2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の変動要因について

① 需要動向又は商品価格による影響

当社グループでは、主として大手エレクトロニクスメーカーに対し集積回路を中心とした半導体製品、ボード・電子部品、ソフトウェア・サービスの販売、プライベートブランド(PB)製品の製造・販売、ネットワーク関連製品、ストレージ関連製品、セキュリティ関連製品の販売及び保守・監視サービス等を行っております。半導体及び電子デバイス事業では、顧客が大手エレクトロニクスメーカー等であることから、半導体需要や設備投資動向に影響を受ける可能性があります。コンピュータシステム関連事業では、顧客がネットワークやシステムの構築・整備に関連した企業や団体等であることから、IT投資等の設備投資に係る動向に影響を受ける可能性があります。

特に当社グループの主要市場である国内、アジア及び北米地域における市況変動が大きくなった場合、業績に影響を及ぼすリスクが高くなります。

これらのリスクに対して当社グループでは従来より、付加価値が高く、価格変動が比較的少ない商品の取り扱いを増やすこと、及び将来の販売可能性低下に備え長期滞留商品の簿価を切り下げることなどを通じ、業績への影響を回避する方策を採っております。

 

② 事業環境変化及び人材の確保による影響

当社グループの属するエレクトロニクス業界は、技術革新及び事業環境の変化のスピードが速く、高度な開発力、技術力、サポート力が必要とされます。当社グループにおいても、このような環境変化に対応すべく、社内の技術力を高め、販売活動・技術サポート・設計開発ビジネス・保守サービス等における付加価値の向上によって競争力の強化に努めております。しかしながら、会社が望む人材の獲得が困難になった場合や想定を超えて人材が流出した場合、商品やサービスを事業計画どおりに提供することが困難となり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、新卒採用においてはインターンシップの活用、中途採用においては人材紹介サービスの利用等による採用活動強化のほか、個々の役割や成果に応じた公平な報酬制度の導入、教育制度の充実等、社員一人一人のモチベーション向上のための環境構築に努めております。

 

③ 販売先の海外生産移管による影響

当社グループは、顧客の生産拠点が海外へ移管することに伴い、アジア及び北米地域を中心に営業拠点を展開することで、現地におけるマーケティングや販売促進活動に取り組んでおりますが、当社グループの営業拠点がない地域への顧客の生産移管、現地における生産・販売に係る制約等により販売活動が困難になった場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、顧客との情報交換を通じて最新の生産・所要動向等を注視し、状況に応じて新たな営業拠点の開設(または既存営業拠点の廃止)の要否を判断する等、顧客に密着した営業体制の強化に努めております。

 

 

(2) 為替及び金利変動の影響について

当社グループは、エレクトロニクス商品の輸出入取引及び一部の国内顧客との外貨建取引につき為替変動リスクに晒されています。外貨建取引のほとんどは米ドル建てであり、米ドル/円相場に短期間で急激な変動が生じる等の場合、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクが高くなります。

これに対して当社グループでは、一定の方針に基づく為替予約を実施することや為替変動による仕入価格の変動を勘案した販売価格の改定を行う等の方策により、為替変動が業績に与える影響を最小限とするオペレーション体制を構築しております。

また、当社グループは、運転資金の一部を金融機関からの借入れやコマーシャル・ペーパーの発行等により調達しており、金利変動リスクに晒されています。日本円又は米国ドルの金利が急激に変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクが高くなります。

これに対して当社グループでは、借入金の一部を長期固定化する等資金調達手段の多様化により金利変動リスクを軽減するよう努めております。

 

(3) 仕入先の依存度について

当社グループの主要な仕入先は、テキサス・インスツルメンツ社、インフィニオンテクノロジーズ社及びNXPセミコンダクターズ社であり、2024年3月期における当社グループの総仕入実績に対する割合はそれぞれ34.5%、18.5%、14.0%となっております。各社との販売代理店契約は非独占となっており、他の有力な販売代理店が当社グループに代わる取引先として指定される場合や仕入先の製品需要の動向、仕入先の統合再編等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、各社との良好で安定的な取引関係の構築に努める一方、最先端製品のマーケティング活動を強化する等、製品の仕入先やラインアップの拡充を図ることにより多様な収益源の確保に努めております。

 

(4) 売上債権等の貸倒れの影響について

当社グループでは、国内外の顧客に対して製品販売及びサービスの提供後に代金回収を行うことがほとんどであり、顧客の信用不安等により債権の貸倒損失等が発生した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、外部信用調査機関の情報活用による徹底した与信管理を行うとともに、債権保証サービスの利用や営業保証金の受入等によりリスク低減を図っております。

 

(5) 固定資産の減損による影響について

当社グループは、M&Aによる株式取得や事業譲受に伴うのれん及び無形資産を計上しております。今後、当初の想定に比べ事業展開が計画どおり進まない場合、のれん等の減損処理を行うことにより当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

また、事業上必要と判断した会社の株式保有や出資等に伴う投資有価証券等を計上しております。これらの資産について、収益性の悪化等による価値の毀損により、当該投資有価証券等の減損処理を実施する場合は、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(6) その他の事項について

① 法的規制による影響

当社グループは、国内外に事業を展開しており、国内及び事業を展開する諸外国の輸出入に関する規制、独占禁止法等の様々な法令・規制を受けております。これらの法令・規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、法令・規制に関する最新の情報を入手するなど対応を行い、従業者への周知や教育活動等を含め、法令等の遵守に努めております。

 

② 各国税務による影響

当社グループは、各国の税法に準拠し適正な納税を行っておりますが、税務申告における税務当局との見解の相違等により、追加での税負担が生じ業績に影響を及ぼす可能性があります。

これに対して当社グループでは、特に移転価格税制等の国際税務リスクについて注意を払い、外部専門家の助言を仰ぎ移転価格文書を整備する等の対策に努めております。

 

③ 情報漏洩・流出による影響

当社グループは、顧客や取引先に関する機密情報及び個人情報を有しております。万が一情報漏洩等の問題が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償責任のために多額の費用負担が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、これらの情報を守ることを重大な社会的責務と認識し、情報の適切な取扱い・管理・保護・維持に努めております。

 

④ 自然災害等による影響

当社グループは、地震等の災害に備え、事業継続計画の策定や防災訓練等の対策に取り組んでおりますが、想定外の大規模地震や洪水等の自然災害が発生した場合、業務の全部又は一部の停止、若しくは仕入先・販売先の生産機能及び物流機能不全等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

これに対して当社グループでは、テレワークの推進や衛生管理の徹底を行う等の対策を行い、また顧客の生産・所要動向や物流機能の混乱等について常に情報収集に努め、適宜対応を行っております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社グループでは社会が向かう方向性を捉え、「デジタルトランスフォーメーションを実現する製品及びサービスを提供し、高効率スマート社会の持続的発展に貢献する」ことを経営方針としており、事業の軸足を「技術商社機能を持つメーカー」へシフトすることを目指しております。今後、このような事業展開のための設備投資や研究開発投資をはじめとする資金需要が見込まれ、また、既存の商社事業においてもビジネスの発展とともに運転資金も増加傾向にあることから、財務体質の健全化が課題となっております。

以上の点を踏まえ、「自己資本の充実」や「外部負債の抑制」等を資本政策の目的として以下の方針を掲げ、目標とする経営指標の達成を目指してまいります。

 

〔資本政策に関する基本方針〕

当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値を向上させるため、配当政策を含めた資本政策の基本方針を以下のように定めます。

1.企業価値の向上とは、株主にとっての期待収益率(資本コスト)を上回るリターンの実現と定義し、ROEの向上を目標のひとつと位置付けます。

2.事業規模や特質を踏まえた最適な資本構成・自己資本比率を常に意識し、成長事業への投資や運転資金需要に対処します。

3.株主還元に関しては、連結配当性向を参考指標の基礎とし、安定的・継続的な配当を実施します。自己株式の取得については、キャッシュ・フローの状況、株式の市場流動性及び将来的な設備資金需要等を総合的に勘案し、配当と合わせた株主還元策の一環として判断してまいります。

 

〔目標数値〕

(ROE)

資本効率を示すROEについては中期的に15%以上を目指してまいります。

(配当性向)

今後の設備投資や研究開発に係る資金需要や運転資金の動向を勘案し、連結配当性向は当面の間40%を目安といたします。

 

(参考:過去3年間の目標数値の推移)

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

ROE(株主資本利益率)

17.2%

26.1%

25.1%

配当性向

40.1%

40.1%

40.5%

 

 

第39期(2024年3月期)に係る剰余金の配当につきましては、配当の基本方針を踏まえ、取締役会決議により次のとおりといたしました。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月31日

取締役会決議

1,911

183

2024年 5月14日

取締役会決議

2,318

74

 

 

(注)当社は、2023年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。2023年10月31日取締役会決議による1株当たり配当額については分割前、2024年5月14日取締役会決議による1株当たり配当額については分割後の金額を記載しております。

 

なお、当社では、毎事業年度における剰余金の配当の回数については中間配当及び期末配当の年2回を基本方針としており、その決定機関については会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によることとする旨を定款で定めております。