人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,327名(単体) 10,517名(連結)
-
平均年齢42.0歳(単体)
-
平均勤続年数16.1年(単体)
-
平均年収6,878,377円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
|
2024年11月30日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
市販用 |
2,432 |
(2,806) |
業務用 |
3,270 |
(1,089) |
海外 |
3,555 |
(79) |
フルーツ ソリューション |
438 |
(180) |
ファインケミカル |
256 |
(63) |
共通 |
333 |
(79) |
全社 |
233 |
(17) |
合計 |
10,517 |
(4,313) |
(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含むほか、嘱託を含む)であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.全社は、特定のセグメントに区分できない提出会社の管理部門に所属している従業員数です。
(2) 提出会社の状況
|
|
|
|
2024年11月30日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
2,327 |
(439) |
42.0 |
16.1 |
6,878,377 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
市販用 |
899 |
(162) |
業務用 |
868 |
(189) |
海外 |
88 |
(10) |
フルーツ ソリューション |
- |
(-) |
ファインケミカル |
239 |
(61) |
共通 |
- |
(-) |
全社 |
233 |
(17) |
合計 |
2,327 |
(439) |
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含むほか、嘱託を含む)であり、臨時雇用者(パートタイマー、アルバイトおよび季節社員)の人数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.平均年間給与は税込み実績であり、基準外賃金および賞与を含めています。
3.全社は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属している従業員数です。
(3) 労働組合の状況
当社グループにおける主な労働組合であるキユーピー労働組合は、1962年7月14日に結成されています。
労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
◇ 管理職に占める女性労働者の割合
|
当事業年度 |
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合 |
キユーピー株式会社(提出会社) |
15.9% |
キユーピータマゴ株式会社 |
4.8% |
階上キユーピー株式会社 |
8.3% |
株式会社ハンシンデリカ |
7.1% |
株式会社サラダクラブ |
3.3% |
株式会社旬菜デリ |
2.9% |
アヲハタ株式会社 |
7.7% |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.集計対象は、各社勤務者としており、出向者については出向先会社の従業員として集計しています。
◇ 男性労働者の育児休業取得率
|
当事業年度 |
名称 |
男性労働者の育児休業取得率 |
キユーピー株式会社(提出会社) |
88.5% |
キユーピータマゴ株式会社 |
127.3% |
(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
2.集計対象は、各社勤務者としており、出向者については出向先会社の従業員として集計しています。
3.子の出生年度とその子に対する育児休業等の取得開始年度のずれにより、育児休業取得率が100%を超える場合があります。
◇ 男女の賃金の差異
|
|
|
当事業年度 |
名称 |
正規労働者 |
非正規労働者 |
全ての労働者 |
キユーピー株式会社(提出会社) |
61.5% |
72.5% |
59.1% |
キユーピータマゴ株式会社 |
69.5% |
78.0% |
65.6% |
階上キユーピー株式会社 |
80.5% |
84.4% |
67.6% |
株式会社ハンシンデリカ |
80.4% |
82.1% |
60.8% |
株式会社サラダクラブ |
78.0% |
89.7% |
74.8% |
株式会社旬菜デリ |
72.5% |
77.9% |
57.3% |
アヲハタ株式会社 |
64.5% |
71.9% |
56.0% |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.集計対象は、各社在籍者としており、出向者については出向元会社の従業員として集計しています。
3.同一労働・同一等級において男女の賃金差異はありません。正規労働者においては管理職比率の差、全ての労働者においては非正規労働者における女性比率の割合が高いことにより、賃金に差異が生じています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって世界の食と健康に貢献することで、社会に貢献し続ける企業でありたいと考えています。サステナビリティ活動を重要な活動と位置づけ、グループ理念と規範の実践を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、グループの持続的な成長の基盤として、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」を定め活動を推進します。
サステナビリティ基本方針
1) ガバナンス
サステナビリティ関連の重点課題については、経営会議(代表取締役社長執行役員の諮問機関)から権限を委譲されたサステナビリティ委員会が目標達成に向けた方針・計画の策定を行うとともに、重要事項の決定、重点課題の取り組みを推進しています。サステナビリティ委員会で検討した内容は取締役会でも適宜審議または報告がなされるなど、取締役会による適切な監督体制を整えています。2024年度は取締役会において脱炭素の取り組み状況を報告するとともに、今後の取り組みについて意見交換を実施しました。また、サステナビリティ委員会を4回開催し、気候変動対応を含めたサステナビリティ関連の方針・計画の策定、重要事項の決定、重点課題の取り組みの推進を議論しました。
サステナビリティ推進体制
会議体・他体制 |
役割・担当 |
2024年度 開催数 |
取締役会 |
グループの全体方針および最重要事項の選定および気候変動を含めたサステナビリティ関連(全般)の監督 |
1回/ 全12回 |
サステナビリティ委員会 |
気候変動対応を含めたサステナビリティ関連の方針・計画の策定、重要事項の決定、重点課題の取り組みの推進 |
全4回 |
サステナビリティ委員会委員長 |
取締役 常務執行役員コーポレート担当 |
- |
2) 戦略
当社グループでは「キユーピーグループ 2030ビジョン」の実現やSDGsへの貢献など、2030年からバックキャスト思考で検討し、以下のサステナビリティに向けての重要課題を特定しました。
・食と健康への貢献
・資源の有効活用・循環
・気候変動への対応
・生物多様性の保全
・持続可能な調達
・人権の尊重
サステナビリティに向けての重点課題は、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長をめざす上で、事業と社会の双方にとって重要と考えています。社会・地球環境変化に応じて、定期的に重点課題の見直しを行います。
また、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」に基づく重点課題を指標化したサステナビリティ目標を設定し、取り組みを進めています。
① 食と健康への貢献
昨今の社会変化を踏まえ、世界中で健康に関する意識が高まっております。「健康寿命延伸への貢献」および「子どもの心と体の健康支援」に取り組むことで、当該意識の変化に対応することができ、機会創出につながると考えております。
生涯を通じて健康な食生活を送るためには「栄養」「運動」「社会参加」の3つをバランスよく取り入れることが大切です。当社グループは特に「栄養」に関して、サラダとタマゴで健康課題解決のためのおいしくバランスの良い食生活をサポートしています。
また、講演会やマヨネーズ教室、オープンキッチン、SDGs教室などのさまざまな食育活動を行っています。さらには、子どもたちが食生活に関して主体的に学び・考え・判断する力を育むためのサイト「食生活アカデミー」を立ち上げています。
② 資源の有効活用・循環
限りある食資源や自然エネルギーを無駄なく有効活用することは、食糧危機などのリスクをはらんだ昨今において食品メーカーの重要な責任であると考えており、具体的に「食品ロスの削減・有効活用」「プラスチックの削減・再利用」「水資源の持続的利用」に取り組んでいます。
食品ロスの削減・有効活用では、卵においては、卵黄、卵白は商品や食品原料として使用しているのはもちろんのこと、卵殻においても土壌改良材やカルシウム強化商品として活用、卵殻膜も化粧品として活用することで、卵の100%有効活用を実現しています。
また、野菜の未利用部(キャベツ・レタスなど葉物野菜の残さ)を、乳牛用飼料として再生利用することに成功しました。東京農工大学と当社の共同研究で、この飼料を与えた乳牛は乳量が増加することが報告されています。さらに、パッケージサラダを製造・販売する子会社である株式会社サラダクラブでもパッケージサラダを製造する直営7工場で発生する野菜の外葉や芯などの未利用部を、堆肥や飼料として契約農家などで活用いただくことですべて再資源化しています。
プラスチックの削減・再利用の取り組みの1つである製品で使用するプラスチックについても、石油由来のプラスチックの削減に向け、プラスチックの軽量化や再生プラスチックを使用する取り組みを進めています。また、油付きPETボトルおよびマヨネーズボトルの資源循環に向けて、他社と協働して取り組みを進めております。当期は技術の確立と技術検証を進めるため、大手小売店と連携しながらボトルの回収実証実験を実施しました。
また、水資源の持続的利用においては、事業継続のために水は限りある貴重な資源と認識し、効率的な利用と取水・排水における環境負荷の低減に取り組んでいます。
③ 気候変動への対応
当社は気候変動におけるリスクと機会についてTCFDの枠組みに従い下記「(2)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に向けた取り組み」のとおり開示しております。気候変動の原因となるCO2排出量削減に向けて、原料調達から消費までのバリューチェーン全体で、省エネルギーや再生エネルギーへの転換を積極的に行うことが重要と考えています。
当社グループでは国内外で再生可能エネルギーの導入を順次進めています。また、生産事業所の各工程にエネルギー測定装置を設置するなど「エネルギー使用の見える化」を進め、設備運用改善・メンテナンスの徹底、省エネ型機器を導入し省エネルギー化を推進しています。さらに輸配送距離の短縮化と積載効率向上による輸配送効率化、低燃費で安全にもつながるエコドライブなどを実施しています。加えて、長距離トラック輸送の鉄道や船舶への切替え(モーダルシフト)を推進して、CO2排出削減を実現しています。
④ 生物多様性の保全
当社グループの事業活動は、豊かな自然環境と密接な関わりを持っています。「良い商品は良い原料からしか生まれない」という考えを大切に、「生物多様性方針」のもと、原料を生み出す自然の恵みに感謝し、豊かな自然と生物多様性の保全に努めていきます。
当社グループは、2024年4月に「TNFD(自然関連財務情報タスクフォース)」に賛同し、TNFDフォーラムへ参画しました。さらに、課題に対応すると同時に、新たな機会も見いだし、企業戦略にも活かしていくためのプロジェクトを発足しました。TNFDフレームワークのLEAPアプローチを活用して、当社グループの主要な原料と直接操業(生産拠点)を対象に分析を行っていきます。
TNFD報告書
URL https://www.kewpie.com/sustainability/pdf/sustainability_20250116_tnfd.pdf
⑤ 持続可能な調達
自社だけでなくサプライチェーン全体で環境や人権に与える影響に配慮する必要があると認識しております。特に調達における影響を最小限にする取り組みは重要です。当社グループでは「キユーピーグループ 持続可能な調達のための基本方針」を2018年に策定し、環境や人権に配慮した調達を推進しています。さらにサプライヤーガイドラインを定め、本ガイドラインをもって相互理解のもと、サプライチェーンにおけるさまざまな課題解決を行い、安全性はもとより、環境や人権への影響に配慮した安定調達をお取引先と協働して進めます。また、当社の主要取引先に対してアンケートを実施し、サプライヤーガイドラインに準じた行動がなされているか確認を行いました。そしてアンケートの内容に応じて個別にヒアリングして詳細に把握するなど、サプライヤーとの協力体制を強化しています。
⑥ 人権の尊重
事業活動のすべての過程で、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、ビジネスに関わるすべての人の人権を尊重することをめざしています。当社はビジネスに関わる全ての人の人権を尊重するために、「キユーピーグループ人権方針」を策定しています。 また、人権に関する国際基準やヒアリングなどを通じて得られた情報に基づき、外部専門家により特に重要と判断されたリスクも特定しています。 抽出された人権リスクについては、サステナビリティ委員会にて取り上げ、関連する委員会や部門と連携し、対応策の計画や実施を行っています。 また内部統制システムの中に違反行為の発見と是正のための通報・相談窓口「ヘルプライン」を設置しています。 違反行為があれば担当部門との協議の上、再発防止策を実施しています。
当社グループの特に注意すべき重要人権リスクと防止・軽減に向けた対応
リスク |
対象 |
当社グループにおける 対応・対象のURL |
|||
自社 従業員 |
一次 サプライヤー |
原材料 生産者 |
顧客・消費者 |
||
労働安全衛生 |
○ |
○ |
|
|
https://www.kewpie.com/sustainability/human-rights/healthcare-management/#sec02 |
強制労働 |
○ |
○ |
○ |
|
https://www.kewpie.com/sustainability/human-rights/initiatives/ |
児童労働 |
○ |
○ |
○ |
|
上記と同じ |
ハラスメント |
○ |
○ |
|
|
上記と同じ |
長時間労働・ 過重労働 |
○ |
|
|
|
日々の時間管理の徹底 注意喚起と啓発 |
製品の欠陥による健康・安全の侵害 |
|
|
|
○ |
https://www.kewpie.com/sustain ability/quality/manufacture/ |
3) リスク管理
社内外の経営環境の変化を広く見据え今後リスクおよび機会となりうることを洗い出し、それらの評価を行うことで重要なリスクおよび機会を見極めています。「各リスクの経営への影響の大きさ」と「そのリスクの管理の程度(マネジメントコントロール度)」の2軸で評価し、対策すべきリスクを選定し優先順位づけしています。経営への影響度が大きいにもかかわらずマネジメントコントロールが不十分なリスクは『全社主要リスク』として全社横断的なプロジェクトにより最優先でリスク低減に努めています。活動を通じて対策が効果を上げマネジメントコントロール度が高まったとしても依然として経営への影響度が大きい場合はその後の状況を監査などにより確認しています。経営への影響度が小さく経営課題とならない場合においても感度高く社外情報の収集、モニタリングに努めています。このように社内社外両面からモニタリングを行い状況変化に応じた重要性を適時評価し機敏にリスクに向き合うように努めています。
当社グループでは、経営の継続的、安定的発展に影響しかねない事象をリスクと認識し、リスクマネジメントの実践を通じ、内部統制システムの充実に取り組んでいます。個々のリスクを各担当部門が継続的に監視するとともに、全社的なリスクはリスクマネジメント委員会で情報を共有し、そのリスクを評価し、優先順位や対応策の効果などを包括的に管理し、下記の8つを主要なリスクに位置づけて抑制・回避に努めています。
8つの主要リスク
①市場の動向 ②製造物責任 ③システム障害 ④海外展開 ⑤原材料の調達
⑥自然災害などの不測の事態 ⑦人材、労務関連 ⑧地球環境問題、気候変動
これら全社的なリスク評価やリスク対応の方針・状況については、リスクマネジメント担当執行役員が定期的に取締役会へ報告しています。
4) 指標および目標
当社グループではサステナビリティに向けた重点課題に紐づけ、当社グループとして取り組むテーマごとにサステナビリティ目標を設定しています。従業員一人ひとりが、サステナビリティの意識と視点を持ち、当社グループの理念と規範の実践により、目標達成に向けて取り組んでいます。
◆サステナビリティ目標
目標の詳細や現在の進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等<サステナビリティ目標>」および当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.kewpie.com/sustainability/management/materiality/#sec05
(2)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に向けた取り組み
当社グループは「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」へ賛同し、これに賛同する企業や金融機関等が連携する場としての「TCFDコンソーシアム」に参画しました。
そして当社グループ内で「TCFDプロジェクト」を発足し、2021年からTCFDに取り組んでいます。
① ガバナンス
気候変動に対するガバナンスについては 1)ガバナンスに準じます。追記事項として当社は気候変動関連リスクと機会の評価および管理を強化するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しています。ICPの設定および見直しはサステナビリティ委員会で検討、承認されます。その内容は、取締役会に適宜報告され、必要に応じて審議されるなど、取締役会による適切な監督を行っています。
② 戦略
当社グループでは気候変動に伴うさまざまなリスクと機会について、その重要性に応じて短期・中期・長期の観点から特定を行い、また外部環境の変化も踏まえ、定期的に分析・評価の見直しを行っています。リスクと機会の特定においてはIPCC※1や IEA※2などが発表しているシナリオを用いて、2つのシナリオを描いております。1つ目のシナリオは2100年時点において産業革命以前より1.5~2℃気温上昇し、環境政策が進展するシナリオ(以下「環境政策進展シナリオ」と表記)、2つ目のシナリオは2.7~4℃気温上昇し、気候変動に対し必要な施策や追加の対策が講じられない場合の成り行きシナリオ(以下「成り行きシナリオ」と表記)とし、2030年の事業におけるインパクトを算出しました。特定されたリスクと機会について対応策を検討し、単年度計画および中期経営計画に組み込んで、推進しています。
※1 IPCC
IPCCとは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)のことで、世界気象機関(WMO)および国連環境計画(UNEP)により 1988年に設立された政府間組織です。各国政府の気候変動に関する政策に必要な科学的情報を提供しています。
※2 IEA
IEAとは、国際エネルギー機関(International Energy Agency)のことで、OECD(経済協力開発機構)の枠内における自律的な機関として第1次石油危機後の1974年に設立された組織です。エネルギー政策に必要な中長期の需給見通しなどの情報を提供しています。
・シナリオ分析の適用
中期経営計画において、段階的に分析範囲を拡張していきます。 分析計画は以下のとおりです。
年度 |
対象範囲 |
2021年度 |
マヨネーズ・ごまドレッシング |
2022年度 |
マヨネーズ・ドレッシング・タマゴ(液卵・加工品) |
2023年度 |
マヨネーズ・ドレッシング・タマゴ・パッケージサラダ(キャベツ、レタス) |
2024年度 |
マヨネーズ・ドレッシング・タマゴ・パッケージサラダ・惣菜(じゃがいも、にんじん、たまねぎ) |
2024年度は惣菜(じゃがいも、にんじん、たまねぎ)に対する気候変動リスクと機会の分析を手掛けました。特に主原料の食油・卵・食酢においての穀物を主体とした農作物に加えキャベツ、レタス、じゃがいも、にんじん、たまねぎなどの農作物も気候変動が影響することを認識しました。これに対し、特定の農作物への依存度合いを中長期的に引き下げていく戦略を検討しています。
・主な気候変動リスクと機会
<環境政策進展シナリオ>
厳しい環境規制・高い炭素税が導入され、世界ではカーボンニュートラルが達成されます。農林水産部門ではCO₂ゼロエミッション化を実現する一方で、サプライヤーの環境対応コストが高まります。健康意識が高い消費者が増加し、サラダなど野菜の摂取量が増加します。また、環境意識の高まりから持続可能性が高い商品の需要も増加します。環境政策進展シナリオで特定した当社グループのリスクと機会は以下のとおりです。
リスク項目 |
リスク |
機会 |
時期※3 |
インパクト |
||
大分類 |
中分類 |
小分類 |
||||
移行リスク |
政策・規制 |
炭素税の導入 |
○ |
|
中期 |
中 |
プラスチック・包装材への規制 |
○ |
|
中期 |
小 |
||
未利用資源の価値化 |
|
○ |
中期 |
中 |
||
市場 |
持続可能性が高い商品の需要増加 |
|
○ |
中期 |
大 |
|
環境に配慮した原資材の調達コスト増加 |
○ |
|
中期 |
小 |
||
※3 時期の定義:短期:2024年まで 中期:2030年まで 長期:2050年までとしています。 |
<成り行きシナリオ>
低炭素化は進展するものの、2050年カーボンニュートラルは達成せず、気温が上昇する影響により、自然災害は激甚化・頻発化し、サプライヤー・自社の生産拠点で浸水被害発生頻度が上昇します。熱ストレスによる農作物の収量低下により、原材料調達コストが増加します。一方で気温上昇に伴い免疫事業などの需要が増加します。成り行きシナリオで特定した当社グループのリスクと機会は以下のとおりです。
リスク項目 |
リスク |
機会 |
時期※3 |
インパクト |
||
大分類 |
中分類 |
小分類 |
||||
物理リスク |
慢性 |
熱ストレスによる収量減少に伴う農作物の調達コストの増加 |
○ |
|
中期 |
中 |
急性 |
洪水による生産設備の被災・停電、操業の停滞・停止 |
○ |
|
短~ 長期 |
小~大 |
|
商品・ サービス |
気温の上昇に伴う、新製品・新規事業の需要増加 |
|
○ |
中期 |
大 |
|
※3 時期の定義:短期:2024年まで 中期:2030年まで 長期:2050年までとしています。 |
・気候変動リスクと機会に対する対応策(●リスクに備えた対応 ○機会を活かした取り組み)
シナリオ分析により特定されたリスクと機会に対し、次のテーマを推進し、持続的成長に活かしていきます。
○環境政策の進展した市場への対応
・環境配慮型商品の需要増加への対応
・農作物(食油)などを使いこなす技術革新
・原料相場に強い体質への転換
・容器包装プラスチックの軽量化
・使用したプラスチックの再利用
・再生プラスチックやバイオマスプラスチックの積極導入
・商品の使い方提案による環境負荷低減
○食品ロスの削減と有効活用
・野菜未利用部の有効活用(飼料・肥料化)
○温暖化による感染症への関心拡大
・酢酸菌ビジネスの展開
●CO2排出量の削減
・インターナルカーボンプライシング(ICP)の活用による低炭素投資の促進
・CO2排出量の削減を指標とした設備投資(電化の推進、インターナルカーボンプライシング(ICP)の
導入など)
・製造工程中の加熱や殺菌工程の見直し
・再生可能エネルギーの活用・導入・サプライヤーとの協働
●洪水への備え
・洪水リスク評価に応じ重点的な対策
・主力製品のBCP(被災時に備えた事業継続計画)
インターナルカーボンプライシング(ICP)の活用
当社は、気候変動リスクを財務的視点で評価し、低炭素投資を促進するため、ICPを導入しています。ICPは主に以下の目的で活用されています。
・設備投資の意思決定における炭素排出コストの考慮
・低炭素技術への投資促進
・社内での気候変動リスクに対する意識向上
2022年度より社内炭素価格の運用が開始され、その内部炭素価格をベースに2028年までの環境投資計画の立案を社内で進めています。これまでの運用では投資対効果が薄いとの理由から社内承認が難しい低炭素投資がありましたが、社内炭素価格の導入により、脱炭素を含めたトータルの投資対効果を示すことができ、より脱炭素への取り組みが加速することが期待されます。直近では、太陽光パネル導入などにおいて、社内炭素価格を用いた投資対効果を基に決裁が実行されています。
上記の対応策に関連して2024年度に実施した内容は主に下記のとおりです。
対応策 |
○環境政策の進展した市場への対応 |
取り組み |
2月上旬から、ドレッシングやスープの素など、環境に配慮した容器包装の商品に対し、独自のecoラベルの付与を開始 |
概要 |
容器包装に対する環境配慮基準を策定し、基準を満たした商品には、パッケージに当社グループ独自のecoラベルを付与していきます。
ecoラベルを付与した対象商品(一部)
当社グループecoラベル 表示例 |
対応策 |
〇使用したプラスチックの再利用 |
取り組み |
・油付きPETボトル(ドレッシングボトルなど)の資源循環 ・マヨネーズボトルの資源循環 |
概要 |
油が付着したPETボトルは、リサイクルの洗浄工程で油が残り、再生PETの品質に影響を与えることが懸念されており、リサイクルの仕組みが社会的に実装されていません。また、国内のマヨネーズボトルには、主にポリエチレン(PE)というプラスチック素材が使用されており、PEは食品包装に多く使用されていますが、素材の種類や他素材と複合しているものが多いことから、飲料PETボトルに代表されるような水平リサイクルの仕組みが社会的に実装されていません。 これらの課題に対して企業の枠を超えて協働することで、ボトルを資源循環できる社会をめざします。当期は技術の確立と技術検証を進めるための効率的なサンプル収集のため、小売店の店舗でボトルの回収実証実験を実施しました。
|
③ リスク管理
気候変動に対するリスク管理については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般 3) リスク管理」 をご参照ください。
④ 指標と目標
気候変動によるリスクと機会を測定・管理するために用いている指標については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般 4) 指標および目標」 をご参照ください。
(3) 人的資本
①人材育成方針
当社グループは、国内・海外において幅広い領域に事業を展開しており、これからの市場環境の変化や成長領域の拡大に向けて、より一層、様々なスキルや経験を持った多様な人材の活躍が必要になります。持続的成長を実現する人材を育成していくために、中期経営計画のテーマの一つとして、「多様な人材が活躍できる仕組みづくり」を掲げています。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な従業員の活躍につながる場づくり、成長を実感できるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、世界で働く従業員一人ひとりの個性や成長する意欲、個々の能力を最大限に発揮できる企業文化づくりに取り組んでいます。
これまで大切に育んできた理念に共感した一人ひとりの従業員と創意工夫の企業文化は、グループの持続的成長を支える強みとなっています。2025年度より始まる次期中期経営計画からは、人的資本のさらなる価値拡大に向けて、積極的に人的資本投資を進めます。
新しい活躍の機会創出、多様な個の力の強化、人事制度の拡充、の3つの視点で人的資本の強化を行い、従業員エンゲージメント向上と最高のパフォーマンス発揮をめざします。従業員の働きがいと仕事を通じた自己実現への挑戦を持続的成長の原動力として、生産性向上と新たな価値創出を進めます。
② 環境整備・取り組み
◇ダイバーシティ&インクルージョンへの理解につながる機会づくり
・活発な「対話」と「機会の提供」
経営会議など、重要会議の参加者の20%を多様な人材(年代・性別・スキル・キャリア)から構成する「KEEP20」の取組みをグループ内で展開しています。異なる視点から意見を引き出しあうことで、議論の活性化と新たなイノベーションを生み出すことを狙いとしており、従来の参加メンバーと新たな参加メンバーの相互において、気付きや学びが得られる機会となっています。
・ダイバーシティとエンゲージメントの実感調査
2017年より、グループ社員を対象として「ダイバーシティアンケート」を実施し、「多様性」、「公正性」、「受容」の各項目に対する、社員の実感を調査しています。数値は着実に向上しており、2024年度においては95%以上が「ダイバーシティ推進に共感している」という結果が得られました。また、エンゲージメントサーベイを2025年度からの中期経営計画における人的資本への投資効果を測る指標と位置づけ、スコアの向上をめざします。調査結果は、「仕事をする上での環境」、「仕事における貢献感・受容感」、「職場で働く意義、モチベ―ション」、「職場における成長実感」の4つの領域に分類して分析を行います。分析結果は上記ダイバーシティアンケートの結果と併せて、グループ内でオープンに共有し、グループの多様な人材が活躍できる環境づくりへの活用を進めます。
エンゲージメントスコアの目標および実績数値※1
|
2024年度実績 |
2028年度目標 |
エンゲージメントスコア (グループ国内※2) |
69点 |
75点 |
※1 エンゲージメントスコアは、仕事環境・貢献感・働く意義・成長実感の観点で従業員アンケート
を実施し、第三者機関による分析から、100点満点で点数化しています。
※2 次期中期経営計画より、海外を含むグループ全体に対象を拡大して実施していきます。
◇多様な従業員の活躍につながる場づくり
・挑戦の機会の提供
海外やDXなど、グループとして優先的に進めるべき戦略と位置付けた領域への人材配置にあたり、グループ全社員に対する公募を実施し、高い意欲や、キャリア実現への強い想いを持った従業員を抜擢する取り組みを進めています。2024年は、海外事業への挑戦を希望する人材を対象に、選抜型の海外人材育成プログラムを実施しました。海外駐在に向けた研修や学びを得られる機会づくりを進めています。
また、2012年より実施している、新規事業プラン社内公募「Kewpie Startup Program」も継続して進めており、2024年度は、社外から講師を招き、アイデア発想や、事業創出マインド醸成のワークショップを開催しました。2025年度からは、これから当社グループが更に力を入れて取り組む「サラダ」「ウェルネス」「サステナビリティ」の3つのドメインを踏まえながら、社会価値と経済価値を生み出すビジネスアイデアを募集し、従業員一人ひとりのアイデアの実現と新たな事業の創出につなげます。
・女性従業員の活躍支援
グループの約半数を占める女性従業員が十分に活躍できるよう、女性総合職の育成や、転居を伴う異動のない総合職制度の導入、地域職から総合職への転換、女性管理職勉強会で新任管理職の育成支援などを進めています。人事制度や労務制度に加えて、マネジメントや風土もあわせて変えていくことで、意欲ある女性や共働きの従業員が安心して働き続けられる会社をめざしています。
女性管理職比率 目標および実績数値
|
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
2024年度 実績 |
2025年度 目標 |
2030年度 目標 |
女性管理職比率 (キユーピー単体※) |
12.5% |
14.5% |
15.9% |
18% |
30% |
(参考:グループ海外含む) |
17.5% |
19.5% |
20.3% |
23% |
30% |
※次期中期経営計画より、海外を含むグループ全体に対象を拡大して女性管理職比率の目標値を定めます。
◇成長を実感できるキャリアや学びへの仕組みづくり
・従業員の自己実現の支援
当社では、従業員のキャリア自律を支援する仕組みとして、キャリア自己申告制度を導入しています。グループの事業領域の広さを活かして、従業員が仕事を通じて自己実現できる環境づくりを進めています。具体的には、各部署の役割や仕事を知る機会の創出、希望の職場への異動実現支援などにより、定量的にキャリア自己申告の実現率の向上を推進しています。
次期中期経営計画では、多様な人材がよりパフォーマンスを発揮できる新人事制度の導入と、専門性を強化する人材育成体系の整備を予定しております。異動による成長だけではなく、一人ひとりが自ら高めたい専門性を描き、その実現を後押しする取り組みを進めます。
キャリア自己申告実現率※1 目標および実績数値
|
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
2024年度 実績 |
2025年度 目標 |
2030年度 目標 |
自己申告実現率 (キユーピー単体※2) |
8% |
10% |
14% |
18% |
22% |
30% |
※1 職務の変更希望を申告した従業員のうち、希望の職務に従事できている比率です。
※2 次期中期経営計画より、キャリア自己申告制度の導入をグループ会社にも段階的に拡大し、取り組みを進めます。
・キャリア支援の拡充(セルフ・キャリアドック)
2024年度より、「セルフ・キャリアドック」を開始しました。「キャリア研修」で自分のキャリアの棚卸をした上で、社外専門家との1対1の「キャリアコンサルティング面談」でアドバイスを受け、自ら主体的にキャリアプランを考えることをねらいにしています。当期は約500名の面談を実施しました。今後、段階的に対象を拡大し、グループ全体での継続的な取り組みにしていきます。