2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、リスクを管理する体制・枠組みについては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項」に記載しております。

リスク項目

顕在化の時期

発生可能性

影響度

リスクの説明

リスク対策

市場環境の変化が及ぼすリスク(社会情勢・人口動態・消費者ニーズ等)

長期

国内人口減少・少子高齢化・物価高騰等の経済情勢による消費需要低迷、グルテンフリー商品への需要の高まり等消費者の食に対するニーズ・嗜好等の変化が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、開発キーワードとして『7K』(健康・簡便・高品質・買い置き・経済性・国産・環境)を掲げており、市場を取り巻く環境変化に対し、ブランド商品の価値向上を図るとともに、新たなコンセプト提案による市場の創造、及び付加価値型商品による市場の活性化に取り組んでおり、今後も継続した取り組みを行うことで、環境の変化に対応してまいります。

物流に関するリスク

 

長期

物流業界におけるドライバー不足が喫緊の問題として挙がっており、今後、市場への商品供給力の低下と商品供給力を確保するためのコストアップが予測されます。

このような物流の問題に対して、当社グループは、得意先に対して納品リードタイムの延長をお願いし、パレットサイズの見直しを行う等物流の効率化を進めてまいります。また、チルドの新センターを活用し、配送距離の短縮化にも努めてまいります。その他、環境負荷の少ない船舶や鉄道での輸送の検討及び一部運用を開始することで、供給量の確保やコスト高騰を抑える努力をしてまいります。

原材料及びエネルギーの調達並びに価格高騰(穀物相場・為替の変動等)に関するリスク

中期

当社グループの商品を生産するためには、原材料及び天然ガス等のエネルギーが必要となります。今後も、ウクライナ情勢の長期化、地球温暖化に伴う天候不順による不作、投機的取引の介入等により、当社グループの主原料であります小麦やそば粉が国際情勢の影響等で調達できない場合や原材料及びエネルギーの需給逼迫や価格高騰が予想されます。このような場合には安定的な商品供給並びに適切な製造コストでの商品供給に支障をきたすこととなります。また、商品の価格を改定せざるを得ない場合には、販売量が減少する等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この事態を回避すべく、当社グループでは原材料の仕入におきまして集中購買体制を継続することにより、主要原材料の安定的な調達と適切な価格での購入ができるよう、最大限の努力をしてまいります。また、海外原料について、国際情勢の変化により調達が困難となることを想定して、国産原料の比率を高めてまいります。その他として、主な原材料の調達先を複数にすることにより、安定調達に対するリスク低減を図ってまいります。更に、商品価格改定をせざるを得ない場合には、お客様に満足をして頂けるだけの品質、価値を備えた商品の提供を行ってまいります。

食の安全性に関するリスク

中期

近年、食品業界におきましては、食中毒問題、異物混入、アレルギー誤表示等消費者の安全性に対する関心が高まっております。このような環境下で予期せぬ品質事故によりお客様への健康被害、大規模な商品回収や製造物責任賠償等の事象が発生した場合、多額のコスト負担、当社グループへの信用力低下に伴う売上高の減少により、当社グループの業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、FSSC22000(食品安全マネジメントシステムの国際規格)の運用(維持・更新)による食品安全の強化を徹底しております。また、事故を未然に防ぐための検査装置の導入を進めることで、今後も安全・安心の確立を最重点に取り組んでまいります。

 

 

リスク項目

顕在化の時期

発生可能性

影響度

リスクの説明

リスク対策

人手不足リスク

長期

当社グループの商品を継続的に生産・販売するためには、安定的な人員の確保が重要な課題となります。しかしながら、近年は少子高齢化による労働人口の減少や雇用の流動化に伴って人材確保の難易度は上がっており、計画に対する採用人数の不足や予期せぬ人材の流出等によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは賃金制度の改定、学生への広報活動の強化など採用活動の強化に取り組むとともに、従業員の働く環境の整備、当社グループの従業員が働きがいをもって仕事に従事できる取り組みを行うことにより、従業員満足度の向上を図ってまいります。一方で、省人化への投資やDXについても取り組んでまいります。

固定資産の減損リスク

長期

当社グループは、土地、建物、機械装置等様々な資産を所有しております。この所有資産が、外部環境の急激な変化や、時価の下落等により、想定していた投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

今後も、新工場の設立や新たな設備の導入等新規投資を実行する場合は、投資効果や、回収可能性を十分に検証してまいります。また、投資実行後は投資効果の測定を行うことにより、投資の有効性を確認し、投資の有効性が確認出来ない場合には、有効活用策の検討を進めてまいります。

自然災害・事故・感染症リスク

中期

当社グループは、生産拠点として東北から関西地区まで複数の工場を有しており、地震や火災、台風被害、労災、感染症が発生した場合には、操業停止を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特にコロナ等の感染症発生時には外食市場の縮小・停滞が予測され、当社グループの業務用事業部門の業績及び収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは日頃から災害・感染防止対策と設備点検を行うとともに、大きな被害、感染拡大等を受けて操業停止を余儀なくされた工場が発生した場合でも他工場から製品供給可能な体制をとる対応をしております。また、コロナ等の感染症発生時には、需要が高まる家庭用事業部門の販売拡大を行い、業績及び収益の落ち込みを最小限に抑える努力をしてまいります。

情報セキュリティに関するリスク

中期

不正アクセス等の不測の事態により、お客様の個人情報や機密情報が外部に漏洩するような事があった場合やランサムウェアの発生により当社の受発注ができなくなり、商品の供給ができなくなった場合には、信用失墜による売上減や損害賠償等による費用増加が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、企業が取り扱う機密情報や個人情報の管理が非常に重要であると認識しており、ネットワーク出入口へのファイアウォールの設置及び当社グループ全体でセキュリティソフトを導入する等情報セキュリティの強化を行うとともにインサイダー取引防止規程の制定・遵守を行うことで、内部情報の流出管理を徹底しております。特に、効率的で安定した事業活動遂行を担保するため、ISO27001の認証を取得しました。また、サイバー攻撃全体への対応として外部からの不正アクセスを監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しました。その他、不正アクセスへの接触頻度を極力抑えるために、全ての従業員に対し、会社より貸与したPC・携帯電話の私用での使用を禁止するよう、周知徹底をしております。

業績の季節偏重に関するリスク(注)

短期

当社グループは、春夏期と秋冬期で比較した場合、春夏期の方が高い収益構造となっております。高収益である春夏期が冷夏や天候不順となった場合には計画どおりの収益が確保できない可能性があります。

当社グループは、業績の季節偏重を解消するため、秋冬期の収益改善・底上げに尽力してまいります。主な取り組みとして、秋冬期における既存主力商品の育成に傾注するとともに、消費者ニーズを捉えた価格競争に巻き込まれない付加価値を備えた商品の開発を行ってまいります。

 

 

リスク項目

顕在化の時期

発生可能性

影響度

リスクの説明

リスク対策

環境への負荷リスク(廃棄麺、資材等のロス等)

短期

近年、気候変動をはじめとした環境問題が深刻化し、世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の規制が強まっております。今後、二酸化炭素の排出量に応じて課金をする制度「カーボンプライシング」等費用負担を伴う環境規制のさらなる強化等が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、環境行動指針として、環境関連法規の遵守、資源・エネルギーの有効利用、継続的な環境改善、環境保全意識の醸成、情報の公開を定めております。このような行動指針に基づき、エネルギーの有効活用、包装容器の軽量化・薄肉化、賞味期限の延長等に今後も取り組んでまいります。

法的規制リスク

短期

当社グループは、事業活動を遂行するにあたり、食品衛生法、食品表示法、景品表示法、製造物責任法、不正競争防止法、環境・リサイクル関連法規等、様々な法的規制を受けております。当社グループとしては、各部門においてすべての法的規制を遵守するように取り組んでおりますが、法規制を逸脱した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、商品企画、研究開発等その事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を払っておりますが、第三者から知的財産権侵害に係る不測の訴訟を提起された場合、その結果によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、各部門において関連法規一覧表を作成し、自部門に関連する法規についての認識を高め、遵守するよう、努めております。また、開発、研究等に関する特許・商標等の知的財産権の侵害に関しては、所管部門で確認を行うとともに、外部機関を活用した確認を継続して実施することで、知的財産権の侵害を起こさぬよう、細心の注意を払っております。

特定商品への依存リスク

短期

当社グループにおいて、お客様から高い支持を頂き、長年にわたり売上・利益に高く貢献している商品があります。このような商品の販売不振により、当社の収益性が低下し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとして、特定商品への依存リスクを低下させるべく、特定商品以外の収益貢献度の高い既存ブランド商品の育成に今後も取り組むとともに、売上・利益貢献度の高い新商品の開発・販売に取り組んでまいります。

競合性リスク(新規技術・価格戦略等)

短期

当社グループが業界や消費者ニーズの変化を十分に予測できず、消費者に受け入れられる魅力ある新商品の開発ができない場合や競合他社による商品価格の値下げ、消費者ニーズを捉えた大型新商品の投入、広告販促費の積極的な投入等により、当社グループの競争優位性が損なわれる場合には、市場におけるシェアを奪われ、収益性が低下することとなり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、市場開拓の先駆者として付加価値商品の開発・販売に長年注力しており、麺の商品開発・生産、品質管理において競争優位性があると考えております。今後も、消費者ニーズを的確に捉え、当社の技術力で対応することで、価格競争に巻き込まれない商品の開発・販売を展開してまいります。また、既存の技術力に甘んじることなく、今後も技術力を磨き続ける努力をしてまいります。

 

(注) 2025年3月期 売上高に関する情報

(単位:百万円/%)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年間

 

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

金額

売上高

10,351

26.1

11,510

29.0

9,499

24.0

8,262

20.9

39,625

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、設立以来一貫して当社の置かれている環境や経営基盤の強化と今後の事業展開等を考慮したうえで、株主への安定した利益還元を重要な課題の一つと考えて事業の経営にあたってきました。この基本方針のもと、当社の株主還元方針は、連結配当性向30%~40%を目安とした安定配当を実施することとしております。

また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、会社法第459条1項の規定に基づき、取締役会である旨を定款に定めております。

当事業年度の配当については、上記の基本方針のもと、期末配当金として1株当たり普通配当22円に上場記念配当10円を加えた32円とし、既に実施した中間配当20円と合わせて、1株当たり年間52円といたしました。この結果、当期の配当性向は31.0%となりました。

内部留保金の使途につきましては、中長期の視点に立った経営体質の一層の充実や事業領域の拡大に向けた研究開発体制の強化、生産設備や人的資本の拡充等に、柔軟かつ効果的に投資してまいりたいと考えております。

 

当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たりの配当額

(円)

2024年11月12日

取締役会決議

304,113

20.00

2025年5月20日

取締役会決議

486,578

32.00