2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 90,652 100.0 18,367 100.0 20.3

事業内容

 

3 【事業の内容】

(1) 当社グループの事業の概要

当社グループは、理科学機器の専門メーカーとして、1951年の創業から70年を超えるグループの歴史を通して、国内のみならず90ヵ国を超える世界各国において、X線回折、蛍光X線分析、X線イメージング等、X線技術を中心とした分析・計測機器の開発、製造、販売、サービス等の事業を展開し、当社グループは現在、当社とその国内外の連結子会社17社で構成されています。

X線には、可視光線よりもはるかに短い波長(高いエネルギー)により物質を透過し、さらにX線を照射した物質との相互作用により二次X線である散乱X線や蛍光X線を発生させる特性があります。これらのX線の物理特性から得られる情報を測定・分析することにより、ナノスケールの微細構造を非破壊で解析し、物質の組成、結晶構造、含有元素等を特定・評価することができます。

これらのX線の物理特性を分析技術として応用し、製品化したX線分析・計測機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、半導体製造のためのプロセス・コントロール、ライフサイエンスの発展に寄与する医薬品の研究開発等、アカデミア、産業分野を問わず、幅広く利用され、科学技術の発展に伴うX線分析ソリューションへの需要の高まりにより、その市場が拡大しています。

 

(2) 当社グループの事業の内容

① 用語の意味

当社グループの事業の説明では多くの専門用語が使用されますので、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載している用語を含めて、以下に示す一覧表にて説明いたします。

用語

意味

3D NANDメモリ

メモリセルを平面だけでなく、垂直にも並べた3次元構造のNAND型フラッシュメモリのことを指す。メモリセルを3次元構造に並べることで、チップ面積を増加させることなく大容量化することができる。

IC境界補正

いくつかのICチップを組み合わせて1つの大きな検出器を作成する際に、各チップ間の境界で検出されるデータを補正し、全体として一つの正しいイメージを表示する仕組みを指す。

SiC

シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体材料を指す。

X線透過(イメージング)

X線画像及びX線を用いた断層撮影法を指す。

X線回折(XRD)

結晶試料にX線を照射した際、X線が原子の周りにある電子によって散乱し、干渉した結果により起こる回折パターンから試料の結晶構造情報を得る手法を指す。粉末試料、加工材料試料等を解析することができる。

X線透過装置

様々な機械部品、電子基板、電子部品等のサンプルにX線を照射し、そのX線透過像から内部の構造や欠陥を非破壊で観察する装置を指す。

X線トポグラフ(トポグラフィ装置)

結晶試料にX線を照射して回折するX線の強度を記録し、2次元マッピング画像として撮影・観察する、イメージング技術による非破壊評価の手法を指す。様々な結晶材料内の欠陥を視覚化し、品質をモニタリングする際に用いられる。

蛍光X線分析(XRF)

波長分散型(WDX)とエネルギー分散型(EDX)に大別され、物質にX線を照射したときに発生する蛍光X線を利用して、定性分析や定量分析を行う元素分析手法のことを指す。

光学系

光線の性質を利用して、それを集中、発散、反射、屈折させるためのレンズ、反射鏡、プリズム等の器具や装置の総称を指す。

散乱データの可視化プロジェクト

X線回折で検出される散乱データが何を意味するかが分かるように、イメージとして可視化する仕組みを指す。

電子回折

結晶試料に電子線を照射するときに起こる回折パターンから試料の結晶構造情報を得る手法を指す。

分光素子

光学機器や光学系を構成する、入射した光線を波長毎に分けるレンズ、反射鏡、プリズム、フィルター、回折格子等を指す。

ラマン分光分析

試料にレーザー光を照射した際に発生するラマン散乱光を検出し、試料の化合物状態や結晶構造の情報を得ることでその分析を行う手法を指す。

 

 

 

分析・計測機器の開発、製造、販売及びサービス

当社グループは、X線技術を中心とした分析・計測機器の開発、製造、販売、サービス等の事業を展開しています。

当社グループは、X線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、X線分析・計測機器の能力を左右する要素技術の研究開発に重点的に投資し、そうした要素技術をパーツ製品化した要素部品を自社で生産することにより、製品の高性能化、開発サイクルの短縮化、量産効果等を実現するアドバンテージを有しています。

当社グループの研究開発は、PhD学位保持者をはじめ、高度な専門性を有する約300名のX線技術者をグループ内に擁し、加えて世界各国の著名な研究機関とも緊密なパートナーシップを構築しています。こうして生まれる他社とは差別化された高度なX線要素技術力は、それらの要素部品を搭載する製品の技術優位性と市場競争力の源泉となっています。

当社グループは、自ら設計・開発するこれらの要素部品やそうした要素部品を搭載する分析・計測機器を製造するために必要となる機械部品や電子部品等を部品メーカーから直接あるいは商社を経由して仕入れするとともに、部品の製造や製品の組立ての一部を協力会社に外注委託しています。当社グループは、これらの部品や製品を仕入れし、それらから製造する分析・計測機器を大学や研究機関、企業の研究部門や品質管理部門及び製造部門等に販売しています。

また、当社グループが販売する製品は精密機械であり、高い精度を長く保持し、万一障害が発生した場合に迅速な修復対応を求める顧客のニーズに応えるため、既納製品に対する消耗品・交換部品の供給、ハードウェアやソフトウェアのアップグレード、修理・点検、予防保守契約、機器の移設サポート等のアフター・サービスを提供しています。

当社グループは、これらの顧客への製品の販売やアフター・サービスの提供を、地域に応じて直接あるいは代理店を起用して行っています。

 

③ 当社グループの事業の区分と各内容

当社グループの事業は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントですが、その製品カテゴリーによる区分として、多目的分析機器事業、半導体プロセス・コントロール機器事業、部品・サービス事業の3つを設定しています。それぞれの事業の内容は以下に記載するとおりです。

 

イ 多目的分析機器事業

多目的分析機器事業では、以下のX線技術を利用する分析・計測機器の開発と販売を行っています。

X線技術

概要

主要な製品

X線回折

結晶試料にX線を照射した際に生じる回折パターンから試料の結晶構造情報を得る手法を用いて、物質の組成や結晶構造を分析します。X線回折機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、医薬品の研究開発等に利用されています。

全自動多目的X線回折装置

SmartLab


超高速・超高精度

単結晶X線構造解析装置

XtaLAB Synergy-S


蛍光X線分析

分析の分解能に優れる波長分散型と測定の迅速性に優れるエネルギー分散型の機器を開発・販売しています。物質にX線を照射した際に生じる元素特有の蛍光X線を利用して元素情報を得る手法を用いて、物質の含有元素の定性・定量分析を行います。蛍光X線分析機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、有害元素の適切な管理による環境規制への準拠等に利用されています。

走査型蛍光X線分析装置

ZSX Primus IV

 


X線イメージング

X線の物質透過性を利用して、工業材料や工業製品の内部構造を非破壊で画像化します。X線イメージング機器(X線CT)は、工業材料や工業製品の研究開発や生産プロセスにおける品質管理に利用されています。

工業用デスクトップ

3DマイクロX線CT

CT Lab HX


 

 

ロ 半導体プロセス・コントロール機器事業

半導体プロセス・コントロール機器は、蛍光X線(XRF)、X線反射率(XRR)、X線回折(XRD)等の分析手法を組み合わせて、半導体ウェーハの汚染検査、薄膜評価、膜厚・密度測定、組成・結晶性評価、3次元形状測定等、半導体製造における様々なパラメータを測定し、プロセスをコントロールする工程で利用されています。個々のデバイスの欠陥を検知する半導体検査(Inspection)機器に対して、当社グループの製品は、デバイスの製造プロセスの品質を計測し、その改善に寄与することでデバイス製造の歩留まりの改善をもたらす、より高付加価値で、そのために高い需要成長が予測されている半導体計測(Metrology)機器です。当社グループの半導体X線計測機器は、世界大手の半導体メーカーのインライン品質管理や半導体製造機器メーカーの研究開発・品質管理等で役立てられています。

主要な製品

薄膜評価用蛍光X線分析装置

WaferX310


インラインX線膜厚・密度モニター

XTRAIA MF-3000


インラインHRXRD/XRR計測ツール

XTRAIA XD-3300


透過X線CD計測ツール

XTRAIA CD-3200T


 

 

 

ハ 部品・サービス事業

部品・サービス事業では、以下に掲げる様々な事業を展開しています。

事業

概要

主要な製品

サービス

顧客に販売した製品のアフター・サービスとして、消耗品・交換部品の供給、ハードウェアやソフトウェアのアップグレード、修理・点検、予防保守契約、機器の移設サポート等を提供しています。これらのアフター・サービスを製品のライフサイクルにわたって継続的に提供することを通して、長期的な顧客との信頼関係と定着率の高い顧客基盤の構築に貢献するとともに、販売製品のインストールベースの着実な増加がもたらすストック型のビジネスモデルを確立しています。

要素部品

当社グループは、X線分析・計測機器の能力を左右するX線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、その高度なX線要素技術力をパーツ製品化した各種要素部品について、自社の製品に搭載するほか、それを評価する他社の技術ニーズにも応えて、一部を外販しています。例えば、当社グループの先端多層膜ミラーは、半導体製造のためのEUVマスク検査機器に不可欠な技術パーツとして半導体製造機器メーカーに供給されています。

EUV多層膜ミラー

 


その他の分析機器

当社グループでは、X線技術を利用する分析・計測機器のほかに、熱分析・発生ガス分析装置、携帯型ラマン分光分析装置、水銀測定装置、動物用イメージング・モダリティ装置等の開発・販売を行っています。

示差熱・熱重量同時測定装置

TG-DTA 8122

 


 

 

 

(3) 当社グループの概要等

当社グループは当社とその国内外の連結子会社17社で構成され、当社グループを構成しているこれらの各社の役割・取扱製品等は以下のとおりです。

当社グループの事業は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しています。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

グループ

会社名

(略称)

有する機能

事業を展開する

国・地域

役割又は取扱製品

経営管理

開発

製造

販売

サービス

その他

所在地:日本

RH

 

 

 

 

 

全世界

グループ会社経営管理

RC

 

 

全世界

理科学機器及びその要素技術製品

RLC

 

 

 

 

 

日本

精密機器の梱包及び運送

NIC

 

 

全世界

水銀分析計

所在地:米州

RAH

 

全世界

理科学機器及びその要素技術製品

RdB

 

 

 

 

 

中南米

理科学機器(販売支援)

所在地:欧州・中東

RESE

 

 

 

 

欧州・中東・アフリカ

理科学機器

RUK

 

 

 

 

イギリス

理科学機器

RFR

 

 

 

 

フランス

理科学機器

RITE

 

 

 

全世界

理科学機器の要素技術製品

ROP

 

 

 

 

ポーランド

理科学機器(単結晶X線構造解析装置)

MILabs

 

 

全世界

理科学機器(前臨床イメージング装置)

RSI

 

 

 

 

イスラエル

理科学機器(半導体X線計測装置)

所在地:アジア太平洋・中国

RAPP

 

 

 

アジア太平洋

理科学機器(販売支援)

RBC

 

 

 

 

中国

理科学機器(販売支援)

RSHC

 

 

 

 

中国

理科学機器

RPDA

 

 

 

 

 

アジア太平洋

理科学機器及びその要素技術部品

RIPL

 

 

 

 

インド

理科学機器(販売支援)

 

 

 

本項目及び「第2 事業の状況 6 研究開発活動」で記載している当社グループの各会社名は以下のとおりです。

会社名

略称

リガク・ホールディングス株式会社(当社)

RH

株式会社リガク

RC

理学ロジスティクス株式会社

RLC

日本インスツルメンツ株式会社

NIC

Rigaku Americas Holding, Inc.

RAH

Rigaku do Brasil Ltda.

RdB

Rigaku Europe SE

RESE

Rigaku UK, Ltd.

RUK

Rigaku France S.A.R.L.

RFR

Rigaku Innovative Technologies Europe s.r.o.

RITE

Rigaku Polska Sp.z o.o.

ROP

MILabs B.V.

MILabs

Rigaku Semiconductor Instruments Ltd. (注)1

RSI

Rigaku Asia Pacific PTE Ltd.

RAPP

理学電企儀器(北京)有限公司

RBC

理学電企(上海)儀器有限公司

RSHC

Rigaku Portable Devices Asia Limited

RPDA

Rigaku India Private Ltd.

RIPL

Rigaku Innovative Technologies, Inc. (注)2

RIT

Applied Rigaku Technologies, Inc. (注)2

ART

Rigaku Analytical Devices, Inc. (注)2

RAD

Newton Scientific, Inc. (注)2

NSI

 

(注)1.Rigaku Semiconductor Instruments Ltd.は、2024年12月5日付でXwinSys Technology Development Ltd.から社名変更しております。

2.RIT、ART、RAD及びNSIは、2023年12月にRAHへ吸収合併しましたが、RAHの中の部門として残っているため、当略称は部門としての略称として使用しております。

 

事業の系統図は以下のとおりです。

 


業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から14,426百万円増加し、177,547百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物が7,470百万円増加、為替影響及び売上収益増加等で営業債権及びその他の債権が1,373百万円増加、山梨工場増設に伴う設備投資等で有形固定資産が4,021百万円増加等です。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から1,993百万円減少し、95,777百万円となりました。主な要因は、売上収益の実現により流動負債の契約負債が1,336百万円減少、4,000百万円の借入金返済及び2,721百万円の山梨工場増設に伴う新規借入で非流動負債の借入金が1,279百万円減少、退職金の支払い等で非流動負債の従業員給付が1,008百万円減少等です。

当連結会計年度末の資本合計は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ16,420百万円増加し、81,769百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から6.0ポイント増加し、46.1%となりました。

 

当連結会計年度における我が国の経済状況は、雇用・所得環境の改善並びに経済活動の正常化が進んだことにより、賃金上昇、物価上昇が認められますが、インフレによって実質賃金の伸びが抑えられ、緩やかな回復に留まっています。米国ではインフレ減速と金融緩和の中、緩やかな成長を維持、欧州はインフレに伴う経済減速、中国経済は引き続き不動産不況等で内需が低迷しています。ロシアのウクライナ侵攻の長期化、パレスチナを中心とした中東情勢の悪化等により、地政学的リスクは高いままです。また、米国の金融緩和の動きと日本における日銀の政策金利引き上げの動きにより、為替相場の変動が生じています。

こうした経済状況下ではありましたが、半導体市場の成長と材料イノベーションへの取り組みの進展は当社グループのソリューションに対し高い需要を生み出し、主に以下の事業における伸長と出荷増等により、売上収益、利益ともに二桁成長を達成しました。

・ 多目的分析機器においては、グローバル戦略が奏功し、海外、特に米州・アジアで高い成長を実現しました。新素材や新技術の研究需要の高まりや中国補正予算案件の獲得により、アカデミア/ガバメントの領域で売上を伸ばしました。Lab to Fab戦略が進展し、X線トポグラフィ技術を利用したパワー半導体の開発・量産工程で使用される製品の販売が伸長しました。

・ 半導体プロセス・コントロール機器においては、北米及びアジア(中国を除く)におけるAI半導体向けへの当社製品の採用が加速され、GAA世代のロジックやアドバンスト・パッケージング向けの新たな需要を獲得しました。また先端半導体エコシステムへのアプローチ戦略強化により、半導体製造装置メーカーの研究開発及び出荷時検査を目的とした需要を獲得しました。さらに中国においてはレガシー及びパワー半導体の需要を効果的に獲得しました。これらにより大幅な成長を実現しました。

・ 新型コロナウイルス感染症の影響による部材仕入の遅延等で生産・出荷が遅滞していた状況が緩和され、生産の円滑化とサプライチェーンの改善により出荷が増加しました。

・ 販売ミックス、プライシング戦略を改善させ、また通年では円安傾向にあることも当社業績に寄与しました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、円安による効果もあり、売上収益は90,652百万円(前年比13.5%増)、営業利益は18,367百万円(同20.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は13,615百万円(同24.9%増)となりました。

なお、当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は27,992百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,470百万円増加しました。

当連結会計年度における各活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は14,604百万円(前期は11,723百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前当期利益17,977百万円(前期は14,826百万円)、減価償却費及び償却費4,868百万円(前年同期は4,408百万円)があった一方で、法人所得税の支払5,674百万円(前年同期は4,161百万円)があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は6,053百万円(前期は2,358百万円の資金の減少)となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入282百万円(前年同期は280百万円)があった一方で、有形固定資産の取得による支出5,867百万円(前年同期は2,780百万円)、無形資産の取得による支出495百万円(前年同期は46百万円)があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は2,442百万円(前期は4,023百万円の資金の減少)となりました。これは主に、借入による収入2,721百万円(前年同期は無し)があった一方で、借入金の返済による支出4,000百万円(前年同期は3,333百万円)、リース負債の返済による支出1,158百万円(前年同期は839百万円)があったこと等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

35,356

106.5

 

(注) 金額は、販売価格の売上原価によっております。

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

36,282

98.3

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

c 受注実績

当連結会計年度における受注実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

80,739

100.9

32,326

80.0

 

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

90,652

113.5

 

(注) 販売先の販売割合が総販売実績額の10%以上を占める販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による主要な経営指標に基づく当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

 至 2024年12月31日)

売上収益

79,887

百万円

90,652

百万円

対前年売上高成長率

27.4

13.5

営業利益

15,256

百万円

18,367

百万円

調整後営業利益(注1)

18,315

百万円

20,917

百万円

調整後営業利益率(注1)

22.9

23.1

調整後EBITDA(注2)

20,229

百万円

23,462

百万円

調整後EBITDAマージン(注2)

25.3

25.9

Net Debt/調整後EBITDAレシオ(注3)

2.1

1.4

研究開発費比率(注4)

6.5

7.5

CAPEX比率(注5)

3.5

7.0

 

 

当連結会計年度における世界経済は、インフレの沈静化による各国における利下げ、世界的な貿易の持ち直し等により、底堅い成長が見られました。また、日本経済は年初の落ち込みから年央以降は復調する等、年後半にかけて徐々に回復しました。一方で各国における地政学的な紛争リスク、米国における政権交代等による先行きの不透明さがあります。このような環境下において、当社グループが手掛けている分析機器ビジネスは、旺盛な研究開発投資による多目的分析機器事業の高い成長と市場のシクリカリティを超えた半導体プロセス・コントロール機器事業の成長に支えられ、当連結会計年度の売上収益は90,652百万円(前年同期比13.5%増)で過去最高となりました。2023年前半までは、主に新型コロナウイルス感染症の影響による部品・部材の調達問題とそれに起因する生産遅延等の影響がありましたが、全社プロジェクトとして、代替部品の選定や仕入先の拡大を行い資材調達の改善を図り、自社の生産体制の強化・効率化と併せて外注の拡充を行って生産能力の拡大につなげたことが、売上の成長に大きく貢献しております。

調整後営業利益(注1)は20,917百万円(前年同期比14.2%増)、調整後EBITDAマージン(注2)は25.9%(前年同期比0.6ポイント増)、Net Debt/調整後EBITDAレシオ(注3)は1.4倍(前年同期比0.6ポイント減)となり、価格の見直しと売上成長によるオペレーティングレバレッジにより利益率を堅実に向上させ、財務上の高い健全性を実現しました。

研究開発費は当社の成長の源泉となる重要な投資となるため増額し、前年同期比で32.5%増えたものの、売上の成長率も大きかったため、研究開発費比率(注4)は7.5%となり前年同期比で1.1ポイント上昇しております。CAPEXは主に山梨工場増設に伴う設備投資等でCAPEX比率(注5)7.0%の支出になり、前年同期比で3.5ポイント上昇しました。

(注) 1.調整後営業利益=営業利益+PPA償却費+減損損失+一時費用

         調整後営業利益率=調整後営業利益/売上高

2.調整後EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費+減損損失-受取利息及び配当金+支払利息+一時費用(IFRS導入費用、コンサルティング・フィー、中国免除申請関連費用、上場関連費用等)   

    調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA/売上高

3.Net Debt/調整後EBITDAレシオ=(短期借入金+長期借入金+リース負債(流動)+リース負債(固定)- 現金及び現金同等物)/ 調整後EBITDA

4.研究開発費比率=研究開発費/売上高

5.CAPEX比率=CAPEX/売上高    CAPEXは使用権資産を除いた設備投資の金額により算出

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

また、流動性リスクを管理するために、以下の指標を用いて、それぞれの数値の変化を毎月モニタリングし、原因を分析することにより流動性リスクを管理しております。

 

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

 至 2024年12月31日)

DSO(注1)

75

72

DIO(注2)

222

219

DPO(注3)

75

74

Net Debt/EBITDAレシオ(注4)

2.11

1.44

 

 

当社グループは、経営の効率化を進めるために基幹システム等IT投資を強化する計画です。また売上増加に対処するために生産能力の拡張投資を実行しておりますが、運転資金の改善やグループ内での資金集約等の資金効率化を通じて、必要な資金は原則として手元資金で賄うことを基本方針としております。資金繰りが悪化した場合には、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等 (コミットメントライン契約の締結)」に記載されたコミットメントローンを活用いたします。

(注) 1.DSO=売掛債権残高/売上高(12ヶ月)*365

2.DIO=棚卸資産残高/売上原価(12ヶ月)*365

3.DPO=買掛債務残高/売上原価(12ヶ月)*365

4.EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費-受取利息及び配当金+支払利息

    Net Debt/EBITDAレシオ=(短期借入金+長期借入金+リース負債(流動)+リース負債(固定)- 現金及び現金同等物)/ EBITDA

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

セグメント情報

6.事業セグメント

(1) 報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっております。

当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントです。

 

報告セグメント

主要製品及びサービス

理科学機器の製造・販売

線回折装置、熱分析装置、半導体関連装置、携帯型成分分析計等

 

 

(2) セグメント収益及び業績

当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

(3) 製品及びサービスに関する情報

製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は、以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

2023年12月31日)

 

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

2024年12月31日)

多目的分析機器

35,840

 

41,327

半導体プロセス・コントロール機器

18,652

 

23,391

部品・サービス

25,395

 

25,934

合計

79,887

 

90,652

 

 

 

(4) 地域に関する情報

外部顧客からの売上収益及び非流動資産の地域別内訳は、以下のとおりです。

①外部顧客からの売上収益

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

2023年12月31日)

 

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

2024年12月31日)

日本

52,272

 

59,425

米国

19,720

 

21,844

欧州

6,703

 

7,989

アジア

1,191

 

1,392

合計

79,887

 

90,652

 

(注) 売上収益は当社及び連結子会社の所在地を基礎として区分しております。

 

②非流動資産

(単位:百万円)

 

前連結会計年度
(2023年12月31日)

 

当連結会計年度
(2024年12月31日)

日本

89,416

 

93,537

米国

5,449

 

5,913

欧州

5,669

 

4,773

アジア

134

 

298

合計

100,670

 

104,522

 

(注) 非流動資産は資産の所在地によっており、金融商品、繰延税金資産等を含んでおりません。

 

(5) 主要顧客に関する情報

外部顧客への売上収益のうち連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。