2025年8月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 不動産市況の動向に関するリスク

①   景気変動

  (発生頻度:高/影響:中)

当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向及び地価の変動等の不動産市場の動向に影響され、当社グループにおいてもこれらの経済情勢の変化により、一般的にはCREソリューションビジネスへの影響が懸念されます。一方で、企業側の行動として景況感の良い時には積極的な新規出店や設備投資が行われ、景況感が悪い時には、撤退や工場閉鎖等のアクションが起こり、好不況いずれに際しても不動産の取得や売却、賃貸や賃借、資産の有効活用などの取引が発生することから、当社グループが得意とするCREビジネスには様々な収益獲得機会があると考えております。このように不動産市況そのものの影響を直接受けにくいビジネスではあるものの、景気動向に合わせた経営戦略を常に立案しながら、かかる影響が最小限になるようコントロールしていくこととしております。

 

②   不動産価格の高騰

  (発生頻度:高/影響:中)

近年、不動産投資市場の活発化に伴い、不動産価格が高騰しております。土地価格が高騰している局面において、収支計画に見合った価格で購入できない場合は、当社の組成するファンドの賃借先となる企業も一般的に積極的な投資を控える場合があります。企業が望む価格や立地等の条件に合致する用地が確保し難い状況が続いた場合、開発計画に影響が及び、案件そのものの組成が難しくなることにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これに対しては、前述のとおりCREビジネスは収益獲得機会が多様であることから、投資物件を厳選するとともに、投資に伴うリスクをヘッジするために、共同出資等により投資額をコントロールしていくこととしております。

 

③   物価全般の高騰

  (発生頻度:高/影響:中)

近年、世界的な資源高騰と国内においては人材不足の影響などにより建築コストが上昇しています。建築コストが高騰している局面において、収支計画に見合った価格で建築ができない場合は、当社の組成するファンドの賃借先となる企業も一般的に積極的な投資を控える場合があります。企業が望む価格やスペックに合致する開発が難しい状況が続いた場合、開発計画に影響が及び、案件そのものの組成が難しくなることにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これに対しては、当社がリノベーション活用による提案を行うことで、既存建物の有効活用によるコスト抑制の実現など、当社の得意とするソリューションを活かしたCRE提案により新たな収益機会を創造していくこととしております。
 

(2) 自然災害・事故等に関するリスク

 (発生頻度:中/影響:中)

火災、地震等の災害や暴動、テロ活動により、当社グループ資産が、毀損、焼失あるいは劣化した場合には、一定期間において事業運営に支障をきたす可能性があります。当社では、当該リスクへの対応策として、社内においては部署間の情報・運営の連携、並びに外部機関からの情報収集及び初動対応の連携を進めていくことで、適宜情報収集に努めておりますが、状況によっては当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これに対しては、資産取得時に、行政の発行するハザードマップの確認、保有資産への保険の付保検討などにより取得資産のリスクを適正に査定し、リスクとリターンのバランスを考慮して投資判断を行うとともに、当社で策定したBCP計画に基づく迅速な措置、及びBCP(事業継続計画)に基づいた訓練、見直し等を含む有事対応の強化により、災害発生時の被害を最小限に抑えることとしております。

 

(3) 固定資産の減損会計に関するリスク

 (発生頻度:低/影響:低)

当社グループが所有する固定資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の収益性の著しい低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損損失を計上することで当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これに対しては、資産取得時に、テナントの属する産業自体や当該産業におけるテナントのポジショニングなど徹底した事業分析・与信分析を行うことにより厳選した資産取得を進めるとともに、取得時に、取得資産のキャッシュ・フローの精査を経済情勢・金融情勢による影響の観点から行うこととし、また、定期的に保有する固定資産の実査等によるモニタリングをおこなうことにより、当該リスクの発生を最小限に抑えることとしております。

 

(4) 販売用不動産の評価に関するリスク

  (発生頻度:低/影響:低)

当社グループが保有する販売用不動産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2019 年7月4日改正分)を適用しております。期末に保有している販売用不動産については、減価償却を考慮した簿価と正味売却価額を比較し、正味売却価額が簿価を下回っている場合には評価損を計上することとしております。今後、経済情勢や不動産市況の悪化等により、当初計画どおりに販売が進まない場合、販売用不動産が在庫として滞留する可能性があり、滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が簿価または取得価額を下回り、評価損を計上することも予測され、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

これに対しては、不動産売買市場の動向を注視し、業績への影響の把握と事業の進捗管理や精度の向上に努めております。また、一定程度の利益が確保できるよう、仕入れ時には仕入価格を厳正に精査し決定することとしてまいります。また、CREに関しては、企業との間で長期の賃貸借契約を締結する事例が多く、安定的に収入を享受し得る資産も多いことから、長期在庫となった場合には、適切な時期に売却を進めていくことで簿価または取得価格を上回る価格で売却するよう努めてまいります。

 

(5) 取引先の信用リスク

(発生頻度:低/影響:低)

当社グループが保有する不動産の賃借人等の取引先の倒産等により、滞納賃料や原状回復費用が発生する可能性、リース料等の回収が困難になる可能性、及び明渡訴訟等の訴訟費用が発生する可能性があります。

これに対しては、前述のとおり資産の取得前にテナントの与信調査を複合的に行うことを徹底するとともに、テナントとの良好なコミュニケーションを保ち、テナントの事業状況を継続的にモニタリング(有事兆候の早期把握)することとしております。なお、当社グループにおける取引先について、倒産等が発生した実績はございません。

(6) 大型案件の発生時期変更等による業績変動リスク

(発生頻度:高/影響:高)

CREソリューションビジネスにおいては案件ごとの規模により取引金額や成功報酬が異なり、大型案件の有無や売上計上のタイミングにより、業績が大きく変動するほか、特定の取引先への売上高が多くなることがあります。当社グループの想定どおりに計画が遂行しない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの提供するCREソリューションビジネスに関し、仲介業務やアドバイザリー業務などは、成功報酬制が多く案件成立時に収益計上し、また、当社保有物件の売却による収益は、売却取引の成立時に収益を計上することとなります。そのため、案件の成約時期が期末を越えて遅延した場合には、業績が大きく変動する可能性があります。

これに対しては、事業規模拡大により顧客ごとの相対的な売上高比率を低減させることでリスク分散を図って
いくとともに、案件進捗管理を精緻にし、案件変動の早期発見、次善策及び代替案の立案・実行を早期に行うこ
ととしております。

 

 

(7) システム障害リスク

(発生頻度:低/影響:中)

  当社グループの不動産テックサービスは、外部のサーバーや通信ネットワークシステムを利用し、事業を運営しております。従って、サーバーのシステムダウンや外部からの不正アクセス、サイバー攻撃等により、当社グループのテックシステムに何かしらの問題が発生した場合には、サービスの運営に支障を来たし、当社グループに対する信用の毀損を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、セキュリティ体制が構築されている大手クラウドサービスの利用を継続することとし、併せて、当社グループのシステム人材の確保、BCP(事業継続計画)に基づいた訓練、見直し等を含む有事対応の強化を進めることとしております。

 

(8) 技術革新に関するリスク

(発生頻度:低/影響:低)

  不動産テック事業が属しているIT技術分野は技術進歩が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

  これに対しては、最新のIT技術、AI技術(生成AIなど)の動向などの把握に努め、顧客へのサービス提供可否について検討を進めてまいります。

 

(9) 競合リスク

(発生頻度:低/影響:中)

不動産テック事業に関し、資金力、ブランド力のある企業の新規参入によって、シェアの低下、受注単価の下落などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響する可能性があります。

これに対しては、知財戦略として特許を取得するなど類似のビジネスの展開に対する対策を講じております。CREビジネスは、企業の多様なニーズ、手法の多様さと専門性から参入障壁が高いマーケットであり、そもそも同様のビジネスを展開するプレイヤーも少ないものと認識しておりますが、継続的にCREマーケットの裾野拡大を図り、企業の多様なニーズの把握、新たなサービスの開発などに努めることとしております。

(11) 顧客ニーズに応じたサービスの提供に関するリスク

(発生頻度:低/影響:高)

  不動産テックシステムにおける顧客ニーズに応じたサービスに関し、顧客ニーズにあったサービス提供の遅れやニーズと相違したサービスの提供などがサブスクリプションサービスの解約につながることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響する可能性があります。

  これに対しては、顧客ニーズの把握(潜在的なものを含む)に努めつつ、最新のIT技術、AI技術(生成AIなど)の活用を含めて、利用顧客の声に耳を傾け、顧客が欲するサービスの把握を常時行いながら付加価値の提供について検討を進めることとしております。

 

(12) 人材確保・流出リスク

  (発生頻度:中/影響:高)

  当社グループが、当社グループの事業に関する高度な知識と経験に基づく競争力のあるサービスを継続的に提供していくためには、優秀な人材の確保が不可欠となります。当社はこのような認識のもと必要に応じて優秀な人材を採用していくことが、最も重要な経営課題の一つであると考えております。しかしながら、雇用情勢の変化等により人材を適時に獲得できない場合、人材が大量に社外流出してしまった場合、育成が計画どおりに進展しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、生成AIを活用した高度な知識や経験の可視化、言語化等により、未経験者でも即戦力化できる仕組みの構築をさらに進めてまいります。また、経営陣による人材採用・育成や管理などの方向性の統一を図る取組み、福利厚生制度の充実、ストックオプション制度などの施策により労働意欲を高めていくことで従業員満足度を高める施策などを継続して行い人材の定着化を図ってまいります。

 

(13) 特定人物への依存リスク

  (発生頻度:低/影響:高)

  当社創業より事業化並びに事業推進を進めてきた代表取締役社長宮寺之裕は、CRE、不動産及び不動産金融に関する豊富な経験と知識を有し、経営方針や事業戦略の決定等、当社グループの事業活動全般にわたって重要な役割を果たしております。何らかの理由により同氏による当社グループの業務遂行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、不動産テックシステム開発による同氏のノウハウの共有を進めつつ、今後も同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、優秀な人材の登用とともに幹部社員の育成などに努めてまいります。

 

(14) 小規模組織に関するリスク

   (発生頻度:高/影響:高)

  2025年8月31日現在で従業員は15名と小規模組織であるため、役職員一人ひとりが担う業務の質及び貢献度は相応に高く、事故・災害等、また上場に伴い法定開示などの開示業務、IR業務など、今後の事業規模の拡大により業務遂行に支障をきたす可能性があります。

  これに対し、当社グループの主力業務であるCREソリューションビジネスについては、「CCReB AI」や「CCReB CREMa」など不動産テックシステムが既に完備されており、分析業務を自動化することで特定の人材に依存した業務体制をヘッジしております。また、CRE提案における生成AIを活用した高度な知識や経験の可視化、言語化により、特定の人材へのノウハウの集中などのリスクもヘッジしております。また、今後、人材採用を強化し人員確保することで本リスクの影響度を軽減していくとともに、BCP施策の点検・見直しなど、有事の被害を最小限に抑える施策、外部の人材を効率的に活用する施策などを継続して進めてまいります。

 

(15) 外注・業務委託に関するリスク

 (発生頻度:高/影響:高)

  当社グループは組織の柔軟性や固定費の圧縮のため、少数精鋭によるファブレス経営を特徴とし、特に不動産テックサービスの開発業務については外注・業務委託契約による開発を行っております。しかしながら、適時適切に外部協力会社が確保できない場合、外部協力会社の不正や当社グループの外注先管理が不十分であった場合には、開発したサービスの瑕疵や開発スケジュールの遅延等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、業務委託先との良好な関係を強化するとともに、システムエンジニアの採用により、有事の際の業務委託代替先に関する定期的な選定、外注先の管理監督などを行うことにより影響度を軽減する対策を取っております。

 

(16) 法的規制に関するリスク

 (発生頻度:低/影響:高)

  当社グループの行う事業は、宅地建物取引業法、金融商品取引法、建築基準法、都市計画法、資産の流動化に関する法律(資産流動化法)、景品表示法など多くの法的規制を受けております。当社グループではこれらの法的規制を遵守するように努めておりますが、法令違反が発生した場合や新たな法令の制定・法令の改正等が行われた場合、当社グループの事業活動が制約を受け、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、法令遵守のマニュアルを作成し、内部監査の実施などにより実務定着化を徹底するとともに、研修等の開催により既存役職員及び新規採用人材のコンプライアンスに関するリテラシーを維持・向上させることとしております。

 

(17) 個人情報の管理に関するリスク

 (発生頻度:低/影響:高)

  当社グループは事業活動を通じて、顧客・取引先の機密情報や個人情報を取得・保有しております。個人情報の取り扱いについては、細心の注意を払っておりますが、不測の事態によって当社グループが保有する個人情報が外部流出した場合、賠償責任を課せられるリスクや当社グループに対する信用が毀損するリスク等があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、個人情報関連のマニュアルを作成し、内部監査実施などにより実務定着化を徹底するとともに、研修等の開催により既存役職員及び新規採用人材の個人情報保護に関するリテラシーを維持・向上させることとしております。

 

(18) 内部管理体制に関するリスク

 (発生頻度:低/影響:高)

  当社グループでは、コンプライアンス及びコーポレート・ガバナンスの徹底が企業価値を長期的、継続的に向上させていくために非常に重要であることを理解し、その浸透を図るために様々な制度設計やポリシーの制定、施策の実施等を行っております。また、業務の適正化及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、各事業及び連結ベースでの予算管理・資金管理・業務プロセス等内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  これに対しては、コア業務の業務オペレーションをマニュアル化し、予算管理、資金繰りなどの業務について、新規人材を確保していくとともに、バックアップ体制を構築してまいります。

 

(19) 中期経営計画に関するリスク

 (発生頻度:中/影響:中)

  当社グループは2025年10月に、2026年度から2028年度の3か年を対象とした中期経営計画“A Tech-Driven Platform Strategy”を策定しました。この中期経営計画では、東京証券取引所による資本効率向上の要請によるCREニーズの拡大の環境下において、不動産テック、多様なパートナーとのネットワーク構築を基盤としてCREマーケットを攻め続け、また「CRE×M&A」をコンセプトとするインオーガニックな成長の実現を成長戦略とし、これらの実現のための諸施策を推進する所存です。 当社グループは、中期経営計画の実現に向け、今後も諸施策を進めていく所存ですが、今後の事業経営、資金調達の状況、不動産市場の流動性、その他経済情勢による外部影響要因等によっては、当該計画を実現できない可能性があります。

 

(20) 賃貸収入に関するリスク

 (発生頻度:低/影響:低)

  当社グループの賃貸事業においては、テナントが賃貸借契約を中途解約した場合や賃貸期間満了時に賃貸借契約を更新しない場合および、テナントの賃料を減免せざるを得ない場合には、収入が減少するおそれがあります。また、テナントが倒産した場合、賃料の支払遅延や回収不能が発生するだけでなく、当該テナントの退去が遅延した場合、後継のテナントリーシングや当該物件の売却活動にも不利な影響が及ぶ可能性があります。これらの結果、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。

  さらに、当社がCREソリューションの施策の一つとして開発物件の一括借り上げをおこなうマスターリース事業においては、テナントからの賃料収入の減少等により、一括借り上げによる固定の支払賃料のみ負担が残り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、賃貸仲介会社との連携強化、マッチングシステムによる賃借ニーズの拡充を通じて、競争力を維持すると共に、テナントリーシングの強化・推進に取り組んでいます。

 

(21) M&Aに関するリスク

 (発生頻度:低/影響:高)

  当社は、主に不動産M&A、不動産テック等の運営をおこなう企業を対象としたM&Aや業務提携により、CREソリューションビジネスの強化を図ってまいります。M&Aによって買収した企業や業務提携先の企業に対し、当社グループが保有する知見を活用し、事業面でのシナジー効果の創出を行っておりますが、以下に挙げる理由により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(i) 買収後の事業計画の進捗について

  M&Aにあたっては、十分なデューデリジェンスを実施し、事業、財務及び法令等に関するリスクの検討を行っておりますが、買収時に想定した事業計画が予定どおり進捗しない場合には、のれんの減損等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(ii) 偶発債務や未認識債務の発生について

  M&A実施に際しては、対象企業の財務、法務、税務及び事業等について事前にデューデリジェンスを実施し、十分にリスクを確認し、正常収益力を分析したうえで決定いたしますが、買収後の偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(iii) 統合に伴う資産等の整理について

  M&A後の経営統合において、事業再編や遊休資産の売却等を実施することにより特別利益、特別損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(iv) M&A時の調達資金について

  当社グループは、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、当社グループに関連する企業・事業のM&Aを検討していく方針です。新たなファイナンスによる負担や希薄化及び自己資本の変動のほか、新たに借入金を利用した場合、市場金利の変動の状況によっては、借入金利息の負担の増大等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(v) 連結子会社増加に伴う連結決算体制について

  現在、当社グループでは当社を中心として各子会社との密接な連携を取りながら、決算等を行っております。しかしながら今後当社グループが投資対象とする企業において、管理体制が不十分であることを理由に決算作業に遅延が生じる等の事態が発生した場合、連結決算作業が適時適切に行えない可能性があります。

(vi) 進行中のM&Aが予定通りに行われない可能性について

  当社グループにおいて、今後、M&Aを進めていくに際し、M&Aの内容によっては、提携先・買収先との合意を公表した後、クロージングまでに一定の条件の充足を要する場合があります。そのため、買収資金を調達できない、提携先・買収先の株主承認等が得られない、必要な許認可が取得できない、法令その他の理由による成約が存在する等の理由により、当社が当初想定していた条件及び日程で完了できない、または、そもそもM&A自体を完了できないという可能性があります。

  M&Aが予定通りに完了しない場合、想定していたシナジーやメリットを実現できない一方で、M&A関連費用の負担のみ生じるという事態が生じ得ます。

  また、現在の当社普通株式の株価は、進行中のM&Aが予定されている日程及び条件により完了するという前提で形成されている可能性があり、M&Aが実施されないこととなった場合、大きく変動する可能性があります。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、法令に別段の定めがある場合を除き、剰余金の配当その他会社法第459条第1項各号に定める事項については、株主総会の決議によらず、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款に定めております。

当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置付けておりますが、当社は現在成長過程にあることから、ビジネスチャンスを逸することなく収益基盤の多様化や収益力強化のための事業資金としての活用を最優先としつつ、財務基盤強化のための内部留保も充実させることが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。今後の配当政策の基本方針としましては、当社の業績や財務状況、事業環境等を総合的に勘案し、株主利益の最大化と内部留保のバランスを図りながら検討していく方針です。

当社の剰余金の配当は、年1回の期末配当(8月31日基準日)の実施を基本的な方針としております。また、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。この方針に基づき、当連結会計年度につきましては、当期の業績、経営環境等を勘案した普通配当(1株につき20円)に加え、当社株式が2024年11月28日に東京証券取引所グロース市場に上場したことによる上場記念配当(1株につき2円)を合わせた、以下のとおり1株につき22円の期末配当を実施することを予定しております。この結果、当連結会計年度の連結配当性向は19.9%となる予定です。

 内部留保金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の拡大発展と効率化の実現のための資金として、有効に活用してまいります。

 

 (注)  基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2025年11月27日

定時株主総会(予定)

94,068

22.00