2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 6,057 100.0 -2,325 - -38.4

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社3社(株式会社オルツREキャピタル、株式会社わさび及び株式会社Green&Digital Partners)の4社で構成されております。当社グループは、人工知能(AI)事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しておりますが、グループ各社の事業内容は次のとおりであります。

会社名

事業内容

株式オルツ(当社)

AX Products&Trading事業及びAX Research&Solutions事業

株式会社オルツREキャピタル

AX Research&Solutions事業

株式会社わさび

AX Research&Solutions事業

株式会社Green&Digital Partners

AX Research&Solutions事業

 

(注) 当連結会計年度より、「AI Products事業」を「AX Products&Trading事業」に、「AI Solutions事業」を「AX Research&Solutions事業」に名称変更しております。なお、AX(AIトランスフォーメーション)とは、企業がAIを活用して業務プロセスやビジネスモデルを革新し、効率化と生産性向上を行うことで競争力を高める取り組みのことを指します。

 

当社グループは、「個人の記憶の永遠化・意思の再現・個人の価値の最大・永遠化により自律社会の実現を加速させるパーソナル人工知能」の開発を目指し、「ラボーロからオペラへ」と「私たちの存在を永久にする」の2つをMission(使命)に掲げ、当社創業より一貫して「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を行っております。「P.A.I.」(パーソナル人工知能)とは、私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAIであり、当社グループは、全ての人が自分のAIを持つことによって、労働(Lavoro)から解放され、アーティスティックな営み(Opera)に没頭することができる世界を実現することを目指しています。これが実現することにより、現在多く見られる「労働集約型ビジネスモデル」から「知識集約型ビジネスモデル」へと転換が行われると考えております。

 


 

当社グループは、アカデミックのネットワークを活用し「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を進める一方で、その研究開発過程から生まれた対話エンジン(※)などの要素技術(※)や、機械学習(※)による個性モデル(※)構築などのノウハウを、AIの活用を検討するクライアントに提供してまいりました。また、2020年1月に、現在の当社グループの収益の多くを占めるCommunication Intelligence(※)「AI GIJIROKU」の提供を開始するなど、上記技術を活用したAX Products&Trading事業や、戦略的パートナーとの連携により様々なクライアントに対してAIモデルを応用したAX Research&Solutions事業を提供しております。

これらの製品を支える技術として、日本語の複雑な言い回しや専門用語を学習した当社グループ独自開発の「LHTM-2」等の大規模言語モデル(LLM)(以下、「LLM」)(※)を保有しております。こちらは柔軟なカスタマイズが可能かつ個性化に対応しており、事実の正確性を担保した設計となっております。また、AI市場の拡大により、一層確保が難しくなっていくと考えられる計算リソースという点についても、分散コンピューティング(※)と分散ストレージ(※)の独自のインフラストラクチャー技術「Emeth」、「Stack」を保有しております。

 

(1) 当社グループ及び当社グループの技術の特徴・優位性

① 設立以降、技術を蓄積し続けてきたことによる先行優位性

当社グループは、2014年11月の当社設立以降、一人ひとりに「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を提供するという世界観の実現に向けて、研究開発を続けてまいりました。2015年より、「Personal Artificial Intelligence」「P A.I.」(2018年6月に同意義として「P.A.I.」)の商標を取得し、あらゆるテクノロジー分野のトップティアアカデミアとの連携を強化し、他社に先駆けて「P.A.I.」(パーソナル人工知能)に必要な独自の技術を蓄積してまいりました。研究開発の実施にあたっては、2016年のSeriesAラウンド以降、2022年から2023年に実施したSeriesDラウンドまでの調達資金及び新規株式公開に伴う公募増資による調達資金も基に進めております。

以上より、昨今脚光を浴びる「パーソナルエージェント思想」の先駆者であること、また同分野における技術的な先行優位性があるものと自負しております。パーソナルエージェント思想とは、「人の非生産的労働からの解放」という目標のためAI技術を活用して人間の生活をより豊かで効率的にするための重要な「ツール」としての概念です。この思想は、人々が日常生活やビジネスの中で直面する繰り返しの作業や時間を要するタスクから解放され、より創造的で価値の高い活動に集中できるようにすることを目指しています。当社グループでは、このパーソナルエージェント思想を実現するために、高度な自然言語処理技術や機械学習を用いたパーソナルエージェントの開発に取り組んでいます。これらの技術により、個々のユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが可能となり、よりパーソナライズされたサービスの提供が実現します。当社グループは、その基盤となる技術であるLLMを自社開発してまいりましたが、それに基づいたプロダクト(2020年よりリリースし現在主要プロダクトとなっているCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」を筆頭として、そのほか、PoC(Proof of Concept、概念実証。以下、「PoC」)により様々なビジネス上の課題を切り口としてソリューション展開する「altBrain」、「AIコールセンター」、「CLONEdev」など)の展開を皮切りに、売上を大きく拡大させております。

2024年12月期においては、AIエージェント市場の急速な盛り上がりにより、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」と2023年にリリースしたエージェントAI生成プラットフォーム「altBrain」のセット導入がより強い引き合いをみせおり、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」による当社グループ独自のデータレイク(※)ソリューションと、それらデータを活かしたAIエージェント生成による「AIクローンの実働」が推進されております。

 


 

(注) 1.AX Products&Trading事業が立ち上がり始めた2020年度以降の売上高を記載しております。

2.2021年12月期以前の売上高については、監査法人シドーによる監査を受けておりません。

3.ジャフコグループ株式会社を頂点とする同社のグループ会社及び同社が投資助言を行うファンドを総称して、ジャフコグループと記載しております。

4.Vertex Holdings.が投資助言を行うファンドを総称して、Vertexグループと記載しております。

 

② 当社グループ独自のパーソナライゼーション技術

一般的に、個々人にパーソナライズされたAIモデルを開発するためには、多くの学習データと学習時間を必要とすることから、クライアントへのサービス提供においては多額のコストが掛かると考えております。当社グループは、「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を広くサービスとして普及するため、安価にパーソナライズされたモデルを提供できるよう研究を続けてまいりました。当社グループでは、膨大な集合データにより学習された汎用的なエンジンである「平均モデル」を構築しております。「平均モデル」そのままでのサービス展開は行っておらず、「平均モデル」に、パーソナライズを行いたい対象のパーソナルデータ(例えばSNSやメール等のデータ)を学習させることで「平均モデル」を歪ませ、個人の思考、意思、癖などが反映される「個性モデル」を開発します。この際、当社グループの長年の技術により、学習に必要なパーソナルデータを極少量のデータで実現することが可能であり、これにより相対的に安価に「P.A.I.」(パーソナル人工知能)プロダクトをクライアントに提供できております。

 


 

③ 経験豊富なチームと国内外有数なアカデミアとの連携等の組織体制

当社グループは、様々なバックボーンを有し、テクノロジーやビジネスに造詣の深い国内外の優秀な人材を確保することで、真にクライアントが求めるプロダクトを提供できるような体制を構築しております。また、主に当社において、当社グループのビジョンに賛同頂いた、国内外有数のアカデミアの方々と連携・共同研究を行っており、当社独自開発の「LHTM-2」等のLLM等、常に最先端技術を提供できる体制を整えております。

当社では業務委託者を積極的に活用することで人材の流動性を確保し、正社員では採用が難しいような高い専門性を持つ人材や当社に最適な人材を世界中から集め、正社員も合わせ、グローバルで150名以上の規模にて事業に取り組んでおります。業務委託者の当社のコミットメントは様々ですが、当社の2024年12月末現在における業務委託者の在籍状況は次のとおりです。特にエンジニアにおいては契約期間を長期化し、長期のサポートが可能な契約形態、または月40時間に留まらない稼働等、コミットメントを高める施策を講じております。

契約期間(注1)

契約稼働時間(注2)

6ヶ月以上

3ヶ月以上

3ヶ月未満

合計

140時間超

12名

2名

3名

17名

100時間超140時間未満

7名

0名

3名

10名

 

 

契約期間(注1)

契約稼働時間(注2)

6ヶ月以上

3ヶ月以上

3ヶ月未満

合計

60時間超100時間未満

16名

0名

5名

21名

40時間超60時間未満

12名

7名

10名

29名

40時間未満

26名

1名

2名

29名

合計

73名

10名

23名

106名

 

(注) 1.2024年12月末現在における、業務委託者の過去の契約期間であります。

2.2024年12月単月における、業務委託者の月当たり稼働時間を指します。

 

④ 当社グループのコア技術

当社グループは、要素技術、LLM、インフラストラクチャー等、生成AIのバリューチェーンにおいて必要な技術要素を自社開発・自社保有しております。

 


 

<LLMについて>

当社グループのコア技術でもあり多くのプロダクトにも組み込まれている、独自開発のLLMの種類及び特徴は次の表のとおりです。なお、当社グループのLLMは、ハルシネーション(LLMが、正当性がなく、事実に基づかない虚偽の回答をしてしまう現象)を極力排除できるよう設計をしており、ハルシネーションの発生確率を自動的に評価できるエンジンも開発しております。

名称

ローンチ日

パラメータ数

特徴

LHTM

2021年9月

最初のプロトタイプシリーズであり、短文の理解と応答が可能であります。

LHTM-2

2023年2月

大規模

長文の理解が可能であり、少数のショット学習(※)をサポートいたします。「altBrain」及びCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」等、当社グループの製品やサービス等で利用が可能であります。

 

 

名称

ローンチ日

パラメータ数

特徴

LHTM-OPT

2023年10月

小規模

「LHTM-2」対比、軽量化を図ったモデルであり、小メモリ環境でも実行が可能であります。

自然言語処理の日本語言語理解ベンチマーク「JGLUE」(注1)、日本語LLM評価ベンチマーク「Rakuda」(注2)において、国内トップレベルのスコアを記録しています。(注3)

LHTM-OPT2

2024年10月

小規模

RAG(検索拡張生成)の精度を最適化する軽量型LLMであり、日本語RAG精度において、軽量型LLMで世界最高精度(注4)日本語LLM推論速度の最高記録(注5)を達成

 

(注) 1.Japanese General Language Understanding Evaluationの略であり、早稲田大学とヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の共同研究により構築された、日本語言語理解を図るベンチマークであります。

2.YuzuAIグループが構築した日本語LLMを評価するためのベンチマークを指します。

3.2023年10月時点において、開示されている各ベンチマークとの比較に基づいております。

4.国内の全ての軽量型LLM(パラメータ数が10B以下のLLM)を上回る高い精度を達成し、「JGLUE(Japanese General Language Understanding Evaluation)」ベンチマークや「Japanese MT-Bench(MTベンチ)」で、軽量型LLMとしての最高スコアを記録しました。

5.推論速度に関しては、SambaNova社の協力を得て、日本語推論において平均速度500TPS(トークン/秒)、最大速度796TPSを確認。ArtificialAnalysis.aiによると、既存のLLMでは、Cerebrasが最速の2,148TPSで、SambaNovaが2番の速度(462TPS)。ただし、日本語専用のLLM超高速推論は、当社とSambaNova社が初めて実現しました。

 

<インフラストラクチャーの説明>

Emeth

 


 

当社グループが構築した、Peer-to-peer(ピア・ツー・ピア)(※)で世界中のGPUをつないだ巨大グリッドコンピューティングシステムです。最大の特徴は、ハードに手をいれることなく複数の演算手法を組み合わせることで、異種混合環境(※)でのGPU使用効率の極限を引き出すことが可能であることです。さらにデータを暗号化したまま計算する分散秘匿計算(※)にも対応しており、当該技術を用いたクローンモデルの生成が可能になっています。

Stack

 


 

当社グループが構想する地球上に張り巡らされた分散ストレージです。多数存在するストレージを活用し、情報が分割され、暗号化され、世界中に分散して保存され、ブロックチェーンで自律的に管理されることで、改ざんの不可能性を保証するインフラストラクチャーです。

 

 

(2) 当社グループのサービスの特徴・優位性

当社グループは人工知能(AI)事業の単一セグメントでありますが、当社グループ内のサービス分類として2つの事業区分に分けており、その区分に基づくサービスの特徴・優位性を以下のとおり記載します。

 

① AX Products&Trading事業

当社グループの「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の実現のために研究開発を重ね蓄積させてきた要素技術と、多くの戦略的パートナーとのリレーションを活用した課題発掘力及び優秀なエンジニア陣によるプロダクト開発力、AIの社会実装力を基盤とすることで、多くのAIプロダクトの開発・提供を行っております。

 

 

<プロダクト一覧及び説明>

プロダクト名

説明

Communication Intelligence

AI GIJIROKU

 


 

AIの学習機能を搭載したCommunication Intelligenceツールであります。会議議事録作成等の業務を代替し、各会議結果及び経緯等をデータ化し可視化するプロダクトであります。当社グループにおける音声認識及びLLMを活用したプロダクトであり、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」は、利用する度に文字起こしの精度が向上するという特徴を持っています。主要35か国語のリアルタイム同時翻訳に対応し、金融、医療、製薬、化学、建築などの業界・業種に特化した、高い音声認識精度を有する最先端モデルを提供しています。利用者のSNSやメール、辞書データから自動学習した文章のパーソナライズ、ユーザーの声紋判断による話者特定のパーソナライズが可能で、クライアントの会社固有の「知識とノウハウ」を持つAIが実稼働することで、会議の効率化と生産性の向上に大きく貢献します。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)実現に向けては、ビジネスシーンのAIを構築するための、基盤データクラウドとしての役割を担っております。

altBrain

 


 

「altBrain」は、当社グループが開発した大規模言語モデル「LHTM-2」を活用し、織田信長や著名人のキャラクター、ゲーム攻略Brainや問診Brainなど、多岐にわたるBrainの作成をノーコードで容易に行える革新的な生成AIプラットフォームであります。企業や個人が自身のAIクローンを生成し、FAQ対応や日々の進捗確認など、様々な業務を支援することで、効率化と生産性の向上に大きく貢献します。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)実現に向けては、簡易的な「P.A.I.」(パーソナル人工知能)として、パーソナライズされたAI botの利用ニーズを拾い上げるための役割を担っております。

altTalk

 


 

「altTalk」は、大規模言語モデル、感情認識、感情表現判定、RAG(検索拡張生成)、会話展開予測、発話音声認識など、当社グループが有するさまざまな最新AI技術を組み合わせて構築された超高速音声対話システムであり、高度な会話AIを自社システムに簡単に導入できる、組み込み型のAI会話エンジンプラットフォームであります。「altTalk」は、大規模言語モデル、感情認識、感情表現判定、RAG(検索拡張生成)、会話展開予測、発話音声認識など、当社が有するさまざまな最新AI技術を組み合わせて構築されています。特徴は、通常の人間の会話時の反射速度を上回る0.53秒の音声対話であり、これによって、人間と同じスピードの自然な会話が可能な上、相手の感情を理解すると同時に「altTalk」自身の感情を表現することもできます。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)実現に向けては、対話型の「P.A.I.」(パーソナル人工知能)として、複雑な対話が必要な業務を自由度高く遂行できるため、現在人間が行っている多くの業務を代替し、企業や組織の業務効率化に貢献する役割を担っております。また、カスタマーサポート、教育、エンターテインメントなど、様々な分野での活用が可能で、企業や組織の業務効率化だけでなく、新たな価値創造に貢献します。

CloneDev

 


 

大規模言語モデル「LHTM-2」の技術を搭載したユーザーの人格をデジタルで再現しております。当社グループにおける音声認識、映像合成、音声合成及びLLMを活用したプロダクトであります。「CloneDev」は、個人や著名人のクローンを簡単に構築できるプラットフォームであり、ユーザーは自身の声やデータを学習させることで、自分自身のデジタルクローンを作成することが可能になります。このクローンは、プレゼンテーションや発表など、様々なシーンで活用することができます。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)実現に向けては、デジタルクローンのユースケースの確認及び連携するライフログデータにおける精度の検証の役割を担っております。

Clone M&A

(Clone matching)

 


 

当社グループのLLMを活用し、「CloneM&A」では、AIエージェントとの対話やこれまでの商談データ、事業資料などを元に、売手企業のクローンを生成します。そして、公開情報や商談データなどから生成した、大量の買手企業のクローンと仮想面談を行うことで、売手企業にとって最適な買手企業をマッチングスコア順に提示するAIプロダクトであります。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)実現に向けては、マッチング領域における心理的要因等の非財務データの収集、アルゴリズム最適化の役割を担っております。

EMETH GPU POOL

 


 

個人のGPUリソースをホスティングするサービスであり、GPUリソースの時間貸しも可能です。一元化したプラットフォーム上で、借りる側と貸す側がさまざまな機能を活用可能になります。

ユーザーは、登録後すぐに利用開始でき、インスタンス(※)を立ててVM(※)を時間単位で借りることが可能です。従来のWeb2サービスと同様に、利用しやすいプラットフォームを提供し、企業の利用に耐えうるクオリティを支援するAIプロダクトであります。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)実現に向けては、大容量データへのアクセスを可能にするための環境整備の役割を担っております。

 

(注) Communication Intelligence「AI GIJIROKU」以外のプロダクトは、主にPoCにより提供されており、PoCにより提供されるプロダクトはAX Research&Solutions事業にて収益計上しております。

 

(メインプロダクトであるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」)

当社グループの開発する高精度音声認識技術と日本語最高精度を記録したLLMを組み合わせたソリューションにより、ビジネスシーンの「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を提供しています。会議などの発言者の区別をしながらリアルタイムに文字起こしし、自動的に議事録を作成し要約やToDoを纏めるだけではなく、それらコミュニケーションデータをセキュアに保存するデータクラウドソリューションとして価値提供します。

音声認識を利用した文字起こしによる議事録サービスや、AIボットサービス、またChatGPTなどの一般的な物事を熟知する生成AIは多く存在してきておりますが、当社グループのCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」は音声認識×生成AI技術を組み合わせることで、クライアント社内の会議を含む全コミュニケーションデータを記憶したAIを働かせることが可能なソリューションとして他プロダクトとの差別化を図ることに成功しています。

具体的には、次のような特徴があります。

 

1. パーソナライズ機能

当社グループのCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」において最も優位性のある特徴が「パーソナライズ機能」になります。汎用的な音声認識とは異なり、一人ひとりの単語選択の癖、文脈構成の癖、イントネーションの癖などを学習していくことで一人ひとりに合った音声認識を学習していきます。また、SNSやカレンダーと予め連携しておくことで、その時における発話がどういった意味を持つかを推測しにいくことが可能になっています(例えば、カレンダーに当社との会議が入っている時間帯では、「おるつ」という音を「オルツ」という単語として認識する、など)。固有名詞認識は、一般的な単語よりも複雑で、様々な言語や表記のバリエーションが存在します。したがって、これらの固有名詞を正確に認識することは難しい場合があります。しかしながら、ユーザーはユーザー自身がかかわる固有名詞が正確に認識されることを期待しています。特に会議の議事録などの文書では、人名や会社名、地名などの固有名詞の正確な認識が重要です。認識の不正確さやミスは、信頼性や使いやすさに影響を与えます。固有名詞の誤認識は、文脈や情報の正確性に直接的な影響を与える可能性があります。例えば、誤って認識された人名や会社名は、議事録や報告書の内容を正確に把握するのを難しくします。その結果、ユーザーはシステムの信頼性を失う可能性があり、満足度が得にくくなります。これらの理由によりユーザー満足度を得にくい領域であった固有名詞認識について、これまで数多く存在してきた議事録サービスがマーケットフィットに苦戦した中、当社グループのパーソナライズ機能は、例えばユーザーのメールやSNSなどのアプリと連携することにより関連する固有名詞を学習させることができるため、ファインチューニングが可能になっています。

 

2. パーソナライゼーション技術を用いた高い音声認識精度

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の実現を目指し、様々な要素技術を蓄積してきました。これにより、高度な音声認識精度を実現し、個々人の発言を正確に理解することができます。さらに、パーソナライゼーション技術を駆使して、業界ごとに専門用語を認識しやすくすることができます。現在、業種別音声認識ソリューションを15業界分(2024年12月末現在)保有しております。前提として、日本語には同音異義語が多い事、また業界によって、日常使用する表記とは異なる表現方法や、漢字と平仮名の書き分けなどの異なる習慣があります。例えば「こうしょう」という単語は48の同音異義語がある(日本漢字能力検定調べ)ように、複数ある漢字の中でどの漢字が適しているかと判断するために、文脈や意味を理解する必要があります。その文脈や意味で使い分けるためには、業界に特化した音声認識が必要であります。当社グループの音声認識エンジンは各業界に特化した形にチューニングすることにより、汎用的な音声認識では認識することが難しい同音異義語や専門用語(カタカナなど)を高い精度で認識することができます。業界に応じた膨大な専門用語や言い回し等を学習させることにより、例えば建築業界向けの「建築GIJIROKU」上は「かわら」をそのまま平仮名で表記せず、さらに「河原」に誤変換することなく「瓦」に変換するといった、各業界に特化した形で追加のチューニングを加えることで、一層精度を高めることが可能であります。

当社グループのパーソナライズ技術又は業界特化のチューニングを施したものを総称して「パーソナライズドモデル」と称しております。

当社グループが有する顧客基盤の一例として、当社グループが有する2パターンのエンジンを用いた、建築業界及び医療業界の業種別音声認識ソリューションにおける音声認識例が以下のとおりです。具体的には、当社グループにおける高精度音声認識エンジンである「パーソナライズドモデル」(注1)及び当社グループのパーソナライズ技術を駆使していない又は業界に特化していない汎用的なエンジンである「平均モデル」(注2)の2パターンであります。

なお当社グループでは、「平均モデル」そのままでのサービス展開は行っておらず、「平均モデル」に当社グループの独自開発のLLMである「LHTM-2」を利用してSNSやメール、辞書データからの自動学習や声紋判断による話者特定といったパーソナライズ技術を施し最適化することで、高精度音声認識エンジンのCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」としてユーザーへ提供しております。利用する度に学習し、文字起こしの精度が向上するため、ユーザーは常に最新の技術を享受できます。

 

<当社グループが開発した業界別音声認識ソリューション例>

建築 GIJIROKU

建築業界における「パーソナライズドモデル」の認識精度の業界平均値が95.25%、「平均モデル」の業界平均値は87.08%であります。

 

医療 GIJIROKU

医療業界における「パーソナライズドモデル」の認識精度の業界平均値が97.80%、「平均モデル」の業界平均値は91.42%であります。

 

(注) 1.「パーソナライズドモデル」とは、業界特化エンジンを含む、高度な文脈理解のための最適化が施された当社グループの高精度音声認識エンジンのことであります。

2.「平均モデル」とは、各業界に特化した同音異義語や専門用語(カタカナなど)を学習していない汎用的なエンジンのことであります。

3.建築業界及び医療業界の業種別音声認識ソリューションにおける音声認識は、当社にて実験室内(通常オフィス環境)で音声を用い、「パーソナライズドモデル」及び「平均モデル」のエンジンにて、1個のデータ当たり20回ずつのテスト実験を行ったものであります。

4.建築業界における音声認識は、2024年7月時点における394個の実験データに基づくものであります。建築業界全体における394個の実験データの、「パーソナライズドモデル」の認識精度の平均値は95.25%、「平均モデル」の認識精度の平均値は87.08%であります。

5.医療業界における音声認識は、2024年6月時点における124個の実験データに基づくものであります。医療業界全体における124個の実験データの、「パーソナライズドモデル」の認識精度の平均値は97.80%、「平均モデル」の認識精度の平均値は91.42%であります。

6.認識精度の算出方法は、CER(文字誤り率)を100%から引いた値で、原文と一致している文字数のパーセンテージで表示しております。

7.読み上げ原文からの認識間違いを赤字で表記しております。

 

当社グループの音声認識ソリューションは、英語よりも同音異義語の多さを有する日本語において、高い音声認識精度を有しております。さらに、AX Research&Solutions事業において、人力(Human-in-the-Loop)による文字起こしサービスを展開し、完璧な精度を有する議事録の提供が可能であります。

 

3. 多言語に対応

英語、中国語、スペイン語等、35か国語(2024年12月末現在)に対応したリアルタイム翻訳機能により、指定した言語で会話が記録されます。また、音声合成技術を活用して、AIに翻訳テキストを発話してもらうことが出来るサービスを提供しており、ユーザー間のコミュニケーションを取りやすくするメリットを有しております。

 

4. Zoom連携が可能

Zoomビデオコミュニケーションズが提供するクラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスである「Zoom」と連携することができます。会議やウェビナーでの会話をリアルタイムで画面にテキスト化して字幕として表示でき、通話終了後は議事録を自動保存します。

 

5. パーソナルエージェント機能

高精度な音声認識と、当社グループが保有する高い日本語精度を誇るLLMを組み合わせることで、社内外で交わされる商談や会議の全データをテキストデータとして書き起こし、保管し、そのデータを基に社内外のコミュニケーションをとることができます。例えば、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」をデータレイクとして活用し、当社グループのAIエージェントプロダクトである「altBrain」との連携により営業が行った全商談の要約を役員に随時共有したり、ある商談についての次の提案内容をドラフトしたり、全開発会議を把握することである開発における意思決定過程の透明性を高くしたりすることができます。

 

<課金体系>

課金体系は次のとおりです。当社グループでは、法人のチームプランを中心にサービスを展開しておりますが、足元では法人のビジネスプランの対象となるエンタープライズ向けのセールスチームを立ち上げ、ビジネスプランの獲得に注力しております。

対象

個人

法人

プラン

フリー

パーソナル

チーム

ビジネス

月額利用料

無料

1,500円/月

29,800円/月

200,000円/月

年額利用料

無料

16,500円/年

327,800円/年

2,200,000円/年

議事録収録時間

閲覧のみ

10時間/月

100時間/月

1,000時間/月

最少アカウント数

1アカウント

1アカウント

10アカウント

100アカウント

高精度・業種別

音声認識

閲覧のみ

100分/月

1,000分/月

10,000分/月

 

 

② AX Research&Solutions事業

AIの活用を検討するクライアントに対して、コンサルティング、PoC、本番開発から協業販売までのプロジェクト遂行の支援をしております。当社の設立以降、継続して推進してきた事業であり、かつ当社グループが最も得意とする分野でもあります。「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の開発を目指す上で蓄積させてきた要素技術及びそれらの統合ノウハウを活用することで、当社グループが「カンパニゼーション」(※)と呼ぶクライアントごとのデータ・特徴に合わせたプロダクト活用もしくはインフラの構築などのニーズを捕捉していきます。AX Research&Solutions事業ではクライアントが直面する課題の生の声を聞くことが可能であり、それらの課題と当社グループの「P.A.I.」(パーソナル人工知能)要素技術が合わさることで、現在の労働集約的な状態を打開するようなプロダクトの創出に繋げることが可能です。各クライアントに存在する属人的なノウハウや作業過多な業務をAI技術で自動化もしくは効率化を行うことで、より創造的な時間を創出します。また、今後はAX Products&Trading事業で関係を持った企業群を本AX Research&Solutions事業のリード顧客としてみなしていくことで、事業間の好循環を回し、更なる収益機会の拡大を図ります。

その他、当社子会社にて次の事業を行っております。

会社名

主な事業

事業詳細

株式会社オルツREキャピタル

不動産関連事業

① 不動産マッチングシステム

クローンマッチング技術を活用した不動産マッチングシステム「Clone RE Matching」を開発・提供しています。不動産関連のデータ分析やクローンマッチング技術を活用した物件情報探索等の事業を行っています。

② 不動産アセットマネジメント

不動産アセットマネジメントに特化したAIエージェントを開発し、効率的な不動産アセットマネジメントを提供しています。世界中の不動産市場のリアルタイムデータを解析し、最適な投資戦略を迅速に導き出す能力を備えたAIエージェントを活用しています。

③ 中古住宅買取再販事業

中古住宅の買取および再販事業を展開しています。

 

 

会社名

主な事業

事業詳細

株式会社わさび

株式会社Green&Digital Partners

DXコンサルティング事業

① DXコンサルティング

企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の戦略立案から実行支援、運用改善までを一貫して行います。

② 開発受託

当社のAX Research&Solutions事業における開発業務を受託しています。

 

 

 

(3) 当社グループとAI領域で連携するグローバルパートナー

当社は、LLM等の当社グループが有する幅広いAI技術と、株式会社キーエンスのノウハウやデータに基づく合理的な企業運営の知見を合わせ、新たなソリューションを提供することを目指し、資本業務提携を行っております。さらに、NVIDIA Corporationが展開するスタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception Program」にてパートナー企業に認定されており、業務連携を通じ「EMETH」や「EMETH GPU POOL」を強化してまいります。またその他にも、デロイトトーマツグループのデロイトトーマツコンサルティング合同会社と生成AIの社会実装を目的、Stability AI Japan株式会社とは音声・画像・映像における生成AIのユースケース確立を目的、Databricks Inc.とはデータ構造化及びAI/DX化の加速を目的として業務連携を行っております。このように、グローバルに活躍するパートナーとの連携を多数実施しており、生成AI領域における確固たるポジショニングを築いているものと理解しております。

 

(事業系統図)

 


 

(注) 「販売パートナー」とは、販売店契約に基づき取引を行う「販売店」の当社における呼称であります。

 

 

※用語解説

本項「事業の内容」において使用する用語の定義については、次のとおりであります。

用語

定義

対話エンジン

人の話したことを理解し、ふさわしい回答をすることができるエンジンのことを指します。言語解析技術を利用して、自然な対話を実現することが可能となります。

要素技術

製品を構成する要素に関する技術のこと。製品の開発に必要な基本技術であり、製品の根幹をなす技術を指します。

機械学習

データを分析する方法の1つで、データから機械(コンピューター)が自動で学習し、データの背景にあるルールやパターンを発見する方法のことを指します。

個性モデル

当社グループ独自の用語であり、デジタルクローン生成に活用する個の価値観をモデル化したものを指します。デジタルクローンがユーザーと同じ価値観を持つことで、それを基準とした決断を代行することが可能となります。

Communication Intelligence

コミュニケーションデータを作成し(書き起こしし)、蓄積し、それらデータを基に能動的な業務を遂行することできるAI(人工知能)を指した表現として使用しています。

LLM

Large language Models(大規模言語モデル)の略称であり、大量のデータとディープラーニング(深層学習)技術によって構築された言語モデルのことを指します。

分散コンピューティング

複数のコンピュータをネットワークを通じて連携させて計算処理を行う方法のことを指します。

分散ストレージ

データやプログラムを記憶する装置(ストレージ)を1台に集約せず、ネットワーク上にストレージを複数用意して分散して格納することを指します。

データレイク

データの蓄積の段階で、様々な形式・種類のデータをそのままの形で保存できる一元化された領域を指します。

ショット学習

ショット学習は少ないデータでモデルを学習させる技術です。ショット学習の参考事例は次のとおりです。

ゼロショットプロンプティング(Zero-shot prompting):大量の学習データを使用したLLMは、ある程度の質問に対して回答できます。ゼロショットプロンプティングは、他のプロンプト技術と比較する際のベースとして使われることが多い手法です。

Few-shotプロンプティング(Few-shot prompting):In-context learningを可能にするプロンプト技術です。いくつかの例を示すことで類似の質問に対する回答の精度を向上させます。特に、例が一つのものをOne-shot promptingと呼びます。

Generated Knowledgeプロンプティング:LLMに関連知識を生成させ、プロンプトに追加することで、いくつかのデータセットで最も高い性能を持つモデルSOTA(State of the Art)(※)を達成した手法です。

Chain of Thoughts(CoT):思考の過程をプロンプトに入力することで、LLMに非線形(入力と出力の関係が直線的ではないこと)な思考をさせる手法です。複雑な推論を可能にします。

(※)SOTA(State-of-the-Art)とは、製品や科学などの、ある特定の専門技術領域において現時点での最先端レベル(=最高/最良)の性能(=機械学習では正解率などのスコア/精度)を達成していることを表します。

Peer-to-peer(ピア・ツー・ピア)

ネットワーク上で機器間が接続・通信する方式の一つで、機能に違いのない端末同士が対等な関係で直に接続し、互いの持つデータや機能を利用しあう方式のことを指します。

異種混合環境

多種多様タイプ及びパターンのデータが混在する環境のことを指します。

分散秘匿計算

データの内容を確認することなく秘匿したまま計算処理できる技術のことであり、さらにデータを複数のサーバーへ分散して上で計算することにより、高い水準でセキュリティを保つことができる技術であります。

インスタンス

あらかじめ定義されたコンピュータプログラムやデータ構造などを、メインメモリ上に展開して処理・実行できる状態にしたものであります。

VM

仮想マシンであります。独立したシステムとして機能するコンピューティング環境のことを指します。

カンパニゼーション

当社グループ独自の用語であり、企業ごとに合わせた学習をすることで、企業の持つマニュアルやレッスンラーンドデータ、カルチャーに沿ったアウトプットを備えることを指します。例えば、コールセンターをAIで対応させる場合、AIを「カンパニゼーション」することでAIが「その企業らしさ(過去のノウハウや、企業の持つ特徴的なカルチャー(声や抑揚などの企業風土)を踏まえた対応など)」を兼ね備えた対応ができるようになります。

 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。なお、当社グループは、人工知能(AI)事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、国際情勢に伴う資源価格の高騰、円安の進行など先行き不透明な状況が続きました。

当社グループは「デジタルクローンP.A.I.(=私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAI)」の実現のため、AI研究開発を通じた成果によるサービスをクライアントに提供しておりますが、リモートワークの定着や人手不足を背景に、AIがビジネスで求められるシーンは引き続き拡大しております。

このような事業環境の中、AX Products&Trading事業のプロモーション活動を引き続き実施し、特に主要プロダクトであるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」により、toB向けの販売を前事業年度に継続して伸ばすことが出来ました。AX Research&Solutions事業では、様々なクライアントからビジネスシーンでのAIの活用についてご商談をいただき、前事業年度より受注を伸ばすことが出来ました。

また、当期末にAX Research&Solutions事業の開発内製化の強化を目的として、システム受託開発及びDXコンサルティング事業を手がける株式会社わさびと株式会社Green&Digital Partnersの株式を取得いたしました。

さらに、当社が開発・提供するクローンマッチング技術を活した「CloneM&A」や「CloneHR」 に続くサービスの一環として、新たに不動産マッチング事業「Clone RE Matching(クローン・アールイー・マッチング)」の開始と、本事業を行うための子会社「株式会社 オルツREキャピタル」を設立いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,057,288千円、営業損失2,324,616千円、経常損失2,413,437千円、親会社株主に帰属する当期純損失は2,694,114千円となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、6,765,549千円となりました。流動資産合計は6,181,774千円で、主な内訳は、現金及び預金4,617,501千円、売掛金1,315,894千円、未収消費税等141,518千円になります。固定資産合計は583,775千円で、主な内訳は、のれん578,443千円になります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、2,759,269千円となりました。流動負債合計は1,443,314千円で、主な内訳は、未払金920,988千円、短期借入金249,608千円、未払法人税等79,836千円になります。固定負債合計は1,315,955千円で、内訳は全額長期借入金になります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、4,006,280千円となりました。主な内訳は、資本金2,298,340千円、資本剰余金6,229,844千円、利益剰余金△4,522,064千円になります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,617,501千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果、支出した資金は2,419,421千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,692,889千円、減損損失が279,452千円、売上債権の増加額が487,807千円あった一方、未払金の増加額が391,919千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果、支出した資金は625,929千円となりました。これは主に、子会社株式の取得による支出504,931千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果、得られた資金は5,445,659千円となりました。これは主に、株式の発行による収入が4,377,967千円、長期借入による収入が1,300,000千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

販売実績は次のとおりであります。なお、当社は人工知能(AI)事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、サービスごとに記載しております。

 

サービスの名称

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

AX Products&Trading事業

5,331,550

AX Research&Solutions事業

725,737

合計

6,057,288

 

(注) 1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度比は記載しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ジークス

3,283,954

54.2

株式会社INFホールディングス

617,412

10.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しました各指標の推移は次のとおりであります。

 

(AX Products&Trading事業)

2020年1月に提供開始したCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」に関する数値であります。

項目

2024年12月

売上高

5,331,550

千円

連結会計年度末の

有料アカウント数

28,699

 

 

項目

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

売上高

4,517千円

794,151千円

2,501,877千円

3,825,527千円

事業年度末の

有料アカウント数

610

10,760

15,696

23,751

 

(注) 1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。

2.当連結会計年度より、従来の「AI Products事業」を「AX Products&Trading事業」に名称変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。

3.Communication Intelligence「AI GIJIROKU」は2020年1月提供開始であります。

4.2021年12月期以前の売上高については、監査法人シドーによる監査を受けておりません。

 

有料アカウント数の主な増加要因は、販売パートナーによる受注に加えて、自社での販売活動による受注が増加したことによるものであります。

売上高の主な増加要因は、上記有料アカウント数の増加したことと従来の商品であるCommunication Intelligence“AI GIJIROKU”と2023年にリリースしたエージェントAI生成プラットフォームである「altBrain」のセット導入による売上単価が増加したことによりものであります。

 

 

(AX Research&Solutions事業)

項目

2024年12月

売上高

725,737千円

 

 

項目

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

売上高

54,285千円

161,818千円

164,196千円

286,468千円

 

(注) 1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。

2.当連結会計年度より、従来の「AI Solutions事業」を「AX Research&Solutions事業」に名称変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。

3.2021年12月期以前の売上高については、監査法人シドーによる監査を受けておりません。

 

売上高の主な増加要因は、AI クローン開発案件やクローン化技術を活かした企業の課題解決の受注が増加したこと等によるものであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの事業活動における主な資金需要は、労務費及び人件費といった人材に関するもの及び経費等の販売費及び一般管理費等となっております。上記運転資金につきましては、内部資金、銀行からの借入及び売上債権の回収により調達を行うことを基本としており、資金の流動性は確保されております。なお今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。