2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】
カゴメのサステナビリティに対する考え方
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サステナビリティ基本方針 カゴメグループは創業以来、 「畑は第一の工場」というものづくりの思想のもと、 自然の恵みを活かした新しい食やサービスを提案してまいりました。 この営みを未来につなぐために、 企業理念である『感謝・自然・開かれた企業』の実践と、 ステークホルダーの皆さまとの協働により社会課題の解決に取り組み、 持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現を図ります。
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サステナビリティ推進体制
当社では、関連部門で進めてきたサステナビリティへの取り組みを全社での活動として強力に推進するため、2022年10月にサステナビリティ委員会を設けました。委員会は、各分科会での協議に基づいてサステナビリティ課題に対する長期の備えや打ち手について議論し、経営会議や取締役会に報告・付議を行うことで、経営戦略への反映を図っています。
2024年度のサステナビリティ委員会における議題
2024年度においては、計4回のサステナビリティ委員会を開催しました。長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に向けて検討を行っています。
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議題
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第1回 (3/13)
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・ 2050年ビジョン策定プロジェクト ~経営への最終報告に向けた意見交換~
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第2回 (6/7)
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・ 人権デューデリジェンスの実施 ~人権テーマの特定について~
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第3回 (9/11)
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・ 気候関連財務情報開示において求められるトップマネジメント(有識者による講義) ・ TCFD更新プロジェクト 中間報告 ・ 環境マネジメントレビュー(Ingomar連結子会社化によるGHG排出量削減への影響など)
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第4回 (12/11、17)
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・ 企業の自然資本に関する情報開示対応(有識者による講義) ・ TNFD試行の結果報告、及びTCFD更新プロジェクトの着地について ・ プロジェクト2050の完了報告、及びサーキュラーエコノミー課題の共有 ・ 2024年度CSR調達活動報告及び2025年度活動計画 ・ FLAG目標の設定について ・ Scope3削減取り組みの報告
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サステナビリティ委員会(分科会)の活動ハイライト
プロジェクト2050分科会
経営を中心に策定する次期長期ビジョンへのインプットを目的として、「2050年はどのような社会でありたいか」「その社会の実現に向け当社は何に取り組んでいくのか」を若手社員で考える、“2050年ビジョン策定プロジェクト”がサステナビリティ委員会傘下の分科会として発足しました。20~40代の社員を対象にプロジェクトメンバーを募集し、多数の応募の中から熱意あるメンバーを選考しました。2023年10月から2024年3月の間にワークショップを計11回開催し、シナリオプランニングや「カゴメらしさ」の把握などを行いながら、ビジョンを描きました。プロジェクト期間中、サステナビリティ委員会では2回、プロジェクトメンバーからの進捗報告が行われ、活発な議論が交わされました。委員会ボードメンバーからの助言を踏まえ練り上げられた2050年ビジョンは、最終的に2024年4月の経営会議にて答申され、経営からは次期長期ビジョンで若手社員の想いを引き継いでいく旨をフィードバックしています。
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参加メンバーによるワークショップの様子
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環境分科会
2024年の環境分科会における重点テーマとして、TCFD開示の刷新に取り組みました。2024年2月の経営会議にて社内横断プロジェクトとして進めていくことが承認され、全11部門が参加するワークショップが計3回開催されました。そこでは気候変動によるリスク・機会の洗い出しや、対応策の立案についてディスカッションを行いました。9月のサステナビリティ委員会では、有識者による気候関連財務情報開示についてのレクチャーが行われた後、分科会よりTCFDプロジェクトの進捗報告があり、主に当社が初めて開示する財務影響について審議を行いました。またTNFDの試行結果と初回開示内容が報告され、来年度以降の取り組みについても確認が行われました。
社会分科会(サプライチェーンCSR)
2023年の人権方針策定に続いて、調達部門・法務部門・サステナビリティ部門からなる社会分科会では人権デューデリジェンスを推進しています。2024年6月のサステナビリティ委員会では、「カントリーリスク」及び「関連部門によるワークショップで抽出された潜在的な人権リスク」から特定した、当社が優先すべき人権テーマの案が分科会より提示され、対象国の選定理由やその妥当性について活発な議論が交わされました。また2024年度からテーマとして取り扱うことになったCSR調達活動についても、今後の課題が分科会より提示されました。
MESSAGE
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全社でTCFDと向き合う カゴメは2019年よりTCFD提言に基づいたシナリオ分析を実施し、その結果を開示してきました。今回、内容を刷新するべく新たにTCFD更新プロジェクトを立ち上げ、私はその事務局を担当しました。本プロジェクトでは、前回参加メンバーでなかった企画・開発部門や農事業部門などの幅広い部門にもご参加いただき、全社的に認識を共有しながら議論を進めることを重視しました。カゴメは農業に根差した企業であり、地球温暖化による異常気象が農業に与える影響を既に実感しています。そのため、将来の不確実性が高い気候変動に対する対応策を検討する本プロジェクトの意義を社内でスムーズに理解してもらえました。全ての部門が自分事として前向きに取り組んだ結果、バリューチェーン全体でのリスクと機会の評価や対応策の具体化が実現しました。「食を通じて社会課題に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」の実現に向け、今後も引き続き取り組みを進めていきます。
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Profile 経営企画室 サステナビリティグループ 中村 真子
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当社のマテリアリティに対する考え方
当社では、マテリアリティを持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、ビジネスモデルを持続させる上で対処すべき課題と位置付けています。これらは、中期重点課題やサステナビリティ課題、また、時間軸によらない課題も包含しています。特定した7つのマテリアリティのうち、3つは当社が事業を通して解決を目指す社会課題、残りの4つは当社の価値創造活動を強化していく上での課題です。 これらのマテリアリティを推進していくことで、持続的に成長できる強い企業を目指していきます。
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マテリアリティ特定プロセス
2019年にマテリアリティを特定して、経営に反映してきました。しかしながら、経営を取り巻く環境は日々変化しており、第3次中期経営計画の最終年度である2025年には、マテリアリティの見直しを行う予定です。現マテリアリティの起点となっている、社会課題のロングリストを更新し、次期長期ビジョンや既存事業との関係性が高いものを抽出、経営層をはじめとした社員の意見やステークホルダーの動向を踏まえて優先度付けを行うことで、改めてマテリアリティの特定に取り組みます。特定したマテリアリティについては
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2018年
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社会課題の抽出・整理
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2019年
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社外ステークホルダーからの第三者評価を実施し、マテリアリティを特定
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2021年
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マテリアリティの見直し (マテリアリティを17項目から7項目に整理) • 社外ステークホルダーへのヒアリング • 取締役会での妥当性評価
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2023年~
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サステナビリティ委員会による課題推進
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~2025年
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次期中期経営計画に向けたマテリアリティの 見直し検討
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具体的な施策やKPIなどを設定し、中期経営計画へ反映させていきます。
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TOPICS 知財活動
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① ブランドを守る知財活動 創業より築いてきたブランドを守り、発展させていくために、経営企画・法務・広告・広報部門からなるブランド審議会において、コーポレートブランドの適正利用についての方針・規程・マニュアルを策定し、それらをもとに適正利用を図っています。 2024年度は、事業計画を踏まえ、国内では主力商品ブランドにおける権利拡充と海外出願の強化により、ブランド保護の拡充を図りました。例えば、国内では、野菜ミックスジュースの主力商品の「野菜一日これ一杯」について図形、ロゴに続き、標準文字での登録を獲得することで、権利範囲を広げました。海外では、輸出先増加に伴う各ブランドロゴ出願のほか、模倣品への水際対策として税関登録や中国模倣出願への係争対応を行い、加速する国際事業の成長を支えています。 今後もカゴメブランドの成長と発展を法律の面からサポートしていきます。
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② 技術を守り、活用する知財活動 食を通じた社会課題の解決に向け、日々研究開発活動を行うとともに、知的財産の保護と活用による成果の最大化を図っています。主に、農業、健康、加工飲食品分野において、各事業部門の戦略とも連動した知財活動を行っています。 2024年度は、トマト栽培に関するアプリ、トマトパルプの機能性、「ベジチェック®」などに関連する特許権を取得しました。 研究者の知見とアイデアをもとにして、初心者の方でも安心してトマトを栽培できるよう開発したトマト栽培サポートアプリには、当社の特許技術が活用されています。また、トマト由来食物繊維の機能性に関する研究成果に基づき、血糖値の上昇を抑える機能に関する食品の用途特許を取得しています。併せて、この研究成果に基づき、当社の基幹商品である野菜飲料において機能性表示を行っています。その他、他社の模倣を防ぐため、推定野菜摂取量の測定機器である「ベジチェック®」も、当社の特許
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技術により保護されています。 当社の技術力の向上を通して、企業価値の向上と持続的成長、さらには食分野の発展に貢献していきます。
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7つのマテリアリティと主な取り組み
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マテリアリティ
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目指す姿(KPIなど)
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主な取り組み
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貢献できるSDGs
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3つの社会課題
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健康寿命の延伸
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様々な商品や情報により野菜摂取を促進し、 人々の健康的な食生活や生活習慣に野菜で貢献 する。
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野菜をとる食生活への行動変容に つながる価値開発・情報発信
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野菜摂取に貢献できる商品の 開発・普及
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貢献できる健康期待領域の拡張
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農業振興・地方創生
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農事業や品種開発・ 技術開発などを通して、持続的な農業の確立を 目指す。
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野菜の産地形成と加工による 地域農業ビジネスの振興
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農業の生産性・持続性が向上する 技術・サービスの開発
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事業活動を通じた国内農産物の 魅力発信
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持続可能な地球環境
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調達から製品に至るまでの事業活動の環境負荷を低減する。2050年までにカーボンゼロを実現する。
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2050年カーボンゼロに 向けた取り組み
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食品ロスの低減の取り組み
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水・生物多様性の保全
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環境負荷が低い原材料・資材調達と 商品展開
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価値創造活動の強化
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安心・安全な商品の提供
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品質第一・利益第二※を実現する。 ※ お客様に安心・安全な 品質を提供することと、利益の創出を、どちらも大事にするというカゴメの考え方
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ブランドへの信頼につながる 品質向上・お客様との対話
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持続可能な サプライチェーンの構築
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環境変化に対応できる 安定的な調達基盤と 物流体制を構築する。
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環境・社会的に持続可能な 責任ある調達
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お客様に商品を届け続けられる 物流体制の構築
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多様性の尊重・ 人的資本の拡充
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多様性をイノベーション創出、持続的な成長につなげる。
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ダイバーシティ&インクルージョン 推進によるイノベーションを 創出しやすい環境づくり
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健康経営の推進
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コーポレート・ ガバナンスの強化
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「自律」のさらなる強化と「他律」による補完で、自らの意志で時代に適応するコーポレート・ガバナンスを構築する。
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コーポレートガバナンス体制の強化
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適切な情報開示と透明性の確保
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知的財産戦略の 策定・リスクマネジメント
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持続可能な地球環境 カゴメグループは、自然の恵みを享受し、お客様に新しい食やサービスをお届けする企業の責任として、「地球温暖化防止」「資源の有効活用」「水の保全」「持続可能な農業」など、持続可能な地球環境への取り組みを進めています。
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気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)、 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言への取り組み
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自然の恵みを原材料とするカゴメグループにとって、自然環境の保全は事業の継続のために必要不可欠です。
カゴメグループは、気候変動と自然資本の損失が事業の持続的成長に影響を及ぼす重要課題であると認識しています。
気候変動への対応として、2019年に一部の部門でTCFDシナリオ分析を実施し、事業におけるリスク・機会を明確化しました。2022年4月にTCFD提言への賛同を表明し、2023年末に改めて社内横断的なTCFD更新プロジェクトを発足させ、カゴメグループのバリューチェーン全体に対する気候変動が及ぼす影響を分析・特定し直しました。
また、自然資本の対応として、2023年9月に公表されたTNFD提言に従い、2023年末からTNFDの対応を開始しました。TNFD初年度として、事業活動において最も重要な「トマト」に限定し、自然資本へのインパクトと生態系サービスへの依存に対する自然関連のリスク・機会をLEAPアプローチにより評価しています。
当社は、気候変動と自然資本は複雑に関係していると考え、TCFDによる気候関連財務情報と、TNFDによる自然関連財務情報との統合的な開示に取り組んでいます。
今後も、カゴメグループはTCFDやTNFDに基づく情報開示を拡充し、気候変動や自然資本に関する課題に対応することで、持続可能な社会と持続可能な農業の実現に貢献していきます。
カゴメグループは事業の最大のリスクを原材料調達の途絶と考えています。気候変動、自然関連課題による原材料調達の影響などに対し、グループとしてレジリエンスを強化し、右図のガバナンス体制のもとで企業価値向上を目指します。 取締役会は、経営会議及びサステナビリティ委員会を監督しています。経営会議は、サステナビリティ委員会からの報告を受けて、当社グループの経営方針や戦略を審議し執行しています。また、サステナビリティ委員会とISO14001に則った環境マネジメントシステムとの連携によって、当社グループのガバナンス体制を構築しています。
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サステナビリティ委員会
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サステナビリティ管掌役員(取締役執行役員)
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社会課題の解決およびESG課題の対応に関わる本部役員・ 関連部門長 サステナビリティ情報発信部門
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➤長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」 及び「企業の持続的な成長」に向けた“カゴメのあり方” の検討、経営戦略への反映 ➤マテリアリティの達成に向けて特定された “サステナビリティ課題”のモニタリング、推進主管への指示 ・アドバイスの実施
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気候変動に関するシナリオ分析(TCFD)
リスク・機会の特定
カゴメグループでは、2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、2022年にSBTイニシアチブから「1.5ºC目標※1」の認定を取得しています。この目標に整合するため、TCFDのシナリオ分析をこれまでの「2ºC」および「4ºC」シナリオから、「1.5ºC」及び「4ºC」シナリオに変更し、気候変動が事業に与えるリスクと機会を特定しました。
※1 産業革命前からの気温上昇を 1.5ºCに抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標
気候変動に関するリスク・機会の一覧
大分類
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№
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気候変動 リスク・機会
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影響度
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発現時期
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移行リスク
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1
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炭素税導入による炭素税の支払いの増加
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小
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短~中期
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2
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炭素税の導入による購入した製品サービスや輸送に関わる調達コストの増加
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大
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短~中期
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3
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GHG排出量削減のための最新技術・設備投資の増加
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小
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短~中期
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4
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容器包装規制の対応費用の増加
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小
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短~中期
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5
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電力・エネルギー価格の高騰によるコストの増加
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中
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短~長期
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物理的 リスク
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急性
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6
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極端な気象現象の増加 (工場浸水時の想定損害額や大雨・洪水などの工場不稼働に伴う利益の逸失)
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中
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短~中期
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7
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降水パターンの変化(渇水による水価格の高騰)
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小
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短~中期
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慢性
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8
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降水パターンの変化(地下水位低下による生産コストの増加)
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小
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短~中期
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9
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気温上昇によるトマト収量減による調達コストの増加
|
大
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短~長期
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10
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高温による農業従事者の生産性の低下に伴う調達コストの増加
|
大
|
短~長期
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機会
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1
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輸送効率化によるコストの削減
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小
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短~中期
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2
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容器包装の資源効率化によるコストの削減
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小
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短~中期
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3
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肥料・水使用量の削減によるコスト削減、開発利用・外販による売上の増加
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小
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短~中期
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4
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サステナブル製品・低炭素製品の開発・販売による売上の増加
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小
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短~長期
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5
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事業活動の多様化による売上機会の増加
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大
|
短~長期
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※分析の時間軸として、短期は中期経営計画の最大4年間、中期は次の長期ビジョン終了年2035年、長期は2050年としています。
※TCFDにおける物理的リスクでは平均気温上昇幅に応じたIPCCの各SSPシナリオ、移行リスクでは主にIEAのNZEシナリオを
参照しています。
※影響度は「小」を20億円未満程度、「中」を20~50億円程度、「大」を50億円以上を目安としています。
リスク・機会による財務影響とその対応策
特定したリスク・機会のうち、影響度が大きい項目、算定可能な項目の財務影響を算定しました。さらに、TCFDの枠組みを活用して抽出されたリスク・機会に対し、「気候変動(GHG・炭素税)」「持続可能な農業」「水」「サステナブル製品・事業活動の多様化」に分け、プロジェクトにて各バリューチェーンの対応策を検討しました。
① 気候変動(GHG・炭素税)―――――――――――― 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(緩和)
当社は、炭素税導入やエネルギーコスト上昇を気候変動に関する移行リスクとして認識しています。国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー見通し(WEO)」で提示されている気候変動シナリオを参照し、炭素税支払金額、エネルギー需要・価格をもとに影響を予測しました。炭素税導入による支払いコスト増としては、ネットゼロ排出(NZE:1.5ºCシナリオ)では約18億円、公表政策シナリオ(STEPS:4ºCシナリオ)では約16億円のコスト増が見込まれます。
当社は、SBTイニシアチブの認定を取得し、工場のエネルギー効率向上や再生可能エネルギーの活用等の温室効果ガス排出量削減に継続的に取り組みます。また、サプライヤーとの連携を強化し、輸送効率の改善、容器包装をはじめとした原材料調達における温室効果ガスの排出量削減を目指します。
リスク・機会認識 炭素税導入やエネルギー価格変動 (移行リスクNo.1,2,3,4,5、機会No.1) 財務影響
炭素税導入による支払いコストの増加
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炭素税導入による調達コストの増加
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1.5ºC
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4ºC
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1.5ºC
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4ºC
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2030年
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2030年
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2030年
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2030年
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18億円
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16億円
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222億円
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190億円
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対応策
※ 電力購入契約(Power Purchase Agreement)
② 持続可能な農業 ――――――――――――――――― 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(適応)
気温上昇をはじめとした気候変動がトマトの収量に強く影響する可能性が懸念されています。2017年6月、米国カリフォルニア州で高温が続き、トマトの収量が平年と比べて16.1%(米国農務省)減少する実害も出ています。
当社グループの原材料トマトの主要産地である同州のトマト収量データをもとに「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」の各シナリオでの収量変化予測を分析しました。同州における6月の最低気温を分析し、2050年においてSSP1-1.9(1.5ºCシナリオ)では71億円、SSP5-8.5(4ºCシナリオ)では147億円、日本カゴメの調達コスト増が見込まれました。トマトの収量が低下した場合は、実際は生トマト単価やトマト加工品(原材料)の売値が上がり、海外子会社は利益増となるため、グループ全体の利益減となるわけではありません。当社は川上のバリューチェーンを持つことで収益の安定性を保っていきます。当社は、安定的な原材料トマトの確保に向け、気候変動への対応戦略として、高温耐性品種への改良(栽培技術・品種開発)、乾燥耐性品種の開発、節水・減肥栽培技術の導入、新たな産地の開発調査を実施していきます。
リスク・機会認識 気温上昇による農産物への影響 (物理的リスクNo.8,9、機会No.3,4,5) 財務影響
気温上昇によるトマトの収量変化
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1.5ºC
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4ºC
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2035年
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2050年
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2035年
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2050年
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61億円
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71億円
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71億円
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147億円
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算定式: 調達金額の上昇額=「調達額」×「2017年のカリフォルニア州トマト収量USDAデータをもとにした高温による収量減少率」×「IPCCの気温上昇予測」
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対応策
③ 水 ―――――――――――――――――――――― 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(適応)
台風や集中豪雨、水害が発生すると、トマトをはじめとする原材料の調達が困難になります。オーストラリア工場では2017年4月、記録的な大雨によってトマトの裂果や病気などで収量が低下し、工場も稼働が停止しました。他方で、カゴメグループは商品の原材料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しています。渇水が発生すると水使用コストが増加し、原材料収量が低下する可能性があります。実際に過去に干ばつが発生した際には水価格が400%上昇するなど、渇水によるリスクにさらされています。
カゴメグループの工場では、活動する地域の水資源を守るため、国内6工場、海外7工場で水管理計画を策定し、取水量・排水量、水リサイクル量、排水の水質などを管理して、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めています。また、国内6工場と海外7工場を対象に水リスク評価を行い、水リスクが高い海外の優先拠点においては、カゴメグループの各海外工場と現地関係者などでエンゲージメントを行い、各工場や地域に応じた様々な対策を講じています。
さらに、工場に対する水害や渇水の影響に対しては、既に小坂井工場に防水壁を設置するなど、国内工場においてはリスク軽減措置を講じています。こうした取り組みをグループ全体に波及させていきます。
リスク・機会認識 水害、渇水による影響 (物理的リスクNo.6,7、機会No.4)
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対応策
※2022年:国内全工場ハザード対策完了
④ サステナブル製品・事業活動の多様化 ――――――――――― 気候変動に関する機会への対応戦略
気候変動によるリスクに適切に対応していくことで、カゴメグループにとっての事業機会が生まれます。例えば、異常気象や自然災害の増加により、長期保存可能な災害用保存野菜商品の需要が高まり、また、気候変動への関心が高まれば、「できるだけ環境にやさしい商品を選びたい」というサステナブルな選択肢の需要を増加させます。
その一例として、気候変動により災害が増加した場合の長期保存可能(賞味期間5.5年)な災害用保存野菜商品の売上の影響を試算しました。当社災害用保存野菜商品の平均年間売上金額と国土交通省の「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」のシナリオ別洪水発生頻度をもとに算定したところ、1.5ºC(2ºC)シナリオでは7億円、4ºCシナリオでは10億円の財務影響(売上収益増)が見込まれました。
また、事業活動の多様化において、カゴメは世界各国の革新的な農業技術を有する優れたスタートアップ企業への出資及び協業を行うCVCファンドを設立しました。このファンドの取り組みにより、気候変動に適応する新品種や栽培技術の開発及び実装を目指すとともに、出資先とのオープンイノベーションによる新事業の開発を目指します。
リスク・機会認識 サステナブル製品の開発・販売、事業活動の多様化 (移行リスクNo.4、物理的リスクNo.10、機会№2,3,4,5) 財務影響
災害用などの長期保存可能な野菜商品の売上収益増加
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1.5ºC(2ºC)
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4ºC
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2035年
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2035年
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7億円
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10億円
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算定式: ローリングストック商品平均売上高(2020-2023年)×洪水発生頻度の上昇率
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対応策
自然関連に関するLEAPアプローチ(TNFD)
カゴメグループ売上の多くを占める「トマトに関連する事業」を対象範囲として、自然への依存とインパクト、及び自然関連のリスクと機会をTNFDフレームワークのLEAPアプローチによって評価しました。
LEAPアプローチを使用した分析(全体サマリー)
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● トマトに関連する当社全事業を分析対象として特定 • 生鮮事業:国内菜園(直轄、契約) • 加工事業:国内工場(食品製造、農場)、海外工場(食品製造、農場)、 国内委託加工、海外サプライヤー(二次含む)
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● BRF※1を中心に、一部ENCORE※2も使用して事業の自然との接点を確認。 優先地域を特定 • 生鮮事業14拠点、及び加工事業256拠点の計270拠点を確認 • BRFでの拠点評価、及び該当拠点でのトマト購入金額やトマト関連製品 生産金額などからの拠点重要度を踏まえ、日本の菜園・農場と、ポルトガル、 米国、オーストラリアの農場・工場を優先地域として特定
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● 優先地域として特定した、菜園・農場や工場の自然への依存と インパクトを分析 • 優先地域、かつBRFによりリスクが「Very high」となった指標の依存と インパクトについて詳細分析を実施 • TCFDで調査した水への依存や物理的リスクへの依存のほかに、土壌や水質(富栄養化)、 陸域・河川・海洋の利用変化や森林減少、保護区・保全地域などへのインパクトを分析 • トマトは花粉媒介への依存は低いものの、トマト栽培によるほかへのインパクトを分析
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● Locate・Evaluateの結果などをもとに、リスクと機会を特定 • Locate・Evaluateの結果を中心に、食品・農業セクターガイダンスやTCFDの結果も参考に しながらリスクと機会を特定 • リスクと機会の特定にあたっては「生態系サービスの劣化」と「市場原理と非市場原理の 一貫性」の2軸で作られたシナリオを活用した分析も実施
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● 優先度の高いリスクと機会への対応戦略全体像を作成 • 食品・農業セクターガイダンスやIPBES※3などの情報、TCFDの対応策も参考にしながら 対応戦略の全体像を作成 • 一連の活動を取りまとめ、統合報告書に開示
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※1 BRF(Biodiversity Risk Filter, 生物多様性リスクフィルター): WWFが作成した生物多様性関連リスクのスクリーニングと優先順位付けを行うための、オンラインツール ※2 ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure): 国際金融業界団体「Natural Capital Finance Alliance(NCFA)」が作成した、自然への依存とインパクトを理解するために 役立つオンラインツール ※3 IPBES:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム
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カゴメグループのトマトに関係する事業の自然との接点を、グローバルなデータに基づく評価ツールであるBRFを中心に、一部ENCOREを用いて評価しました。その結果、自然の状況の観点から43拠点を「優先地域の候補」として挙げました。
分析対象(270拠点)
・生鮮事業(14拠点):国内菜園(直轄、契約)
・加工事業(256拠点):国内工場(食品製造、農場)、海外工場(食品製造、農場)、国内委託加工、
海外サプライヤー(二次含む)
分析ツールで抽出した優先地域の候補
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国内菜園
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国内工場 (食品製造)
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国内農場
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海外工場 (食品製造)
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海外農場
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委託加工
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海外 サプライヤー
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区分
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生鮮事業
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加工事業
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加工事業
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加工事業
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加工事業
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加工事業
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加工事業
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優先地域の 候補数
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12拠点
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なし
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5拠点
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8拠点
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5ヶ国
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なし
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13拠点
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拠点評価における優先地域の候補と、該当拠点でのトマト購入金額やトマト関連製品生産金額などからの拠点重要度を踏まえ、以下の通り、優先地域を特定しました。
• 日本の菜園、農場
• ポルトガル、米国、オーストラリアの3ヶ国の農場、工場
優先地域
国
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区分
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拠点詳細
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日本
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菜園、農場
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国内菜園12拠点、国内農場5拠点
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ポルトガル
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農場
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6都市・町:Beja、Evora、Leiria、Lisboa、Santarem、Setubal
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工場
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2工場:FIT、Italagro
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米国
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農場
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1州:California
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工場
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2工場:Ingomar、KIU
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オーストラリア
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農場
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2州:New South Wales、Victoria
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工場
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1工場(KAU)
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優先地域、かつBRF分析でリスクが「Very high」となった指標の依存とインパクトについて詳細分析を実施しました。
分析の結果、TCFDで調査した水の供給や物理的リスクへの依存のほかに、土壌や水質(富栄養化)、農地拡大・河川の利用による自然の変化や森林破壊、保護区・保全地域へのインパクトなどを特定しました。またトマトは花粉媒介への依存は低いですが、トマト栽培での農薬による周辺の生態系への影響などのほかへのインパクトについても特定しました。
詳細分析使用ツール
FAO GLoSIS、International Herbicide-Resistant Weed Database、Global Land Analysis and Discovery、protected Planet、BirdLife International Data Zone、IBAT、Aqueduct、BRF、ENCORE
優先地域における依存・インパクトの特定
Locate・Evaluateの結果を中心に、食品・農業セクターガイダンスやTCFDの結果も参考にしながら、リスクと機会を整理しました。なお、「生態系サービスの劣化」と「市場原理と非市場原理の一貫性」の2軸で作られたシナリオを活用した分析も実施しました。
自然関連リスク・機会の一覧
大分類
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中分類
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No.
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自然関連 リスク・機会
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移行 リスク
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政策と法
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1
|
農薬規制によるトマト収量の減少、調達コストの増加
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2
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森林からトマト畑への土地利用変化により発生したGHG排出量削減コストの増加
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3
|
先住民族や地域コミュニティとのエンゲージメント失敗による事業機会の喪失
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4
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バージン食品包装からリサイクル食品包装への代替など、容器包装規制への 対応に伴う調達コストの増加
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技術
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5
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生物多様性の危機への対応のための最新技術・設備投資の増加
|
市場
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6
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農業就業人口の減少に伴う耕作地の荒廃、生物多様性への認知度や対応の低下
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評判
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7
|
トマトの栽培に伴う生物多様性への影響によるブランドイメージの低下
|
物理的 リスク
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急性
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8
|
病害虫発生などによる生産量の減少
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慢性
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9
|
過剰な施肥に伴う土地の健全性低下、及びトマト収量の減少
|
10
|
河川などにおける富栄養化による生物多様性の低下
|
機会
|
製品とサービス
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1
|
植物残渣(トマトの茎など)のアップサイクル・製品化による売上の増加
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市場
|
2
|
農薬リスクを減じたサステナブルな農業で生産したトマトによるブランド価値の向上
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評判
|
3
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在来種、外来種対応によるブランドイメージの向上 「外来の土壌害虫まん延防止のためのカゴメトマト品種の活用」 「花粉媒介者を増やす在来植物の植栽支援」
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Assessで特定した「リスクと機会」に紐付けながら、現時点対応を進めている活動などを中心に具体的な内容とともに対応策を整理しました。
なお、Locate・Evaluateの結果は、これまでトマトに関する長年の取り組みによって得た知見と大きな齟齬がありませんでした。この結果を受け、これまでの活動の重要性を改めて認識し、引き続き活動を推進していきます。また、今後、地域別のリスク・機会の特定と対応策などについて、検討をさらに進めていく予定です。
対応戦略:「日本の生物多様性を脅かす4つの危機(生物多様性低下の要因)」を踏まえ、日本のみでなく当社
グループが関係する各国の周辺地域に対して自然を保全し、回復させる活動を拡大する
アクション:トマトの栽培を通じて関わる菜園・農場及びその周辺地域と、トマトを加工し製品化する工場及び
その周辺地域において自然を保全し、回復する
No.
|
リスク・機会 紐づけ
|
自然関連 対応策
|
活動例(現時点対応例)
|
1
|
リスクNo.4 機会No.1
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原材料・容器包装の調達、プラスチック包材や食品廃棄物の削減におけるサプライチェーン全体での持続可能な運用の実現に向けた取り組みの推進
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•FSC®認証紙パック飲料の展開 •プラントベースフードへの取り組み •プラスチックストローの貼付廃止や 石油から新たに作られるプラスチック の使用量ゼロへの取り組み •プラスチック使用量の削減や リサイクル素材または植物由来素材 への切替拡大
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2
|
リスク No.1,2,5,7,8,9,10 機会No.2,3
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最適なトマト栽培システムの開発・確立と運営(水、肥料、農薬使用量の削減、トマト品種の改良、循環型農業の展開)
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•環境負荷の低い栽培技術の開発 •グローバルでの品種開発、栽培技術の 開発強化
|
3
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リスク No.3,6,7 機会No.3
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自治体や地域コミュニティ、生物多様性の主流化、農業従事者などの支援、在来植物の植栽、保全活動への支援
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•農業振興・農業支援活動 •生物多様性の教育、主流化活動
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4
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基本全てのリスク ・機会に紐づく
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・生物多様性行動計画の計画的な推進 ・第三者認証の取得拡大
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•認証取得やイニシアチブ・ 団体への参画
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カゴメグループでは、当社のリスクマネジメントにおいて、リスクとは「当社の事業に対して不利な影響を与える不確実性」と定義しています。
リスク管理の統括機関として、社長を委員長とし、CROを委員会事務局長とする「リスクマネジメント統括委員会」を設置し、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。また、顕在化したリスクの予防・対応のためのリスクマネジメント活動に対し、経営戦略を踏まえた統合的視点から統括しています。
気候変動リスク、自然関連リスクについても重要課題と認識し全社的なリスクマネジメント体制に統合して管理し、サステナビリティ委員会、経営会議にてリスク管理の進捗確認や、次のステップへの移行判断を行います。
目標・対応策を、2025年度中に策定予定の次期中期経営計画及びカゴメ環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)に活用・反映させることで、レジリエンスの向上を目指していきます。
緩和 ● Scope1,2において温室効果ガスの排出量を 42%以上削減する(2020年対比) ● Scope3において温室効果ガスの排出量を 13%以上削減する(2020年対比) ● 飲料PETボトルのリサイクル/植物由来素材を 50%以上にする ● 紙容器飲料の石油由来ストロー使用をゼロにする
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適応 ● 高温耐性品種への改良(栽培技術・品種開発) を1件以上行う ● 乾燥耐性品種の開発、節水・減肥栽培技術の 導入を1件以上行う ● 国内工場の水使用量原単位を9%以上削減する (2021年対比) ※ Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 (燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2:他社から提供された電気、熱・ 蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出 (事業者の活動に関連する他社の排出)
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(参考)カゴメグループScope1,2のGHG排出量 ( t-CO2e )
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2020年
|
2021年
|
2022年
|
2023年
|
カゴメ株式会社及び 国内グループ会社 (日本)
|
Scope1
|
45,295
|
43,773
|
41,419
|
41,739
|
Scope2
|
25,234
|
22,713
|
18,810
|
16,087
|
Scope1+2
|
70,529
|
66,486
|
60,229
|
57,826
|
Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A. (ポルトガル)
|
Scope1
|
24,647
|
27,080
|
25,639
|
27,563
|
Scope2
|
4,505
|
540
|
0
|
0
|
Scope1+2
|
29,152
|
27,620
|
25,639
|
27,563
|
Kagome Australia Pty Ltd. (オーストラリア)
|
Scope1
|
18,923
|
19,046
|
18,551
|
14,045
|
Scope2
|
11,167
|
9,491
|
10,262
|
7,844
|
Scope1+2
|
30,090
|
28,537
|
28,813
|
21,889
|
Kagome Inc. (米国)
|
Scope1
|
4,701
|
5,390
|
4,925
|
4,875
|
Scope2
|
4,927
|
5,518
|
5,600
|
5,456
|
Scope1+2
|
9,627
|
10,908
|
10,525
|
10,331
|
Vegitalia S.p.A. (イタリア)
|
Scope1
|
607
|
794
|
952
|
1,164
|
Scope2
|
1,069
|
1,187
|
1,140
|
1,551
|
Scope1+2
|
1,676
|
1,981
|
2,092
|
2,715
|
Taiwan Kagome Co., Ltd. (台湾)
|
Scope1
|
777
|
969
|
1,010
|
1,256
|
Scope2
|
1,672
|
1,845
|
1,901
|
1,963
|
Scope1+2
|
2,450
|
2,815
|
2,911
|
3,219
|
合計
|
Scope1
|
94,949
|
97,052
|
92,496
|
90,642
|
Scope2
|
48,574
|
41,294
|
37,713
|
32,901
|
Scope1+2
|
143,524
|
138,346
|
130,208
|
123,543
|
(参考)カゴメグループScope3のGHG排出量
|
2020年
|
2021年
|
2022年
|
2023年
|
排出量(t-CO2e)
|
比率(%)
|
① 購入した製品・サービス
|
1,078,720
|
1,141,154
|
1,101,317
|
854,064
|
78.0
|
② 資本財
|
27,333
|
43,735
|
25,177
|
23,551
|
2.2
|
③ Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動
|
27,904
|
26,151
|
26,302
|
29,837
|
2.7
|
④ 輸送、配送(上流)
|
52,974
|
51,038
|
50,293
|
46,646
|
4.3
|
⑤ 事業から出る廃棄物
|
5,031
|
12,848
|
11,328
|
13,495
|
1.2
|
⑥ 出張
|
349
|
367
|
367
|
383
|
0.0
|
⑦ 雇用者の通勤
|
1,196
|
1,257
|
1,253
|
1,307
|
0.1
|
⑧ リース資産(上流)
|
606
|
563
|
533
|
449
|
0.0
|
⑨ 輸送、配送(下流)
|
65,706
|
74,946
|
72,521
|
69,477
|
6.3
|
⑩ 販売した製品の加工
|
37,002
|
42,670
|
41,827
|
40,203
|
3.7
|
⑪ 販売した製品の使用
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
⑫ 販売した製品の廃棄
|
16,381
|
17,640
|
16,109
|
15,782
|
1.4
|
⑬ リース資産(下流)
|
2,038
|
262
|
119
|
54
|
0.0
|
⑭ フランチャイズ
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
⑮ 投資
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
合計
|
1,315,239
|
1,412,630
|
1,347,148
|
1,095,248
|
100
|
※ 減少の主な要因はカテゴリー1の原単位を一部変更したことであり、基準年である2020年のGHG排出量は今後再計算を行う予定
※ カテゴリー11は算定対象外、カテゴリー14・15はフランチャイズ事業・投資事業を行っていないため該当なし
※ 2024年データについては、Webサイトにて更新します。
※ Ingomar含む排出量データ等については、2025年度中にサステナビリティサイトにて開示予定です。
カゴメが情熱を込めて取り組んできたものづくりと同じ想いで環境保全活動にも注力することで、持続可能な社会の実現を目指す、という経営の意思を込め、品質・環境方針を制定しています。
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① 野菜による美味しさと健康価値で、大切な人の健康長寿に貢献します。
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② 国内外のパートナーと種子・畑から一貫した安全な農産原材料づくりに取り組みます。
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③ 野菜を育む水・土・大気を守り、豊かな自然をつくる農業を未来につなげ、得られた恵みを有効に活用します。
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④ 法令や自主基準を順守し、しくみや行動をレベルアップし続けることで、安全で環境に配慮した商品をお客様にお届けします。
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⑤ お客様へ商品やサービスの確かさをお届けしつつ、お客様の声を企業活動へ反映します。
|
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カゴメグループは安全な原材料を調達し、自然の恵みを活かしたものづくりに取り組んでいます。このため、事業の最大のリスクを原材料調達の途絶と考えています。地球温暖化による大型台風や暴風雨などの異常気象は、原材料産地に大きな被害を及ぼします。このリスクを回避し、将来にわたり事業活動を継続するために、パリ協定※を率先して遂行し、温室効果ガスの排出量削減に積極的に取り組んでいます。 ※ パリ協定:2015年12月12日、COP21で採択された気候変動抑制に関する国際協定
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※ 2024年度はIngomar含まず。Ingomar 含む排出量データ等については、 2025年度中にサステナビリティサイトにて開示予定
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蓄電池システム活用によるデマンド・レスポンスの実現に向けて
温暖化対策として、世の中で再生可能エネルギーを利用した電気の普及が進んでいます。 再生可能エネルギーの主力として、太陽光発電の導入が拡大し続けている中、カゴメでも2021年から積極的に導入してきました。 一方で太陽光発電の普及が進んだことにより、昼間の電量が供給過剰の傾向にあり、電力を使用する側で需要量を調整することが求められています。
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そこで、環境発信に力を入れている富士見工場に蓄電池を2024年9月に導入し、太陽光発電のさらなる拡大を図るとともに、需要調整に向けた準備を進めてきました(当工場の太陽光発電率は約3割まで拡大)。また、茨城工場と那須工場においてデマンド・レスポンス(DR)の実働に向けた実証も新電力と連携し実施してきました。2025年以降蓄電池を活用したDRやバーチャルパワープラント(VPP※)の実現に取り組み、さらなる温室効果ガス排出量の削減に貢献していきます。 ※ VPP:太陽光発電や蓄電池など小規模なエネルギーリソースをIT技術を用いて制御 し、電力の需給バランスの最適化を行うこと 地球温暖化防止の取り組みの詳細については、Webサイトをご覧ください。 https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/global-environment/02.html
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富士見工場に導入した蓄電池システム
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カゴメはSDGsの目標12に賛同し、目標を定め、食品ロス削減に努めています。また、環境負荷低減の取り組みとして、 2020年に「カゴメ プラスチック方針」を制定し、プラスチックの使用量削減なども進めています。
資源の有効活用の取り組みの詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/global-environment/03.html
カゴメグループは商品の原材料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しています。日本は水が比較的豊かと言われていますが、世界では水不足が深刻な地域が存在しています。カゴメグループは活動する地域の水資源を守るため、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めていきます。
米国のIngomarの事例
● トマト由来の再利用水の地域への提供
カゴメの連結子会社であるIngomarの周辺地域は、地下水の枯渇、干ばつ時の水の供給制限などが発生しているため、2022年8月から、トマトを濃縮する際、廃棄されていた蒸発凝縮水を回収・精製し、植物由来の純水(Botanical Water)として再利用することが可能となりました。 2022年は、精製した水120万Lを中央カリフォルニア灌漑地区(CCID)に提供し、2023年には、カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)から、この植物由来の水の販売許可を取得しました。
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水の保全の取り組みの詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/global-environment/04.html
当社は創業以来、農業によってもたらされる「自然の恵み」を活かした事業活動を行っています。この事業活動を将来にわたって行っていくために、事業における様々な場面で生物多様性の保全に努めていくことを「カゴメグループ 生物多様性方針」で定め、活動を行っています。
持続可能な農業の取り組みの詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/global-environment/05.html
天敵活用による農薬リスクの低減
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在来植物の再生と生物多様性教育
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世界的な農薬リスク低減の動きに対し、カゴメではIPM※栽培の手法を取り入れ、天敵昆虫を活用しトマトの害虫を減らし、農薬使用量を削減する技術確立に向け取り組みを進めています。 ※ IPM:化学農薬のみに頼らない病害虫管理
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カゴメ野菜生活ファーム富士見では、地域の在来植物約1万本を敷地内に植栽し再生に努めています。また畑の生きものクイズラリーや在来植物の見本園など、来場者が生きものや生物多様性に親しむことができる取り組みを行っています。
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アブラムシ(害虫)の天敵のヒラタアブ
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クイズラリーを行う小学生
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当社は、国際的影響力のある環境非営利団体CDPの2024年の「気候変動」の調査において、初めて最高評価の「Aリスト企業」に選定されました。
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安心・安全な商品の提供 「畑は第一の工場」という考え方のもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な商品の提供に努めています。これを保証する品質保証体制を確立し、海外グループ会社への展開も行っています。
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当社では、「品質第一・利益第二」という考え方があります。これは、お客様に安心・安全な品質を提供することと、利益の創出をどちらも大事にするという考え方であり、品質の向上に全社を挙げて取り組んでいます。品質を保証する体制として、国際規格ISO9001に準拠した独自の品質マネジメントシステム(Kagome Quality Management System:KQMS)を構築し、設計開発から調達・生産・物流・販売にわたる品質活動に取り組んでいます。
フードディフェンスへの取り組み
国内での「意図的な異物や薬品混入」に対する備えとして、フードディフェンスに関するリスク評価を行い、評価結果に基づいて管理しています。自社工場における安心・安全カメラの設置や施錠システムの刷新、工場従業員同士のコミュニケーションの活性化のほか、委託先の工場に対しても当社の管理ガイドラインの準拠を依頼しています。
放射性物質に対する取り組み
当社商品に使用する国産の原材料については、行政による放射性物質のモニタリング状況などを確認し、必要に応じて自主検査を行い、安全性を確認しています。
残留農薬に対する取り組み
使用する原材料は残留農薬を分析し、安全性を確認しています。試験・分析機関としての実力を判定する国際規格ISO17025の認定を取得し、分析精度のさらなる向上に取り組んでいます。
食品安全文化醸成への取り組み
KQMSで定められたルールに対して、一人ひとりが正しい行動を取れるように、食品安全文化の醸成に取り組んでいます。製造工場では、アセスメントを実施、レビューを行うことで課題形成を進めています。
「カゴメ 品質の日」の制定 過去の失敗に学び、「品質第一」に対する決意を新たにする日として、9月1日を「カゴメ 品質の日」に制定しました。お客様のカゴメブランドへの信頼を継続していただくために、カゴメグループ全従業員で品質に対する想い・重要性を再認識する取り組みを進めています。
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2016年に国際事業本部内に設定されたグローバル品質保証部門(東京)は、海外グループ会社で守るべきグループ共通の品質管理基準(KBMP)を定め、海外グループ会社に展開する活動を継続的に行っています。また、品質保証のみならず、各社で取り組んでいる環境課題や原価低減などの技術課題の成果を把握し、横断的に共有・活用することで、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進するとともに、海外事業における温室効果ガス排出量の削減や水資源の保全などへも積極的に取り組んでいます。
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海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)の展開と監査による検証・改善
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KBMPの展開では、日本の考え方をただ現地に押し付けるのではなく、グローバル品質保証会議などを通して、海外グループ会社の改善事例などを共有し合い、お互いに品質を高める意識を醸成していくことに主眼を置いています。KBMPの導入初期では、異物混入に関する考え方や技術を海外グループ会社に展開し、品質管理レベルの向上に取り組みました。続いて、商品設計由来の品質事故の未然防止活動や、品質事故が起きた場合を想定した対応マニュアルの共通ルール化を行いました。KBMPの定着によって、設計から販売に至るまでの各プロセスにおけるカゴメグループ全体の品質向上につながっています。
KBMPは既存の製造設備のみならず、新工場や新しく導入する製造設備にも設計段階から反映させています。
海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)のカバーする範囲
当社では各グループ会社の成功事例、失敗経験の横展開により、品質保証基盤のさらなる強化を進めています。グループ全体での品質保証会議を2年に一度開催し、2022年11月より、対面での会議を3年ぶりに再開しました。各グループ会社の経営陣や品質保証や製造の責任者が集まり、品質、生産、5S、安全、サステナビリティなどの取り組みなどについて、事例の共有や意見交換を行っています。このワークショップでは、各グループ
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会社の品質マインドを向上させるだけではなく、製造効率の向上や省エネ・環境保全活動など共通性の高い取り組みについて、会社横断型の課題として進め方を決めています。2024年は、11月にHITのあるポルトガルで開催しました。今回は、24年1月にカゴメグループに加わったIngomarも含め、7ヶ国からの参加となりました。品質保証、製造設備、環境保全、商品開発などに関する活発な意見交換を通じ、各社の今後のアクションプランを設定することができました。
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グローバル品質保証会議の様子(24年11月5~7日、ポルトガル)
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多様性の尊重・人的資本の拡充 持続的な成長を実現するためには、多様な知と知の組み合わせによる新たな価値創造が不可欠です。働きがいを向上させる3つの施策と風土づくりに注力し、イノベーションの創出につなげます。
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多様な知と知の組み合わせによる新たな価値創造にはカゴメで働く一人ひとりの自律的な成長が欠かせません。そして自律的な成長を促すエネルギーとなるのが「働きがい」です。
当社では、働く一人ひとりの「働きがい」向上に向けて3つの人事施策と挑戦する風土づくりに注力し、イノベーションの創出につなげていきます。
「働きがい」のモニタリング
2021年から「働きがい」をモニタリングする指標としてエンゲージメントサーベイ(「Wevox」:株式会社アトラエが提供する従業員エンゲージメント測定・支援ツール)を全従業員対象に実施しています。
エンゲージメントサーベイスコアは、2025年までに、同規模企業の上位20%以内の水準を達成することを目標としています。
毎年の調査結果は項目別・部門別に分析し、「働きがい」向上に向けた課題抽出と対応策を進めており、サーベイの開始以降、総合スコアは漸増傾向にあります。今後のさらなるスコア向上と目標達成に向けて、全社視点での施策にとどまらず、各部門との連携による戦略的な取り組みに発展させていきます。現状では、部門間の総合スコアにばらつきがあり(最大差異:12point/2023年調査時点)、差異縮小に向けて部門特性や実態に沿った対応策を展開しています。
心理的安全性の浸透
当社ではダイバーシティ&インクルージョンによるイノベーション創出とリスクマネジメントへの取り組みの観点から、心理的安全性の浸透に注力しています。その活動の一環として、2024年は、心理的安全性を浸透させる施策として、各職場からの有志が集まったボトムアップ型組織であるダイバーシティ委員会により「挑戦を楽しもう!~楽しく、自分らしく、働くためのヒント~」をテーマとした外部ゲストを招いての講演とトークセッションが行われました。また、日頃のちょっとした感謝の気持ちを伝えるための「サンクスバッジキャンペーン」、対話を通じたチームビルディングをサポートする「よりよいチームづくりのための対話実践プログラム」、また社長が参加者と率直に意見交換を行う「サークルタイム」などを実施しました。さらに、管理職向けの教育・評価施策を拡充し、各組織における心理的安全性の向上に向けた取り組みを加速させています。
心理的安全性向上策
対象
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2024年活動
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内容
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組織向け
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よりよいチームづくりのための対話実践プログラム
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「対話」を通じ職場やチーム内に心理的安全性浸透を図る組織開発プログラム
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管理職向け
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全管理職を対象とした マネジメント研修
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心理的安全性の向上、組織づくり・人づくりの推進をテーマにした研修を実施
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360°フィードバック
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全管理職を対象にマネジメント行動に関するフィードバックを上長・同僚・部下が毎年実施
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組織づくり・人づくり プロセス評価制度
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管理職が担う組織風土づくりに対する取り組みについて、 その評価基準を示す制度を導入
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全従業員向け
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ダイバーシティDAY2024
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心理的安全性浸透のきっかけづくりとなるよう、 外部ゲストを招き講演とトークセッションを開催
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障がい者活躍テーマ サークルイベント
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心理的安全性の向上をベースに障がい者活躍をテーマに、 ゲーム形式で学ぶワークショップを開催
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サークルタイム
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経営トップと従業員とのフラットな対話の場として、社長がホスト役を務める
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サンクスバッジキャンペーン
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社内SNSを通じて組織内外感謝のメッセージを伝え合う 全従業員参画型キャンペーン
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サンクスバッジキャンペーン 感謝の気持ちを伝えることで心理的安全性の向上を図ることを目的に、5月・11月にサンクスバッジキャンペーンを開催しました。「感謝」「WoW」の2種類のサンクスバッジをオンライン上で送付する仕組みで、5月開催時は約900名がサンクスバッジを送付し、7割のサンクスバッジが所属組織を超えて届けられました。
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当社が人材育成を通じて目指す姿は、「個人の多様な強みを伸ばし、チームで活かし合うことで、イノベーションを起こし、社会課題の解決に資する人材集団」となることです。人材育成を通じて「キャリア・能力の面で多様な人材集団」と「チームで成果を出す組織風土」を実現し、変化の激しい環境の中でもスピーディーに価値を生み出し続け、多くの領域でイノベーションを起こす強いカゴメを創っていきたいと考えています。
「社会課題の解決に資する人材集団」となるため、各自に期待する役割・職務行動を、役割等級の等級要件や職務行動の評価項目として明示し、それぞれの上位等級を見据えた成長につながるよう、チャレンジングな業務課題や教育機会を提供しています。
個人がそれぞれの多様な強みを発見して伸ばし、一人ひとりが自律度を高めて仕事に取り組めるように、様々な気づきの場や教育機会を3つの観点(「キャリア開発」「能力開発」「組織風土開発」)から用意しています。最近では特に、個人の多様な強みをチームで活かし合い、働きがいや心理的安全性の向上に役立て、チームとして成果を出せる組織づくりに力を入れています。
また、ビジョンである「トマトの会社から、野菜の会社に」の実現に向けて「野菜マエストロ検定」や「野菜の先生」などのユニークな取り組みを実施し、従業員自らが伝道師として野菜の魅力を伝えられるように育成しています。
加えて、デジタル人材の育成にも引き続き取り組んでいます。研修や、公募型のITによる課題解決の体験などを通じ、デジタルスキルを向上させるとともに、そのスキルを業務やビジネスに適用できる人材を、2025年までに全従業員の20%まで増やす計画です。このように、一人ひとりが会社からの要請を踏まえた成長と、自分らしさ(アイデンティティ)に基づく成長の両面を実現する状態を目指しています。
カゴメグループは、国籍・民族・人種・信条・思想・宗教・性別・性自認・性的指向・障がい・年齢・社会的身分などによって差別されることなく、従業員同士が多様な価値観を認め合い、個々の従業員が持てる能力を最大限発揮できることが大切であると考えています。
その上で、持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の一つとして、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。組織における心理的安全性の確保を重視し、従業員一人ひとりの多様な考えや経験を活かすことで、イノベーションの創出を図ります。
女性活躍の推進においては、2040年頃までに、「社員から役員まで各職位の女性比率を50%に」することを長期ビジョンに掲げて取り組んでいます。
採用においては、多様な採用手法と配置部門の組み合わせにより、多様な人材を確保します。キャリア採用においても広く門戸を開き、当社が目指す「野菜の会社」に向けた人材基盤の強化を図ります。総採用数の2~3割を確保し、中核人材へと育成していきます。
また、多様な経験や知識に応じて、能力を発揮できる機会を創出しています。シニアの活躍の場の創出として、2023年4月に、再雇用制度における契約形態を改定し、最長で70歳まで契約延長を可能としました。65歳以上のシニアの方々も様々な職場で活躍しています。
働きやすい仕組みの整備 多様化する働き方の価値観(育児・介護・共働きなど)に応じた働く場所や時間の制約を緩和し、さらに多様な働き方を実現する仕組みを整備します。 働き方の選択肢の拡大 多様な経験機会を得ることでイノベーションにつなげていくために、副業制度や越境学習※など、所属組織の枠を超えた働く場の提供を進めています。また、自律学習プログラム制度を導入し、能力・キャリア開発を今まで以上に自律的に行っていく体制としました。引き続き現業にとらわれないキャリア開発接点を拡充していきます。
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働き方の進化に関連する環境整備
導入年度
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制度
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2019
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フレックスタイム制度
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テレワーク勤務制度
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副業制度
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2020
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フレックスタイム制度のコアタイム撤廃
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2021
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看護休暇・介護休暇の時間単位取得
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在宅勤務手当
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2023、2024
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転居転勤・単身赴任支援の拡充
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※ 越境学習:普段勤務している会社や職場を離れ、全く異なる環境に身を置き働く体験をすることで新たな視点を得ること
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人的資本に関わる経営陣による審議及び意思決定を伴う専門の会議体として、社内経営陣による人材開発委員会、社外取締役も委員とする報酬・指名諮問委員会を設け、多様な人材が活躍できる人材育成や社内環境、経営人材への適正な処遇を実現できるよう精査・検証しています。 人材開発委員会は、代表取締役社長を委員長とする人事・組織に関わる社内経営陣による審議・意思決定機関で、担当職から役員までの幅広い異動・配置、昇格、キャリア採用、組織改編などに関わる審議を月1回以上という頻度で実施しています。 報酬・指名諮問委員会は、取締役及び執行役員の報酬、及び取締役の指名に関わる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するための取締役
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会の諮問機関であり、役員人材・処遇に関わる審議を定期的に実施しています。また、当社の持続的な経営と成長をリードする次世代経営幹部の育成と輩出にも、経営主導の重要課題として計画的に取り組んでいます。 人材開発委員会による人材戦略や人事・組織の幅広い領域に関わる審議を起点として、人材開発委員会が意思決定を行うもの、経営会議でさらに審議・意思決定を行うもの、報酬・指名諮問委員会での審議を経て取締役会で意思決定を行うものと、内容の重要性や社内外への影響度合いによって、段階的に審議を重ね、適正なガバナンスを図っています。 人事総務本部長は、人材開発委員会、報酬・指名諮問委員会の委員であり、主管として提言しています。
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戦略
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指標
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2021年実績
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2022年実績
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2023年実績
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2024年実績
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目標
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働きがい
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エンゲージメントサーベイスコア
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70
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70
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72
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72
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76 同規模企業 上位20%スコア
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「心理的安全性」浸透度スコア※1
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67
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71
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72
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73
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-
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人材開発
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キャリア面談人数※2(人)
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610
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645
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561
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316
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-
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成長機会スコア※3
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67
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67
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68
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68
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-
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多様な 人材集団
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総合職新卒採用における女性割合
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58.0%
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71.0%
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54.5%
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61.5%
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60%以上
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女性管理職比率
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7.4%
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8.4%
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9.6%
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11.1%
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2026年までに12%
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入社10年以内女性の継続就業状況 (男性比)
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1.0
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1.0
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1.0
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1.0 (見込み)
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男性比1.0以上
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総合職キャリア採用構成比
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30.8%
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27.9%
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29.8%
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29.1%
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-
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男性育休取得率 総合職/技能職
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総合職
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62.0%
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75.6%
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65.6%
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94.3%
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42%以上 (2019~2021年の平均)
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技能職
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64.3%
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84.6%
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81.8%
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100.0%
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-
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男女間賃金差※4 (男性の賃金に対する女性の賃金割合)
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全労働者
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66.2%
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65.4%
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68.3%
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69.6%
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-
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正社員
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68.6%
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67.3%
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70.5%
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71.5%
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-
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パート・ 有期社員
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87.8%
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87.6%
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86.6%
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89.3%
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-
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働き方の 進化
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有休取得率※5
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85.0%
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86.4%
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83.4%
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81.7% (見込み)
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-
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総労働時間(時間/年)
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1,867
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1,896
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1,895
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1,894
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-
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※1 心理的安全性に関する社内調査スコア
※2 2023年度までの会社から打診する方式から、2024年度より従業員からの申し出による方式をメインとする形に変更
※3 エンゲージメントサーベイ内の「成長機会」に関する設問のスコア
※4 付記事項及び差異に関する補足説明については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/data/
※5 年次有給休暇の取得率は4月~翌年3月の期間で集計。2024年は12月時点の着地見込み
MESSAGE
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今後10年の成長を実現する人材戦略を、スピード感を持って実行します 2016年以降、「働き方の改革」と「価値観の多様化に伴う働く選択肢の拡大」に取り組んできました。働き方の改革では、DXを含む業務効率化を進め、結果として全社総労働時間平均が1800時間台となりました。また、テレワークやフレックスの推進、期間限定で働く地域を選択できる地域カードを導入し、選択肢を拡大することで働き方の柔軟性を高め、ともに大きな改善がみられました。2022年からの第3次中期経営計画では、エンゲージメントサーベイの導入や心理的安全性の浸透など、働きがいへの取り組みをスタートしましたが、まだ取り組みは道半ばです。 今後、従業員の価値観や就労観の多様化は一層進むものと想定しています。2026年からの新中期経営計画や2035ビジョンの実現に向け、新たな価値創造への挑戦を実行していくには人材が欠かせません。そして、その一人ひとりが高いモチベーションを持って、互いを尊重しながらそれぞれのキャリアを築いていることが重要です。そのため、既に検討を開始している人事処遇制度の抜本的な改定をはじめ、カゴメグループにおける全ての人材マネジメント領域をスコープに入れ、今後10年に向けたとるべき人材戦略を策定しスピード感を持って実行していきます。
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Profile 執行役員 人事総務本部長 河原 丈二
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健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実行し、競争優位性を生むことです。 従業員の健康に投資することは、従業員の活力・生産性の向上などの組織の活性化をもたらし、結果的に企業価値の向上につながると考えています。
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カゴメがお客様の健康の増進に貢献する商品・サービスを事業展開する中で、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることは、カゴメの事業が説得力を持つことにつながり、カゴメの「ブランド価値」を高めることにもつながります。
加えて野菜飲料をはじめとした商品、健康サービス事業、研究成果、野菜をとろうキャンペーンなどのリソースを活用できることや、かねてより経営の関心事であった「人を大切にする」社風に親和性があることも、他社にはない「カゴメ独自の健康経営の価値」です。
当社では、従業員の心身の健康のため1日350gの野菜摂取を推奨しています。そのための指標として、従業員自身の「ベジチェック®」値の測定を習慣化することで、野菜摂取に対する行動変容を促しています。測定された従業員の「ベジチェック®」値は、専用アプリを使って社内データベースに集約、自動集計され、組織別の測定の割合や「ベジチェック®」値の推移などを確認できるサイトを社内向けに公開しています。その他、従業員の健康に関する課題解決に向け、様々な取り組みを行っています。
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健康経営優良法人2024(大規模法人部門 ホワイト500)に認定
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2017年に「カゴメ健康7ケ条」を制定し、「カゴメ健康経営宣言」を行いました。2024年3月には、 経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2024(大規模法人部門 ホワイト500)」に認定されました。2023年12月には、株式会社日本政策投資銀行が行う「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」において、最高ランクを取得しました。これからも「健康経営優良法人認定制度」の主旨に則り、健康経営施策を推進することで、従業員の健康と働きがいのさらなる向上を実現し、お客様の健康に貢献します。
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人権の尊重 カゴメグループは、人権に関する国際規範に基づいた、 「カゴメグループ人権方針」を策定し、その考え方や活動の社内浸透に努めるとともに、事業における人権リスクへの対応を進めています。
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事業活動に関わる人々や、事業を展開する国や地域の人々の基本的人権を尊重することは、企業理念を実践するカゴメグループの責務と考えます。当社では、人権尊重の責任を果たしていくための指針として「カゴメグループ人権方針」を制定し、本方針に基づき活動を推進していきます。本方針は、経営会議で承認され、取締役会でも報告されています。
「カゴメグループ人権方針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/humancapital/06/
人権デューデリジェンスの実施
2024年度は、人権への負の影響を把握するため、事業展開国や原材料調達先のエリア別の人権リスク評価を行いました。また、外部専門家の支援のもと、ワークショップを開催し、ビジネスと人権のグローバル動向について理解を深め、事業活動に関わる潜在的な人権リスクを抽出しました。これらの結果を総合的に判断し、優先すべき人権テーマとして、「日本国内の外国人労働者問題」「海外の調達先、事業拠点の労働者問題」の2つを特定しました。今後、特定したテーマに基
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づき、事業活動への影響の大きさやライツホルダーとの直接対話の実現性を考慮の上、人権リスクの最小化に向けた継続的な取り組みを進める予定です。
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サプライチェーンにおける社会的責任を果たしていくため、「カゴメ CSR調達方針」「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」を制定しています。これらの方針は、環境や人権への配慮のために遵守すべき事項を定めており、全ての調達先に対して説明を行い、周知を図っています。また、セルフチェックシートを活用し、調達先の自己チェックや現地訪問を行うことで、その理解・浸透に努め、リスク拠点の特定や改善に向けた対応を進めています。
2023年度は、製品委託先、菜園、海外原材料調達先に対し、サプライヤーCSR行動指針の遵守状況についてセルフチェックを実施しました。得られた結果に基づき、各調達先へのフィードバックや改善に向けた対応を進めています。また、2024年度は、セルフチェックの対象範囲をサプライチェーン上流の調達先である、日本国内のトマト加工品の原材料調達先に広げ、人権デューデリジェンスの実施と併せて、責任ある調達の実現に向けた取り組みを進めています。
「カゴメCSR調達方針」「カゴメ サプライヤーCSR行動指針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/sustainable-supply-chain/01/
https://www.kagome.co.jp/library/company/csr/supplier/pdf/supplier_csr_guidelines.pdf
「カゴメグループ人権方針」や人権尊重に対する理解を深めるため、従業員を対象とした「ビジネスと人権」をテーマとする公開講座、役員やサステナビリティ委員会メンバーを対象とした社外の人権有識者による勉強会の開催などをその施策としています。これらの施策を継続的に実施することで、「カゴメグループ人権方針」の浸透や人権リスク低減のための取り組みを進めています。
「社内の啓発活動」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/humancapital/06/
持続可能なサプライチェーンの構築 持続的にお客様に商品を届けるために、気候変動、水不足、労働力不足、原材料高騰などのリスクに対し、サプライチェーン全体の最適化に取り組んでいます。
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サプライチェーンを途切れさせない、カゴメ特有の物流環境
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自然の恵みを原材料とした商品をお届けするカゴメにとって、世界中の畑からの原材料輸送に始まり、お客様の食卓に至るまで、モノの流れを止めないことは、事業継続に必要不可欠です。カゴメのサプライチェーンの特徴を図解します。
調達拠点
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工場
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物流センター
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得意先
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世界中から 農作物を集める
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生産地に近く、 消費地から遠い
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1,000を超える商品 複数の温度帯
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多様な販売チャネル
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カゴメグループは世界中に調達拠点を持っています。海外の調達拠点から輸出された原材料は、長い道のりを経て日本に到着し、国内工場へ運ばれます。そして、工場で生産された商品は、工場から出荷された後、物流倉庫、卸店、小売店と、たくさんの人の手を経て、お客様に届けられます。このサプライチェーンの長さが大きな特徴となっており、サプライチェーンにおけるコントロールの複雑さが構造的な課題です。
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国内の工場は、加工用トマトの産地の近くに建設されてきました。この立地は「畑は第一の工場」というものづくりの思想を持つ、カゴメの考え方が背景にあります。物流においては高速道路のICや主要幹線道路まで距離があることで、工場から消費地までの輸送距離が、他の食品メーカーに比べて長くなっています。
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カゴメには1,000を超える商品があり、温度帯は調味料やPETボトル飲料などの常温、ホームパック飲料や乳酸菌飲料などの冷蔵、業務用商品などの冷凍と、3つにわたります。温度帯ごとに保管場所や輸送方法、そこに携わる人員が必要になり、マネジメントも複雑です。幅広いアイテムを展開することは、カゴメの強みであると同時に、物流においては管理が広範囲となっています。
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多様化した販売チャネルも、大きな特徴の一つです。DtoCと呼ばれる通販においては、卸店や小売店を経由せずに流通。お届け先に合わせた最適な物流ルートをSCM本部が企画し、常にアップデートしてF‐LINE株式会社※を通じて配送しています。 ※ F-LINE株式会社:2019年4月 に食品メーカー5社共同によ る効率的で安定的な物流体制 の実現を目的に設立した共同 物流会社です。食品物流の諸 課題の解決に向けて、食品メ ーカー協働での取り組みを進 めています。
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CASE
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サプライチェーンの川上から川下に至る全域の情報同期化・最適化に向けて
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世界的なコスト上昇が見込まれる物流の効率化は、大きな経営課題となっています。カゴメではサプライチェーン全域におけるデータ同期化・最適化を通じて、安定供給に向けた最適な「調達~生産~販売サプライチェーン網」を選択するためのサプライネットワーク構想の具体化に取り組んでいます。
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1 海外サプライチェーンへの取り組み ~調達SCM改革プロジェクトの推進~
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当社の国内加工食品事業において原材料調達の多くが、海外農産地からの輸入となっています。世界各国の産地から様々な種類の原材料調達を行うことで、国内市場・消費者の多様なニーズに応えてきたという背景があります。 しかし、昨今の情勢変化に伴い、グローバルで人件費をはじめとするあらゆるコストが上昇基調にあり、当社の強みだった「世界中からの原材料調達ネットワーク」「多様な原材料配合」を維持することが困難な状況になってきています。 この環境変化に対して、2024年春から「調達SCM改革プロジェクト」を稼働し、その一環として2024年10月から輸入原材料のSCMコントロール業務を当社の物流企画部にて運用・推進しています。 最終的には左頁記載のサプライネットワーク構想を通じて、輸入原材料のSCMコントロール業務について高度化された情報システムでの運用を段階的に目指していきます。
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2 国内サプライチェーンへの取り組み ~ドライバー感謝企画の開催~
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物流業界では、「2024年問題※」が多くの企業の関心事になっており、その影響度の大きさ・深さが多くのメディアに取り上げられる事態になっています。当社にとっても物流各社の支援なしには商品の安定供給が完遂できません。 当社は製造業ではありますが、関与する物流各社の環境整備へ能動的に取り組んでいます。その事例の一つが、2024年春に開催した「ドライバー感謝企画」です。物流パートナーであるF-LINE株式会社と連携の上、各工場において、日頃の感謝をトラックドライバーの皆様へ直接伝えるイベントを開催しました。具体的には、メッセージカードや当社商品を直接お渡しすると同時に、ドライバーの皆様からの“生の声アンケート”を実施しました。この貴重な“生の声”を活かして、我々にとって第一の国内物流拠点でもある製造工場の物流環境を整備していきます。 ※ 働き方改革関連法施行により2024年4月から自動車運転業務における時間外労働の上限規制などが適用されました。これにより、これまでと同じように製品を運ぶことが難しくなっています。
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MESSAGE
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原材料のサプライチェーンの構築に向けて 物流企画部は、安定的な製品供給(製造)をするために、輸入原材料の“適正在庫化”及び“安定供給”を目標とした在庫コントロールを2024年10月から開始しました。 在庫コントロールは、物流企画部のみで実現することはできません。そのため、調達SCM改革プロジェクトの一環として、社内外(サプライヤー・委託先物流会社・調達部・工場)との連携を密にし、今まで共有されていなかった情報をオープンにすることを始めました。情報を共有することでリアルタイムでの情報の可視化ができ、供給リスクに対して早期のリスク回避ができています。引き続きプロジェクトを推進し業務基盤を整えるとともに、外的要因(販売トレンドの変化や海上物流の状況)に対しても常にアップデートしながら、最適な原材料供給に取り組んでいきたいと思います。
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Profile 物流企画部 松本 和巳
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