2024年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報公開の観点から以下に記載しております。

なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。

また、以下における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が判断したものであり、事業などのリスクはこれらに限られるものではありません

 

(1) 自然災害の発生

大規模な地震のほか、台風や集中豪雨、大雪、火山の噴火等によって、建物設備の棄損や焼失のほか、ライフラインの断絶による電気・水道・ガスの供給困難、交通網の麻痺による必要資材の調達遅延に加え、従業員の通勤・帰宅に困難が生じるなど、事業拠点におけるサービス提供の機能が停止するおそれがあります。また、損害発生の地域によっては、当社グループに直接的な損害がない場合でも、消費意欲の減退や交通機関への影響に伴う客数の減少等が予想され、当社グループの収益確保に影響する可能性があります。

これらのリスクに対し、事業継続計画(BCP)、各種災害対策マニュアルに基づき、備蓄資材の管理、避難経路の適切な確保、従業員に対する訓練及び教育の徹底、定期的なマニュアルの見直しなどを行うことで、災害時にお客様・従業員の安全を守り、速やかに事態の収束と事業の再開に向けた活動に移行できるよう、体制の整備を進めてまいります。

 

(2) 感染症の発生、まん延

新型インフルエンザや新型コロナウイルスに代表される感染症の発生やまん延は、海外からの入国規制や渡航自粛によるインバウンド需要の規模縮小に加え、国内においても不要不急の外出自粛要請や消費マインドの減退が生じるなど、経済活動の減速・停滞が予想されます。多くの来場者が見込まれる大型テーマパーク、商業施設、大規模展示場・ホール等が密集する東京都心部を中心とする地域で事業展開を行う当社ホテル事業は、施設近隣で休園や入場規制等が生じた場合、当社施設の利用者も減少する可能性が高く、ホテル事業の収益確保に苦戦するリスクがあります。

これらのリスクに対し、当社ホテル事業においては、従来から注力している利便性の追求に加え、利用目的や客層のニーズに即したおもてなしと心地良い時間と空間の提供を行うことで、高付加価値サービスの提供を実現し、収益性の確保と拡大に努めるほか、ビジネスや教育、スポーツ関連団体による宿泊需要の獲得にも注力することで観光・レジャー需要に偏向した顧客獲得を改め、バランスを意識した予約の獲得・顧客の分散を図り、有事の際も特定の顧客層が失われることで、事業継続リスクを生じさせる状況からの脱却に取り組んでおります。

 

(3) 固定資産の減損及び保有有価証券の資産価値の毀損

当社グループは、ホテル事業の運営に必要となる施設及び内装資産のほか、投資不動産などの固定資産を保有しております。市川市内の自社所有のビジネスホテル施設や、成田市内に保有するアウトドアリゾート事業開発用地は、建設費などの多額の設備投資を行っていることから、今後、計画した収益が確保できない場合には、固定資産の減損処理が必要となることが考えられるほか、地震による価値毀損リスクも有しております。

また、資金運用の一環として有価証券等を保有しております。主に投資事業有限責任組合を通じた、未上場会社への投資であり、取締役会での十分な審議の上、投資判断を行っておりますが、資産の特性上、リスクの高い金融資産に分類されることから、投資先の成長が計画通りに進まない場合は、投資資産に毀損が生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える場合があります。

 

(4) 労務リスク

当社グループは、接客を伴うサービス業を主としております。人材育成の強化を図ることで、人的資本の価値を最大限に引き上げ、サービス品質と顧客満足度の向上の実現に努めています。次世代人材に加え、他社知見を有する中堅人材、専門的知見を有した高度人材の登用を積極的に行い、必要人材の安定確保を進め、従業員が心理的安全のもとで、安心して業務に集中でき、キャリアアップができる体制づくりを進めています。

今後、関係法令や社会保険への対応、労働条件・待遇条件を含めた労働環境の整備を推進するにあたり、人件費や業務委託費、その他の販売費及び一般管理費の増加が生じるほか、社会的な人手不足が深刻化し、必要人材の確保に遅れが生じることでやむを得ずサービス提供に縮小が生じる場合は、当社グループの収益確保に影響を与える可能性があります。

当社グループは、これらのリスクに対し、ハラスメント対策、コンプライアンス研修、従業員のメンタルヘルスならびに時間外就労や休暇取得状況の管理の徹底など、従業員のケアに重点を置いた取り組みとモニタリングを進めるとともに、要員計画に基づく計画的な採用ならびに人材の戦力化、時短勤務や就労地・業務を限定する新たな雇用形態の確立を通じた雇用間口の拡大を実現し、正規・非正規の別を問わず、安定的な要員確保に努めてまいります。

 

(5) マンションフロントサービス事業の運営環境の変化

全国のマンション販売をめぐる環境は、新規戸数の減少傾向が続いているほか、建設コストの高止まり、建設に適した用地が不足するなど、厳しい状況が続いています。そのため、マンションフロントの導入を可能とする大型物件が減少傾向にあるほか、全国的な人手不足を背景とするなかでのコンシェルジュ人材の安定確保や品質の担保、管理コストの上昇を起因とする各マンションの管理組合の収支悪化に伴うフロント体制の維持に困難を生じるなど、事業を取り巻く環境変化に伴う事業リスクが一定数存在します。

しかしながら、新規マンションのうち、小規模物件は増加傾向にあるほか、各種支援システムの技術的発達や、コロナ禍を契機とする社会の変化、行動様式・価値観の変化により、従来は難しいとされていたシステムを介したサービス提供や省人化の実現が可能となるなど、事業拡大にとって追い風となる変化も生じております。

マンションフロントサービス事業においては、サービス内容の拡充と差別化による付加価値の提供を通じた価格競争からの脱却を目指すとともに、コンシェルジェ人材の安定確保と教育研修の継続実施に努めるほか、シェアオフィスやコワーキングスペースにおける受託業務など、今後の成長が期待される領域での開拓に加え、100世帯以下の中・小規模マンション向けの生活、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS Lite」の導入数の拡大、有人フロントからOICOS物件への移行と並行し、有人フロントによるサービス提供は、より高品質で特別感を持つ高付加価値サービスへの昇華を目指し、業界におけるニッチシェアトップの存在としての地位を確立することで、シェアの拡大と新たな需要や市場の獲得を実現することで、運営環境の変化に対処してまいります。

 

(6) クリーニング事業の運営環境の変化

全国のクリーニング業をめぐる環境は、在宅勤務の拡大やファストファッションの普及により、一般衣類を対象とするクリーニング需要に減少傾向が見られるほか、製造や配送に係るエネルギーコストの上昇や原材料・資材等の価格高騰を背景とする経営困難、取次拠点や工場の閉鎖、後継者不足による廃業など、産業としての縮小も顕著であり、厳しい状況が続いております。

クリーニング事業においては、収益性を重視した経営体制の構築に向け、不採算部門の整理や撤退、提携工場の集約による集荷・配送コストの削減に努めているほか、バックオフィス業務の効率化にも着手しています。また、マンションフロントサービス事業との親和性が高く、今度の需要拡大が見込まれるハウスクリーニングや保管サービス等の新規獲得に加え、新たな試みとして、モバイルコミュニケーションツール「LINE」を通じ、クリーニング対象品の集荷依頼や各種ご相談を24時間で可能とし、キャッシュレス決済にも対応したトータルクリーニングサービス「オンラインコンシェルジュ」の展開を強化するなど、マンション居住者のそれぞれのニーズに対応し、フロントや近隣提携工場の有無にかかわらず常時提供できる利便性の高いサービスの開発にも着手しておりますが、新たな需要獲得が鈍化もしくは遅延する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) その他の包括的なリスク

当社の主力事業であるホテル事業の出店エリアは千葉県内(市川市・浦安市)・東京3区(千代田区・港区・江東区)となっていることから、上記事項が発生した場合、当社グループ全体の収益確保に大きく影響する可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、会社法第459条第1項及び第460条第1項に基づき、剰余金の配当を取締役会の決議により行う旨の定款規定を設けております。また、当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

(1)剰余金の配当等に関する中長期的な方針

当社は、これまで株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして認識し、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保の充実を考慮した上で、剰余金の配当や自己株式の取得を実施してまいりました。

なかでも、剰余金の配当につきましては、株主のみなさまへ安定配当を行うことを基本とし、各事業年度の業績、財務体質の強化、今後のグループ事業戦略等を考慮の上、配当性向を勘案し、利益還元を引き続き実施してまいりたいと考えております。

また、自己株式の取得につきましても、株主に対する有効な利益還元の一つと考えており、株価の動向や財務状況、資金需要などを考慮しながら適切に対応してまいります。

 

(2)当事業年度の剰余金の配当等の理由

当期におきましては、安定配当の基本方針に基づき、期末配当金につきましては、1株につき10円を株主のみなさまへの利益配分として実施させていただきました。これにより、中間配当金の10円を含めました当期の年間配当金は、1株につき20円となりました。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月11日

取締役会

49,363

10.00

2024年4月12日

取締役会

49,363

10.00