事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 90,652 | 100.0 | 18,367 | 100.0 | 20.3 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) 当社グループの事業の概要
当社グループは、理科学機器の専門メーカーとして、1951年の創業から70年を超えるグループの歴史を通して、国内のみならず90ヵ国を超える世界各国において、X線回折、蛍光X線分析、X線イメージング等、X線技術を中心とした分析・計測機器の開発、製造、販売、サービス等の事業を展開し、当社グループは現在、当社とその国内外の連結子会社17社で構成されています。
X線には、可視光線よりもはるかに短い波長(高いエネルギー)により物質を透過し、さらにX線を照射した物質との相互作用により二次X線である散乱X線や蛍光X線を発生させる特性があります。これらのX線の物理特性から得られる情報を測定・分析することにより、ナノスケールの微細構造を非破壊で解析し、物質の組成、結晶構造、含有元素等を特定・評価することができます。
これらのX線の物理特性を分析技術として応用し、製品化したX線分析・計測機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、半導体製造のためのプロセス・コントロール、ライフサイエンスの発展に寄与する医薬品の研究開発等、アカデミア、産業分野を問わず、幅広く利用され、科学技術の発展に伴うX線分析ソリューションへの需要の高まりにより、その市場が拡大しています。
(2) 当社グループの事業の内容
① 用語の意味
当社グループの事業の説明では多くの専門用語が使用されますので、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載している用語を含めて、以下に示す一覧表にて説明いたします。
② 分析・計測機器の開発、製造、販売及びサービス
当社グループは、X線技術を中心とした分析・計測機器の開発、製造、販売、サービス等の事業を展開しています。
当社グループは、X線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、X線分析・計測機器の能力を左右する要素技術の研究開発に重点的に投資し、そうした要素技術をパーツ製品化した要素部品を自社で生産することにより、製品の高性能化、開発サイクルの短縮化、量産効果等を実現するアドバンテージを有しています。
当社グループの研究開発は、PhD学位保持者をはじめ、高度な専門性を有する約300名のX線技術者をグループ内に擁し、加えて世界各国の著名な研究機関とも緊密なパートナーシップを構築しています。こうして生まれる他社とは差別化された高度なX線要素技術力は、それらの要素部品を搭載する製品の技術優位性と市場競争力の源泉となっています。
当社グループは、自ら設計・開発するこれらの要素部品やそうした要素部品を搭載する分析・計測機器を製造するために必要となる機械部品や電子部品等を部品メーカーから直接あるいは商社を経由して仕入れするとともに、部品の製造や製品の組立ての一部を協力会社に外注委託しています。当社グループは、これらの部品や製品を仕入れし、それらから製造する分析・計測機器を大学や研究機関、企業の研究部門や品質管理部門及び製造部門等に販売しています。
また、当社グループが販売する製品は精密機械であり、高い精度を長く保持し、万一障害が発生した場合に迅速な修復対応を求める顧客のニーズに応えるため、既納製品に対する消耗品・交換部品の供給、ハードウェアやソフトウェアのアップグレード、修理・点検、予防保守契約、機器の移設サポート等のアフター・サービスを提供しています。
当社グループは、これらの顧客への製品の販売やアフター・サービスの提供を、地域に応じて直接あるいは代理店を起用して行っています。
③ 当社グループの事業の区分と各内容
当社グループの事業は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントですが、その製品カテゴリーによる区分として、多目的分析機器事業、半導体プロセス・コントロール機器事業、部品・サービス事業の3つを設定しています。それぞれの事業の内容は以下に記載するとおりです。
イ 多目的分析機器事業
多目的分析機器事業では、以下のX線技術を利用する分析・計測機器の開発と販売を行っています。
ロ 半導体プロセス・コントロール機器事業
半導体プロセス・コントロール機器は、蛍光X線(XRF)、X線反射率(XRR)、X線回折(XRD)等の分析手法を組み合わせて、半導体ウェーハの汚染検査、薄膜評価、膜厚・密度測定、組成・結晶性評価、3次元形状測定等、半導体製造における様々なパラメータを測定し、プロセスをコントロールする工程で利用されています。個々のデバイスの欠陥を検知する半導体検査(Inspection)機器に対して、当社グループの製品は、デバイスの製造プロセスの品質を計測し、その改善に寄与することでデバイス製造の歩留まりの改善をもたらす、より高付加価値で、そのために高い需要成長が予測されている半導体計測(Metrology)機器です。当社グループの半導体X線計測機器は、世界大手の半導体メーカーのインライン品質管理や半導体製造機器メーカーの研究開発・品質管理等で役立てられています。
ハ 部品・サービス事業
部品・サービス事業では、以下に掲げる様々な事業を展開しています。
(3) 当社グループの概要等
当社グループは当社とその国内外の連結子会社17社で構成され、当社グループを構成しているこれらの各社の役割・取扱製品等は以下のとおりです。
当社グループの事業は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しています。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
本項目及び「第2 事業の状況 6 研究開発活動」で記載している当社グループの各会社名は以下のとおりです。
(注)1.Rigaku Semiconductor Instruments Ltd.は、2024年12月5日付でXwinSys Technology Development Ltd.から社名変更しております。
2.RIT、ART、RAD及びNSIは、2023年12月にRAHへ吸収合併しましたが、RAHの中の部門として残っているため、当略称は部門としての略称として使用しております。
事業の系統図は以下のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から14,426百万円増加し、177,547百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物が7,470百万円増加、為替影響及び売上収益増加等で営業債権及びその他の債権が1,373百万円増加、山梨工場増設に伴う設備投資等で有形固定資産が4,021百万円増加等です。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から1,993百万円減少し、95,777百万円となりました。主な要因は、売上収益の実現により流動負債の契約負債が1,336百万円減少、4,000百万円の借入金返済及び2,721百万円の山梨工場増設に伴う新規借入で非流動負債の借入金が1,279百万円減少、退職金の支払い等で非流動負債の従業員給付が1,008百万円減少等です。
当連結会計年度末の資本合計は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ16,420百万円増加し、81,769百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から6.0ポイント増加し、46.1%となりました。
当連結会計年度における我が国の経済状況は、雇用・所得環境の改善並びに経済活動の正常化が進んだことにより、賃金上昇、物価上昇が認められますが、インフレによって実質賃金の伸びが抑えられ、緩やかな回復に留まっています。米国ではインフレ減速と金融緩和の中、緩やかな成長を維持、欧州はインフレに伴う経済減速、中国経済は引き続き不動産不況等で内需が低迷しています。ロシアのウクライナ侵攻の長期化、パレスチナを中心とした中東情勢の悪化等により、地政学的リスクは高いままです。また、米国の金融緩和の動きと日本における日銀の政策金利引き上げの動きにより、為替相場の変動が生じています。
こうした経済状況下ではありましたが、半導体市場の成長と材料イノベーションへの取り組みの進展は当社グループのソリューションに対し高い需要を生み出し、主に以下の事業における伸長と出荷増等により、売上収益、利益ともに二桁成長を達成しました。
・ 多目的分析機器においては、グローバル戦略が奏功し、海外、特に米州・アジアで高い成長を実現しました。新素材や新技術の研究需要の高まりや中国補正予算案件の獲得により、アカデミア/ガバメントの領域で売上を伸ばしました。Lab to Fab戦略が進展し、X線トポグラフィ技術を利用したパワー半導体の開発・量産工程で使用される製品の販売が伸長しました。
・ 半導体プロセス・コントロール機器においては、北米及びアジア(中国を除く)におけるAI半導体向けへの当社製品の採用が加速され、GAA世代のロジックやアドバンスト・パッケージング向けの新たな需要を獲得しました。また先端半導体エコシステムへのアプローチ戦略強化により、半導体製造装置メーカーの研究開発及び出荷時検査を目的とした需要を獲得しました。さらに中国においてはレガシー及びパワー半導体の需要を効果的に獲得しました。これらにより大幅な成長を実現しました。
・ 新型コロナウイルス感染症の影響による部材仕入の遅延等で生産・出荷が遅滞していた状況が緩和され、生産の円滑化とサプライチェーンの改善により出荷が増加しました。
・ 販売ミックス、プライシング戦略を改善させ、また通年では円安傾向にあることも当社業績に寄与しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、円安による効果もあり、売上収益は90,652百万円(前年比13.5%増)、営業利益は18,367百万円(同20.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は13,615百万円(同24.9%増)となりました。
なお、当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は27,992百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,470百万円増加しました。
当連結会計年度における各活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は14,604百万円(前期は11,723百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前当期利益17,977百万円(前期は14,826百万円)、減価償却費及び償却費4,868百万円(前年同期は4,408百万円)があった一方で、法人所得税の支払5,674百万円(前年同期は4,161百万円)があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は6,053百万円(前期は2,358百万円の資金の減少)となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入282百万円(前年同期は280百万円)があった一方で、有形固定資産の取得による支出5,867百万円(前年同期は2,780百万円)、無形資産の取得による支出495百万円(前年同期は46百万円)があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は2,442百万円(前期は4,023百万円の資金の減少)となりました。これは主に、借入による収入2,721百万円(前年同期は無し)があった一方で、借入金の返済による支出4,000百万円(前年同期は3,333百万円)、リース負債の返済による支出1,158百万円(前年同期は839百万円)があったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、以下のとおりです。
(注) 金額は、販売価格の売上原価によっております。
b 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績を示すと、以下のとおりです。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c 受注実績
当連結会計年度における受注実績を示すと、以下のとおりです。
d 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、以下のとおりです。
(注) 販売先の販売割合が総販売実績額の10%以上を占める販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による主要な経営指標に基づく当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、インフレの沈静化による各国における利下げ、世界的な貿易の持ち直し等により、底堅い成長が見られました。また、日本経済は年初の落ち込みから年央以降は復調する等、年後半にかけて徐々に回復しました。一方で各国における地政学的な紛争リスク、米国における政権交代等による先行きの不透明さがあります。このような環境下において、当社グループが手掛けている分析機器ビジネスは、旺盛な研究開発投資による多目的分析機器事業の高い成長と市場のシクリカリティを超えた半導体プロセス・コントロール機器事業の成長に支えられ、当連結会計年度の売上収益は90,652百万円(前年同期比13.5%増)で過去最高となりました。2023年前半までは、主に新型コロナウイルス感染症の影響による部品・部材の調達問題とそれに起因する生産遅延等の影響がありましたが、全社プロジェクトとして、代替部品の選定や仕入先の拡大を行い資材調達の改善を図り、自社の生産体制の強化・効率化と併せて外注の拡充を行って生産能力の拡大につなげたことが、売上の成長に大きく貢献しております。
調整後営業利益(注1)は20,917百万円(前年同期比14.2%増)、調整後EBITDAマージン(注2)は25.9%(前年同期比0.6ポイント増)、Net Debt/調整後EBITDAレシオ(注3)は1.4倍(前年同期比0.6ポイント減)となり、価格の見直しと売上成長によるオペレーティングレバレッジにより利益率を堅実に向上させ、財務上の高い健全性を実現しました。
研究開発費は当社の成長の源泉となる重要な投資となるため増額し、前年同期比で32.5%増えたものの、売上の成長率も大きかったため、研究開発費比率(注4)は7.5%となり前年同期比で1.1ポイント上昇しております。CAPEXは主に山梨工場増設に伴う設備投資等でCAPEX比率(注5)7.0%の支出になり、前年同期比で3.5ポイント上昇しました。
(注) 1.調整後営業利益=営業利益+PPA償却費+減損損失+一時費用
調整後営業利益率=調整後営業利益/売上高
2.調整後EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費+減損損失-受取利息及び配当金+支払利息+一時費用(IFRS導入費用、コンサルティング・フィー、中国免除申請関連費用、上場関連費用等)
調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA/売上高
3.Net Debt/調整後EBITDAレシオ=(短期借入金+長期借入金+リース負債(流動)+リース負債(固定)- 現金及び現金同等物)/ 調整後EBITDA
4.研究開発費比率=研究開発費/売上高
5.CAPEX比率=CAPEX/売上高 CAPEXは使用権資産を除いた設備投資の金額により算出
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、流動性リスクを管理するために、以下の指標を用いて、それぞれの数値の変化を毎月モニタリングし、原因を分析することにより流動性リスクを管理しております。
当社グループは、経営の効率化を進めるために基幹システム等IT投資を強化する計画です。また売上増加に対処するために生産能力の拡張投資を実行しておりますが、運転資金の改善やグループ内での資金集約等の資金効率化を通じて、必要な資金は原則として手元資金で賄うことを基本方針としております。資金繰りが悪化した場合には、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等 (コミットメントライン契約の締結)」に記載されたコミットメントローンを活用いたします。
(注) 1.DSO=売掛債権残高/売上高(12ヶ月)*365
2.DIO=棚卸資産残高/売上原価(12ヶ月)*365
3.DPO=買掛債務残高/売上原価(12ヶ月)*365
4.EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費-受取利息及び配当金+支払利息
Net Debt/EBITDAレシオ=(短期借入金+長期借入金+リース負債(流動)+リース負債(固定)- 現金及び現金同等物)/ EBITDA
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
セグメント情報
6.事業セグメント
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっております。
当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントです。
(2) セグメント収益及び業績
当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(3) 製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は、以下のとおりです。
(4) 地域に関する情報
外部顧客からの売上収益及び非流動資産の地域別内訳は、以下のとおりです。
①外部顧客からの売上収益
(注) 売上収益は当社及び連結子会社の所在地を基礎として区分しております。
②非流動資産
(注) 非流動資産は資産の所在地によっており、金融商品、繰延税金資産等を含んでおりません。
(5) 主要顧客に関する情報
外部顧客への売上収益のうち連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。