2023年10月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループが事業を遂行するにあたって、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には、次のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

すしを主力とする回転すし店のチェーン展開を主たる事業とする当社グループにとりましては、外食産業の抱える一般的なリスクに加え、当社グループ固有の戦略に起因するリスクがあります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分認識しており、発生の回避に努めるとともに、万が一、発生した場合の対応には万全を期する方針であります。

 

① 食品の安全管理について

当社グループは、“食の戦前回帰”を経営理念に、創業以来、食の安全にこだわりを持ち、無添加米の使用、全ての食材から「化学調味料」・「人工甘味料」・「合成着色料」・「人工保存料」の四大添加物除去等を実現し、「安心・美味しい・安価」な食を提供してきた当社グループにとって、最大のリスク要因は食中毒の発生と認識しており、「貝塚センター」におけるHACCP(ハサップ)認証や、衛生管理の専門家を配置した「衛生管理部」の設置、当社特許取得済みの抗菌寿司カバー「鮮度くん」の全店導入等、さまざまな対策を講じておりますが、万が一、食中毒などの衛生問題が発生した場合、企業イメージの失墜による売上高の減少、損害賠償費用の発生、一定期間の営業停止や営業許可取り消し等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 食材の仕入れについて

当社グループは、トレーサビリティ(生産履歴)の追求や産地仕入れの分散・拡大に努める等、食材の品質管理を最重要課題と認識しております。全ての食材におきまして、当社グループ基準に則った品質内容の確認、検査及び定期的な報告を義務付けておりますが、万が一、不適切な食材の混入が発生した場合には、社会的信用が失墜し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では養殖事業の推進としまして、2021年11月に新会社「KURAおさかなファーム株式会社」を設立し、安定した仕入れを目指し、効率的な自社及び委託養殖に取り組んでいく所存でございます。

また、世界的な食材需要の変動や為替相場の急激な変動、資源の枯渇が危惧される品種の漁獲規制等により、原材料の想定外の高騰や入荷が困難になった場合、顧客のニーズに即した商品提供が適わないことによる顧客満足度の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 出店戦略について

新規出店の際には、賃料、商圏人口、アクセス、競合店の状況等を総合的に勘案いたしますので、条件に適う物件が確保できない場合には計画通りの出店ができなくなり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、出店計画に見合った人材確保のため、採用計画を立てておりますが、必要な人材の確保及び育成が不芳に終わった場合、店舗運営に支障をきたすこととなり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム障害について

当社グループは、外食産業にあって積極的にIT化を推進している企業と評されております。全食材の受発注、従業員の勤怠管理、売上管理等の店舗管理システムの運営管理は、信頼のおける外部業者に委託しており、万全の体制を整えておりますが、万が一、大災害、停電や機器の欠陥、コンピュータウィルス等不測の事態によりシステム障害が発生した場合には食材調達、勤怠管理等店舗運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 為替変動について

当社グループは、原材料である魚介類の一部について、商社経由で輸入しております。したがって、為替変動により、当社グループの原材料調達価格に影響し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また在外子会社の外貨建て財務諸表を日本円に換算した場合、資産・負債、売上・費用は変動することとなります。

 

⑥ 特有の取引慣行に基づく損害について

当社グループは、回転すし事業を展開するに当たり、店舗オーナーとの賃貸借契約締結に基づく保証金の差入れを行っております。また、オーナーが店舗建物を建設するための建設協力金を融資する場合もあり、賃借料との相殺により分割返済を受けておりますが、オーナーの破産等による保証金及び建設協力金の回収不能が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法規制に係るものについて

当社グループが営んでいる外食産業に関する法的規制には、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を定めた「食品衛生法」及び食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量に関し基本的な事項を定めた「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」があります。また、消費税増税に伴う影響も懸念されます。加えて、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」により、消費者に対する商品やサービスの品質、内容、価格等の表示も規制を受けます。これらの法的規制の強化や法改正が行われた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 自然災害リスクについて

当社グループの営業店舗やセントラルキッチンを含む地域において、大規模な地震や洪水、台風等の自然災害が発生した場合、被害の状況によっては正常な営業活動が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 知的財産について

当社グループは、当社グループにおいて開発した技術については、必要に応じて、特許権、実用新案権、商標権等の工業所有権を取得しており、重要な経営資源であると考えております。しかし、他社が類似したものやより優れたものを開発した場合、当社グループの優位性が損なわれることとなり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ インターネット等による風評被害について

当社グループは、当社及びその関係者による不適切な行為が発覚した場合、速やかに適切な対応を図りますが、悪質な風評がインターネット上で拡散・流布した場合、その内容の真偽に関わらず、当社グループのブランドや社会的信用が棄損し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 海外戦略について

当社グループは、日本の食文化の代表である寿司を通して、世界の人々の幸せに貢献できる企業を目指し、海外戦略を具体的に推進するため、米国子会社「Kura Sushi USA, Inc.」におきまして、当連結会計年度末現在50店舗を運営しております。また、2番目の海外拠点、台湾子会社「亞洲藏壽司股份有限公司」におきまして、53店舗を運営しております。さらに、2023年6月に中国大陸での1号店を開店し、当連結会計年度末での中国大陸での店舗数は合計3店舗となっております。海外におきまして引き続き多店舗展開に向けて、市場調査(候補地域選定、関係法令の精査等)を念入りに行い、万全を期してまいりますものの、事業展開する国において、政治、経済、社会の変化など、予期せぬ事象により当該事業の活動に問題が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスクについて

新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上の分類が5類へ移行したことに伴い、平時の経済活動を取り戻しつつありますが、未確認の変異株が新たに発生すること等により、政府や自治体における営業制限が実施された場合や、消費者の行動抑制などにより、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。当社グループの取り組みといたしまして、抗菌寿司カバー「鮮度くん」の導入や「スマートくら寿司」を積極的に推進していくことでお客様が安心・安全に当社をご利用出来る環境づくりに邁進してまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主各位に対する配当政策を重要な経営課題の一つとして位置付けておりますが、今後の積極的な事業展開を勘案し、必要な内部留保を確保するとともに、将来においても安定した利益配当を継続することを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、現在、期末配当の年1回を基本的な方針としており、配当の決定機関は取締役会であります。

当社は、毎年10月31日を基準日とする期末配当と、毎年4月30日を基準日とする中間配当、及び別に基準日を定めて剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。

内部留保資金につきましては、業容の拡大に向けた財務体質の強化及び店舗の新設、その他の資金需要を賄う原資として活用してまいります。

上記の方針に基づき、当連結会計年度の配当につきましては、当社普通株式1株につき20円といたしました。

なお、当社は「会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定めることができる」旨を定款に定めております。

当連結会計年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年12月19日

794

20

取締役会決議

(注)当連結会計年度に係る中間配当はありません。