2025年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,737名(単体) 3,253名(連結)
  • 平均年齢
    42.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.0年(単体)
  • 平均年収
    9,036,730円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

国内加工食品事業

1,490

[624]

国際事業

980

[995]

その他

602

[666]

全社(共通)

181

[34]

合計

3,253

[2,319]

 

(注) 1  従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人数を外数で記載しております。

2  臨時従業員には、パートタイマー及び派遣社員を含んでおります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,737

[674]

42.4

18.0

9,036,730

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

国内加工食品事業

1,473

[624]

国際事業

20

[1]

その他

63

[15]

全社(共通)

181

[34]

合計

1,737

[674]

 

(注) 1  従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人数を外数で記載しております。

2  臨時従業員には、パートタイマー及び派遣社員を含んでおります。

3  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループでは、提出会社において労働組合が組織されております。

提出会社の労働組合は1972年4月9日に結成され、2025年12月末現在における組合員数は989人であります。

労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

総合職

技能職

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

12.0

79.3

100

67.6

70.5

81.6

 

(注) 1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

(1) サステナビリティガバナンス

1.カゴメのサステナビリティに対する考え方


 

サステナビリティ基本方針

 

カゴメグループは創業以来、

「畑は第一の工場」というものづくりの思想のもと、

自然の恵みを活かした新しい食やサービスを提案してまいりました。

この営みを未来につなぐために、

企業理念である『感謝・自然・開かれた企業』の実践と、

ステークホルダーの皆さまとの協働により社会課題の解決に取り組み、

持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現を図ります。 

 

 

2.サステナビリティ推進体制

当社では、関連部門で進めてきたサステナビリティへの取り組みを全社での活動として強力に推進するため、「長期視点の議論ができる場」として、2022年10月に経営会議の下にサステナビリティ委員会を設置しました。傘下の分科会からの提言に基づいて、マテリアリティ推進に向けた重点テーマに対する全社の取り組み方針やKPIについて審議し、進捗のモニタリングも担っています。サステナビリティ委員会での審議事項は経営会議や取締役会へ報告・付議され、経営戦略への反映が図られています。

2025年には、新たに策定された2035ビジョンと、連動して刷新されたマテリアリティに対応すべく、2026年以降に委員会で取り扱う重点テーマ及び委員の見直しを行いました。引き続き、同委員会を中心にカゴメのサステナビリティ経営を前進させていきます。

 

サステナビリティ委員会の目的

目的1 長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に

     向けた“カゴメの在り様”について検討を行い、経営戦略に反映させる。

目的2 マテリアリティの達成に向けて特定された重点テーマについて、モニタリングと主管部門への

指示・アドバイスを行い推進する。

 

 

 


 

3.重点テーマ別分科会

サステナビリティ委員会ではマテリアリティ、特に2035ビジョンや環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)を強力に推進すべく、2026年から重点的に取り扱うテーマを見直しました。設定した重点テーマについては、全社横断的に取り組み、少なくとも年1回以上は委員会で審議や進捗報告を行うことで、推進力を高めていきます。重点テーマの設定にあたっては、他の会議体・セッションで審議されないマテリアリティを優先的に取り扱い、該当するマテリアリティから特に2035ビジョンや環境マネジメント計画の推進に寄与する重点テーマを設定しました。

 

重点テーマ

選定理由・今後の議論のポイント

① 気候変動

マテリアリティ「トマトに関連するグローバル・バリューチェーンの環境負荷極小化と気候変動の克服」から、重点テーマとして設定しています。本マテリアリティは2035ビジョン実現をドライブする構想「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」に該当すること、また環境マネジメント計画でも気候変動への取り組みは強化対象であることが設定理由です。

「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」プロジェクトから挙げられる、推進にあたっての相談・審議事項や、主にScope3やFLAG(※)などのGHG排出量削減、再生可能エネルギーの導入拡大等について議論する予定です。

② 資源循環

マテリアリティ「持続可能なサプライチェーンの構築」から、重点テーマとして設定しています。本重点テーマは「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」にGHG排出量以外の側面から貢献できる可能性があること、また環境マネジメント計画でも資源循環への取り組みは強化対象であることが設定理由です。

廃棄プラスチックの削減(再生プラスチックの利用促進)や、アルミ付飲料紙容器などの基幹商品容器の資源循環推進、食品ロスの削減などについて議論する予定です。

③ 持続可能な調達

マテリアリティ「持続可能なサプライチェーンの構築」から、重点テーマとして設定しています。本重点テーマは、サプライヤーへの環境デューデリジェンス、及びエンゲージメントや協働によるサプライヤーの環境配慮レベルの向上により、トマトに関連するバリューチェーンの環境負荷低減に貢献できる可能性があることが設定理由です。

Sedexなどを用いたサプライヤーの環境配慮レベルの可視化や、改善に向けた協働策などについて議論する予定です。

④ 非財務情報開示

マテリアリティ「コーポレート・ガバナンスの強化」から、重点テーマとして設定しています。本重点テーマは、2035ビジョン、特に「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」によりグローバルでのサステナビリティへの取り組みが今後進展する中、海外の顧客(取引先)や、株主・機関投資家に訴求できる開示や認証、格付についての議論が必要との考えから設定しました。

グローバルにおける開示規制への対応や、カゴメグループとして戦略的に取得すべき認証や格付などについて、議論する予定です。

 

※FLAG: 農業や林業、その他土地利用に関連するセクター(Forest, Land and Agriculture)における温室効果ガス排出を表す。

 

(2) カゴメのマテリアリティ

1.マテリアリティに対する考え方

カゴメグループでは、マテリアリティを「カゴメグループの持続的な成長と、すこやかで持続可能な地球環境と社会を実現するための重要な経営課題」と位置付けています。マテリアリティは2035ビジョン実現に向けた取り組みや持続的な経営・事業を支える基盤の取り組みを包括し、長い時間軸で取り組んでいく課題です。

これらのマテリアリティに取り組むことで、持続可能な社会の実現と、持続的に成長できる強い企業の両立を目指していきます。

 

 

2.マテリアリティの特定プロセス

 


 

 

マテリアリティ・マトリックス


 

3.カゴメグループのマテリアリティ

位置

付け

新マテリアリティ

取り組み方針・目指す姿

貢献できるSDGs

2

0

3

5

ビ

ジ

ョ

ン

実

現

に

向

け

た

取

り

組

み

 

①

農と食を通じたウェルビーイングへの貢献

人々の野菜摂取を促進し、科学的知見に基づいたアプローチで健康増進等の身体的なウェルビーイングの実現に貢献する。


ステークホルダーと共に自然の可能性を拓き、農や食の価値を共有するコミュニティの形成により、人々の社会的・精神的なウェルビーイングの実現に貢献する。

②

農業の振興・持続可能性向上

品種改良や栽培技術の開発、生産者支援等により農作物の安定生産を実現し、トマトをはじめとする野菜に関わる農業の持続可能性向上に貢献する。


商品・サービスを通じ人々の農や食に対する関心を高め、農業の関係人口増加と振興に貢献する。

③

トマトに関連するグローバル・バリューチェーンの環境負荷極小化と気候変動の克服

トマトの品種開発や栽培技術の高度化を通じて、世界で最も環境負荷が小さく、気候変動に適応したトマト・トマト加工品の提供者を目指す。


開発した品種や技術を、原材料生産者やパートナー企業との連携により社会に展開することで、トマト産業全体の環境負荷を極小化し、気候変動を克服する。

 

持

続

的

な

経

営

・

事

業

を

支

え

る

基

盤

の

取

り

組

み

④

多様な人材の活躍機会

創出と戦略的な人的資本の強化

多様な背景や能力・特性を持った従業員一人ひとりが活躍機会を見出し、事業を通じてお客様や社会に貢献することで、精神的・社会的に満たされた状態で就業できる環境を整え、選ばれる企業となる。


従業員一人ひとりが当社のビジョンに共感しており、個人の成長とカゴメグループ全体の事業成長の好循環を実現している。

⑤

安心・安全・高品質を追求した商品・サービス・情報の提供

「品質第一」の考え方のもと、お客様に対し安心・安全・高品質な商品・サービス・情報を提供する。

 

責任あるマーケティング及び迅速で誠実な対応と情報公開を通じ、お客様に信頼して商品・サービスをご利用いただける環境を整える。

⑥

持続可能なサプライ

チェーンの構築

「人権方針」や「品質・環境方針」を基に、サプライチェーンを通じた環境・社会への影響に配慮した調達先の選定や、資源循環による原材料調達の持続性向上に取り組む。


農業研究・種子生産の高度化や調達先の分散による安定した供給を実現する。

DXにより、社内外のサプライチェーンマネジメントを強化し、グローバルで多様なサプライチェーンを効率化・高度化する。

⑦

コーポレート・

ガバナンスの強化

 「自律」の強化と「他律」による補完に加え、グループ全体のガバナンス・連携強化による、経営基盤強化と価値向上を通じた持続的な成長を目指す。


適切な情報開示やステークホルダーとの対話を通じ、経営の透明性を高める。

 

 

(3) トマトに関連するグローバル・バリューチェーンの環境負荷極小化と気候変動の克服

トマトの品種開発や栽培技術の高度化を通じて、世界で最も環境負荷が小さく、気候変動に適応したトマト・トマト加工品の提供者を目指します。

 

1.品質・環境方針

自然の恵みを活かして人々の健康に貢献してきたカゴメのものづくりは、「畑は第一の工場」という考えのもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な原材料づくりを基本としてきました。その自然の恵みを享受し続けるためには、豊かな自然環境のもとでの持続的な農業の営みが欠かせません。地球環境の保全と自然を活かしたものづくりを両立させていくことは、カゴメグループの事業活動が将来にわたり成長し続けるために不可欠なことです。

このような品質(ものづくり)と環境に関する理念の共通性や活動上の関連性から、従来それぞれに「品質方針」「環境方針」として掲げられてきたものを統合し、「品質・環境方針」を2017年10月に制定しました。カゴメが情熱を込めて取り組んできたものづくりと同じ想いで環境保全活動にも注力することで、持続可能な社会の実現を目指す、という経営の意思が込められています。

 

 

① 野菜によるおいしさと健康価値で、大切な人の健康長寿に貢献します。

② 国内外のパートナーと種子・畑から一貫した安全な農産原料づくりに取り組みます。

③ 野菜を育む水・土・大気を守り、豊かな自然をつくる農業を未来につなげ、得られた恵みを有効に活用します。

④ 法令や自主基準を順守し、しくみや行動をレベルアップし続けることで、安全で環境に配慮した商品をお客様にお届けします。

⑤ お客様へ商品やサービスの確かさをお伝えしつつ、お客様の声を企業活動へ反映します。

 

 

 

 

2.ガバナンス

カゴメグループは事業の最大のリスクを原材料調達の途絶と考えています。気候変動、自然関連課題による原材料調達の影響などに備え、グループとしてレジリエンスを強化し、右図のガバナンス体制のもとで企業価値の向上を目指します。

取締役会は、経営会議及びサステナビリティ委員会を監督しています。経営会議は、サステナビリティ委員会からの報告を受けて、当社グループの経営方針や戦略を審議・執行しています。また、サステナビリティ委員会とISO14001に則った環境マネジメントシステムとの連携によって、当社グループのガバナンス体制を構築しています。


 

サステナビリティ委員会

委員長

 

サステナビリティ管掌役員(取締役執行役員)

委員

 

社会課題の解決およびESG課題の対応に関わる本部役員・

関連部門長 サステナビリティ情報発信部門

目的

 

➤長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に向けた“カゴメのあり方”の検討、経営戦略への反映

➤マテリアリティの達成に向けて特定された

“サステナビリティ課題”のモニタリング、推進主管への指示・アドバイスの実施

 

 

3.気候変動・自然資本への対応と情報開示への取り組み(TCFD、TNFD)

カゴメグループは、自然の恵みを原材料とする企業として、自然環境の保全を事業継続と持続的成長に不可欠な最重要課題と位置付けています。気候変動や自然資本の損失は、農業や社会の持続可能性、さらには事業成長に重大な影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対応するため、当社は国際的な枠組みに基づく取り組みを推進しています。

 

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応

気候変動が事業に与えるリスクと機会を明確化するため、2019年に一部部門でシナリオ分析を実施しました。2022年にはTCFD提言への賛同を表明し、2023年には全社横断的なプロジェクトを立ち上げました。バリューチェーン全体における気候変動の影響を再分析し、事業の持続的成長に向けた対応を強化しています。

 

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応

自然資本の重要性を踏まえ、2023年9月に公表されたTNFD提言に沿って対応を開始しました。事業活動で最も重要な原材料である「トマト」に焦点を当て、自然資本へのインパクトや生態系サービスへの依存をLEAPアプローチで評価しています。

 

2024年度にTCFD及びTNFD対応として実施した検討結果を踏まえ、2025年度、カゴメ環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)を策定しました。本計画はTCFD・TNFDと連携した包括的な戦略であり、計画策定にあたっての検討プロセスで新たに設定したKPIを、本報告書に示すTCFD・TNFD対応内容にも反映しています。これにより、気候変動や自然資本リスクに対する事業のレジリエンスを強化しています。

カゴメグループは、気候変動と自然資本が相互に影響し合う複雑な関係にあると認識し、TCFDとTNFDの情報を統合的に開示する取り組みを進めています。今後も、これらの枠組みに基づく情報開示を拡充し、気候変動や自然資本に関する課題への対応を通じて、持続可能な社会と農業の実現、そして事業の持続的成長を果たしていきます。

 

TCFD・TNFDの一般要件

1

マテリアリティの適用

カゴメグループは気候変動において、シングルマテリアリティを採用し、気候変動リスク・機会による当社グループへの財務影響算定を行っています。

また、自然資本ではダブルマテリアリティを採用し、環境・社会へのインパクトも重視して評価を行っています。

2

開示スコープ

当社グループによる直接操業、及びバリューチェーン上流、下流を対象としています。直接操業では、国内外全ての生産工場を含みます。バリューチェーン上流では当社グループの中核事業であるトマト事業に着目し、グローバルで農地まで追跡し、依存とインパクトについて分析しています。バリューチェーン下流では消費者を含め、パッケージの廃棄・リサイクルについても分析対象としています。

3

自然関連課題の

ロケーション

トマトに関連する当社グループの全事業を対象とし、生鮮事業14拠点(国内菜園(直轄、契約))、及び加工事業256拠点(国内工場(食品製造、農場)、海外工場(食品製造、農場)、国内委託先、海外サプライヤー(二次含む))の計270拠点を確認したところ、自然資本関連の課題の所在として日本の菜園・農場、ポルトガル・米国・オーストラリアの3ヶ国の農場・工場を優先地域に特定しています。

4

他のサステナビリティ

課題との結合

当社グループの事業活動において、気候変動課題、自然資本関連課題は相互に関連していると認識しています。特に自然資本関連の対応策のうち、原材料や容器包装の調達や重要なトマト栽培システムの開発・確立と運用については、気候変動リスク・機会への影響が大きいと考え、今後の当社グループの戦略、指標と目標についても一体的に捉えた活動を進める予定です。

5

時間軸

分析の時間軸として、短期は中期経営計画の最大4年間、中期は次期長期ビジョン終了年2035年、長期は2050年としています。

6

ステークホルダーとの

エンゲージメント

地域コミュニティや先住民を含めたステークホルダー・エンゲージメントの重要性を認識しています。現在、品質・環境方針、カゴメグループ人権方針の考えに沿った、カゴメCSR調達方針及びカゴメサプライヤーCSR行動規範に基づき、国内/海外原材料の調達先に対し、デューデリジェンスの取り組みを開始しています。今後もステークホルダーとのエンゲージメントを通じて得た知見を企業経営に活かし、課題解決に関する取り組みを進めていきます。

 

 

 

 

4.戦略

〈 気候変動に関するシナリオ分析(TCFD)〉

①リスク・機会の特定

カゴメグループでは、2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、SBTイニシアチブから「1.5ºC目標(※)」の認定を取得しています。この目標に整合するため、TCFDのシナリオ分析をこれまでの「2ºC」及び「4ºC」シナリオから、「1.5ºC」及び「4ºC」シナリオに変更し、気候変動が事業に与えるリスクと機会を特定しました。

※ 産業革命前からの気温上昇を1.5ºCに抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標

 

気候変動に関するリスク・機会の一覧

大分類

№

気候変動 リスク・機会

影響度

発現時期

移行リスク

1

炭素税導入による炭素税の支払いの増加

小

短~中期

2

炭素税の導入による購入した製品サービスや輸送に関わる調達コストの増加

大

短~中期

3

GHG排出量削減のための最新技術・設備投資の増加

小

短~中期

4

容器包装規制の対応費用の増加

小

短~中期

5

電力・エネルギー価格の高騰によるコストの増加

中

短~長期

物理的

リスク

急性

6

極端な気象現象の増加
(工場浸水時の想定損害額や大雨・洪水などの工場不稼働に伴う利益の逸失)

中

短~中期

7

降水パターンの変化(渇水による水価格の高騰)

小

短~中期

慢性

8

降水パターンの変化(地下水位低下による生産コストの増加)

小

短~中期

9

気温上昇によるトマト収量減による調達コストの増加

大

短~長期

10

高温による農業従事者の生産性の低下に伴う調達コストの増加

大

短~長期

機会

1

輸送効率化によるコストの削減

小

短~中期

2

容器包装の資源効率化によるコストの削減

小

短~中期

3

肥料・水使用量の削減によるコスト削減、開発利用・外販による売上の増加

小

短~中期

4

サステナブル製品・低炭素製品の開発・販売による売上の増加

小

短~長期

5

事業活動の多様化による売上機会の増加

大

短~長期

 

※分析の時間軸として、短期は中期経営計画の最大4年間、中期は次の長期ビジョン終了年2035年、長期は2050年としています。

※TCFDにおける物理的リスクでは平均気温上昇幅に応じたIPCCの各SSPシナリオ、移行リスクでは主にIEAのNZEシナリオを
参照しています。

※影響度は「小」を20億円未満程度、「中」を20~50億円程度、「大」を50億円以上を目安としています。

 

 

 

②リスク・機会による財務影響とその対応策

イ. 気候変動(GHG・炭素税) ~ 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(緩和)~

当社は、炭素税導入やエネルギーコスト上昇を気候変動に関する移行リスクとして認識しています。国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー見通し(WEO)」で提示されている気候変動シナリオを参照し、炭素税支払金額、エネルギー需要・価格をもとに影響を予測しました。炭素税導入による支払いコスト増としては、ネットゼロ排出(NZE:1.5ºCシナリオ)では約18億円、公表政策シナリオ(STEPS:4ºCシナリオ)では約16億円のコスト増が見込まれます。

当社は、SBTイニシアチブの認定を取得し、工場のエネルギー効率向上や再生可能エネルギーの活用等の温室効果ガス排出量削減に継続的に取り組みます。また、サプライヤーとの連携を強化し、輸送効率の改善、容器包装をはじめとした原材料調達における温室効果ガスの排出量削減を目指します。

 

SBT認定

気候変動対策を強化するため、温室効果ガス(GHG)排出量削減の新目標を策定し、2025年に新たなSBTイニシアチブ(※1)の認定を取得しました。今回の更新では、農業など土地利用に関するFLAG削減目標を設定し、Scope3削減目標も上方修正しています。

 

 

※1 企業の温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定が定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアチブ


 

 

リスク・機会認識

炭素税導入やエネルギー価格変動

(移行リスクNo.1,2,3,4,5、機会No.1)

 

財務影響

炭素税導入による支払いコストの増加

炭素税導入による調達コストの増加

1.5ºC

4ºC

1.5ºC

4ºC

2030年

2030年

2030年

2030年

18億円

16億円

222億円

190億円

 

 

 

 

対応策

 


 

※2 電力購入契約(Power Purchase Agreement)

 

ロ. 持続可能な農業  ~ 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(適応)~

気温上昇をはじめとした気候変動がトマトの収量に大きく影響する可能性が懸念されています。2017年6月、米国カリフォルニア州で高温が続き、トマトの収量が平年と比べて16.1%(米国農務省)減少する実害も出ています。

当社グループの原材料トマトの主要産地である同州のトマト収量データをもとに「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」の各シナリオでの収量変化予測を分析しました。同州における6月の最低気温を分析し、2050年においてSSP1-1.9(1.5ºCシナリオ)では71億円、SSP5-8.5(4ºCシナリオ)では147億円の日本カゴメの調達コスト増が見込まれました。トマトの収量が低下した場合は、実際は生トマト単価やトマト加工品(原材料)の売値が上がり、海外子会社は利益増となるため、グループ全体の利益減となるわけではありません。当社は川上のバリューチェーンを持つことで収益の安定性を保っています。安定的な原材料トマトの確保に向け、気候変動への対応戦略として、高温耐性品種への改良(栽培技術・品種開発)、乾燥耐性品種の開発、節水・減肥栽培技術の導入、新たな産地の開発調査を実施していきます。

 

リスク・機会認識

気温上昇による農産物への影響

(物理的リスクNo.8,9、機会No.3,4,5)

 

財務影響

気温上昇に伴うトマトの収量変化によるコスト増加

1.5ºC

4ºC

2035年

2050年

2035年

2050年

61億円

71億円

71億円

147億円

 

算定式: 調達金額の上昇額=「調達額」×「2017年のカリフォルニア州トマト収量USDAデータをもとにした高温による収量減少率」×「IPCCの気温上昇予測」

 

 

対応策

 


 

 

 

 

ハ. 水  ~ 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(適応) ~

台風や集中豪雨、水害が発生すると、トマトをはじめとする原材料の調達が困難になります。オーストラリア工場では2017年4月、記録的な大雨によってトマトの裂果や病気などで収量が低下し、工場も稼働が停止しました。他方で、カゴメグループは商品の原材料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しています。渇水が発生すると水使用コストが増加し、原材料収量が低下する可能性があります。実際に過去に干ばつが発生した際には水価格が400%上昇するなど、渇水によるリスクにさらされています。

カゴメグループの工場では、活動する地域の水資源を守るため、国内6工場、海外7工場で水管理計画を策定し、取水量・排水量、水リサイクル量、排水の水質などを管理して、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めています。また、国内6工場と海外7工場を対象に水リスク評価を行い、水リスクが高い海外の優先拠点においては、カゴメグループの各海外工場と現地関係者などでエンゲージメントを行い、各工場や地域に応じた様々な対策を講じています。

さらに、工場に対する水害や渇水の影響に対しては既に小坂井工場に防水壁を設置するなど、国内工場においてはリスク軽減措置を講じています。こうした取り組みをグループ全体に波及させていきます。

 

 

リスク・機会認識

水害、渇水による影響

(物理的リスクNo.6,7、機会No.3)

 

 

 

対応策

 


 

  ※2022年:国内全工場ハザード対策完了

 

 

二. サステナブル製品・事業活動の多様化  ~ 気候変動に関する機会への対応戦略 ~

気候変動によるリスクに適切に対応していくことで、カゴメグループにとっての事業機会が生まれます。例えば、異常気象や自然災害の増加により、長期保存可能な災害用保存野菜商品の需要が高まり、また、気候変動への関心が高まれば、「できるだけ環境にやさしい商品を選びたい」というサステナブルな選択肢の需要を増加させます。

その一例として、気候変動により災害が増加した場合の長期保存可能(賞味期間5.5年)な災害用保存野菜商品の売上の影響を試算しました。当社災害用保存野菜商品の平均年間売上金額と国土交通省の「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」のシナリオ別洪水発生頻度をもとに算定したところ、1.5ºC(2ºC)シナリオでは7億円、4ºCシナリオでは10億円の財務影響(売上収益増)が見込まれました。

また、事業活動の多様化において、カゴメは世界各国の革新的な農業技術を有する優れたスタートアップ企業への出資及び協業を行うCVCファンドを設立しました。このファンドの取り組みにより、気候変動に適応する新品種や栽培技術の開発及び実装を目指すとともに、出資先とのオープンイノベーションによる新事業の開発を目指します。

 

 

リスク・機会認識

サステナブル製品の開発・販売、事業活動の多様化

(移行リスクNo.4、物理的リスクNo.10、機会№2,3,4,5) 

 

財務影響

災害用などの長期保存可能な野菜商品の売上収益増加

1.5ºC(2ºC)

4ºC

2035年

2035年

7億円

10億円

 

算定式: ローリングストック商品平均売上高(2020年-2023年)×洪水発生頻度の上昇率

 

 

対応策

 


 

 

 

 

 

〈 自然関連に関するLEAPアプローチ(TNFD)〉

カゴメグループ売上の多くを占める「トマトに関連する事業」を対象範囲として、自然への依存とインパクト、及び自然関連のリスクと機会をTNFDフレームワークのLEAPアプローチによって評価しました。

 

① Locate:自然との接点の発見

カゴメグループのトマトに関係する事業の自然との接点を、グローバルなデータに基づく評価ツールであるBRFを中心に、一部ENCOREを用いて評価しました。その結果、自然の状況の観点から43拠点を「優先地域の候補」として挙げました。

 

 

分析対象(270拠点)

・生鮮事業(14拠点):国内菜園(直轄、契約)

・加工事業(256拠点):国内工場(食品製造、農場)、海外工場(食品製造、農場)、国内委託加工、

海外サプライヤー(二次含む)

 

分析ツールで抽出した優先地域の候補

 

国内菜園

国内工場
(食品製造)

国内農場

海外工場
(食品製造)

海外農場

委託加工

海外
サプライヤー

区分

生鮮事業

加工事業

加工事業

加工事業

加工事業

加工事業

加工事業

優先地域の
候補数

12拠点

なし

5拠点

8拠点

5ヶ国

なし

13拠点

 

 

拠点評価における優先地域の候補と、該当拠点でのトマト購入金額やトマト関連製品生産金額などからの拠点重要度を踏まえ、以下の通り、優先地域を特定しました。

• 日本の菜園、農場

• ポルトガル、米国、オーストラリアの3ヶ国の農場、工場

 

優先地域

国

区分

拠点詳細

日本

菜園、農場

国内菜園12拠点、国内農場5拠点

ポルトガル

農場

6都市・町:Beja、Evora、Leiria、Lisboa、Santarem、Setubal

工場

2工場:FIT、KFP

米国

農場

1州:California

工場

2工場:Ingomar、KIU

オーストラリア

農場

2州:New South Wales、Victoria

工場

1工場(KAU)

 

 

② Evaluate:依存とインパクトの分析

優先地域、かつBRF分析でリスクが「Very high」となった指標の依存とインパクトについて詳細分析を実施しました。

分析の結果、TCFDで調査した水の供給や物理的リスクへの依存のほかに、土壌や水質(富栄養化)、農地拡大・河川の利用による自然の変化や森林破壊、保護区・保全地域へのインパクトなどを特定しました。またトマトは花粉媒介への依存は低いですが、トマト栽培での農薬による周辺の生態系への影響などのほかへのインパクトについても特定しました。

 

詳細分析使用ツール

FAO GLoSIS、International Herbicide-Resistant Weed Database、Global Land Analysis and Discovery、Protected Planet、BirdLife International Data Zone、IBAT、Aqueduct、BRF、ENCORE

 

優先地域における依存・インパクトの特定

 


 

 

 

 

③ Assess:リスクと機会の特定

Locate・Evaluateの結果を中心に、食品・農業セクターガイダンスやTCFDの結果も参考にしながら、リスクと機会を整理しました。なお、「生態系サービスの劣化」と「市場原理と非市場原理の一貫性」の2軸で作られたシナリオを活用した分析も実施しました。

 

自然関連リスク・機会の一覧          

大分類

中分類

No.

自然関連 リスク・機会

移行

リスク

政策と法

1

農薬規制によるトマト収量の減少、調達コストの増加

2

森林からトマト畑への土地利用変化により発生したGHG排出量削減コストの増加

3

先住民族や地域コミュニティとのエンゲージメント失敗による事業機会の喪失

4

バージン食品包装からリサイクル食品包装への代替など、容器包装規制への
対応に伴う調達コストの増加

技術

5

生物多様性の危機への対応のための最新技術・設備投資の増加

市場

6

農業就業人口の減少に伴う耕作地の荒廃、生物多様性への認知度や対応の低下

評判

7

トマトの栽培に伴う生物多様性への影響によるブランドイメージの低下

物理的

リスク

急性

8

病害虫発生などによる生産量の減少

慢性

9

過剰な施肥に伴う土地の健全性低下、及びトマト収量の減少

10

河川などにおける富栄養化による生物多様性の低下

機会

製品とサービス

1

植物残渣(トマトの茎など)のアップサイクル・製品化による売上の増加

市場

2

農薬リスクを減じたサステナブルな農業で生産したトマトによるブランド価値の向上

評判

3

在来種、外来種対応によるブランドイメージの向上
「外来の土壌害虫まん延防止のためのカゴメトマト品種の活用」

「花粉媒介者を増やす在来植物の植栽支援」

 

 

 

④ Prepare:対応策の検討、開示

Assessで特定した「リスクと機会」に紐付けながら、現時点で対応を進めている活動などを中心に具体的な内容とともに対応策を整理しました。

なお、Locate・Evaluateの結果は、これまでトマトに関する長年の取り組みによって得た知見と大きな齟齬がありませんでした。この結果を受け、これまでの活動の重要性を改めて認識し、引き続き活動を推進していきます。また、今後、地域別のリスク・機会の特定と対応策などについて、検討をさらに進めていく予定です。

 

対応戦略:「日本の生物多様性を脅かす4つの危機(生物多様性低下の要因)」を踏まえ、日本のみでな

く当社グループが関係する各国の周辺地域に対して自然を保全し、回復させる活動を拡大する

アクション:トマトの栽培を通じて関わる菜園・農場及びその周辺地域と、トマトを加工し製品化する工

場及びその周辺地域において自然を保全し、回復する

 

No.

 リスク・機会紐付け

自然関連 対応策

活動例(現時点及び今後の対応例)

1

リスクNo.4

機会No.1

原材料・容器包装の調達、プラスチック包材や食品廃棄物の削減におけるサプライチェーン全体での持続可能な運用の実現に向けた取り組みの推進

•FSC®認証紙パック飲料の展開 

•プラントベースフードへの取り組み

•食品ロスの削減

•プラスチックストローの貼付廃止や石油から新たに作られるプラスチックの使用量ゼロへの取り組み 

•プラスチック使用量の削減やリサイクル素材または植物由来素材への切替拡大

2

リスク

No.1,2,5,7,8,9,10

機会No.2,3

最適なトマト栽培システムの開発・確立と運営(水、肥料、農薬使用量の削減、トマト品種の改良、循環型農業の展開)

•環境負荷の低い栽培技術の開発

•グローバルでの品種開発、栽培技術の開発強化

3

リスク

No.3,6,7
機会No.3

自治体や地域コミュニティ、生物多様性の主流化、農業従事者などの支援、在来植物の植栽、保全活動への支援

•農業振興・農業支援活動
•生物多様性の教育、主流化活動

4

基本全てのリスク・

機会に紐付く

・生物多様性行動計画の計画的な推進

・第三者認証の取得拡大

•認証取得やイニシアチブ・団体への参画

 

 

 

「カゴメ野菜生活ファーム富士見」が自然共生サイトに認定

「自然共生サイト」とは、環境省が「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」を認定する制度です。

「カゴメ野菜生活ファーム富士見」では、生物多様性の保全に向けて、農地生態系における動植物の保全・復元活動及び環境教育の機会提供を行っていることが評価され、2025年に認定を受けました。

 


 

 

 

5.リスク管理

カゴメグループでは、当社のリスクマネジメントにおいて、リスクとは「当社の事業に対して不利な影響を与える不確実性」と定義しています。

リスク管理の統括機関として、社長を委員長とし、CROを委員会事務局長とする「リスクマネジメント統括委員会」を設置し、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。また、顕在化したリスクの予防・対応のためのリスクマネジメント活動に対し、経営戦略を踏まえた統合的視点から統括しています。

気候変動リスク、自然関連リスクについても重要課題と認識し全社的なリスクマネジメント体制に統合して管理し、サステナビリティ委員会、経営会議にてリスク管理の進捗確認や、次のステップへの移行判断を行います。

 

 

6.指標と目標(目標年度:2030年度)

指標と目標は、下記の環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)に基づき設定しています。2025年度のTCFD・TNFD対応の検討結果を反映し策定した本計画は、TCFD・TNFDと連携した一体的な戦略であり、両枠組みの指標・目標は環境マネジメント計画のKPIとして統合されています。進捗は、年2回のサステナビリティ委員会及び年1回の経営会議でレビューし、このプロセスにTCFD・TNFD対応の評価も含めています。カゴメグループは、TCFD・TNFDを活用し、レジリエンスを強化するとともに、気候変動と自然資本への対応を通じ、持続可能な社会と農業の実現に向けた価値創造を推進します。

 

環境実績の詳細については、ESGデータブックをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/library/pdf/company/sustainability/data/esg_data_book_jp_251031.pdf 

 

環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)

区分

課題

KPI

1.気候変動への

対応

1)カゴメグループ温室効果

ガス削減計画の遂行

〈緩和〉

Scope1・2排出量の削減

43.1%以上削減

(2020年度比2030年度)

Scope3排出量の削減

25%以上削減

(2020年度比2030年度)

FLAG排出量の削減

 30.3%以上削減

(2020年度比2030年度)

2)再生可能エネルギーの

導入拡大

〈緩和〉

使用電力の再生可能エネルギー

比率

60%以上(2030年度)

100%(2050年度)

太陽光発電の追加導入

1工場に追加導入(2028年度)

バイオマスエネルギーの活用

1工場に追加導入(2030年度)

3)気候変動へ対応した

トマト栽培の推進

〈適応〉

気候変動の緩和・適応に資するトマト品種、栽培技術の開発

高温耐性品種への改良 1件以上(2030年度)

乾燥耐性品種の開発、節水・減肥栽培技術の導入1件以上(2030年度)

2.水の保全

1)取水量の削減

〈適応〉

国内工場の取水量削減

原単位9%以上削減(2021年度比2030年度)

海外工場の取水量削減

原単位5%以上削減(2025年度比2030年度)

2)水の浄化と循環利用の

推進

〈適応〉

水質汚染の防止

国、地域の排水基準順守(2028年度)

3.資源循環の推進

1)プラスチックの削減

及び再生プラスチック

の利用促進

〈緩和〉

プラスチック容器のリサイクル素材や植物由来素材への置き換え推進

飲料ペットボトルのリサイクル素材または植物由来素材への置き換え 50%以上(2030年度)

石油由来素材のストローの使用ゼロ化(2030年度)

2)原材料調達から製品流通に

おける食品ロスの削減

〈緩和〉

原材料調達から製品流通における食品ロスの削減

〈国内〉原単位60%以上削減

〈海外〉原単位50%以上削減

(2018年度比2030年度)

3)廃棄物のリサイクルに

よる資源循環の推進

〈緩和〉

国内工場の廃棄物削減

ゼロエミッションの維持(2028年度)

※ リサイクル率99%以上

食品廃棄物の削減とリサイクル率の維持

食品リサイクル率95%以上維持(2028年度)

4.持続可能な調達

1)持続可能な原材料調達

の推進

〈緩和・適応〉

飲料紙容器における環境配慮紙の使用

対象容器でのFSC認証紙使用 100%継続(2028年)

5.生物多様性保全

1)農薬使用量の削減

〈緩和・適応〉

国内加工用トマトにおけるIPM栽培の確立

※ 総合的病害虫・雑草管理

国内産地におけるIPM栽培試験の水平展開(2028年度)

※ 長野県に続き、2事例目

2)地域生物多様性の保全

〈適応〉

自然共生サイトの認定維持

カゴメ野菜生活ファーム富士見の生物多様性保全及び教育活動の推進(2028年度)

 

 

(4) 安心・安全・高品質を追求した商品・サービス・情報の提供 

「品質第一」の考え方のもと、お客様に対し安心・安全・高品質な商品・サービス・情報を提供します。

 

1.カゴメ品質マネジメントシステム(KQMS)

当社には、「品質第一・利益第二」という考え方があります。これは、お客様に安心・安全な品質を提供することと、利益の創出をどちらも大事にするという考え方です。国際規格ISO9001に準拠した独自の品質マネジメントシステム(Kagome Quality Management System:KQMS)を構築し、設計開発から調達・生産・物流・販売にわたる品質活動に取り組んでいます。新たな中期経営計画の戦略目標実現へ向けて、事業領域や地域の拡大に対応した品質保証体制を確立していきます。

 


 

 

 

2.畑から製品までの安全管理

① 生産現場のルールと行動指針

製品の製造にあたっては、自社工場において食品安全に関する国際的な認証スキームであるFSSC22000を取得し、HACCPの手法に基づき品質管理活動を実施しています。

委託先の工場に対しては、カゴメの「工場監査チェックシート」を使用して品質監査を実施し、未然防止視点で課題を洗い出し、それらの改善に共に取り組んでいます。

また、2005年に生産現場での「行動指針」を定め、「品質第一」の徹底を図っています。

 

② 海外の農産加工原材料の調達に対する取り組み

海外の農産加工メーカーからより良い品質の製品・原材料を調達するために、収穫した農作物を加工する製造工程だけでなく栽培方法も含めて、畑から工場までのプロセス全体の課題についてサプライヤーと共に検討します。また、シーズン終了後にはレビューを実施し、お互いに継続して成長できるような目標の設定を行います。

 

③ 残留農薬に対する取り組み

使用する原材料は残留農薬を分析し、安全性をモニタリングしています。試験・分析機関としての実力を判定する国際規格ISO17025の認定を取得し、分析精度のさらなる向上に取り組んでいます。

 

④ 食品安全文化醸成への取り組み/「カゴメ 品質の日」

KQMSで定められたルールに対して、一人ひとりが正しい行動を取れるように、食品安全文化の醸成に取り組んでいます。製造工場では、アセスメントを実施、レビューを行うことで課題形成を進めています。

また、過去の失敗に学び、「品質第一」に対する決意を新たにする日として、9月1日を「カゴメ 品質の日」に制定しています。お客様にカゴメブランドへの信頼を継続してお持ちいただくために、カゴメグループ全従業員で品質に対する想い・重要性を再認識する取り組みを進めています。

 

 

3.海外グループ会社の品質管理・品質保証体制

2016年に国際事業本部内に設定されたグローバル品質保証部門(東京)は、海外グループ会社で守るべきグループ共通の品質管理基準(KBMP)を定め、海外グループ会社に展開する活動を継続的に行ってきました。また、品質保証のみならず、各社で取り組んでいる環境課題や原価低減などの技術課題の成果を把握し、横断的に共有・活用することで、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進するとともに、海外事業における温室効果ガス排出量の削減や水資源の保全などへも積極的に取り組んでいます。2025年には「グローバル品質保証部」を、「グローバルKAIZEN部」とし、収益安定化を可能にする生産性向上に向け、海外個社含むグループの総力を結集した連携体制の構築を進めています。

 

 

4.海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)の展開と監査による検証・改善

KBMPの展開では、日本の考え方をただ現地に押し付けるのではなく、グローバル品質保証会議などを通して、海外グループ会社の改善事例などを共有し合い、お互いに品質を高める意識を醸成していくことに主眼を置いています。KBMPの導入初期では、異物混入に関する考え方や技術を海外グループ会社に展開し、品質管理レベルの向上に取り組みました。続いて、商品設計由来の品質事故の未然防止活動や、品質事故が起きた場合を想定した対応マニュアルの共通ルール化を行いました。KBMPの定着によって、設計から販売に至るまでの各プロセスにおけるカゴメグループ全体の品質向上につながっています。

KBMPは既存の製造設備のみならず、新工場や新しく導入する製造設備にも設計段階から反映させています。

 

 海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)のカバーする範囲


 

 

5.グローバル品質保証活動の定着

当社では各グループ会社の成功事例、失敗経験の横展開により、品質保証基盤のさらなる強化を進めています。グループ全体での品質保証会議を2年に一度開催し、各グループ会社の経営陣や品質保証・製造の責任者が集まり、品質、生産、5S、安全、サステナビリティなどの取り組みについて、事例の共有や意見交換を行っています。このワークショップでは、各グループ会社の品質マインドを向上させるだけではなく、製造効率の向上や省エネ・環境保全活動など共通性の高い取り組みについて、会社横断型の課題として進め方を決めています。直近では、2024年11月にHITのあるポルトガルで開催しました。カゴメグループに加わったIngomarも含め、7ヶ国からの参加となりました。品質保証、製造設備、環境保全、商品開発などに関する活発な意見交換を通じ、各社の今後のアクションプランを設定することができました。

 


 

グローバル品質保証会議の様子(2024年11月5日~7日、ポルトガル)

 

(5) 多様な人材の活躍機会創出と戦略的な人的資本の強化 

多様な背景や能力・特性を持った従業員一人ひとりが活躍機会を見出し、事業を通じてお客様や社会に貢献することで、精神的・社会的に満たされた状態で就業できる環境を整え、選ばれる企業となります。

 

1.カゴメの人材戦略と2035年のありたい姿

カゴメは従前から、「人の成長がカゴメの成長につながる」という、人が持つスキルや能力こそが資本、すなわち、人的資本経営を志向し、人を中心とした経営を大切にしてきました。その想いと姿勢は現在もこれからも変わりません。

しかしながら、私たちを取り巻く環境は急激に変化しています。そのような中で、2035ビジョンの達成に向け、私たちも変化を遂げ、人材の活躍を通じた成長を果たしていかねばなりません。カゴメグループとしての「人材戦略」を「経営戦略」と連動させることで、カゴメのバリューズに代表される人材の価値を最大化させるとともに、一人ひとりが互いを尊重し、高め合う風土のもと、自らのキャリアを築き、会社・個人がともに進化し、成長している姿を2035年に向けて実現していきます。


 

 

2.戦略

2035年に向けた人材戦略として、私たちは以下の4点に焦点を当てていきます。

① 経営戦略と人材戦略の連動

事業構造の大きな変化に伴い、従来のフォアキャストから長期的な目標を見据えたバックキャストでの人材計画の策定と、経営戦略と連動した人材の採用・配置・育成を実行していきます。

 

② ワークキャリア開発・ライフキャリア支援

多様なワーク・ライフに対する価値観がある中、成長やキャリアのイメージが描けず不安感を持つ従業員に向けて、各自のキャリア設計・実現のための情報や制度を整備し、自身の強みを活かしながら、キャリアを自律的に築いていく支援を提供します。

 

イ. 人材開発

人材育成を通じて目指す姿は「一人ひとりが互いを尊重し、高め合う風土のもと、自らのキャリアを築き、ビジョン実現に向けて会社・個人がともに進化し、成長している姿」です。

会社の成長のためには個人の成長が不可欠であり、一人ひとりが自らのキャリアを実現しながら、進化・成長していくことで、カゴメのありたい姿の実現につながっていくと考えています。各人の価値観に対応しながら、自律的なキャリア形成を後押しするべく、3つの観点(「キャリア開発」「能力開発」「組織風土開発」)から人材育成のための施策を用意しています。最近では特に、個人で選択できる研修の仕組みを拡張しており、今後も一人ひとりの意欲・能力・就労観が活かされるキャリア実現の支援を行っていきます。

 

ロ. DE&Iの取り組み 

カゴメグループは、国籍・民族・人種・信条・思想・宗教・性別・性自認・性的指向・障がい・年齢・社会的身分などによって差別されることなく、従業員同士が多様な価値観を認め合い、個々の従業員が持てる能力を最大限発揮できることが大切であると考えています。

その上で、持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の1つとして、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。組織における心理的安全性の確保を重視し、従業員一人ひとりの多様な考えや経験を活かすことで、人材が創出できる価値の最大化を図ります。女性活躍の推進においては、2040年頃までに、「社員から役員まで各職位の女性比率を50%」にすることを長期ビジョンに掲げて取り組んでいます。

採用においては、多岐にわたる採用手法と配置部門の組み合わせにより、多様な人材を確保します。キャリア採用においても広く門戸を開き、人材基盤の強化を図ります。総採用数の2~3割をキャリア採用者とし、中核人材へと育成していきます。

また、多様な経験や知識に応じて、能力を発揮できる機会を創出しています。シニアの活躍の場の創出として、2023年4月に、再雇用制度における契約形態を改定し、最長で70歳まで契約延長を可能としました。65歳以上のシニアの方々も様々な職場で活躍しています。

 

ハ.働きやすい仕組みの整備 

多様化する働き方の価値観(育児・介護・共働きなど)に応じて働く場所や時間の制約を緩和し、さらに多様な働き方を実現する仕組みを整備します。

 

働き方の進化に関連する環境整備

導入年

制度

2019

フレックスタイム制度

テレワーク勤務制度

副業制度

2020

フレックスタイム制度のコアタイム撤廃

2021

看護休暇・介護休暇の時間単位取得

在宅勤務手当

2023、2024

転居転勤・単身赴任支援の拡充

2026

出産育児応援手当の導入

 

 

 

二.働き方の選択肢の拡大

多様な経験機会を得ることで価値創出につなげていくために、副業制度や越境学習(※)など、所属組織の枠を超えた働く場の提供を進めています。また、自律学習プログラム制度を導入し、能力・キャリア開発を今まで以上に自律的に行っていく体制としました。

引き続き現業にとらわれないキャリア開発接点を拡充していきます。

※ 越境学習:普段勤務している会社や職場を離れ、異なる環境で学び、新たな視点を得ること

 

③ エンゲージメント取り組みの再構築

エンゲージメント、すなわち、働きがいの向上は、カゴメにとっての重要な指標の1つです。やりがいやキャリア機会の提供など、全社重点取り組み領域を定め、効果的な施策・制度を実行していきます。

 

イ. 働きがいのモニタリング

2021年から「働きがい」をモニタリングする指標としてエンゲージメントサーベイ(「Wevox」:従業員エンゲージメント測定・支援ツール)を全従業員対象に実施しています。

毎年の調査結果は項目別・部門別に分析し、「働きがい」向上に向けた課題抽出と対応策を進めており、サーベイの開始以降、総合スコアは漸増傾向にあります。今後のさらなるスコア向上・「働きがい」向上に向けて、全社視点での施策にとどまらず、各部門との連携による戦略的な取り組みに発展させていきます。現状では、部門間の総合スコアにばらつきがありますが(最大差異:11ポイント/2025年調査時点)、低スコア部門だけでなく高スコア部門でも、部門特性や実態に沿って、毎年のスコア向上・課題改善のための対応策を展開しています。

 

ロ. 心理的安全性の浸透

当社ではダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンによるイノベーション創出とリスクマネジメントへの取り組みの観点から、心理的安全性の浸透に注力しています。その活動の一環として、2025年には、心理的安全性を浸透させる施策として、各職場からの有志が集まったボトムアップ型組織であるダイバーシティ委員会により、エクイティをテーマとした外部ゲストを招いての講演とトークセッションが行われました。また、日頃のちょっとした感謝の気持ちを伝えるための「サンクスバッジキャンペーン」、対話を通じたチームビルディングをサポートする「よりよいチームづくりのための対話実践プログラム」、また社長が参加者と率直に意見交換を行う「サークルタイム」などを実施しました。さらに、管理職向けの教育・評価施策を拡充し、各組織における心理的安全性の向上に向けた取り組みを加速させています。

 

心理的安全性向上策

対象

2025年活動

内容

組織向け

よりよいチームづくりのための対話実践プログラム

「対話」を通じ職場やチーム内に心理的安全性浸透を図る組織開発プログラム

管理職向け

全管理職を対象とした

マネジメント研修

選択型のテーマ別研修の中で心理的安全性に関連したコンテンツを実施

360°フィードバック

全管理職を対象にマネジメント行動に関するフィードバックを上長・同僚・部下が毎年実施

組織づくり・人づくり

プロセス評価制度

管理職が担う組織風土づくりに対する取り組みについて、その評価基準を示す制度を導入

全従業員向け

ダイバーシティDAY2025

心理的安全性浸透のきっかけづくりとなるよう、外部ゲストを招き講演とエクイティをテーマにしたダイバーシティ関連のトークセッションを開催

ダイバーシティ関連
テーマ別サークル活動
(障がい者活躍/SOGI)

理解浸透・風土醸成の促進を図るための社内ブログ情報を発信(計22回/2025年)

サークルタイム

経営トップと従業員とのフラットな対話の場として、社長がホスト役を務める

サンクスバッジキャンペーン

社内SNSを通じて組織内外感謝のメッセージを伝え合う全従業員参加型キャンペーン

 

 

④ 人事領域のグローバル体制の構築・実働化

これまで、人材に関わる戦略・施策について、各社が個別に立案・遂行しており、グループとしての一体感・統一感に欠ける部分がありました。カゴメグループが一体となって成長を遂げていけるよう、グローバル規模の人的課題の把握を行い、あるべき体制を構築し、グローバル人事機能を通じて、人材戦略と実行のグローバル展開を行っていきます。

 

※ ①と④は今後新中期経営計画実現に向け、取り組んでいきます。②と③は従前からの重点課題として取り組んでおり、上記にその内容を紹介しております。

 

3.ガバナンス

人的資本に関わる経営陣による審議及び意思決定を伴う専門の会議体として、社内経営陣による人材開発委員会、社外取締役も委員とする報酬・指名諮問委員会を設け、多様な人材が活躍できる人材育成や社内環境、経営人材への適正な処遇を実現できるよう精査・検証しています。

人材開発委員会は、代表取締役社長を委員長とする人事・組織に関わる社内経営陣による審議・意思決定機関で、担当職から役員までの幅広い異動・配置、昇格、キャリア採用、組織改編などに関わる審議を月1回以上という頻度で実施しています。

 


報酬・指名諮問委員会は、取締役及び執行役員の報酬、及び取締役の指名に関わる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するための取締役会の諮問機関であり、役員人材・処遇に関わる審議を定期的に実施しています。また、当社の持続的な経営と成長をリードする次世代経営幹部の育成と輩出にも、経営主導の重要課題として計画的に取り組んでいます。

人材開発委員会による人材戦略や人事・組織の幅広い領域に関わる審議を起点として、人材開発委員会が意思決定を行うもの、経営会議でさらに審議・意思決定を行うもの、報酬・指名諮問委員会での審議を経て取締役会で意思決定を行うものと、内容の重要性や社内外への影響度合いによって、段階的に審議を重ね、適正なガバナンスを図っています。

人事総務本部長は、人材開発委員会、報酬・指名諮問委員会の委員であり、主管として提言しています。

 

 

4.指標及び目標

指標

2022年実績

2023年実績

2024年実績

2025年実績

目標

エンゲージメントサーベイ総合スコア

70

72

72

73

2028年までに74.5 

「心理的安全性」浸透度スコア※1

71

72

73

74

-

総合職新卒採用における女性割合

71.0%

54.5%

61.5%

46.7%

60%以上

女性管理職比率

8.4%

9.6%

11.1%

12.0%

2026年までに12%

入社10年以内女性の継続就業状況
(男性比)

1.0

1.0

1.0

1.0

(見込み)

男性比1.0以上

総合職キャリア採用構成比

27.9%

29.8%

29.1%

38.8%

-

男性育休取得率
総合職/技能職

総合職

75.6%

65.6%

94.3%

79.3%

42%以上

(2019~2021年の平均)

技能職

84.6%

81.8%

100.0%

100.0%

-

男女間賃金差※2

(男性の賃金に対する女性の賃金割合)

全労働者

65.4%

68.3%

69.6%

67.6%

-

正社員

67.3%

70.5%

71.5%

70.5%

-

パート・
有期社員

87.6%

86.6%

89.3%

81.6%

-

有給休暇取得率※3

86.4%

83.4%

83.0%

80.6%

(見込み)

-

総労働時間(時間/年)

1,896

1,895

1,894

1,907

-

 

※1 心理的安全性に関する社内調査スコア

※2 付記事項及び差異に関する補足説明については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/data/

※3 年次有給休暇の取得率は4月~翌年3月の期間で集計。2025年は12月時点の着地見込み

 

5.労働安全

当社では、職場における従業員の安全と健康を確保し、適切な職場環境の形成を促進することを目的として、2022年に全社レベルで「労働安全衛生委員会」を設置しました。

従来は、安全衛生に関する取り組みに事業所ごとのばらつきがあり、全社的なチェック機能も十分ではありませんでしたが、同委員会の設立により、全社横断で事業所ごとの安全衛生状況を確認し、ばらつきの解消と水準の向上を図っています。

さらに、労働安全衛生マネジメントに関する制度設計を進めるとともに、各事業所の安全衛生委員会の活動に対して専門的なサポートを提供し、全社共通の報告様式の導入やリスクアセスメントに基づく横断的なモニタリングも実施しています。

今後は、これまで取り組んできた「見える化」をさらに進展させ、統一化した指標によるモニタリングと、それに基づく改善を推進していきます。

 

① 労働安全衛生方針

当社では、職場や従業員の業務などに潜むリスクを抽出・評価し、労働災害や健康障害などが発生する要因をできる限り取り除き、従業員が安全に働ける環境を整えるため、以下の通り労働安全衛生方針を定めています。

 

ⅰ  安全衛生方針に基づいた目標を定め、その達成状況の把握と見直しを行い、安全衛生活動の継続的な改善・向上に取り組み、労働災害を防止する(方針・目標と継続的改善)

ⅱ  安全と健康確保のため職場の労働安全衛生上のリスクを特定・評価し、その結果に基づき適切に対応することで、快適な職場づくりを推進する(リスク管理)

ⅲ  安全衛生関係諸法令や社内規定および、各事業所において労使が協議の上、決定した事項を遵守する(法令遵守)

ⅳ  労使が協力して、全員参加型の安全衛生活動を推進するとともに、ステークホルダーとも良好なコミュニケーションを図る(労使協力・コミュニケーション)

ⅴ  カゴメにおいて従業員が健康であることは、個人の健康のみならず会社の企業価値向上にも繋がるという意味で重要であり、積極的に健康増進に取り組む(健康増進)

 

② 労働災害発生状況

労働災害の発生状況の推移は、以下の表の通りです。

 

2023年度

2024年度

2025年度

国内

29件

36件

31件

海外

14件

33件

29件

合計

43件

69件

60件

 

※ 労働災害件数については、国内は通院(医療機関の受診)を基準とし、海外は休業が認められた事案を基準にカウントしています。

 

2024年度は、国内外ともに件数が増加しました。これはリスク管理体制の強化により、従来よりも迅速かつ正確な報告が可能となったことが背景にあります。特に海外拠点では、事業拡大や人員増加に伴う増加要因に加え、リスク認識と報告体制の整備が進み、グループ全体での「見える化」が前進しました。当社では、労働災害件数を単なる数字として捉えるのではなく、定期モニタリングを通じて傾向を分析し、予防的な安全管理の高度化に活用しています。こうした取り組みにより、労働災害の低減に向けた改善サイクルを継続的に強化しています。今後も、従業員の安全と健康を守ることを企業価値向上の基盤と位置付け、労働安全衛生マネジメントを推進していきます。

 

③ 労働災害の低減に向けた取り組み

イ. 国内工場における安全道場

当社では、国内各工場での労働災害の低減に向けた施策の1つとして、「安全道場」と称する従業員向けの安全教育を行っています。安全道場は、過去に実際に当社工場で起こった労働災害事例を振り返り、職場に潜む危険を自ら考えるとともに、労働災害を模擬体験できる体感装置を用いて、安全行動の重要性について、身をもって理解する場としています。工場で勤務する従業員は年1回この安全道場を受講しています。また、安全ルールを記した冊子や教育動画を全工場に配布して、全員参加で労働災害の防止に努めています。

 


 

安全道場の様子

(2人作業の声掛けミスによる挟まれ体感装置)

 


 

安全道場の様子

(高所作業教育)

 

 

 

ロ.海外子会社とグループ横断での活動

海外グループ子会社では、日本カゴメに比べて休業災害の発生件数が多く、グループ全体での労働安全衛生活動の強化が求められています。全社レベルの労働安全衛生委員会の設置後、各社の労災発生状況をモニタリングしてきましたが、各社の安全衛生レベルや取り組み状況をより正確に把握するために、2025年より海外グループ子会社へのアンケートや現地調査を開始し、各社の安全衛生活動の実態を確認しています。

今後は、この調査結果を踏まえ、グループ横断での安全衛生活動をさらに推進していきます。

 

 

6.カゴメの健康経営 ~私たちの健康がカゴメの事業の説得力につながる~

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実行し、競争優位を生むことです。

当社はお客様の健康の増進に貢献する商品・サービスを事業展開する中で、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが、個人のみならず、事業内容にも説得力を持たせることで会社のパフォーマンスの向上につながると考えています。

加えて、野菜飲料をはじめとした商品、健康サービス事業、研究成果、野菜をとろうキャンペーン等のリソースを活用できることや、かねてより経営の関心事であった「人を大切にする」社風に親和性があることも、他社にはない「カゴメ独自の健康経営の価値」です。

 


 

 

① 従業員に対する健康維持・増進のための重点施策

当社では、健康経営推進のための基本方針に基づいて身体的健康(ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ)や精神的健康(メンタルヘルス)などの施策を実施し、従業員の健康維持・増進に取り組んでいます。

 


 

 

② 健康経営優良法人2025(大規模法人部門 ホワイト500)に認定 

2017年に「カゴメ健康7ヶ条」を制定し、「カゴメ健康経営宣言」を行いました。従業員の健康を企業価値向上の基盤と位置付け健康経営を積極的に推進しています。

この取り組みが評価され、2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2025(大規模法人部門 ホワイト500)」に3年連続で認定されました。

 


「ホワイト500」とは健康経営優良法人認定制度において、大規模法人部門の上位500法人に与えられる称号であり、経済産業省が定める一定の水準を満たした企業のみが選定されます。これからも「健康経営優良法人認定制度」の趣旨に則り、健康経営施策を推進することで、従業員の健康と働きがいのさらなる向上を実現し、お客様の健康に貢献します。

 



 

 

 

(6) 持続可能なサプライチェーンの構築  

「人権方針」や「品質・環境方針」を基に、サプライチェーンを通じた環境・社会への影響に配慮した調達先の選定や、資源循環による原材料調達の持続性向上に取り組みます。

 

1.サプライチェーンを途切れさせない、カゴメ特有の物流環境

自然の恵みを原材料とした商品をお届けするカゴメにとって、世界中の畑からの原材料輸送に始まり、お客様の食卓に至るまで、モノの流れを止めないことは、事業継続に必要不可欠です。カゴメのサプライチェーンの特徴をご説明します。

 


 

 

①調達拠点:世界中から農作物を集める

カゴメグループは世界中に調達拠点を持っています。海外の調達拠点から輸出された原材料は、長い道のりを経て日本に到着し、国内工場へ運ばれます。そして、工場で生産された商品は、工場から出荷された後、物流倉庫、卸店、小売店と、たくさんの人の手を経て、お客様に届けられます。このサプライチェーンの長さが大きな特徴となっており、サプライチェーンにおけるコントロールの複雑さが構造的な課題です。

 

②工場:生産地に近く、消費地から遠い

国内の工場は、加工用トマトの産地の近くに建設されてきました。この立地は「畑は第一の工場」というものづくりの思想を持つ、カゴメの考え方が背景にあります。物流においては高速道路のICや主要幹線道路まで距離があることで、工場から消費地までの輸送距離が、他の食品メーカーに比べて長くなっています。

 

③物流センター:1,000を超える商品・複数の温度帯

カゴメには1,000を超える商品があり、温度帯は調味料やPETボトル飲料などの常温、ホームパック飲料や乳酸菌飲料などの冷蔵、業務用商品などの冷凍と、3種にわたります。温度帯ごとに保管場所や輸送方法、そこに携わる人員が必要になり、マネジメントも複雑です。幅広い商品を展開することは、カゴメの強みであると同時に、物流においては管理を広範囲にする要因となっています。

 

④得意先:多様な販売チャネル

多様化した販売チャネルも、大きな特徴の1つです。DtoCと呼ばれる通販においては、卸店や小売店を経由せずに流通させています。お届け先に合わせた最適な物流ルートをSCM本部が企画し、常にアップデートしてF-LINE株式会社(※)を通じて配送しています。

※F-LINE株式会社:2019年4月に食品メーカー5社共同による効率的で安定的な物流体制の実現を目的に設立した共同物流会社です。

食品物流の諸課題の解決に向けて、食品メーカー協働での取り組みを進めています。

 

2.サプライチェーンの一気通貫コントロール

世界中の原産地から国内の工場、物流センターを通して得意先へ運ぶ当社のビジネスモデルは、サプライチェーンの距離の長さやリードタイムの長さが特徴です。距離や時間軸が長くなると、その間にお客様の需要が変化したり、地政学リスクに起因する海上輸送・国際貿易の障害が発生したりするリスクがあります。そのため、当社はサプライチェーン上の情報を一気通貫でコントロールし、予測できないイベントへの変化対応力を強めていく必要があります。

 

 カゴメサプライチェーンのイメージ

 


 

 

3.直近におけるカゴメのサプライチェーンへの取り組み

① 海外サプライチェーンへの取り組み ~調達SCM改革プロジェクトの推進~

当社の国内加工食品事業において、使用原材料の多くは海外原産地から輸入しています。世界各国の産地から様々な種類の原材料を準備することで、消費者の皆様の多様なニーズへ応えてきたという歴史的な背景があります。

しかし、昨今の情勢変化に伴い、エネルギーコストや人件費といったあらゆるコストが上昇基調にあり、当社の強みだった「世界中からの原材料調達ネットワーク」、「多様な原材料配合」の維持は困難な環境になってきています。

この環境変化に対し、2024年春から「調達SCM改革プロジェクト」を開始し、現在に至るまで段階的なオペレーションや情報システムの見直しを行ってきました。

また現在、この改革ノウハウをもとに、海外関連会社のグローバルサプライチェーンの見直しを進めています。


 

 

② 国内サプライチェーンへの取り組み ~物流環境の悪化へ立ち向かうための施策推進~

国内の物流環境悪化は多くの企業の悩みどころになっており、その影響の深刻さが多くのメディアに取り上げられる事態になっています。当社も物流に関わるパートナー企業と連携した施策なしには、商品の安定供給を完遂できません。

物流パートナー企業との連携事例として、2025年夏から中継物流センターを利用した輸送方式を段階的に拡大しています。これにより、担い手が減少している中・長距離ドライバーへの依存から脱却し、適切な輸送体制へ計画的に移行しています。

また中期的な施策としては、2025年春からトラック自動運転の実証実験へ参加し、「ヒトにも環境にもやさしいカゴメサプライチェーン」を目指しています。

 

 中継物流センター活用輸送のイメージ

 


 

   自動運転トラックの積載・運転風景

 

 

(7) 人権の尊重  

カゴメグループは、人権に関する国際規範に基づいた、「カゴメグループ人権方針」を策定し、その考え方や活動の社内浸透に努めるとともに、事業における人権リスクへの対応を進めています。

 

1.戦略

当社は、企業理念において「感謝:私たちは、自然の恵みと多くの人々との出会いに感謝し、自然生態系と人間性を尊重します」を掲げており、カゴメグループの成長と持続可能な社会の実現に向けて、「人権の尊重」を重要な課題と位置付けています。

 

人権への負の影響を防止・軽減するための取り組み

分類

当社の取り組み

方針による

コミットメント

人権方針の策定

・人権方針の策定とステークホルダーへの周知

人権デュー

デリジェンスの実施

人権への負の影響の特定・評価

・自社が取り組むべき優先テーマ(重要人権リスク)の特定

・人権インパクトアセスメントの実施(SAQ、現地訪問、

直接対話)

負の影響の

防止・軽減

教育・研修の実施

・サステナビリティ委員会での経営層に向けた有識者

講義(ビジネスと人権)

・従業員向け人権研修

社内環境の整備

・各種社内制度(働き方など)の見直しや労働環境の

改善

サプライチェーン

の管理

・サプライヤーガイドラインの策定と周知

・サプライヤーや契約農家などへの是正依頼、改善へ

の協働

モニタリングの実施

・サプライヤーや契約農家へのSAQ、現地訪問、直接対話など

・社内及び取引先向け通報窓口への通報件数/内容の

定期確認と分析

情報開示

 

・サステナビリティサイト、統合報告書などでの情報開示

救済措置

苦情処理メカニズムの整備

・社内及び取引先向け通報窓口の設置

 

 

① 方針によるコミットメント(グループ人権方針の策定)

事業活動に関わる人々や、事業を展開する国や地域の人々の基本的人権を尊重することは、企業理念を実践するカゴメグループの責務と考えます。当社では、人権尊重の責任を果たしていくための指針として「カゴメグループ人権方針」を策定し、人権の尊重をサステナビリティへの取り組みにおける重点課題として位置付けました。

本方針は、カゴメグループ全ての役員及び従業員に適用され、カゴメグループの製品・サービスに関係する全てのビジネスパートナーに対しても本方針を理解・支持していただくとともに、人権を尊重するように働きかけ、協働して人権尊重を推進しています。

 

「カゴメグループ人権方針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
 https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/humancapital/06/ 

 

② 人権デューデリジェンスの実施(重要人権リスクの特定)

当社グループのバリューチェーンにおける潜在的な人権への負の影響を把握するため、2024年4月に部門横断型のワークショップ形式で人権リスクアセスメントを実施し、リスクを絞り込みました。その結果、下記記載の2つの重要人権リスク(優先テーマ)を特定し、重点的に対応を進めています。

人権リスクアセスメントのプロセスは「2.リスク管理」の項に記載しています。

 

対応の進捗・実績

重要人権リスク

(優先テーマ)

人権インパクトアセスメント

負の影響の防止・軽減

①

日本国内の外国人労働者問題

自社の取引のうち、加工用トマトの調達量が多い茨城県の原材料トマト生産農家を選定の上、そこで就労する外国人技能実習生2名を対象に、第三者機関による直接対話、及び人権への影響評価を実施(2024年11月)

 

➡長時間労働、危険労働、技能習得といった作業に関する項目についての懸念事項はなし

➡監理団体及び農家と技能実習生のコミュニケーションに関して改善すべき事項あり

再度農家へ訪問し、技能実習生とのコミュニケーション改善、監理団体への巡回強化を依頼(2025年3月)

 

➡2026年春に改善状況のモニタリングを予定

②

海外の調達先、事業拠点の労働者問題

主要な原材料調達先(冷凍野菜)であり、かつデスクトップ評価で中程度以上のカントリーリスクが認識されたイタリアに位置するグループ会社について、調達量が多い原材料ピーマン生産農家2軒を選定の上、そこで就労する移住労働者計8名を対象に、第三者機関による直接対話、及び人権への影響評価を実施(2025年8月)

 

➡人権侵害の実態は確認されず、労働力確保における違法な“カポラートシステム”の利用についても懸念なし

➡労働安全衛生及び労働組合へのアクセスに関するグッドプラクティスの水平展開について推奨事項あり

イタリアのグループ会社の原材料調達先である農協において、所属農家へのグッドプラクティスの周知、共有を予定(2026年3月予定)

 

 

 

③ 救済措置(苦情処理メカニズムの整備)

当社では、当社グループ及び当社グループ従業員の法令または諸規則の違反、不正行為、反倫理的な行為やそのおそれのある行為を発見した場合にそれらを速やかに是正または未然防止するために、連絡・通報することができる内部通報窓口を設置しています。本窓口は当社グループ及び取引先の従業員、役員、派遣社員、並びにそれらのご家族が利用可能です。本窓口の運用により、人権に対する負の影響の早期発見及び未然防止に努めています。本仕組みは実効性のある救済措置として、情報の機密性や匿名性を担保した上で、通報者が不利益な取り扱いを受けないことを約束しています。自らの事業活動が人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはそれを助長したことが明らかとなった場合は、適切な手続きを通じてその救済・是正に取り組みます。

 

2.リスク管理

① 人権リスクを識別・評価・管理するプロセス

当社グループのバリューチェーンにおける顕在化している、または潜在的な人権への負の影響を把握するため、人権リスクアセスメントを実施しています。外部環境の変化に対応し、国際人権団体の報告等や、社内各部門とのディスカッションを通じて収集した情報をもとに、新たなリスクの特定や優先順位の決定を行っています。直近では2024年4月にアセスメントを実施し、サステナビリティ委員会での議論を経て、同年6月に重要人権リスク(優先テーマ)を特定しました。特定した重要人権リスク(優先テーマ)は経営会議や取締役会にも報告されています。今後、人権リスクアセスメントは中期経営計画の策定タイミング(3年に一度)を目安に実施する計画です。

 

リスクアセスメントの手法

以下のプロセスを経て自社が取り組むべき重要人権リスク(優先テーマ)を決定しました。

 

イ デスクトップ調査:グローバル人権リスクデータベースや国際人権団体の報告などを参照し、当社グ

                    ループの事業展開国や主要な原材料原産国、特に農業セクターにおける国別の人

                    権リスクを分析

 

ロ 部門参加型ワークショップ:社外有識者によるビジネスと人権のグローバル動向に関する講義の後、

                            各部門担当者(計21名)にて事業活動に関わる人権リスクの議論を行

                            い、バリューチェーン上の潜在的な人権リスクを抽出

 

ハ 重要人権リスク(優先テーマ)の決定:抽出した潜在的な人権リスクに基づき、デスクトップ調査

                                      結果とワークショップ結果、並びに関連部門への事後ヒアリ

                                      ングを総合的に検討し、社外有識者、及びサステナビリティ

                                      委員会での議論を通じて決定

 

 

2024年の人権リスクアセスメントで特定した重要人権リスク

1.日本国内の外国人労働者問題

2.海外の調達先、事業拠点の労働者問題

 

 

 

② 総合的リスク管理への統合状況

2021年に再構築したリスクマネジメント体制のもと、特定された重要人権リスクもリスクマネジメント統括委員会に共有され、全社グループ視点で経営戦略への反映や優先度に応じた対応策の実行が図られています。