反映しております。
(イ)リスク管理
(ⅰ)リスク管理体制
グループ環境会議では、情報開示委員会におけるリスクと機会の見直し要否の判断結果も踏まえ、気候変動や自然資本、法規制などの環境関連リスクと機会を認識共有、戦略に関し議論します。また、当社グループの見通しに影響を与え得る環境リスクへの対応戦略について、進捗状況を確認します。
グループリスク・コンプライアンス委員会は年度におけるグループのリスクマネジメント方針や当社を含むグループ各社が評価・特定したリスクから重要リスクを決議し、適宜必要に応じて取締役会に報告するなど、環境関連も含めたリスクマネジメント活動の全般を統括しております。なお、過去の報告期間と比較して、当社グループのサステナビリティに関する重要なリスク(機会)の管理プロセスに変更は生じておりません。
(ⅱ)リスクと機会の識別
環境関連のリスクと機会は、短期、中期、長期の各期間に亘って当社グループの見通しに影響を与える可能性があります。客観的な科学的根拠に基づいた評価・分析によりリスクと機会を理解し、戦略のオプションを検討するため、「気候変動に関するシナリオ分析」「自然資本関連のLEAPアプローチに沿ったリスクと機会の評価」を活用しております。
これらのプロセスで把握できたリスクと機会に関しても、グループ環境会議・グループCSV委員会で共有・議論し、取締役会に対して付議・報告されるとともに、グループリスク・コンプライアンス委員会事務局にも共有され、その他のリスクとともに管理されます。
(a) 気候変動に関するシナリオ分析
気候関連シナリオ分析は、予想される複数のシナリオのもと、気候変動が当社グループ全体の運営に与える潜在的な影響を理解し評価するために、当社グループ全体を対象として実施されます。シナリオは、地域及び国際的な気候予測を含む公的に利用可能なデータに基づいて設定されております。
当社グループでは、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年に開示した最終報告書「気候変動関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に従い、2018年にシナリオ分析へいち早く対応しました。分析には、物理的リスクのベースシナリオとして、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の代表的濃度経路(Representation Concentration Pathways: RCP)を用い、さらに、共通社会経済経路(Shared Socioeconomic Pathways:SSP)を補助的に利用しました。その後、シナリオ分析は少なくとも年に一度見直され、気候関連の不確実性の影響を更新する必要があるかどうかを特定し、必要に応じて詳細な分析を行っております。
直近の分析は、IPCC及び国際エネルギー機関(IEA)のシナリオを参考として、以下の2つのキリングループ気候シナリオを設定しております。
シナリオ1:パリ協定目標として産業革命前の水準に対する1.5℃及び2℃の気温上昇シナリオ
シナリオ3:脱炭素化努力が十分に行われない社会の影響を反映した4℃の気温上昇シナリオ
2つのシナリオに基づく、当社グループのエクスポージャー及び財務リスクを評価するにあたり、2030年及び2050年のタイムフレームを適用しました。各シナリオが想定する社会・経済の状況をもとに、当社グループの戦略・事業活動への影響の大小を定性的に評価し、シナリオごとのリスクを想定しております。
現在の当社グループの経営戦略は、気候関連リスクが一定に抑えられている前提のもと設定されておりますが(以下のシナリオ1を参照)、より深刻なシナリオ(以下のシナリオ3を参照)に対応するために、必要に応じて緩和及び適応のための措置も検討しております。また、後述の「戦略とビジネスモデルの調整にかかるケイパビリティ」セクションに記載されているように、必要に応じて対応を強化する能力があると考えております。
これらのシナリオは、一連の気候に関する合理的な予測の下でリスクと機会の識別及び戦略のレジリエンスを評価するためのものであり、多様な範囲で情報を提供するとともに当社グループの事業における重要なリスクを反映しております。
≪シナリオ分析の前提≫
これらのシナリオは、下表の科学的研究に裏付けられております。
<気候変動のシナリオ>
(b) 自然資本関連のLEAPアプローチに沿ったリスクと機会の分析・評価
自然資本に関する直接及び上流・下流のバリューチェーンでの依存性、インパクト、リスクと機会の特定は、TNFD提言に示されるLEAPアプローチに沿って評価しております。
これまでに、当社グループ全体の事業領域・バリューチェーンを俯瞰したうえで、原料農産物の調達段階において自然への依存度・影響度が高いという作業仮説を設定し、「キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画」の対象品目を含む調達量の多い原料農産物21品目について、「事業が自然に与える影響度」と「自然関連への事業の依存度」の2つの軸で分析・評価し、LEAPアプローチによる詳細な分析対象とすべき農産物を特定しました。現在、これら優先農産物の分析をLEAPアプローチに沿って順次進めております。
優先農産物の1つであるスリランカの紅茶葉は「キリン 午後の紅茶」のおいしさを支えており、持続可能な調達は事業にとってインパクトが大きく、また自然や社会環境の観点からも重要な「場所」であることから、当社グループはその紅茶農園を優先地域として特定し、その生態系の状態や懸念点、必要な取り組みについてLEAPアプローチに沿った調査を先行して取組んでまいりました。その結果、スリランカの紅茶農園は気候変動のみならず自然の劣化や労働力減少、経済発展や法規制強化によるコスト増など、さまざまな自然関連リスクにさらされていることが分かりました。一方、リジェネラティブ農業、農園における人権デューデリジェンスの徹底、適正な取引価格での調達によりリスクを低減できれば、安定的な製品の生産やエシカル消費市場における機会獲得に繋がります。リスク低減・機会獲得の観点からも、当社グループが2013年から農園に対して行っているレインフォレスト・アライアンス(RA)認証取得支援や、2024年から運用開始したリジェネラティブ農業を実践するための「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」の普及が有効であると考えられます。取り組みの進捗を管理するため、自然に関する科学的、国際的な目標と整合する目標設定に向けた準備も進めております。
≪分析・評価の前提≫
今後LEAPアプローチに沿ってより詳細なリスク・機会及びそれらのトレードオフの評価を行うべき優先農産物を特定するため、グループ全体の事業領域・バリューチェーンを俯瞰したうえで、原料農産物の調達段階において自然への依存度・影響度が高いという作業仮説を設定し、「自然関連への事業の依存度」と「事業が自然に与える影響度」の2つの軸で分析・評価しました。
「自然関連への事業の依存度」は、TNFD提言で依存の類型として示されている原料農産物の「供給サービス」への依存度合いを評価することとし、独自の評価指標として「調達量」「グループ売上収益に与える影響」「原料生産地の代替可能性」及び「輸入先の偏り」の指標を用いて評価しました。
「事業が自然に与える影響度」は、TNFD提言が考慮するべきとしているIPBES(生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策の繋がりを強化する政府間組織)による5つの影響要因のうち、農作物別のデータが利用可能な「栽培段階のカーボンフットプリント」「土地利用フットプリント」「農産物別ウォーターフットプリント」「肥料使用量」の指標を評価しております。また、リスクインシデントの外部データベースを用いて、対象農産物がグローバルで「評判リスク」のあるコモディティかどうかも確認しました。
この分析・評価は、下表の科学的研究に裏付けられております。
<自然資本のシナリオ>
(c) 分析結果における財務影響と対応
当社グループにおける重要リスクは、財務影響度と発生確率をふまえてインパクトを測定しております。リスクマップ上で一元管理し、インパクトが高いリスクについては、取締役会にてモニタリングすることで対策を講じております。
以下の表にて、シナリオ分析及びその他試算の結果識別された財務影響と、それらへの対応(戦略)をまとめました。グループの主要事業において、リスクの影響を受ける調達品目や資産の数量と前提条件となる学術データを用いて、リスクに応じた財務影響を推算しております。事業活動の内容や前提条件に大きな変化があった場合に財務影響をアップデートしております。
*1:Xieらの経済モデルを用いた研究成果に示される国別のビールの基準価格、およびIPCCの「土地関係特別報告書(SRCCL)」で取り上げられたHasegawaらの研究成果による試算。
*2:風水害モデル洪水シミュレーションを使い、国内20か所について200年災害で試算した結果の合計。
*3:一定期間製造に渇水で影響が出たと仮定した試算。
*4:IEA「World Energy Outlook 2019」Annex Aの現政策シナリオ・SDシナリオ、および IPCC1.5℃特別報告書などから試算。
*5:IPCCの「土地関係特別報告書(SRCCL)」で取り上げられた Hasegawaらの研究成果による試算。
*6:紅茶・コーヒーを、現時点で可能な範囲で持続可能な農園認証の農園からの調達に切り替えた場合の費用の試算。
*7:使用済みペットボトルが適切に処理されず海洋に流出し自然資本にマイナスの影響を与えた場合の財務インパクトを、利用可能な統計から自社の製造量比率で試算しました。
(ウ)戦略
他テーマと同様に、各種ガイダンスと当社グループのビジネスモデルを踏まえ、本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
(ⅰ)気候変動リスク― 物理リスク
気候変動によって引き起こされる原料農産物の収量減、洪水又は渇水による操業停止や輸送への影響などのリスク
(ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク
カーボンプライシングが導入された場合に、エネルギー調達費や物流費、農作物価格が高騰するリスク
(ⅲ)自然資本リスク― 原料
当社グループのサプライチェーンにおいて、農産物生産地・森林の環境が守られていない事案が発生するリスク
(ⅳ)自然資本リスク― 容器包装
バージンプラスチックに対する規制、及び、リサイクル材料の使用義務の拡大、使用済みペットボトル容器の不適切な廃棄による環境汚染リスク
気候危機、生物多様性の喪失の進行、プラスチックによる海洋汚染など地球規模の環境問題の深刻化を背景に、社会は大きな転換点を迎えております。当社グループの食領域の事業のように水や農産物など自然の恵みに依存する産業は環境問題の影響を受けやすく、この課題の克服に向けていち早く着手する必要があります。
当社グループが2017年から行っているTCFD提言に基づくシナリオ分析において、気候変動がもたらす農産物や水資源への影響の甚大さを把握しました(前述)。自然資本への影響を抑えて持続可能な地球を次世代に渡すには、ネガティブインパクトを最小化し、ニュートラル化するだけでは足りないことが判明しました。また企業の環境施策も、自社で完結するものから、社会全体へポジティブな影響を与えられるものへと進化することが期待されてきております。
このような社会の要請に応えるために、複合的に発生し相互に関連する環境4課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組むアプローチの考え方をさらに発展させたものが、2020年に取締役会で審議・決議し、刷新した「キリングループ環境ビジョン2050」と、新たに加えた「ポジティブインパクト」アプローチです。また、当社グループはリスクに対する単独の解決策ではトレードオフのリスクがあることを認知しており、ランドスケープアプローチを採用するなど、課題を多面的にとらえながら取り組みを推進しております。
私たちはこの環境ビジョンの下、これからの世代を担う若者をはじめとする社会とともに、こころ豊かな地球を次世代につなげていきます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
(ⅰ)気候変動リスク― 物理リスク
当社グループの食領域においては、バリューチェーンの上流であるサプライヤー、並びに製造拠点で活用する水資源に対して、気候変動によるリスクが大きいと捉えており、重要な物理リスクとして農産物の収量減、洪水による操業停止、渇水による操業停止を認識しております。
当社の主要製品であるビールの製造に欠かせない大麦の生産農家は、特に洪水等の気候変動に伴う環境変化に大きく影響を受けることが想定され、直接的な大麦収量の減少の他、洪水発生時の代替調達の実行、設備の復旧等で、調達コストの増加と売上原価へのマイナス影響が予想されます。
過去にグループ内に実際に影響が及んだ物理リスクとして、異常気象(洪水・渇水などに代表される水リスク・水ストレス)による製造停止が挙げられます。この事例を踏まえ、(a) 調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)、(b) 水リスク・水ストレス、の2つが最も大きな物理リスクであると認識しております。この2つに晒されている事業活動のグループに占める各比率から、グループにおける物理リスクに対する脆弱性を試算しております。
(a) 調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスクに対する脆弱性
調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスクに対し、当社グループ売上の77%を占める事業会社(7社)にて、最大137億円/年の調達コストが発生するものと試算しております。物理リスク(調達コスト)に対し脆弱な事業活動は下表の事業会社7社(当社グループ売上の77%)が該当します。
(b) 水リスク・水ストレスによる物理リスクに対する脆弱性
水リスク・水ストレスによる物理リスクに対する脆弱性は、当社グループにおけるそれらの度合いの高い国に所在する製造拠点数が各国に所在するすべての製造拠点に占める割合により試算しております。試算には、2023年の拠点データを用いました。試算は適宜更新し、都度、その時点の拠点数に対する脆弱性を評価してまいります。最新のAqueduct4.0(WRI)を用い、水ストレスはBaseline Water stress、水リスクはPhysical Risks Quantityの項目を参照しております。影響を受ける製造拠点について、それぞれのリスク・ストレスが5段階で分類されるため、リスク・ストレスが低い場合を「1」、高い場合を「5」として点数付けを行いました。リスク点数、ストレス点数の合計が6点以上である拠点は下表のとおりであることから、物理リスク(水)に対し脆弱な事業活動は下表の所在国の拠点(合計57%)が相当するものと判断しております。
<リスク/機会への対応戦略>
戦略1 調達先の分散
代替原料の開発と新たな生産技術の開発を行っております。例えば、ビールの原料農産物の大麦は気候変動による収量減のリスクがあることから、大麦に依存せずビールのような風味を実現する技術的知見は、適応策の1つであると考えております。また、ビール風味飲料の製造に必要な異性化糖の原料となる農産物については地域別に気候変動による中長期的な収量インパクトを調査・分析し、生産地や作物、醸造技術を組み合わせることで、気候変動影響下における中長期的な収量の変動に対応可能であり、安定供給が予想される原料でビール風味を再現する醸造技術を保有することは物理的リスクに対応する適応策として有効と考えております。成果として、キリンビールが日本で販売するビール風味のアルコール飲料である「のどごし生」は、大豆を原料として醸造されております。
この他、温暖化に対応する品種の改良技術と併せて、主要農産物の安定調達や農業の持続可能性への貢献が期待される植物大量増殖技術の開発なども行っております。キリン中央研究所は、ビールの原料「ホップ」の腋芽形成を促進する世界初アプローチで、ホップの大量増殖技術の開発にも成功しております。
戦略2 持続可能な農園認証取得支援
気候変動にレジリエントな農産物生産地確保、気候変動や自然環境の変化リスク緩和に向けて、持続可能な農園認証としてレインフォレスト・アライアンス(RA)認証取得支援を継続しております。自然災害への対策や、農薬・肥料の使用量を抑えながらも収量を維持できる技術のトレーニングを実施することで、環境変化が原料農産物に与える影響を軽減し、農業が環境へ及ぼす負荷の低減にも貢献していきます。当社グループは、「キリン 午後の紅茶」の原料農産物生産地であるスリランカ紅茶農園とコーヒー豆の3割を調達しているベトナムコーヒー農園に対して、RA認証取得を支援してまいりました。今後は、リジェネラティブ農業を推進することで、自然の状態の変化を最小限に抑えるとともに、自然の状態の回復にも努めます。キリンホールディングスとキリンビバレッジは、レインフォレスト・アライアンスと共同で、リジェネラティブ農業への移行を支援する「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」を開発し、2024年12月より運用を開始しました。2025年末までにスリランカの1つの大農園と30の小農園での運用を開始しております。本ツールは、スリランカの紅茶農園での活用を目的とし、農園の農法や環境負荷を評価し、改善すべき点を可視化するチェックリスト型のガイドラインです。リジェネラティブ・ティー・スコアカードは、土壌の健全性、生物多様性の保全、生態系の回復、労働環境の向上などの指標を基に、農園の現状を評価し、持続可能な農業への移行に向けた具体的な改善策を提示します。農園はこれを活用することで、リジェネラティブ農業への移行を段階的に進めることが可能になります。
戦略3 水ストレス、水リスクの評価と対策
1)グループ全体の水問題の評価・分析
当社グループは、水ストレスの大きく異なる日本とオーストラリアで事業を行ってきた経験から、水問題が国や地域で異なり、流域や場所に大きく依存していることを理解し、2014年から定期的に科学的な調査を実施しております。
2024年に製造拠点の水リスクをAqueduct4.0及び自治体が作成しているハザードマップなどを使用して調査・分析した結果、事業所の多くで水ストレスや水リスクが以前と比べて悪化していることがわかりました。
2)高度な用水削減技術の導入、渇水対応の知見共有
水ストレス・水リスクの調査による科学的な根拠を把握したうえで、国や地域で異なる水ストレスのレベルに合わせた適切な用水削減対策の導入を実施していきます。また、グループ内の世界各拠点が渇水経験を通して構築した対応知見を共有し、各事業のレジリエンスを向上させております。例えば、オーストラリアは慢性的な水不足の課題を抱え、当社グループでもクイーンズランド州のCastlemaine Perkins Breweryが深刻な長期的渇水を経験しました。同社では、2011年に州政府と提携し、製造工程で使用した水を回収利用するための逆浸透(RO)プラントを設置することで世界トップクラスに迫る用水原単位を維持しております。2024年には、この技術をTooheys Breweryへ導入展開しました。
3)風水害シミュレーション等及び現地調査を活用した付保の必要性評価
洪水を含む水関連の自然災害リスクについて、外部モデル等を用いたシミュレーションによる定期的な評価と、必要に応じた現地調査を組み合わせ、拠点ごとのリスクの状況と財務的影響を踏まえて対応方針を検討しております。これらの評価結果を踏まえ、水リスクが相対的に高いと判断される拠点については、事業継続の観点から保険カバレッジの維持を志向し、リスクの状況に応じた保険手配・見直しを行っております。
なお、付保の要否や水災補償の範囲は、評価結果や事業特性等により個別に判断されるため、付保そのものに関する一律の定量的な指標・目標は設定しておりません。
戦略4 原料農産物生産地の水ストレス対応
生産地などにおける水リスクを分析したうえで優先サイトを絞り込みます。優先サイトの中から活動場所を特定し、水資源の保全活動やそのためのトレーニングを実施するとともに、適切な減災対策や持続可能な水利用管理を推進していきます。これにより、異常気象による収量減少リスク低減や安定した農産物供給の確保に貢献することを目指します。
スリランカ紅茶農園では、2018年から農園内の水源地保全活動を開始し、2025年末には27カ所の水源地を保全しました。知見を蓄積し、2020年からはベトナムのコーヒー農園で同様の支援を開始しております。
<財務的影響>
気候変動の物理リスクについて、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、気候変動によって引き起こされる原料農産物の収量減、洪水又は渇水による操業停止や輸送の影響が発生した場合、原材料の安定調達を阻害されることなどにより売上が減少し、その影響が短期、中期、長期に及ぶ可能性があります。なお、物理リスクが顕在化したことによる調達・輸送への影響を区分して識別することが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達を予定しておりません。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク
移行リスクとしては、炭素税や排出量取引制度、国境炭素税措置などのカーボンプライシングが導入された場合、エネルギー調達費や物流費、農作物価格が高騰する可能性があります。日本国内ではGXリーグによる排出量取引制度の導入拡大、将来的には発電事業者に排出枠の購入を義務づける制度の導入等が想定され、これによる追加コストが発生する可能性もあります。
(a) 移行リスクに対する脆弱性
移行リスクについては、カーボンプライシングによる財務影響が当社グループにとって最も大きいとの前提のもと、製造現場(工場)を有する事業活動が「移行リスクに脆弱な事業活動」に該当すると判断しております。当社グループの売上の内、91%が製造拠点を有する事業会社による売上であり、これらの事業活動が移行リスクに対して脆弱であると判断しております。
<リスク/機会への対応戦略>
当社グループの移行計画を示す、2030年に向けた「SBT1.5℃」目標と、2050年の「SBTネットゼロ」目標に整合したロードマップに基づき、GHG排出量の着実な削減達成を進めております。本ロードマップは、SBTイニシアチブ(SBTi)のガイダンスに則っており、Scope1,2,3における自社努力による排出削減を優先して取り組む移行計画となっており、パリ協定での合意事項が今後大きく後退しないという仮定の下で策定されております。当ロードマップにおいて、当社グループは科学的根拠に基づくGHG排出量削減目標を設定しております。具体的には、2019年を基準年として、2030年までにScope1およびScope2のGHG排出量を50%、ならびにScope3のGHG排出量を30%削減する中間目標を掲げており、これらはいずれもSBT1.5℃水準に整合しております。なお、当社グループの移行計画は、既存の技術および現在利用可能なインフラのみで完結するものではありません。2050年の「SBTネットゼロ」目標の達成に向けては、2030年以降に想定されるエネルギーインフラの整備や脱炭素関連技術の進展を、重要な前提条件の一つとしております。また、当社グループの温室効果ガス排出量の相当部分を占めるScope3排出量の削減については、上流サプライヤーにおけるGHG排出削減の進展が不可欠であることから、サプライチェーン全体での取り組みを前提とした移行計画としております。活用するリソースについては「(ウ)戦略 (ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク 投資計画及び処分計画」をご参照ください。また、当社グループでは、GHG排出量削減に加え、気候変動の緩和と適応のための戦略も検討し、組み合わせて対応していきます。
戦略1 Scope1+2の排出量削減
Scope1とScope2の削減は、ネットゼロに向けたロードマップを設定し、「省エネルギー推進」「再生可能エネルギー拡大」「エネルギー転換」の3つのアプローチを組み合わせ、生産・物流の最適化等にも工夫し着実な対応を進めております。アクションの具体例は下表のとおりです。
戦略2 Scope3の排出量削減
当社グループのGHG Scope3排出量の削減において、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下「『GHGプロトコル(2004年)』」という)「Scope3基準」のカテゴリーのうち約71%を占めるカテゴリー1(原料・資材の製造)の「容器包装」と「農産物原料」、約12%を占めるカテゴリー4(輸送)の「輸送」を主なターゲットとしております。これらターゲットに対し、「自社主体の削減」と「サプライヤーの削減促進」の二側面にてアプローチしScope3排出量の削減を進めております。
「自社主体の削減」では、輸送及び容器包装がターゲットとなります。当社が保有するパッケージイノベーション研究所は消費財メーカーが保有する研究所としては世界で類を見ない規模です。この当社特徴である同研究所の技術を活用したGHG Scope3排出量の削減に取り組んでおります。
「サプライヤーの削減促進」のターゲットは、容器包装やその材料の製造時のGHG排出量や、原料農産物の生産時のGHG排出量です。農産物からのGHG排出量削減には、リジェネラティブ農業が有効であると判断し調査を進めております。
自社が主体となり他社と共同で削減効果を創出するScope3排出量削減アクションの具体例は下表のとおりです。
GHG排出量(Scope1,2,3)削減目標達成に向けたカーボン・クレジット(温室効果ガスの削減量や大気中からの除去量などを企業間で売買できる仕組み)の購入計画は、現時点では未定です。ただし、2050年の「SBTネットゼロ」目標の内訳として、2050年に基準年比△90%のグロス目標を掲げており、残余排出量として想定する10%について、残余中和の考え方に基づいてカーボン・クレジットの活用を検討してまいります。その準備として、当社グループでは「キリングループカーボン・クレジット方針」を2025年3月に策定し、カーボン・クレジットの利活用の際に、生物多様性への影響や地域社会へのコベネフィットを重視する価値観や質を当社グループの各事業会社で自律的に確認・実行できるように方針とチェックリストを作成しました。近年、カーボン・クレジット市場では、削減効果を示すデータの信頼性や持続可能性等のクレジットが訴求する価値の質がさまざまであることが問題視されております。低品質のカーボン・クレジットは、実際のGHG削減に寄与しない可能性があり、期待する環境への貢献が実現されないばかりか、カーボン・クレジットを利用する企業の信頼性が損なわれる可能性があります。キリングループカーボン・クレジット方針は、高品質で信頼性のあるカーボン・クレジットを購入するための対応策です。また、SBTネットゼロ目標への貢献には算入しておりませんが、商品戦略としてカーボン・クレジットを購入しオフセットする事例もあります。調達の際の対応策としても本チェックリストは有効と考えます。
さらに、当社グループでは内部炭素価格7,000円/t-CO2を設定し、将来発生し得る財務インパクトの試算に活用することで、コスト増のリスクを最小化する投資判断に用いております。
<財務的影響>
気候変動の移行リスクについて、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、カーボンプライシングが導入された場合、エネルギー調達費や原材料調達費が増える可能性があり、その影響が短期、中期、長期に及ぶ可能性があります。GHG排出量削減の戦略を進めることで2025年にて回避できたカーボンプライシングの費用はScope1+2で1,867百万円(基準年とする2019年に対し2025年にて削減できたScope1+2排出量266,668t-CO2×当社内部炭素価格7,000円/t-CO2)と見積もっております。なお、移行リスクが顕在化したことによる調達費への影響は区分して識別することが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
移行リスクの投資計画については、以下の投資計画及び処分計画をご参照ください。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
投資計画及び処分計画
当社はトランジション・リンク・ローンによる資金調達を実行しました(2023年1月実行:金額500億円、借入期間2023年~2033年、返済期限2033年。2023年7月実行:金額300億円及び370億円、借入期間それぞれ2023年~2028年及び2023年~2030年、返済期限それぞれ2028年及び2030年)。GHG排出量削減を主目的とした環境投資の指標としてNPV(Net Present Value)を使用し、投資判断枠組みには内部炭素価格を導入しております。そのKPIはScope1とScope2におけるGHG排出量の削減(基準年度2019年)であり、省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの拡大施策に活用します。2030年以降については、インフラの整備や技術革新を前提として今後検討予定でおります。また、今後「Scope3の移行計画」を検討していく中で「ネイチャーポジティブ」「サーキュラーエコノミー」に関する移行計画も合わせて検討し、統合的な計画として投資や費用を計画します。なお、当期の投資金額は1,996百万円でした。
(ⅲ)自然資本リスク― 原料
農産物原料の調達先における環境対策やGHG Scope3排出量の削減対策の実施は、持続可能なサプライチェーンの強化に繋がると期待しております。
サプライヤーや生産地とのエンゲージメントを深めてさまざまな課題を把握し、共同で解決していくことで、サプライヤーや生産地、当社グループのレジリエンス向上を目指します。
当社グループが2017年から行っているTCFD提言に基づくシナリオ分析により、気候変動がもたらす農産物や水資源への影響の甚大さを把握しました。そして、自然資本への影響を抑え、持続可能な地球を次世代に渡すためには、ネガティブインパクトを最小化し、ニュートラル化するだけでは足りないことが判明しました。このことから、当社グループの環境施策を、自社で完結するものから社会全体へポジティブな影響を与えられるものへと進化する必要性を認識し、取組みを進めております。
(a) ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンへの影響
自然資本リスク―原料については、サプライヤーの農産地に集中しており、物理リスクの脆弱性評価において、リスクがあると認識された原料には大麦やトウモロコシ、紅茶葉やコーヒー豆があります(「(ウ)戦略(ⅰ)気候変動リスク― 物理リスク(a) 調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスクに対する脆弱性」をご参照ください)。加えて、LEAPアプローチによる分析ではトウモロコシ、大麦、紅茶葉などの原料が当社の事業の依存度が高い原料として認識されております。リスクが顕在化した場合、これらの原材料の調達が不安定になるなどの影響が予想されます。
以上のことから、自然資本リスク(原料)として選定した、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクは以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
戦略1 持続可能な農園認証取得支援
前述「物理リスク」戦略2
戦略2 持続可能な森林認証
持続可能な林業や農業を拡大するための取り組みを継続し、認証紙や認証農園由来原料の使用割合を拡大していきます。
当社グループでは持続可能な紙の利用を「持続可能な生物資源利用行動計画」に定め、2020年に紙製容器包装における認証紙または古紙100%を日本国内の飲料事業で達成しました。同行動計画においては、2021年の改訂にて、対象の事業会社を拡大し、紙製容器包装において2030年までに持続可能性に配慮した紙を100%利用する目標に更新し、取り組みを進めております。
戦略3 持続可能なパーム油の調達
当社グループでは、「持続可能な生物資源利用行動計画」にパーム油使用の方針を定め、1次原料及び2次原料のパーム油使用において、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)認証油への切り替えを進めております。RSPOの認証クレジット(Book & Claim方式)を利用、および、物理的なRSPO認証パーム油の調達を併用し対応しております。RSPO、サプライヤー、NGOおよびさまざまなステークホルダーと連携し、調達先がRSPO認証パーム油を原料として使用できるように取り組みを行ってまいります。当社はRSPOに正会員として加盟し、「持続可能なパーム油ネットワーク(JaSPON)」に参加しております。
<財務的影響>
自然資本リスク(原料)について、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、農産物生産地・森林の環境が守られていない事案が発生した場合、既存顧客との関係悪化に伴う販売機会の喪失により売上が減少し、その影響が短期、中期に及ぶ可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積もることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。また、農園認証取得支援にかかる財務的影響は、物理的影響への対応戦略でもあり、その金額をリスク毎に区分することはできないため、定量的情報は物理的影響の財務的影響に記載しております。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:森林認証の調達費はキリングループ生物資源利用行動計画における対象会社8社を対象に収集しています。対象会社は(オ)指標及び目標(iii)自然資本(原料)*1(定義)をご参照ください。
*3:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
移行リスクの投資計画に加え、今後、ネイチャーポジティブに関する移行計画も合わせて検討し、統合的な計画として投資を計画します。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(ⅳ)自然資本リスク― 容器包装
商品の品質を維持しつつお客様に商品をお届けするためには、容器包装が必要ですが、その製造や運搬におけるGHGの排出は避けられないほか、容器包装の材料の過剰使用や使用済み容器包装の不適切な廃棄は自然資本の毀損につながりかねません。このような容器包装がもたらすさまざまな課題に対処するため、3Rを推進し、容器包装の軽量化やリターナブル容器の活用、リサイクル材の使用を進めてまいります。
(a) ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンへの影響
自然資本リスク―容器包装において、プラスチック容器、特に当社グループのプラスチック容器使用量の大半を占めるペットボトルに関し不適切な廃棄による地球環境への影響について社会的に課題が認識されています。これに対し、バリューチェーン全体でのサーキュラーエコノミーへの移行に向けた社会システム構築が必要とされております。リスクが顕在化した場合、ビジネスパートナーからのリサイクルプラスチックの供給不足や使用済み容器の不適切な廃棄への対応費用増加の影響が予想されます。
自然資本リスク(容器包装)として選定した、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクは以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
プラスチック容器を持続可能に循環する社会を目指し、リサイクルPET樹脂使用比率の向上のため、以下の戦略を取っております。グループ事業のポートフォリオ変化を踏まえ、今後はこれら国内取り組みに加え、海外での戦略を拡げていきます。
戦略1 R100ペットボトル
当社グループでは、2019年に制定した「プラスチックポリシー」に従ってリサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の採用を順次拡大しております。
このリサイクルPET樹脂は石油由来樹脂使用量を90%、GHG排出量を50~60%削減することができます。
2014年に「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」のパッケージの一部にリサイクルPET樹脂を使用しはじめ、その後、2019年にリサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」を「キリン 生茶デカフェ」に初めて採用し、R100ペットボトル採用製品を拡大しております。
戦略2 ケミカルリサイクルの拡大
2025年4月から、業界を超えた9社で連携し、飲料用ペットボトルと非食品用途PETを原料とするケミカルリサイクルにより、化粧品や飲料などの各種ペットボトルへリサイクルする取り組みを開始しました。本取り組みは、飲料用ペットボトルのケミカルリサイクル原料の一部を非食品用途PETへ拡大していくことで、これまでのリサイクルでは十分なプラスチックの資源循環には至らないという課題に対応することを目的としております。なお、非食品用途PETを原料に、飲料用ペットボトルとして再生する取り組みは国内初です。
2023年から、キリンビールが飲食店で展開する「Tap Marché(タップ・マルシェ)」及び「TAPPY(タッピー)」のビールサーバー用容器として使用している3Lのペットボトルにおいて、ケミカルリサイクル樹脂を導入しました。酒類のペットボトルにおいてケミカルリサイクル樹脂を導入するのは、日本初です。さらに、2025年12月から、会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」で使用する1Lペットボトルにもケミカルリサイクル樹脂の導入を拡大しました。
戦略3 使用済みペットボトル回収の社会システム構築
当社グループは、PETボトルリサイクル推進協議会の一員として、ペットボトルのリサイクルを推進しております。PETボトルリサイクル推進協議会の第4次自主行動計画(2021~2025年度)では、リサイクル率85%以上の目標に向けて取り組んでおります。2024年のリサイクル率は85.1%で、目標を達成しました。
キリンビバレッジでは、自動販売機横に清涼飲料業界統一仕様の異物混入を削減する新機能リサイクルボックスを2022年10月より導入開始し、2024年末には累計2万個以上を設置しました。今後も業界とともにボトルtoボトル水平リサイクルの取り組みを推進していきます。
<財務的影響>
自然資本リスク(容器包装)について、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、バージンプラスチック使用に対する規制への対応コスト増加の影響が中期に及ぶ可能性があります。また、プラスチックの取扱い及び廃棄などに関連した指摘によるレピュテーションリスクが生じ、売上が減少する可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積もることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
移行リスクの投資計画に加え、今後、サーキュラーエコノミーに関する移行計画も合わせて検討し、統合的な計画として投資を計画します。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略―レジリエンス
レジリエンス評価に用いた気候変動に関するシナリオ分析、自然資本に関連する分析評価の詳細については、「(イ)リスク管理」をご参照ください。
(ⅰ)気候変動(物理リスク、移行リスク)
(a) 気候変動レジリエンス
認識したリスクに対し、戦略を策定し実行することで、グループの持つ強みを活かした対応により不確実性を減らし、経営のレジリエンスを高めます。
(b) 経営戦略、ビジネスモデルへの影響
1)物理リスク
製造拠点(工場)における水リスク・水ストレスなどを、最新のデータ(Aqueduct4.0)で検証した結果、全体的にリスクレベルが上がっていることがわかりました。農産物に関しても、気候変動の対策を十分行わない場合(シナリオ3に該当)では、2050年(一部は2100年)の段階で、主要な原料農産物の収量や水リスク・水ストレスによる大きな影響は避けられないと判断しております。しかしながら、従来から行っている戦略により、現時点においてビジネスモデルを変更する必要はないと考えております。
2)移行リスク
カーボンプライシングによるエネルギー費用へのインパクトについて、早期に「SBT1.5℃」目標を達成することで46億円(2030年、2℃シナリオ)のエネルギー費用削減効果があると試算されました。2050年までにネットゼロを達成できない場合は、カーボンプライシングのエネルギー費用への影響は無視できないレベルになる可能性があります。農産物価格へのカーボンプライシングによる財務インパクトの試算結果は、気候変動の物理的な影響による農産物価格の財務インパクトと同程度となっております。これらリスクに対し、当社グループでは2050年の「SBTネットゼロ」目標に整合したロードマップを作成し、これに基づいたGHG排出量削減戦略の着実な実行を進めております。戦略実行における投資では、内部炭素価格を用いた試算による投資判断、トランジション・リンク・ローンなどによる資金調達、高品質なカーボン・クレジット採用に向けた環境整備により、コスト増のリスクを最小化した上での「SBT1.5℃」目標達成に向けた取り進めを行っております。これら従来の戦略により、現時点においてビジネスモデルを変更する必要はないと考えております。
(c) 重大な不確実性のある領域
さまざまなシナリオとそれに伴う気候関連の影響をモデル化する際には、多くの不確実性や判断が必要となります。当社グループの気候レジリエンス評価において考慮された重要な不確実性の領域は以下のとおりです。
1)異なるシナリオにおける利益への潜在的な影響
TCFDガイダンスで求められたシナリオ分析へいち早く対応すると共に、複数のシナリオ下にて潜在的な財務影響を推定してきました。例えば、水リスクにおいて、過去の洪水災害による財務インパクト実績(10~50億円相当)に対し、製造拠点の水リスクをAqueduct4.0および自治体が作成しているハザードマップなどを使用した調査・分析や、風水害シミュレーションシステムを利用した洪水リスクの損害予想把握を進めています。ただし、シナリオ分析で想定した気候変動による影響と、算定した財務影響の推定が、将来の気候変動による実際の影響と異なる場合があります。
2)将来の洪水の頻度と強度
気候変動、特に温室効果ガス排出量の増減がグループの主要供給地域における渇水や大雨洪水の頻度と強度にどのように影響するかについては大きな不確実性があります。これらの不確実性は、気候予測の変動性や、気象パターンの変化や気候条件の進化による降雨量の予期しない変化から生じます。
(d) 戦略とビジネスモデルの調整にかかるケイパビリティ
グループの戦略とビジネスモデルは、最も可能性の高い基準シナリオ(前述のシナリオ1)に基づいており、これには適応計画や行動が含まれます。これらの適応計画と行動には、代替材料や生産プロセスの探索、サプライヤーの多様化、これらの取り組みを支援するためのリソースの再配分が含まれます。グループのアプローチは機敏さを保つことであり、気候変動に対応するための戦略とビジネスモデルの調整・適応能力を以下のように評価しております。
1)資金の利用可能性と柔軟性
当社グループには有事の際(気候変動に起因する災害発生も含む)、必要な資金を調達するための仕組みと、そのガバナンスが存在します。
長期短期の様々な資金調達手法を行っており、必要に応じた短期資金としての流動的調達も含め、柔軟な対応が可能です。
2)既存資産の再配置、再利用、性能向上(アップグレード)
資源の再配置、再利用などの判断をするメカニズムがグループ内には存在しており、シナリオ分析においても十分な資産を備えていると評価しております。そのため、短期的には資産を大規模に再配置、再利用、又はアップグレードする必要はないものと見込んでおります。
当該メカニズムが機能した事例としては、例えば、浸水被害を受けた製造拠点に替わって近隣の製造拠点で製造量をカバーし財務への影響を最小限にとどめたケースがあります。また、当該メカニズムを可能とする具体的な施策としては、複数製造拠点の保有、BCP観点を踏まえた調達システムの整備、などが挙げられます。
3)気候関連の緩和、適応、及び機会への投資
気候変動の緩和を目的として、Scope1+2、3の排出削減率目標達成に向けた施策の実行に伴い、必要な投資の整理と財務への影響を試算したうえで、投資を実行して施策の推進を図ります。詳しくは「(ウ)戦略 (ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク 投資計画及び処分計画」をご参照ください。この際、トランジション・リンク・ローンによる資金調達を実施し、設備投資などの資本投下によってScope1+2,3の排出量は確実に削減されております。Scope1+2の排出削減率目標達成のために「省エネ」「再エネ拡大」「エネルギー転換」に取り組んでおり、例えば「省エネ」はヒートポンプの導入にてエネルギー効率向上+電化(再エネ使用)の推進に投資をしております。削減は計画通りに進んでおりますが、2030年以降は水素エネルギー転換に向けた投資計画があり、さらに当社グループのケイパビリティを高めます。Scope3の排出削減率目標達成のために、資材の軽量化の取組みや、研究開発要素としてGHG低減を見込んだ原料の探索・開発・製品への展開にも、継続した投資を実行しております。今後の投資予定としては、自社敷地内の再エネ導入の拡大、EV・燃料電池トラックへの切り替えなどを検討しております。
4)リスク及び機会の間のトレードオフの考慮
当社グループはリスクに対する単独の解決策ではトレードオフのリスクがあることを認知しており、ランドスケープアプローチを採用するなど、課題を多面的にとらえながら取組を推進しております。例えば、新たな再生可能エネルギー電源を世の中に創出する「追加性」と、環境負荷や人権に配慮したエネルギーを利用する「倫理性」はトレードオフとなる可能性があることを認識し、再エネ採用及び調達時にはこれらを重視したチェックポイントを含むキリングループ環境価値導入方針に則って事前調査を行っております。これまでの事前調査ではトレードオフとなる事象は顕在化していません。
(ⅱ)自然資本(原料・容器包装)
(a) 自然資本(原料)レジリエンス
気候変動のシナリオ分析(詳細は(イ)リスク管理(ⅱ)リスクの識別をご参照ください)の結果において、農産物の収量減がリスクとして挙がっていますが、(b)経営戦略、ビジネスモデルへの影響 1)で示す通り、従来から行っている戦略により、現時点においてビジネスモデルを変更する必要はないと考えております。
また、「自然関連への事業の依存度」「事業が自然に与える影響度」の評価結果に加え、EUDR(European Union Deforestation Regulation)やSBTN(Science Based Targets Network)リストの集載の有無、調達量、戦略上の優先順位、を総合的に判断し、今後より詳細なリスク・機会の評価を行うべき優先農産物を特定しました。現在、 LEAPアプローチに沿って優先農作物の詳細な分析を進めております。LEAPアプローチに沿った分析の先行事例であるスリランカの紅茶農園のケースからはリスク低減・機会獲得の観点からも、レインフォレスト・アライアンス認証取得支援や、リジェネラティブ・ティー・スコアカードの普及が有効であると考え、目標を達成するための指標の1つとしております。
これから更にLEAPアプローチに沿った分析を進める中で、対応戦略やビジネスモデルの見直し要否を検討してまいります。
(b) 自然資本(容器包装)レジリエンス
自然資本(容器包装)の負の影響に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループでは、「容器包装」に関する大きな社会課題の1つである「プラスチック廃棄物課題」の解決に向けた取り組み方針「キリングループ プラスチックポリシー」を2019年に策定し、プラスチックが抱える本質的な課題を把握し、グループ各社が提供するプラスチック容器包装等に対する適切な取り組みを迅速に進めることで、プラスチックの持続可能な使用及び資源の循環を推進しております。バージンプラスチック使用に関する規制の導入による使用制限や、リサイクル材料の使用義務化が生じた場合でも、これまでに培ってきたリサイクルプラスチックの採用技術や、その他素材も対象とした容器包装開発力を活かし、バージンプラスチックの使用量を減らすことでその影響を小さく止める方針です。当社グループは、自社内で容器包装の開発や改良、その課題解決を行うパッケージイノベーション研究所を保有しております。その強みを生かし、容器包装の変革を通じて、サーキュラーエコノミーの実現に貢献することを目指しています。容器包装の軽量化などでScope3排出量の約12%を占める輸送のGHG排出量を削減するとともに、ケミカルリサイクルの拡大や社会全体でプラスチックが循環する社会の構築にも取り組み、サーキュラーエコノミーに貢献します。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、中期的に自然資本(容器包装)の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、自然資本(容器包装)に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
なお、自然資本(原料)および自然資本(容器包装)のレジリエンスへの対応にあたっては、短期的なコストの増加や選択肢間の優先順位といった制約(トレードオフ)が生じる可能性があることを前提としております。当社グループではこうした前提条件を踏まえつつ、中長期的なリスクの低減及び事業レジリエンスの向上を重視した選択、意思決定を行っております。
(オ)指標及び目標
当社グループは、社会的価値と経済的価値を創出するCSV経営の実現に向け、非財務目標を事業会社及び主管部門と連携して設定しております。目標は、グループとしての「目指す姿」および重点テーマに基づき年度計画プロセスで整合性を確認し、翌年度に注力すべき項目は役員報酬と連動する重点非財務指標として取締役会の監督のもと決定しております。進捗は四半期ごとに集約し、CSV戦略部で統合した上で全社的にレビューし、評価結果は役員報酬の非財務評価にも反映されます。
(ⅰ)物理リスク
当社グループは、以下のとおり、物理リスクに関連する目標を設定しております。
これらの目標は当社独自の目標として開発されたものです。また当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:特段の記載が無い場合、目標の対象は当社グループ全体を指しております。
*2:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
指標は絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
目標は相対指標(%)であり、第三者によって認証されておりません。
*3:指標及び実績と目標値の単位が異なるため直接の比較ができないことを認識しております。今後、単位を揃えた管理に移行予定です。本年実績は目標に対し計画に沿って順調に推移していることを確認しております。
*4:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*5:FB-AB-140a.1, FB-NB-140a.1, FB-PF-140a.1
*6:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
水ストレスが高い製造拠点における用水使用原単位は、当社グループの中期経営計画における経営目標と一致しております。
調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスク(脆弱な事業活動)において、脆弱な比率はビール大麦やホップ、トウモロコシが高い結果となりました。しかしながら、生産地への依存性が高く代替品調達の困難な紅茶葉の調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)に対する戦略を設けており、指標及び目標においては紅茶葉を中心として設定しました。なお、“調達先の分散”も物理リスクに対する戦略の1つですが、調達戦略からも影響を受け非財務情報の観点だけでは管理できないため、指標設定はしておりません。
<目標設定についての補足説明>
目標、指標、及びその方法論は第三者によって検証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
物理的リスクの低減に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
(ⅱ)移行リスク
当社グループは、移行リスクに関連する目標を設定しております。これらの目標のうち、脱炭素社会への移行リスクに対する目標は、パリ協定を踏まえた我が国の気候変動への取組みに沿って、2030年度の中間目標として設定したものです。当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:特段の記載が無い場合、目標の対象は当社グループ全体を指しております。
*2:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
相対指標であり、第三者によって認証されておりません。
SBTiのコーポレートネットゼロ基準に沿った温室効果ガス排出削減目標を設定しています。ただし、SBTiにおけるセクター別アプローチに当グループが該当する設定がないことから、セクター別脱炭素アプローチを用いた算定はしておりません。
*3:「ネットゼロ(2050年)」目標の内訳として、基準年比△90%のグロス目標を掲げております。
*4:FB-AB-130a.1, FB-NB-130a.1, FB-PF-130a.1
*5:FB-AB-000.B, FB-NB-000.B, FB-PF-000.B
当社のGHG排出量削減は、SBTi基準に沿ったScope1+2及びScope3の目標を設定しており、2020年に「SBT1.5℃」目標、2022年には「SBTネットゼロ」目標の認定を取得しております。このため、Scope1+2削減率及びその目標は、管理している範囲がSBT認証取得における事業活動の範囲となり、SSBJ基準が開示を求める集計範囲とは異なります。SSBJ基準が開示を求める集計範囲でのGHG排出量については以下の≪産業横断的指標― GHG排出量≫をご参照ください。また、Scope1+2の削減率及び目標は当社グループの非財務指標と一致しております。再生可能エネルギー比率は当社グループのローリング方式の3年経営計画における経営目標と一致しております。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
移行リスクの低減に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
≪産業横断的指標― GHG排出量≫
(a) GHG排出量算定にかかる前提
1) 目標数値の時間軸について
GHG排出量にかかる目標数値については、その影響がその他のリスク及び機会よりも長期間にわたると考えられること、及び、ネットゼロに関してはSBTとしての認定を取得し、その時間軸に合わせた移行計画「キリングループ環境ビジョン2050」を設定していることから、時間軸を以下のように設定しました。
短期(2025年から2027年まで)
中期(2028年から2030年まで)
長期(2031年から2050年まで)
このため、ネットゼロおよびグロス目標の目標年はそれぞれ2050年、2030年に設定しております。
2) 報告バウンダリ(データ収集範囲)
当社グループの集計範囲は、GHGプロトコルにおける経営支配力アプローチに基づいております。当社グループは、当該アプローチを使用することが、グループの温室効果ガス排出量を測定するための最も適切な方法であると考えております。これは、所有権の有無にかかわらず、オペレーションの管理を行っている事業体や資産が複数存在し、これらを含めて測定することが当社グループの温室効果ガス排出量の実態を適切に表すと考えられるとともに、指標及び目標に関する開示目的と関連しているためです。
グループがオペレーションの管理を行っている事業体、資産、オペレーション活動自体からのGHG排出量は、保有割合にかかわらず、グループが報告する温室効果ガス排出量に100%の数値で含まれます。これらはScope1又はScope2の温室効果ガス排出量として報告されます。また、これらの事業体、資産、及びオペレーションのバリューチェーンで発生する追加の排出量は、Scope3の排出量として報告されます。グループがオペレーション管理を行っていないバリューチェーン内の事業体、資産、及び運用からの温室効果ガス排出量の関連部分は、グループのScope3排出量の一部として報告されます。
3) 測定アプローチ、インプット及び仮定
Scope1
「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下「『GHGプロトコル(2004年)』」という)に従い、活動量×排出係数×地球温暖化係数、又は活動量×CO2相当量に変換されている排出係数、で算定しております。なお、当社グループはSBTにおける特定の事業セクターに該当しないため、Sectoral Decarbonization Approach(SDA)による算定は実施しておりません。
当社グループでは、すべての排ガスの濃度・流量を測定して排出量を算出するなど、温室効果ガス排出を直接測定していないため、以下の見積りの方法に基づきScope1温室効果ガス排出を測定しております。
<算定ガス・活動量>
当社グループにおけるScope1排出の発生要因は、主として①化石燃料の燃焼(工場設備、製品輸送(自社輸送)、営業車両)に伴うCO2、CH4及びN2O排出、②化石燃料由来の購入CO2の大気放出、③冷媒使用機器からのHFC及びPFC漏洩、④排水処理に伴うCH4及びN2O排出です。
上記の排出に対し、活動量は当該年度の①燃料使用量、②化石燃料由来の購入CO2の大気放出量、③冷媒使用機器からのHFC及びPFC漏洩量、④処理前排水に含まれる汚濁負荷量及び窒素量です。
<排出係数>
原則として当年度末時点で入手可能な最新の排出係数を使用します。地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書における係数を使用しております。ただし、使用する排出係数が、既に構成する温室効果ガスをCO2相当量に変換したものである場合、当該係数を使用しております。
オーストラリア:Australian National Greenhouse Accounts Factors
ニュージーランド:NZ Ministry for the Environment. Measuring Emissions guide
アメリカ:U.S. EPA Emission Factors Hub
上記以外の国:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」係数
Scope2
「GHGプロトコル(2004年)」に従い、活動量×排出係数×地球温暖化係数、又は活動量×CO2相当量に変換されている排出係数、で算定しております。なお、当社グループはSBTにおける特定の事業セクターに該当しないため、SDAによる算定は実施しておりません。
開示はロケーション基準により行っており、主要な利用者の理解に情報をもたらすために必要な契約証書があるため、マーケット基準による排出量についても開示しております。なお、当社グループでは、すべての排ガスの濃度・流量を測定して排出量を算出するなど、温室効果ガス排出を直接測定していないため、以下の見積りの方法に基づきScope2温室効果ガス排出を測定しております。
<算定ガス・活動量>
当社グループにおけるScope2排出の発生要因は、他社から供給された電力・蒸気・温水・冷水の使用に伴うCO2、CH4及びN2O排出です。活動量は当該年度に他社から供給された電力・蒸気・温水・冷水の使用量です。
<排出係数(ロケーション基準)>
ロケーション基準では、各国の供給系統の平均係数を用いております。ロケーション基準は系統全体の排出強度を反映するため、地域の電源構成に伴うリスクや機会を示す指標として活用しております。なお、他社から供給された電力の排出係数について、環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の全国平均係数を用いる場合は、送配電ロス率を加味して送電端ベースの係数にし、発電時のCH4・N2O排出量も加味した上で使用しております。
原則として当年度末時点で入手可能な最新係数を使用します。地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書における係数を使用しております。ただし、使用する排出係数が、既に構成する温室効果ガスをCO2相当量に変換したものである場合、当該係数を使用しております。
<電力>
日本:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の全国平均係数
上記以外の国:国際エネルギー機関(IEA)「Emission Factors」
<蒸気>
アメリカ:U.S. EPA Emission Factors Hub
上記以外の国:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」係数
<温水・冷水>
全ての国:環境省・経済産業省「熱供給事業者別排出係数」の代替値
<排出係数(マーケット基準)>
マーケット基準では、各供給事業者が公表する排出係数を用い、無い場合は各国の供給系統の平均係数を用いております。なお、他社から供給された電力の排出係数について、環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」を用いる場合は、送配電ロス率を加味して送電端ベースの係数にし、発電時のCH4・N2O排出量も加味した上で使用しております。
再生可能エネルギー電力または蒸気(証書活用のみなしを含む)は、排出係数をゼロとして算定します。当社グループは、非化石証書やREC/I-REC等を活用して再生可能エネルギーを調達しております。証書は、①事業所と同一電力市場で発行されていること、②発電期間が対象年度の6か月前から3か月後の範囲内であることを確認したうえで採用しております。
原則として当年度末時点で入手可能な最新係数を使用します。地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書における係数を使用しております。ただし、使用する排出係数が、既に構成する温室効果ガスをCO2相当量に変換したものである場合、当該係数を使用しております。
<電力>
日本:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」における、利用する電力会社の該当するメニューの基礎排出係数
上記以外の国:各供給事業者が公表する排出係数
上記が無い場合:
日本:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の全国平均係数
上記以外の国:国際エネルギー機関(IEA)「Emission Factors」
<蒸気>
アメリカ:U.S. EPA Emission Factors Hub
上記以外の国:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」係数
<温水・冷水>
全ての国:環境省・経済産業省「熱供給事業者別排出係数」の代替値
温室効果ガス排出量の定量化は、活動量データの測定、及び排出係数の決定に関する不確実性並びに地球温暖化係数の決定に関する科学的不確実性にさらされております。
≪産業横断的指標― 資本投下及び内部炭素価格≫
「(ウ)戦略 (ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク 投資計画及び処分計画」をご参照ください。
(ⅲ)自然資本(原料)
当社グループは、持続可能なサプライチェーン強化に関連する目標を設定しております。
これらの目標は当社独自の目標として開発されたものです。また当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
目標の対象となるグループ全社の社数は2025年末時点の社数を記載しております。
*2:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
相対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
自然資本(原料)リスクの低減に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
(ⅳ)自然資本(容器包装)
当社グループは、リサイクルPET樹脂利用に関連する目標を国内対象に設定しており、今後海外含めた設定を予定しております。
本目標は当社独自の目標として開発されたものです。また当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:FB-AB-410a.1, FB-NB-410a.1
集計範囲はキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの3社。
*2:FB-AB-410a.1, FB-NB-410a.1
集計範囲はキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、Lion、New Belgium Brewing Company, Inc.、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.、Interfood Shareholding Company、Vietnam Kirin Beverageの8社。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
国内におけるリサイクルPET樹脂の目標達成に向けて、計画通り進捗しております。