事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
売上
-
利益
-
利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| (単一セグメント) | 2,555 | 100.0 | 613 | 100.0 | 24.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1)企業理念
当社グループは、「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する。」を企業理念に掲げ、AIを中心とした不動産テックシステムを活用した企業不動産(CRE)(注1)へのソリューション提供及び不動産テックシステムの開発・販売を行っております。
CREの中でも大手の不動産プレイヤーが金額規模などの問題で取り扱わないコンパクトサイズの物件を商材としてフォーカスし、不動産テックシステムを活用しながら企業間の不動産ニーズのマッチングやソリューション提供を行っております。これらを通じて、今あるストック(不動産)を大切に再生する、という想いを「Compact CRE for Re Born」として、その頭文字を取った「CCReB(ククレブ)」が当社の社名の由来となっております。
(注)1.企業不動産(CRE)とは、民間企業が現に保有又は賃貸・賃借しているあらゆる不動産
(ex.オフィス、工場、研究所、物流倉庫、社宅保養所等)をいいます。
(2)事業の内容
当社グループは、CREソリューションに関するビジネスと不動産テックビジネスとが有機的に一体となりCREに関する事業を運営しているため、CREソリューション事業の単一セグメントではありますが、自社開発の不動産テックシステムを自ら活用し不動産投資/不動産売買、CRE戦略アドバイザリー等を手がける「CREソリューションビジネス」と、CRE営業に関する業務効率向上、DX化に資する不動産テックシステムの開発及びサブスクリプションの販売等で構成される「不動産テックビジネス」の2つのビジネスを展開しております。
<ビジネスモデル>
<事業系統図>
当社グループにおける各事業の概要は、次のとおりです。
① CREソリューションビジネス
企業のCREに関するニーズは、事業拠点のサイクルに関するものから経営課題に関するものまで様々なものが存在します。当社グループのCREソリューションビジネスは、顧客企業のCREニーズに対して、以下の流れで不動産テックシステムを活用しながら顧客にとって最適なCREに関するソリューションを提供しております。CREソリューションビジネスにおける売上高は、当社グループ全体の売上高に対して約93%(2025年8月期実績)を占めております。
a. 不動産テックシステムを活用したCREニーズの把握・分析
企業におけるCREに関するニーズは多岐に亘ると考えております。例えば、拠点に関するニーズとして新規出店、サプライチェーンの維持、拠点再編や資産(遊休不動産)の活用等というものから、経営課題に関するニーズとして資本効率向上、資産圧縮や整理、サステナビリティへの対応等など、幅広くかつ多様なニーズ・課題が存在し、加えて、これらのニーズや課題を企業自体が明確に認識していない可能性もある状況です。
当社グループは、独自のAIエンジンが有価証券報告書や中期経営計画書等の開示資料を自動的に分析して売却動向を把握する不動産テックシステム「CCReB AI」、当社の有する不動産テックシステムと連携し生成AIを活用して分析や提案ポイントを示唆するチャットボット形式による社内テックシステム「CCChat(ククチャット)」などにより、企業が抱えるCREに関するニーズや課題を把握・分析し、潜在的なものも含めたCREに関するニーズの掘り起こしを行っております。
b. 顧客ニーズに即した最適解のアドバイザリーの実施
CREニーズを把握・分析したうえで、企業に対してCRE戦略の検討や立案を行い、また、企業もしくは不動産会社からの紹介などにより、拠点戦略、遊休地活用、資本効率向上、その他のCREに関する様々なニーズについて、企業にとって最適なCRE戦略の提案を行います。これらの提案の際も「CCReB AI」や「CCChat」、事業用不動産に強みを持つマッチングシステム「CCReB CREMa」を活用し、不動産戦略に留まることなく、企業の企業経営・財務領域への影響を意識した当社ならではのCRE戦略の提案、アドバイザリーを行います。
c. 顧客ニーズに応じた具体的なソリューションの提供
企業が抱えるCREに関する課題やニーズに対する最適なソリューションを提供するに際し、事業用不動産マッチングシステムである「CCReB CREMa」などの不動産テックシステムを活用するとともに、CREに関する豊富な不動産プレイヤーとのリレーションや企業に対するCRE提案営業の実績と経験により蓄積したノウハウにより、企業に対してワンストップで幅広いソリューションサービスを提供しております。
上記のように、企業が抱えるCREに関する様々なニーズや課題に対して、不動産テックシステムを活用し企業にとって最適なソリューションをカスタムメイドによって提案、サービスの提供などを行うことが当社グループのビジネスモデルとなります。
なお、CREに関する主なソリューションは以下のとおりです。
<当社グループによるCREソリューションビジネスにおける主なソリューション>
② 不動産テックビジネス
不動産業界は、DX推進が大きく遅れている業界の一つとして挙げられることが多く、その背景には不動産業界特有の情報の非対称性や属人的な営業活動等があると考えられております。加えて、不動産業界の中でもBtoBの分野にあたる企業向けのCRE営業活動においては、数多ある企業の不動産ニーズの把握からアプローチ、ニーズの解決、取引の推進までの一連の業務フローのほとんどがデジタル化されておらず、アナログで行われているのが現状です。当社では、これまでの長年の経験と知見に基づき、こうした不動産業界における不動産売却や購入ニーズの発掘から実際の取引成約に至るまでの取引の一連の過程について、テックシステムを開発し、不動産プレイヤー(不動産会社、資産運用会社、金融機関、建設会社、不動産調査会社等)向けにサブスクリプションサービス等として以下の各サービスの提供を行っております。不動産テックビジネスの売上高は、当社グループ全体の売上高に対して約7%(2025年8月期実績)を占めております。
a. CRE営業支援システム“CCReB AI(ククレブエーアイ)”
「CCReB AI」は、有価証券報告書、中期経営計画書等の開示情報を当社独自のAIエンジンが解析し、不動産に直接的・間接的に関連するキーワード等の定性情報や財務データ等の定量情報から各企業の不動産ニーズ(売買、資産流動化、有効活用、賃貸、新規出店、工場新設等)をスコアリングし、CRE営業のターゲット先企業を効率的に抽出するCRE営業支援システムです。不動産売却を行う上場企業の中には、有価証券報告書及び中期経営計画書内で言及される経営方針や、財務諸表の動き等に多くの共通点があります。当社グループでは、サービス開発段階から現在に至るまで、上場企業の不動産売却動向と経営方針及び各種指標等の関連性を計測し、機械学習をさせることによって将来的な不動産のニーズの可視化を可能にしました。また、非上場企業においても、外部の信用調査会社の提供するデータなどを活用することで同様のスコアリングを可能としております。
当サービスは、サブスクリプションサービスとして販売を行っており、不動産会社、資産運用会社、金融機関、建設会社、不動産調査会社等のCREに関わる幅広い企業に導入され、CRE営業のためのターゲッティングや企業分析等に活用されております。サービス提供にあたっては、分析対象を上場企業、もしくは上場企業に加えて非上場企業を設定するか、企業が保有する固定資産情報のダウンロード機能などの付帯機能を設定するかなどを含めた複数のサービスプランを用意しており、導入企業より月額利用料を収受しております。
なお、当社は、当サービスにおけるこれらの仕組みに関する知的財産を保護するため特許(企業の経営情報を解析し、不動産取引などの動向予測、営業支援のためのプログラム)を取得(特許登録第6908308号)しております。
<企業のCREニーズを可視化し、営業支援するテックシステム - CCReB AI - >
b. 事業用不動産マッチングシステム“CCReB CREMa(ククレブクレマ)”
「CCReB CREMa」は、工場や物流倉庫等の事業用不動産に強みを持つ、世の中の売買・賃貸借・有効活用等の不動産情報/ニーズをマッチングさせるシステムです。不動産業界においては既に類似の不動産マッチングサービスが一定程度普及しているものの、その多くは一般消費者向けのBtoCサービスであり、またBtoB向けであっても投資用不動産やオフィス賃貸等の用途を限定したものとなっております。そのような中、「保有する工場の売却先を探してほしい」「新規事業拠点の土地情報を探しているが、なかなかマッチする情報が見つからない」「事業所が低稼働となっており有効活用施策を検討したい」という企業の声や、当該企業にサービスを提供する不動産プレイヤーからの要望を受け、事業用不動産に特化したマッチングプラットフォームを開発しました。当サービスは、2020年10月に成功報酬型のサービスとして運用を開始し、現在に至るまでに累計で約5万件を超える不動産情報とニーズが蓄積され、多数のマッチングを創出しております。さらに2023年9月からは月額料金型のサブスクリプションサービスである「CCReB MB(ククレブマッチングボックス)」の提供を開始し、社内専用の情報管理・マッチング機能や、営業担当者・部門ごとの案件進捗管理・営業パフォーマンス管理機能を追加したプランを展開しております。また利用ユーザー自身が登録情報へのマッチング状況を確認できるプランとして「CCReB CREMa+(ククレブクレマプラス)」を追加するなどのラインナップの拡充を図り、営業管理ツールとして不動産プレイヤーを中心に幅広く導入が進んでおります。
<あらゆる不動産ニーズを即時マッチングする事業用不動産マッチングシステム - CCReB CREMa - >
c. BtoBポータルサイト“CCReB GATEWAY(ククレブゲートウェイ)”
「CCReB GATEWAY」は、企業の最新の経営トレンドや企業経営に必要となる情報を発信するBtoBポータルサイトです。上場企業による適時開示情報や当社が独自に保有するデータ等についてAIエンジンを用いて分析した情報を発信し、例えば有価証券報告書や中期経営計画書から抽出した経営方針に関するキーワードをワードクラウドで表示する「ホットワード分析」等、企業不動産(CRE)に限らず企業が経営戦略を検討する際に役立つ各種コンテンツを提供しております。本サイトにおける各種コンテンツは、現在、サイトに会員登録したユーザーに対して無償で提供し、幅広い業種にわたり、経営層や経営企画・財務部門をはじめとするビジネスパーソンに利用されている一方で、当該ビジネスパーソンに対してサービスを提供する企業群からバナー広告を募り、広告掲出料による収入を収受しております。当社グループとしては、広告収入を収受するとともに、これらの「CCReB GATEWAY」の会員ユーザーは、将来的・潜在的なCRE提案の顧客や事業パートナーの候補先になると考えているため、将来的な顧客基盤形成における重要なプラットフォームを担うポータルサイトと位置付けております。なお、当社は、当サービスにおけるこれらの仕組みに関する知的財産を保護するため特許(企業の経営情報から不動産情報などをキーワードで分析する情報分析プログラム)を取得(特許登録第7432980号)しております。
d. その他
上記3サービスに加え、「CCReB AI」においてサブスクリプションサービスとして提供している情報の一部をスポット業務として納品するサービスとして、有価証券報告書に記載の固定資産情報をリスト化した「CCReB PROP(ククレブプロップ)」や中期経営計画書に記載の経営方針に関する特定のワードをリスト化した「CCReB Clip(ククレブクリップ)」等の事業の展開も行い、主にコンサルティング会社や教育機関、メディア向けに提供しております。
また、当社グループはテックシステム開発にあたり適切な事業パートナーを選択した上で、システム連携やOEM生産によるサービス提供も行っております。大手デューデリジェンス会社と提携して開発を行った、対象不動産に係る都市計画情報や土壌汚染情報等の公的情報を一括調査可能な「CCReB BI(ククレブビーアイ)」を始め、外部の不動産テック企業と連携しながら、「CCReB AI」及び「CCReB CREMa」に外部データやシステムの取込みなどをAPI連携することにより機能を実装しております。今後も、自社内でのシステム開発に拘らず、効率的かつ最適な手段により、不動産テックシステムの継続的なサービス向上に努めてまいります。
(3) マーケットにおける独自のポジショニング
CREマーケットは民間法人の保有不動産のストック数に比べ、不動産情報の流通量が少なく、情報の非対称性や秘匿性により難易度の高いマーケットと言えます。このような中、当社は大手不動産会社や中堅・中小の不動産会社が積極的に取り扱わない独自の分野にポジショニングしております。
<マーケットにおける独自のポジショニング>
注:上場企業保有約12兆円、非上場企業保有約49兆円
上場企業保有:2023年1月から同年12月に開示された全上場企業の有価証券報告書において「主要な設備の状況」に記載された、土地・建物及び構築物のうち、1件あたりの帳簿価額が20億円以下の不動産の合計額を当社にて集計
非上場企業保有:2022年6月時点で20億円以上の有形固定資産を保有する企業の土地・建物及び付属設備の合計額を当社集計(データ提供元:株式会社東京商工リサーチ)
特にCREの中でも当社が強みを持つ工場・倉庫等の事業用不動産については、その国内ストックの多くが築30年を超え(国土交通省「2018年 建築物ストック統計」より。)、再開発による新陳代謝が進むオフィスビル等とは異なり、老朽化・遊休化した工場・倉庫等が数多く存在する状況です。こうした背景に加え、昨今のサプライチェーンの見直しや生産効率向上に向けた設備投資、さらには地政学リスクを踏まえた製造の国内回帰の可能性から、事業用不動産の分野は今後新陳代謝が進むポテンシャルが大きい分野であると考えております。
なお、事業用不動産は企業の事業内容と密接に関連することから、一般的な不動産に関する知識・ノウハウのみならず、当該施設で営む生産活動やサプライチェーンに関する事業用不動産独自の知見が必要となります。さらに、企業の経営戦略や財務戦略等に関する理解も必要となることから、参入障壁が高い市場と言え、企業に対して総合的なCREソリューションを提供する不動産プレイヤーは限定的であることから、当社にとって大きなビジネスチャンスが存在する経営環境であると考えております。
(4) 当社事業の特徴
① 不動産テックシステムを活用したサービス提供フロー
当社グループは、DX推進が遅れ非効率な業務が数多く残る不動産業界において、企業不動産(CRE)に関するビジネスにフォーカスしております。当社は、企業に対するCRE提案までの社内の全ての業務の自動化を念頭に、自社開発の不動産テックシステムを全てのビジネスブレインとして中心に位置づけ、これまで人力に頼りがちであったあらゆる業務をデジタル化し、案件獲得に向けたリードタイムを短縮化することで、1社でも多くの企業のCRE戦略に関する課題解決へのソリューションを提供することを目標としております。
実際にAIの活用と社内業務のDX推進により各ビジネスの効率化を図るとともに、昨今、資本効率の向上やサプライチェーンの再構築など多くの課題を抱える企業のCREニーズに対し、デジタルの力を活用しワンストップでソリューションの提供を行っております。CREに関するソリューションの提供と不動産テックシステムを有機的に連携させながら事業を進めていくことに当社グループの事業の特徴があり、具体的にはそれぞれ以下のように取り組んでおります。
<不動産テックシステムを活用したサービス提供フロー>
a. 営業活動におけるAIの活用と社内業務のDX推進
一般的に、企業不動産(CRE)に関する営業活動を実施する際には、無数に存在する企業の中から不動産の売買や賃貸借を行うニーズを持つ企業を探索する必要があり、営業部員の属人的な知見や関係性により案件の獲得を行う傾向があります。そのため、営業先が自然と限定され、実際にはCREニーズがあるにも関わらず有益なソリューションの提案が行き届いていないケースも多くあります。このような問題を解消すべく、当社では有価証券報告書や中期経営計画書、各種財務諸表等の企業が開示する情報に基づきCREニーズを可視化する独自のAIシステムを開発し、抜け漏れのない提案先の選定、提案の質やスピード、成約率の向上に活かしております。
こうした提案先企業選定の効率化に加え、相談を受けたCREニーズをスピーディーに検討するため、企業のニーズに合致する可能性の高い情報を自動的に抽出する独自のマッチングシステムを開発・導入しております。一般的に、不動産業界では営業部員の経験や知見に基づく判断に依拠して案件を紹介することが多く、本来であればマッチングしていたニーズの見落としや、成約可能性の低い案件への取組みなど、非効率な営業活動が課題となっております。当社はこうした課題に対し、マッチングシステムを活用することで、成約可能性の高いニーズの見落としを防止するとともに、確度の高い案件におけるCREソリューション提案に注力して取り組むことで、案件の検討開始から組成までのリードタイムを大幅に圧縮するなど、CREに関する営業活動の大幅な業務効率化を推進しております。
<不動産テックシステムを活用した業務効率化の実現>
(注)1.当社の不動産テックシステムを利用しない場合に通常のCRE提案において物理的に想定
される作業時間(資料の収集・分析・提案書作成、ニーズにあった事業用地の探索等に
要する時間)を示しております。
b. 事業拠点の各サイクルに応じたワンストップソリューションの提供
企業の事業拠点は一般的に、①拠点の新設、②拠点の稼働・運営、③拠点の再編・移転、④拠点の撤退・遊休化のサイクルを辿っていきます。これらのサイクルの各段階における拠点に関する課題や企業の経営方針・財務状況等によって企業が抱えるCRE戦略上のニーズは異なり、それに応じて必要としているソリューションも多種多様です。当社は独自のAIエンジンを活用し、企業ごとのCREニーズを把握し、マッチングシステムによってニーズに合致する情報を効率的に探索するとともに、企業のニーズに応じて、拠点サイクルにおける各種アドバイザリーサービスの提供や、企業が所有する不動産のオフバランスの受け皿となるファンドスキームを提供するなど、ワンストップで企業のCREニーズの実現をサポートしております。
c. 景気変動に強い事業構造
CRE戦略は景気動向がどのような状況かにかかわらず経営戦略の一環として実行されるため、その時々の状況に合わせたソリューションを提供することが可能なことから、当社のビジネスは景気変動の影響を受けづらい事業構造になっております。企業側の行動として景況感の良い時には積極的な新規出店や設備投資が行われ、景況感が悪い時には、撤退や工場閉鎖等のアクションが起こり、好不況いずれに際しても不動産の取得や売却、賃貸や賃借、資産の有効活用などの取引が発生し、景気の各局面において収益獲得機会があり、かつ当社グループにおいて様々なサービスを提供することができることから、景気変動に強い事業構造を有していると考えております。
<景気変動とソリューションニーズの関係>
② CREプラットフォーマーとしての地位確立
当社は、事業・エリアに強みを持つ事業会社/金融機関との戦略的なアライアンスを構築、加速していき、CRE対応ニーズの高まりを背景とするマーケットにおいて増加する投資機会を適切に捕捉しながら、不動産テックとするCREソリューションサービスの強化・推進を図ってまいります。また、不動産テックシステムはCRE事業の要であり、高収益実現の源泉であることから、個別の不動産テックシステムを進化させていくことで、新たな価値を創造してまいります。このような取組みを継続していくことにより、不動産テックシステムを起点とした、CREソリューションの高い「質」と「成長性」を通じたビジネス展開を加速していくことにより、CREプラットフォーマーとしての確固たる地位を確立してまいります。
③ 多様な収益ポイント
当社グループは、企業不動産(CRE)から派生するあらゆるニーズをとらえることで、CREソリューションビジネス及び不動産テックビジネスに関する多様な収益ポイントを擁しております。また、不動産テックシステムによるサブスクリプション収入、CREアドバイザリーに関する固定収入に加えて、バランスシートを活用した不動産賃貸収入による固定収入の売上高計上により、固定収入の実績が積み上がってきております。なお、各サービスにおける報酬の概要は「3 事業の内容(2)事業の内容①CREソリューションビジネス c. 顧客ニーズに応じた具体的なソリューションの提供」をご参照ください。
<当社の収益構造図>
(5)高い収益性と安定的な財務健全性の両立
不動産テックシステムを活用した独自のビジネスモデルを確立することで、当社は営業利益率については25%から30%のレンジを目指していくことで高マージンの確保を目指し、財務運営方針として ネットDEレシオ1.0倍程度を規律とした財務運営を行っていくことで、高い収益性の確保と安定的な財務運営の両立の実現を目指してまいります。
(用語の解説)
本書記載内容に対する理解を容易にするため、また、正しく理解していただくために、本書で使用する用語の解説を以下に記載しております。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社は、「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する。」を企業理念に掲げ、企業の経営課題に紐づくCREに関する多種多様なニーズに対し、独自の不動産テックシステムを活用しながら、様々なソリューションを提供するCREソリューション事業を展開しております。
当社グループの事業ドメインであるCRE(Corporate Real Estate=企業不動産)市場は、民間企業が保有する不動産総額は約524兆円(注1)とされ、膨大なストックが存在するとともに、所有する企業においては経営状況や財務状況等の様々な要因から所有不動産に関する多様なニーズを有しております。
足元では、2023年3月に株式会社東京証券取引所より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」が公表されて以降、上場企業の資本効率に対する意識が高まっております。実際に、各社の中期経営計画において「資本・資産効率改善」に関するワードを言及している企業数(注2)も東証要請前の約40%から直近では約85%と急激に拡大している状況です。更に、国内企業の株主総会におけるアクティビスト提案議案も近年増えており、企業の保有不動産に着目した事例も目立ってきております。このことからも、企業経営におけるCRE戦略の重要性が年々高まっている状況であると考えております。
マーケットでの独自のポジショニングを展開する中、企業のCRE戦略へのニーズの高さや上場による認知度向上などの要因も相まって、全国の産業集積地を中心にCRE関連の案件パイプラインが継続的に積み上がっております。また不動産テックシステムについては、ユーザーの利便性向上に向けた施策を継続的に実施しております。
また、本年4月に企業の土地有効活用支援に関する新規事業として、「有効活用不動産のマスターリース事業」の立ち上げを決定し、更なる収益機会の拡大を実現してまいります。加えて、本年5月27日付で、地主株式会社と、相互の不動産投資案件の仕入れ強化や不動産テックシステムの共同開発を具体的な取組みとした業務提携契約を締結しました。さらに、6月には北海道アセットマネジメント株式会社と、北海道エリアのCRE戦略営業の強化及び不動産テックの販路拡大を目的としたビジネスマッチング契約を締結しました。CREプラットフォーマーとしての地位確立に向け、産業ゾーンや特定の商材に強みを持つパートナー企業との戦略的アライアンスを通じて、更なる企業価値向上を実現していきたいと考えております。
当連結会計年度においては、販売用不動産の売却に伴うバランスシートを活用した不動産投資案件の売上計上、マッチングシステムを活用した不動産仲介やCREアドバイザリー案件の受注、不動産テックシステムのサブスクリプションサービスの新規受注などにより、CREソリューションビジネスの売上は2,383,828千円(前期比 112.7%増加)、不動産テックビジネスの売上は 171,218千円(前期比 15.0%増加)を計上しました。
重要KPIとして設定しているマッチングシステムに関しては、地方銀行などの金融機関を中心に営業活動を進めている中、「ユーザー数」は502件(前期末比 54.5%増加)、「情報登録数」は6,867件(前期末比 25.4%増加)となり、当社の潜在案件数は順調に増加しております。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、以下のとおりとなりました。
(注1)国土交通省「法人土地・建物基本調査(2018年)」により当社集計。
(注2)東証要請前:2022年4月1日~2023年3月31日、直近1年:2024年6月1日~2025年5月31日とし、当該期間に中期経営計画を公表している企業において、資本・資産効率改善に関するワードを言及している企業数を当社集計。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は3,791,752千円となり、前連結会計年度末比で2,280,137千円の増加となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行や借入による資金調達などにより、現金及び預金が1,376,769千円増加したほか、販売用不動産が759,669千円増加したことを主因として、流動資産が全体で2,144,388千円増加したことなどによるものであります。
負債は1,696,207千円となり、前連結会計年度末比で1,157,354千円の増加となりました。これは、短期借入金が1,230,000千円増加したことなどによるものであります。
純資産は2,095,545千円となり、前連結会計年度末比で1,122,782千円の増加となりました。これは、配当金の支払額が58,191千円あった一方で、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行などにより、資本金及び資本準備金がそれぞれ367,709千円増加したこと及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上が445,709千円あることなどによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,376,769千円増加し、1,639,195千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、382,181千円の支出(前連結会計年度は299,354千円の支出)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上622,337千円があった一方で、販売用不動産の増加額759,669千円および法人税等の支払額197,297千円があることなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、130,756千円の支出(前連結会計年度は193,971千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が110,304千円、従業員に対する長期貸付けによる支出69,646千円があることなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,889,707千円の収入(前連結会計年度は138,050千円の収入)となりました。主な要因は、短期借入金の増加による収入1,230,000千円、株式の発行による収入735,263千円があった一方で、配当金の支払による支出58,191千円があることなどによるものであります。
④ 生産、受注および販売の実績
a 生産実績
当社グループは生産活動をおこなっていないため、該当事項はありません。
b 受注実績
当社グループは受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当連結会計年度において、販売実績が著しく増加しております。これは、販売用不動産の売却に伴うバランスシートを活用した不動産投資案件の売上計上があったことや、マッチングシステムを活用した不動産仲介やCREアドバイザリー案件の受注が堅調に推移したことによるものであります。
(注) 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当社グループはCREソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第 5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、当連結会計年度末においては、重要な会計上の見積りに該当する事項はありません。
② 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの主要サービスは、不動産テックを活用することで、CRE戦略に関する効率的かつ有効な提案、案件成約に至るまでの業務工数の大幅な低減を図り、その結果、一定の高い営業利益率水準を維持することができるものであるため、売上高および営業利益率を指標として重視しております。当連結会計年度における売上高は、当社のビジネスモデルであるAIを活用した不動産テックツールと長年のノウハウを結集したCRE戦略提案の結果、土地有効活用案件、拠点再編・新設案件やオフバランス案件に対して、アドバイザリーからファンド組成まで幅広いソリューションを提供してきました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は 2,555,046千円(前年同期は1,269,627千円)となりました。これは、販売用不動産の売却に伴うバランスシートを活用した不動産投資案件の売上計上、マッチングシステムを活用した不動産仲介やCREアドバイザリー案件の受注、不動産テックシステムのサブスクリプションサービスの新規受注などによります。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は1,435,625千円(前年同期は420,184千円)となりました。これはバランスシートを活用した不動産投資における不動産売却に際して発生した売却原価、保有不動産に関する支払賃料、諸費用等の支払いが発生したことによります。この結果、売上総利益は1,119,420千円(前年同期は849,442千円)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、506,422千円(前年同期は428,488千円)となりました。これは、人員の増加による人件費や採用関連費用が増加したことなどによります。
この結果、営業利益は612,998千円(前年同期は420,954千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用および経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は3,754千円(前年同期は992千円)となりました。また、営業外費用は18,152千円(前年同期は5,537千円)となりました。この結果、経常利益は598,600千円(前年同期は416,408千円)となりました。
なお、財政状態の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は販売用不動産の仕入、賃貸用不動産の購入及び不動産テックシステムの開発費用並びに人件費等であります。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。本報告書提出時点において、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、取引金融機関と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております。主として、販売用不動産の仕入や賃貸用不動産の購入時には多額の資金を要するため、それらの事象が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。
なお、キャッシュ・フローの状況・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
当社グループは、CREソリューション事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2)有形固定資産
3.主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 2024年9月1日 至 2025年8月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。