2024年4月期有価証券報告書より
  • 社員数
    5,226名(単体) 7,929名(連結)
  • 平均年齢
    41.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.7年(単体)
  • 平均年収
    6,545,964円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年4月30日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

リーフ・ドリンク関連事業

6,844

(1,964)

飲食関連事業

871

(9,004)

その他

214

(4)

合計

7,929

(10,972)

(注)1 従業員数は就業人員であり、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含んでおります。

2 臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年4月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

5,226

(1,515)

41.5

17.7

6,545,964

 

セグメントの名称

従業員数(名)

リーフ・ドリンク関連事業

5,226

(1,515)

合計

5,226

(1,515)

(注)1 従業員数は就業人員であり、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含んでおります。

2 臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性従業員の割合(%)

   (注)1.

男性従業員の育児休業取得率(%)

   (注)2.

従業員の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全従業員

うち正規雇用従業員

うち臨時従業員

3.7

43.1

62.0

79.8

80.7

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性従業員の割合(%)

 (注)1.

男性従業員の育児休業取得率

  (%)

 (注)2.

従業員の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全従業員

うち正規雇用従業員

うち臨時従業員

タリーズコーヒージャパン㈱

77.4

74.0

104.9

ネオス㈱

3.6

10.0

60.0

91.4

100.1

伊藤園産業㈱

13.3

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 「-」は、上記準拠法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年4月30日)現在において当社グループが判断したものであり、様々な要因により実際の結果とは大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ経営の推進

 当社グループにとって、サステナビリティへの対応は、持続可能な成長を実現するための重要な経営基盤です。経営理念「お客様第一主義」に基づき、自然由来の製品を主として、誠実なサービスでお客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献する「健康創造企業」として、「心身の健康」「社会の健康」「地球環境の健康」の3つの健康価値を創造し、サステナビリティ経営の推進と実践により、社会・環境課題の解決と企業価値向上の両立(共有価値の創造:CSV)を目指しています。「伊藤園グループサステナビリティ基本方針」のもと、7つのマテリアリティ(重要課題)を経営戦略に据え、長期ビジョン「世界のティーカンパニー」の実現に向けて、中期経営計画と相互に連動させた取り組みを進めております。

 

①ガバナンス

 当社グループは、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題をリスクの減少・収益機会につながる重要な経営課題であると認識しております。サステナビリティ経営の推進と強化のため、サステナビリティ推進委員会を設置し、年4回開催しています。本委員会は、代表取締役社長を委員長とし、サステナビリティ推進担当役員(CSO)、人事・人権推進担当役員(CHRO)、生産・物流、マーケティング、営業、国際、管理等の担当役員及び主要各部門長で構成され、サステナビリティ推進体制の確立及び運営、マテリアリティの特定及び見直しと取り組みの推進、社会・環境課題に関する対策と方針を検討しています。

 伊藤園グループ全体でのサステナビリティ経営を推進するため、2022年度からCO排出量の算定など順次グループ会社での対応を開始し、2023年度からはサステナビリティ推進委員会を発展させ、グループ会社の経営層も参加する体制としました。また、年4回開催の本委員会のほかに重要テーマ別分科会及びワーキンググループを設置し、テーマごとの議論を進めています。

 サステナビリティ推進委員会にて検討された重要事項は、執行役員会及び取締役会に報告・審議され、経営戦略に反映しております。

 

②戦略

 当社グループは、外部環境の変化に対応するため、経営課題として取り組む領域として7つのマテリアリティ(「食生活と健康への貢献」「持続可能な農業への貢献」「環境」「地域社会・コミュニティとのつながりの深化」「持続可能なサプライチェーンへの貢献」「多様な人財と全員活躍の推進」「コーポレート・ガバナンス」)を特定し、中期経営計画と連動した取り組みを推進しております。

 

<食生活と健康>

 当社グループは、健康寿命の延伸や心身の充足に貢献する研究開発と、栄養改善や健康に資する製品・サービスの提供を通じて、お客様の健康で豊かな生活の実現に取り組んでいます。

 ビタミン・ミネラル等の摂取不足や、脂肪・砂糖・塩分等の過剰摂取といった世界的な栄養課題をはじめ、認知機能、フレイル(高齢者虚弱)等の加齢に関連する健康課題に対し、お茶のリーディングカンパニーとして、緑茶や抹茶成分の機能性に関する研究を推進しています。2023年12月には、カテキン分析において試験所認定の国際規格であるISO/IEC17025を取得しました。今後も、国際基準に適合した精度の高い結果をお客様に提示できるよう技術力を高め、製品の安心・安全への取り組みを強化していきます。

 また、研究成果やお茶の健康価値を「伊藤園ウェルネスフォーラム」等を通じて広く発信し、「お茶」を通じたつながりを創出することで、心と体の両面からお客様の健康をサポートしてまいります。

 

<持続可能な農業>

 1976年から取り組む茶産地育成事業では、高品質な原料茶の安定調達に加え、荒廃農地などの茶畑への転換や環境配慮型農業の推進により、持続可能な農業の実現に取り組んでいます。

 緑茶や抹茶原料については、世界的な減糖・無糖意識や健康志向の高まりから海外輸出機会の拡大が見込まれており、各国の品質基準や気候変動への対応等、さまざまな取り組みが求められております。当社では、安心・安全に配慮した製品の提供と、世界各国の基準・認証を取得した原料茶の生産・調達の実現に向けて、茶産地育成事業では農業生産工程管理の認証制度「GAP認証」を100%取得しております(※1)。また、茶農業における営農支援ツールとして、クラウド型栽培管理システムを茶産地育成事業の一部で導入し、茶園経営のDX化を推進しています。2024年1月からは、トレーサビリティのさらなる高度化のため、海外向けの緑茶原料が各国の農薬基準に適しているかを判定する独自システムの運用を開始しました。

 環境対応では、「お~いお茶」などの飲料製造過程で委託先工場から排出される茶殻を堆肥化し、茶畑へ散布することによる循環型農業の推進や、CO₂を土壌に固定することを目的とする「バイオ炭」(※2)の散布試験を行っています。「バイオ炭」は土壌改良効果も期待されており、温暖化対策効果の評価とあわせて、茶の生産性向上への貢献も検証しています。

 今後も茶産地育成事業の展開拡大を通じて、高品質な原料茶の安定調達と持続可能な茶農業の発展に貢献し、さらなる事業機会の拡大につなげてまいります。

 

(※1)食品安全や環境保全のほか、人権の尊重、労働安全、農場管理等の取り組みを行う農場に与えられるGAP

認証制度には、世界基準である「グローバルGAP」のほか、日本GAP協会が展開する「JGAP」「ASIAGAP」等があり、ここではこれら3つの認証のうちいずれかを取得した農園を指します。

(※2)木や竹などを炭化させたもの

 

<環境課題への取り組み>

 気候変動を含む環境課題の取り組みについては、後述の「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」をご参照ください。

 

<人権尊重の取り組み>

 人権の尊重は、グループ経営理念「お客様第一主義」の根幹をなすものであり、全ての事業活動の根幹となるものです。当社グループは、「伊藤園グループ人権方針」「伊藤園グループサプライヤー基本方針」のもと、バリューチェーンにおける全ての人々の人権尊重の取り組みを推進しています。当社では、2023年より人権デューデリジェンスの体制構築と取り組みを進めており、2023年度は特定した優先度の高い重要な人権テーマを踏まえ、国内の茶生産者と自社工場における外国人就労者や特定技能実習生を対象とした外部機関による調査を実施しました。持続可能なサプライチェーンマネジメントの実現に向けて、今後もサプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの実施に継続的に取り組んでまいります。

 

<人材への取り組み>

 後述の「(3)人的資本」をご参照ください。

③リスク管理

 当社グループは、企業経営の目的に影響を与え得る事象をリスクとして定義し、「伊藤園グループリスクマネジメント方針」に基づき、目的達成を阻害するリスクを全体的視点で統合的かつ戦略的に管理し適切に対応することにより、企業価値の維持・向上に努めております。重要リスクに関しては、代表取締役社長が委員長を務めるリスクマネジメント委員会で管理しています。また、リスク管理の体制及び基本的事項を明確にするため、リスク担当部署を設け、リスクマネジメント規程やガイドラインを策定するとともに、横断的なリスクマネジメント体制を構築しております。各委員会と連携しながらリスクを認識・評価し、適切な対応策を図るための全社的なリスクマネジメント体制を整備し、リスクと機会の両方の観点からサステナビリティ経営を推進しています。

 

④指標及び目標

 中期経営計画に合わせて、マテリアリティごとに取り組みテーマと評価指標(KPI)を設定し、PDCAで管理・評価を行っております。KPIは、取り組み状況に応じて定期的に見直しをしていく予定です。

 なお、下表の主な指標・目標及び実績は、注記を除き、当社グループにおける主要事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

マテリアリティ

取り組みテーマ

主な指標・目標

2022年度実績

食生活と

健康への貢献

人生100年時代に向けた研究開発

食品の健康価値に関する研究発表件数

年間25件

26件

生活者の健康ニーズと多様化するライフスタイルへの貢献

「お~いお茶」販売国

2040年度までに100ヵ国以上

(2028年度 60ヵ国以上)

40の国・地域(※1)

製品の安全・安心品質の追求と

環境負荷低減

ドリンク/リーフの工場監査

実施率100%

※国内ドリンク/リーフ製造工場

100%

持続可能な

農業への貢献

世界に通用する独自の農業モデルの進化

茶産地育成事業展開面積

2026年度 2,650ha

2030年度 2,800ha

2,437ha

有機栽培の生産量

2026年度 380t

2030年度 500t

253t

GAP認証の維持・運用 100%

※茶産地育成事業

100%

環境

気候変動への対応

CO₂排出量の削減率(対2018年度)

2030年度

Scope1・2 50%削減

Scope3   20%削減

(※2)

2050年度

Scope1~3 カーボンニュートラル

全社再生可能エネルギー比率

2030年度 100%

13.7%

全車両中の電動車の導入比率

2030年度 50%

8.2%

水資源

原単位水使用量の削減率(対2018年度)

2030年度 16%削減

※生産1㎘当たりの水使用量

10.8%増加

持続可能な容器包装

リサイクル素材等の使用率

(全ペットボトル製品)

2030年度 100%

36%(※3)

生物多様性

水源地保全活動、環境保全・整備活動の

総参加人数 年間500人

615人

廃棄物の削減/資源循環の推進

食品リサイクル率

伊藤園:90%以上

タリーズコーヒージャパン:50%以上(※1)

伊藤園:94.8%

自販機ダミー(※4)プラスチック

使用量の削減率(対2018年度)

2028年度 50%削減

(※1)

 

 

マテリアリティ

取り組みテーマ

主な指標・目標

2022年度実績

地域社会・

コミュニティとのつながりの深化

地域社会との共創

食育参加人数 年間60万人

61.8万人

お茶を通じたつながりの創出

持続可能な

サプライチェーン

への貢献

持続可能なサプライチェーンの構築

供給者評価の実施

実施

人権尊重の取り組み推進

人権リスクの高いサプライチェーンに

対する人権デューデリジェンスの実施

年1回以上

3回(※1、3)

社内向け人権啓発活動に関する

教育の実施 年3回以上

2回(※1、3)

多様な人財と

全員活躍の推進

多様な人材の育成と活躍推進

従業員エンゲージメントスコア

2026年度 3.5以上(6点満点中)

3.18

女性管理職比率 2026年度 10%

3.7%(※3)

男女間賃金格差

(正規雇用労働者を対象、男性を100とした場合)

2026年度 80%

79.8%(※3)

上記のうち勤続10年未満

2026年度 100%

94.3%(※3)

男性育児休業取得率

2026年度 50%

43.1%(※3)

健康経営の推進

健康経営優良法人(ホワイト500)の

維持

認定(※3)

コーポレート・

ガバナンス

サステナビリティ経営の推進

サステナビリティ重要課題の推進体制と

監督機能の強化及びステークホルダーとの対話の実施

実施

グループリスク管理の強化

リスクマネジメント委員会の開催

4回

関連会社との定例会議の実施

4回

コンプライアンスの徹底

コンプライアンス教育の実施回数

年間12回(全社員対象)

12回

DXの推進

DX推進委員会の開催

11回

(※1)2024年4月に新たなKPIとして設定したため、数値の記載があるものに関しては参考値となります。最新の実績は、2024年10月以降に当社ホームページにて公開予定です。

(※2)2023年度よりScope1~3排出量の集計対象範囲を拡大し、過年度に遡及して適用予定です。最新の実績は、2024年10月以降に当社ホームページにて公開予定です。なお、当社及び当社の代表的なグループ会社である伊藤園産業㈱、タリーズコーヒージャパン㈱、チチヤス㈱を集計対象範囲とした当連結会計年度末時点における2022年度実績は、対2018年度でScope1・2が17.7%削減、Scope3が16.3%削減となっています。

   (※3)2023年度実績

  (※4)自動販売機の商品見本(サンプル)

 

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

 当社グループは、自然由来の製品を主として事業活動を営む企業として、人類共有の地球環境を守り、次世代に継承することが最重要課題の一つであると考えております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動関連の諸課題の解決に向けて取り組んでおります。また、環境活動の持続的な改善に有効な手段として、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムを導入し、当社の全部署において認証を取得しております。

 

①ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ推進委員会(委員長:代表取締役社長 、年4回開催)において、気候変動問題に対する方針と戦略、対応策を議論しております。サステナビリティ推進委員会にて検討された重要事項は、執行役員会及び取締役会に報告・審議され、経営戦略に反映しております。

 

②戦略

 当社グループは、気候変動の主要因であるGHG排出量の削減に向け、「伊藤園グループ中長期環境目標」において「2050年度カーボンニュートラル」を目標として掲げ、2030年度までに2018年度のCO排出量に対し、Scope1・2で総量50%削減、Scope3で総量20%削減の実現に向け、取り組みを推進しております。

具体的には、2020年度から毎年対象範囲を拡充しながらTCFD提言に基づくシナリオ分析を実施することで、事業活動に影響を与える気候変動関連の重要なリスクと機会を特定し、対応策の検討と取り組みの強化を進めてきました。2020年度は、主力製品の原料である国内緑茶原料を対象に、気候変動に関する政府間パネル(以下、IPCC)の代表的濃度経路シナリオに基づき、各条件下での茶葉収穫量と品質への影響を定量的・定性的に分析しました。2021年度は、IPCC及び国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオに基づく「1.5/2℃」、「4℃」の2つのシナリオを設定したうえで、対象を当社事業のバリューチェーン全体へと拡大し、2030年、2050年を対象時点とした中長期の気候変動による事業への影響を分析しました。2022年度はリーフ・ドリンク関連事業に関わるグループ会社、2023年度は自社及び国内の外部委託物流倉庫に対象範囲を拡大して分析を行いました。

各シナリオにおける気候変動に伴うリスクと機会の項目を特定し、リスク・機会の顕在化が想定される時期を「発生時期」、事業へのインパクトを「影響度」として事業インパクト評価を行った結果、「1.5/2℃」シナリオでは低炭素社会への移行リスクとして、Scope1・2のGHG排出量に応じて2030年度には14.2億円、2050年度には25.4億円の炭素税導入によるコスト増加の影響があると試算しました(2023年時点)。また「4℃」シナリオでは、気候変動がもたらす物理的リスクとして気温上昇等による原料農作物の調達リスク、 渇水・洪水による操業停止等の水リスクが特に重要な影響を及ぼす可能性が高いことを認識しました。詳細は伊藤園統合レポートや当社ホームページ等に掲載しております。今後もリスクの回避・緩和、機会獲得に向け、バリューチェーン全体の脱炭素化やBCPの強化を対応策として推進してまいります。

 

<シナリオ分析結果の概要>

・1.5/2℃シナリオ:社会全体が脱炭素に向けて変革を遂げ、温度上昇の抑制に成功するシナリオ

分類

特定した内容

当社への影響

発生

時期

影響度

対応策の検討

移行

リスク

炭素税の導入

自社工場等からの燃料、電気使用への賦課(価格転嫁含む)による費用の増加

 

炭素税財務影響額(試算)

14.2億円(2030年度)

25.4億円(2050年度)(※1)

中期

長期

「伊藤園グループ中長期環境目標」に基づくGHG排出量削減の取り組み推進

 

Scope1・2のGHG排出量削減目標を達成した場合の節税効果

約7.1億円(2030年度)

約25.4億円(2050年度)

GHG排出抑制

ペットボトルへのリサイクル

素材等の使用、電力再エネ化、

電動車導入による費用の増加

短期

中期

資材の軽量化、省エネの推進、

エコドライブの実施によるコスト削減

機会

環境配慮製品の需要増

消費者の環境配慮への意識向上に伴った製品づくりや取り組みによる売上の増加

中期

環境配慮型製品や認証製品の

取り組み強化、営業販売の強化と拡充

(※1)炭素税価格(1tCO₂当たりの価格)は、IEA「World Energy Outlook 2022」のNZEシナリオの先進国の単価予想より独自に推計、設定しています。また、炭素税の試算の範囲は、当社及び当社の代表的なグループ会社である伊藤園産業㈱、タリーズコーヒージャパン㈱、チチヤス㈱のScope1・2を対象としています。

 

・4℃シナリオ:経済発展を優先し、世界の温度上昇とその影響が悪化し続けるシナリオ

分類

特定した内容

当社への影響

発生

時期

影響度

対応策の検討

物理的

リスク

平均気温の上昇

農作物への影響として収量、品質低下による調達費用の増加

中期

「茶産地育成事業」の推進

環境配慮型農業推進

産地開発、調達産地の複線化

降水・気象

パターンの変化

渇水、風水害による工場、

事業所の操業停止等による

販売機会逸失・復旧費用の発生

中期

水リスクの調査及びBCP対応

サプライヤーへのリスク共有、対応

水源地保全活動の実施

豪雨、防水対策の実施

風水害の激甚化

短期

中期

機会

環境変化に伴う

需要増

暑さ対策、健康志向の需要増による販売機会の増加

中期

熱中症対策製品、機能性表示製品の

販売拡充

発生時期(リスク・機会の顕在化が想定される時期)

短期:2023年~2025年、中期:2026年~2030年、長期:2031年~2050年

影響度(当該リスク・機会が顕在化した場合に、事業に与えるインパクトの大きさ)

大:事業に大きなインパクトを与え、顕在化している事象や顕在化に備えた対応が必須な事項

中:事業に与えるインパクトは大きくはないが、顕在化している事象や顕在化に備えた対応が必須な事項

それぞれシナリオ群の定義に沿って、影響度が中以上のリスク・機会を記載しています。

 

③リスク管理

 「3事業等のリスク(5)気候変動・自然災害」をご参照ください。

 

④指標及び目標

 当社グループは、2050年度のカーボンニュートラルの実現に向けて「伊藤園グループ中長期環境目標」を設定し、グループの事業活動におけるバリューチェーン全体の環境負荷低減と課題解決に取り組んでいます。2030年度CO₂排出量削減目標のほか、気候変動リスクに関わる重要指標として、製造に使用する水の使用量、容器包装に関する目標を掲げています。詳細は、「(1)サステナビリティ経営の推進 ④指標及び目標」をご参照ください。

 

<その他の環境課題への対応>

 当社グループは、水資源、プラスチックを中心とする廃棄物等の環境問題、それらと密接に関わり合っている生物多様性の問題に対して、気候変動への対応と同様に解決に向けた取り組みを推進しております。

 

 ・水資源

持続可能な水資源の利用を目指し、生産活動における水使用量の削減等の取り組みを推進しております。当社は飲料製品の製造を外部へ委託する「ファブレス(fabless 工場を持たない)」方式を採用しているため、委託先企業を含めたバリューチェーン全体で取り組む必要があると認識しています。サプライヤーに対してはGHG排出量及び水使用量の削減目標の作成と環境責任者の設置を求め、サプライヤーからの一次データに基づいて算定を行っています。また、毎年定期的に品質会議を開催し、サプライヤーとのエンゲージメントを通じて「伊藤園グループ中長期環境目標」の達成に向けた進捗管理と環境負荷低減への取り組みを働きかけるとともに、定量・定性によるサプライヤー間の情報交換を推進し、今後の削減策に反映させています。

水リスクについては、毎年、自社及び協力工場を対象とした評価・特定を行って必要な対策を講じているほか、協力工場と協働して、工場周辺の取水源となる水源地保護につながる森林保全活動等を推進しています。

 

 ・容器包装

世界的なプラスチック問題に対する規制強化の流れを受け、脱炭素社会と循環型社会の実現に向けた一層の取り組みが求められております。当社グループは、「伊藤園グループプラスチックに関する方針」「伊藤園グループ容器包装に関する方針」に基づき、ペットボトル、キャップ、ラベルなどの資材の軽量化、ラベルレス製品の拡充、植物由来の生分解性素材といった環境配慮素材や再利用可能容器への代替など、容器包装の3R(リサイクル、リデュース、リプレイス&リユース)+クリーン(環境保全)に取り組んでいます。

また、2030年度までに全ペットボトル製品に使用するリサイクル素材等の割合を100%にすることを目指し、自治体及び協力工場を含めた関係者と協働し、ペットボトルの水平リサイクル「ボトルtoボトル」による資源循環を推進しております。2023年度の全ペットボトル製品でのリサイクル素材等使用率は36%となりました。今後も消費者に向けたペットボトルの分別への理解促進や、関係者とのパートナーシップによる「ボトルtoボトル」の取り組みを推進し、循環型社会の実現に貢献してまいります。

 

 ・生物多様性

豊かな自然の恵みを活かして事業活動を行っている当社グループにとって、気候変動と同様、喫緊の課題である生物多様性の保全と回復に向けて、「伊藤園グループ生物多様性保全に関する方針」のもと、事業活動を通じた取り組みを推進しております。当社グループは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、統合的な取り組みを推進しています。また、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」への参画を通じて、より一層ネイチャーポジティブの実現に取り組んでいます。

 

 

(3)人的資本

 人の成長が組織の成長を実現するという考えのもと、

過去の成功体験にこだわらず、変化の中で自律的に成長できる人材を育成していきます。そして、当社グループのミッション、長期ビジョンが全社員に理解、浸透し、チーム「伊藤園グループ」として全員活躍が志向される組織を構築していきます。自ら学び、行動し、挑戦し続ける組織風土を強化し、中期経営計画の達成と「健康創造企業」として「世界のティーカンパニー」を目指します。

 また、策定した中期経営計画の5つの重点戦略を実現させるため、「地域コミュニケーション」「グローバル」「次世代リーダー」「DX推進」「多様性受容」をテーマとした、求める人材の具体像を掲げました。これまで実施してきた人材マネジメントの取り組みを継続・発展させ、中期経営計画の実現と企業価値向上に貢献

していきます。

 

 

①戦略

1.人材育成方針

 当社グループは実力主義の考えのもと、チャンスは社員一人ひとりに平等であり、評価は公正に行うことを基本として、常に前向きに挑戦する人材の育成に力を入れています。多様な人材が、あるべき姿を求め、自ら考え、学び、率先して行動し、自らの夢を実現することこそが、企業の持続的な成長と発展を支え、企業価値を高めると信じ、社員の自己実現に向けたキャリア形成を支援しています。

 

2.社内環境整備方針

 当社グループでは、社員一人ひとりが常に前向きに挑戦し、互いに切磋琢磨しながら、組織力を活かし、環境の変化に迅速に対応できる、創造性と生産性の高い組織つくりを目指します。その中で、多様な人材が一人ひとりの状況に応じて柔軟に働き方を選択できるようにすることで、ワークライフバランスを推進し、誰もが働きやすい職場になるよう環境整備を行っています。

 

②指標及び目標

1.女性の管理職比率

 女性活躍推進法に基づく第4期行動計画(2023年5月~2027年4月)を策定し、女性活躍に向けた取り組みを進めています。女性社員が自己の能力を十分に発揮し、更なる活躍ができるようキャリア・ライフプランを再考・形成できる場を設けています。階層別の女性教育を実施することで女性社員のモチベーションや定着率向上、家庭と仕事の両立支援、管理職の育成などの強化に繋げています。

 

2.男性の育児休業取得率

社員及びその家族のライフステージ(出産・育児・介護など)を福利厚生、勤務・賃金体制の面から総合的に支援しています。男性社員の育児休業取得推進を目的とした「育児休業制度」拡充や、病気・育児・介護との両立を目的とした「短時間勤務、繰上げ繰下げ勤務」の適用拡大などを進めています。

    詳細は、「(1)サステナビリティ経営の推進 ④指標及び目標」をご参照ください。

 

(4)社会からの主な評価

 当社グループのESGへの取り組みが評価され、世界の代表的なESG指数である「FTSE4Good Index Series」及び、世界最大級の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用している日本企業の株式を対象としたESG投資指数の構成銘柄に複数組み入れられております。

また、国際的な非政府組織(NGO)であるCDPによる「気候変動」分野の調査において、当社グループの環境目標とその達成に向けた取り組みが評価され、前回よりも1段階高い「A-」の評価を初めて受けました。

社員と家族の健康保持・増進に向けた健康経営の推進にも取り組んでおり、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門)2024 ~ホワイト500~」の認定を継続して受けております。

 

 

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